JP3730022B2 - 印刷データ処理装置、印刷データ処理方法および記録媒体 - Google Patents

印刷データ処理装置、印刷データ処理方法および記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
印刷物の印刷データを処理する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より複数のページで構成される印刷物を製作する工程においては、複数のページの一部を1つの版(またはフィルム)として出力し、印刷することが多い。このような場合には、複数のページのそれぞれを別個に作成し、それらを合成して(いわゆる「面付け処理」を行って)から1つの版として出力することになる。
【0003】
図12は、第1の従来の合成処理例を説明するための図である。ここでは、説明の便宜上、2つのページを合成する例としている。
【0004】
複数のページのそれぞれを表す印刷データ(以下、「ページデータ」と称する)は、合成処理装置の端末101によって作成される。ここで、印刷データには、
▲1▼ページ記述言語で表現され、プログラマーが理解可能な「ページ記述データ」(例えば、「PDL」、「PDF」など)、
▲2▼ビットマップ展開される以前の「中間データ」(例えば、「網かけ前ラスターデータ」など)、
▲3▼最終出力形態である「ラスターデータ」(いわゆる「ビットマップデータ」)、
の3つのデータ形式が存在する。
【0005】
図示のように、オペレータが端末101を使用して作成するページは、通常、ページ記述データで表現されている。ここで、厳密には、オペレータが端末101を使用して作成するのはページ記述データで表現された原稿であり、その原稿が分割されて各ページが作成されることとなるが、ここでは説明を簡単にするため、端末101でページを作成することとする。ページ記述データで表現された2つのページは、アセンブラ102によって合成される。ここで、アセンブラ102は、単に2つのページを合成して1つの版とするのみであり、合成後の版はページ記述データで表現されている。なお、2台の端末101のそれぞれでページを作成する場合も、1台の端末101を使用して2つのページを作成する場合も、各ページは別個独立に作成されるため、いずれの場合も同様にアセンブラ102によってページ合成されることとなる。
【0006】
合成後の版は、インタプリタ103によって中間データに変換された後、さらにレンダ104を介してラスターデータに変換される。このラスターデータで表現された版が印刷物として出力可能な形態であり、レコーダ105から出力されて一連の処理が終了する。
【0007】
図13は、第2の従来の合成処理例を説明するための図である。この第2の例では、2台の端末101によって作成されたページ(ページ記述言語により作成されている)が、インタプリタ103、レンダ104を介して、それぞれ別個に中間データからラスターデータに変換される。そして、ラスターデータで表現された2つのページはアセンブラ102によって1つの版に合成される。合成後の版は、上記第1従来例と同様にラスターデータで表現されており、レコーダ105から出力される。
【0008】
第1従来例と第2従来例との相違点は、ページ合成をページ記述データの形式において行うか、ラスターデータの形式において行うかの違いであり、最終的にレコーダ105に入力される版の形態は同じである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来例には、以下のような問題がある。
【0010】
すなわち、印刷物の内容に関し、ラストミニッツチェンジと称されるような出力直前での価格表示や商品の差し替えなどの変更が必要な場合がある。このような場合、ページ内のパーツ(ページオブジェクト)の変更が必要なのであるが、上述した第1従来例、第2従来例にてこのような変更を行うとすると、端末101からデータ形式変換の初期段階たるページ記述言語で表現されたページの内容を変更しなければならなかった。
【0011】
また、装置に接続されている出力デバイスたるレコーダ105は通常、複数設けられていることが多く、それらの種類も異なるもの(例えば、イメージセッターとカラープリンタ)であることが多い。このような場合において、第1および第2従来例では、あるレコーダ105(例えば、カラープリンタ)からの出力結果を確認した後、他のレコーダ105(例えば、イメージセッター)から出力するようなとき、一旦中間データで表現された段階まで戻り、再びレンダによってラスター展開を行う必要があった。これは、出力デバイスごとに特性(例えば、解像度等)が異なり、その特性に応じたラスター展開を行わなければならないからである。
【0012】
上記いずれの場合においても、一度行ったデータ形式変換処理を再び行う必要がある。すなわち、ページ内のパーツの修正を行う場合、当該パーツ以外の内容については同一の内容についてデータ形式変換が繰り返されることとなる。また、出力デバイスを変更する場合には、同一の中間データに対してラスター展開が繰り返されることとなる。従って、一連のデータ処理全体としては無駄な部分が多く、装置全体としての処理効率が大幅に低下することとなっていた。
【0013】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、印刷データの処理に関して修正・変更を行う場合(例えば、パーツの修正を行う場合や出力手段を変更する場合等)であっても、処理効率の低下が少ない印刷データ処理技術を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、複数のページで構成される印刷物の印刷データを処理する装置であって、(a) ページ記述言語で表現された各ページの印刷データを、前記印刷物を構成する各ページに記載される各パーツの種類ごとに修正可能な固有のデータ形式を保ったままで前記各パーツをページ上に配置した第1中間状態へ変換する第1変換手段と、 (b) 前記第1中間状態に変換された後の各ページの印刷データを、複数種類の出力手段のそれぞれに固有の特性である出力される印刷物のサイズ及び解像度には依存しないまたは該固有の特性における許容限度を超えては依存しない第2中間状態に変換する第2変換手段と、 (c) 前記第2中間状態の各ページの印刷データを、前記複数種類の出力手段に出力可能な状態でそれぞれラスター展開可能な複数の第3変換手段と、 (d) 前記第1中間状態での印刷データまたは前記第1中間状態よりも上流側の印刷データを、各パーツの種類ごとに固有のデータ形式で修正可能な修正手段と、 (e) 各パーツに前記各変換手段における変換に関する履歴情報を付加する手段と、 (f) 既に前記第2中間状態以後の状態にまで変換された印刷データについて、前記各変換手段における変換の流れの上流側に戻って修正をする際に、前記履歴情報を参照することにより、前記修正手段による修正が可能でありかつ前記上流側への戻りを最小にする段階を特定する手段と、を備える
【0015】
また、請求項2の発明は、複数のページで構成される印刷物の印刷データを処理する方法であって、 (a) ページ記述言語で表現された各ページの印刷データを、前記印刷物を構成する各ページに記載される各パーツの種類ごとに修正可能な固有のデータ形式を保ったままで前記各パーツをページ上に配置した第1中間状態へ変換する第1変換工程と、 (b) 前記第1中間状態に変換された後の各ページの印刷データを、複数種類の出力手段のそれぞれに固有の特性である出力される印刷物のサイズ及び解像度には依存しないまたは該固有の特性における許容限度を超えては依存しない第2中間状態に変換する第2変換工程と、 (c) 前記第2中間状態の各ページの印刷データを、前記複数種類の出力手段に出力可能な状態でそれぞれラスター展開する第3変換工程と、 (d) 前記第1中間状態での印刷データまたは前記第1中間状態よりも上流側の印刷データを、各パーツの種類ごとに固有のデータ形式で修正する修正工程と、 (e) 各パーツに前記各変換工程における変換に関する履歴情報を付加する工程と、 (f) 既に前記第2中間状態以後の状態にまで変換された印刷データについて、前記各変換工程における変換の流れの上流側に戻って修正をする際に、前記履歴情報を参照することにより、前記修正工程における修正が可能でありかつ前記上流側への戻りを最小にする段階を特定する工程と、を備える
【0016】
また、請求項3の発明は、コンピュータに複数のページで構成される印刷物の印刷データを処理させる画像プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、当該画像プログラムが実行されることによって前記コンピュータに、 (a) ページ記述言語で表現された各ページの印刷データを、前記印刷物を構成する各ページに記載される各パーツの種類ごとに修正可能な固有のデータ形式を保ったままで前記各パーツをページ上に配置した第1中間状態へ変換する第1変換手順と、 (b) 前記第1中間状態に変換された後の各ページの印刷データを、複数種類の出力手段のそれぞれに固有の特性である出力される印刷物のサイズ及び解像度には依存しないまたは該固有の特性における許容限度を超えては依存しない第2中間状態に変換する第2変換手順と、 (c) 前記第2中間状態の各ページの印刷データを、前記複数種類の出力手段に出力可能な状態でそれぞれラスター展開する第3変換手順と、 (d) 前記第1中間状態での印刷データまたは前記第1中間状態よりも上流側の印刷データを、各パーツの種類ごとに固有のデータ形式で修正する修正手順と、 (e) 各パーツに前記各変換手順における変換に関する履歴情報を付加する手順と、 (f) 既に前記第2中間状態以後の状態にまで変換された印刷データについて、前記各変換手順における変換の流れの上流側に戻って修正をする際に、前記履歴情報を参照することにより、前記修正手順における修正が可能でありかつ前記上流側への戻りを最小にする段階を特定する手順と、を行わせる画像プログラムを記録している
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0026】
<A.印刷データ処理装置の構成概要>
図1は、本発明に係る印刷データ処理装置を組み込んだシステムの構成例を示す図である。5台の端末10と印刷データ処理装置1とがデータライン5を介してネットワークを形成している。それぞれの端末10は、卓上型コンピュータであり、オペレータの指示に基づいて原稿を作成するとともに、印刷データ処理装置1にオペレータの指示を伝達する機能を有している。端末10で作成された原稿は、プリンタドライバー11によってページ記述データのデータ形式で出力される。なお、端末10が出力するデータ形式は、ページ記述データに限らず、以前に作成したラスターデータ等を磁気ディスクなどに保存しておき、それを出力するようにしてもよい。また、端末10はワークステーションでもよく、さらにその台数も5台に限定されず、少なくとも1台以上あればよい。
【0027】
印刷データ処理装置1は、端末10で作成された複数の原稿をページに分割し、複数のページを1つの版に合成しつつそのデータ形式の変換処理を行うとともに、最終的な印刷物として出力する機能を有する。印刷データ処理装置1は、一連のデータ形式変換処理を行うデータ処理部20と、磁気ディスク15と、3つの出力部80、81、82と、ページ内のパーツを修正するためのパーツ編集部(修正手段)70とを備えている。
【0028】
図2は、データ処理部20の概略構成を示す機能ブロック図である。データ処理部20はコンピュータを用いて構成されており、図示の如く、入力インターフェイス21、ページセパレータ22、第1合成部30、インタプリタ23、第2合成部31、第1ラスター化部24、第3合成部32、第2ラスター化部25a、25b、25c、第4合成部33a、33b、33cおよび出力インターフェイス26a、26b、26cを備えている。なお、以降の説明において、第2ラスター化部25a、25b、25cのそれぞれを相互に区別する必要のないときは、これらを総称して第2ラスター化部25とする。同様に、第4合成部33a、33b、33cおよび出力インターフェイス26a、26b、26cについてもこれらを総称してそれぞれ第4合成部33および出力インターフェイス26とする。各端末10から転送された原稿のデータは図2にて示す順に送られ、出力インターフェイス26a、26b、26cから送信されたデータはそれぞれ出力部80、81、82から出力される。
【0029】
入力インターフェイス21および出力インターフェイス26a、26b、26cは、それぞれ端末10および出力部80、81、82との接続に使用されるインターフェイスである。ページセパレータ22は、端末10で作成された原稿をページに分割する処理部である。また、インタプリタ23はページ記述データを第1中間データに変換し、第1ラスター化部24は第1中間データを第2中間データに変換し、第2ラスター化部25は第2中間データをラスターデータに変換する処理部である。なお、第2ラスター化部25a、25b、25cはそれぞれ出力部80、81、82のための変換処理(ラスター展開)を行う。
【0030】
ここで、「ページ記述データ」および「ラスターデータ」については上述した通りである。また、「第1中間データ」とは、上記従来の中間データと同義であるとともに、各パーツの種類ごとに固有のデータ形式を保ったままのデータである。さらに、「第2中間データ」とは、上記従来のラスターデータの前段階のデータであり、出力部80、81、82のそれぞれに固有の特性には依存しないまたは所定の許容限度を超えては依存しない状態のデータである。なお、「第1中間データ」および「第2中間データ」についてはさらに後述する。
【0031】
第1合成部30、第2合成部31、第3合成部32および第4合成部33は、それぞれページ記述データ、第1中間データ、第2中間データ、ラスターデータで表現されたページを合成する処理部である。
【0032】
これらの各処理部を制御するための制御部40がデータ処理部20内に設けられている。制御部40は、CPUを用いて構成されているが、CPUの数は1つに限られず、複数である方がより好ましい。CPUが複数であれば、1つの版を構成するページごとに分割して複数のCPUに負担させることができるため、処理効率の向上につながるからである。
【0033】
また、制御部40は、履歴情報付加部41と修正対象データ検出部42とを備えている。制御部40に設けられたこれら各処理部は、磁気ディスク15に格納されている処理用ソフトウェアに応じて実行される処理内容を表しており、その処理内容についてはさらに後述する。
【0034】
磁気ディスク15には、データ処理部20の処理用ソフトウェアの他に、後述する種々のデータ形式のページデータ、パーツデータや印刷データ処理装置1の作業情報が格納されている。なお、磁気ディスク15には、他のディスクドライブなどを接続し、下記の処理手順をプログラムとして記録しておいた記録媒体としてのディスク16(例えば、磁気ディスクや光ディスクなど)からそのプログラムやデータを読み出して後述する処理を実行させるようにしてもよい。
【0035】
出力部80、81、82は、相互に種類の異なる出力デバイスである。なお、パーツ編集部70についてはさらに後述する。
【0036】
<B.ページ合成処理の内容>
次に、上記のような構成を有するデータ処理部20におけるページ合成処理の内容を具体的な例を示しつつ説明する。ここでは、まずパーツの修正や出力部の変更がない場合における処理手順についてその概略を説明した後、パーツの修正や出力部の変更を行う手順を説明する。
【0037】
図3は、ページ合成処理の手順を示すフローチャートである。また、図4は、データ処理部20において複数のページデータが処理される様子を説明するための図である。さらに、図5は、複数ページの合成の一例を示す概念図である。
【0038】
ページ合成処理に先立って、まずページ分割が行われる。ページ分割は、印刷物を構成する各ページの大きさを統一するために行われる。すなわち、端末10で作成された原稿はデータ処理部20に転送され、ページセパレータ22によって複数のページに分割され、その分割されたページが合成処理に供されることとなる。ここで考えている例においては、図4に示すように、第1ページから第5ページまでの5ページが合成処理に供される。但し、ページセパレータ22によって分割されるのは、ページ記述データで表現された原稿であり(図4の第1ページから第4ページ)、最初からラスターデータとして転送されたデータ(図4の第5ページ)は、既にページ単位のデータであるため分割されることはない。もっとも、これら5ページは、1つの端末10から送られたデータでもよく、また、別々の端末10から送られたものでもよい。なお、ページ分割によってデータ形式が変換されることはない。
【0039】
次に、分割されたページの合成処理に際しては、まずステップS1(図3)において、対象とするページのページデータが処理可能なデータ形式であるか否かが制御部40によって判断される。ここで、各ページは予めいずれのデータ形式において合成されるかがオペレータによって指定されており、各ページのその時点におけるデータ形式も識別子によって判別可能とされている。このことを図6および図7を用いて説明する。
【0040】
図6は磁気ディスク15内に格納されているデータの階層構造の一例を示す図であり、また、図7は図6に示すデータの一部として付与されている管理データの一例の要部を示す図である。
【0041】
磁気ディスク15内には、ジョブデータ、インポーズデータ、ブックデータ、ページデータ、パーツデータと合成済みのページ記述データ、第1中間データ、第2中間データ、ラスターデータが図6に示す階層構造で格納される。ジョブデータとは、データ処理部20の作業情報が示されたデータであり、各ページがいずれのデータ形式において合成されるべきか或いは印刷物を出力部80、81、82のうちのいずれから出力するかは、このジョブデータに予めオペレータが指定・記録しておく。インポーズデータとは、ページ合成処理におけるページの配置情報、すなわち面付け情報が記録されているデータである。
【0042】
ブックデータ、ページデータ、パーツデータは、それぞれ最終製品である印刷物、その印刷物を構成するページ、当該ページに記載されるパーツを示すデータである。なお、図6には、図示の便宜上、第1ページおよび第2ページのデータしか示していないが、印刷物を構成する全てのページが同様にページデータとして格納されている。同様に、図6には4つのパーツデータしか示していないが、各ページに含まれる全てのパーツがパーツデータとして磁気ディスク15内に格納されている。
【0043】
上記ページデータ、パーツデータおよび合成済みの第1中間データ、第2中間データ、ラスターデータの一部には図7に示すような管理データが記録されている。なお、図7(a)は合成済みの第1中間データ、(b)は合成済みの第2中間データ、(c)は合成済みのラスターデータ、(d)(g)はページデータ、(e)(f)はパーツデータの管理データの例をそれぞれ示している。
【0044】
管理データの要部は、図7に示すようにページの属性を示す「キー」とその値である「バリュー」とで構成されている。「キー」としては、例えば、「ID」、「タイプ」、「データ形式」、「期日」などがある。ここで、本実施形態においては「データ形式」に、その時点の当該ページ、パーツ等のデータ形式が書き込まれている。また、「期日」には、当該データがいつの時点で作成されたかが書き込まれている。なお、図7に示す管理データは、制御部40の履歴情報付加部41によってそれぞれのデータに付加されるものである。
【0045】
制御部40が、各ページのその時点におけるデータ形式として認識する識別子は、各ページに付加された管理データの「データ形式」である。例えば、図7(d)の場合には当該ページのデータ形式は、ページ記述データと判別され、図7(g)の場合には当該ページのデータ形式がラスターデータと判別される。なお、そのページのデータ形式が変換された場合には、それに伴ってページの管理データの「データ形式」および当該ページに含まれるパーツの管理データの「データ形式」も変更される。
【0046】
図3に戻り、ステップS1における作業は、制御部40がジョブデータに記録されている「そのページが合成されるべきデータ形式」とページ管理データから判別される「データ形式」との比較を行うことである。
【0047】
例えば、図4において、「第1ページおよび第2ページがページ記述データで合成され、第3ページは第1中間データで合成され、第4ページは第2中間データで合成され、第5ページはラスターデータで合成される」とジョブデータに記録されているとする。一方、第1ページから第4ページはページ記述データの原稿を分割した”ページ記述データ”で表現されたページ(図7(d)の如き管理データを有するページ)であり、また、第5ページは”ラスターデータ”で表現されたページ(図7(g)の如き管理データを有するページ)である。従って、第1ページはステップS1において処理可能なデータ形式と判断され、ステップS3に進むこととなる。
【0048】
ステップS3では、ブックデータに含まれる全てのページについて処理を行ったか否かについて判断する。ここでは、まだ第1ページしか処理されていないため、ステップS5に進み、処理対象となるページのページ数を進め、第2ページとする。その後、再びステップS1に戻り、第2ページについて処理が行われる。
【0049】
第2ページも合成すべきデータ形式と判断時点におけるデータ形式とが一致しているため、処理可能と判断され、上記と同様の経過をたどる。
【0050】
次に、第3ページについては、合成すべきデータ形式が”第1中間データ”であり、判断時点におけるデータ形式が”ページ記述データ”であるため、処理不可能と判断され、ステップS2に進み、第3ページのデータ形式を合成すべきデータ形式に変換する処理が行われる。この変換処理は、ページ記述データを第1中間データに変換する処理であるため、インタプリタ23によって行われる。データ形式の変換処理後は、ステップS3に進み、上記と同様の処理が行われる。さらに、第4ページについては、合成すべきデータ形式が”第2中間データ”であり、判断時点におけるデータ形式が”ページ記述データ”であるため、処理不可能と判断され、ステップS2に進み、第4ページのデータ形式の変換処理が行われる。このときには、インタプリタ23によってページ記述データを第1中間データに変換した後、第1ラスター化部24によって第1中間データを第2中間データに変換する。データ形式の変換処理後は、ステップS3に進み、上記と同様の処理が行われる。
【0051】
次に、第5ページの処理が行われるが、このページは合成すべきデータ形式が”ラスターデータ”であり、判断時点におけるデータ形式も”ラスターデータ”であるため、処理可能と判断され、データ形式の変換処理は行われずにステップS3に進む。以下、上記と同様の手順が繰り返され、処理対象となっている印刷物の全てのページについて処理が終了すると、ステップS4に進む。
【0052】
ステップS4の段階では、すべてのページのデータ形式が合成すべきデータ形式となっており、インポーズデータに従って合成処理を行う。図5は、この処理を概念的に示している。ステップS4では、合成すべきページのデータ形式に応じて、第1合成部30、第2合成部31、第3合成部32、第4合成部33のいずれかにおいて合成処理を行う。すなわち、ページ記述データで表現された第1ページおよび第2ページは、第1合成部30で版に合成される。合成時のページの配置はインポーズデータに従って決定される。第1合成部30で合成された版は、ページ記述データであるため、インタプリタ23によって第1中間データに変換される。第1中間データに変換された版と第3ページとは、第2合成部31によって合成される。第3ページの配置もインポーズデータに従って決定される。そして、第2合成部31によって第1中間データのデータ形式で合成された版のデータは、合成済み第1中間データとして磁気ディスク15内に格納されるとともに(図6参照)、履歴情報付加部41によって図7(a)にて示す如き管理データが付加される。
【0053】
図5に戻り、第1中間データのデータ形式で合成された版は第1ラスター化部24によって第2中間データに変換される。第2中間データに変換後の版と第4ページは第3合成部32によって合成される。この際にも、ページの配置はインポーズデータに従って決定される。そして、第3合成部32によって第2中間データのデータ形式で合成された版のデータは、合成済み第2中間データとして磁気ディスク15内に格納されるとともに(図6参照)、履歴情報付加部41によって図7(b)にて示す如き管理データが付加される。
【0054】
その後、第2中間データのデータ形式で合成された版は第2ラスター化部25によってラスターデータに変換され、第5ページと第4合成部33によって合成される。この際にも、上記同様、ページの配置はインポーズデータに従って決定される。そして、第4合成部33によってラスターデータのデータ形式で合成された版のデータは、合成済みラスターデータとして磁気ディスク15内に格納されるとともに(図6参照)、履歴情報付加部41によって図7(c)にて示す如き管理データが付加されるのである。
【0055】
なお、第2ラスター化部25は出力部80、81、82のそれぞれに固有の特性に依存した変換を行うため、第2ラスター化部25a、25b、25cのうちいずれにおいて変換処理が行われるかはオペレータによってジョブデータに指定される出力部に応じて定められる。例えば、出力部80から出力する場合には、第2ラスター化部25aによって変換され、第4合成部33aにおいて合成が行われる(但し、図4では、図示の便宜上、第2ラスター化部25cによって変換され、第4合成部33cにおいて合成が行われるものとしている)。
【0056】
また、上述のように、合成処理が行われたデータには管理データが付加される。管理データは、各ページデータおよび各パーツデータにも付加されており、それら管理データの「データ形式」、「期日」を参照することにより、各ページおよび各パーツがどのような処理履歴を辿ったかを知ることができる。すなわち、各ページおよび各パーツの管理データの「データ形式」は合成直前のデータ形式が記されていることとなるため、当該データ形式にて合成されたことが分かり、合成後の履歴については合成済みの各データの管理データ(図7(a)〜(c))から知ることができる。換言すれば、上記管理データは各ページおよび各パーツについての一連の変換の履歴情報であり、そのような管理データを付加する履歴情報付加部41は履歴情報を付加する手段としての役割を果たしているのである。なお、管理データの形態としては、図7に示すようなものに限られず、各ページおよび各パーツについての一連の変換の履歴情報を把握できるようなものであれば良い。
【0057】
以上のようにして、図4に示すように、第1ページから第5ページまでが1つの版に合成される。合成後の版は、出力インターフェイス26を介して出力部80、81、82のいずれかに転送され、出力処理が行われる。
【0058】
上述した例における処理内容の特徴は、複数のページの合成処理とデータ形式変換処理とを分散して行っていることである。そして、合成処理とデータ形式変換処理とを分散して行っていることにより、個々の処理におけるデータ量が著しく増大することはなくなるため、短時間の処理が可能となる。特に、制御部40に複数のCPUを備えている場合は、それらに個々の処理を分担させることができるため、処理効率を著しく向上させることが可能となる。
【0059】
また、ページの作成時期やデータ形式が異なる場合であっても、合成処理とデータ形式変換処理とが分散されて行われているため、処理効率が顕著に低下することはない。例えば、上記の例では、第5ページのみのデータ形式が異なっている。また、上記において、第4ページの作成が遅れたとしても、第1ページから第3ページまでのデータ形式変換処理および第1合成部30および第2合成部31による合成処理は可能である。
【0060】
なお、上述した例は一例であり、ページ記述データで表現された第1ページから第4ページについては、ジョブファイルに記録されている合成すべきデータ形式を他の形式にすれば、図4に示すように任意の合成部において合成可能である。例えば、第1ページから第4ページの全てをラスターデータのデータ形式で合成するように指定することも可能である。もっとも、この場合は、すべてのページが第4合成部33によって合成されることとなるため、既述した第2従来例と同じになり、結果として、処理効率の上昇は望めないことになる。従って、オペレータが合成すべきデータ形式をジョブファイルに記録する際には、合成処理をなるべく分散させるようにすることが望ましい。但し、第5ページのように処理前からラスターデータで表現されているページを第1合成部30、第2合成部31または第3合成部32で合成するように指定することは認められない。
【0061】
<C.ページの差替処理>
ところで、上記のようにして作成した印刷物の内容について修正を行いたい場合も多い。例えば、新たなページを追加したい場合や、既述したラストミニッツチェンジと称されるようなパーツの修正が必要な場合などが該当する。このような場合に、その修正の程度に応じてデータ処理部20ではページ差替処理またはパーツ修正処理を行う。以下、このページ差替処理について説明した後、さらにパーツ修正処理について説明する。
【0062】
図8は、ページ差替処理の手順の一例を示すフローチャートである。この例では、オペレータが印刷物の原稿の一部を修正し、その修正した原稿の全てを端末10からデータ処理部20に入力する場合についてのページ差替処理である。したがって、ページセパレータ22によって分割された修正原稿に係るページ(以下、「修正ページ」と称する)には、元と同じページと異なるページとが混在している。
【0063】
まず、ステップS81において、処理対象としている修正ページとそれに対応する元のページとを比較し、相違点の有無について判断する。修正ページと元のページとが同じ場合には、ステップS84に進み、ブックデータに含まれる全てのページについて処理を行ったか否かについて判断し、未処理ページが残っているときにはページ数を進め(ステップS85)、ステップS81に戻る。
【0064】
一方、修正ページと元のページとが異なる場合には、ステップS82に進み、その修正ページに対応する元のページの消去が行われる。なお、ここでは、必ずしも元のページを消去する必要はなく、修正ページを元のページに上書きするようしてもよいし、元のページの間に挿入するようにしてもよい。次に、ステップS83に進み、修正ページのページデータを合成すべきデータ形式に変換する処理が行われる。この変換処理は、図3のステップS2と同じ処理であり、オペレータが予めジョブファイルに指定・記録しておいた合成すべきデータ形式に変換する。なお、修正ページのデータ形式が合成すべきデータ形式と同じ場合には、変換処理は行われずそのままステップS84に進む。
【0065】
このような手順を繰り返し、やがてブックデータに含まれる全てのページについて処理が終了すると、ステップS86に進み、インポーズデータに従って修正ページの合成処理を行う。この処理は、図3のステップS4と同じ処理であり、例えば、修正ページがラスターデータに変換されている場合には、第4合成手段33によって合成される。なお、ここで合成されるのはステップS81において元のページと異なると判断された修正ページのみである。
【0066】
図9は、ページ差替処理の手順の他の例を示すフローチャートである。この例では、オペレータが印刷物の一部のページを修正し、その修正分のみをデータ処理部20に入力した場合についてのページ差替処理である。したがって、修正ページには、元と異なるページのみが存在している。
【0067】
まず、ステップS91において、修正ページに対応する元のページの消去が行われる。この処理は、図8のステップS82と同じである。そして、必ずしも元のページを消去する必要はなく、修正ページを元のページに上書きするようしてもよいし、元のページの間に挿入するようにしてもよい。
【0068】
次に、ステップS92に進み、修正ページのページデータを合成すべきデータ形式に変換する処理が行われる。この変換処理は、図3のステップS2と同じ処理であり、オペレータが予めジョブファイルに指定・記録しておいた合成すべきデータ形式に変換する。また、上記と同様に、修正ページのデータ形式が合成すべきデータ形式と同じ場合には、変換処理は行われない。
【0069】
次に、ステップS93に進み、修正分のページが全て処理されたか否かを判断する。修正分の全てのページが処理されていない場合には、修正ページのページ数を進め(ステップS95)、ステップS91に戻る。
【0070】
一方、修正分のページが全て処理されている場合には、ステップS94に進み、インポーズデータに従って修正ページの合成処理を行う。この処理は、図3のステップS4と同じ処理であり、例えば、修正ページが第1中間データに変換されている場合には、第2合成手段31によって合成される。
【0071】
図8または図9に示したいずれの手順においても、修正前後の差分のみを再合成処理している点においては共通している。そして、最初から全ての処理を再度行うことなく、修正前後の差分のみを再合成処理しているため、作業性が低下せず、容易に修正を行うことができる。
【0072】
<D.パーツの修正処理>
次に、出力直前での価格表示や商品の差し替えなどの変更が必要な場合における、パーツの修正処理について説明する。このような場合、上述したページの差替処理によっても修正可能ではあるが、当該ページに含まれる修正に係るパーツ以外のパーツについても再度一連の変換処理を行わなければならない。
【0073】
このため、本実施形態においては、パーツ編集部70(図1参照)からページ内の一部のパーツのみを修正できるようにしている。このときには、修正後の変換処理を最も少なくできるようなデータに対して、修正を行うことになる。すなわち、ページ内のパーツのみの修正は、上述したいかなるデータ形式のデータに対しても行えるものではない。パーツ編集部70によるページ内のパーツのみの修正は、各パーツの種類ごとに修正可能な固有のデータ形式を保ったままの状態である第1中間データまたは第1中間データよりも上流側(より原稿に近い側)のページ記述データにてページデータが表現される場合においてのみ可能である。そして、修正を行いたいパーツについて、ページ内のパーツのみの修正が可能なデータのうち修正後の変換処理を最も少なくできる(上流側への戻りを最小にする)データを制御部40の修正対象データ検出部42が各データの管理データを参照しつつ特定するのである。
【0074】
例えば、上述した図4、図5における第3ページ内のパーツについて修正を行いたいとする。修正対象データ検出部42が当該パーツについての管理データ(パーツデータの管理データおよび合成済みデータ)を参照することにより、第3ページが第1中間データにて合成されていたことが分かり、合成済み第1中間データが上流側への戻りを最小にするデータとして特定されるのである。
【0075】
合成済み第1中間データは、各パーツの種類ごとに固有のデータ形式を保ったままで各パーツをページ上に配置した状態のデータであり、通常はこのデータが上流側への戻りを最小にするデータとして特定される。
【0076】
特定されたデータにおけるページ内のパーツのみの修正は、以下のような手順により行われる。図10は、パーツ修正処理の手順を示すフローチャートである。
【0077】
まず、ステップS11において、上記特定されたデータにて表現されているページから制御部40が当該修正対象パーツのデータを取り出す。そして、オペレータがパーツ編集部70を介して修正対象パーツの再編集を行う(ステップS12)。このときには、当該ページ内に含まれる全ての修正対象パーツについて再編集を行う。その後、制御部40が修正後の変更パーツを元のページに戻す(ステップS13)。この際に、修正後変更パーツは、上記特定されたデータにて表現されている元ページに戻されることとなる。すなわち、パーツ編集部70からの編集は、上流側への戻りを最小にするデータとして特定されたデータ上において行われるものであり、例えば上述した第3ページ内のパーツについて修正を行う場合は、合成済み第1中間データ上において行われる。
【0078】
次に、ステップS14に進み、修正対象パーツを含む全てのページについてステップS11〜S13の処理が行われたか否かが制御部40によって判断される。全てのページについて処理が行われていない場合は、ページ数を進め(ステップS15)、ステップS11に戻る。
【0079】
一方、全てのページが処理されている場合には、ステップS16に進み、インポーズデータに従って合成処理を行う。この処理は、図3のステップS4と同じ処理であり、例えば、図4、図5における第4ページ内のパーツについて修正を行う場合は、第1中間データにて表現されたページデータに対して修正が行われ、第2中間データに変換された後、第3合成手段32によって合成される。
【0080】
以上のようにすれば、ページ内のパーツの修正を行う場合に、修正可能でありかつ修正後の変換処理を最も少なくできるデータを特定し、その特定されたデータ上において修正処理を行っているため、当該ページをページ記述データから再変換する場合に比較して処理効率の低下が少なくなる。
【0081】
<E.出力部の変更>
次に、出力部80、81、82の変更を行う場合について説明する。例えば、出力部82からの出力結果を確認した後、他の出力部80から出力するような場合である。
【0082】
既述したように、第1ラスター化部24によって変換されるデータ形式は第2中間データであり、第2中間データとは従来のラスターデータの前段階のデータであって、出力部80、81、82のそれぞれに固有の特性には依存しないまたは所定の許容限度を超えては依存しない状態のデータである。ここで、出力部80、81、82のそれぞれに固有の特性とは、主としてそれら出力部80、81、82から出力される印刷物の「サイズ」および「解像度」である。
【0083】
従って、第1ラスター化部24は、出力部80、81、82から出力される印刷物の「サイズ」および「解像度」には依存しない変換処理を行うのである。具体的には、第1ラスター化部24は、「パーツ間重複領域除去処理(複数のパーツが相互に重なる場合に、どのパーツを現出するかを決定する処理)」、「フォントデータの呼び出し」、「解像度変換」、「トラッピング処理(印刷時の版ずれに対応すべく、濃度の高い方の領域を太らせる処理)」、「輪郭強調処理」、「回転」および「ベクターラスター変換」までを行うのである。なお、上記のうち、「パーツ間重複領域除去処理」、「フォントデータの呼び出し」は出力部80、81、82の固有の特性に全く依存しない処理であるが、「トラッピング処理」、「輪郭強調処理」、「回転」および「ベクターラスター変換」は厳密には出力部80、81、82の固有の特性に依存するものの、その依存性は無視しても妥協できる範囲内であり、当該固有の特性に所定の許容限度を超えては依存しない処理と言える。また、ここでの「解像度変換」は、出力部80、81、82のうちの最も高い解像度への変換であり、固有の特性に所定の許容限度を超えては依存しない処理に含められる。よって、本実施形態の第2中間データは、出力部80、81、82のそれぞれに固有の特性に所定の許容限度を超えては依存しない状態のデータである。
【0084】
一方、第2ラスター化部25は、出力部80、81、82のそれぞれに固有の特性(「サイズ」および「解像度」)に依存した変換処理を行って、最終的なラスターデータを得るのである。具体的には、「サイズ」に応じた合成処理、「解像度」に応じた解像度変換および網掛けを行う。そして、例えば、出力部82から出力する場合には、出力部82の「サイズ」および「解像度」に応じた変換処理を第2ラスター化部25cが行った後、出力部82から出力するのである。
【0085】
ここで、例えば、出力部82からの出力結果を確認した後、他の出力部80から出力するような場合には、第2中間データが出力部80、81、82のそれぞれに固有の特性に所定の許容限度を超えては依存しない状態のデータであるため、上記第2中間データに対して第2ラスター化部25aによる変換処理のみを行えば、出力部80用のラスターデータが得られるのである。
【0086】
図11は、このような出力部の変更を行った場合の第2ラスター化部25における処理手順を示すフローチャートである。まず、ステップS21においては、出力部の「サイズ」に応じたインポーズデータが磁気ディスク15から選択される。例えば、出力部82のサイズがA2であって、出力部80のサイズがA1の場合は、第2ラスター化部25aがA1用のインポーズデータを選択するのである。なお、インポーズデータとは、既述したように、面付け情報が記録されているデータである。そして、ステップS22に進み、選択したインポーズデータに従って第2ラスター化部25が合成処理を行う。
【0087】
次に、出力部の「解像度」に応じた解像度変換処理が行われる(ステップS23)。解像度変換については、既に第1ラスター化部24が出力部80、81、82のうちの最も高い解像度に合わせた変換を行っている。従って、例えば、出力部80、81、82のうち出力部82の解像度が最も高い場合において、出力先を出力部80に変更したときは、出力部80の解像度に応じた解像度変換(いわゆる間引き処理)が行われる。
【0088】
その後、出力部の種類に応じた網掛け処理が行われ(ステップS24)、変更された出力部に適したラスターデータが得られるのである。
【0089】
以上のようにすれば、出力部の変更を行う場合に、ラスター展開のうち第1ラスター化部24による処理、すなわち出力部のそれぞれに固有の特性には依存しないまたは所定の許容限度を超えては依存しない処理については再度行う必要はなく、第2ラスター化部25による処理のみを行えば良いので、従来のように全てのラスター展開を繰り返すのに比較して処理効率の低下が少なくなる。
【0090】
なお、上記においては、出力部の固有の特性に所定の許容限度を超えては依存しない処理の一例について説明したが、当該処理は上記の例に限定されるものではなく、出力部80、81、82を構成するデバイスの種類に応じて適宜変更することができる。また、出力部の数も3つに限定されるものでないことは勿論である。
【0091】
上述した、パーツ修正処理および出力部変更処理の内容について総括すると、ページ記述データからラスターデータに至るまでの一連の変換の中の所定の段階で実行され、かつ当該一連の変換のうち所定の段階(パーツ修正処理の場合はインタプリタ23、出力部変更処理の場合は第1ラスター化部24)よりも後段側(下流側すなわち出力部側)での変換条件には依存しないまたは所定の許容限度を超えては依存しない所定の中間状態(パーツ修正処理の場合は合成済み第1中間データ、出力部変更処理の場合は第2中間データ)にデータ形式を変換しているため、パーツの修正、出力部の変更を行う場合であっても、当該中間状態までの変換については再度行う必要が無くなり、所定の段階よりも後段側での変換のみを行えば良く、その結果、処理効率の低下を少なくすることができるというものである。
【0092】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1および請求項の発明によれば、ページ記述言語で表現された各ページの印刷データを、印刷物を構成する各ページに記載される各パーツの種類ごとに修正可能な固有のデータ形式を保ったままで各パーツをページ上に配置した第1中間状態へ変換することができ、第1中間状態に変換された後の各ページの印刷データを、複数種類の出力手段のそれぞれに固有の特性である出力される印刷物のサイズ及び解像度には依存しないまたは該固有の特性における許容限度を超えては依存しない第2中間状態に変換できるとともに、第2中間状態の各ページの印刷データを、複数種類の出力手段に出力可能な状態でそれぞれラスター展開可能であるため、出力手段を変更する場合に、固有の特性には依存しないまたは許容限度を超えては依存しない変換処理については再度行う必要がなくなり、処理効率の低下を少なくすることができる。また、第1中間状態での印刷データまたは第1中間状態よりも上流側の印刷データを、各パーツの種類ごとに固有のデータ形式で修正可能とし、各パーツに各変換段階における変換に関する履歴情報を付加するとともに、既に第2中間状態以後の状態にまで変換された印刷データについて、一連の変換の流れの上流側に戻って修正をする際に、履歴情報を参照することにより、修正が可能でありかつ上流側への戻りを最小にする段階を特定しているため、パーツの修正を行う場合に、修正後の変換が最小となり、処理効率の低下を少なくすることができる
【0093】
また、請求項3の発明によれば、コンピュータに、 (a) ページ記述言語で表現された各ページの印刷データを、印刷物を構成する各ページに記載される各パーツの種類ごとに修正可能な固有のデータ形式を保ったままで各パーツをページ上に配置した第1中間状態へ変換する第1変換手順と、 (b) 第1中間状態に変換された後の各ページの印刷データを、複数種類の出力手段のそれぞれに固有の特性である出力される印刷物のサイズ及び解像度には依存しないまたは該固有の特性における許容限度を超えては依存しない第2中間状態に変換する第2変換手順と、 (c) 第2中間状態の各ページの印刷データを、複数種類の出力手段に出力可能な状態でそれぞれラスター展開する第3変換手順と、 (d) 第1中間状態での印刷データまたは第1中間状態よりも上流側の印刷データを、各パーツの種類ごとに固有のデータ形式で修正する修正手順と、 (e) 各パーツに各変換手順における変換に関する履歴情報を付加する手順と、 (f) 既に第2中間状態以後の状態にまで変換された印刷データについて、各変換手順における変換の流れの上流側に戻って修正をする際に、履歴情報を参照することにより、修正手順における修正が可能でありかつ上流側への戻りを最小にする段階を特定する手順と、を行わせる画像プログラムを記録した記録媒体をコンピュータに読み取らせて実行させることにより請求項1の発明と同様の効果を得ることができる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る印刷データ処理装置を組み込んだシステムの構成例を示す図である。
【図2】データ処理部の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図3】ページ合成処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】図2のデータ処理部におけて複数のページデータが処理される様子を説明するための図である。
【図5】複数ページの合成の一例を示す概念図である。
【図6】図1の磁気ディスク内に格納されているデータの階層構造の一例を示す図である。
【図7】図6に示すデータの一部として付与されている管理データの一例の要部を示す図である。
【図8】ページ差替処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】ページ差替処理の手順の他の例を示すフローチャートである。
【図10】パーツ修正処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】出力部の変更を行った場合の第2ラスター化部における処理手順を示すフローチャートである。
【図12】第1の従来の合成処理例を説明するための図である。
【図13】第2の従来の合成処理例を説明するための図である。
【符号の説明】
1 印刷データ処理装置
15 磁気ディスク
16 ディスク
20 データ処理部
23 インタプリタ
24 第1ラスター化部
25a、25b、25c 第2ラスター化部
40 制御手段
41 履歴情報付加部
42 修正対象データ検出部
70 パーツ編集部
80、81、82 出力部

Claims (3)

  1. 複数のページで構成される印刷物の印刷データを処理する装置であって、
    (a) ページ記述言語で表現された各ページの印刷データを、前記印刷物を構成する各ページに記載される各パーツの種類ごとに修正可能な固有のデータ形式を保ったままで前記各パーツをページ上に配置した第1中間状態へ変換する第1変換手段と、
    (b) 前記第1中間状態に変換された後の各ページの印刷データを、複数種類の出力手段のそれぞれに固有の特性である出力される印刷物のサイズ及び解像度には依存しないまたは該固有の特性における許容限度を超えては依存しない第2中間状態に変換する第2変換手段と、
    (c) 前記第2中間状態の各ページの印刷データを、前記複数種類の出力手段に出力可能な状態でそれぞれラスター展開可能な複数の第3変換手段と、
    (d) 前記第1中間状態での印刷データまたは前記第1中間状態よりも上流側の印刷データを、各パーツの種類ごとに固有のデータ形式で修正可能な修正手段と、
    (e) 各パーツに前記各変換手段における変換に関する履歴情報を付加する手段と、
    (f) 既に前記第2中間状態以後の状態にまで変換された印刷データについて、前記各変換手段における変換の流れの上流側に戻って修正をする際に、前記履歴情報を参照することにより、前記修正手段による修正が可能でありかつ前記上流側への戻りを最小にする段階を特定する手段と、
    を備えることを特徴とする印刷データ処理装置。
  2. 複数のページで構成される印刷物の印刷データを処理する方法であって、
    (a) ページ記述言語で表現された各ページの印刷データを、前記印刷物を構成する各ページに記載される各パーツの種類ごとに修正可能な固有のデータ形式を保ったままで前記各パーツをページ上に配置した第1中間状態へ変換する第1変換工程と、
    (b) 前記第1中間状態に変換された後の各ページの印刷データを、複数種類の出力手段のそれぞれに固有の特性である出力される印刷物のサイズ及び解像度には依存しないまたは該固有の特性における許容限度を超えては依存しない第2中間状態に変換する第2変換工程と、
    (c) 前記第2中間状態の各ページの印刷データを、前記複数種類の出力手段に出力可能な状態でそれぞれラスター展開する第3変換工程と、
    (d) 前記第1中間状態での印刷データまたは前記第1中間状態よりも上流側の印刷データを、各パーツの種類ごとに固有のデータ形式で修正する修正工程と、
    (e) 各パーツに前記各変換工程における変換に関する履歴情報を付加する工程と、
    (f) 既に前記第2中間状態以後の状態にまで変換された印刷データについて、前記各変換工程における変換の流れの上流側に戻って修正をする際に、前記履歴情報を参照することにより、前記修正工程における修正が可能でありかつ前記上流側への戻りを最小にする段階を特定する工程と、
    を備えることを特徴とする印刷データ処理方法
  3. コンピュータに複数のページで構成される印刷物の印刷データを処理させる画像プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、当該画像プログラムが実行されることによって前記コンピュータに、
    (a) ページ記述言語で表現された各ページの印刷データを、前記印刷物を構成する各ページに記載される各パーツの種類ごとに修正可能な固有のデータ形式を保ったままで前記各パーツをページ上に配置した第1中間状態へ変換する第1変換手順と、
    (b) 前記第1中間状態に変換された後の各ページの印刷データを、複数種類の出力手段のそれぞれに固有の特性である出力される印刷物のサイズ及び解像度には依存しないまたは該固有の特性における許容限度を超えては依存しない第2中間状態に変換する第2変換手順と、
    (c) 前記第2中間状態の各ページの印刷データを、前記複数種類の出力手段に出力可能 な状態でそれぞれラスター展開する第3変換手順と、
    (d) 前記第1中間状態での印刷データまたは前記第1中間状態よりも上流側の印刷データを、各パーツの種類ごとに固有のデータ形式で修正する修正手順と、
    (e) 各パーツに前記各変換手順における変換に関する履歴情報を付加する手順と、
    (f) 既に前記第2中間状態以後の状態にまで変換された印刷データについて、前記各変換手順における変換の流れの上流側に戻って修正をする際に、前記履歴情報を参照することにより、前記修正手順における修正が可能でありかつ前記上流側への戻りを最小にする段階を特定する手順と、
    を行わせる画像プログラムを記録したことを特徴とする記録媒体。
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