JP2004107264A - アリールエチニルピラゾール類の製造方法 - Google Patents

アリールエチニルピラゾール類の製造方法 Download PDF

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浦田 尚男
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Abstract

【課題】簡便な操作及び安価な試薬で収率よく複素環芳香族ハロゲン化合物とアリールアセチレン類のカップリング反応を行うことができる
【解決手段】ハロゲン化ピラゾール類とアリールアセチレン類とを反応させアリールエチニルピラゾール類を製造するに当たり、ハロゲン化銅及び塩基の存在下で反応させることを特徴とするアリールエチニルピラゾール類の製造方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は医農薬品として有用なアセチレン誘導体の製造方法に関し、特に農薬として有用なアリールエチニルピラゾール類の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ハロゲン化合物、特に芳香族ハロゲン化物とアセチレン類とのカップリング反応は、Pd化合物/PPhのようなホスフィン配位子/CuI等のハロゲン化銅という触媒成分の存在下に行われることが知られており、一般的には園頭反応と呼ばれている。
【0003】
この反応は、芳香族ハロゲン化合物だけでなく複素環芳香族ハロゲン化合物にも適用可能であることが知られており、例えば、ピラゾール類とアセチレン類のとのカップリング反応が酢酸パラジウム、PPh、CuIという組み合わせの触媒成分と塩基の存在下で進行することが知られている(特許文献1参照)。しかし、このようにPd、PPh及びCuという多成分からなる触媒系を用いた反応は、コストの点や反応後の触媒除去及び再利用といった操作が煩雑となる点から工業的にはあまり好ましくない。加えて、Pd化合物という高価な触媒を15mol%も用いているにもかかわらず、例えば、1−エチル−4−ヨード−3−メチルピラゾール−5−イル酢酸メチルと3,5−ビストリフルオロメチルフェニルアセチレンとの反応(合成例−3参照)では収率が48.2%と低く、工業的実施するには不十分である。
【0004】
又、複素環芳香族ハロゲン化合物である2−ヨードインドールとメチルプロピオレートとのカップリング反応においては、CuIとPPhを触媒成分として用いていることが報告されている(非特許文献1参照)。ここでも、触媒成分としてPPhが必須となっている上、収率も53%と低く工業的に実施するには不十分である。
【0005】
【特許文献1】特開2001−158704号公報(第8頁、及び第13−14頁)
【非特許文献1】J.C.S.,Perkin Trans. 1, (1999),  p.2669−2670
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように複素環芳香族ハロゲン化合物とアリールアセチレン類とのカップリング反応を実施する上で、高価なPd触媒を用いず、かつ、高収率で工業的に有利に行わせる反応方法が望まれていた。本発明の課題は、ハロゲン化ピラゾール類とアリールアセチレン類のカップリング反応において工業的に有利に反応させる製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ハロゲン化ピラゾール類とアリールアセチレン類のカップリング反応において、高価なPd化合物を用いることなく、ハロゲン化銅および塩基の存在下に反応を行うことにより、温和な条件下でカップリング反応が進行することを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち本発明の要旨は、ハロゲン化ピラゾール類とアリールアセチレン類とを反応させアリールエチニルピラゾール類を製造するに当たり、ハロゲン化銅及び塩基の存在下で反応させることを特徴とするアリールエチニルピラゾール類の製造方法に存する。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法は、ハロゲン化ピラゾール類とアリールアセチレン類とを反応させアリールエチニルピラゾール類を製造するに当たり、ハロゲン化銅及び塩基からなる反応触媒を用いることを特徴とするものである。
(ハロゲン化ピラゾール類)
本発明に用いられるハロゲン化ピラゾール類は、ハロゲン原子が3位、4位、5位の何れに置換していても良く、ピラゾール環上にはハロゲン原子以外の置換基が結合してもよい。これらのうちハロゲン化ピラゾール類としては、一般式(1)で表されるハロゲン化ピラゾール類を用いることが好ましい。
【0010】
【化4】
Figure 2004107264
【0011】
上記Rは、水素原子;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子といったハロゲン原子;メチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、エチル基、メトキシメチル基、t−ブチル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロオクチル基、アセチルメチル基等の本反応に不活性な基で置換されていても良いアルキル基;ビニル基、アリル基、2−ブテニル基、スチリル基等の本反応に不活性な基で置換されていても良いアルケニル基;エチニル基、2−フェニルエチニル基、2−(p−クロロフェニル)エチニル基、2−トリメチルシリルエチニル基等の本反応に不活性な基で置換されていても良いアルキニル基;メトキシ基、エトキシ基、ベンジロキシ基、2−メトキシエトキシ基等の本反応に不活性な基で置換されていても良いアルコキシ基;又はフェニル基、ナフチル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、o−トリル基、4−ニトロフェニル基、3−シアノフェニル基、3,6−ジ−t−ブチルナフチル基等の本反応に不活性な基で置換されていても良いアリール基である。
【0012】
これらのうち、Rとしては、メチル基、エチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペルフルオロブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基又はハロアルキル基が好ましく、更に好ましくはハロアルキル基であり、特にトリフルオロメチル基が好ましい。
【0013】
上記Rは、水素原子、アルキル基、ハロアルキル基、又は置換されていても良いアリール基を示す。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基等の炭素数1〜20のアルキル基が例示される。
【0014】
ハロアルキル基としては、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、ペルフルオロブチル基等の炭素数1〜20のハロアルキル基が例示される。
置換されていても良いアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、o−トリル基、4−ニトロフェニル基、3−シアノフェニル基、3,6−ジ−t−ブチルナフチル基等の炭素数6〜20のアリール基が例示される。
【0015】
これらのうちRは水素原子、アルキル基又はハロアルキル基が好ましく、より好ましくは水素原子又はアルキル基であり、特に、メチル基、エチル基、ブチル基のような炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;又はフェニル基、ナフチル基等のアリール基を示す。ここで、上記アルキル基としては炭素数1〜20のものが好ましく、アラルキル基としては、炭素数7〜20のものが好ましく、アリール基としては、炭素数6〜12のものが好ましい。これらのうち、メチル基、エチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基、ベンジル基又はフェニル基が好ましく、特に、メチル基又はエチル基が好ましい。
【0016】
Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子を示し、このうち、臭素原子又はヨウ素原子が好ましく、特にヨウ素原子が好ましい。
(アリールアセチレン類)
本発明のアリールアセチレン類としては、フェニルアセチレン、置換フェニルアセチレン、α−ナフチルアセチレン等が例示される。これらのうち、下記一般式(2)で表される置換フェニルアセチレンが好ましい。
【0017】
【化5】
Figure 2004107264
【0018】
は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子といったハロゲン原子;メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロオクチル基等のアルキル基;クロロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2−ブロモシクロプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロオクチル基、5−ヨウ化ペンチル基等のハロアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、オクトキシ基等のアルコキシ基;クロロメトキシ基、クロロエトキシ基、トリフルオロエトキシ基等のハロアルコキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基、t−ブチルチオ基等のアルキルチオ基;又はトリフルオロメチルチオ基、トリフルオロエチルチオ基、クロロプロピルチオ基等のハロアルキルチオ基である。
【0019】
このうち、上記アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルキルチオ基及びハロアルキルチオ基としては炭素数1〜8のものが好ましい。
これらのうち、Rとしては、ハロゲン原子、ハロアルキル基又はハロアルコキシ基が好ましく、より好ましくは、ハロゲン原子又は炭素数1〜4のハロアルキル基であり、特に、フッ素原子又はトリフルオロメチル基が好ましい。
【0020】
nは0から5の整数を表すが、1又は2が好ましい。
アリールアセチレン類の使用量は、ハロゲン化ピラゾール類に対して、通常、1当量以上用いられ、好ましくはアリールアセチレンを小過剰以上用いるのがよく、具体的には1.01当量以上、より好ましくは1.1当量以上用いられる。但し、あまり過剰すぎるとコスト及び未反応分の除去の点から好ましくないため、通常、10当量以下、好ましくは5当量以下、更に好ましくは3当量以下の範囲で用いられる。
【0021】
(ハロゲン化銅)
触媒として用いるハロゲン化銅は、フッ化第1銅、塩化第1銅、臭化第1銅、ヨウ化第1銅の様な1価のハロゲン化銅や、塩化第2銅、臭化第2銅、ヨウ化第2銅のような2価のハロゲン化銅が例示される。これらのうち、アセチレン化合物自身の2量化反応を抑制するためには、1価のハロゲン化銅が好ましく、更に塩化第1銅、臭化第1銅又はヨウ化第1銅が好ましく、ヨウ化第1銅が特に好ましい。
【0022】
ハロゲン化銅の使用量は、特に制限されるものではないが、経済性、反応後の処理の簡便さの点から、アリールアセチレン類に対して1当量未満用いられ、好ましくは0.8等量以下、更に好ましくは0.5等量以下用いられる。下限は反応性に依存するが、通常0.01当量以上、好ましくは0.1当量以上用いる。
ハロゲン化銅は触媒として作用するが、反応に影響を及ぼさない錯形成するような添加物を加え、反応を実施することもできる。添加物としては、2,2‘−ビピリジルの様な含窒素配位子、n−ブチルアンモニウムブロミドのようなアンモニウム塩が例示される。
【0023】
(塩基)
本反応は塩基の存在下に行う。塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸セシウム、リン酸カリウム等の無機塩基;又は、トリエチルアミン、ピリジン、ピペリジン等のアミン類を用いることができる。これらのうち、経済性の点から無機塩基が好ましく、更には、炭酸セシウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩が好ましい。
【0024】
塩基の使用量は、ハロゲン化ピラゾール類に対して、1当量以上用いる。経済性の点ならびに反応性の点から使用量は決められるが、10当量までの範囲で選択することができる。好ましくは5当量以下、更に好ましくは3当量以下の範囲で選択することができる。
(反応様式)
本反応は、基質が液体の場合は無溶媒で反応を行っても良いが、通常、溶媒が用いられる。本反応に用いられる溶媒としては、反応に不活性なものであれば特に限定されないが、沸点が80℃以上であることが好ましい。例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、DMI、HMPA、DMSO、スルホランなどの非プロトン性極性溶媒;又は、ヘプタン、トルエン、キシレン等の炭化水素溶媒等が例示される。これらのうち好ましくはジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド基を含有する極性溶媒が挙げられる。
【0025】
溶媒の使用量は、基質に対して体積/重量比で1倍〜1000倍であり、好ましくは2〜100倍の範囲が、特に好ましくは5〜20倍の範囲が挙げられる。
反応温度は、反応が実質的に進行するためには80℃以上の温度が必要である。好ましくは90℃、更に好ましくは100℃から120℃の範囲である。
反応は、空気下で行うこともできるが、アセチレン化合物の2量化反応を抑制するために、窒素、アルゴンのような不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
【0026】
反応方法は、常圧下において溶媒中、
(1)アリールアセチレン類、ハロゲン化銅と塩基を混合させてから所定量のハロゲン化ピラゾール類を添加し、次いで加熱する方法、
(2)アリールアセチレン化合物、ハロゲン化銅と塩基を混合し、所定温度に加熱したところに、ハロゲン化ピラゾール類を添加する方法、
(3)ハロゲン化ピラゾール類、ハロゲン化銅と塩基を混合させたところにアリールアセチレン類を添加し、所定温度に加熱する方法、
(4)ハロゲン化ピラゾール類、ハロゲン化銅と塩基の混合し、所定温度に加熱したところに、アリールアセチレン類を所定量添加する方法、
の何れの方法を用いることができるが、アリールアセチレン類はハロゲン化銅と反応して銅アセチリドを形成してから、ハロゲン化ピラゾール類と反応することが推測され、このことから、アリールアセチレン類とハロゲン化銅を予め混合させておく方法である上記(1)又は(2)が好ましい。
【0027】
反応時間は特に限定されるものではないが、通常1時間〜36時間、好ましくは1〜24時間で実施される。
反応終了後は通常の後処理方法により行うことができる。使用した銅塩を除去するために、反応液を塩化アンモニウム水溶液で洗浄し、銅−アミン錯体として水層に除去することができる。その後抽出、洗浄操作を実施し、晶析、蒸留、カラム精製により目的物を単離することができる。場合によっては、単離することなく次工程に供する事も可能である。
【0028】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0029】
【実施例】
(参考例1) 3−メチル−1−(3,5−ビストリフルオルメチルフェニル)−1−ブチン−3−オールの合成
3,5−ビストリフロオルメチルブロムベンゼン3.0g(10.24mmol)、トリエチルアミン2.5ml、DMF10ml混合溶液中に、窒素ガスをバブリングしながらトリフェニルホスフィン53mg(0.2mmol)、5%Pd/C216mg(0.1mmol)、ヨウ化銅(I) 38.8mg(0.2mmol)を加え、窒素雰囲気下35℃で30分間攪拌した。窒素雰囲気下で80℃に昇温し、同温で3−メチル−1−ブチン−3−オル927mg(11mmol)を40分かけて滴下し、滴下終了後80℃で3時間半攪拌した。20℃まで冷却し、不要物をろ過した。ろ液に酢酸エチルおよび氷水を加えて分液した。酢酸エチル層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムをろ過により除いて得られた溶液を濃縮し、3−メチル−1−(3,5−ビストリフルオルメチルフェニル)−1−ブチン−3−オールの粗体3.1gを薄黄色固体目的物として得た。収率は定量的だった。
【0030】
融点:74.5−74.8℃;H−NMR(CDCl)δ(ppm)=7.85(2H,s),7.79(1H,s),1.65(6H,s);19F−NMR(CDCl;外部標準:C)δ(ppm)=−63.24(CF,s)。
(参考例2) 3,5−ビストリフルオロメチルフェニルアセチレンの合成
窒素雰囲気下で、50mLの三口フラスコに3−メチル−1−(3,5−ビストリフルオルメチルフェニル)−1−ブチン−3−オール10.0g(33.8mmol)を加え、続いて粉末状水酸化カリウム0.9g(0.46equiv)と流動パラフィン10mLを仕込んだ。減圧蒸留装置を組んで、減圧で副生成物のアセトンを除去しながら加熱反応を継続した。オイルバス温度を85℃に保って、1時間反応継続したところ、アセトンの流出が認められなくなり、この時点で反応を終了した。
【0031】
50mLのジエチルエーテルで流出物を希釈し、その後15mLの飽和食塩水で二回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過により除いて得られた溶液を濃縮し、3,5−ビストリフルオロメチルフェニルアセチレン6.55gを透明無色溶液として得た。単離収率81.5%。純度92.6%(HPLC内部標準法)。
沸点:142.0−142.5℃;H−NMR(CDCl)δ(ppm)=7.92(2H,s),7.84(1H,s),3.27(1H,s);19F−NMR(CDCl;外部標準:C)δ(ppm)=−63.26(CF,s)。
【0032】
実施例1
窒素雰囲気下で、脱気DMF250mLに3,5−ビストリフルオロメチルフェニルアセチレン14.4g(60.4mmol; 1.05equiv)、続いてヨウ化銅(I)3.29g(0.3equiv)を加えた。10分間攪拌してから炭酸カリウム9.54g(1.2equiv)と1−メチル−4−ヨード−3−トリフルオロメチルピラゾール−5−イル酢酸メチル20g(57.5mmol)を加え、反応液を105℃に保ち2.5時間攪拌した。20℃まで冷却し、酢酸エチル200mLを反応液に加え、不溶物を濾過した。濾液に飽和の濃度の塩化アモニウム溶液を加えて分液し、その後飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過により除いて得られた溶液を濃縮し、1−メチル−3−トリフルオロメチル−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルエチニル]ピラゾール−5−イル−酢酸メチルの粗体28.5gを薄黄色固体として得た。これを酢酸エチル/ヘキサンから再結晶し、白色粉末(針状結晶)18.9g (41.2mmol)を得た。単離収率72%。純度98.6%(HPLC内部標準法)。
融点:148.4−148.7℃;H−NMR(CDCl)δ(ppm)=7.90(2H,s),7.83(1H,s),3.93(3H,s),3.88(2H,s),3.79(3H,s);19F−NMR(CDCl;外部標準:C)δ(ppm)=−62.24,−63.15。
元素分析:C1811の計算値:C47.18,H2.42,N6.11,F37.31。測定値:C47.86,H1.64,N6.30,F35.70%。
【0033】
(実施例2)
窒素雰囲気下で、脱気DMF25mLに3,5−ビストリフルオロメチルフェニルアセチレン1.51g(6.33mmol)、続いてヨウ化銅(I)0.329g(1.7mmol)を加えた。15分間攪拌してから炭酸セシウム2.25g(6.9mmol)と1−メチル−4−ヨード−3−トリフルオロメチルピラゾール−5−イル酢酸メチル2.0g(5.75mmol)を加え、反応液を105℃に保ち2時間攪拌した。20℃まで冷却し、酢酸エチル50mLを反応液に加え、不溶物を濾過した。濾液に飽和の濃度の塩化アモニウム溶液を加えて分液し、その後飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過により除いて得られた溶液を濃縮し、1−メチル−3−トリフルオロメチル−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルエチニル]ピラゾール−5−イル−酢酸メチルの粗体3.15gを薄黄色固体として得た。これを酢酸エチル/ヘキサンから再結晶し、白色粉末(針状結晶)1.97gを得た。単離収率75%。純度98.9%(HPLC内部標準法)。
【0034】
(実施例3)
窒素雰囲気下で、脱気DMF2.5mLに3,5−ビストリフルオロメチルフェニルアセチレン144mg(0.604mmol)、続いてヨウ化銅(I)33m g(0.173mmol)を加えた。10分間攪拌してから炭酸カリウム90mg(0.651mmol)と1−メチル−4−ヨード−3−トリフルオロメチルピラゾール−5−イル酢酸メチル200mg(0.575mmol)を加え、反応液を95℃に保ち5時間攪拌した。20℃まで冷却し、酢酸エチル5mLを反応液に加え、不溶物を濾過した。濾液に飽和の濃度の塩化アモニウム溶液を加えて分液し、その後飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過により除いて得られた溶液を濃縮し、1−メチル−3−トリフルオロメチル−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルエチニル]ピラゾール−5−イル−酢酸メチルの粗体280mgを薄黄色固体として得た。これを酢酸エチル/ヘキサンから再結晶し、白色粉末(針状結晶)200mgを得た。単離収率76%。
【0035】
(実施例4)
窒素雰囲気下で、脱気DMF25mLに3,5−ビストリフルオロメチルフェニルアセチレン1.51g(6.33mmol)、続いて塩化銅(I)0.171g(1.7mmol)を加えた。15分間攪拌してから炭酸カリウム0.954g(6.9mmol)と1−メチル−4−ヨード−3−トリフルオロメチルピラゾール−5−イル酢酸メチル2.0g(5.75mmol)を加え、反応液を105℃に保ち3時間攪拌した。20℃まで冷却し、酢酸エチル50mLを反応液に加え、不溶物を濾過した。濾液に飽和の濃度の塩化アモニウム溶液を加えて分液し、その後飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過により除いて得られた溶液を濃縮し、1−メチル−3−トリフルオロメチル−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルエチニル]ピラゾール−5−イル−酢酸メチルの粗体3.0gを薄黄色固体として得た。HPLC内部標準法により定量した結果、反応の転化率は92%、目的物の収率は76%であった。
【0036】
(実施例5)
窒素雰囲気下で、脱気DMF25mLに3,5−ビストリフルオロメチルフェニルアセチレン1.51g(6.33mmol)、続いて臭化銅(I)0.248g(1.7mmol)を加えた。15分間攪拌してから炭酸カリウム0.954g(6.9mmol)と1−メチル−4−ヨード−3−トリフルオロメチルピラゾール−5−イル酢酸メチル2.0g(5.75mmol)を加え、反応液を105℃に保ち4時間攪拌した。20℃まで冷却し、酢酸エチル50mLを反応液に加え、不溶物を濾過した。濾液に飽和の濃度の塩化アモニウム溶液を加えて分液し、その後飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過により除いて得られた溶液を濃縮し、1−メチル−3−トリフルオロメチル−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルエチニル]ピラゾール−5−イル−酢酸メチルの粗体2.95gを薄黄色固体として得た。HPLC内部標準法により定量した結果、反応の転化率は86%、目的物の収率は61%であった。
【0037】
(実施例6)
窒素雰囲気下で、脱気DMF2.5mLに2,2‘−ビピリジル18mg(0.12mmol)、3,5−ビストリフルオロメチルフェニルアセチレン164mg(0.69mmol)、続いてヨウ化銅(I)22m g(0.12mmol)を加えた。15分間攪拌してから炭酸カリウム95mg(0.69mmol)と1−メチル−4−ヨード−3−トリフルオロメチルピラゾール−5−イル酢酸メチル200mg(0.575mmol)を加え、反応液を110℃に保ち4.5時間攪拌した。20℃まで冷却し、酢酸エチル5mLを反応液に加え、不溶物を濾過した。濾液に飽和の濃度の塩化アモニウム溶液を加えて分液し、その後飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過により除いて得られた溶液を濃縮し、1−メチル−3−トリフルオロメチル−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルエチニル]ピラゾール−5−イル−酢酸メチルの粗体290mgを薄黄色固体として得た。HPLC内部標準法により定量した結果、反応の転化率は91%、目的物の収率は57%であった。
【0038】
(実施例7)
窒素雰囲気下で、脱気DMF2.5mLに3,5−ビストリフルオロメチルフェニルアセチレン144mg(0.604mmol)、続いてn−ブチルアンモニウムブロミド55mg(0.173mmol),ヨウ化銅(I)33m g(0.173mmol)を加えた。10分間攪拌してから炭酸カリウム88mg(0.623mmol)と1−メチル−4−ヨード−3−トリフルオロメチルピラゾール−5−イル酢酸メチル200mg(0.575mmol)を加え、反応液を100℃に保ち7時間攪拌した。20℃まで冷却し、酢酸エチル5mLを反応液に加え、不溶物を濾過した。濾液に飽和の濃度の塩化アモニウム溶液を加えて分液し、その後飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過により除いて得られた溶液を濃縮し、1−メチル−3−トリフルオロメチル−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルエチニル]ピラゾール−5−イル−酢酸メチルの粗体290mgを薄黄色固体として得た。HPLC内部標準法により定量した結果、反応の転化率は73%、目的物の収率は55%であることが分かった。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、簡便な操作及び安価な試薬で収率よく複素環芳香族ハロゲン化合物とアリールアセチレン類のカップリング反応を行うことができる。

Claims (7)

  1. ハロゲン化ピラゾール類とアリールアセチレン類とを反応させアリールエチニルピラゾール類を製造するに当たり、ハロゲン化銅及び塩基の存在下で反応させることを特徴とするアリールエチニルピラゾール類の製造方法。
  2. ハロゲン化ピラゾール類が下記一般式(1)で表される2−(5−ピラゾリル)酢酸エステル誘導体であり、アリールアセチレン類が下記一般式(2)で表されるフェニルアセチレン誘導体であり、アリールエチニルピラゾール類が下記一般式(3)で表される4−アリールエチニルピラゾール誘導体であることを特徴とする請求項1に記載のアリールエチニルピラゾール類の製造方法。
    Figure 2004107264
    (式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いアルケニル基、置換されていても良いアルキニル基、置換されていても良いアルコキシ基、又は置換されていても良いアリール基を示し、Rは水素原子、アルキル基、ハロアルキル基、又は置換されていても良いアリール基を示し、Rはアルキル基、アラルキル基、アリール基を示し、Xはハロゲン原子を示す。)
    Figure 2004107264
    (式中、Rはハロゲン原子、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルキルチオ基、ハロアルキルチオ基を示し、nは0から5の整数を示す。)
    Figure 2004107264
    (式中、R,R,R、R及びnは前記と同じ)。
  3. がハロアルキル基であることを特徴とする請求項1又は2に記載のアリールエチニルピラゾール類の製造方法。
  4. がアルキル基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のアリールエチニルピラゾール類の製造方法。
  5. Xのハロゲン原子がヨウ素原子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のアリールエチニルピラゾール類の製造方法。
  6. がハロゲン原子、ハロアルキル基又はハロアルコキシ基であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のアリールピラゾール類の製造方法。
  7. ハロゲン化銅の使用量が、アセチレン誘導体に対して1当量未満であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のアリールエチニルピラゾール類の製造方法。
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