JP3730100B2 - 熱型赤外線検出素子およびこれを用いた撮像装置 - Google Patents

熱型赤外線検出素子およびこれを用いた撮像装置 Download PDF

Info

Publication number
JP3730100B2
JP3730100B2 JP2000261655A JP2000261655A JP3730100B2 JP 3730100 B2 JP3730100 B2 JP 3730100B2 JP 2000261655 A JP2000261655 A JP 2000261655A JP 2000261655 A JP2000261655 A JP 2000261655A JP 3730100 B2 JP3730100 B2 JP 3730100B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
infrared
refractive index
thermal
high refractive
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2000261655A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001153722A (ja
Inventor
治彦 出口
稔彦 福島
智久 薦田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sharp Corp filed Critical Sharp Corp
Priority to JP2000261655A priority Critical patent/JP3730100B2/ja
Priority to GB0022696A priority patent/GB2359192B/en
Priority to US09/662,631 priority patent/US6489614B1/en
Publication of JP2001153722A publication Critical patent/JP2001153722A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3730100B2 publication Critical patent/JP3730100B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Radiation Pyrometers (AREA)
  • Solid State Image Pick-Up Elements (AREA)
  • Transforming Light Signals Into Electric Signals (AREA)
  • Photometry And Measurement Of Optical Pulse Characteristics (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱型赤外線検出素子およびこれを用いた撮像装置に関するものであり、特に、赤外線吸収率が高く、検出感度のバラツキが小さい熱型赤外線検出素子およびこれを用いた撮像装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、赤外線を検出する赤外線検出素子に適用されている赤外線の検出方法には、数多くの方式が存在し、それぞれの方式には、相異なる赤外線の検出原理が用いられている。中でも、感度がよく、応答が速いことから、赤外線輻射エネルギーを半導体のバンドギャップを利用して電気信号に変換する方式、すなわち赤外線輻射エネルギーの光量子効果を捉える方式を採用した量子型赤外線検出素子が一般的に使用されてきた。
【0003】
ところが、この量子型赤外線検出素子は、上記の利点を有するものの、使用できる波長範囲が狭く、長波長の赤外線のように赤外線輻射エネルギーが非常に小さい赤外線を検出するには、赤外線の検出に用いられる半導体材料を極低温に冷却維持する必要がある。たとえば、上記量子型赤外線検出素子では、液体窒素を用いて、約77K前後、すなわち約−196℃付近の温度域に維持される必要が生じる。そのため、赤外線検出装置そのものの取扱性が煩雑になる上、冷却手段が液体窒素などを用いているため、装置の小型化も困難となっていた。
【0004】
また、他の赤外線の検出原理を適用した赤外線検出素子としては、赤外線輻射エネルギーを熱に変化させることにより赤外線を検出する熱型赤外線検出素子が挙げられる。この熱型赤外線検出素子は、検出材料に吸収された赤外線輻射エネルギーを熱に変化させることによって該検出材料の温度を上昇させ、この温度上昇によって得られる該検出材料の物理的性質(電気抵抗や焦電性など)の変化を検出するものである。
【0005】
そのため、熱型赤外線検出素子では、量子型赤外線検出素子のように、赤外線の検出に用いられる半導体材料を上記のような非常に低い温度域に維持する必要がない。それゆえ、常温での使用が可能になるとともに、冷却手段が必要ないために装置の小型化も図ることができるので、近年、実用性が高いものとして注目されている。
【0006】
ここで、上記熱型赤外線検出素子では、検出対象物によっては、得られる温度上昇値が0.01℃以下と非常に小さく、赤外線の検出が困難になる場合がある。そのため、上記熱型赤外線検出素子では、赤外線の検出感度を向上させるために、赤外線吸収率のより大きい構造を採用することによって少しでも温度上昇値を大きくさせ、赤外線の検出感度を上昇させるようにしている。
【0007】
このような問題点を解消するために、上記熱型赤外線検出素子では、一般に、赤外線を感知するダイアフラム構造体と、該ダイアフラム構造体と配線金属によって電気的に接続された集積回路が形成された半導体基板とが所定の空間を有して分離してなるダイアフラム構造が採用されている。この構成では、赤外線を感知する赤外線受光部と、集積回路が形成された半導体基板との断熱性が高まるため、高感度で赤外線を検出することができる。
【0008】
さらに、上記ダイアフラム構造の熱型赤外線検出素子では、より高い赤外線吸収率を得るために、通常、▲1▼高効率で赤外線を吸収する材料を選択する手法か、▲2▼赤外線の多重反射を利用する手法の何れか一方の手法が採用される。上記▲1▼の手法では、ダイアフラム構造の表面に赤外線吸収率が高い材料からなる薄膜(赤外線吸収膜)を形成する構成aが採用される。これに対して、上記▲2▼の手法では、構成aに加えて、ダイアフラム構造の下層の半導体基板上に赤外線反射膜を形成する構成bが採用される。
【0009】
上記▲1▼の手法を採用した熱型赤外線検出素子は、図9(a)・(b)に示すように、表面に集積回路(図示せず)が形成された半導体基板108上にダイアフラム構造体101aが所定の空間を形成するように配置され、さらに、ダイアフラム構造体101aの表面に赤外線吸収膜107a(構成a)を備えてなっている。
【0010】
一方、上記▲2▼の手法を採用した熱型赤外線検出素子は、図10(a)・(b)に示すように、基本的には、図9(a)・(b)に示す熱型赤外線検出素子と同様の構成であるが、さらに半導体基板108の表面に赤外線反射膜106(構成b)を備えてなっている。
【0011】
上記各熱型赤外線検出素子の構成の概要を説明すると、まず、ダイアフラム構造体101aまたは101bは、所定の形状にパターニングされた第2の酸化シリコン膜102上に熱抵抗変化膜103と配線金属膜104とが形成され、これらを覆うようにして第3の酸化シリコン膜105が形成されてなっている。そして、▲1▼および▲2▼の何れの手法を用いた場合であっても、さらに上記第3の酸化シリコン膜105上に、上記構成aとして、高い赤外線吸収率を有する材料からなる赤外線吸収膜107aまたは107bが形成されている。
【0012】
一方、図示しない集積回路をその表面に形成してなる半導体基板108上には第1の酸化シリコン膜109が形成されている。ここで▲2▼の手法を用いた場合には、さらに、上記構成bとして、上記第1の酸化シリコン膜109上であり、かつダイアフラム構造体101bの形状に対応する領域に、赤外線をほぼ完全に反射することが可能な材質からなる赤外線反射膜106が形成されている。なお、ダイアフラム構造体101aおよび101bの何れも、図9(a)および図10(a)に示すように、配線金属膜104を含む脚部110によって支持されるとともに、半導体基板108に電気的に接続されている。
【0013】
上記各構成の熱型赤外線検出素子では、ダイアフラム構造体101aまたは101bの上部から入射した光は上記赤外線吸収膜107aまたは107bに照射される。このとき、▲1▼の手法の場合では、赤外線吸収膜107aの膜厚を十分に厚くすることにより、ほぼ完全に赤外線を吸収することができる。
【0014】
一方、▲2▼の手法の場合では、該赤外線の一部は赤外線吸収膜107bにより反射し、一部は該赤外線吸収膜107bを透過し、残りは該赤外線吸収膜107bの電気抵抗によってジュール熱として吸収される。そして上記赤外線吸収膜107bを透過した赤外線は、ダイアフラム構造体101bを透過して赤外線反射膜106に到達する。この赤外線反射膜106では、赤外線は位相がπずれた状態でほとんど全てダイアフラム構造体101b側に反射される。この反射された赤外線は、上記と同じくダイアフラム構造体101bを透過して最上面の赤外線吸収膜107bにおいて再び反射・透過・吸収される。
【0015】
このように、ダイアフラム構造体101bに入射された赤外線は、該ダイアフラム構造体101b内で多重反射されて外部には漏れることがないので、熱型赤外線検出素子における赤外線吸収率を向上させることができる。
【0016】
このようなダイアフラム構造体101bを用いた具体的な技術としては、たとえば特開平10−111178号公報の技術が挙げられる。この技術では、赤外線吸収膜の下方に、所定膜厚の中間膜を1枚以上介して反射膜を形成することで、赤外線吸収膜と反射膜とを所定間隔で隔てるようにしている。しかもこの技術では、上記所定間隔をdとした場合、d=(2N−1)×λ/(4n)に設定している。ここでNは正の整数であり、λは検知された赤外線の波長であり、nは上記所定膜厚の膜の屈折率である。
【0017】
このような構成とすることによって、反射膜と赤外線吸収膜との間隔を一定間隔に保つことができるとともに、上記中間膜の屈折率を大きくすれば所定間隔をより小さくできることになるので、ダイアフラム構造体101bを薄くして感度を上昇させることができる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記▲1▼の手法の熱型赤外線検出素子では、その構造やその製造プロセスが複雑となって歩留りが低下したり製造コストが上昇するなどの問題点が発生する上に、素子の体積が大きくなって熱容量が増加してしまうため、応答速度が低下するという問題点を招来している。その結果、上記熱型赤外線検出素子を用いてたとえば赤外線撮像素子を製造しても、該赤外線撮像素子の性能が低下してしまう。
【0019】
具体的には、上記▲1▼の手法では、構成aである赤外線吸収膜107aは、金ブラックや有機物などの高効率で赤外線を吸収する材料を用いて形成されることになるが、これら材料は薄膜形成することが非常に難しい。さらに上記材料を用いて80%以上の赤外線吸収率を有する赤外線吸収膜107aを得るためには、該材料を薄膜化したとしても、少なくとも数μm程度の厚さが必要となる。そのため、赤外線検出素子の熱容量が非常に大きくなって応答速度が低下してしまう。したがって、上記▲1▼の手法を採用した熱型赤外線検出素子を用いた赤外線撮像素子では、高速な撮影が困難となるため、ほとんど使用されることがない。
【0020】
一方、上記▲2▼の手法では、構成bを備えることでダイアフラム構造体101b内で多重反射が生じるので、赤外線が該ダイアフラム構造体101bから漏れ出すことが回避される。それゆえ、構成aにおける赤外線吸収膜107bの膜厚を数百nmまで薄くして、熱容量を小さくすることが可能である。さらに、構成aを有するダイアフラム構造体101bと構成bを有する半導体基板108との空間の間隔を、吸収される赤外線波長の1/4とし、かつ構成aの赤外線吸収膜107bのシート抵抗を377Ωとすれば、理論上100%近くの赤外線吸収率を得ることができる。
【0021】
ところが、赤外線吸収膜107bにおける赤外線の吸収原理上、赤外線吸収率は上記赤外線吸収膜107b(構成a)と赤外線反射膜106(構成b)との間隔に影響を受けるため、これら各薄膜間の間隔の制御が重要となる。しかしながら薄膜の応力は、該薄膜の膜厚の制御に比較しても非常に困難である。それゆえ、所望の膜厚の薄膜を形成できたとしても、上記ダイアフラム構造体101bには容易に反りが発生してしまい、上記間隔にバラツキが発生するため赤外線吸収率が設計値よりも低下してしまう。その結果、赤外線の吸収波長帯域が通常用いられる8〜12μmである場合、理論上100%の赤外線吸収率が実現できるはずであっても、平均的な赤外線吸収率は80%程度にまで低下してしまう。
【0022】
その上、上記間隔のバラツキ現象はチップのマトリクス内でランダムに発生するため、上記▲2▼の手法を採用した熱型赤外線検出素子を用いてなる赤外線撮像素子では、画像品質に関わる面内角度バラツキにも対処しなければならなくなるという問題点を招来している。
【0023】
さらに、上記特開平10−111178号公報の技術では、赤外線吸収膜と反射膜とを所定間隔dとするために中間膜を1枚以上形成しているので、反射膜と赤外線吸収膜との間隔を一定間隔に保つことは可能となる。ところが、赤外線吸収膜・反射膜・中間膜の少なくとも3種類の膜を形成しなければならない上に、上述したように各膜の膜厚を十分に制御する必要が生じる。そのため、やはり製造工程数が増加する上に、製造コストも上昇するという問題点を招来する。
【0024】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、製造プロセスにおいて大幅な工程増を伴うことなしに、ダイアフラム構造の熱容量が小さく、かつ赤外線吸収率が大きく、さらにその感度バラツキが小さい熱型赤外線検出素子と、この熱型赤外線検出素子を用いて得られる撮像装置とを提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる熱型赤外線検出素子は、上記の課題を解決するために、高屈折率膜を備えるダイアフラム構造体を有している熱型赤外線検出素子において、上記ダイアフラム構造体が、さらに、高屈折率膜の下層に形成される赤外線反射膜を備えており、上記高屈折率膜では、その屈折率をnとし、その厚さをdとし、吸収される赤外線の波長をλとした場合に、次式、
d=λ×{1/(4×n)}
が略成立していることを特徴としている。
【0026】
上記構成によれば、ダイアフラム構造を採用することによって、熱コンダクタンスが小さい状態となっている上に、ダイアフラム構造体内において上記式が略成立している。そのため、ダイアフラム構造体から赤外線によるジュール熱が逃げない上に、ダイアフラム構造体の表面での赤外線の反射は干渉作用によって打ち消されることになり、赤外線がダイアフラム構造体の外へ漏れることがない。しかも、上記干渉作用において重要な高屈折率膜と反射膜との間隔は、高屈折率膜の膜厚で制御できるため、該間隔にバラツキが発生することがない。
【0027】
そのため、従来よりも非常に高い赤外線吸収率を得ることができる上に、赤外線吸収率のバラツキ、すなわち熱型赤外線検出素子における感度バラツキの発生が防止される。さらに、高屈折率膜を用いているのでダイアフラム構造体の厚さを非常に薄くすることができ、熱型赤外線検出素子の熱容量の増大を回避することが可能になる。つまり、従来に比べてダイアフラム構造体の熱容量を大幅に低減することができる。その結果、従来よりも感度に優れ、かつ応答速度の速い素子を得ることができる。
【0028】
さらに、上記構成では、赤外線吸収膜を形成する必要がない上に、赤外線吸収効率を上昇させるためには、構造的には、高屈折率膜の膜厚を制御するのみでよい。そのため、製造プロセスに対して工程増を伴わなず、逆に赤外線吸収膜を形成しなくてよいことから製造プロセスを簡略化することができ、製造コストの増大を回避して製造コストをより低くすることができる。それゆえ、優れた性能を有する熱型赤外線検出素子をより安価に提供することができる。
【0029】
本発明にかかる熱型赤外線検出素子は、上記構成に加えて、上記ダイアフラム構造体が、さらに、温度の変化によって電気伝導性が変化する熱抵抗変化膜と、該熱抵抗変化膜と電気的に接続されている配線金属膜とを有していることを特徴としている。
【0030】
上記構成によれば、高屈折率膜による赤外線吸収機能による温度上昇により、上記熱抵抗変化膜の電気伝導性が変化してその抵抗値も変化する。その結果、高屈折率膜により吸収された赤外線は、熱抵抗変化膜と電気的に接続されている配線金属膜を介して電気的な信号に変換されて効率的に検出されることになるので、赤外線をより一層確実に検出することができる。
【0031】
本発明にかかる熱型赤外線検出素子は、上記構成に加えて、上記赤外線反射膜と上記熱抵抗変化膜との間に絶縁層が配置されていることを特徴としている。
【0032】
上記構成によれば、上記赤外線反射膜と上記熱抵抗変化膜との間に絶縁層が介在しているので、熱抵抗変化膜を加熱するための熱が、熱伝導性の高い赤外線反射膜を介して逃げてしまうことが防止される。そのため、効率的に熱抵抗変化膜を加熱することが可能になり、その結果、熱型赤外線検出素子の感度をより向上させることができる。
【0033】
本発明にかかる熱型赤外線検出素子は、上記構成に加えて、上記高屈折率膜と赤外線反射膜との間に、少なくとも上記熱抵抗変化膜が配置されていることを特徴としている。
【0034】
上記構成によれば、赤外線吸収機能により熱を発生する高屈折率膜と熱抵抗変化膜とがより近い配置となっているので、高屈折率膜からの熱が、熱抵抗変化膜に到達する前に赤外線反射膜を介して逃げてしまうことが防止される。そのため、効率的に熱抵抗変化膜を加熱することが可能になり、これに伴って熱型赤外線検出素子の感度をより一層向上させることができる。
【0035】
本発明にかかる熱型赤外線検出素子は、上記構成に加えて、上記赤外線反射膜が配線金属膜を兼ねていることを特徴としている。
【0036】
上記構成によれば、配線金属膜が赤外線反射膜を兼ねることになるので、赤外線反射膜を成膜し所定形状に加工するための工程を省略することができる。そのため、熱型赤外線検出素子の構成を簡素化し、より一層の製造コストを低減することが可能になる。
【0037】
本発明にかかる熱型赤外線検出素子は、上記構成に加えて、上記高屈折率膜と赤外線反射膜との間に絶縁層が配置されていることを特徴としている。
【0038】
上記構成によれば、高屈折率膜と赤外線反射膜とが絶縁されているので、熱抵抗変化膜から高屈折率膜に対してセンス電流が分流することがない。そのため、赤外線吸収に伴う熱抵抗変化膜の抵抗値の変化を効率的に検出することが可能になり、熱型赤外線検出素子の感度をより一層向上させることができる。
【0039】
また、上記構成によれば、高屈折率膜にセンス電流が分流しないことから、熱抵抗変化膜の比抵抗を大きくして熱抵抗変化率を増大させることが可能になる。その結果、熱型赤外線検出素子の感度をより一層向上させることができる。しかも、高屈折率膜にセンス電流が分流しないということは高屈折率膜そのものの比抵抗を小さくすることができる。それゆえ、高屈折率膜の屈折率が大きくなり、高屈折率膜の膜厚を低減することができる。その結果、熱型赤外線検出素子の時間分解能を向上することができる。
【0040】
本発明にかかる熱型赤外線検出素子は、上記構成に加えて、さらに、上記ダイアフラム構造体と電気的に接続される半導体基板との間に、所定の空間を確保した状態で該ダイアフラム構造体を支持する支持部とを備えており、上記配線金属膜が、上記支持部にも形成されているとともに、少なくとも該支持部に形成されている配線金属膜を被覆する絶縁層が形成されていることを特徴としている。
【0041】
上記構成によれば、絶縁層によって支持部上の配線金属膜を被覆するので、通常なら露出している支持部上の配線金属膜を保護することが可能になる。その結果、熱型赤外線検出素子の耐環境性を向上することができる。
【0042】
本発明にかかる熱型赤外線検出素子は、上記構成に加えて、さらに、上記高屈折率膜は、シリコンまたはゲルマニウムを主成分としていることを特徴としている。
【0043】
上記構成によれば、シリコンまたはゲルマニウムが高屈折率膜の主成分として用いられているので、ダイアフラム構造体の熱容量を大幅に低減することができる。そのため、入射する赤外線に対する応答速度をより一層向上させることが可能になる。また、シリコンやゲルマニウムを用いて高屈折率膜を形成すれば、これら材質を積層するのみで、その膜厚を容易に制御できるので、製造プロセスをより簡素化し、製造コストをより低減することができる。
【0044】
本発明にかかる他の熱型赤外線検出素子は、上記の課題を解決するために、上記高屈折率膜が熱抵抗変化膜を兼ねていることを特徴としている。
【0045】
上記構成によれば、高屈折率膜が熱抵抗変化膜を兼ねることになるので、赤外線反射膜を成膜し所定形状に加工するための工程を省略することができる。そのため、熱型赤外線検出素子の構成を簡素化し、より一層の製造コストを低減することが可能になる。
【0046】
本発明にかかる熱型赤外線検出素子は、上記構成に加えて、さらに、上記高屈折率膜がシリコンを主成分としていることを特徴としている。
【0047】
上記構成によれば、シリコンが高屈折率膜の主成分として用いられているので、ダイアフラム構造体の熱容量を大幅に低減することができる。そのため、入射する赤外線に対する応答速度をより一層向上させることが可能になる。また、シリコンを用いて高屈折率膜を形成すれば、シリコンを積層するのみで、その膜厚を容易に制御できるとともに、ドープされるドーパントの量を制御することによって、高屈折率膜中のキャリア濃度を制御して比抵抗と熱抵抗変化率を調整することができる。
【0048】
本発明にかかる撮像装置は、上記構成の熱型赤外線検出素子を用いてなっている。この構成によれば、上述した熱型赤外線検出素子を撮像素子として用いているため、赤外線撮像素子の画素間の赤外線吸収率のバラツキが、従来の赤外線検出素子を用いた撮像装置に比べて非常に小さくなる。その結果、本発明にかかる撮像装置は、画素間の感度のバラツキが抑制されることになり、従来よりも非常に高品位の画像を撮像することが可能になる。
【0049】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について図1ないし図3並びに図11および図12に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
【0050】
本発明にかかる熱型赤外線検出素子は、赤外線を吸収する赤外線吸収膜として、所定の関係式に基づく膜厚を有する高屈折率膜と、該高屈折率膜の下層に形成される赤外線反射膜とを含むダイアフラム構造体を備えている構成である。
【0051】
具体的には、本実施の形態にかかる熱型赤外線検出素子は、図1(a)に示すように、ダイアフラム構造の赤外線受光部(以下、ダイアフラム構造体1aとする)を備えてなっている。このダイアフラム構造体1aは、その表面に集積回路が形成されてなる半導体基板と所定間隔の空間を形成するようにして配置されている。また、ダイアフラム構造体1aの表面ほぼ全面が赤外線受光領域に相当する。
【0052】
上記ダイアフラム構造体1aの構成においては、図1(b)に示すように、所定の形状にパターニングされた第2の酸化シリコン膜2上に熱抵抗変化膜3と配線金属膜4とが形成されており、これらを覆うようにして第3の酸化シリコン膜5が形成されている。図1(a)に示すように、熱抵抗変化膜3は、ダイアフラム構造体1aの中央部、すなわち照射された赤外線を受光する部位に形成されており、その周囲の少なくとも一部に配線金属膜4が形成されている。
【0053】
上記熱抵抗変化膜3は、温度の変化によって電気伝導性が変化するものであり、上記配線金属膜4は、該熱抵抗変化膜3と電気的に接続されており、熱抵抗変化膜3の電気伝導性の変化による抵抗値の変化を検出するために用いられるものである。また、熱抵抗変化膜3が形成されている面積は、上記赤外線受光領域にほぼ相当する面積となっている。
【0054】
なお、図1(a)では、略正方形状に形成されてなる熱抵抗変化膜3において、互いに対向する二組の平行な二辺のうち、一つの組の二辺のみに配線金属膜4が形成されているが、この配線金属膜4の形成パターンについてはこれに限定されるものではない。
【0055】
さらに、上記第3の酸化シリコン膜5上には、図1(b)に示すように、照射された赤外線をほぼ完全に反射することが可能な赤外線反射膜6が形成されており、この赤外線反射膜6上に高屈折率膜7が形成されている。これら赤外線反射膜6および高屈折率膜7が形成されている面積も上記赤外線受光領域にほぼ相当する面積となっている。上記高屈折率膜7では、その屈折率をnとし、その膜厚をdとし、吸収される赤外線の波長をλとした場合に、次式(1)が略成立している。
【0056】
d=λ×{1/(4×n)}・・・・・(1)
なお、上記式(1)については後に具体例を挙げて詳述する。また、図1(a)では、説明の便宜上、最上層の高屈折率膜7とその下層の赤外線反射膜6とを省略している。
【0057】
一方、図1(b)に示すように、上記ダイアフラム構造体1aと所定間隔の空間を形成して配置されている半導体基板8の表面には、図示しない集積回路が形成されており、さらにその上には、第1の酸化シリコン膜9が形成されている。従来では、この第1の酸化シリコン膜9上に赤外線反射膜6が形成されていたが、本発明では、赤外線反射膜6は上述したようにダイアフラム構造体1a内において、高屈折率膜7の下層に設けられている。
【0058】
また、図2に示すように、ダイアフラム構造体1aは、上記配線金属膜4を介して半導体基板8との間に所定の空間を形成するようにして半導体基板8に電気的に接続されている。配線金属膜4は、図1(a)に示すように、ダイアフラム構造体1aを支えるための脚部10を構成しており、接曲部4aによって、半導体基板8との間に所定の空間が形成されることになる。また、半導体基板8と配線金属膜4とは、略平板状の接続部(接続電極)11により電気的に接続されている。なお、図1(b)では、金属配線膜4におけるダイアフラム構造体1aと半導体基板8とを接続する部位については、説明の便宜上、省略している。
【0059】
上記熱抵抗変化膜3は、熱によりその抵抗値が変化する膜であれば特に限定されるものではないが、たとえば、チタン酸化物やバナジウム酸化物などが好適に用いられる。
【0060】
上記配線金属膜4は、上記熱抵抗変化膜3に電気的に接続されている。この配線金属膜4の材質としては特に限定されるものではないが、たとえばチタン(Ti)やアルミニウム(Al)などの金属を挙げることができるが、熱コンダクタンスを小さくするためには、熱伝導率の小さいチタンがより好ましい。
【0061】
上記赤外線反射膜6としては、照射された赤外線を大部分反射できる材質、より好ましくは、ほぼ完全に反射できる材質からなっておれば特に限定されるものではないが、たとえばアルミニウム(Al)やチタン(Ti)などの金属を好適に用いることができる。
【0062】
上記高屈折率膜7の材質としては特に限定されるものではないが、膜厚を薄くするためには、屈折率の非常に高いシリコン(Si)やゲルマニウム(Ge)を主成分としていることが好ましい。ここで、シリコンまたはゲルマニウムを主成分とするとは、高屈折率膜7がシリコンまたゲルマニウムのみからなっていてもよいし、シリコンまたはゲルマニウム以外に他の成分が含まれていてもよいことを示す。
【0063】
上記シリコンやゲルマニウムなどの半導体材料は、低比熱かつ高屈折率であり好ましくは比抵抗が高いものである。具体的には、シリコンの比熱は0.162であり、その屈折率は3.45であり、その比抵抗は105 Ω・cm以上である。またゲルマニウムの比熱は0.073であり、その屈折率は4.09であり、その比抵抗は0.05Ω・cmである。
【0064】
これらシリコンやゲルマニウムは、通常用いられる酸化シリコン(SiO2 )や窒化シリコン(SiN)よりも屈折率が高いため、高屈折率膜7の膜厚を1/2以下にすることができる。
【0065】
本発明にかかる熱型赤外線検出素子においては、上述したように、ダイアフラム構造体1aには、高屈折率膜7の下層に形成される赤外線反射膜6が備えられており、かつ、上記高屈折率膜7では、上記式(1)が略成立している。そのため、ダイアフラム構造体1aに入射した赤外線は、高屈折率膜7表面と赤外線反射膜6表面との反射および干渉によって、赤外線がダイアフラム構造体1aの外部に漏れることなく該高屈折率膜7に吸収される。
【0066】
しかも、上記のように高屈折率膜7がシリコンまたはゲルマニウムを主成分としており、その膜厚dについて上記式(1)が略成立しておれば、高屈折率膜7の屈折率nは大きくなるので、上記式(1)における分母が大きくなり膜厚dを薄くすることができる。その結果、ダイアフラム構造体1aの熱容量を大幅に低減することができる。
【0067】
さらに、高屈折率膜7としてゲルマニウムを用いた場合、ゲルマニウムの比熱は酸化シリコン(SiO2 )などの酸化物に比較して約1/2と小さいため、さらにダイアフラム構造体1aの熱容量の低減を図ることができ、特に、ダイアフラム構造体1a全体では、従来の約1/6の熱容量にすることができる。したがって、赤外線撮像素子として用いる場合においても応答速度が速くなり、残像のない良好な画像を得ることができる。
【0068】
本実施の形態では、高屈折率膜7としてシリコン膜(以下、Si膜と略す)を用いている。この場合、該Si膜の屈折率nがn=3.45であり、検出される赤外線の波長は、通常8〜12μmの範囲内であるので、赤外線の波長λは平均値としてλ=10μmに設定される。上記各値を上記式(1)に当てはめると、高屈折率膜7の膜厚dは次のようになる。
【0069】
d=10×{1/(4×3.45)}
=0.725μm(725nm)
なお、酸化シリコン(SiO2 )膜の場合では、n=1.45程度となるので、膜厚d=1.7μm以上必要となる。そのため、膜厚d=0.725μmの上記Si膜と比較しても熱容量が約2倍以上になってしまう。したがって、本実施の形態における高屈折率膜7を用いれば、ダイアフラム構造体1aの熱容量を大幅に低減することができる。
【0070】
ここで熱型赤外線検出素子としてのトータルの赤外線吸収量においては、フィルファクター(この場合、熱型赤外線検出素子における赤外線吸収のための有効な面積の割合)を考慮する必要がある。本発明にかかる熱型赤外線検出素子の構造では、ダイアフラム構造体1a全面で赤外線を吸収することができるため、フィルファクターを向上させることが可能である。それゆえ、トータルの吸収量は52%以上に達し、従来の吸収量である約40%に比較しても10%以上向上させることができる。
【0071】
上記高屈折率膜7はスパッタ法などにより形成されるため、その膜厚は、スパッタ法におけるシリコンやゲルマニウムの積層時間の調整により制御することができる。そのため、従来の熱型赤外線検出素子の構造における空間の制御と比較しても、その制御が非常に容易となることに加え、熱型赤外線検出素子の製造プロセスにおいて工程増を伴わない。そのため、製造プロセスの煩雑化を回避して製造コストの上昇を防止できる上に、ダイアフラム構造体1aにおける赤外線吸収率のバラツキ、すなわち赤外線検出の感度バラツキを確実に低減することが可能になる。
【0072】
上記構成の熱型赤外線検出素子の製造方法について、図3(a)〜(f)に基づいて説明する。まず、工程1(以下、工程をPと略す)として、集積回路を形成した半導体基板8上にカバーとなる第1の酸化シリコン膜9を形成する。次に、P2として、この第1の酸化シリコン膜9の表面に対してCMP(Chemical Mechanical Polishing )あるいは熱処理によるリフローなどによって平坦化処理を施す。次にP3として、平坦化された第1の酸化シリコン膜9の全面にポリイミドを塗布する。そしてP4として、上記ポリイミドをたとえば350℃程度の温度で焼成してポリイミド膜21を得る。
【0073】
焼成後に得られる上記ポリイミド膜21の膜厚は、本実施の形態では約1μm程度となるように設定するが、このポリイミド膜21自体は赤外線の吸収率に全く関与しないので、上記膜厚に限定されるものではなく、ダイアフラム構造の製造プロセスに応じて適宜設定することができる。
【0074】
次に、図3(a)に示すように、P5として、ポリイミド膜21の全面にレジスト22を塗布し、P6として該レジスト22に対してフォトリソグラフィにより所望の領域にパターンを形成する(図示せず)。その後P7として、150℃程度の温度でベーク処理を実施する。なお、梁の接地部には斜面形状を形成しておく。この梁とは、図1(a)および図2における脚部10に相当し、図2に示す配線金属膜4の接曲部4aを形成するためのものである。
【0075】
次に、P8として、パターニングされたレジスト22全面にドライエッチング加工を施し、該レジスト22のパターンをポリイミド膜21に転写した後、P9として、剥離液でレジスト22を除去する。そして、P10として、ポリイミド膜21全面に第2の酸化シリコン膜2を、P−CVD(Plasma-Chemical Vapor Deposition)法によって約200nm程度の膜厚となるように形成する。この時点で、図3(b)に示す構造が得られる。
【0076】
そして図3(c)に示すように、P11として、第2の酸化シリコン膜2上に、所定の形状となるように(図1(a)参照)熱抵抗変化膜3と配線金属膜4とを形成する。熱抵抗変化膜3としては膜厚約100nmのチタン酸化物またはバナジウム酸化物をスパッタ法により形成する。また配線金属膜4としては、膜厚約35nmのチタン膜をスパッタ法により形成する。その後、P12として、図3(d)に示すように、絶縁のために、これら熱抵抗変化膜3および配線金属膜4を覆うようにして第3の酸化シリコン膜5を形成する。
【0077】
さらに、図3(e)に示すように、P13として、この第3の酸化シリコン膜5の上層で、かつ赤外線受光領域である熱抵抗変化膜3および配線金属膜4に対応する領域に、アルミニウムまたはチタンからなる膜厚100nm程度の赤外線反射膜6をスパッタ法やE/B蒸着法により形成する。そして、P14として、この赤外線反射膜6を覆うようにして、さらに、シリコンまたはゲルマニウムからなる高屈折率膜7をスパッタ法などにより形成する。この高屈折率膜7は、上述した式(1)が略成立するように、725nm程度の膜厚となっている。
【0078】
その後、P15として、ダイアフラム構造のアライメントを実施し、P16として、ドライエッチング法により、熱抵抗変化膜3および配線金属膜4に対応する所定領域を除いた領域の高屈折率膜7および第3の酸化シリコン膜5を除去する。最後に、P17として、ドライエッチング法、特に酸素によるアッシングによってポリイミド膜21を除去して、図3(f)に示すダイアフラム構造体1aを得る。
【0079】
このように、上記構成を有する本発明にかかる熱型赤外線検出素子では、構造上、高屈折率膜7の膜厚dを規定するのみで、赤外線吸収率を向上させることができる。つまり、上記式(1)で規定された膜厚dを有する高屈折率膜7を用いるのみで、ダイアフラム構造体1aの熱容量を大幅に低減することができる。そのため、熱型赤外線検出素子の製造においても、高屈折率膜7を所定の膜厚に形成するのみでよい。それゆえ、製造工程が簡素化し、しかも製造コストの上昇も抑制することができる。
【0080】
しかも、本発明にかかる熱型赤外線検出素子では、特に、高屈折率膜7の下層に赤外線反射膜6が形成されており、さらに高屈折率膜7の膜厚dは上記式(1)が略成立するように制御される。
【0081】
そのため、赤外線反射膜6により反射された赤外線は、ダイアフラム構造体1aの表面に位置する高屈折率膜7表面に到達しても、干渉作用によって反射が打ち消されることになり、赤外線がダイアフラム構造体1aの外へ漏れることがない。しかも、高屈折率膜7と赤外線反射膜6とが隣接しているため、赤外線反射膜6の表面と高屈折率膜7の表面との間隔は、高屈折率膜7の膜厚dにより規定されることになる。それゆえ、上記各薄膜表面の間隔にバラツキが生じることがなく、上記干渉作用が乱れない。
【0082】
その結果、従来よりも非常に高い赤外線吸収率を得ることができる上に、赤外線吸収率のバラツキ、すなわち熱型赤外線検出素子における感度バラツキの発生が防止される。それゆえ、非常に優れた感度を有する熱型赤外線検出素子を提供することができる。また、この熱型赤外線検出素子を用いてなる赤外線撮像素子では、画像品質に関わる面内角度バラツキの発生が防止されるので、非常に高品位の赤外線撮像素子を得ることができる。
【0083】
上述したように、本実施の形態にかかる熱型赤外線検出素子では、上部から入射した赤外線の一部は高屈折率膜7で反射されるとともに、一部は高屈折率膜7を透過する。高屈折率膜7を透過した赤外線は下層の赤外線反射膜6によって反射される。赤外線反射膜6で反射された赤外線は入射時と同様に高屈折率膜7を透過することになり、上部の高屈折率膜7の界面で再び反射・透過・吸収がなされ、これらの繰り返しである多重反射の干渉作用として赤外線のエネルギーが吸収されることになる。
【0084】
本実施の形態における熱型赤外線検出素子において、高屈折率膜7の膜厚を変化したときの赤外線吸収率、すなわち赤外線吸収率における高屈折率膜7の膜厚の依存性を図11に示す。このとき、高屈折率膜7の材質としてはシリコン(Si)を用いており、赤外線の波長帯は8〜12μmの範囲内である。また、図11における横軸がSi膜厚(単位Å)であり、縦軸が吸収率(%)である。この図から明らかなように、膜厚が6500Åのとき最大93%の吸収率が達成されている。
【0085】
さらにマトリックス法を用いて、本実施の形態における熱型赤外線検出素子の反射率を計算し、その計算結果に基づいて吸収率を算出した。その結果を図12に示す。この図から明らかなように、高屈折率膜7のシート抵抗が45kΩ以上105kΩ以下の範囲内で非常に大きな吸収率が得られることがわかる。また、本計算結果の最大値は、図11に示す6500Åの膜厚の高屈折率膜7を用いた構造の吸収率とよく一致している。
【0086】
上記のように、本実施の形態にかかる熱型赤外線検出素子では、従来に比べて理論値に近い非常に大きい吸収率を実現することができる。また、本実施の形態にかかる熱型赤外線検出素子では、従来の構造では必須となっている赤外線吸収膜をダイアフラム構造体1aに配置する必要がないため、製造プロセスの工程数を低減することができ、その結果、熱型赤外線検出素子の製造コストを低減することができる。また、ダイアフラム構造体1aに積層する薄膜の層数を少なくすることができるので、ダイアフラム構造体1aの構造的な安定性を向上させることができる。
【0087】
〔実施の形態2〕
本発明の実施の他の形態について図4に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本発明はこれに限定されるものではない。また、説明の便宜上、前記実施の形態1で使用した部材と同じ機能を有する部材には同一の番号を付記し、その説明を省略する。
【0088】
なお、本実施の形態における膜面方向とは、膜面、すなわち、たとえば赤外線反射膜などの膜の表面に対して平行な方向、あるいは、上記膜の表面の広がり方向を指すものとする。また、これに対して膜面に対する垂直な方向(法線方向)を膜厚方向とする。
【0089】
本実施の形態にかかる熱型赤外線検出素子が備えるダイアフラム構造体1bにおいては、図4に示すように、所定の形状にパターニングされた第2の酸化シリコン膜2上に、赤外線反射膜6が形成されており、この赤外線反射膜6上にはさらに第3の酸化シリコン膜(絶縁層)5が形成されている。この第3の酸化シリコン膜5は上記第2の酸化シリコン膜2と略同一形状となっている。さらに、上記第3の酸化シリコン膜5の上には、熱抵抗変化膜3および配線金属膜4が形成されており、それぞれ前記実施の形態1と同様に所定の形状に加工された上(図1(a)参照)、互いに電気的に接続されている。
【0090】
さらに熱抵抗変化膜3および配線金属膜4上には高屈折率膜7が形成されている。この高屈折率膜7の膜厚は、前記実施の形態1における式(1)に基づいて設定される。
【0091】
上記赤外線反射膜6は、前記実施の形態1でも述べたように、チタン(Ti)またはアルミニウム(Al)を主成分とする金属からなっているため、絶縁層として機能する第2の酸化シリコン膜2や第3の酸化シリコン膜5に比べて熱伝導率が高くなっている。
【0092】
ここで、ダイアフラム構造体1bに入射する赤外線は、前記実施の形態1で説明したように、高屈折率膜7の表面で逆位相干渉によって吸収されるため、高屈折率膜7の表面で熱となる。この熱はダイアフラム構造体1b中に拡散し、熱抵抗変化膜3を加熱し、その結果、熱抵抗変化膜3の抵抗値が変化して、出力として配線金属膜4により検出される。
【0093】
本実施の形態にかかる熱型赤外線検出素子においては、上記ダイアフラム構造体1bにおいて、上記熱伝導率の高い赤外線反射膜6が、熱抵抗変化膜3とは直接接触しておらず、第3の酸化シリコン膜5を介在した状態で熱抵抗変化膜3の下方に配置される構成となっている。
【0094】
つまり、本実施の形態におけるダイアフラム構造体1bにおいては、上記赤外線反射膜6と上記熱抵抗変化膜3との間には、絶縁層としての第3の酸化シリコン膜5が配置されており、さらに、上記高屈折率膜7と赤外線反射膜6との間には、少なくとも上記熱抵抗変化膜3が配置されており、加えて、上記高屈折率膜7と赤外線反射膜6との間にも絶縁層(第3の酸化シリコン膜5)が配置されていることになる。
【0095】
そのため、高屈折率膜7表面で発生した熱が熱抵抗変化膜3に到達する前に赤外線反射膜6を介して膜面方向に逃げることが防止される。そのため、効率的に熱抵抗変化膜3を加熱することが可能になり、これに伴って本発明にかかる熱型赤外線検出素子の感度をより一層向上させることができる。
【0096】
〔実施の形態3〕
本発明の実施のさらに他の形態について図5に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本発明はこれに限定されるものではない。また、説明の便宜上、前記実施の形態1または2で使用した部材と同じ機能を有する部材には同一の番号を付記し、その説明を省略する。
【0097】
本実施の形態にかかる熱型赤外線検出素子が備えるダイアフラム構造体1cにおいては、図5に示すように、所定の形状にパターニングされた第2の酸化シリコン膜2上に、直接、熱抵抗変化膜3cと配線金属膜4cとを所定の形状に形成する構成となっている。
【0098】
ここで、上記配線金属膜4cは、前記実施の形態1および2における配線金属膜4と同様の材料や成膜方法により形成されているものであるが、その形状は異なっている。すなわち、図5に示すように、上記ダイアフラム構造体1cの略全面を覆うような形状で第2の酸化シリコン膜2に形成されている。
【0099】
一方、熱抵抗変化膜3cも、前記実施の形態1および2における熱抵抗変化膜3と同様の材料や成膜方法により形成されているものであり、前記実施の形態1および2と同様、ダイアフラム構造体1cの中央部に配置されているが、上記配線金属膜4と同様、その形状は異なっている。すなわち、図5から明らかなように、該中央部において、配線金属膜4cに挟持されるように狭い面積で配置されることになる。なお、配線金属膜4cおよび熱抵抗変化膜3cは、前記実施の形態1および2と同様に、互いに電気的に接続されている。
【0100】
さらに熱抵抗変化膜3cおよび配線金属膜4c上には高屈折率膜7が形成されているが、この高屈折率膜7の膜厚も、前記実施の形態2と同様に、前記実施の形態1における式(1)に基づいて設定される。
【0101】
上記のように、本実施の形態にかかる熱型赤外線検出素子においては、配線金属膜4cがダイアフラム構造体1cの表面の大部分を覆うように形成されているため、事実上、配線金属膜4cは、熱抵抗変化膜3cの加熱により生ずる抵抗値の変化を検出するための導電体層と、ダイアフラム構造体1cに入射する赤外線を反射する赤外線反射膜(図1(b)や図4における赤外線反射膜6を参照)とを兼ねていることになる。
【0102】
その結果、本実施の形態にかかる熱型赤外線検出素子においては、ダイアフラム構造体1cに赤外線反射膜を成膜する必要がなくなり、赤外線反射膜を成膜し所定形状に加工するための工程を省略することができる。そのため、本発明にかかる熱型赤外線検出素子において、構成を簡素化し、より一層の製造コストを低減することが可能になる。
【0103】
なお、本実施の形態において説明した上記配線金属膜4cは、熱抵抗変化膜3cにオーバーラップする形状となっていてもよい。
【0104】
〔実施の形態4〕
本発明の実施のさらに他の形態について図6に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本発明はこれに限定されるものではない。また、説明の便宜上、前記実施の形態1、2、または3で使用した部材と同じ機能を有する部材には同一の番号を付記し、その説明を省略する。
【0105】
本実施の形態にかかる熱型赤外線検出素子が備えるダイアフラム構造体1dにおいては、図6に示すように、所定の形状にパターニングされた第2の酸化シリコン膜2上に、前記実施の形態3と同様に、直接、熱抵抗変化膜3cと配線金属膜4cとを所定の形状に形成する構成となっている。したがって、上記配線金属膜4cは、上記ダイアフラム構造体1dの略全面を覆うような形状となっている一方、熱抵抗変化膜3cは、ダイアフラム構造体1dの中央部において、配線金属膜4cに挟持されるように狭い面積で配置されている。また配線金属膜4cおよび熱抵抗変化膜3cは、前記実施の形態1ないし3と同様に、互いに電気的に接続されている。
【0106】
さらに、上記配線金属膜4cおよび熱抵抗変化膜3cの上には、第3の酸化シリコン膜5が、第2の酸化シリコン膜2と略同様の形状に形成されている。そしてこの第3の酸化シリコン膜5の上に、さらに高屈折率膜7が所定の形状に形成される。
【0107】
ここで、本実施の形態では、前記実施の形態1ないし3と同様に高屈折率膜7の膜厚が所定の値に設定されることになるが、このとき、前記実施の形態1における式(1)に基づいて設定される膜厚は、高屈折率膜7だけでなく、第3の酸化シリコン膜5も含まれる。すなわち本実施の形態では、第3の酸化シリコン膜5と高屈折率膜7とのそれぞれの屈折率を考慮して、第3の酸化シリコン膜5と高屈折率膜7の膜厚の総和が波長λの1/4となるように設定されている。
【0108】
上記のように、本実施の形態にかかる熱型赤外線検出素子においては、前記実施の形態3の構造に対して、さらに、配線金属膜4cと高屈折率膜7とを電気的に絶縁する第3の酸化シリコン膜5を設けている構成となっている。そのため、配線金属膜4cから高屈折率膜7に対してセンス電流(熱抵抗変化膜3cの抵抗値変化を検出するために、熱抵抗変化膜に流す電流)が分流することが回避され、配線金属膜4cが熱抵抗変化膜3cの抵抗値の変化を効率的に検出することが可能になる。その結果、熱型赤外線検出素子の感度をさらに一層向上することができる。
【0109】
さらに、配線金属膜4cから高屈折率膜7にセンス電流が分流しないことから、熱抵抗変化膜3cの比抵抗を大きくすることが可能になり、これに伴って熱抵抗変化膜3cの熱抵抗変化率αを増大させることができる。しかも、高屈折率膜7に上記センス電流が分流しないことから、高屈折率膜7そのものの比抵抗を小さくすることも可能になり、これに伴って高屈折率膜7の屈折率が大きくなり、高屈折率膜7の膜厚を低減することができる。その結果、熱型赤外線検出素子の熱容量をより低減することができる。
【0110】
通常、熱型赤外線検出素子の抵抗値を読み出すには、ある程度の時間が必要であるが、この読み出し時間は、ダイアフラムの熱容量が大きくなるほど長くなる。したがって、本実施の形態のように、熱型赤外線検出素子の熱容量を低減することによって、赤外線検出のための時定数が小さくなる(読み出し時間が短くなる)ため、熱型赤外線検出素子の時間分解能を向上することができる。
【0111】
なお、本実施の形態において説明した上記配線金属膜4cも、前記実施の形態3と同様、熱抵抗変化膜3cにオーバーラップする形状となっていてもよい。
【0112】
〔実施の形態5〕
本発明の実施のさらに他の形態について図7に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本発明はこれに限定されるものではない。また、説明の便宜上、前記実施の形態1ないし4の何れかで使用した部材と同じ機能を有する部材には同一の番号を付記し、その説明を省略する。
【0113】
本実施の形態にかかる熱型赤外線検出素子が備えるダイアフラム構造体1eにおいては、図7に示すように、所定の形状にパターニングされた第2の酸化シリコン膜2上に、前記実施の形態3および4と同様に、直接、配線金属膜4cを所定の形状に形成する構成となっており、その形状がダイアフラム構造体1eの略全面を覆うような形状となっているが、ダイアフラム構造体1eの中央部には熱抵抗変化膜3cは形成されていない。
【0114】
配線金属膜4c上には、前記実施の形態3と同様に高屈折率膜7aが形成されているが、この高屈折率膜7aは、その一部が第2の酸化シリコン膜2と直接接触している。すなわち、図7に示すように、前記実施の形態3において熱抵抗変化膜3cが形成されていた部位に、熱抵抗変化膜3cの代わりに高屈折率膜7aが形成されていることになる。
【0115】
換言すれば、本実施の形態にかかるダイアフラム構造体1eにおいては、所定形状の第2の酸化シリコン膜2上に、赤外線反射膜を兼ねる配線金属膜4cが、中央部を除いてダイアフラム構造体1eの大部分を覆うように形成されており、さらにその上に、上記中央部で第2の酸化シリコン膜2と直接接触するようにして、配線金属膜4c上に高屈折率膜7aが形成されていることになる。なお、高屈折率膜7と配線金属膜4cとは互いに電気的に接続されている。
【0116】
本実施の形態における上記高屈折率膜7aは、シリコン(Si)を主成分とする膜からなっているのは、前記実施の形態1ないし4における高屈折率膜7と同様であるが、本実施の形態では、シリコンを主成分とする上記高屈折率膜7a中のキャリア濃度を制御することによって比抵抗と熱抵抗変化率を調整し、高屈折率膜7aが熱抵抗変化膜3cを兼ねるようにしている。
【0117】
具体的には、上記高屈折率膜7aは前記実施の形態1と同様にスパッタリングによって成膜されるが、このスパッタリングの際に、スパッタリングターゲットに対するドーパント(ドーピング用の材料)のドープ量を制御することによって、高屈折率膜7a中のキャリア濃度が制御される。上記スパッタリングターゲットにドープするドーパントとしては、特に限定されるものではないが、一般的には、半導体製造プロセスに用いられるホウ素(B)やリン(P)などが用いられる。
【0118】
上記のように、本実施の形態にかかる熱型赤外線検出素子においては、前記実施の形態3の構造において、熱抵抗変化膜3cを形成せずに、高屈折率膜7aを形成するとともに、高屈折率膜7aが熱抵抗変化膜3cを兼ねるようにしている。そのため、本実施の形態にかかる熱型赤外線検出素子におけるダイアフラム構造体1eには、熱抵抗変化膜3cを改めて形成する必要がなくなるため、熱型赤外線検出素子の製造プロセスを大幅に低減することができる。その結果、熱型赤外線検出素子の製造コストをさらに一層低減することができる。
【0119】
〔実施の形態6〕
本発明の実施のさらに他の形態について図8に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本発明はこれに限定されるものではない。また、説明の便宜上、前記実施の形態1ないし5の何れかで使用した部材と同じ機能を有する部材には同一の番号を付記し、その説明を省略する。
【0120】
本実施の形態にかかる熱型赤外線検出素子の構成は、前記実施の形態1ないし5と同様であり、赤外線を感知するためのダイアフラム構造体1fと、該ダイアフラム構造体1fと電気的に接続される半導体基板8と、該半導体基板8とダイアフラム構造体1fとの間に所定の空間を有するように該半導体基板8上でダイアフラム構造体1fを配置した状態で支持する脚部(支持部)10とを備えている(図1(a)および図2参照)。
【0121】
上記ダイアフラム構造体1fにおいては、図8に示すように、前記実施の形態5で説明した構成(図7に示すダイアフラム構造体1e)の表面全面を覆うように第3の酸化シリコン膜5が形成されている。
【0122】
換言すれば、本実施の形態におけるダイアフラム構造体1fにおいては、前記実施の形態5におけるダイアフラム構造体1eにおける高屈折率膜7a表面全体を被覆するように第3の酸化シリコン膜5を形成するとともに、梁(図1(a)および図2における脚部10)部分の配線金属膜4c上も被覆するように第3の酸化シリコン膜5を形成している。
【0123】
上記のように、本実施の形態にかかる熱型赤外線検出素子においては、前記実施の形態5の構造に対して、第3の酸化シリコン膜5を被覆した構成となっている。そのため、第3の酸化シリコン膜5は、梁上において配線金属膜4cを被覆して保護することになり、配線金属膜4cが周囲の環境に直接さらされて劣化するような事態を回避することができる。その結果、熱型赤外線検出素子の耐環境性を向上させることができる。
【0124】
また、図8に示すように、第3の酸化シリコン膜5が梁上のみではなく、ダイアフラム構造体1f上の全面に形成されていていれば、配線金属膜4cだけでなく高屈折率膜7aを保護することにもなり、熱型赤外線検出素子の耐環境性をより向上させることができる。なお、ダイアフラム構造体1fの表面も第3の酸化シリコン膜5が被覆されている場合には、第3の酸化シリコン膜5の膜厚と高屈折率膜7の膜厚との総和は、前記実施の形態1における式(1)に基づいて、該第3のシリコン膜5と高屈折率膜7とを透過する赤外線の波長λの略1/4となるように設定される。
【0125】
なお、本実施の形態では、図8に示すように、ダイアフラム構造体1fの表面全面を第3の酸化シリコン膜5で被覆しているが、これに限定されるものではなく、梁部分のみの被覆であってもよい。
【0126】
また、本実施の形態では、前記実施の形態5で説明した構成に対してさらに第3のシリコン膜5を形成する構成を適用したが、これに限定されるものではなく、たとえば実施の形態3で説明した構成にも適用することができる。
【0127】
〔実施の形態7〕
本発明の実施の形態としての赤外線撮像装置について、図13に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
【0128】
前記実施の形態1にかかる熱型赤外線検出素子をマトリクス状に配置した赤外線撮像素子を用いて、赤外線カメラ(撮像装置)を作製した。具体的には、図13に示すように、本実施の形態にかかる撮像装置は、赤外線撮像素子51、光学系52、素子温度制御部53、光学系制御部54、プロセッサ(制御手段)55、A/D(アナログ/デジタル)変換回路56、素子特性メモリ(記憶手段)57、画像処理部58などを備えてなっている。
【0129】
上記赤外線撮像素子51は、上述したように、たとえば前記実施の形態1にかかる熱型赤外線検出素子を、たとえば320×240のマトリクス状に配置してなるものである。上記光学系52は、入射される赤外線の焦点を合わせるためのものであり、従来公知の構成を用いることができる。上記素子温度制御部53は、赤外線撮像素子51、すなわちこれを構成する熱型赤外線検出素子の温度を所定の範囲内に制御する。上記光学系制御部54は、光学系52の動作(焦点合わせの動作など)を制御する。これら各制御部も従来公知の構成を用いることができる。
【0130】
上記プロセッサ55は、素子温度制御部53、光学系制御部54、素子特性メモリ57、画像処理部58などの制御をするものであり、本実施の形態における撮像装置の制御手段となる。上記A/D変換回路56は、赤外線撮像素子51から入力されたアナログの赤外線画像データをデジタルの画像データに変換して画像処理部58に出力する。上記素子特性メモリ57は、赤外線撮像素子51に関わる各種特性(素子特性)データを記憶する記憶手段であり、プロセッサ55の制御によって、該特性データを画像処理部58に出力する。
【0131】
上記画像処理部58は、A/D変換回路56から入力されるデジタル画像データを、プロセッサ55の制御により、素子特性メモリ57から出力される素子特性に基づいて画像処理して出力用のデジタル画像データに変換した上で、図示しない表示手段などに出力する(図中矢印)。
【0132】
なお、図13における太線の矢印は画像データ(アナログ画像データおよびデジタル画像データ)の入出力方向を示し、細線の矢印は、制御情報の入出力方向を示す。また、本実施の形態では、上記制御情報には、上記素子特性メモリ57に記憶されている素子特性も含まれるものとする。また、上記各プロセッサ55やA/D変換回路56、素子特性メモリ57、画像処理部58なども従来公知の構成を用いることができ、特に限定されるものではない。
【0133】
本発明にかかる熱型赤外線検出素子は、前述したように、赤外線吸収膜を構成する高屈折率膜の膜厚を制御することで赤外線を効率よく吸収することができるため、従来の構造のようにダイアフラム構造体と基板との距離に依存することがない。そのため、本実施の形態における赤外線撮像素子51では、320×240のマトリクス上に配置した画素間の赤外線吸収率のバラツキが、従来の構造の赤外線検出素子を用いた赤外線撮像素子に比べて非常に小さくなる。
【0134】
その結果、本実施の形態にかかる赤外線カメラ(撮像装置)は、赤外線撮像素子における画素間の感度バラツキが抑制されるため、従来の撮像装置に比べて非常に高品位の画像を得ることができる。
【0135】
このように、前述した本発明にかかる熱型赤外線検出素子であれば、赤外線受光部内での反射および干渉によって赤外線を効率的に吸収することが可能になり、特に赤外線吸収膜を形成する必要がなくなる。そのため、赤外線の検出感度が向上するとともに、その構成を簡素化して低コスト化することができる。その結果、上記熱型赤外線検出素子を用いた本発明にかかる撮像装置は、高感度かつ高品位で画像を撮像できる上に、製造コストの上昇も回避することができる。
【0136】
なお、本実施の形態では、前記実施の形態1で説明した熱型赤外線検出素子を用いたが、これに限定されるものではなく、本発明の範囲内にある熱型赤外線検出素子であればよい。したがって、前記実施の形態1で説明した熱型赤外線検出素子だけでなく、前記実施の形態2ないし6の何れかで説明した熱型赤外線検出素子を用いることができることは言うまでもない。
【0137】
【発明の効果】
本発明にかかる熱型赤外線検出素子は、以上のように、上記ダイアフラム構造体が、さらに、高屈折率膜の下層に形成される赤外線反射膜を備えており、上記高屈折率膜では、その屈折率をnとし、その厚さをdとし、吸収される赤外線の波長をλとした場合に、次式、
d=λ×{1/(4×n)}
が略成立している構成である。
【0138】
それゆえ上記構成では、ダイアフラム構造および上記式が略成立している高屈折率膜を採用しているため、赤外線がダイアフラム構造体の外へ漏れることがなく、該ダイアフラム構造体の熱容量を大幅に低減することができる。しかも、高屈折率膜と赤外線反射膜とが隣接しているため、上記干渉作用において重要な上記各薄膜間の間隔にバラツキが発生せずほぼ一定となる。そのため、従来よりも非常に高感度、高性能かつ応答速度に優れた熱型赤外線検出素子を得ることができるという効果を奏する。
【0139】
さらに、上記構成では、赤外線吸収膜を形成する必要がない上に、赤外線吸収効率を上昇させるためには、構造的には、高屈折率膜の膜厚を制御するのみでよい。そのため、製造プロセスに対して工程増を伴わなず、逆に赤外線吸収膜を形成しなくてよいことから製造プロセスを簡略化することができ、製造コストの増大を回避して製造コストをより低くすることができる。それゆえ、優れた性能を有する熱型赤外線検出素子をより安価に提供することができるという効果も併せて奏する。
【0140】
本発明にかかる熱型赤外線検出素子は、上記構成に加えて、上記ダイアフラム構造体が、さらに、温度の変化によって電気伝導性が変化する熱抵抗変化膜と、該熱抵抗変化膜と電気的に接続されている配線金属膜とを有している構成である。
【0141】
それゆえ上記構成では、温度上昇により上記熱抵抗変化膜の電気伝導性が変化してその抵抗値も変化するので、赤外線は配線金属膜を介して電気的な信号に変換されて効率的に検出されることになる。その結果、赤外線をより一層確実に検出することができるという効果を奏する。
【0142】
本発明にかかる熱型赤外線検出素子は、上記構成に加えて、上記赤外線反射膜と上記熱抵抗変化膜との間に絶縁層が配置されている構成である。
【0143】
それゆえ上記構成では、上記絶縁層により、熱抵抗変化膜を加熱するための熱が熱伝導性の高い赤外線反射膜を介して逃げてしまうことが防止される。そのため、効率的に熱抵抗変化膜を加熱することが可能になり、その結果、熱型赤外線検出素子の感度をより向上させることができるという効果を奏する。
【0144】
本発明にかかる熱型赤外線検出素子は、上記構成に加えて、上記高屈折率膜と赤外線反射膜との間に、少なくとも上記熱抵抗変化膜が配置されている構成である。
【0145】
それゆえ上記構成では、高屈折率膜と熱抵抗変化膜とがより近い配置となっているので、高屈折率膜からの熱が赤外線反射膜を介して逃げてしまうことが防止される。そのため、効率的に熱抵抗変化膜を加熱することが可能になり、これに伴って熱型赤外線検出素子の感度をより一層向上させることができるという効果を奏する。
【0146】
本発明にかかる熱型赤外線検出素子は、上記構成に加えて、上記赤外線反射膜が配線金属膜を兼ねている構成である。
【0147】
それゆえ上記構成では、配線金属膜が赤外線反射膜を兼ねるため、赤外線反射膜を成膜し所定形状に加工するための工程を省略することができる。そのため、熱型赤外線検出素子の構成を簡素化し、より一層の製造コストを低減することが可能になるという効果を奏する。
【0148】
本発明にかかる熱型赤外線検出素子は、上記構成に加えて、上記高屈折率膜と赤外線反射膜との間に絶縁層が配置されている構成である。
【0149】
それゆえ上記構成では、高屈折率膜と赤外線反射膜とが絶縁されているので、熱抵抗変化膜から高屈折率膜に対してセンス電流が分流しない。そのため、熱抵抗変化膜の抵抗値の変化を効率的に検出することが可能になり、熱型赤外線検出素子の感度をより一層向上させることができるという効果を奏する。また、熱抵抗変化膜の比抵抗を大きくして熱抵抗変化率を増大させることが可能になるので、熱型赤外線検出素子の感度をより一層向上させることができるという効果も併せて奏する。さらに高屈折率膜そのものの比抵抗を小さくすることができるので、高屈折率膜の屈折率が大きくなり、高屈折率膜の膜厚を低減することができ、熱型赤外線検出素子の時間分解能を向上することができるという効果も併せて奏する。
【0150】
本発明にかかる熱型赤外線検出素子は、上記構成に加えて、本発明にかかる熱型赤外線検出素子は、上記構成に加えて、さらに、上記ダイアフラム構造体と電気的に接続される半導体基板との間に、所定の空間を確保した状態で該ダイアフラム構造体を支持する支持部とを備えており、上記配線金属膜が、上記支持部にも形成されているとともに、少なくとも該支持部に形成されている配線金属膜を被覆する絶縁層が形成されている構成である。
【0151】
それゆえ上記構成では、絶縁層によって支持部上の配線金属膜を被覆して保護することになるので、熱型赤外線検出素子の耐環境性を向上することができるという効果を奏する。
【0152】
本発明にかかる熱型赤外線検出素子は、上記構成に加えて、さらに、上記高屈折率膜は、シリコンまたはゲルマニウムを主成分としている構成である。
【0153】
それゆえ上記構成では、シリコンまたはゲルマニウムが高屈折率膜の主成分として用いられているので、ダイアフラム構造体の熱容量を大幅に低減することができる。そのため、入射する赤外線に対する応答速度をより一層向上させることが可能になるという効果を奏する。また、シリコンやゲルマニウムを用いて高屈折率膜を形成すれば、これら材質を積層するのみで、その膜厚を容易に制御できるので、製造プロセスをより簡素化し、製造コストをより低減することができるという効果も併せて奏する。
【0154】
本発明にかかる他の熱型赤外線検出素子は、上記構成に加えて、上記高屈折率膜が熱抵抗変化膜を兼ねている構成である。
【0155】
それゆえ上記構成では、高屈折率膜が熱抵抗変化膜を兼ねるため、赤外線反射膜を成膜し所定形状に加工するための工程を省略することができる。そのため、熱型赤外線検出素子の構成を簡素化し、より一層の製造コストを低減することが可能になるという効果を奏する。
【0156】
本発明にかかる熱型赤外線検出素子は、上記構成に加えて、さらに、上記高屈折率膜がシリコンを主成分としている構成である。
【0157】
それゆえ上記構成では、シリコンが高屈折率膜の主成分として用いられているので、ダイアフラム構造体の熱容量を大幅に低減することができる。そのため、入射する赤外線に対する応答速度をより一層向上させることが可能になるという効果を奏する。また、シリコンを用いて高屈折率膜を形成すれば、シリコンを積層するのみで、その膜厚を容易に制御できるとともに、ドープされるドーパントの量を制御することによって、高屈折率膜中のキャリア濃度を制御して比抵抗と熱抵抗変化率を調整することができるという効果も併せて奏する。
【0158】
本発明にかかる撮像装置は、上記構成の熱型赤外線検出素子を用いてなっている。この構成によれば、上述した熱型赤外線検出素子を撮像素子として用いているため、赤外線撮像素子の画素間の赤外線吸収率のバラツキが、従来の赤外線検出素子を用いた撮像装置に比べて非常に小さくなる。その結果、本発明にかかる撮像装置は、画素間の感度のバラツキが抑制されることになり、従来よりも非常に高品位の画像を撮像することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の実施の一形態にかかる熱型赤外線検出素子の概略構成を示す平面図であり、(b)は、(a)のA−A矢視断面図である。
【図2】図1(a)・(b)に示す熱型赤外線検出素子の斜視図である。
【図3】(a)〜(f)は、図1(a)・(b)に示す熱型赤外線検出素子の製造プロセスを示す工程図である。
【図4】本発明の実施の他の形態にかかる熱型赤外線検出素子の概略構成を示す断面図である。
【図5】本発明の実施の他の形態にかかる熱型赤外線検出素子の概略構成を示す断面図である。
【図6】本発明の実施のさらに他の形態にかかる熱型赤外線検出素子の概略構成を示す断面図である。
【図7】本発明の実施のさらに他の形態にかかる熱型赤外線検出素子の概略構成を示す断面図である。
【図8】本発明の実施のさらに他の形態にかかる熱型赤外線検出素子の概略構成を示す断面図である。
【図9】(a)は従来の熱型赤外線検出素子の一例を示す平面図であり、(b)は、(a)のC−C矢視断面図である。
【図10】(a)は従来の熱型赤外線検出素子の他の例を示す平面図であり、(b)は、(a)のD−D矢視断面図である。
【図11】図1に示す構成の本発明にかかる熱型赤外線検出素子において、赤外線吸収率の高屈折率膜に対する依存性を示すグラフである。
【図12】図1に示す構成の本発明にかかる熱型赤外線検出素子において、赤外線吸収率の高屈折率膜が有するシート抵抗に対する依存性を示すグラフである。
【図13】図1に示す熱型赤外線検出素子を用いてなる本発明にかかる撮像装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1a〜1f ダイアフラム構造体(ダイアフラム構造)
2 第2の酸化シリコン膜
3 熱抵抗変化膜
3c 熱抵抗変化膜
4 配線金属膜
4c 配線金属膜
5 第3の酸化シリコン膜(絶縁層)
6 赤外線反射膜
7 高屈折率膜
7a 高屈折率膜
8 半導体基板
10 脚部(支持部)
51 赤外線撮像素子

Claims (10)

  1. 酸化シリコン膜および窒化シリコン膜よりも屈折率が高い高屈折率膜を備えるダイアフラム構造体を有している熱型赤外線検出素子において、
    上記ダイアフラム構造体は、さらに、上記高屈折率膜の下層に形成される赤外線反射膜を備えており、
    上記高屈折率膜では、その屈折率をnとし、その厚さをdとし、吸収される赤外線の波長をλとした場合に、次式、
    d=λ×{1/(4×n)}
    が略成立しており、
    上記高屈折率膜のシート抵抗が45kΩ以上105kΩ以下の範囲であり、
    上記ダイアフラム構造体における赤外線の入射面は、上記高屈折率膜における上記赤外線反射膜側の面とは反対側の面であって、上記高屈折率膜の表面からなることを特徴とする熱型赤外線検出素子。
  2. 上記ダイアフラム構造体は、さらに、温度の変化によって電気伝導性が変化する熱抵抗変化膜と、該熱抵抗変化膜と電気的に接続されている配線金属膜とを有していることを特徴とする請求項1記載の熱型赤外線検出素子。
  3. 上記赤外線反射膜と上記熱抵抗変化膜との間に電気的絶縁層が配置されていることを特徴とする請求項2記載の熱型赤外線検出素子。
  4. 上記高屈折率膜と赤外線反射膜との間に、少なくとも上記熱抵抗変化膜が配置されていることを特徴とする請求項または記載の熱型赤外線検出素子。
  5. 上記赤外線反射膜が配線金属膜を兼ねていることを特徴とする請求項記載の熱型赤外線検出素子。
  6. 上記高屈折率膜と赤外線反射膜との間に電気的絶縁層が配置されていることを特徴とする請求項ないしの何れか1項に記載の熱型赤外線検出素子。
  7. 上記高屈折率膜がシリコンまたはゲルマニウムを主成分としていることを特徴とする請求項ないしの何れか1項に記載の熱型赤外線検出素子。
  8. 上記高屈折率膜が熱抵抗変化膜を兼ねていることを特徴とする請求項記載の熱型赤外線検出素子。
  9. 上記高屈折率膜がシリコンを主成分としていることを特徴とする請求項記載の熱型赤外線検出素子。
  10. 請求項1ないしの何れか1項に記載の熱型赤外線検出素子を用いてなる撮像装置。
JP2000261655A 1999-09-16 2000-08-30 熱型赤外線検出素子およびこれを用いた撮像装置 Expired - Fee Related JP3730100B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000261655A JP3730100B2 (ja) 1999-09-16 2000-08-30 熱型赤外線検出素子およびこれを用いた撮像装置
GB0022696A GB2359192B (en) 1999-09-16 2000-09-15 Thermal-type infrared radiation detector cell and image capture device incorporating the same
US09/662,631 US6489614B1 (en) 1999-09-16 2000-09-15 Thermal-type infrared radiation detector cell and image capture device incorporating the same

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11-262400 1999-09-16
JP26240099 1999-09-16
JP2000261655A JP3730100B2 (ja) 1999-09-16 2000-08-30 熱型赤外線検出素子およびこれを用いた撮像装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001153722A JP2001153722A (ja) 2001-06-08
JP3730100B2 true JP3730100B2 (ja) 2005-12-21

Family

ID=26545527

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000261655A Expired - Fee Related JP3730100B2 (ja) 1999-09-16 2000-08-30 熱型赤外線検出素子およびこれを用いた撮像装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3730100B2 (ja)

Families Citing this family (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003207391A (ja) * 2002-01-17 2003-07-25 Nissan Motor Co Ltd 赤外線検知素子とその製造方法及びその製造装置
JP5597862B2 (ja) * 2007-03-27 2014-10-01 日本電気株式会社 ボロメータ型THz波検出器
CN102197291A (zh) 2008-09-25 2011-09-21 松下电工株式会社 红外线传感器
CN102197290A (zh) * 2008-09-25 2011-09-21 松下电工株式会社 红外线传感器
JP5645240B2 (ja) 2009-03-31 2014-12-24 パナソニックIpマネジメント株式会社 赤外線アレイセンサ
KR101709625B1 (ko) * 2010-02-05 2017-02-23 삼성전자 주식회사 이미지 센서, 및 그 센서를 포함한 센서 시스템
KR101166304B1 (ko) 2010-06-18 2012-07-18 지이센싱코리아(주) 써모파일 센서 및 그 제조방법
CN102564601A (zh) 2010-12-22 2012-07-11 精工爱普生株式会社 热式光检测装置、电子设备、热式光检测器及其制造方法
JP2012154685A (ja) * 2011-01-24 2012-08-16 Seiko Epson Corp 熱型光検出器、熱型光検出装置、電子機器および熱型光検出器の製造方法
JP5757254B2 (ja) * 2012-02-13 2015-07-29 三菱電機株式会社 半導体光素子および半導体光装置
JP7090904B2 (ja) * 2018-11-27 2022-06-27 国立研究開発法人物質・材料研究機構 発電装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2001153722A (ja) 2001-06-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100265472B1 (ko) 비냉각 적외선 검출기 및 그 형성방법
JP3730100B2 (ja) 熱型赤外線検出素子およびこれを用いた撮像装置
JP3514681B2 (ja) 赤外線検出器
EP1072875B1 (en) Infrared detector array with microbridge stucrure
JP4677044B2 (ja) 非冷却lwir検出器に組み合わされた可視すなわちswir検出器を有するデュアル・バンド撮像装置
US6495829B1 (en) Thermal infrared array sensor for detecting a plurality of infrared wavelength bands
CN102280455B (zh) 一种非制冷式红外焦平面阵列探测器
US7667202B2 (en) Multilayer-structured bolometer and method of fabricating the same
US6489614B1 (en) Thermal-type infrared radiation detector cell and image capture device incorporating the same
US9121761B2 (en) Infrared detectors
JP2002521646A (ja) デュアル帯域幅ボロメータ
KR101624762B1 (ko) 광 검출기
US20130161515A1 (en) Infrared ray detector and method of detecting infrared rays by using the same
US20150226612A1 (en) Bolometric detector with a mim structure including a thermometer element
RU2356017C2 (ru) Болометрический детектор, устройство для обнаружения инфракрасного излучения с использованием такого болометрического детектора и способ для изготовления этого детектора
JP2016070935A (ja) 異なる寸法のmim構造体を有する放射検出器
CN114964512A (zh) 一种微测辐射热计、制作方法及红外探测器
CN110943138B (zh) 基于干涉增强结构的胶体量子点红外焦平面阵列及制备方法
JP2003294523A (ja) 赤外線検出器およびその製造方法、並びに赤外線固体撮像装置
JP5353138B2 (ja) 赤外線撮像素子
JP2012122785A (ja) 赤外線検出素子、赤外線撮像装置
CN114739519B (zh) 探测器的封装盖板及其制备方法、探测器
JP2000186958A (ja) 熱型赤外線検出素子
US6429428B1 (en) Radiation detectors
JP2002054997A (ja) 熱型赤外線検出素子および赤外線撮像装置

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040302

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040428

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20050531

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20050630

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050726

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20050816

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20051004

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20051005

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081014

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091014

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091014

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101014

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111014

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees