JP3729563B2 - 自転車用サドル - Google Patents

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  • Steering Devices For Bicycles And Motorcycles (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自転車用サドルに関し、詳細には、自転車の乗車者の快適性と自転車走行能力の向上を図った自転車用サドルに関する。
【0002】
【従来の技術】
自転車は、無公害であり、かつ、適度の人力を要する乗り物であるので、近年は、その実用的な面からだけでなく、美容や健康維持の面からも注目されている乗り物である。また、最近では、自転車のロードレースや、自転車走行をその一部に組み込んだトライアスロンなどの自転車競技も盛んであり、自転車はますます注目を浴びつつある。
【0003】
しかしながら、自転車に長時間乗る場合に一番問題になるのは、サドルによる臀部の圧迫である。
【0004】
例えば、図9は、従来からある自転車のサドルを上から見た平面図であり、1で示されるサドルと、αで示される乗車者の臀部との位置関係を示すものである。この図からも明らかなように、従来のサドル1の受圧面積は乗車者αの臀部に比して極めて小さく、これがサドル1による臀部の圧迫を大きくしている原因である。
【0005】
すなわち、乗車者αの体重のほとんどは、βで示される乗車者αの尾骨部近辺と、γで示される乗車者αの会陰部近辺との極めて小さい部分で、サドル1に支えられており、その結果、尾骨部近辺βおよび会陰部近辺γの圧迫は大きく、乗車時間が長くなるにつれ、尾骨部近辺βおよび会陰部近辺γの圧迫は次第に痛みに変わり、耐え難いものとなってくる。
【0006】
特に、会陰部近辺γの圧迫は、前傾姿勢を取る競技用自転車の乗車者の場合には深刻な問題で、会陰部近辺γが圧迫されると、必然的に尿道も圧迫されることになり、尿道痛や排尿障害が生じる一因となっており、従来から大きな問題であった。
【0007】
また、図9からも明らかなように、従来のサドル1においては、大腿部の下には基本的に大腿部を支える部材が存在しないので、乗車が長時間になると、大腿部の付け根に痛みが発生するという問題もあった。
【0008】
さらには、サドル1の前方中央部7が突出しており、乗車者の股間部に位置するため、ペダルを漕ぐ動作のたびに、乗車者の太股内側がこの突出する前方中央部7と擦れ合い、股擦れを引き起こす原因となっている。
【0009】
ところが、従来は、自転車本体の軽量化や変速機構の改良などは盛んに試みられてきたが、サドルに関しては旧態依然の形状が、無意識に踏襲されているのが実状である。そのため、自転車の乗車者、特に、競技用自転車の乗車者のように長時間乗車する者は、現状のサドルには不満を抱きながらも、仕方がないものと諦めて、尾骨部近辺や会陰部近辺の痛み、さらには股擦れや大腿部の痛みを我慢し、尿道痛や排尿障害になる危険性を被りながら、長時間の乗車や競技に臨んでいるのが実状である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、これまで試みられることがなかった自転車用サドルの形状並びに構造を根本的に改善し、自転車の乗車者、特に、競技用自転車の乗車者のように長時間自転車に乗車する者にとっても、尾骨部近辺や会陰部近辺等の痛みがなく、快適で、しかも、結果として、自転車の走行能力を高めることができる自転車用サドルを提供することを課題とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、自転車用サドルを、サドルの前方両側部が、その前方中央部よりも自転車の進行方向の前方に向かって突出した形状とすると共に、少なくともその突出している前方両側部を含むサドル変位部材をサドル本体に対し可動部材を介して変位可能に設けることによって、上記課題を解決した。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の自転車用サドルは、サドルの前方両側部がその前方中央部よりも自転車の進行方向の前方に向かって突出した形状を有しており、その突出した前方両側部を含むサドル変位部材およびサドル本体で、その自転車の乗車者の大腿部および臀部の広い範囲を受け止めるようにしたので、自転車の乗車者の体重は、広範囲に分散され、臀部、特に尾骨部近辺が部分的に強い圧迫を受けることがない。
【0013】
なお、本明細書において、「サドル本体」とは、特に断らない限り、サドルのサドル支柱に固定されている部分をいう。
【0014】
また、従来のサドルにあった前方に突出していた前方中央部がないので、会陰部近辺を圧迫することがない。
【0015】
しかも、左右の大腿部を受け止めるサドル変位部材が、サドル本体に対して可動部材により変位可能となっているので、ペダルを漕ぐ大腿部の運動が妨げられることがない。
【0016】
上記左右のサドル変位部材は、それぞれ左右両側部の突出部分だけから構成されても良いし、左右両側部の突出部分をそれぞれ含むさらに広い部分から構成されても良い。
【0017】
左右のサドル変位部材を、左右両側部の突出部分をそれぞれ含む広い部分で構成するときには、左右のサドル変位部材を互いに変位可能な複数のサドル変位部材に分割しておくことができる。この場合は、サドルの全体の形状を大腿部および臀部の動きによりフィットさせる上で、有利である。その際、ペダルを漕ぐ動作が支障なく行えるよう、少なくとも、左右のサドル変位部材の全体か、あるいは、複数に分割されたサドル変位部材の何れかが、大腿部の動きに追従して軽やかに変位可能とされていることが必要である。左右のサドル変位部材と分割された複数のサドル変位部材のいずれか、あるいは、分割された複数のサドル変位部材が互いに協同して、大腿部の動きに追従し、軽やかに変位可能となるよう構成しても良い。
【0018】
左右のサドル変位部材をサドル本体に対して変位可能にするには、あるいは、分割された複数のサドル変位部材を相互に変位可能にするには、サドル変位部材とサドル本体、または分割された複数のサドル変位部材の相互を、可動部材を用いて、相互に変位可能に連結すればよい。例えば、回転軸を用いて、相互に回転可能に連結しても良いし、蝶番等を用いても良い。さらには、棒バネ、板バネ等の弾性力のある可撓性部材で、サドル変位部材とサドル本体とを、または分割されたサドル変位部材の相互を、連結しても良いし、サドル変位部材とサドル本体との間、もしくは、分割されたサドル変位部材の相互の間に、弾性力のある可撓性部材を設けるようにしても良い。
【0019】
左右のサドル変位部材、および、分割された複数のサドル変位部材は、外力のない状態では、少なくとも元の位置に戻る復元力を有していることが望ましい。しかしながら、大腿部を受ける左右に突出するサドル変位部材が、余りに強い復元力で元の位置に戻るようにしてしまうと、自転車のペダルを漕ぐ際に、障害となる恐れがある。したがって、左右に突出するサドル変位部材が大腿部の動きに応じた軽やかな変位を保証するためのサドル変位部材、もしくは、分割されたサドル変位部材の復元力は、それらサドル変位部材の自重に打ち勝つ程度であることが好ましい。一方、それ以外のサドル変位部材、もしくは、分割されたサドル変位部材は、通常は臀部を支え、停車時等に臀部および大腿部が大きな動きをする時に追従できれば良いので、比較的強い復元力を有していることが望ましい。
【0020】
また、本発明の自転車用サドルは、サドル後部に背を設けることも可能であり、サドル後部に背を設けた時には、自転車のペダルを漕ぐ時に、脚が受ける反力をサドル後部の背で受けることができ、サドル後部を支点にして、漕ぐ力を有効にペダルに伝えることができる。そのとき、サドル本体を、自転車の進行方向に直行する左右方向に延びる水平軸の回りに揺動可能に軸架しておけば、ペダルを漕ぐ時に、脚が受ける反力をより有効に受けることができる。
【0021】
本発明の自転車用サドルの材質は、特に問わないが、硬質の塩化ビニルや、あるいは、ポリカーボネート、ABS、ポリエステル、ポリアミドなどの耐衝撃性に優れた硬質プラスチック、ガラス繊維や炭素繊維などの繊維補強材で補強した複合材料、さらには、アルミニウムやチタン合金などの金属材料によっても形成することができる。なお、硬質材料の上に塩化ビニルやナイロン、さらにはゴムや皮等の軟質の材料を積層して表面に弾力性を持たせても良い。
【0022】
また、サドル表面を、臀部や大腿部の形状に合わせた凹凸を持った形に形成することにより、サドルを自転車の乗車者の臀部や大腿部によりフィットさせるようにしても良い。
【0023】
【実施例】
次に、図面を用いて、本発明を説明する。
【0024】
図1は、本発明の自転車用サドルの一例を示すもので、サドルを下側から見た底面図である。
【0025】
図において、符号1はサドルであって、サドル本体2と、可動部材3a、3bによって変位可能に支持されている左右のサドル変位部材4a、4bとによって構成されており、サドル本体2の下側部に設けられた取付部材5によって、自転車本体におけるサドル支柱6に取り付けられている。
【0026】
図示実施例におけるサドル変位部材4a、4bの可動部材3a、3bは、それぞれ回転軸と、その軸受部とによって回動自在に構成したものを示しており、その可動部材3a、3bの取付け位置は、サドル本体2の前方中央部7よりも自転車の進行方向の後方に位置して設けられている。また、これら可動部材3a、3bの回転軸には、その周囲を巻回するコイルバネが設けられており、可動部材3a、3bに支持されるサドル変位部材4a、4bに外力が働かない状態の時には、そのサドル変位部材4a、4bが、常に水平位置に保持されるよう復元力が与えられている。この復元力を与える手段としては、コイルバネに限らず板バネであってもよい。
【0027】
また、図示実施例に示す左右のサドル変位部材4a、4bは、サドル本体2の前方中央部7よりも自転車の進行方向の前方に向かって突出する前方両側部8a、8bを、それぞれ含む形状に形成してある。
【0028】
サドル本体2の取付部材5と自転車本体のサドル支柱6との取付は、従来の取付手段、例えば、螺合などの手段を採用すればよい。
【0029】
図1と図9とを比べると明らかなように、本発明の自転車用サドルは、従来の自転車用サドルに比べて、自転車の乗車者αの臀部および大腿部をより広い範囲の面積で支えるものであることが分かる。このため、本発明の自転車用サドルにおいては、自転車の乗車者αの体重は、臀部および大腿部のより広い面積に分散してサドル1によって受け止められるため、尾骨部近辺が部分的に強く圧迫されることがない。しかも、図9に示す従来におけるサドルの前方中央部7の突出部がなく、乗車者αの会陰部近辺が不要に圧迫されることもない。
【0030】
図2は、図1のサドルを横から見た側面図であり、自転車本体の部分的模式図と共に示すものである。
【0031】
サドル変位部材4a−1、4a−2、4a−3は、サドル変位部材4aが可動部材3aを中心にサドル本体2に対して回転変位した位置を仮想的に示すものであり、サドル変位部材4aが、自転車の乗車者αがペダルを漕ぐ時の大腿部の動きに対して支障にならないことが分かる。
【0032】
なお、符号10はペダル9の回転軌跡を示す。
【0033】
図3は、図1および図2に示された本発明の自転車用サドルの斜視図である。
【0034】
この図の場合、サドル変位部材4a、4b、およびサドル本体2の表面は平板状であるが、当接する臀部や大腿部の形状に合った凹部や凸部を有する曲面としても良い。
【0035】
なお、符号11は、サドル1の後部に設けられた背を示している。
【0036】
図4は、背11を付けた場合の本発明の自転車用サドルを、自転車本体並びに乗車者αと共に示すものである。
【0037】
図から明らかなように、乗車者αがペダル9を漕ぐ力は、矢印Xの方向に作用し、乗車者αは当然に矢印Xとは反対方向に反力を受ける訳であるが、従来は、自転車のハンドル12を握る両手に力を込め、腕の力と上体の力によって上体位置を動かないように保持して反力を受け止めていた。したがって、ペダル9を漕ぐ脚に力を加えるたびに、両腕並びに上体は緊張し、疲労の大きな一因であった。
【0038】
ところが、図4に示すように、サドル1に背11があると、脚が受ける反力の一部、すなわち、矢印Yで示される方向に作用する水平分力は、背11によって有効に受け止められる。その結果、もはや、上体や腕に余分の力を加える必要がなく、乗車者αの疲労は格段に減少するものである。
【0039】
また、サドル1の全体を自転車の進行方向に直交する左右方向に延びる水平軸13の回りに、矢印Bで示すように、揺動自在に支持しておくと、ペダル9に矢印X方向の力が加えられた場合には、サドル1が二点鎖線で示される位置に揺動し、乗車者αが受ける反力のより大きな部分を背11によって有効に受け止めることができる。
【0040】
図5は、本発明の自転車用サドルの他の例を示し、サドルを下側から見た底面図である。
【0041】
この実施例に示す、取付部材5によってサドル支柱6に取付け固定されるサドル本体2は、極端なまでに小さくされており、その周囲をサドル変位部材4a、4bによって取り囲まれている。サドル変位部材4a、4bは、それぞれ、回転軸14a、14bとして例示されている可動部材3a、3bによって、サドル本体2に対して回転変位可能に取り付けられている。符号15a、15bは、それぞれ回転軸14a、14bを回転可能に保持する軸受であり、符号16a、16bは、サドル本体2に取り付けられた、回転軸14a、14bの保持部材である。勿論、保持部材16a、16bの方を軸受として構成し、軸受15a、15bを保持部材として構成しても良い。
【0042】
符号17a、17b、18a、18bは、弾性力のある可撓性部材によって構成された可動部材であって、この可動部材17aと18a、および可動部材17bと18bとによって、サドル変位部材4a、4bは、それぞれ3つの相互に変位可能なサドル変位部材4a−1、4a−2、4a−3およびサドル変位部材4b−1、4b−2、4b−3に分割されている。
【0043】
この各々3つのサドル変位部材4a−1、4a−2、4a−3と、サドル変位部材4b−1、4b−2、4b−3、および、サドル変位部材4a、4bの相互の動きは、図6を見れば容易に理解される。
【0044】
すなわち、図6は、図5の自転車用サドルを横から見た側面図である。
【0045】
図6から明らかなように、自転車の乗車者αのペダル9を漕ぐ大腿部の動きは、サドル変位部材4aのサドル本体2に対する回転変位と、サドル変位部材4aを分割したサドル変位部材4a−1のサドル変位部材4a−2に対する相互変位の協同作用によって、障害なく追従されている。サドル変位部材4a−3とサドル変位部材4a−2との相互変位は、サドル変位部材4aのサドル本体2に対する回転変位によってサドル変位部材4aの後部が不必要に持ち上げられることを有効に防止している。
【0046】
なお、図5、図6の例の場合、サドル変位部材4a、4bは耐衝撃性のある硬質プラスチックで作られており、可動部材17a、17b、18a、18bを構成する可撓性部材は、サドル変位部材4a、4bを構成している硬質プラスチックと一体的に結合している軟質で弾力性のあるプラスチックで構成されている。分割されたサドル変位部材4a−1、4a−2、4a−3、および、サドル変位部材4b−1、4b−2、4b−3を相互に変位可能にする手段としては、これに限らず、切れ込みや溝を入れることによっても可能である。また、軟質で弾力性のあるプラスチックだけや単なる溝や切れ込みだけでは復元力が不足する場合には、バネなどの補助手段を用いても良い。
【0047】
図7は、本発明の自転車用サドルの他の例を示し、やはり、サドルを下側から見た底面図である。
【0048】
この実施例におけるサドル変位部材4a、4bは、比較的硬く復元力の強い可撓性部材により構成された可動部材3a、3bによって、サドル本体2に変位可能に結合されており、かつ、弾力性のある比較的柔らかな可撓性部材により構成された可動部材19a、19bによって、それぞれ2つのサドル変位部材4a−1、4a−2、および、サドル変位部材4b−1、4b−2に分割されている。自転車の乗車者αのペダル9を漕ぐ大腿部の運動は、サドル変位部材4a−1、および、サドル変位部材4b−1の軽やかな変位によって基本的に保証されている。
【0049】
可撓性部材により構成されている可動部材3a、3bは、自転車の進行方向にほぼ平行であるが、可撓性部材により構成されている可動部材19a、19bは、自転車の進行方向に対して垂直な方向からややずれており、図から明らかなように、サドルの両サイド側が、自転車の進行方向の後方に傾いている。このように可動部材19a、19bに角度を付けることによって、サドル変位部材4a−1、および、サドル変位部材4b−1における外側部分の回転変位量が内側よりも大きくなり、自転車の乗車者αの大腿部の外側部分に対する運動の妨げが、可動部材19a、19bが自転車の進行方向に対して単に垂直である場合よりも、より緩和される。しかも、可撓性部材によって構成される可動部材3a、3bによって、サドル変位部材4a、4bの全体が、サドル本体2に対して変位すると、サドル変位部材4a−1、および、サドル変位部材4b−1の外側部分の回転変位量が内側よりもさらに大きくなり、自転車の乗車者αの大腿部の外側部分に対する運動の妨げが、一層、緩和される。
【0050】
また、この例における可動部材3a、3bを構成する比較的硬く復元力の強い可撓性部材は、通常の乗車時にはほとんど変位せず、自転車の乗車者αの体重を支えるのに有効であるが、停車時等に大腿部が普段よりも大きく下がる時には、その動きに追従し、動きを妨げることがない。
【0051】
図8は、本発明の自転車用サドルのさらに他の例で、同じく、サドルを下側から見た底面図である。
【0052】
この実施例におけるサドル変位部材4a、4bは、比較的柔らかな可撓性部材によって構成された可動部材20a、20bにより、それぞれサドル変位部材4a−1、4a−2、および、サドル変位部材4b−1、4b−2に分割されており、自転車の進行方向に対して角度を持った比較的硬く復元力の強い可撓性部材により構成された可動部材3a、3bによって、サドル本体2に対して変位可能に結合されている。
【0053】
このように可動部材3a、3bを構成する可撓性部材は、比較的硬く強い復元力を持っているので、通常の自転車の乗車時には、乗車者αの体重を支えるのに有効であり、一方、自転車の進行方向に対して角度を持たせて設けてあるので、停車時や自転車を漕ぐ時に、大腿部を大きく下げるような場合でも、よくその動きに追従して、動きを妨げることがない。
【0054】
【発明の効果】
以上、述べたように、本発明の自転車用サドルは、サドルの前方両側部が、その前方中央部よりも自転車の進行方向の前方に向かって突出した形状を有するとともに、少なくともその突出した前方両側部を含むサドル変位部材が、サドル本体に対して可動部材により変位可能に設けてあるので、自転車の乗車者の体重を、臀部および大腿部の広い範囲に分散して支持することができるので、臀部、特に尾骨部近辺が部分的に圧迫を強く受けることがない。しかも、従来のサドルのように前方中央部に突出部がないので、股擦れがなく、会陰部近辺が不要に圧迫されることもない。したがって、本発明の自転車用サドルは、自転車に長時間乗車しても臀部近辺や会陰部近辺等に痛みを生じることがなく、快適に乗車できるという優れた効果を奏するものである。
【0055】
また、本発明の自転車用サドルにはサドルの後部に背があるので、ペダルを漕ぐ時に脚が受ける反力を有効に受け止めることができ、その分、力を有効にペダルに伝えることができるので、優れた走行能力を発揮することができるという格別の効果を奏するものである。
【0056】
本発明の自転車用サドルは、自転車の乗車者を従来不可避と思われていた臀部近辺等の痛みから解放し、より快適な自転車走行を可能にし、ひいては一段の走行能力の向上をもたらす画期的なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自転車用サドルを下側から見た底面図である。
【図2】本発明の自転車用サドルを横から見た側面図である。
【図3】本発明の自転車用サドルの斜視図である。
【図4】本発明の自転車用サドルと反力の関係を示す概念図である。
【図5】本発明の自転車用サドルの他の例を下側から見た底面図である。
【図6】本発明の自転車用サドルを横から見た側面図である。
【図7】本発明の自転車用サドルのさらに他の例を下側から見た底面図である。
【図8】本発明の自転車用サドルのさらに他の例を下側から見た底面図である。
【図9】従来の自転車用サドルを上側から見た平面図である。
【符号の説明】
1 サドル
2 サドル本体
3a、3b 可動部材
4a、4b サドル変位部材
5 取付部材
6 サドル支柱
7 サドルの前方中央部
8a、8b サドルの前方両側部
9 ペダル
10 ペダルの回転軌跡
11 背
12 ハンドル
13 水平軸
14a、14b 回転軸
15a、15b 軸受
16a、16b 回転軸の保持部材
17a、17b 可動部材
18a、18b 可動部材
19a、19b 可動部材
20a、20b 可動部材
α 自転車の乗車者
β 尾骨部近辺
γ 会陰部近辺

Claims (5)

  1. サドルの前方両側部が、その前方中央部よりも自転車の進行方向の前方に向かって突出した形状を有するとともに、少なくともその突出した前方両側部を含むサドル変位部材がサドル本体に対して可動部材によって、回転変位可能かつ、少なくともの位置に戻る復元力を有するように連結されていることを特徴とする自転車用サドル。
  2. 突出した前方両側部を含むサドル変位部材が、サドルの前方中央部よりも、自転車の進行方向の後方位置において、サドル本体に対し変位可能とされていることを特徴とする請求項1記載の自転車用サドル。
  3. 突出した前方両側部を含むサドル変位部材が、互いに変位可能な複数のサドル変位部材に分割されていることを特徴とする請求項1または2記載の自転車用サドル。
  4. 復元力が、突出した前方両側部を含むサドル変位部材およびその分割されたサドル変位部材ごとに異なることを特徴とする請求項1、2又は3記載の自転車用サドル。
  5. サドルが、その後部に、背を有することを特徴とする請求項1、2、3または4記載の自転車用サドル。
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