JP3729684B2 - 極低温冷凍機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディスプレーサ(置換器)の往復動によりヘリウム等の作動ガスを膨張させて極低温レベルの寒冷を発生させる極低温冷凍機に関し、特に、複数台の膨張機を備えたものに対し冷凍機全体としての能力を向上させる技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、高圧の作動ガスをシリンダ内で膨張させて寒冷を発生させる膨張機を有する極低温冷凍装置として、例えば特開平8−334273号公報に開示されているようなGM(ギフォード・マクマホン)冷凍機が知られている。この冷凍機は、作動ガスとしてのヘリウムガスを圧縮する圧縮機と、この圧縮されたガスを膨張させる膨張機とを高圧配管及び低圧配管によって閉回路に接続して構成されている。膨張機に設けられたロータリバルブの回転により上記高圧及び低圧配管を膨張機のシリンダ内に交互に連通させると共に、このロータリバルブの切り換え動作に応じてシリンダ内でスラックピストンを往復動させ、このピストンによりディスプレーサを往復駆動してヘリウムガスを膨張させることにより、寒冷を発生させるようにしている。
【0003】
上記バルブは、図9に示すように、一端面に作用圧力切り換え用の溝(36,37)が形成されると共にバルブモータの駆動軸に連結され、該バルブモータの駆動に伴って回転して膨張機のシリンダ内に作用する圧力を切り換えている。また、この溝(36,37)はバルブの一端面において左右対称に形成され、バルブが半回転することで1サイクル(ディスプレーサの一往復)の運転が行われる構成となっている。
【0004】
また、このようなバルブモータ及びロータリバルブを用いた切り換え機構では、バルブモータにおける滑りの発生などに伴って、バルブの切り換え時期が僅かに変動している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この種の冷凍機において、1台の圧縮機と、互いに並列に接続された複数台の膨張機とを備えたいわゆるマルチ機として構成することがある。この場合、一般には、各膨張機のバルブモータを共通のインバータによって回転数制御している。つまり、各膨張機のバルブは同一回転数で回転することになる。
【0006】
ところが、このようなマルチ機では、上述したバルブモータの滑り等に伴うバルブ開閉時期のずれによって回路内の高圧側及び低圧側の圧力変動が大きくなり、安定した冷凍能力を発揮することができなくなる場合があった。
【0007】
具体的に説明すると、図1に示すように1台の圧縮機(A)に対して運転サイクルが同一の2台の膨張機(B1,B2)が互いに並列に接続された冷凍機の場合について考える。この場合、高圧側及び低圧側の圧力変動は図11に示すようになる。図11の(HP)は高圧側の圧力変動を、(LP)は低圧側の圧力変動をそれぞれ示し、(B1)は一方の膨張機の圧力作用状態を、(B2)は他方の膨張機の圧力作用状態をそれぞれ示すものであって、パルスの立ち上がり部分が高圧の作用時間を、立ち下がり部分が低圧の作用時間である。
【0008】
また、図11(a)は各膨張機のバルブの切り換え時期にずれがない場合の圧力変動状態を示している。以下、(b)は切り換え時期のずれが0.125secの場合、(c)は切り換え時期のずれが0.250secの場合、(d)は切り換え時期のずれが0.375secの場合の圧力変動状態をそれぞれ示している。
【0009】
このように、バルブの切り換え時期のずれに伴って圧力変動状態も大きく変化することになり、安定した運転状態を維持することができない。
【0010】
また、一般に、この種の冷凍機では、回路内の高圧が上昇し過ぎた場合に、その余剰圧を低圧側にバイパスして回路内圧力の異常上昇を回避するようにしている。図11(a)に示すような切り換え時期にずれがない場合には、両バルブの切換タイミングが一致しているため、両バルブが高圧側に同時に開く直前まで回路内の高圧が上昇することになる。このため、高圧が上昇し過ぎて余剰圧を低圧側にバイパスするといった状況を招くことがあり、このような状況では、このバイパス分だけエネルギーロスが生じることになる。
【0011】
このようなエネルギーロスを回避するための構成として、各膨張機それぞれにインバータを設け、個々を独立して制御し、互いに異なるサイクルで運転させることも考えられる。しかしながら、この構成では複数台のインバータが必要になり、冷凍機全体としての重量の増大及びシステム制御の複雑化、コストの増大を招いてしまうため実用的ではない。
【0012】
本発明は、この点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、複数の膨張機を備えた極低温冷凍機で、且つ各膨張機のバルブモータを共通のインバータ等によって回転数制御するものに対し、作用圧力切り換え用のバルブの開閉時期のずれにより運転状態が不安定になることを解消し、また、回路内の高圧が上昇し過ぎることによるエネルギーロスを削減することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的の達成のため、本発明では、複数の膨張機を備えた極低温冷凍機に対し、各膨張機に備えられて互いに同一回転数で回転する作用圧力切り換え用のバルブにおける1回転当たりの切り換え回数を互いに異ならせるようにした。
【0014】
具体的に、請求項1記載の発明は、高圧配管(LH)及び低圧配管(LL)を有する作動ガス回路(C)において互いに並列に接続された複数台の膨張機(B1,B2)を備えている。該各膨張機(B1,B2)は、シリンダ(2)内にディスプレーサ(22)が往復動可能に収容されると共に、シリンダ(2)内部を高圧配管(LH)に連通させて該シリンダ(2)内に高圧の作動ガスを作用させる高圧開弁状態とシリンダ(2)内部を低圧配管(LL)に連通させて該シリンダ(2)内に低圧の作動ガスを作用させる低圧開弁状態とに交互に切り換わるように回転するバルブ手段(35)をそれぞれ備えている。上記各バルブ手段(35,35)が、共通の回転制御手段(45)によって回転数が制御され、共に同一回転数で回転し、この回転に伴うバルブ手段(35)の上記切り換わり動作によるシリンダ(2)内の圧力変化に伴って、ディスプレーサ(22)がシリンダ(2)内で往復動し、作動ガスを膨張させて極低温レベルの寒冷を発生させるようにした極低温冷凍機を前提としている。
【0015】
この極低温冷凍機に対し、各膨張機(B1,B2)のディスプレーサ(22,22)の単位時間当たりの往復移動回数が互いに異なるように、上記各バルブ手段(35,35)の1回転当たりにおける高圧開弁状態と低圧開弁状態との切り換え回数を互いに異ならせた構成としている。
【0016】
この特定事項により、各膨張機(B1,B2)では、回転制御手段(45)によってバルブ手段(35)の回転数が制御され、これらバルブ手段(35)は高圧開弁状態と低圧開弁状態とに交互に切り換わるように回転する。これにより、シリンダ(2)内の圧力変化に伴って、ディスプレーサ(22)がシリンダ(2)内で往復動して、作動ガスを膨張させて極低温レベルの寒冷が発生する。
【0017】
また、これら回転するバルブ手段(35,35)は1回転当たりにおける高圧開弁状態と低圧開弁状態との切り換え回数が互いに異なっているため、各膨張機(B1,B2)のディスプレーサ(22,22)の単位時間当たりの往復移動回数が互いに異なっている。
【0018】
このため、各膨張機(B1,B2)が高圧配管(LH)に連通するタイミングが一致して高圧側の圧力変化が大きくなるといった状況は生じ難く、また、バルブ手段(35)の開閉時期のずれによって回路内の圧力変化が大きい状況と小さい状況とが生じて運転状態が不安定化になるといった状況も解消される。
【0019】
請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の極低温冷凍機において、各膨張機(B1,B2)のバルブ手段(35,35)に、高圧開弁状態のときに高圧配管(LH)に連通する高圧ポート(36)と、低圧開弁状態のときに低圧配管(LL)に連通する低圧ポート(37)とを備え、このバルブ手段(35,35)の回転動作によって高圧開弁状態と低圧開弁状態とが交互に切り換わるように構成する。
【0020】
また、各膨張機(B1,B2)のうち一部の膨張機(B1)のバルブ手段(35)には高圧ポート(36)及び低圧ポート(37)をそれぞれ奇数個設け、これら高圧ポート(36)及び低圧ポート(37)を回転方向に亘って交互に配設する。
【0021】
一方、他の膨張機(B2)のバルブ手段(35)には高圧ポート(36)及び低圧ポート(37)をそれぞれ偶数個設け、これら高圧ポート(36)及び低圧ポート(37)を回転方向に亘って交互に配設した構成としている。
【0022】
請求項3記載の発明は、上記請求項2記載の極低温冷凍機において、第1の膨張機(B1)と第2の膨張機(B2)を備え、該第1の膨張機(B1)のバルブ手段(35)の高圧ポート(36)及び低圧ポート(37)を回転方向に亘って3個づつ交互に配設する一方、第2の膨張機(B2)のバルブ手段(35)の高圧ポート(36)及び低圧ポート(37)を回転方向に亘って2個づつ交互に配設した構成としている。
【0023】
これら特定事項により、各バルブ手段(35,35)の1回転当たりにおける高圧開弁状態と低圧開弁状態の切り換え回数が確実に異なることになる。
【0024】
請求項4記載の発明は、上記請求項1記載の極低温冷凍機において、各膨張機(B1,B2)のうちディスプレーサ(22,22)の単位時間当たりの往復移動回数が他の膨張機(B2)よりも多い膨張機(B1)のシリンダ(2)内部に、ディスプレーサ(22)が膨張室(30)の容積を縮小する方向に移動するときに、このディスプレーサ(22)の頂部に当接してディスプレーサ(22)の往復移動ストロークを制限する制限部材(42)を設けた構成としている。
【0025】
請求項5記載の発明は、上記請求項3記載の極低温冷凍機において、第1膨張機(B1)を、ディスプレーサ(22)の往復移動により膨張室(30)において単段膨張動作を行う単段膨張機で成す一方、第2膨張機(B2)を、ディスプレーサ(22)の往復移動により膨張室において2段膨張動作を行う2段膨張機で成した構成としている。
【0026】
これら特定事項により、各膨張機(B1,B2)のディスプレーサ(22,22)の単位時間当たりの往復移動回数が互いに異なるように設定した場合における各膨張機(B1,B2)の能力のアンバランスを解消できる。つまり、ディスプレーサ(22,22)の単位時間当たりの往復移動回数が多い膨張機(B1)では、これが少ない膨張機(B2)よりも能力が大きくなる傾向があるが、請求項4記載の発明では、ディスプレーサ(22)の往復移動ストロークを制限部材(42)によって制限し、請求項5記載の発明では、作動ガスの膨張段数を変えることで各膨張機(B1,B2)の能力をバランスさせるようにしている。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基いて説明する。また、本実施形態では、図1に示す如く、本発明を、1台の圧縮機(A)と、互いに並列に接続された2台の膨張機(B1,B2)とを備えた極低温冷凍機に適用した場合について説明する。
【0028】
図1の如く、各膨張機(B1,B2)は、圧縮機(A)で圧縮された作動ガスとしてのヘリウムガスを膨張可能とするように、圧縮機(A)に対し高圧配管(LH)及び低圧配管(LL)によって接続され、該圧縮機(A)との間で作動ガス回路としての閉回路(C)を構成している。
【0029】
また、高圧配管(LH)と低圧配管(LL)との間にはバイパス配管(LB)が設けられており、このバイパス配管(LB)には高圧制御弁(HV)が設けられている。この高圧制御弁(HV)は、バイパス配管(LB)から延びるパイロットライン(LP)が接続され、バイパス配管(LB)の内圧が所定値以上に上昇した際に開放して高圧配管(LH)の高圧ガスの一部を低圧配管(LL)にバイパスし、これによって高圧配管(LH)の内圧が異常上昇しないようにしている。
【0030】
以下、膨張機(B1,B2)の構成について説明する。尚、各膨張機(B1,B2)は略同様の構成である。そして、図1において右側に位置する第1膨張機(B1)は単段の膨張機であり、左側に位置する第2膨張機(B2)は2段膨張を行う2段膨張機である。
【0031】
−第1膨張機の構成の説明−
先ず、第1膨張機(B1)の構成について説明する。
【0032】
図2及び図3に示すように、この膨張機(B1)は、シリンダ(2)内でディスプレーサ(22)をヘリウムガス圧により往復動させて高圧のヘリウムガス(作動ガス)を膨張させるガス圧駆動式のGMサイクル(ギフォード・マクマホン・サイクル)を行うよう構成されている。
【0033】
すなわち、この膨張機(B1)は密閉状のモータヘッド(1)と、該モータヘッド(1)の上面に気密状に連結されたシリンダ(2)とを備えている。このモータヘッド(1)の側面には高圧ガス入口(4)とその上側に位置する低圧ガス出口(5)とが形成され、高圧ガス入口(4)は上記圧縮機(A)の吐出側に高圧配管(LH)を介して、また、低圧ガス出口(5)は圧縮機(A)の吸入側に低圧配管(LL)を介してそれぞれ接続されている。
【0034】
モータヘッド(1)の内部には、上記高圧ガス入口(4)に連通するモータ室(6)と、該モータ室(6)の上側に位置し且つ内部空間が下端にてモータ室(6)に連通する上下方向の貫通孔からなる装着孔(7)と、この装着孔(7)の周囲に位置する略環状の空間からなる中間圧室(8)とが形成されている。
【0035】
また、モータヘッド(1)におけるシリンダ(2)との境界部分にはシリンダ(2)下端(基端)の閉塞部材を構成するバルブステム(9)が嵌挿されている。このバルブステム(9)は、上記装着孔(7)に気密嵌合されたバルブシート部(9a)と、シリンダ(2)の内径よりも小径に形成され、このシリンダ(2)内下部に同心に突出するピストン支持部(9b)と、上記中間圧室(8)の上壁の一部を構成するフランジ部(9c)とを備え、バルブシート部(9a)の下面と装着孔(7)の壁面とで囲まれる空間により、高圧ガス入口(4)に対しモータ室(6)を介して連通するバルブ室(10)が形成されている。
【0036】
上記バルブステム(9)には、図6及び図7にも示すように、下半部が3股状に分岐され(図6及び図7はそのうちの2つを示している)且つ図6に示す状態において上記バルブ室(10)をシリンダ(2)内に連通する第1ガス流路(12)と、図7に示す状態において一端が第1ガス流路(12)に後述するロータリバルブ(35)の低圧ポート(37)を介して連通すると共に、他端が上記低圧ガス出口(5)にモータヘッド(1)に形成した低圧通路(13)を介して連通する第2ガス流路(14)とが貫通形成されている。上記第1ガス流路(12)はその途中にてキャピラリ管(15)を介して上記中間圧室(8)に常時連通している。
【0037】
上記両ガス流路(12,14)は、バルブ室(10)に臨むバルブステム(9)のバルブシート部(9a)下面において、図4に示すように、第2ガス流路(14)にあってはバルブステム(9)中心部に、分岐された第1ガス流路(12,12,12)にあっては該第2ガス流路(14)の外周囲で周方向に等しい間隔を存した3箇所にそれぞれ開口されている。
【0038】
一方、シリンダ(2)内の下端部には底壁を有する略逆カップ形状のスラックピストン(17)がその内側面を上記バルブステム(9)のピストン支持部(9b)に摺動案内せしめた状態で往復動可能に外嵌合され、このスラックピストン(17)によりシリンダ(2)内上部に上側圧力室(29)が、またシリンダ(2)内下端に下側圧力室(20)がそれぞれ区画形成され、上記下側圧力室(20)は上記モータヘッド(1)内の中間圧室(8)にオリフィス(21)を介して常時連通されている。
【0039】
従って、下側圧力室(20)は高圧及び低圧のヘリウムガスの中間圧力に設定され、この下側圧力室(20)と上側圧力室(29)との各ガス圧の圧力差によってスラックピストン(17)がディスプレーサ(22)と共に往復動するように構成されている。上記スラックピストン(17)底壁の中心部には大径の中心孔(18)が貫通形成され、周縁角部にはピストン(17)内外を連通する複数の連通孔(19,19,…)が形成されている。
【0040】
また、上記シリンダ(2)内にはディスプレーサ(22)(置換器)が後述の膨張室(30)の体積の最大となる上死点(下降端位置)と同体積の最小となる下死点(上昇端位置)との間で往復動するように嵌合されている。このディスプレーサ(22)により、スラックピストン(17)上方のシリンダ(2)内の空間が下側から順に上記上側圧力室(29)、膨張室(30)に区画されている。上記ディスプレーサ(22)内の空間は上記膨張室(30)に図示しない連通孔を介して常時連通され、このディスプレーサ(22)内の空間には蓄冷型熱交換器よりなる蓄冷器(24)が嵌装されている。
【0041】
更に、上記ディスプレーサ(22)には、その内部空間を上記上側圧力室(29)に連通する管状の係止片(33)が一体に突設されている。この係止片(33)の下部は上記スラックピストン(17)底壁の中心孔(18)を貫通してピストン(17)内部に所定寸法だけ延び、その下端部にはピストン(17)底壁に係合するフランジ状の係止部(33a)が一体に形成されている。
【0042】
スラックピストン(17)の上昇移動時、ピストン(17)が所定ストロークだけ上昇した時点でその底壁上面とディスプレーサ(22)下面との当接により、ディスプレーサ(22)がピストン(17)に駆動されて上昇開始する一方、スラックピストン(17)の下降移動時、ピストン(17)が所定ストロークだけ下降した時点でその底壁下面と係止片(33)の係止部(33a)との係合により、ディスプレーサ(22)がピストン(17)に駆動されて下降開始するように、つまりディスプレーサ(22)が所定ストロークの遅れをもってピストン(17)に追従移動するように構成されている。
【0043】
上記モータヘッド(1)のバルブ室(10)内には、シリンダ(2)内の膨張空間としての上側圧力室(29)及び膨張室(30)に高圧ヘリウムガスを供給する高圧開弁状態と、上側圧力室(29)及び膨張室(30)のヘリウムガスを排出する低圧開弁状態とに交互に切り換わるバルブ手段としてのロータリバルブ(35)が配設されている。このロータリバルブ(35)は、モータ室(6)に配置したバルブモータ(39)により回転駆動される。
【0044】
そして、このロータリバルブ(35)の切換動作により、高圧ガス入口(4)つまり該高圧ガス入口(4)に連通するバルブ室(10)と、低圧ガス出口(5)つまり該低圧ガス出口(5)に連通する低圧通路(13)とをシリンダ(2)内の上側圧力室(29)、膨張室(30)に対し交互に連通する。
【0045】
すなわち、上記ロータリバルブ(35)の下面中心部にはバルブモータ(39)の出力軸(39a)が回転一体に係合されている。また、ロータリバルブ(35)下面とバルブモータ(39)との間にはスプリングが縮装され、このスプリングのばね力とバルブ室(10)の高圧ヘリウムガスの圧力とによりロータリバルブ(35)上面をバルブステム(9)のバルブシート部(9a)下面に対し一定の押圧力で押し付けている。
【0046】
この第1膨張機(B1)に採用されているロータリバルブ(35)は、図5に示す如く、その上面に、周方向に等間隔を存した3箇所において外周縁から中心方向に所定長さだけ切り込んでなる3個の高圧ポート(36,36,36)と、該高圧ポート(36,36,36)に対しロータリバルブ(35)の回転方向(同図で矢印にて示す方向)に略60°の角度間隔をあけて配置された低圧ポート(37,37,37)とが形成されている。
【0047】
これら低圧ポート(37,37,37)は、バルブ(35)上面の中心から外周縁近傍に向かって半径方向に3方向に延びるように切り欠いてなる連絡溝(38)によって互いに連通されている。バルブモータ(39)の駆動によりロータリバルブ(35)をその上面がバルブステム(9)下面に圧接した状態で回転させて開閉切換えさせ、このロータリバルブ(35)の切換えにより上側圧力室(29)と下側圧力室(20)との間に圧力差を生じさせ、この圧力差によりシリンダ(2)内でスラックピストン(17)を昇降移動させ、ディスプレーサ(22)を上死点(下降端位置)と下死点(上昇端位置)との間で往復動させる。
【0048】
つまり、ロータリバルブ(35)の回転により、図6に示すように、その上面の高圧ポート(36,36,36)の内端がそれぞれバルブステム(9)のバルブシート部(9a)下面に開口する第1ガス流路(12)の3つの開口端に合致したときには、バルブ室(10)(高圧ガス入口(4))を高圧ポート(36,36,36)及び第1ガス流路(12)を介してシリンダ(2)内の上側圧力室(29)、膨張室(30)に連通させて、これら各室(29,30)に高圧ヘリウムガスを導入充填すると共に、その高圧となった上側圧力室(29)と下側圧力室(20)とのガス圧の差によってスラックピストン(17)をディスプレーサ(22)と共に下降させる。
【0049】
一方、図7に示す如く、バルブシート部(9a)下面に開口する第2ガス流路(14)に連絡溝(38)を介して常時連通する低圧ポート(37,37,37)がそれぞれ上記第1ガス流路(12)の各開口端に合致したときには、上記シリンダ(2)内の各室(29,30)を第1ガス流路(12)、低圧ポート(37,37,37)、第2ガス流路(14)及び低圧通路(13)を介して低圧ガス出口(5)に連通させて、各室(29,30)に充填されているヘリウムガスを膨張させながら低圧ガス出口(5)に排出すると共に、この低圧となった上側圧力室(29)と下側圧力室(20)とのガス圧の差によってスラックピストン(17)をディスプレーサ(22)と共に上昇させ、その間、ヘリウムガスはサイモン膨張しながら低圧ガス出口(5)に抜けていく。
【0050】
その膨張に伴う温度降下により極低温レベルの寒冷を発生させ、その寒冷により膨張室(30)に対応するシリンダ(2)の先端(上端)のヒートステーション(41)が所定温度レベルに冷却保持するように構成されている。
【0051】
−第2膨張機の構成−
次に、第2膨張機(B2)について第1膨張機(B1)と異なる構成部分を説明する。この第2膨張機(B2)は、上述したように2段膨張機でなっている。つまり、図1に示す如く、シリンダ(2)は大径部(2a)及び小径部(2b)を備えた大小2段構造に形成されている。
【0052】
ディスプレーサ(22)は、シリンダ(2)の大径部(2a)内を摺動する密閉円筒状の図示しない第1段ディスプレーサと、該第1段ディスプレーサの上端に移動一体に結合され、シリンダ(2)の小径部(2b)内を摺動する図示しない密閉円筒状の第2段ディスプレーサとから構成されている。これにより、第1段ディスプレーサの先端側に第1段膨張室が、第2段ディスプレーサの先端側に第2段膨張室がそれぞれ形成されている。
【0053】
第2膨張機(B2)に採用されているバルブステム(9)の第1ガス流路(12)は、下半部が2股状に分岐され、それぞれがバルブシート部(9a)の下面に開口している。つまり、バルブシート部(9a)下面において、図8に示すように、第2ガス流路(14)にあってはバルブステム(9)中心部に、分岐された第1ガス流路(12,12)にあっては該第2ガス流路(14)に対して対称な位置にそれぞれ開口している。
【0054】
第2膨張機(B2)のロータリバルブ(35)の上面には、図9に示すように、その半径方向に対向する外周縁から中心方向に所定長さだけ切り込んでなる1対の高圧ポート(36,36)と、該高圧ポート(36,36)に対しロータリバルブ(35)の回転方向(同図で矢印にて示す方向)に略90°の角度間隔をあけて配置された低圧ポート(37,37)とが形成されている。これら低圧ポート(37,37)は、バルブ(35)上面の中心から外周縁近傍に向かって直径方向に切り欠いてなる連絡溝(38)によって互いに連通されている。
【0055】
これにより、バルブモータ(39)の駆動によりロータリバルブ(35)をその上面がバルブステム(9)下面に圧接した状態で回転させて開閉切換えさせ、このロータリバルブ(35)の切換えにより上側圧力室(29)と下側圧力室(20)との間に圧力差を生じさせて、この圧力差によりシリンダ(2)内でスラックピストン(17)を昇降移動させ、ディスプレーサ(22)を上死点(下降端位置)と下死点(上昇端位置)との間で往復動させるようにしている。
【0056】
以上のように構成された各膨張機(B1,B2)のバルブモータ(39)は回転制御手段としての共通のインバータ(45)によって回転制御されるようになっている。従って、これら各膨張機(B1,B2)のバルブモータ(39)は互いに同一回転数で回転駆動し、これに伴って各ロータリバルブ(35)も同一回転数で回転する構成となっている。
【0057】
そして、上述したように、第1膨張機(B1)では、バルブシート部(9a)の下面に3股に分岐された第1ガス流路(12)の一端が開放されると共に、ロータリバルブ(35)の上面には、周方向に亘って3箇所に高圧ポート(36,36,36)が、この高圧ポート(36,36,36)間に低圧ポート(37,37,37)がそれぞれ位置しているため、ロータリバルブ(35)が1回転する間に、各室(29,30)に高圧ヘリウムガスを導入充填する動作と、各室(29,30)に充填されているヘリウムガスを膨張させながら低圧ガス出口(5)に排出する動作とが3回づつ行われる。つまり、ロータリバルブ(35)の1回転当たり3サイクルの動作が行われる構成となっている。
【0058】
これに対し、上述したように、第2膨張機(B2)では、バルブシート部(9a)の下面に2股に分岐された第1ガス流路(12)の一端が開放されると共に、ロータリバルブ(35)の上面に周方向に亘って一対の高圧ポート(36,36)と、この高圧ポート(36,36)間に低圧ポート(37,37)が位置しているため、ロータリバルブ(35)が1回転する間に、各室(29,30)に高圧ヘリウムガスを導入充填する動作と、各室(29,30)に充填されているヘリウムガスを膨張させながら低圧ガス出口(5)に排出する動作とが2回づつ行われる。つまり、ロータリバルブ(35)の1回転当たり2サイクルの動作が行われる。
【0059】
このように、各ロータリバルブ(35)が共通のインバータ(45)によって同一回転数で回転されていても、各膨張機(B1,B2)における単位時間当たりの運転サイクル(ディスプレーサ(22)の単位時間当たりの往復移動回数)は互いに異なるように構成されている。
【0060】
また、このように、各膨張機(B1,B2)の運転サイクルが異なっている場合、運転サイクルの大きい側の能力が大きくなるため各膨張機(B1,B2)の能力のアンバランスが生じることがあるが、本実施形態では、図2に仮想線で示すように、第1膨張機(B1)のシリンダ(2)内上端部に制限部材としての所定厚さ寸法のバンパー(42)を設け、膨張室(30)を収縮する方向へ移動してくるディスプレーサ(22)の頂面を、このバンパー(42)に当接させることでディスプレーサ(22)の往復移動ストロークに制限を与えて第2膨張機(B2)との能力を略一致させるようにしている。
【0061】
また、第1膨張機(B1)を単段膨張機で成し、第2膨張機(B2)を単段膨張機よりも大きな能力が得られる2段膨張機で成したことも各膨張機(B1,B2)の能力略一致させることに寄与している。
【0062】
−運転動作の説明−
次に、上述の如く構成された極低温冷凍機の運転動作について説明する。
【0063】
第1膨張機(B1)の作動は基本的に通常のものと同様に行われる。すなわち、膨張機(B1)におけるシリンダ(2)内の圧力が低圧であって、ディスプレーサ(22)がスラックピストン(17)と共に下死点つまり上昇端位置にある状態において、バルブモータ(39)の駆動によるロータリバルブ(35)の回転により、その高圧ポート(36,36,36)がバルブステム(9)下面の第1ガス流路(12)の各開口端に合致してロータリバルブ(35)が高圧側に開く高圧開弁状態になると、膨張機(B1,B2)の高圧ガス入口(4)及びモータ室(6)を介してバルブ室(10)に供給されている常温の高圧ヘリウムガスが上記ロータリバルブ(35)の高圧ポート(36,36,36)及び第1ガス流路(12)を介してスラックピストン(17)上方の上側圧力室(29)に導入されると共に、更に、この上側圧力室(29)から、ディスプレーサ(22)の蓄冷器(24)を通って膨張室(30)に充填され、この蓄冷器(24)を通る間に熱交換によって冷却される。
【0064】
そして、上記スラックピストン(17)上側の上側圧力室(29)のガス圧が下側の下側圧力室(20)よりも高くなると、両圧力室(20,29)間の圧力差によってピストン(17)が下降し、このピストン(17)の下降ストロークが所定値に達したときに、該ピストン(17)の底壁下面とディスプレーサ(22)下端における係止片(33)の係止部(33a)とが係合して、ディスプレーサ(22)は圧力変化に対し遅れを持ってピストン(17)により下死点から引き下げられ、このディスプレーサ(22)の下降移動によりその上方の膨張室(30)に更に高圧ガスが充填される。
【0065】
この後、上記ロータリバルブ(35)が閉じると、その後もディスプレーサ(22)は慣性力によって下降し、これに伴い、ディスプレーサ(22)上方の上側圧力室(29)内のヘリウムガスが膨張室(30)に移動する。
【0066】
このディスプレーサ(22)が上死点つまり下降端位置に達した後、ロータリバルブ(35)の低圧ポート(37,37,37)が上記バルブステム(9)下面の第1ガス流路(12)の開口端に合致してバルブ(35)が低圧側に開く低圧開弁状態となり、この開弁に伴い、上記ディスプレーサ(22)上方の膨張室(30)内のヘリウムガスがサイモン膨張し、このガスの膨張に伴う温度降下によりヒートステーション(41)が所定温度レベルに冷却される。
【0067】
上記膨張室(30)で低温状態となったヘリウムガスは、上記ガス導入時とは逆に、ディスプレーサ(22)内の蓄冷器(24)を通って上記上側圧力室(29)内に戻り、その間に蓄冷器(24)を冷却しながら自身が常温まで暖められる。
【0068】
そして、この常温のヘリウムガスは、更に上側圧力室(29)内のガスと共に第1ガス流路(12)、バルブ(35)の低圧ポート(37)、低圧通路(13)を介して膨張機(B1)外に排出され、低圧ガス出口(5)を通って圧縮機に流れてそれに吸入される。このガス排出に伴い上記上側圧力室(29)内のガス圧が低下し、その下側圧力室(20)との圧力差によりスラックピストン(17)が上昇し、このピストン(17)の底壁上面がディスプレーサ(22)の下面に当接した後は該ディスプレーサ(22)が押圧されて上死点から上昇し、このディスプレーサ(22)の上昇移動により膨張室(30)内のガスが膨張機(B1)外にさらに排出される。
【0069】
次いで、ロータリバルブ(35)が閉じるが、この後もディスプレーサ(22)は下死点(上昇端位置)まで上昇移動し、膨張室(30)内のガスが排出されて最初の状態に戻る。以上によりディスプレーサ(22)の動作の1サイクルが終了して、以後は上記と同様な動作が繰り返され、ヒートステーション(41)の温度は極低温レベルに向かって次第に降下する。
【0070】
一方、第2膨張機(B2)の作動も、上記第1膨張機(B1)の作動と同様にして行われる。この第2膨張機(B2)の場合には、第1及び第2ディスプレーサの往復動により第1ディスプレーサ先端側の膨張室及び第2ディスプレーサ先端側の膨張室それぞれにおいて極低温レベルの寒冷が発生されることになる。
【0071】
以上のような運転動作により各膨張機(B1,B2)において極低温レベルの寒冷が得られる。
【0072】
また、上述したように、各膨張機(B1,B2)は、それぞれロータリバルブ(35,35)が共通のインバータ(45)によって同一回転数で回転されていているが、これらバルブ(35,35)のポート(36,37)の形状や、バルブステム(9)の第1ガス流路(12)の形状が異なっているので、各膨張機(B1,B2)における単位時間当たりの運転サイクルは互いに異なっている。
【0073】
このため、各膨張機(B1,B2)が同時に高圧配管(LH)に連通して高圧側の圧力変化が大きくなるといった状況は生じ難く、また、ロータリバルブ(35)の開閉時期のずれによって回路(C)内の圧力変化が大きい状況と小さい状況とが生じて運転状態が不安定化になるといった状況も解消される。
【0074】
このため、従来のように、単位時間当たりの運転サイクルが等しい膨張機を使用した場合のように、バルブの切り換え時期のずれに伴って圧力変動状態が大きく変化して運転状態が不安定になるといったことを回避でき、安定した運転状態を維持することができる。
【0075】
また、バルブの切り換え時期にずれがない場合、従来では両バルブの切換タイミングが一致するため、両バルブが高圧側に同時に開く直前まで回路内の高圧が上昇することになって高圧が上昇し過ぎ、余剰圧を低圧側にバイパスするといった状況を招くことがあったが、本実施形態では、このような状況の発生はなくなり、エネルギーロスの発生を回避して運転効率の向上を図ることができる。
【0076】
従って、このエネルギーロスを回避するために、各膨張機それぞれにインバータを設けるといった構成を採用する必要がなく、冷凍機全体としての重量の増大及びシステム制御の複雑化、コストの増大を招くことなしにエネルギーロスを削減することができる。
【0077】
−比較解析−
次に、本発明の効果を確認するために行った比較解析について説明する。
【0078】
ここでは、上述した従来のように、一対の膨張機のそれぞれを上述した第2膨張機(B2)と同様の構成、つまり、ロータリバルブ(35)1回転当たり2サイクルの運転を行うものを採用した場合と、本実施形態のように、ロータリバルブ(35)1回転当たり2サイクルの運転を行うものと3サイクルの運転を行うものとを併用した場合とを用いて行う。そして、これら両冷凍機の回路(C)中の高圧側及び低圧側の圧力変動を比較解析した。
【0079】
図11は、従来の構成におけるバルブの切り換え周期のずれと、回路中の高圧側及び低圧側の圧力変動との関係を示している。図10は、本実施形態の構成におけるバルブの切り換え周期のずれと、回路中の高圧側及び低圧側の圧力変動との関係を示している。各図における(HP)は高圧側の圧力変動を、(LP)は低圧側の圧力変動をそれぞれ示し、(B1)は第1膨張機の圧力作動状態を、(B2)は第2膨張機の圧力作動状態をそれぞれ示すものであって、パルスの立ち上がり部分が高圧の作用時間を、立ち下がり部分が低圧の作用時間である。
【0080】
また、各図の(a)は各膨張機(B1,B2)のバルブの切り換え時期にずれがない場合の圧力変動状態を示している。以下、(b)は切り換え時期のずれが0.125secの場合、(c)は切り換え時期のずれが0.250secの場合、(d)は切り換え時期のずれが0.375secの場合の圧力変動状態である。
【0081】
この各図を比較すると、本実施形態の構成によれば、バルブの切り換え時期のずれが回路中の高圧側及び低圧側の圧力変動に与える影響は小さいことが判る。つまり、本実施形態の構成によれば、バルブの切り換え時期のずれの大小に拘わりなく安定した運転状態が得られることが確認された。
【0082】
また、特に、図10(a)と図11(a)とを比較すると、バルブの切り換え時期にずれがない場合において、図11(a)のものでは高圧側の圧力変動が大きく、高圧が上昇し過ぎて余剰圧をバイパス配管(LB)にバイパスする状況が生じやすく、このバイパス分だけエネルギロスが生じる可能性が高いが、図10(a)で示す本実施形態の構成のものでは、高圧側の圧力変動が小さいため、この余剰圧をバイパスさせる状況が生じ難くエネルギロスが小さく、運転効率の向上を図ることができる。
【0083】
つまり、上記エネルギロスを回避するために、各膨張機それぞれにインバータを設け、個々を独立して制御し、互いに異なる周波数で運転させるといった必要がなくなり、冷凍機全体としての重量の増大及びシステム制御の複雑化、コストの増大を招くことなしに運転効率の向上を図ることができる。
【0084】
尚、本発明は、上記実施例の如きGMサイクルを持つヘリウム冷凍機に限らず、ヘリウムガス以外の冷媒ガスを使用するものに対しても適用できるのは勿論である。
【0085】
また、本実施形態では互いに並列接続された2台の膨張機(B1,B2)を備えた極低温冷凍機について説明したが、本発明は、これに限らず、3台以上の膨張機を備えた極低温冷凍機に対して適用することも可能である。この場合、全ての膨張機の単位時間当たりの運転サイクルが互いに異なる構成としたり、少なくとも2台の膨張機の単位時間当たりの運転サイクルが互いに異なる構成とする。
【0086】
また、本実施形態では第1膨張機(B1)のロータリバルブ(35)には高圧ポート(36,36,36)及び低圧ポート(37,37,37)をそれぞれ2個づつ設け、第2膨張機(B2)のロータリバルブ(35)には高圧ポート(36,36)及び低圧ポート(37,37)をそれぞれ2個づつ設けたが、本発明はこれに限らず、各膨張機(B1,B2)のロータリバルブ(35,35)のポート(36,37)の数が互いに異なっていればよい。
【0087】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明によれば、以下に述べるような効果が発揮される。
【0088】
請求項1記載の発明では、並列に接続された複数の膨張機(B1,B2)を備えた極低温冷凍機に対し、各膨張機(B1,B2)に備えられて互いに同一回転数で回転する作用圧力切り換え用のバルブ手段(35,35)における1回転当たりの切り換え回数を互いに異ならせるようにした。このため、各膨張機(B1,B2)が高圧配管(LH)に連通するタイミングが一致して高圧側の圧力変化が大きくなるといった状況は生じ難く、また、バルブ手段(35,35)の開閉時期のずれによって作動ガス回路(C)内の圧力変化が大きい状況と小さい状況とが生じて運転状態が不安定化になるといった状況も解消される。
【0089】
このため、従来のように、単位時間当たりの運転サイクルが等しい膨張機を使用した場合のように、バルブの切り換え時期のずれに伴って圧力変動状態が大きく変化して運転状態が不安定になるといったことを回避でき、安定した運転状態を維持することができる。
【0090】
また、バルブの切り換え時期にずれがない場合、従来では両バルブの切換タイミングが一致するため、両バルブが高圧側に同時に開く直前まで回路内の高圧が上昇することになって高圧が上昇し過ぎ、余剰圧を低圧側にバイパスするといった状況を招くことがあったが、本実施形態では、このような状況の発生はなくなり、エネルギーロスの発生を回避して運転効率の向上を図ることができる。
【0091】
従って、このエネルギーロスを回避するために、各膨張機それぞれにインバータを設けるといった構成を採用する必要がなく、冷凍機全体としての重量の増大及びシステム制御の複雑化、コストの増大を招くことなしにエネルギーロスを削減することができる。
【0092】
請求項2記載の発明では、各膨張機(B1,B2)のうち一部の膨張機(B1)のバルブ手段(35)には高圧ポート(36)及び低圧ポート(37)をそれぞれ奇数個設け、これら高圧ポート(36)及び低圧ポート(37)を回転方向に亘って交互に配設する。一方、他の膨張機(B2)のバルブ手段(35)には高圧ポート(36)及び低圧ポート(37)をそれぞれ偶数個設け、これら高圧ポート(36)及び低圧ポート(37)を回転方向に亘って交互に配設した構成としている。
【0093】
特に、請求項3記載の発明では、2台の膨張機(B1,B2)を備えたものに対し、一方の膨張機(B1)のバルブ手段(35)の高圧ポート(36)及び低圧ポート(37)を回転方向に亘って3個づつ交互に配設する一方、他方の膨張機(B2)のバルブ手段(35)の高圧ポート(36)及び低圧ポート(37)を回転方向に亘って2個づつ交互に配設した。
【0094】
このため、各バルブ手段(35,35)の1回転当たりにおける高圧開弁状態と低圧開弁状態との切り換え回数を互いに異ならせるための構成が具体的に得られ、冷凍機の実用性の向上を図ることができる。
【0095】
請求項4記載の発明は、各膨張機(B1,B2)のうちディスプレーサ(22,22)の単位時間当たりの往復移動回数が他の膨張機(B2)よりも多い膨張機(B1)のシリンダ(2)内部に、ディスプレーサ(22)が膨張室(30)の容積を縮小する方向に移動するときに、このディスプレーサ(22)の頂部に当接してディスプレーサ(22)の往復移動ストロークを制限する制限部材(42)を設けている。
【0096】
また、請求項5記載の発明は、2台の膨張機(B1,B2)を備えたものに対し、一方の膨張機(B1)を単段膨張機に構成し、他方の膨張機(B2)を2段膨張機に構成している。つまり、ディスプレーサ(22,22)の単位時間当たりの往復移動回数が多い膨張機(B1)では、これが少ない膨張機(B2)よりも能力が大きくなる傾向があるが、請求項4記載の発明では、ディスプレーサ(22)の往復移動ストロークを制限部材(42)によって制限し、請求項5記載の発明では、作動ガスの膨張段数を変えることで各膨張機(B1,B2)の能力をバランスさせるようにしている。
【0097】
このため、各膨張機(B1,B2)のディスプレーサ(22,22)の単位時間当たりの往復移動回数が互いに異なるように設定した場合における各膨張機(B1,B2)の能力のアンバランスを解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係る極低温冷凍機の回路構成を示す図である。
【図2】膨張機の全体構成を示す断面図である。
【図3】膨張機のモータヘッド内部の構成を示す断面図である。
【図4】第1膨張機のバルブステム下端面を示す図である。
【図5】図5(a)は第1膨張機のロータリバルブの平面図、図5(b)はその側面図である。
【図6】ロータリバルブの高圧開弁状態を示す拡大断面図である。
【図7】ロータリバルブの低圧開弁状態を示す拡大断面図である。
【図8】第2膨張機のバルブステム下端面を示す図である。
【図9】図9(a)は第2膨張機のロータリバルブの平面図、図9(b)はその側面図である。
【図10】本実施形態における回路中の高圧側及び低圧側の圧力変動状態を示す図である。
【図11】従来例に係る、ロータリバルブ1回転当たり2サイクルの運転を行う一対の膨張機を併用した場合の回路中の高圧側及び低圧側の圧力変動状態を示す図である。
【符号の説明】
B1,B2 膨張機
C 閉回路(作動ガス回路)
2 シリンダ
22 ディスプレーサ
30 膨張室
35 ロータリバルブ(バルブ手段)
36 高圧ポート
37 低圧ポート
42 バンパー(制限手段)
45 インバータ(回転制御手段)
Claims (5)
- 高圧配管(LH)及び低圧配管(LL)を有する作動ガス回路(C)において互いに並列に接続された複数台の膨張機(B1,B2)を備え、
該各膨張機(B1,B2)は、シリンダ(2)内にディスプレーサ(22)が往復動可能に収容されると共に、シリンダ(2)内部を高圧配管(LH)に連通させて該シリンダ(2)内に高圧の作動ガスを作用させる高圧開弁状態とシリンダ(2)内部を低圧配管(LL)に連通させて該シリンダ(2)内に低圧の作動ガスを作用させる低圧開弁状態とに交互に切り換わるように回転するバルブ手段(35)をそれぞれ備え、
上記各バルブ手段(35,35)は、共通の回転制御手段(45)によって回転数が制御され、共に同一回転数で回転し、この回転に伴うバルブ手段(35)の上記切り換わり動作によるシリンダ(2)内の圧力変化に伴って、ディスプレーサ(22)がシリンダ(2)内で往復動し、作動ガスを膨張させて極低温レベルの寒冷を発生させるようにした極低温冷凍機において、
上記各バルブ手段(35,35)は、各膨張機(B1,B2)のディスプレーサ(22,22)の単位時間当たりの往復移動回数が互いに異なるように、1回転当たりにおける高圧開弁状態と低圧開弁状態との切り換え回数が互いに異なっていることを特徴とする極低温冷凍機。 - 請求項1記載の極低温冷凍機において、
各膨張機(B1,B2)のバルブ手段(35,35)は、高圧開弁状態のときに高圧配管(LH)に連通する高圧ポート(36)と、低圧開弁状態のときに低圧配管(LL)に連通する低圧ポート(37)とを備え、回転動作によって高圧開弁状態と低圧開弁状態とが交互に切り換わるように構成され、
各膨張機(B1,B2)のうち一部の膨張機(B1)のバルブ手段(35)は高圧ポート(36)及び低圧ポート(37)がそれぞれ奇数個設けられ、これら高圧ポート(36)及び低圧ポート(37)が回転方向に亘って交互に配設される一方、他の膨張機(B2)のバルブ手段(35)は高圧ポート(36)及び低圧ポート(37)がそれぞれ偶数個設けられ、これら高圧ポート(36)及び低圧ポート(37)が回転方向に亘って交互に配設されていることを特徴とする極低温冷凍機。 - 請求項2記載の極低温冷凍機において、
第1の膨張機(B1)と第2の膨張機(B2)を備え、第1の膨張機(B1)のバルブ手段(35)の高圧ポート(36)及び低圧ポート(37)は回転方向に亘って3個づつ交互に配設される一方、第2の膨張機(B2)のバルブ手段(35)の高圧ポート(36)及び低圧ポート(37)は回転方向に亘って2個づつ交互に配設されていることを特徴とする極低温冷凍機。 - 請求項1記載の極低温冷凍機において、
各膨張機(B1,B2)のうちディスプレーサ(22,22)の単位時間当たりの往復移動回数が他の膨張機(B2)よりも多い膨張機(B1)のシリンダ(2)内部には、ディスプレーサ(22)が膨張室(30)の容積を縮小する方向に移動するときに、このディスプレーサ(22)の頂部に当接してディスプレーサ(22)の往復移動ストロークを制限する制限部材(42)が設けられていることを特徴とする極低温冷凍機。 - 請求項3記載の極低温冷凍機において、
第1膨張機(B1)はディスプレーサ(22)の往復移動により膨張室(30)において単段膨張動作を行う単段膨張機で成る一方、第2膨張機(B2)はディスプレーサ(22)の往復移動により膨張室において2段膨張動作を行う2段膨張機で成っていることを特徴とする極低温冷凍機。
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