JP3730531B2 - 回転電機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転電機に係り、特に誘導機に用いるに好適な回転子を有する回転電機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の比較的小容量の誘導電動機の回転子は、例えば、特開昭61−25140号公報に記載されているように、回転子鉄心と、導体バーと、エンドリングによって構成されている。ケイ素鋼板を複数枚積層して形成された回転子鉄心の穴には複数本の導体バー及びエンドリングの材料としては、アルミニュームまたはアルミニューム合金を用いている。導体バー及びエンドリングは、ダイカスト鋳造にて一体成形されるため、量産性が良いものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のダイカスト鋳造では、高圧鋳造のため、導体バー及びエンドリング部に鋳巣欠陥が発生するという問題があった。回転子の導体バーやエンドリングに電流が流れることにより磁束との相互作用によって電動機回転トルクが発生するが、導体バーやエンドリングの一部に鋳巣があると、電流の流れが妨げられトルクが発生しなくなったり、鋳巣部で異常加熱して不具合が発生したりする。また、鋳巣部があると、回転子の回転時のアンバランスの原因になり、アンバランス修正工程が必要となる。
【0004】
ダイカスト鋳造時に鋳巣が生じないようにするために、真空中でダイカスト鋳造を行うことや、鋳込みゲート形状の工夫や、ダイカスト金型の予熱や、更にはダイカスト時に空気を巻き込まないような金型表面形状の工夫などの種々の改良がなされているが、有効な解決方法がないのが現状である。
【0005】
本発明の目的は、鋳巣不良のない回転子を備えた回転電機を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、固定子と、この固定子に対向して配置された回転子とを有し、この回転子は、複数の薄板を積層して形成される積層鉄心と、この積層鉄心の軸方向に形成された複数孔にそれぞれ挿通される複数の導体バーと、これらの導体バーの両端に設けられたエンドリングとから構成される回転電機において、上記エンドリングは円盤状であり、上記導体バーの先端が挿入される複数の孔を有し、上記導体バー材及びエンドリング、アルミニム製の材料で形成され、上記導体バーの先端形状、その断面が先端に向かって一様に細るように形成され上記導体バーの先端は、上記導体バーの端部と上記エンドリングの端部が同一平面となるように、上記エンドリングの上記貫通穴に挿入され、上記導体バーの上記端部と上記エンドリングの上記端部は摩擦攪拌接合によって電気的及び機械的に接合され、上記導体バーの上記端部と上記エンドリングの上記端部との接合部には上記摩擦攪拌接合による塑性流動部が形成されているものである。
かかる構成により、鋳巣不良のない回転子を備えた回転電機を得られるものとなる。
【0007】
(2)上記(1)において、好ましくは、上記導体バーの先端形状を、その断面が先端に向かって細く勾配がつく形状としたものである。
【0008】
(3)上記(1)において、好ましくは、上記導体バーが、上記エンドリングに挿通する先端形状を段付き形状とし、その断面が上記積層鉄心のスロットに挿通する部分に比して細くしたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図8を用いて、本発明の第一の実施形態による回転電機である誘導電動機の構成について説明する。
最初に、図1を用いて、本実施形態による誘導電動機の全体構成について説明する。
図1は、本発明の第一の実施形態による誘導電動機の全体構成を示す上半分断面の正面図である。
【0010】
ハウジング1は、鋳鉄など鉄系材料を鋳造することにより、ほぼ筒状に形成されて、電動機の外被を構成している。放熱フィン1aは、ハウジング1の外周に、軸方向に沿った長さをなして、放射状に一体的に形成されている。エンドブラケット2A、2Bは、ハウジング1の両側の開口部に、それぞれインロー嵌合して取付けられている。固定子3は、固定子鉄心3aと固定子コイル3bとから構成されている。固定子3は、ハウジング1の内周部に嵌合し、かつ固定されている。固定子鉄心3aは、ケイ素項鋼板を複数枚積層して形成されている。固定子コイル3bは、固定子鉄心3aの内周部に複数形成されたスロット部に巻回されている。回転子5は、積層鉄心5aと、導体バー7aと、エンドリング7b,7cとによって構成されている。回転子5の詳細構成については、図2を用いて後述する。回転子5は、回転軸6の外周部において、固定子2と対向位置に取付けられている。回転軸6の両端は、エンドリング2A,2Bに対して、それぞれ、軸受4A,4Bを介して、回転自在に保持されている。また、回転軸6の一端部(図においては右側)は、エンドブラケット2Bを挿通して外部に突出し、出力軸となっている。回転軸6の他端部(図において左側)には、エンドブラケット2Aを挿通して、外部冷却扇(外ファン)9が装着されている。
【0011】
エンドカバー10は、外ファン9を覆っている。また、エンドカバー10の一側面には、外気を取り込むための開口10aが形成されている。また、エンドカバー10の開口10aと反対側の他端は、開放された円筒型に形成され、エンドカバー10をエンドブラケット2Aに組付けたとき、エンドブラケット2A及びハウジング1の外径部との間に径方向の隙間部10bを形成する。
【0012】
電動機は、回転軸6が駆動されると、外ファン9が回転し、エンドカバー10の開口10aから矢印イの如く外気が吸い込まれ、吸い込まれた空気は、隙間部10bからエンドカバー10の他端側の外部に吹き出され、エンドブラケット2A,ハウジング1の放熱フイン1a,エンドブラケット2Bの表面を通風することにより、冷却作用が得られる。
【0013】
次に、図2を用いて、本実施形態による誘導電動機の回転子の構成について説明する。
図2は、本発明の第一の実施形態による誘導電動機に用いられる回転子の構成を示す断面図である。
【0014】
回転子5は、積層鉄心5aと、導体バー7aと、エンドリング7b,7cとによって構成されている。積層鉄心5aは、薄板のケイ素鋼板を複数枚積層して形成されている。積層鉄心5aには、かご形巻線用の複数孔7dが、軸方向に沿って形成されている。複数の孔7dには、それぞれ、複数の導体バー7aが挿通される。複数の導体バー7aの両端には、エンドリング7b,7cが固定されている。導体バー7aと、エンドリング7b,7cによって、かご形巻線部が構成されている。導体バー7aと、エンドリング7b,7cの材質としては、アルミニュームを用いている。
【0015】
次に、図3〜図8を用いて、本実施形態による誘導電動機の回転子の製造方法について説明する。
最初に、図3を用いて、本実施形態による誘導電動機の回転子の全体的な製造工程について説明する。
図3は、本発明の第一の実施形態による誘導電動機に用いられる回転子の製造工程を説明する分解斜視図である。
【0016】
積層鉄心5aには、かご形巻線用の複数孔7dが、軸方向に沿って形成されている。複数の孔7dには、それぞれ、複数の導体バー7aが挿通される。導体バー7aは、アルミ製の棒状に成形された部材である。複数の導体バー7aの一方の端部には、エンドリング7cが固定される。エンドリング7cは、アルミ製の円盤状に成形された部材である。また、図示は省略しているが、導体バー7aの他方の端部には、エンドリング7bが固定される。ここで、本実施形態においては、特に、回転子5のかご形巻線の導体バー7aの両端にエンドリング7b,7cを摩擦攪拌接合によって接合一体に形成したことに特徴がある。
【0017】
次に、図4〜図8を用いて、本実施形態による誘導電動機の回転子における導体バーとエンドリングの摩擦攪拌接合方法について説明する。
図4は、本発明の第一の実施形態による誘導電動機に用いられる回転子の接合方法を示す斜視図であり、図5は、本発明の第一の実施形態による誘導電動機に用いられる回転子の接合前の断面図であり、図6は、本発明の第一の実施形態による誘導電動機に用いられる回転子の接合前の側面図であり、図7は、本発明の第一の実施形態による誘導電動機に用いられる回転子の接合後の断面図であり、図8は、本発明の第一の実施形態による誘導電動機に用いられる回転子の接合前の他の側面図である。なお、図1〜図3と同一符号は、同一部分を示している。
【0018】
図4に示すように、積層された回転子鉄心5aの端部には、エンドリング7cが位置している。エンドリング7cに設けられた複数の孔7eには、それぞれ、導体バー7aが挿入されている。導体バー7aの端部には、エンドリング7cの端部の平面とほぼ同一平面となっている。エンドリング7cと導体バー7aとの接合は、摩擦攪拌接合ツール11を、接合部に押しつけることによって行われる。 接合ツール11の先端部は、アルミニュームからなる導体バー材やエンドリング材より実質的に硬い材質からなる棒状の回転ツールである。接合ツール11の材料としては、例えば、合金工具鋼(熱間金型用)を用いる。接合ツール11は、導体バー7aとエンドリング7cの接合部に押しつけ、ツール11を回転させながら、導体バー7aの円周に沿って移動される。接合部に接合ツール11を押しつけることによって摩擦熱が発生する。この摩擦熱によって、導体バー7a及びエンドリング7cは塑性流動して、攪拌・接合して、両者を一体化する。
【0019】
ここで、図5及び図6を用いて、導体バー7aとエンドリング7cの形状について説明する。
【0020】
図示するように、導体バー7aは、その先端部形状の断面が軸方向に先端に向かってテーパ状に一様に細るように形成してある。一方、エンドリング7cに形成されている孔も、導体バー7aの先端部のテーパ状に合わせたテーパ状の孔としている。導体バー7aの太さをR1とすると、先端部の長円部の径はR3となり、R1>R3となっている。なお、先端部の形状は、図8に示すように、円形状としてもよいものである。
【0021】
摩擦攪拌接合をするためには、2つの部材が隙間無く接触している方が摩擦熱による塑性流動を生じやすいものであるが、ここで、導体バー7aとエンドリング7cがテーパ面同士で接触することにより、両者の嵌合時のアンバランスが生じにくくなるものである。
【0022】
次に、図7を用いて、回転子の接合状態について説明する。導体バー7aの直径R1は、例えば、20mmであり、先端部の長円径R3は、例えば、4mmとしている。エンドリング7cの厚さH1は、例えば20mmである。接合ツール11の先端部の直径R2は、例えば、5mmである。
【0023】
接合ツール11の先端部は、導体バー7aとエンドリング7cの接合部に押しつけ力Fによって押しつけられる。このときの押しつけ力Fは、10トン程度である。接合ツール11は、例えば、1000r/minで回転している。導体バー7aとエンドリング7cの接合部に、回転する接合ツール11を押しつけることによって摩擦熱が発生し、摩擦熱によって、導体バー7a及びエンドリング7cは塑性流動して、攪拌・接合され、接合部7fが形成される。接合ツール11の回転数は、被接合材料の種類,厚さ等によって異なるものであり、回転数は、例えば、500〜2000r/minの範囲程度とする。接合部7fには、回転ツール11の押下げ力と摩擦熱によって、凹状の跡が形成される。
【0024】
ここで、導体バー7aの先端部は、テーパ状としているため、先端部の径R3は、導体バー7aの径R1に比べて小さくなる。接合ツール11の先端部の径R2は、接合部の大きさよりも大きくする必要があり、R2>R3とすれば良いものである。例えば、導体バー7aの先端部にテーパ部を設けない場合には、接合ツール11の先端部の径R2を、導体バー7aの径R1より大きくする必要があり、径R1が20mmの場合、接合ツール11の径R2は25mm程度とする必要がある。このとき、接合に必要な押しつけ力Fは、約250トンとなり、大型な摩擦攪拌接合装置が必要となるが、上述したように、導体バー7aの先端部をテーパ状とすることにより、押しつけ力Fを10トンとすることができ、小型な摩擦攪拌接合装置を用いることができる。
【0025】
摩擦攪拌接合方法を用いることにより、接合部の温度はアルミニュームの融点(660℃)以下で固相接合される。したがって接合部のひずみが少なく気泡、割れなどの欠陥がないものである。一方、接合部の強度は、MIG溶接と同等かそれ以上であり、スパッタやヒュームの発生がないものである。また、熟練が不要であって、接合装置が比較的安価である。
【0026】
導体バー及びエンドリングは、従来のようなアルミダイカスト鋳造によるものでないため、鋳巣などの構造欠陥のないものである。鋳巣欠陥が発生しないため、回転子の導体バーやエンドリングに流れる電流の流れが妨げられトルクが発生しなくなることもなく、また、鋳巣部で異常加熱して不具合が発生することもないものである。また、鋳巣部がないため、回転子の回転時のアンバランスも生じなくなり、アンバランス修正工程も不要となる。
【0027】
また、アルミダイカスト製法では、アルミニュームを約700℃で溶解するエネルギーコストが高く、また、燃焼による環境問題も発生するが、本実施形態では、摩擦攪拌接合を用いることにより、エネルギーコストを低減でき、また、環境問題も発生しないものである。
【0028】
以上説明したように、本実施形態によれば、鋳巣の発生がなく接合部は歪みがないので良好な回転子を得ることができる。
【0029】
また、導体バーの先端部をテーパ状とすることにより、小型な摩擦攪拌接合装置を用いることができる。
【0030】
さらに、導体バーの先端部をテーパ状とすることにより、導体バーとエンドリングの嵌合時のアンバランスをなくすことができる。
【0031】
次に、図9及び図10を用いて、本発明の第二の実施形態による回転電機である誘導電動機の構成について説明する。本実施形態による誘導電動機の全体構成は、図1に示したものと同様である。本実施形態による誘導電動機の回転子の構成は、図2に示したものと同様である。本実施形態では、図1〜図6に示した実施形態と同様に、摩擦攪拌接合を用いるものであるが、導体バーとエンドリングの形状が異なるものである。
【0032】
図9は、本発明の第二の実施形態による誘導電動機に用いられる回転子の接合前の断面図であり、図10は、本発明の第二の実施形態による誘導電動機に用いられる回転子の接合前の側面図である。なお、図1〜図8と同一符号は、同一部分を示している。
【0033】
図9に示すように、導体バー7a1は、先端に向かって細く勾配がつくように形成してある。エンドリング7c1には、導体バー7a1の先端形状に応じた孔が形成されている。導体バー7a1とエンドリング7c1は、図7において説明したものと同様にして、接合ツールを用いて摩擦攪拌接合により接合される。
【0034】
導体バー7a1の勾配とエンドリング7c1の勾配同士で接触することにより、両者の嵌合時の組合せがしやすくなるものである。また、導体バー7a1の先端に勾配を付けることにより、先端の径を小さくして、摩擦攪拌接合時の押しつけ力Fを小さくできるため、小型な摩擦攪拌接合装置を用いることができる。
【0035】
次に、図11及び図12を用いて、本発明の第三の実施形態による回転電機である誘導電動機の構成について説明する。本実施形態による誘導電動機の全体構成は、図1に示したものと同様である。本実施形態による誘導電動機の回転子の構成は、図2に示したものと同様である。本実施形態では、図1〜図6に示した実施形態と同様に、摩擦攪拌接合を用いるものであるが、導体バーとエンドリングの形状が異なるものである。
【0036】
図11は、本発明の第三の実施形態による誘導電動機に用いられる回転子の接合前の断面図であり、図12は、本発明の第三の実施形態による誘導電動機に用いられる回転子の接合前の側面図である。なお、図1〜図8と同一符号は、同一部分を示している。
【0037】
図11に示すように、導体バー7a2は、先端に向かって細く勾配がつくように形成してある。勾配の付いている面は、図9に示したものと、180度違っている。エンドリング7c2には、導体バー7a2の先端形状に応じた孔が形成されている。導体バー7a2とエンドリング7c2は、図7において説明したものと同様にして、接合ツールを用いて摩擦攪拌接合により接合される。
【0038】
導体バー7a2の勾配とエンドリング7c2の勾配同士で接触することにより、両者の嵌合時の組合せがしやすくなるものである。また、導体バー7a2の先端に勾配を付けることにより、先端の径を小さくして、摩擦攪拌接合時の押しつけ力Fを小さくできるため、小型な摩擦攪拌接合装置を用いることができる。
【0039】
また、回転子の中心から導体バー7a2とエンドリング7b2の接合部の中心までの距離R4は、図9に示した例に比べて小さくなる。その結果、回転子の回転時のアンバランスを小さくすることができる。
【0040】
次に、図13及び図14を用いて、本発明の第四の実施形態による回転電機である誘導電動機の構成について説明する。本実施形態による誘導電動機の全体構成は、図1に示したものと同様である。本実施形態による誘導電動機の回転子の構成は、図2に示したものと同様である。本実施形態では、図1〜図6に示した実施形態と同様に、摩擦攪拌接合を用いるものであるが、導体バーとエンドリングの形状が異なるものである。
【0041】
図13は、本発明の第四の実施形態による誘導電動機に用いられる回転子の接合前の断面図であり、図14は、本発明の第四の実施形態による誘導電動機に用いられる回転子の接合前の側面図である。なお、図1〜図8と同一符号は、同一部分を示している。
【0042】
図13に示すように、導体バー7a3は、その断面がエンドリング7c3に挿通される境の部分で段差がつくように細くなっている。エンドリング7c3には、導体バー7a3の先端形状に応じた孔が形成されている。導体バー7a3とエンドリング7c3は、図7において説明したものと同様にして、接合ツールを用いて摩擦攪拌接合により接合される。
【0043】
接合部(導体バー7a3とエンドリング7b3が接触する部分)は、接合ツールの押しつけ方向に延在しているので、攪拌摩擦接合による接合部が形成されやすいものである。また、導体バー7a2の先端に勾配を付けることにより、先端の径を小さくして、摩擦攪拌接合時の押しつけ力Fを小さくできるため、小型な摩擦攪拌接合装置を用いることができる。
【0044】
次に、図15を用いて、本発明の第五の実施形態による回転電機である誘導電動機の構成について説明する。本実施形態による誘導電動機の全体構成は、図1に示したものと同様である。本実施形態による誘導電動機の回転子の構成は、図2に示したものと同様である。本実施形態では、図1〜図6に示した実施形態と同様に、摩擦攪拌接合を用いるものであるが、導体バーとエンドリングの形状が異なるものである。
【0045】
図15は、本発明の第五の実施形態による誘導電動機に用いられる回転子の接合前の断面図である。なお、図1〜図8と同一符号は、同一部分を示している。
【0046】
図15に示す導体バー7a4は、図5に示した導体バー7aと同様にテーパ状となっており、さらに、導体バー7a4の先端部は、エンドリング7c4の端面から軸方向に少し突出している。その側面形状は、図6に示したものと同様である。導体バー7a3とエンドリング7c3は、図7において説明したものと同様にして、接合ツールを用いて摩擦攪拌接合により接合される。
【0047】
導体バー7a4がエンドリング7c4の端部から突出しているので、接合ツールを押しつけて接合した後、エンドリング7c4の側面に凹状の跡が形成されないものである。また、導体バーの先端部をテーパ状とすることにより、小型な摩擦攪拌接合装置を用いることができる。さらに、導体バーの先端部をテーパ状とすることにより、導体バーとエンドリングの嵌合時のアンバランスをなくすことができる。
【0048】
次に、図16及び図17を用いて、本発明の第六の実施形態による回転電機である誘導電動機の構成について説明する。本実施形態による誘導電動機の全体構成は、図1に示したものと同様である。本実施形態による誘導電動機の回転子の構成は、図2に示したものと同様である。本実施形態では、図1〜図6に示した実施形態と同様に、摩擦攪拌接合を用いるものであるが、導体バーとエンドリングの形状が異なるものである。
【0049】
図16は、本発明の第六の実施形態による誘導電動機に用いられる回転子の接合前の断面図であり、図17は、本発明の第六の実施形態による誘導電動機に用いられる回転子の接合前の側面図である。なお、図1〜図8と同一符号は、同一部分を示している。
【0050】
図16に示すように、導体バー7a5は、直線状の端部を有している。そして、図17に示すように、エンドリング7c5の内周側面に、導体バー7a5の外周側面を接触させ、接合ツールを用いて、導体バー7a5とエンドリング7c5の接触面に接合ツールを押し当てることにより、摩擦攪拌接合により接合される。接合ツールの直径が小さい場合には、導体バー7a5とエンドリング7c5の接触面に沿って、接合ツールを回転させながら、移動することで、小型の摩擦攪拌装置を用いて、摩擦攪拌接合可能となる。
【0051】
ここで、導体バー7a5とエンドリング7c5の接合部は、ほぼ直線状(厳密には、エンドリング7c5の内周に接するので、エンドリング7c5の内径の円弧状となるが、図5等に示したものに比べると、円弧の半径が大きく、ほぼ直線状の接触面を有する)となるので、図13に示したように、エンドリングの孔に導体バーの端部を挿入するときに問題となる両者の組合せ時の干渉を回避することができる。従って、導体バーとエンドリングの組合せが容易となる。また、摩擦攪拌接合時の押しつけ力Fを小さくできるため、小型な摩擦攪拌接合装置を用いることができる。
【0052】
次に、図18〜図21を用いて、本発明の第七の実施形態による回転電機である誘導電動機の構成について説明する。
最初に、図18を用いて、本実施形態による回転電機の全体構成について説明する。
図18は、本発明の第七の実施形態による回転電機の全体構成を示す部分断面図である。なお、図1と同一符号は、同一部分を示している。
【0053】
回転子のエンドリング7には、冷却用のフィン8が、エンドリング7と一体的に設けられている。その他の構成は、図1に示したものと同様である。本実施形態による誘導電動機の回転子の基本的な構成は、図2に示したものと同様である。
【0054】
次に、図19〜図21を用いて、本実施形態による回転電機おける導体バーとエンドリングの接合方法について説明する。
【0055】
図19は、本発明の第七の実施形態による誘導電動機に用いられる回転子の接合前の断面図であり、図20は、本発明の第七の実施形態による誘導電動機に用いられる回転子の接合前の平面図であり、図21は、本発明の第七の実施形態による誘導電動機に用いられる回転子の接合前の側面図である。なお、図1〜図8と同一符号は、同一部分を示している。
【0056】
図19に示すように、導体バー7aは、図5に示したものと同様に、エンドリング7cに挿入される先端部がテーパ状となっている。エンドリング7cには、導体バー7aの先端形状に合わせたテーパ状の孔が形成されている。また、エンドリング7cには、冷却用のフィン8と、アンバランス修正用の突起8aが予め一体的に備えられている。
【0057】
なお、アンバランス修正用ウエイト8bは、図20及び図21に、一点鎖線で示すように装着される。
【0058】
以上のように、フィンを備えたエンドリングに対しても、導体バーの先端部をテーパ状とすることにより、小型な摩擦攪拌接合装置を用いることができる。さらに、導体バーの先端部をテーパ状とすることにより、導体バーとエンドリングの嵌合時のアンバランスをなくすことができる。
【0059】
以上説明したように、各実施形態によれば、鋳巣の発生がなく、接合部は歪みがないので良好な回転子を得ることができる。
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、鋳巣の発生がなく、接合部は歪みがないので良好な回転子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第一の実施形態による誘導電動機の全体構成を示す上半分断面の正面図である。
【図2】 本発明の第一の実施形態による誘導電動機に用いられる回転子の構成を示す断面図である。
【図3】 本発明の第一の実施形態による誘導電動機に用いられる回転子の製造工程を説明する分解斜視図である。
【図4】本発明の第一の実施形態による誘導電動機に用いられる回転子の接合方法を示す斜視図である。
【図5】 本発明の第一の実施形態による誘導電動機に用いられる回転子の接合前の断面図である。
【図6】本発明の第一の実施形態による誘導電動機に用いられる回転子の接合前の側面図である。
【図7】本発明の第一の実施形態による誘導電動機に用いられる回転子の接合後の断面図である。
【図8】本発明の第一の実施形態による誘導電動機に用いられる回転子の接合前の他の側面図である。
【図9】本発明の第二の実施形態による誘導電動機に用いられる回転子の接合前の断面図である。
【図10】本発明の第二の実施形態による誘導電動機に用いられる回転子の接合前の側面図である。
【図11】本発明の第三の実施形態による誘導電動機に用いられる回転子の接合前の断面図である。
【図12】本発明の第三の実施形態による誘導電動機に用いられる回転子の接合前の側面図である。
【図13】本発明の第四の実施形態による誘導電動機に用いられる回転子の接合前の断面図である。
【図14】本発明の第四の実施形態による誘導電動機に用いられる回転子の接合前の側面図である。
【図15】本発明の第五の実施形態による誘導電動機に用いられる回転子の接合前の断面図である。
【図16】本発明の第六の実施形態による誘導電動機に用いられる回転子の接合前の断面図である。
【図17】本発明の第六の実施形態による誘導電動機に用いられる回転子の接合前の側面図である。
【図18】本発明の第七の実施形態による回転電機の全体構成を示す部分断面図である。
【図19】本発明の第七の実施形態による誘導電動機に用いられる回転子の接合前の断面図である。
【図20】本発明の第七の実施形態による誘導電動機に用いられる回転子の接合前の平面図である。
【図21】本発明の第七の実施形態による誘導電動機に用いられる回転子の接合前の側面図である。
【符号の説明】
1…ハウジング
1a…放熱フィン
2A,2B…エンドブラケット
3…固定子
3a…固定子鉄心
3b…固定子コイル
4A,4B…軸受
5…回転子
5a…回転子鉄心
6…回転軸
7a…導体バー
7b,7c…エンドリング
7d…かご形巻線孔
7e…エンドリングに設けたかご形巻線用孔
77…摩擦攪拌接合部
8…回転子フィン
8a…アンバランス修正用突起
8b…アンバランス修正用ウエイト
9…外ファン
10…エンドカバー
10a…開口
11…摩擦攪拌ツール

Claims (3)

  1. 固定子と、この固定子に対向して配置された回転子とを有し、
    この回転子は、複数の薄板を積層して形成される積層鉄心と、この積層鉄心の軸方向に形成された複数孔にそれぞれ挿通される複数の導体バーと、これらの導体バーの両端に設けられたエンドリングとから構成される回転電機において、
    上記エンドリングは円盤状であり、上記導体バーの先端が挿入される複数の孔を有し、
    上記導体バー材及びエンドリング、アルミニム製の材料で形成され
    上記導体バーの先端形状、その断面が先端に向かって一様に細るように形成され
    上記導体バーの先端は、上記導体バーの端部と上記エンドリングの端部が同一平面となるように、上記エンドリングの上記貫通穴に挿入され、
    上記導体バーの上記端部と上記エンドリングの上記端部は摩擦攪拌接合によって電気的及び機械的に接合され、上記導体バーの上記端部と上記エンドリングの上記端部との接合部には上記摩擦攪拌接合による塑性流動部が形成されていることを特徴とする回転電機。
  2. 請求項1記載の回転電機において、
    上記導体バーの先端形状を、その断面が先端に向かって細く勾配がつく形状としたことを特徴とする回転電機。
  3. 請求項1記載の回転電機において、
    上記導体バーが、上記エンドリングに挿通する先端形状を段付き形状とし、その断面が上記積層鉄心のスロットに挿通する部分に比して細くしたことを特徴とする回転電機。
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