JP3730523B2 - 車両用バックドアの挟み込み検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のバックドアによる異物の挟み込みを検出するための車両用バックドアの挟み込み検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ワゴンやバン、レクリエーションビークル等の車両において後部座席の乗降口(ゲート)開閉用として採用されているスライドドア装置では、モータ等の駆動力でドアパネルを開閉移動させる自動スライドドア装置を採用する傾向がある。
【0003】
また、このような自動スライドドア装置では、乗降口を閉じる方向へ移動するドアパネルと車体との間での異物の挟み込みを検出する挟み込み検出装置が取り付けられている。この種の挟み込み検出装置では、ドアパネルの閉移動方向側の端部に沿って配置された感圧センサを備えており、閉移動するドアパネルが乗降口の内周部との間で異物を挟み込んで異物を押圧すると、異物からの押圧反力を感圧センサが検出するようになっている。
【0004】
一方で、上述したような車両では、ラゲッジルームと乗員の乗車スペースとが分割されずに一体とされた構成が多く、このような車両では、車両上端部近傍にて略車幅方向を軸方向としてこの軸周りに回動するバックドアがリヤゲートに対応して設けられており、このバックドアを上下に回動させることでリヤゲートを開閉できるようになっている。
【0005】
このようなバックドア装置は、これまで手動によりバックドアの開閉操作が行なわれていたが、リヤゲートを開放した状態ではバックドアが車両の上方へ移動していることからリヤゲートを閉塞するための操作が面倒で、スライドドアと同様にモータ等の駆動力による自動的な開閉が切望されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上のようなバックドアの開閉操作の自動化に伴い、自動スライドドア装置のドアパネルによる異物の挟み込み検出に用いられてきた挟み込み検出装置を自動バックドア装置へ転用することも考えられている。
【0007】
しかしながら、スライドドア装置ではドアパネルが車両前後方向にスライドすることで乗降口を開閉するのに対して、バックドアは上下に回動する構成であり、開閉時の動作や異物挟み込みのメカニズムがスライドドアとは異なるため、バックドアに好適な挟み込み検出装置の開発が切望されていた。
【0008】
本発明は、上記事実を考慮して、車両のバックドアによる異物の挟み込みを確実に検出できる車両用バックドアの挟み込み検出装置を得ることが目的である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明は、車両のリヤゲートに対して回動することで前記リヤゲートに形成されたゲート部を開閉するバックドアが、前記ゲート部を閉塞する際に前記バックドアと前記リヤゲートとの間で挟み込まれた異物を検出する車両用バックドアの挟み込み検出装置であって、前記異物からの押圧力を検出するセンサ本体と、前記バックドアのインナパネルに固定された支持ブラケットに支持された取付部と、前記センサ本体を保持する保持部と、を含めて構成された感圧センサを備え、前記取付部を前記支持ブラケットに対して前記バックドアの幅方向に嵌め込み可能とし、前記支持ブラケットへの前記取付部の取付状態で、前記保持部に保持された前記センサ本体の中心が、前記取付部の支持中心に対して前記車両の室内側へオフセットされている、ことを特徴としている。
【0010】
上記構成の車両用バックドアの挟み込み検出装置では、バックドアのインナパネルに支持ブラケットが設けられており、この支持ブラケットに対してバックドアの幅方向から感圧センサの取付部が嵌め込まれ、これにより、取付部ひいては感圧センサが支持ブラケットに支持される。このように感圧センサが取り付けられたバックドアが回動することで車両のリヤゲートのゲート部が開閉される。
このようにバックドアが回動してゲート部を閉塞する際に、バックドアがリヤゲートとの間で異物が挟み込まれると、バックドアが異物を押圧した際の異物からの押圧反力(押圧力)がバックドアに設けられた感圧センサのセンサ本体に作用し、センサ本体によって異物からの押圧反力が検出される。このようにしてセンサ本体が異物からの押圧反力を検出することで、バックドアとリヤゲートとの間に異物が挟み込まれたことを検出でき、例えば、このような異物の挟み込み検出時にバックドアの回動を停止し、或いは、バックドアを反転させることでそれ以上の異物の挟み込みを防止できる。
【0011】
ところで、バックドアとリヤゲートとの間で挟み込まれた異物のうち、ゲート部の内側に位置する部分は、バックドアからの押圧力によりゲート部に対して閉塞時のバックドアの回動方向側へ入り込もうとするが、ゲート部の外側に位置する部分はリヤゲートに阻害されてゲート部に対して閉塞時のバックドアの回動方向側へ入り込むことができない。このため、異物はリヤゲートとの当接部分を中心に回動しようとする。これにより、異物はゲート部の内外方向、すなわち、バックドアの幅方向に対してゲート部の開口方向へ傾斜した状態で感圧センサに当接し、この当接方向から感圧センサに押圧反力が付与される。
【0012】
ここで、支持ブラケットに取付部(すなわち、感圧センサ)が支持された状態では、保持部に保持されたセンサ本体の中心が、取付部の支持中心に対して車両の室内側へオフセットされる。このため、センサ本体の中心周りの外力の検出範囲が、バックドアの幅方向内方に対して、車両の室内側に傾斜した仮想線を中心に両側へ所定角度だけ広がった範囲になる。このため、上記のようにバックドアの幅方向に対してゲート部の開口方向へ傾斜した状態で感圧センサに当接した異物からの押圧反力をより確実に検出できる。
【0013】
請求項2記載の本発明は、請求項1記載の挟み込み検出装置において、前記センサ本体よりも高剛性の硬質部と、前記センサ本体よりも低剛性で前記硬質部よりも前記バックドアの幅方向外側に設けられた柔軟部と、により前記センサ本体を被覆可能な筒状に前記保持部を形成し、且つ、前記硬質部と前記柔軟部との境界を前記センサ本体の中心よりも前記バックドアの幅方向内方側に設定した、ことを特徴としている。
【0014】
上記構成の車両用バックドアの挟み込み検出装置では、保持部が柔軟部と硬質部とにより筒状に形成され、その内側でセンサ本体が保持される。ところで、バックドアとリヤゲートとの間に挟み込まれた異物は、上記のようにゲート部の内側でゲート部の内外方向、すなわち、バックドアの幅方向に対してゲート部の開口方向へ傾斜した状態で感圧センサに当接する。
【0015】
ここで、柔軟部は硬質部よりも取付部側、すなわち、バックドアの幅方向外側に位置するように形成され、しかも、硬質部と柔軟部との境界がバックドアの幅方向に沿ったセンサ本体の中心よりもバックドアの幅方向内側に位置している。このため、上記のように傾斜した方向から異物が保持部に当接した際には、異物が確実に柔軟部に当接して柔軟部に押圧反力(押圧力)が付与されて柔軟部が容易に弾性変形する。これにより、センサ本体に押圧反力が伝えられ、異物の挟み込みを確実に検出できる。
【0016】
請求項3記載の本発明は、請求項1記載の車両用バックドアの挟み込み検出装置において、前記センサ本体よりも低剛性の柔軟部と、前記センサ本体よりも高剛性で、前記柔軟部よりも前記取付部側で前記柔軟部に一体に形成された硬質部と、により前記センサ本体を被覆可能な筒状に前記保持部を形成し、且つ、前記硬質部と前記柔軟部との合わせ方向に対して直交する方向に沿った前記硬質部の最大外幅寸法を、同方向に沿った前記柔軟部の最大外幅寸法よりも小さく設定した、ことを特徴としている。
【0017】
上記構成の車両用バックドアの挟み込み検出装置によれば、保持部は硬質部と柔軟部を含めて構成されており、この硬質部と柔軟部とによりセンサ本体が被覆されて保持される。
【0018】
ここで、硬質部は柔軟部よりも取付部側に設けられているため、柔軟部を介して取付部とは反対側から保持部手段に異物が触れると、異物からの押圧反力(押圧力)が柔軟部に作用する。柔軟部はセンサ本体よりも剛性が低いため、容易に弾性変形し、弾性変形することで柔軟部に作用した押圧反力がセンサ本体に作用し、これにより、早急に異物の挟み込みが検出される。
【0019】
また、硬質部はセンサ本体よりも剛性が高いため、柔軟部を介して押圧反力が付与されたセンサ本体が押圧反力の作用方向に変位しようとしても、硬質部によりセンサ本体が支持される。このため、センサ本体の変位が制限され、これにより、センサ本体に作用する押圧反力がセンサ本体の変位により軽減されることはない。このため、より一層早急に異物の挟み込みを検出できる。
【0020】
ここで、本挟み込み検出装置では、硬質部の柔軟部との合わせ方向に対して直交する方向に沿った最大外幅寸法が同方向に沿った柔軟部の最大外幅寸法よりも小さいため、異物が上記の合わせ方向に対して傾斜した方向から柔軟部に当接しても、硬質部が異物に干渉することはなく、異物から押圧反力によって確実に柔軟部が弾性変形し、押圧反力が確実にセンサ本体に作用する。
【0021】
【発明の実施の形態】
<第1の実施の形態の構成>
図4には、本発明の第1の実施の形態に係る挟み込み検出装置10を開閉機構としての自動バックドア装置12における移動体としてのバックドア14の異物挟み込み検出用として採用した車両16の斜視図が示されている。本挟み込み検出装置10の構成の説明に先立って、先ず、自動バックドア装置12の構成について簡単に説明する。
【0022】
図4に示されるように、本車両16の後端には、車両16の室内のうち、最後部の座席20の更に後方に設けられた荷室(ラゲッジルーム)22を車両16の室外と連通するようにゲート部としてのリヤゲート18が形成されており、このリヤゲート18を介して車両16の室外から荷物等をラゲッジルーム22内に搬入でき、また、ラゲッジルーム22から車両16の室外へ荷物等を搬出できるようになっている。
【0023】
なお、以下の説明において、バックドア14を基準に各部材、各部位の位置関係を説明する場合、特別に注釈がない限りリヤゲート18を全閉した状態でのバックドア14を基準とする(すなわち、バックドア14の室内側、室外側、前方、後方等は全て、リヤゲート18を全閉した状態でのバックドア14の室内側、室外側、前方、後方等を意味する)。
【0024】
また、図4に示されるように、車両16にはバックドア14がルーフパネル24に設けられた図示しないヒンジによって車両16の幅方向を軸方向としてこの軸周りに所定角度回動可能に取り付けられている。バックドア14はその外周形状がリヤゲート18における車両16の外周形状、及び、リヤゲート18の内周形状の少なくとも何れか一方に対応しているか、或いは、部分的にリヤゲート18における車両16の外周形状に対応し、他の部分ではリヤゲート18の内周形状に対応した形状とされており、回動半径外側が最も車両16の下方側まで回動した状態では、バックドア14がリヤゲート18を閉塞する。
【0025】
さらに、固定体としての車両16の両側壁26の後端部(すなわち、車両16の幅方向に沿ったリヤゲート18の端部の側方)には、それぞれガスダンパ28が設けられている。ガスダンパ28は概ね車両16の下方側へ向けて開口した略有底円筒状のシリンダ30と、このシリンダ30へ抜き差し自在に嵌挿されたピストン32と、により構成されている。シリンダ30の底部はバックドア14の上端側(すなわち、上述したヒンジとの連結部分)よりも下側で且つ幅方向両端側近傍へ車両16の幅方向を軸方向として回動自在に連結されている。
【0026】
一方、ピストン32はその先端部が側壁26の後端部に一体的に設けられたブラケット34へ車両16の幅方向を軸方向として回動自在に連結されている。ガスダンパ28はバックドア14が上方へ回動(すなわち、リヤゲート18を開放する方向へ回動)することによりバックドア14及びブラケット34(側壁26)との連結部分周りに回動しつつ、シリンダ30からピストン32が抜け出る。また、これに対して、バックドア14が下方へ回動(すなわち、リヤゲート18を閉塞する方向へ回動)することによりバックドア14及びブラケット34(側壁26)との連結部分周りに回動しつつ、シリンダ30内へピストン32が押し込められる。
【0027】
このように、バックドア14の回動に伴い、シリンダ30に対してピストン32が抜き差しされるが、シリンダ30内には空気や窒素等のガスが封入されているため、ピストン32の抜き差しに対してはシリンダ30内のガスが抵抗となる。このため、急激なピストン32の抜き差しはシリンダ30内のガスによって抑制され、これによって、急激なバックドア14の回動を規制している。
【0028】
また、ルーフパネル24とこのルーフパネル24の下方に設けられたルーフヘッドライニング(図示省略)との間には、駆動手段としてのバックドアモータ40(図5参照)が収容されている。このバックドアモータ40は、その駆動部分がギヤ等の減速手段並びにワイヤ、プーリ、連結ギヤ等の連結手段(何れも図示省略)を介してバックドア14へ機械的に連結されており、正転駆動することで上方(すなわち、リヤゲート18を開放する方向)へバックドア14を回動させると共に、逆転駆動することで上方(すなわち、リヤゲート18を閉塞する方向)へバックドア14を回動させる。
【0029】
さらに、図5に示されるように、バックドアモータ40は車両16に搭載されたバックドアモータ40制御用のドライバ42を介してバッテリー44へ電気的に接続されており、バッテリー44から給電されることで駆動するようになっている。また、バックドアモータ40は上記のドライバ42を介して制御手段としてのコンピュータ46へ電気的に接続されており、更に、このコンピュータ46を介して操作手段としてのバックドアスイッチ48へ電気的に接続されている。バックドアスイッチ48は車両16の運転席(図示省略)の近傍や後部座席20の近傍等に設けられており、バックドアスイッチ48を操作することでバックドアスイッチ48からの操作信号(電気信号)をコンピュータ46が受信すると、この操作信号に基づいてコンピュータ46がドライバ42を制御し、バックドアモータ40を正転駆動、逆転駆動、或いは停止させる。
【0030】
また、車両16のフロアパネル50内部(すなわち、フロアパネル50を構成するアウタパネルとインナパネルとの間)の後端近傍には、クローザアッセンブリを構成する駆動手段としてのクローザモータ52が配置されている。クローザアッセンブリはクローザモータ52のほかに一対のジャンクション54、56を備えている。図4に示されるように、ジャンクション54はフロアパネル50側に設けられており、ジャンクション56はバックドア14の回動半径外側端部に設けられている。これらのジャンクション54、56はバックドア14が下方へ回動してリヤゲート18を全閉する直前の状態で互いに接続されるように設けられている。
【0031】
図5に示されるように、ジャンクション54はコンピュータ46へ電気的に接続されており、ジャンクション54がジャンクション56へ接続された際の電気信号をコンピュータ46が受信すると、コンピュータ46はドライバ42を介してバックドアモータ40を停止させると共に、別のドライバ58を介してクローザモータ52を駆動させる。クローザモータ52の駆動力は、クローザアッセンブリを構成するウオームギヤ等の各種ギヤやラッチ等のロック手段を介してバックドア14を全閉位置まで移動させると共に、上記のラッチ等のロック手段によってバックドア14をロックする。
【0032】
すなわち、本車両16はバックドアモータ40及びクローザモータ52の駆動力により、バックドアスイッチ48の操作のみでバックドア14を回動させてリヤゲート18を自動的に開閉できる構成となっている。
【0033】
一方、図1に示されるように、上述した本車両16のバックドア14の側端部(車両16の幅方向に沿った方向の端部)近傍では、バックドア14が、相対的に車両16の室内側に位置するインナパネル80、及びインナパネル80の室外側に位置するアウタパネル82を含めて構成されている。アウタパネル82はその外周端近傍には袷部84が形成されている。袷部84はアウタパネル82の外周端近傍を折り返すことで形成されており、袷部84の間(折り返し部分の間)にインナパネル80の外周端近傍が挟み込まれた状態でインナパネル80とアウタパネル82とが固定されている。
【0034】
上述したように、袷部84ではアウタパネル82とインナパネル80とが薄い板状とされているが、バックドア14の幅方向中間部ではインナパネル80が車両16室内側へ屈曲されており、更に、この屈曲部分の車両室内側の端部からはインナパネル80が幅方向内方へ屈曲されている。インナパネル80のうち、車両16の室内側への屈曲部分の先端(室内側端部)から更に幅方向内方へ屈曲された部分は干渉部86とされており、バックドア14によるリヤゲート18の全閉状態では、側壁26に取り付けられたウエザストリップ88に干渉部86が干渉し、ウエザストリップ88が弾性変形しつつ干渉部86へ密着するようになっている。
【0035】
また、全閉状態では、上述したインナパネル80の車両16室内側へ屈曲した部分と側壁26との間に空間が形成され、この空間内に上述したガスダンパ28が収まるようにガスダンパ28の位置や側壁26、バックドア14の形状等が設定されている。
【0036】
さらに、図1に示されるように、袷部84の車両16室内側には、挟み込み検出装置10を構成する感圧センサ100が設けられている。この感圧センサ100は、断面円形で且つバックドア14の外周部に沿って長尺とされたセンサ本体102を備えている。センサ本体102は基本的に外皮部104と、電極としての4本の電極線106、108、110、112と、により構成されている。
【0037】
外皮部104は、ゴムや軟質の合成樹脂材等、絶縁性を有する弾性材によって長尺状に形成されており、その内部には断面十字形状の十字孔114が外皮部104の長手方向に沿って形成されている。図3に示されるように、十字孔114は外皮部104の長手方向に沿って外皮部104の中心周りに漸次変位しており、このため、十字孔114の四方の端部(十文字の各端部)は外皮部104の長手方向に沿って略螺旋形状に変位していることになる。
【0038】
一方、電極線106〜112は銅線等の導電性細線を縒り合わせることにより可撓性を有する長尺紐状に形成され、且つ、導電性ゴムに被服されている。これらの電極線106〜112は十字孔114の中央近傍で十字孔114を介して互いに離間し且つ十字孔114に沿って螺旋状に配置され、十字孔114の内周部へ一体的に固着されている。したがって、外皮部104が弾性変形することで電極線106〜112は撓み、特に、十字孔114が潰れる程度に外皮部104が弾性変形すれば、電極線106又は電極線110が電極線108又は電極線112と接触して導通する。また、外皮部104が復元すれば電極線106〜112もまた復元する。
【0039】
また、図6の回路図に示されるように、電極線106と電極線110及び電極線108と電極線112はそれぞれセンサ本体102の長手方向一端側で導通しており、電極線108と電極線110はセンサ本体102の長手方向他端側で抵抗116を介して電気的に接続されている。すなわち、本センサ本体102の電極線106〜112は十字孔114の内周部に沿って螺旋状に捩じれているものの、各々の長手方向中間部では基本的に接触、導通しておらず、電極線106、電極線110、抵抗116、電極線108、及び電極線112が直列に接続されていることになる。
【0040】
さらに、電極線106の長手方向一端はリード線118並びに他の電気的接続手段やセンサ本体102への給電制御を行なうセンサ用給電制御手段等を介してバッテリー44へ電気的に接続されている。
【0041】
これに対して電極線112の長手方向一端部はリード線120並びに他の電気的接続手段等を介してアースされているものの、このリード線118若しくは他の電気的接続手段には電流検出素子122が接続されており、センサ本体102を流れる(すなわち、上述した直列の回路を含んだ電気回路を流れる)電流をモニタしており、センサ本体102を流れる電流の電流値が所定の値から他の所定の値に変化すると、直接或いは間接的に接続されたコンピュータ46へ電気信号を送る。
【0042】
以上の点に関して更に詳細に説明すると、通常は、バッテリー44からセンサ本体102に給電されると、リード線118、電極線106、電極線110、抵抗116、電極線108、電極線112、及びリード線120には一定の電圧で電流が流れる。ここで、仮に、外皮部104に外側からの外力が作用して外皮部104が弾性変形すると、電極線106又は電極線110が電極線108又は電極線112と接触して導通して短絡する。この場合、電流は抵抗116を介さずに流れるため、例えば、一定の電圧でこの回路に電流を流していれば電流値が変化する。したがって、このときの電流値の変化を検知すれば外皮部104が押し潰されたか否か、すなわち、外皮部104に外力が作用したか否かを検出できる構成である。
【0043】
また、上述したように、電流検出素子122はコンピュータ46へ接続されており、電流検出素子122が回路中に所定値以上の電流が流れたこと、すなわち、電極線106又は電極線110が電極線108又は電極線112と接触して導通して短絡したことを電流検出素子122が検出した際の電気信号をコンピュータ46が受信すると、コンピュータ46はドライバ42、58を操作してバックドアモータ40及びクローザモータ52を正転駆動(すなわち、バックドア14を上昇させる方向へ駆動)させる。
【0044】
また、図1及び図2に示されるように、感圧センサ100は保持手段としてのプロテクタ130を備えている。このプロテクタ130はセンサ本体102の外皮部104よりも剛性が高いゴム材若しくは合成樹脂材により形成された硬質部132と、外皮部104よりも剛性が低いゴム材若しくは合成樹脂材により硬質部132へ一体に形成された柔軟部134と、によって構成された保持部としての筒部136を備えている。この筒部136は内周形状が全体的に略楕円形状若しくは略卵形状とされており、感圧センサ100がバックドア14の幅方向側端部に沿って設けられているのであれば短径方向がバックドア14の幅方向に沿うように形成されている(なお、仮に感圧センサ100をバックドア14の下端部に沿って設けるのであれば筒部136の短径方向はバックドア14の上下方向に沿う)。
【0045】
この筒部136内部の短径寸法はセンサ本体102の外径寸法(すなわち、外皮部104の外径寸法)に略等しく、センサ本体102は筒部136の内部に挿入されている。ここで、筒部136を構成する柔軟部134は硬質部132よりもバックドア14の幅方向外側に位置するように形成されており、しかも、硬質部132と柔軟部134との境界がバックドア14の幅方向に沿ったセンサ本体102の中心よりもバックドア14の幅方向内側に位置する。このため、バックドア14の幅方向外側から内側への方向に対してセンサ本体102の中心周りに傾斜した方向(例えば、図2の矢印A方向)から筒部136に外力が付与された場合であっても、この外力は筒部136の柔軟部134に作用することになる(すなわち、この外力を付与する物体は筒部136のうち、確実に柔軟部134に触れる)。
【0046】
また、プロテクタ130は、硬質部132と同一のゴム材若しくは合成樹脂材によって全体的に断面矩形で且つ筒部136の長手方向に沿って長尺の角棒状に形成された取付部138を備えている。取付部138は筒部136よりもバックドア14の幅方向内側で且つ筒部136よりも車両16室外側(バックドア14がリヤゲート18を閉塞した状態での車両16室外側)に変位して設けられている。
【0047】
筒部136の硬質部132と取付部138との間には硬質部132並びに取付部138と同一のゴム材若しくは合成樹脂材によって形成された連結部140が設けられており、この連結部140によって硬質部132と取付部138とが一体に連結されている。
【0048】
連結部140はその断面形状を概ね平行四辺形状とみなすことができ、四辺のうちバックドア14の幅方向に対向する一対の辺の一方が硬質部132との連結部分となり、他方が取付部138との連結部分となる。また、連結部140の取付部138との連結部分に対して硬質部132との連結部分は下方へのバックドア14の回動方向側に変位するように設定されており、これにより、後述する支持ブラケット146によるプロテクタ130の支持中心に対してセンサ本体102の中心が車両16の室内側へ距離Dだけオフセットされる。しかも、硬質部132との連結部分の幅、すなわち、連結部140の断面形状を平行四辺形とみなした場合の平行四辺形の四辺のうち、硬質部132との連結部分側の辺の長さは、筒部136の長径方向に沿った外径寸法よりも短い。
【0049】
さらに、図1及び図2に示されるように、硬質部132との連結部分の幅方向両端部のうち、少なくとも、車両16室内側(バックドア14がリヤゲート18を閉塞した状態での車両16室内側)の端部は、筒部136の外周部のうち最も車両16室内側に位置する部分よりも車両16室外側に位置するように連結部140が形成されている。
【0050】
一方、上述した取付部138には取付溝142が形成されている。この取付溝142は取付部138の連結部140とは反対側の端部で開口している。この取付溝142の互いに対向する内壁の少なくとも一方(本実施の形態では双方)からは、1乃至複数の挟持片144が突出形成されている。この取付溝142には、一端がインナパネル80に固定された板状の支持ブラケット146の他端が挿入される。この支持ブラケット146の他端は取付溝142の内側で挟持片144により弾性的に挟持されており、これにより、プロテクタ130が(すなわち、感圧センサ100が)支持ブラケット146を介してインナパネル80(すなわち、バックドア14)に固定されるようになっている。
【0051】
<第1の実施の形態の作用、効果>
次に、本実施の形態の作用並びに効果について説明する。
【0052】
バックドア14が車両16の上方へ回動してリヤゲート18を開放した状態で、バックドアスイッチ48を閉操作すると、コンピュータ46がドライバ42を操作してバックドアモータ40を逆転駆動させ、これにより、バックドア14が車両16の下方へ向けて回動する。
【0053】
次いで、バックドア14がリヤゲート18を全閉する直前の状態まで回動すると、ジャンクション54とジャンクション56とが接触して導通する。ジャンクション54、56が導通したとコンピュータ46が判定すると、コンピュータ46はドライバ42を操作してバックドアモータ40を停止させると共に、ドライバ58を操作してクローザモータ52を駆動させる。クローザモータ52はその駆動力でバックドア14を全閉位置まで回動させ、更に、ラッチ等のロック手段を作動させて全閉状態でバックドア14をロックする。
【0054】
このようにして、本実施の形態における自動バックドア装置12では、バックドアスイッチ48の操作のみでバックドア14の閉じ操作を行なうことができるため、例えば、バックドア14を閉じ操作する際に無理にバックドア14に手を掛けたりする必要がなく、容易にバックドア14の閉じ操作を行なえる。
【0055】
ところで、バックドア14を閉じ操作する際に、バックドア14の幅方向側端部と車両16の側壁26との間、より詳細に言うと、リヤゲート18を閉じる際のバックドア14の回動軌跡上で且つリヤゲート18の後方でリヤゲート18の内周部を跨いでその内外に亘り連続して異物150が存在すると、バックドア14が異物150を押圧して車両16の室内側に押し込もうとする。但し、異物150の一部はリヤゲート18の内周部よりも外側に位置するため、異物150はバックドア14の外周部近傍でバックドア14に当接したままの状態でリヤゲート18の内周部近傍で異物150が側壁26に当接し、これによって、バックドア14と側壁26とによる異物150の挟み込みが生じる。
【0056】
ここで、本実施の形態では、上述したように、バックドア14の袷部84の室内側側方には、感圧センサ100が配置されているため、バックドア14と側壁26とで異物150が挟み込まれそうになると、感圧センサ100の筒部136が異物150に当接する。筒部136に当接した状態の異物150が筒部136とは反対側で側壁26に当接して側壁26により支えられ、更に、この状態でバックドア14からの押圧力が付与されると、この押圧力に応じた異物150からの押圧反力が筒部136に付与される。但し、この押圧反力の向きや筒部136に対する異物150の当接位置は、異物150の形状により異なる。以下、異物150の形状や状態毎に異物150の挟み込み時における本挟み込み検出装置10の作用並びに効果について説明する。
【0057】
図7には、比較的長尺で、しかも、一部が充分にリヤゲート18の内方側に位置した異物150を挟み込んだ状態が示されている(以下、図7に示されるような挟み込み状態を第1の挟み込みパターンと称する)。
【0058】
この場合、異物150は先ず干渉部86に接触し、干渉部86により車両16の室内側へ押圧される。さらに、この状態で異物150が側壁26に当接するまで干渉部86に押圧されることで、干渉部86と側壁26とによる異物150の挟み込みが生じる。この挟み込み状態では、干渉部86からの押圧力が異物150に付与されるのみならず、異物150を介して干渉部86からの押圧力が側壁26にも付与されることから、側壁26からの押圧反力が異物150に作用し、結果的に異物150に対して煎断力が作用することになる。
【0059】
このような煎断力が作用した異物150はその長手方向が更に車両16の前後方向へ傾斜するように回動変位し、所定の位置まで異物150が回動変位すると、異物150が感圧センサ100の筒部136に当接する(図7図示状態)。この状態で更にバックドア14が下方(すなわち、リヤゲート18を閉じる方向)へ回動すると、筒部136が異物150を押圧し、これに応じた異物150からの押圧反力が筒部136に作用する。
【0060】
この第1の挟み込みパターンでは、図7に示されるように、バックドア14の幅方向に沿って筒部136の中心よりも外側で且つバックドア14に対する車両16室内外方向(換言すれば、リヤゲート18の開口方向)に沿った筒部136の中心よりも車両16室内側に位置した部分で異物150が筒部136に接触する。また、この場合の押圧反力の作用方向は、異物150の接触部位における法線方向内方(すなわち、概ね筒部136の中心方向)へ向く。
【0061】
ここで、本実施の形態では、筒部136が硬質部132と柔軟部134とにより構成されるが、柔軟部134は硬質部132よりもバックドア14の幅方向外側に位置するように形成され、且つ、硬質部132と柔軟部134との境界がバックドア14の幅方向に沿ったセンサ本体102の中心よりもバックドア14の幅方向内側に位置しているために、バックドア14の幅方向外側から内側への方向に対してセンサ本体102の中心周りに傾斜した方向から異物150が筒部136に当接しても異物150は確実に柔軟部134に当接する。
【0062】
しかも、支持ブラケット146に支持される取付部138に対して筒部136は車両16室内側にオフセットされ、且つ、取付部138の幅方向中心がセンサ本体102の中心に対して取付部138の幅方向中心がにオフセットされることで、センサ本体102の中心周りの外力検出範囲(すなわち、外力により容易に外皮部104が弾性変形する範囲)が、支持ブラケット146への取付部138の嵌め込み方向、すなわち、本実施の形態ではバックドア14の幅方向内方に対して、車両16室内側(平面視では車両16前方側)傾斜した仮想線を中心にしてセンサ本体102の中心周りに両側へ角度θ(図2参照)の広がりを持つ範囲となる。
【0063】
したがって、本感圧センサ100は、上記のような法線方向に沿った押圧反力により、柔軟部134が容易に弾性変形し、しかも、柔軟部を介して伝えられた押圧反力によって外皮部104が容易に弾性変形する。外皮部104が容易に弾性変形すると、外皮部104の内部に設けられた電極線106又は電極線110が電極線108又は電極線112と接触して導通して短絡する。この場合、電流は抵抗116を介さずに流れるため、電極線106〜112を含めて構成される電気回路を流れる電流の電流値が変化する。
【0064】
この電流値の変化は電流検出素子122により検出され、電流値の変化を検出した電流検出素子122からはコンピュータ46に対して検出信号(電気信号)が送られる。この検出信号を受けたコンピュータ46は、外皮部104が変形した、すなわち、異物150の挟み込みが生じたと判定してドライバ42、58を操作し、バックドアモータ40及びクローザモータ52を正転駆動(すなわち、バックドア14を上昇させる方向へ駆動)させる。これにより、異物150の挟み込みが解消される。
【0065】
一方、異物150が干渉部86に届かないくらい短い場合や、比較的長尺であっても異物150の長手方向が車両16の幅方向に対して車両16の前後方向に大きく傾斜し、且つ、干渉部86に接触するよりも先に側壁26に接触した状態で異物150が挟み込まれた場合、すなわち、図8に示されるような場合(以下、図8に示されるような挟み込み状態を第2の挟み込みパターンと称する)には、感圧センサ100の筒部136と側壁26の双方に接触した状態が挟み込み状態となる。
【0066】
したがって、このような場合、異物150に対してはバックドア14からの押圧力が筒部136を介して付与され、このときの異物150からの押圧反力によって筒部136並びにセンサ本体102の外皮部104が弾性変形する。但し、異物150に付与されたバックドア14からの押圧力は、異物150を介して側壁26に作用するため、異物150には側壁26からの押圧反力が作用し、結果的に異物150に対して煎断力が作用することになる。このような煎断力が作用した異物150はその長手方向が更に車両16の前後方向へ傾斜するように回動変位しつつ、当接している筒部136に対して押圧反力を付与する。
【0067】
このときの押圧反力の向きは、その異物150の向きにより異なるが、少なくとも、その長手方向が第1の挟み込みパターンの異物150の長手方向よりも車両16の前後方向に傾いているのであれば、押圧反力の作用方向は第1の挟み込みパターンよりも車両16の幅方向に傾斜した方向となる。また、このときの筒部136の異物150との接触部位は、第1の挟み込みパターンにおける接触部位よりも筒部136の中心周りにバックドア14の幅方向外側へ変位した位置になる。
【0068】
しかしながら、上述したように、本実施の形態において感圧センサ100の有効な外力の検出範囲は、バックドア14の幅方向内方に対して、車両16室内側へ傾斜した仮想線を中心にしてセンサ本体102の中心周りに両側へ角度θ(図2参照)の広がりを持つ範囲となるため、このような第2の挟み込みパターンの状態であっても異物150は確実に柔軟部134に当接して柔軟部134に押圧反力を付与し、更に、この押圧反力で確実に外皮部104が弾性変形させられる。これにより、第1の挟み込みパターンと同様に本挟み込み検出装置10が確実に異物150の挟み込みを検出して異物150の挟み込みを解消できる。
【0069】
一方、図9に示されるように、第1及び第2の挟み込みパターンにおける異物150よりも幅寸法が大きな異物150の場合にも、基本的には第1の挟み込みパターンと同様に、異物150は先ず干渉部86に接触し、干渉部86により車両16の室内側へ押圧される。さらに、この状態で異物150が側壁26に当接するまで干渉部86に押圧されることで、干渉部86と側壁26とによる異物150の挟み込みが生じる(以下、図9に示されるような挟み込み状態を第3の挟み込みパターンと称する)。
【0070】
この第3の挟み込みパターンでも異物150には干渉部86からの押圧力と側壁26からの押圧反力が異物150に作用し、結果的に異物150に対して煎断力が作用する。但し、第1の挟み込みパターンでは異物150の幅寸法が小さいことから、感圧センサ100の筒部136が充分に側壁26へ接近した状態で筒部136に異物150が当接することになるため、筒部136と異物150との接触部位は、異物150と側壁26との接触部位よりも異物150の長手方向一端側(すなわち、干渉部86との接触部位側)となる。このため、干渉部86からの押圧力並びに側壁26からの押圧反力を受けた異物150はその長手方向他端側で側壁26から離間する方向(図9の右周り方向)へ回転しようとする。
【0071】
これに対して、第3の異物150の幅寸法が大きいことから、感圧センサ100の筒部136が側壁26に充分に接近する以前に筒部136に異物150が当接することになるため、筒部136と異物150との接触部位は、異物150と側壁26との接触部位よりも異物150の長手方向他端端側となる。このため、異物150の長手方向他端側(すなわち、筒部136との接触部分側)では筒部136を介したバックドア14からの押圧力で側壁26へ接近する方向へ回転しようとする。
【0072】
このように、この第3の挟み込みパターンは異物150の幅寸法が大きいことから、挟み込み状態での異物150の挙動が第1及び第2の挟み込みパターンとは異なるが、この第3の挟み込みパターンであっても、異物150と筒部136との接触部位はバックドア14の幅方向に沿って筒部136の中心よりも外側で且つバックドア14に対する車両16室内外方向に沿った筒部136の中心よりも車両16室内側に位置した部分となり、また、異物150から筒部136に付与される押圧反力の作用方向は、異物150の接触部位における法線方向内方(すなわち、概ね筒部136の中心方向)へ向くことになる。このため、挟み込み検出装置10の作用、効果に関して言えば、基本的に第1の挟み込みパターンと同様の作用を奏し、同様の効果を得ることができる。
【0073】
これに対して、異物150の幅寸法が大きくても異物150が干渉部86に押圧されない場合には、図10に示されるように、筒部136と側壁26との間で異物150の挟み込みが生じ、更に、この場合には異物150の長手方向が充分にバックドア14の幅方向へ傾斜することになる(以下、図10に示されるような挟み込み状態を第4の挟み込みパターンと称する)。
【0074】
ところで、図10に示されるように、第4の挟み込みパターンのように、異物150の長手方向が充分にバックドア14の幅方向へ傾斜した場合には、筒部136の異物150との接触部位が第1乃至第3の挟み込みパターンに比べてセンサ本体102の中心周りに車両16の室内側へ回転変位した位置(すなわち、筒部136の外周部のうち、最も車両16の室内側に位置する部分よりも極僅かにバックドア14の幅方向外側へ変位した位置)となる。したがって、この場合には筒部136の異物150との接触部分における法線方向は車両16の後方に極めて近い方向となる。ほとんど、車両16の前方側から押圧反力が筒部136に作用することになる。
【0075】
ここで、柔軟部134と硬質部132との境界はバックドア14の幅方向に沿ったセンサ本体102の中心よりもバックドア14の幅方向内側に位置しているために、異物150は確実に柔軟部134に当接して柔軟部134に押圧反力を付与する。しかも、連結部140の形状は略平行四辺形とされ、連結部140と硬質部132との連結部分側に対して連結部140と取付部138との連結部分側が車両16室外側(車両16後方側)に漸次変位し、且つ、取付部138自体が筒部136に対して車両16室外側(車両16後方側)にオフセットされているため、筒部136(柔軟部134)に異物150が当接する際に連結部140や取付部138が異物150に干渉することはなく、確実に柔軟部134に異物150が当接し、柔軟部134に押圧反力を付与する。このため、この第4の挟み込みパターンであっても、基本的には第1乃至第3の挟み込みパターンと同様の作用を奏し、同様の効果を得ることができる。
【0076】
このように、本実施の形態の挟み込み検出装置10では、上記のように、バックドア14の幅方向内方に対して、車両16室内側(平面視では車両16前方側)傾斜した仮想線を中心にしてセンサ本体102の中心周りに両側へ角度θの広がりを感圧センサ100の検出範囲を持たせることができるため、バックドア14における異物150の挟み込みを確実に検出できる。
【0077】
<第2の実施の形態の構成>
次に、本発明のその他の実施の形態について説明する。なお、以下の各実施の形態を説明するにあたり、上述した第1の実施の形態を含めて説明している実施の形態よりも前出の実施の形態と基本的に同一の部位に関しては同一の符号を付与してその説明を省略する。
【0078】
図11には、本発明の第2の実施の形態に係る挟み込み検出装置160を採用した車両16の要部の構成が示されている。
【0079】
この図に示されるように、本実施の形態おける挟み込み検出装置160は、バックドア14に設けた感圧センサ100の他にリヤゲート18の内周部に沿って車両16の側壁26に感圧センサ162が設けられている。
【0080】
感圧センサ162はセンサ本体102に関しては感圧センサ100と同じ構成であるが、プロテクタ130に代わり保持手段としてのプロテクタ164を備えている。
【0081】
プロテクタ164は保持部としての筒部166を備えている。この筒部166もまた筒部136と同様に硬質部132と柔軟部134とによって構成されている。但し、この筒部166は筒部136とは異なり、その長径方向が概ね車両16の幅方向に沿うように形成されていると共に、柔軟部134が硬質部132よりも車両16の後方側に位置するように形成されている。
【0082】
しかも、硬質部132と柔軟部134との境界が車両16の前後方向に沿ったセンサ本体102の中心よりも前方側で且つ車両16の側壁26の後端部よりも車両16の後方側に位置する。このため、車両16の前方に対してセンサ本体102の中心周りに傾斜した方向からの外力が筒部166に付与された場合であっても、この外力は筒部166の柔軟部134に作用することになる(すなわち、この外力を付与する物体は筒部166のうち、確実に柔軟部134に触れる)。
【0083】
また、硬質部132の前方(車両16の前方)側で且つ筒部166よりも車両16の幅方向外側には取付部168が設けられている。この取付部168の構成は基本的に取付部138の構成と同じで取付溝142及び挟持片144が形成されているが、取付部138とは異なり取付溝142が略車両16前方側へ向けて開口している(すなわち、取付溝142の開口方向が筒部136、166とは反対側という点に関して言えば取付部138と取付部168とは同じ構成である)。したがって、図11に示されるように、本実施の形態では、一端が側壁26に固定された板状の支持ブラケット146の他端側が車両16の前方側から取付溝142に入り込んだ状態で挟持片144に挟持されている。
【0084】
また、筒部166の硬質部132と取付部168との間には連結部170が設けられており、この連結部170によって硬質部132と取付部168とが一体に連結されている。連結部170もまた連結部140と同様にその断面形状を概ね平行四辺形状とみなすことができ、四辺のうち車両16の前後方向に対向する一対の辺の一方が硬質部132との連結部分となり、他方が取付部168との連結部分となる。
【0085】
さらに、連結部170の取付部168との連結部分に対して硬質部132との連結部分は車両16の幅方向内側へ変位しており、しかも、硬質部132との連結部分の幅、すなわち、連結部170の断面形状を平行四辺形とみなした場合の平行四辺形の四辺のうち、硬質部132との連結部分側の辺の長さは、筒部166の長径方向に沿った外径寸法よりも短い。さらに、図11に示されるように、硬質部132との連結部分の幅方向両端部のうち、少なくとも、車両16の幅方向内方側の端部は、筒部166の外周部のうち最も車両16の幅方向内側に位置する部分よりも車両16の幅方向外側に位置するように連結部170が形成されている。
【0086】
<第2の実施の形態の作用、効果>
上記構成の本実施の形態では、バックドア14に設けられた感圧センサ100の他に、車両16の側壁26に感圧センサ162が設けられている。このため、バックドア14と側壁26とで異物150を挟み込むと、筒部166には異物150に付与されたバックドア14からの押圧力が、異物150を介して間接的に筒部166に付与される。
【0088】
また、バックドア14が側壁26とで異物150を挟み込もうとした場合には、前記第1の実施の形態と同様に、異物150のうちリヤゲート18よりも内側部分ではバックドア14により車両16の室内側に押圧されて車両16の室内側に入り込もうとするが、異物150のうちリヤゲート18よりも外側部分は側壁26に阻害されて車両16の室内に入り込めない。このため、バックドア14からの押圧力を受けた異物150は側壁26に当接した部分を中心に回動しようとする。このように異物150が回動することで車両16の後方側からに対して車両16の幅方向内側に傾斜した方向から異物150が筒部166に当接して筒部166を押圧する。
【0089】
ここで、筒部166に対する押圧力の作用方向は、異物150の接触部位における法線方向内方(すなわち、概ね筒部166の中心方向)へ向く。また、筒部166が硬質部132と柔軟部134とにより構成されるが、柔軟部134は硬質部132よりもバックドア14の幅方向外側に位置するように形成され、且つ、硬質部132と柔軟部134との境界がバックドア14の幅方向に沿ったセンサ本体102の中心よりもバックドア14の幅方向内側に位置しているため、バックドア14の幅方向外側から内側への方向に対してセンサ本体102の中心周りに傾斜した方向から異物150が筒部166に当接しても異物150は確実に柔軟部134に当接する。
【0090】
しかも、支持ブラケット146に支持される取付部168に対して筒部166は車両16室内側にオフセットされ、且つ、取付部168の幅方向中心がセンサ本体102の中心に対して取付部168の幅方向中心がオフセットされることで、センサ本体102の中心周りの外力検出範囲(すなわち、外力により容易に外皮部104が弾性変形する範囲)が、支持ブラケット146への取付部168の嵌め込み方向に対して、車両16の幅方向内方へセンサ本体102の中心周り両方向へ広がりを持つ。
【0091】
このため、感圧センサ162は、上記のような法線方向に沿った押圧力により柔軟部134が容易に弾性変形し、しかも、柔軟部134を介して伝えられた押圧力によって外皮部104が容易に弾性変形して異物150の挟み込みを確実に検出でき、異物150の挟み込みを解消できる。
【0093】
なお、上記の各実施の形態では、外皮部104の内側で4本の電極線106〜112を十字孔114に沿って螺旋状に設けた構成のセンサ本体102を適用した構成であったが、センサ本体の構成はこれに限るものではない。すなわち、異物150からのセンサ本体の中心から押圧反力若しくは押圧力の作用方向とは反対方向へ向いた仮想線に対しセンサ本体の中心周りの両方側に所定範囲の検出範囲を有する構成であればよく、センサ本体の構成は電極の数や外皮部の構成等に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態に係る車両用バックドアの挟み込み検出装置の要部の構成を示す車両の拡大断面図である。
【図2】 感圧センサの拡大断面図である。
【図3】 センサ本体を一部破断した斜視図である。
【図4】 バックドアを開放した状態を示す車両の後方からの斜視図である。
【図5】 挟み込み検出装置並びに自動バックドア装置の概略的な構成を示すシステムブロック図である。
【図6】 感圧センサを含む概略的な回路図である。
【図7】 第1の挟み込みパターンを示す図1に対応した断面図である。
【図8】 第2の挟み込みパターンを示す図1に対応した断面図である。
【図9】 第3の挟み込みパターンを示す図1に対応した断面図である。
【図10】 第4の挟み込みパターンを示す図1に対応した断面図である。
【図11】 本発明の第2の実施の形態に係る車両用バックドアの挟み込み検出装置の要部の構成を示す車両の拡大断面図である。
【符号の説明】
10 車両用バックドアの挟み込み検出装置
14 バックドア
18 リヤゲート(ゲート部)
26 側壁
100 感圧センサ
102 センサ本体
132 硬質部
134 柔軟部
136 筒部(保持部)
138 取付部
146 支持ブラケット
160 車両用バックドアの挟み込み検出装置
Claims (3)
- 車両のリヤゲートに対して回動することで前記リヤゲートに形成されたゲート部を開閉するバックドアが、前記ゲート部を閉塞する際に前記バックドアと前記リヤゲートとの間で挟み込まれた異物を検出する車両用バックドアの挟み込み検出装置であって、
前記異物からの押圧力を検出するセンサ本体と、
前記バックドアのインナパネルに固定された支持ブラケットに支持された取付部と、
前記センサ本体を保持する保持部と、
を含めて構成された感圧センサを備え、
前記取付部を前記支持ブラケットに対して前記バックドアの幅方向に嵌め込み可能とし、前記支持ブラケットへの前記取付部の取付状態で、前記保持部に保持された前記センサ本体の中心が、前記取付部の支持中心に対して前記車両の室内側へオフセットされている、
ことを特徴とする車両用バックドアの挟み込み検出装置。 - 前記センサ本体よりも高剛性の硬質部と、
前記センサ本体よりも低剛性で前記硬質部よりも前記バックドアの幅方向外側に設けられた柔軟部と、
により前記センサ本体を被覆可能な筒状に前記保持部を形成し、且つ、前記硬質部と前記柔軟部との境界を前記センサ本体の中心よりも前記バックドアの幅方向内方側に設定した、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用バックドアの挟み込み検出装置。 - 前記センサ本体よりも低剛性の柔軟部と、
前記センサ本体よりも高剛性で、前記柔軟部よりも前記取付部側で前記柔軟部に一体に形成された硬質部と、
により前記センサ本体を被覆可能な筒状に前記保持部を形成し、且つ、前記硬質部と前記柔軟部との合わせ方向に対して直交する方向に沿った前記硬質部の最大外幅寸法を、同方向に沿った前記柔軟部の最大外幅寸法よりも小さく設定した、
ことを特徴とする請求項1記載の車両用バックドアの挟み込み検出装置。
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