JP3729216B2 - ポリアリーレンスルフィド及びその製造法 - Google Patents

ポリアリーレンスルフィド及びその製造法 Download PDF

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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリアリーレンスルフィド、その製造法及びそれを含む樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電気・電子機器部品、自動車機器部品、あるいは化学機器部品用等の材料として、高い耐熱性を有し、かつ耐化学薬品性を有する熱可塑性樹脂が要求されてきている。ポリフェニレンスルフィド(以下、PPSと略すことがある)に代表されるポリアリーレンスルフィド(以下、PASと略すことがある)がこの要求に応える樹脂の一つとして、近年注目されてきている。しかし、該樹脂は溶融流動性が高すぎるため、成形時にバリが発生し易いという問題を有している。上記の問題に鑑み、特開昭57‐70157号公報には、特定寸法のガラス繊維と、所定のメルトフローレート及び架橋速度を持つPASを含んでなる樹脂組成物が開示されている。しかし、該樹脂組成物ではバリの低減は十分なものではなく、また、機械的強度が不十分なために適用できる用途が限定されていた。
【0003】
更に、特開昭64‐38211号公報、特開昭64‐63115号公報及び特開昭64‐89208号公報には、カップリング剤としてアミノアルコキシシラン、エポキシアルコキシシラン、メルカプトアルコキシシラン及びビニルアルコキシシランから成る群より選ばれる少なくとも一種のシラン化合物をPASに添加する方法が開示されている。しかし、該方法においても、バリの低減が十分とは言えなかった。
【0004】
また、PASは通常淡黄色である場合が多く、白度の高いPASを得ても溶融成形時に着色が起りやすい。従って、白度の高いPAS成形品を得るためには、特別の手段が必要であり、変色を低減するために種々の手段が採られてきた。
【0005】
特開昭60‐8359号公報には、白色顔料をPPS樹脂に混入して白色化し、かつ白色顔料添加に起因する機械的強度の低下をエポキシ樹脂の添加により補償することが提案されている。しかし、これはコスト高を招く。白色顔料として酸化チタンと硫化亜鉛が記載されている。また特開平3‐28267号及び同3‐28268号公報には、PASに有機リン化合物を添加した組成物が開示されている。しかし、溶融成形中に溶融粘度が大きくなると共に、分解ガスが発生するという欠点があった。
【0006】
本出願人は、特開平7‐70320号公報において、極性非プロトン溶媒中でアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物を反応させてPASを製造する方法において、ジハロ芳香族化合物の転化率が30%の時点から重合スラリーの後処理工程までの任意の時点においてアルカリ金属硫化物1モル当り0.001〜0.1モルの亜鉛化合物を重合系又は後処理系に加える方法を開示した。該方法は白度が高く、かつ溶融粘度の大きいPASを提供するものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、成形時のバリ発生量が著しく少ない新規なPAS、及び白色度が著しく高く、かつ曲げ強度等の機械的強度に優れた成形品を与えるPAS樹脂組成物を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の特開平7‐70320号公報記載の方法において、亜鉛化合物添加の際の重合系又は後処理工程のポリマーのスラリーのpH値を所定の範囲に設定することにより、意外にも成形時においてバリ発生量が著しく少なく、かつ白度に優れるPASが得られること見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
(1)末端の‐SX基(Xはアルカリ金属又は水素原子である)と‐SZn‐基の合計に対して末端の‐SX基が20モル%未満であり、かつ溶融粘度V6 が100〜2000ポイズであるポリアリーレンスルフィドである。
(2)有機アミド系溶媒中でアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを反応させてポリアリーレンスルフィドを製造する方法において、ジハロ芳香族化合物の転化率が90%の時点から後処理工程までの任意の時点において、重合系又は後処理工程のポリマーのスラリーのpH(スラリーを6.5重量倍の水で希釈後に測定)を10.5〜12.5とし、出発アルカリ金属硫化物1モル当り0.001〜0.1モルの亜鉛化合物を加えることを特徴とするポリアリーレンスルフィドの製造法、
(3)ジハロ芳香族化合物の転化率が95%の時点から後処理工程までの任意の時点において、亜鉛化合物を加える上記(2)記載の方法、
(4)亜鉛化合物を重合系に加えること、及び亜鉛化合物添加後の重合系の水分量が出発アルカリ金属硫化物1モルに対して0.9〜1.4モルとなるようにすることを特徴とする上記(2)又は(3)記載の方法、
を挙げることができる。
【0009】
更に、本発明者らは、上記のPASを用いると、予期されざることにゼオライト及びシリカと組合されて著しく白色度が高い樹脂組成物が得られることをも見出した。また、同時に曲げ強度等の機械的強度の向上が達成された。該効果は、上記の特性を有するPASとゼオライト及びシリカの両者を配合することにより達成される。
【0010】
即ち、本発明はまた、
(5)(A)上記(1)記載のポリアリーレンスルフィド 100重量部、
(B)ゼオライト 0.01〜20重量部、
(C)シリカ 0.01〜20重量部、及び
(D)無機充填剤 0〜300重量部
を含む樹脂組成物である。
【0011】
好ましい態様として、
(6)(B)ゼオライトを1〜5重量部含む上記(5)記載の樹脂組成物、
(7)(C)シリカを1〜5重量部含む上記(5)又は(6)記載の樹脂組成物を挙げることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のPASにおいて、末端の‐SX基(Xはアルカリ金属又は水素原子である)と‐SZn‐基の合計に対して末端の‐SX基が20モル%未満、好ましくは15モル%未満、特に好ましくは10モル%未満である。上記範囲にすることにより、PAS成形時におけるバリの発生量を著しく低減できる。上記値以上では、成形時のバリ発生量の低減が図れない。ここで、末端の‐SX基の量(モル%)は、以下に述べる本発明のPASの製造法において亜鉛化合物を添加しない以外、他の条件を同一にして製造したPAS中に含まれる末端の‐SX基の量をブランクとして、下記式により求めた値である。
【0013】
【数1】
末端の‐SX基の量(モル%)=[末端の‐SX基の量(モル/g)/ブランクの末端の‐SX基の量(モル/g)]×100
末端の‐SX基の定量は下記の通りに実施する。PAS粉末を予め120℃で4時間乾燥した後、該PAS粉末20gをN‐メチル‐2‐ピロリドン150gに加えて、粉末凝集塊がなくなるように室温で30分間激しく攪拌混合する。次に、該スラリーを濾過した後、毎回約80℃の温水1リットルを用いて7回洗浄を繰り返す。得られた濾過ケーキを純水200g中に再度スラリー化し、次いで、1Nの塩酸を加えて該スラリーのpHを4.5に調整する。次に、25℃で30分間攪拌し、濾過した後、毎回約80℃の温水1リットルを用いて6回洗浄を繰り返す。得られた濾過ケーキを純水200g中に再度スラリー化し、次いで、1Nの水酸化ナトリウムにより滴定し、定量する。
【0014】
本発明のPASの溶融粘度V6 は、上限が2000ポイズ、好ましくは1200ポイズ、特に好ましくは600ポイズであり、下限が100ポイズ、好ましくは150ポイズ、特に好ましくは300ポイズである。上記範囲を超えては、成形性が低下し、上記下限未満では、成形時のバリ低減が図れない。ここで、溶融粘度V6 は、フローテスターを用い、300℃、荷重20kgf/cm2 、L/D=10で6分間保持した後に測定した粘度(ポイズ)である。
【0015】
上記本発明のPASは、好ましくは下記の方法で製造することができる。
【0016】
即ち、有機アミド系溶媒中でアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを反応させてポリアリーレンスルフィドを製造する方法において、ジハロ芳香族化合物の転化率が90%の時点から後処理工程までの任意の時点において、重合系又は後処理工程のポリマーのスラリーのpH(スラリーを6.5重量倍の水で希釈後に測定)を10.5〜12.5とし、出発アルカリ金属硫化物1モル当り0.001〜0.1モルの亜鉛化合物を加えることを特徴とするポリアリーレンスルフィドの製造法である。
【0017】
pH値は重合系又は後処理工程からスラリー(ポリマーを含む)を採取して、室温まで冷却してから6.5重量倍の水で希釈した後、測定した値である。
【0018】
該方法において、上記亜鉛化合物の添加は、pH値の上限が12.5、好ましくは12.0、特に好ましくは11.5、下限が10.5、好ましくは10.8、特に好ましくは11.0に保たれた重合系又は後処理工程のポリマーのスラリー中に行われる。pH値を上記範囲内とすることにより、亜鉛化合物と末端の‐SX基との反応が促進される。pH値が上記上限を超えては、重合スラリーの濾過性が悪化し、処理速度が遅くなると共に、添加した亜鉛化合物と重合系内に残存するアルカリ金属硫化物との反応が優先して起るため亜鉛化合物添加の効果が小さくなり、本発明の効果が得られない。上記下限未満では、亜鉛化合物と末端の‐SX基との反応が十分でなく、末端の‐SX基の量が本発明の範囲以上となり、成形時のバリ発生量の低減を図ることができない。pH値の調節は、例えば水酸化ナトリウム水溶液等を重合系又は後処理工程のポリマーのスラリー中に添加することにより実施することができる。
【0019】
重合系に亜鉛化合物を加える実施態様においては、亜鉛化合物添加後の重合系の水分量が、アルカリ金属硫化物1モルに対して上限が好ましくは1.4モル、特に好ましくは1.3モルであり、下限が好ましくは0.9モル、特に好ましくは1.0モルである。水分量が上記上限を超えては、添加した亜鉛化合物と重合系内に残存するアルカリ金属硫化物との反応が優先して起り、亜鉛化合物と末端の‐SX基との反応量が低下して、残存する末端の‐SX基が本発明の範囲以上となるため好ましくない。上記下限未満では、添加した亜鉛化合物の溶解性が低下するため末端の‐SX基との反応量が十分でなくなり、残存する末端の‐SX基が本発明の範囲以上となる。該水分量の調節は、上記のpH値調節及び亜鉛化合物の添加の際の水添加量を調節することによって実施し得る。
【0020】
該方法において、亜鉛化合物を重合系に加えるのは、ジハロ芳香族化合物の転化率が90%(好ましくは95%)の時点以降でなければならない。転化率が90%未満の時点で、亜鉛化合物を添加すると、重合反応が阻害されて、生成ポリマーの溶融粘度が小さくなり、成形時のバリ発生を低減することができず、かつピンク色乃至赤色に着色する。後処理工程のポリマーのスラリーに亜鉛化合物を加えてもよく、この場合には亜鉛化合物の添加が容易であるが、効果はやや劣る。重合系に亜鉛化合物を加える実施態様においては、ジハロ芳香族化合物の転化率の時間経過を予備実験で知っておくことにより、所望の転化率の時点で亜鉛化合物を添加できる。好ましくは亜鉛化合物は少量の水又は水/有機アミド系溶媒混合物中の溶液の形で重合系に加えられる。その後、好ましくは更に220〜270℃で5分間〜2時間加熱攪拌を継続して重合を行う。用いられる亜鉛化合物は、好ましくは重合系又はスラリー系に可溶性のものであり、例えば塩化亜鉛、酢酸亜鉛、硫酸亜鉛、硫化亜鉛である。亜鉛化合物の量は、アルカリ金属硫化物1モル当り、上限が0.1モル、好ましくは0.05モルであり、下限が0.001モル、好ましくは0.005モルである。上記下限未満では、発明の効果が十分奏せられない。他方、上記上限を超えても格別効果が増大せず、しかも重合系に加えた場合には重合度が低下する恐れがある。亜鉛化合物として、特に好ましくは塩化亜鉛が使用される。この場合、塩化亜鉛は、PAS末端の‐SX基と反応し、‐SZnCl及び‐SZnS‐を形成する。
【0021】
有機アミド系溶媒中でのアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物との反応自体は、公知の通りに行うことができる。該反応中に、反応缶の気相部分を冷却することにより反応缶内の気相の一部を凝縮させ、これを液相に還流せしめることが好ましい。これにより、生成したPASの解重合を回避できると共に、一層高分子量のPASを製造することが可能となる。
【0022】
反応缶の気相部分を冷却することにより反応缶内の気相の一部を凝縮させ、これを液相に還流せしめる方法としては、特開平5‐222196号公報に記載の方法を使用することができる。
【0023】
還流される液体は、水とアミド系溶媒の蒸気圧差の故に、液相バルクに比較して水含有率が高い。この水含有率の高い還流液は、反応溶液上部に水含有率の高い層を形成する。その結果、残存のアルカリ金属硫化物(例えばNa2 S)、ハロゲン化アルカリ金属(例えばNaCl)、オリゴマー等が、その層に多く含有されるようになる。従来法においては230℃以上の高温下で、生成したPASとNa2 S等の原料及び副生成物とが均一に混じりあった状態では、高分子量のPASが得られないばかりでなく、せっかく生成したPASの解重合も生じ、チオフェノールの副生成が認められる。しかし、本発明では、反応缶の気相部分を積極的に冷却して、水分に富む還流液を多量に液相上部に戻してやることによって上記の不都合な現象が回避でき、反応を阻害するような因子を真に効率良く除外でき、高分子量PASを得ることができるものと思われる。但し、本発明は上記現象による効果のみにより限定されるものではなく、気相部分を冷却することによって生じる種々の影響によって、高分子量のPASが得られるのである。
【0024】
該方法においては、従来法のように反応の途中で水を添加することを要しない。しかし、水を添加することを全く排除するものではない。但し、水を添加する操作を行えば、本発明の利点のいくつかは失われる。従って、好ましくは、重合反応系内の全水分量は反応の間中一定である。
【0025】
反応缶の気相部分の冷却は、外部冷却でも内部冷却でも可能であり、自体公知の冷却手段により行える。たとえば、反応缶内の上部に設置した内部コイルに冷媒体を流す方法、反応缶外部の上部に巻きつけた外部コイルまたはジャケットに冷媒体を流す方法、反応缶上部に設置したリフラックスコンデンサーを用いる方法、反応缶外部の上部に水をかける又は気体(空気、窒素等)を吹き付ける等の方法が考えられるが、結果的に缶内の還流量を増大させる効果があるものならば、いずれの方法を用いても良い。外気温度が比較的低いなら(たとえば常温)、反応缶上部に従来備えられている保温材を取外すことによって、適切な冷却を行うことも可能である。外部冷却の場合、反応缶壁面で凝縮した水/アミド系溶媒混合物は反応缶壁を伝わって液相の上層に入る。従って、該水分に富む混合物は、液相上部に溜り、そこの水分量を比較的高く保つ。内部冷却の場合には、冷却面で凝縮した混合物が同様に冷却装置表面又は反応缶壁を伝わって液相中に入る。
【0026】
一方、液相バルクの温度は、所定の一定温度に保たれ、あるいは所定の温度プロフィールに従ってコントロールされる。一定温度とする場合、 230〜275 ℃の温度で 0.1〜20時間反応を行うことが好ましい。より好ましくは、 240〜265 ℃の温度で1〜6時間である。より高い分子量のPASを得るには、2段階以上の反応温度プロフィールを用いることが好ましい。この2段階操作を行う場合、第1段階は 195〜240 ℃の温度で行うことが好ましい。温度が低いと反応速度が小さすぎ、実用的ではない。 240℃より高いと反応速度が速すぎて、十分に高分子量なPASが得られないのみならず、副反応速度が著しく増大する。第1段階の終了は、重合反応系内ジハロ芳香族化合物残存率が1モル%〜40モル%、且つ分子量が 3,000〜20,000の範囲内の時点で行うことが好ましい。より好ましくは、重合反応系内ジハロ芳香族化合物残存率が2モル%〜15モル%、且つ分子量が 5,000〜15,000の範囲である。残存率が40モル%を超えると、第2段階の反応で解重合など副反応が生じやすく、一方、1モル%未満では、最終的に高分子量PASを得難い。その後昇温して、最終段階の反応は、反応温度 240〜270 ℃の範囲で、1時間〜10時間行うことが好ましい。温度が低いと十分に高分子量化したPASを得ることができず、また 270℃より高い温度では解重合等の副反応が生じやすくなり、安定的に高分子量物を得難くなる。
【0027】
実際の操作としては、先ず不活性ガス雰囲気下で、重合系の水分量が所定の量となるよう、必要に応じて脱水または水添加する。水分量は、好ましくは、アルカリ金属硫化物1モル当り0.5〜1.39モル、特に0.8〜1.2モルとする。1.39モルを超えていると、pH調節の際に加えられる水と合計するとアルカリ金属硫化物1モルに対し1.4モルを超えるため、亜鉛化合物を添加する際に系内水を予めフラッシュして調節する等の操作が発生し、操作が煩雑化する。0.5モル未満では、反応速度が速すぎ、十分な高分子量の物を得ることができないと共に、副反応等の好ましくない反応が生ずる。
【0028】
反応時の気相部分の冷却は、一定温度での1段反応の場合では、反応開始時から行うことが望ましいが、少なくとも 250℃以下の昇温途中から行わなければならない。多段階反応では、第1段階の反応から冷却を行うことが望ましいが、遅くとも第1段階反応の終了後の昇温途中から行うことが好ましい。冷却効果の度合いは、通常反応缶内圧力が最も適した指標である。圧力の絶対値については、反応缶の特性、攪拌状態、系内水分量、ジハロ芳香族化合物とアルカリ金属硫化物とのモル比等によって異なる。しかし、同一反応条件下で冷却しない場合に比べて、反応缶圧力が低下すれば、還流液量が増加して、反応溶液気液界面における温度が低下していることを意味しており、その相対的な低下の度合いが水分含有量の多い層と、そうでない層との分離の度合いを示していると考えられる。そこで、冷却は反応缶内圧が、冷却をしない場合と比較して低くなる程度に行うのが好ましい。冷却の程度は、都度の使用する装置、運転条件などに応じて、当業者が適宜設定できる。
【0029】
上記の反応条件を種々選択することにより、所望の溶融粘度を持つPASを製造することができる。
【0030】
該方法において使用する有機アミド系溶媒は、PAS重合のために知られており、たとえばN‐メチルピロリドン(NMP)、N,N‐ジメチルホルムアミド、N,N‐ジメチル(又はジエチル)アセトアミド、N‐メチル(又はエチル)カプロラクタム、1,3‐ジメチル‐2‐イミダゾリジノン、ホルムアミド、アセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、テトラメチルウレア、N,N´‐エチレン‐2‐ピロリドン、2‐ピロリドン、ε‐カプロラクタム、ジフェニルスルホン等、及びこれらの混合物を使用でき、NMPが好ましい。これらは全て、水よりも低い蒸気圧を持つ。
【0031】
アルカリ金属硫化物も公知であり、たとえば、硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウム及びこれらの混合物である。これらの水和物及び水溶液であっても良い。又、これらにそれぞれ対応する水硫化物及び水和物を、それぞれに対応する水酸化物で中和して用いることができる。安価な硫化ナトリウムが好ましい。
【0032】
ジハロ芳香族化合物は、たとえば特公昭45‐3368号公報記載のものから選ぶことができるが、好ましくはp‐ジクロロベンゼンである。又、少量(20モル%以下)のジフェニルエーテル、ジフェニルスルホン又はビフェニルのパラ、メタ又はオルトジハロ物を1種類以上用いて共重合体を得ることができる。例えば、o‐ジクロロベンゼン、p,p´‐ジクロロジフェニルエーテル、m,p´‐ジクロロジフェニルエーテル、m,m´‐ジクロロジフェニルエーテル、p,p´‐ジクロロジフェニルスルホン、m,p´‐ジクロロジフェニルスルホン、m,m´‐ジクロロジフェニルスルホン、p,p´‐ジクロロビフェニル、m,p´‐ジクロロビフェニル、m,m´‐ジクロロビフェニルである。
【0033】
PASの分子量をより大きくするために、例えば1,3,5‐トリクロロベンゼン、1,2,4‐トリクロロベンゼン等のポリハロ化合物をアルカリ金属硫化物に対して好ましくは0.005〜1.5モル%、特に好ましくは0.02〜0.75モル%の量で使用することもできる。
【0034】
こうして得られたPASは、当業者にとって公知の後処理法によって副生物から分離される。好ましくは、上記のようにして得られたPASは有機アミド系溶媒で洗浄され、得られた含溶媒濾過ケーキは非酸化性ガス雰囲気下に150〜250℃の温度で加熱されて溶媒が除去され、更に水洗浄が施される。
【0035】
有機アミド系溶媒でのPASの洗浄は、好ましくは以下の方法で行われる。即ち、上記工程で生成したPASのスラリーを濾過した後、得られた濾過ケーキを有機アミド系溶媒に分散させる方法である。
【0036】
洗浄の一態様において、まず上記工程で生成したPASのスラリーを濾過してPASケーキを得る。次いで、該PASケーキを、重量で好ましくは0.5〜10倍の有機アミド系溶媒中に投入して、好ましくは常温〜180℃で、好ましくは10分間〜10時間攪拌混合した後、濾過する。該攪拌混合及び濾過操作を好ましくは1〜10回繰り返す。該洗浄に使用する有機アミド系溶媒としては、上記PASの製造工程の説明中に記載した有機アミド系溶媒が挙げられる。該有機アミド系溶媒はPASの製造工程で使用したものと同一であっても、異なっていても良い。特に好ましくはN‐メチルピロリドンが使用される。
【0037】
含溶媒濾過ケーキの加熱による溶媒除去は、好ましくは以下のように行われる。アミド系溶媒による洗浄後の含溶媒濾過ケーキは、ヘリウム、アルゴン、水素、窒素等の非酸化性ガス気流中、好ましくは酸素濃度5.0体積%未満の窒素ガス気流中、150〜250℃、好ましくは180〜230℃の温度で、好ましくは0.5〜20時間、特に好ましくは1〜10時間加熱される。該加熱は、好ましくは常圧〜3気圧、特に好ましくは常圧下で行われる。該加熱温度が上記下限未満では、溶媒の除去に長時間を必要とし、生産性の低下が生じる。上記上限を超えては、PASの着色が著しくなり好ましくない。上記の加熱による溶媒除去を行うことにより、従来の水洗浄により溶媒を除去する方法に比べて、水洗浄等の工程を簡略化でき、かつ溶媒の回収率を著しく向上せしめることができるため、生産性が高くコスト的に有利である。
【0038】
次いで行われる水洗浄は、公知の方法に従って行うことができる。しかし、好ましくは上記加熱後の濾過ケーキを水に分散させることにより行われる。例えば、上記のようにして得られた加熱後のPASケーキを、重量で好ましくは1〜5倍の水中に投入して、好ましくは常温〜90℃で、好ましくは5分間〜10時間攪拌混合した後、濾過する。該攪拌混合及び濾過操作を好ましくは2〜10回繰り返すことにより、PASに付着した溶媒及び副生塩の除去を行って水洗浄を終了する。このようにして水洗浄を行うことにより、フィルターケーキに水を注ぐ洗浄方法に比べて少ない水量で効率的な洗浄が可能となる。
【0039】
本発明においては、上記のようにして得られたPASに、更に酸処理を施すこともできる。
【0040】
酸処理は、好ましくは100℃以下の温度、特に好ましくは常温〜80℃の温度で実施される。該温度が上記上限を超えると、酸処理後のPAS分子量が低下するため好ましくない。該酸処理に使用する酸溶液のpHは、好ましくは3.5〜6.0、特に好ましくは4.0〜5.5である。該pHを採用することにより、被処理物であるPAS中の‐SA(Aはアルカリ金属を示す)末端の大部分を‐SH末端に転化することができる。pHが上記範囲未満では、酸の使用量が多くコスト高となり、上記範囲を超えては、PAS中のアルカリ金属末端の除去が不十分となる。該酸処理に要する時間は、上記酸処理温度及び酸溶液の濃度に依存するが、好ましくは5分間以上、特に好ましくは10分間以上である。上記未満では、PAS中の‐SA末端を‐SH末端に十分に転化できず好ましくない。上記酸処理には、例えば酢酸、ギ酸、シュウ酸、フタル酸、塩酸、リン酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、ホウ酸、炭酸等が使用され、酢酸が特に好ましい。該処理を施すことにより、PAS中の不純物であるアルカリ金属、例えばナトリウムを低減できる。
【0041】
酸溶液中での処理の後、ポリマーを溶液から分離し、好ましくはポリマーを水洗して酸を除去する。
【0042】
後処理工程のポリマーのスラリー中に亜鉛化合物を加えてポリアリーレンスルフィドを処理する態様においては、重合終了後に得られるポリマースラリーから例えばフラッシュ、濾過等の操作により溶媒を除去する前のスラリー中に亜鉛化合物(又はその溶液)を加え、30〜270℃で10分間〜1時間攪拌することが好ましい。その後、上記と同様にPASを常法により分離、精製し、好ましくは更に酸処理する。
【0043】
本発明のPASには、任意成分として充填剤を配合することができる。充填剤の配合量は、PAS100重量部に対して、好ましくは300重量部以下、特に好ましくは250重量部以下である。充填剤が、上記上限を超えては、樹脂組成物の成形性が悪化する。また、機械的強度を高めるためには、20重量部以上配合することが好ましい。該充填剤としては、慣用のものを使用することができる。例えば粉末状/リン片状の充填剤、繊維状充填剤などが使用できる。粉末状/リン片状の充填剤としては、例えばアルミナ、タルク、マイカ、カオリン、クレー、酸化チタン、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、窒化ケイ素、ガラス、ハイドロタルサイト、酸化ジルコニウム、ガラスビーズ、カーボンブラック等が挙げられる。また、繊維状充填剤としては、例えばガラス繊維、アスベスト繊維、炭素繊維、シリカ繊維、シリカ/アルミナ繊維、チタン酸カリ繊維、ポリアラミド繊維等が挙げられる。また、この他にZnOテトラポット、金属塩(例えば塩化亜鉛、硫酸鉛など)、酸化物(例えば酸化鉄、二酸化モリブデンなど)、金属(例えばアルミニウム、ステンレスなど)等の充填剤を使用することもできる。これらを1種単独でまたは2種以上組合せて使用できる。また、無機充填剤は、その表面が、シランカップリング剤やチタネートカップリング剤で処理してあってもよい。
【0044】
また、本発明のPASには、好ましくは白色顔料、例えば酸化チタン、酸化亜鉛等を配合することができる。配合量は、PAS100重量部に対して好ましくは30重量部以下であり、上記上限を超えても、顕著な効果が期待できず、かつコスト高となり好ましくない。また、良好な白色度を得るためには、0.1重量部以上配合することが好ましい。
【0045】
更に、本発明のPASには、好ましくはアルコキシシラン、例えばアミノアルコキシシラン、エポキシアルコキシシラン、メルカプトアルコキシシラン、ビニルアルコキシシランから選ばれた一つのアルコキシシランを配合することができる。配合量は、PAS100重量部に対して、上限が好ましくは3重量部であり、下限が好ましくは0.01重量部である。上記範囲で配合することによりPASの成形加工性及び機械的性質を改善することができる。
【0046】
更に、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、離型剤、着色剤等の添加剤を配合することもできる。
【0047】
以上のような各成分を混合する方法は、特に限定されるものではない。一般に広く使用されている方法、例えば各成分をヘンシェルミキサー等の混合機で混合する等の方法を用いることができる。
【0048】
上記のようにして混合して得られたPASは、通常押出機で溶融混練してペレット化した後、例えば射出成形して所望の形状に成形される。
【0049】
また、本発明は、
(A)末端の‐SX基(Xはアルカリ金属又は水素原子である)と‐SZn‐基の合計に対して末端の‐SX基が20モル%未満であり、かつ溶融粘度V6 が100〜2000ポイズであるポリアリーレンスルフィド 100重量部、
(B)ゼオライト 0.01〜20重量部、
(C)シリカ 0.01〜20重量部、及び
(D)無機充填剤 0〜300重量部
を含む樹脂組成物である。
【0050】
成分(A)PASは、上記の本発明のPASである。
【0051】
成分(B)ゼオライトは、結晶性のアルミノケイ酸塩であり、下記の一般式で示される公知の物質である。
【0052】
x(MI 2 ,MII)O・Al2 3 ・ nSiO2 ・ mH2
ここで、MI は1価の金属、例えばLi、Na、K等のアルカリ金属、あるいはアンモニウム、アルキルアンモニウム、ピリジニウム、アニリニウム、水素イオン等を示し、MIIは2価の金属、例えばCa、Mg、Ba、Sr等のアルカリ土類金属を示す。MI とMIIは、一方若しくは両方存在してよい。好ましくはMIIがCaであり、MI が実質上存在しない。
【0053】
本発明で使用する(B)ゼオライトとしては天然または合成品の何れのゼオライトも使用可能である。天然ゼオライトとしては、例えば、ホウふっ石、ワイラカイト、ソーダふっ石、メソふっ石、トムソンふっ石、ゴナルドふっ石、スコレふっ石、エジングトふっ石、ギスモンふっ石、ダクふっ石、モルデンふっ石、ユガワラふっ石、エリオナイト、アシュクロフティン、キふっ石、クリノプチロライト、タバふっ石、ハクふっ石、ダキアルドふっ石、カイジュウジふっ石、ジュウジふっ石、グメリンふっ石、リョウふっ石、フォージャサイト等を挙げることができる。合成ゼオライトとしては、例えば、A型、X型、Y型、L型、モルデナイト、チャバサイト等を挙げることができる。上記ゼオライト中、好ましくは合成ゼオライトが用いられる。合成ゼオライトとしては、市販のものを使用することができ、例えば、CS‐100、CS‐100S(いずれも商標、株式会社耕正製)、AMT‐25(商標、水澤化学工業株式会社製)、ミズカライザーES(商標、水澤化学工業株式会社製)等が挙げられる。
【0054】
(B)ゼオライトの形状は粉末粒子状が好ましく、平均粒径の上限が好ましくは3μm、より好ましくは2.5μm、特に好ましくは2μmである。下限は特に限定されないが、好ましくは0.1μmである。上記上限を超えると樹脂組成物の流動性の低下や成形品の曲げ強度の低下等をもたらすため好ましくない。ここで、平均粒径はコールターカウンターにより求めた値(D50)である。また、該ゼオライト粒子は、粒度分布において、好ましくは粒径が5μm以下の粒子が90重量%以上であり、特に好ましくは粒径が3μm以下の粒子が95重量%以上がよい。
【0055】
成分(B)ゼオライトの配合量は、成分(A)PAS100重量部に対して、上限が20重量部、好ましくは15重量部、特に好ましくは5重量部であり、下限が0.01重量部、好ましくは0.1重量部、特に好ましくは1重量部である。上記上限を超えては、成形品にクラックを生じ、曲げ強度等の機械的強度の低下を招き、更には、樹脂組成物の流動性の低下をも招く。上記下限未満では、成形品の白色度及び曲げ強度等の機械的強度を高めることができない。
【0056】
本発明で使用する成分(C)シリカの平均粒径は、上限が好ましくは50μm、更に好ましくは30μm、特に好ましくは10μmであり、下限が好ましくは1.0μm、更に好ましくは1.5μm、特に好ましくは2μmである。ここで、平均粒径はコールターカウンターにより求めた値である(D50)。平均粒径が上記上限を超えては、成形品の曲げ強度の低下等をもたらすため好ましくない。上記下限未満では、PAS樹脂組成物の溶融粘度V6 の増加を招き、成形性が悪化する。また、該シリカ粒子は、粒度分布において好ましくは粒径が80μm以下の粒子が90重量%以上であり、特に好ましくは粒径が60μm以下の粒子が95重量%以上がよい。
【0057】
(C)シリカの比表面積は、上限が好ましくは1500m2 /g、更に好ましくは1000m2 /g、特に好ましくは700m2 /gであり、下限が好ましくは1m2 /g、更に好ましくは2m2 /g、特に好ましくは2.5m2 /gである。上記上限を超えては、PAS樹脂組成物の溶融粘度V6 の増加を招き、成形性が悪化する。上記下限未満では、成形品の曲げ強度の低下等をもたらすため好ましくない。ここで、上記の比表面積は簡易BET法により求めたものである。(C)シリカとしては、上記性状を有するものであれば、特に制限はない。好ましくはケイ酸ナトリウムと酸との反応によって生ずる合成シリカを使用することができる。市販のものとしては、例えば日本化学工業株式会社製のMPS(商標)、若しくは富士シリシア株式会社製のサイシリア730、サイシリア740、サイシリア770、サイシリア530、サイシリア540、サイシリア550
(いずれも商標)等が挙げられる。
【0058】
成分(C)シリカの配合量は、成分(A)PAS100重量部に対して、上限が20重量部、好ましくは15重量部、特に好ましくは5重量部であり、下限が0.01重量部、好ましくは0.1重量部、特に好ましくは1重量部である。上記上限を超えては、成形品にクラックを生じ、曲げ強度等の機械的強度の低下を招き、更には、樹脂組成物の流動性の低下をも招く。上記下限未満では、白色度の向上を図ることができない。
【0059】
上記本発明の樹脂組成物には更に、任意成分として(D)無機充填剤を配合することができる。該無機充填剤としては、上記のものを使用することができる。成分(D)の配合量も上記と同じであり、機械的強度を高めるためには、0.01重量部以上配合するのが好ましい。
【0060】
また、本発明の樹脂組成物には、上記と同じく白色顔料、アルコキシシラン、更に必要に応じて、公知の添加剤及び充填剤、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、離型剤、熱安定剤、滑剤、着色剤等を配合することができる。
【0061】
上記本発明の樹脂組成物の製造方法は特に限定されず、例えば全成分を機械的に混合し、押出機等の慣用の装置にて溶融混練し(例えば320 ℃程度)、押出し、ペレット化することができる。また、マスターバッチとして混合/成形することもできる。また、組成物各成分を別々に押出機に投入して溶融混合してもよい。
【0062】
本発明の樹脂組成物は、自動車機器部品、電気・電子機器部品、化学機器部品等の材料として使用し得る。特に、コネクター等の電気・電子機器部品用として好ましい。
【0063】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
【0064】
【実施例】
実施例において、重合系のpHは、重合系よりスラリー20g(ポリマーを含む)を採取し、室温まで冷却してから水130gで希釈した後、pHメーター (F‐2、堀場製作所製)により測定した。
【0065】
バリ長は以下のようにして測定した。PPS60重量部とガラス繊維(03MA497、商標、旭グラスファイバー株式会社製)40重量部を加えて、ヘンシェルミキサーで4分間予備混合した後、35mmφ一軸押出機を使用して、シリンダー温度320℃、回転数250rpmで溶融押出し、ペレットを作成した。更に出来上がったペレットから、シリンダー温度320℃、金型温度150℃に設定した射出成形機により、幅50mm、長さ70mm、厚さ3mmの試験片を作成した。該試験片の先端部に発生したバリ長さを測定して評価した。比較例2については、上記の配合比で実施した他、PPS100重量部にγ‐アミノプロピルトリエトキシシラン0.5重量部を添加したもの60重量部に上記と同じくガラス繊維40重量部を配合してバリ長を測定した。
【0066】
PPS中の末端の‐SX基の量は、比較例2で得られたPPS(R‐2)をブランクとして算出した。
【0067】
PPSの溶融粘度V6 は、島津製作所製フローテスターCFT‐500Cを用いて測定した値である。
【0068】
【実施例1】
150リットルオートクレーブに、フレーク状硫化ソーダ(60.81重量%Na2 S)15.400kgと、N‐メチル‐2‐ピロリドン(以下、NMPと略すことがある)38.0kgを仕込んだ。窒素気流下攪拌しながら216℃まで昇温して、水3.843kgを留出させた。その後、オートクレーブを密閉して180℃まで冷却し、パラジクロロベンゼン(以下、p‐DCBと略すことがある)17.640kg及びNMP16.0kgを仕込んだ。液温150℃で窒素ガスを用いて1kg/cm2 Gに加圧して昇温を開始した。液温260℃まで4時間かけて昇温し、液温が260℃になった時点でオートクレーブ上部への散水を開始した。該温度で2時間保持した後、49重量%NaOH水溶液56.3gを加圧注入ポンプにてオートクレーブ中に圧入した。該添加により、重合系のpHが9.5から10.8になった。次いで、塩化亜鉛327g(硫化ソーダ1モル当り0.02モル)を水108g及びNMP216gに溶解した溶液を加圧注入ポンプにてオートクレーブ中に圧入した。塩化亜鉛添加時のp‐DCBの転化率は98.5%であり、添加後のオートクレーブ中の水分は硫化ソーダ1モルに対して1.06モルであった。次に、液温を240℃まで降温し、30分間保持した。次に降温させると共にオートクレーブ上部の冷却を止めた。オートクレーブ上部を冷却中、液層を加熱して所定の温度に保持した。反応中の最高圧力は、9.08kg/cm2 Gであった。
【0069】
110℃まで冷却したところで、スラリーを濾過し、得られた濾過ケーキを24kgのNMP中に投入して、常温で0.5時間攪拌した後、濾過した。該濾過ケーキを窒素ガス気流中、220℃で7時間乾燥した。次いで、温水洗浄及び濾過の操作を7回繰り返し、得られた濾過ケーキを120℃で4.5時間熱風循環乾燥機中で乾燥して白色粉末状の製品(P‐1)を得、各特性値を測定した。
【0070】
【実施例2】
49重量%NaOH水溶液の添加量を70.0gとした以外は実施例1と同一条件で実施した。NaOH水溶液の添加により、重合系のpHが9.8から11.2になった。塩化亜鉛添加後のオートクレーブ中の水分は硫化ソーダ1モルに対して1.07モルであった。
【0071】
得られたPPS(P‐2)について、各特性値を測定した。
【0072】
【実施例3】
塩化亜鉛添加前のpH調節及び塩化亜鉛添加を実施しなかった以外は、実施例1と同一にして重合を実施した。
【0073】
次いで、液温を150℃まで冷却し、49重量%NaOH水溶液56.3gを加圧注入ポンプにてオートクレーブ中に圧入した。該添加により、重合系のpHが9.5から10.8になった。次に、塩化亜鉛327g(硫化ソーダ1モル当り0.02モル)を水108g及びNMP216gに溶解した溶液を加圧注入ポンプにてオートクレーブ中に圧入した。添加後のオートクレーブ中の水分は硫化ソーダ1モルに対して1.06モルであった。
【0074】
その後、実施例1と同一にして後処理を行い白色粉末状の製品(P‐3)を得、各特性値を測定した。
【0075】
【比較例1】
塩化亜鉛添加前のpH調節、即ち49重量%NaOH水溶液の添加を実施しなかった以外は、実施例1と同一にして実施した。塩化亜鉛添加時の重合スラリーのpHは9.5であった。
【0076】
得られたPPS(R‐1)について、各特性値を測定した。
【0077】
【比較例2】
塩化亜鉛添加前のpH調節及び塩化亜鉛添加を実施しなかった以外は、実施例1と同一にして実施した。
【0078】
得られたPPS(R‐2)について、各特性値を測定した。
【0079】
【比較例3】
pH調節及び塩化亜鉛の添加をせず、実施例1と同一にして重合反応を実施した後、同じく110℃まで冷却したところで、スラリーを濾過し、得られた濾過ケーキを24kgのNMP中に投入して、常温で0.5時間攪拌した後、濾過した。該濾過ケーキを窒素ガス気流中、220℃で7時間乾燥した。得られたポリマーを60kgの温水に投入してスラリー化し、次いで塩化亜鉛163.5gを該スラリー中に添加した。その後、これを90℃まで昇温し、該温度で3時間保持した後、濾過した。次いで、温水洗浄及び濾過の操作を7回繰り返した。次に、120℃で4.5時間熱風循環乾燥機中で乾燥して白色粉末状の製品(R‐3)を得、各特性値を測定した。
【0080】
【比較例4】
49重量%NaOH水溶液の量を140.0gとした以外は、実施例1と同一の条件で実施した。該NaOH水溶液の添加により、重合系のpHが9.8から13.1になった。塩化亜鉛添加後のオートクレーブ中の水分は硫化ソーダ1モルに対して1.08モルであった。得られたスラリーは極めて濾過性が悪く、後処理が容易ではなかった。得られた白色粉末状の製品(R‐4)の各特性値を測定した。
【0081】
以上の結果を表1に示す。
【0082】
【表1】
Figure 0003729216
実施例1、2及び3は、本発明のPPSである。いずれもそのバリ長は短かった。実施例2は、実施例1に比べて、塩化亜鉛添加時の重合系のpHを本発明の範囲内でより高くしたものである。PPS中の‐SX基の量が減少し、かつバリ長は短くなった。実施例3は、反応終了後の重合系に塩化亜鉛を添加したものである。実施例1と比べて、PPS中の‐SX基の量、溶融粘度V6 及びバリ長に大きな変化はなかった。
【0083】
一方、比較例1は、塩化亜鉛添加前に重合系のpH調節をしなかったこと以外は、実施例1と同一にして製造したPPSの各値である。即ち、塩化亜鉛添加時の重合系のpHが本発明の範囲未満のものである。PPS中の‐SX基の量は本発明の範囲以上であり、実施例1と比べてバリ長は著しく長かった。比較例2は、塩化亜鉛を添加しなかったものである。実施例1と比べてバリ長は著しく長かった。また、比較例2については、更にγ‐アミノプロピルトリエトキシシランを配合した組成物についてもバリ長を測定した。実施例1と比べて、そのバリ長は非常に長かった。比較例3は、塩化亜鉛の添加をせず、実施例1と同一にして重合反応を実施して得られたPPSにNMP洗浄を施した後、温水中に分散してスラリー化し、pH調節をせずして、該スラリー中に塩化亜鉛を添加したものである。PPS中の‐SX基の量は本発明の範囲以上であった。実施例1と比べてバリ長は著しく長かった。比較例4は、実施例1と同一条件下において、塩化亜鉛添加時の重合系のpHが本発明の範囲を超えたものである。PPS中の‐SX基の量は本発明の範囲以上であった。また、バリ長は、実施例1と比べて著しく長かった。
【0084】
【実施例4、5及び比較例5〜17】
各実施例及び比較例で使用したPPSは下記の通りである。
・実施例1で得られたPPS(P‐1):実施例4、5、及び比較例5〜9、11〜15で使用した。
・比較例2で得られたPPS(‐SZn‐基を含まない)(R‐2):比較例16で使用した。
・架橋型PPS K‐2(商標、株式会社トープレン製、‐SZn‐基を含まない):比較例6で使用した。
・比較例1で得られたPPS(末端の‐SX基の量が46.8モル%)(R‐1):比較例17で使用した。
【0085】
各実施例及び比較例で使用したゼオライト、シリカ、ガラス繊維及び他の添加物は下記の通りである。
<ゼオライト>
・CS‐100、商標、株式会社耕正製(A型ゼオライトのNaをCaで置換したもの)
<シリカ>
・MPS、商標、日本化学工業株式会社製(平均粒径20μm、比表面積950m2 /g)
<ガラス繊維>
・CS 3PE945S、商標、日東紡績株式会社製
<他の添加物(比較成分)>
・有機リン化合物:PEP36、商標、旭電化株式会社製
・白色顔料:ドライカラー HS‐D 921285、商標、大日精化株式会社製
各実施例及び比較例とも、表2に示す量(重量部)の各成分を、ヘンシェルミキサーを使用して5分間予備混合して均一にした後、20mmφの二軸異方向回転押出機を用い、温度300℃、回転数400rpmで溶融混練してペレットを作成した。
<曲げ強度>
上記のようにして得られたペレットを射出成形機に供給し、シリンダー温度320℃、金型温度130℃でダンベル片を成形し、ASTM D790に準拠して測定した。
<白色度(L値)>
曲げ強度と同一の条件で30mm×50mm×1.5mmの平板を成形し、これについて、色差計(型式SM‐4、スガ試験機株式会社製)を用いて測定した。L値が大きい方が、より白色の度合いが強い。
<ガス発生の有無>
上記曲げ強度の測定におけるダンベル片の成形に際して、射出成形時にガスベントから発生したガス量を測定し評価した。表2中に示した記号は、以下の内容を示す。
×:非常に多い
Δ:多い
◎:無し
以上の結果を表2に示す。
【0086】
【表2】
Figure 0003729216
実施例4は、本発明の樹脂組成物であり、(B)ゼオライト及び(C)シリカを含まない比較例5に比べて、白色度及び曲げ強度共に著しく優れていた。実施例5は、実施例4の樹脂組成物に更に、本発明の範囲内で(D)ガラス繊維を配合したものである。実施例4に比べて、白色度は多少低下したが、本発明の効果を損なうものではなかった。また、(B)ゼオライト及び(C)シリカを含まない比較例6に比べて、白色度及び曲げ強度共に著しく優れていた。
【0087】
比較例7は、実施例5において、(B)ゼオライト及び(C)シリカを含めず、替りに白色顔料を含めたものである。白色度は良好であったが、曲げ強度が著しく低かった。また、射出成形中にガスの発生が多かった。比較例8は、実施例5において、(B)ゼオライト及び(C)シリカを含まず、替りに有機リン化合物を含めたものである。白色度及び曲げ強度共に、実施例5より低く、かつ射出成形中に著しく多量のガスの発生が観察された。比較例9は、(B)ゼオライトの配合量が本発明の範囲を超えたものである。該樹脂組成物は射出成形できず、各特性の評価はできなかった。比較例10は、実施例5において、(A)PPSを‐SZn‐基を含まない架橋型PPS(K‐2)に代えたものである。白色度及び曲げ強度は共に著しく低かった。比較例11は、(D)ガラス繊維の配合量が本発明の範囲を超えたものである。該樹脂組成物は溶融混練ができず、各特性の評価ができなかった。比較例12及び13は、実施例5において、夫々、(C)シリカ又は(B)ゼオライトを配合しなかったものである。いずれも実施例5と比べて、白色度及び曲げ強度は共に低かった。比較例14及び15は、実施例5において配合した(B)ゼオライト及び(C)シリカの合計量と同量の(B)ゼオライト又は(C)シリカを夫々配合したものである。いずれも実施例5と比べて、白色度及び曲げ強度は共に低かった。実施例5のように(B)ゼオライト及び(C)シリカを本発明の範囲で配合すると、(B)ゼオライト又は(C)シリカを夫々単独で配合したものでは達成することのできない高い白色度及び曲げ強度を得ることができることが分かった。比較例16は、実施例5において、(A)PPSを、‐SZn‐基を含まないPPS(R‐2)に代えたものである。白色度が著しく低くなった。比較例17は、実施例5において、(A)PPSを、‐SX基の量が本発明の範囲を超えたPPS(R‐1)に代えたものである。白色度は著しく低かった。
【0088】
【発明の効果】
本発明は、成形時のバリ発生量が著しく少ない新規なPAS、及び白色度が著しく高く、かつ曲げ強度等の機械的強度に優れた成形品を与えるPAS樹脂組成物を提供する。

Claims (6)

  1. 末端の‐SX基(Xはアルカリ金属又は水素原子である)と‐SZn‐基の合計に対して末端の‐SX基が20モル%未満であり、かつ溶融粘度V6 が100〜2000ポイズであるポリアリーレンスルフィド。
  2. 有機アミド系溶媒中でアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを反応させてポリアリーレンスルフィドを製造する方法において、ジハロ芳香族化合物の転化率が90%の時点から後処理工程までの任意の時点において、重合系又は後処理工程のポリマーのスラリーのpH(スラリーを6.5重量倍の水で希釈後に測定)を10.5〜12.5とし、出発アルカリ金属硫化物1モル当り0.001〜0.1モルの亜鉛化合物を加えることを特徴とするポリアリーレンスルフィドの製造法。
  3. 亜鉛化合物を重合系に加えること、及び亜鉛化合物添加後の重合系の水分量が出発アルカリ金属硫化物1モルに対して0.9〜1.4モルとなるようにすることを特徴とする請求項2記載の方法。
  4. (A)請求項1記載のポリアリーレンスルフィド 100重量部、
    (B)ゼオライト 0.01〜20重量部、
    (C)シリカ 0.01〜20重量部、及び
    (D)無機充填剤 0〜300重量部
    を含む樹脂組成物。
  5. (B)ゼオライトを1〜5重量部含む請求項4記載の樹脂組成物。
  6. (C)シリカを1〜5重量部含む請求項4又は5記載の樹脂組成物。
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