JP3728346B2 - 核スピントモグラフィー装置における画像データの収集装置および核スピントモグラフィー装置 - Google Patents
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Description
本発明は、a) 核スピンを励起するための第1の高周波パルスを照射するための手段と、
b) 第1の時間間隔τ1後に核スピンのリフェーズのために第2の高周波パルスを照射するための手段と、
c) 前記第2の高周波パルス後の時間間隔τ2後に周波数エンコード勾配下で核磁気共鳴信号を読み出す手段と、
d) 次のシーケンスの第1の高周波パルスの照射までの時間間隔τ3を待機する手段とを備えている、上記シーケンスをN回繰り返す、核スピントモグラフィー装置において画像データを収集するための装置であって、ただしその都度n番目のシーケンスの第1の高周波パルスと、その都度後続のn+1番目のシーケンスの第1の高周波パルスとの間の繰り返し時間は、被検体の縦緩和および横緩和時間より短いという形式の装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この形式の方法は例えば、ヨーロッパ特許出願公告第0394504号公報並びに論文 S. Patz et al 著“Missing Pulse Steady−State Free Percession”in Medicine 10, 194ないし209頁(1989年)に記載されている。このシーケンスでは、測定のために評価された核磁気共鳴信号がスピンエコー信号として生じ、即ちその前にデフェーズ化されたスピンが高周波パルスによって再びリフェーズされかつこれにより信号を送出する。この形式の信号収集は、高速の画像収集シーケンスに対して広く普及している勾配エコー技術に比して、それが磁場不均一性に対して影響を受け難いという利点を有している。
【0003】
この公知のパルスシーケンスでは、第1の高周波パルスと第2の高周波パルスとの間の時間間隔、第2の高周波パルスと読み出しフェーズとの間の時間間隔および読み出しフェーズと次のシーケンスの第1の高周波パルスとの間の時間間隔はそれぞれ同じである。これにより読み出し時点において、それぞれのシーケンスにおける励起およびリフォーカシングに基づいた核磁気共鳴信号(所謂1次エコー)のみならず、先行するシーケンスの励起ないしリフォーカシングからの核磁気共鳴信号も生じる。即ち、それぞれの測定された信号は複数の核磁気共鳴信号の重畳を表している。これにより、所謂“バンディング”アーチファクトを来す干渉が生じるおそれがある。
【0004】
縦緩和時間および横緩和時間より短い時間の後のシーケンス繰り返しによって、シーケンスは非常に迅速に経過する。磁化に関して、複数の励起後、平衡(定常)状態が生じる。この効果は所謂FLASHシーケンス(例えばヨーロッパ特許出願公告第0191431号公報から公知である)およびFISPシーケンス(例えば米国特許第4769603号明細書)においても使用される。2つのシーケンスでは、測定信号として勾配エコーが評価される。しかし勾配エコーシーケンスは磁化率効果または例えば渦電流のような時間に依存した効果に依存している。これら効果は、例えば幾何学的歪みおよび強度歪みのようなアーチファクトを来すかまたは最悪の場合には信号消失を来すことがある。
【0005】
上述のFLASHシーケンスおよびFISPシーケンスは、FLASHシーケンスでは次の励起の前に、その前に設定された勾配エンコードのリフェーズが行われないという点で相異している。それ故に、インコヒーレントな定常状態が生じる。 FISPシーケンスでは、核磁気共鳴信号の読み出しおよび次の励起の開始の前に少なくとも位相エンコード勾配が再びリセットされる。これによりコヒーレントな定常状態が生じる。FLASH法では、非干渉性を例えば励起パルスの位相回転または統計学的に変動する振幅を有する強い勾配によって繰り返し毎に強制的に惹き起こすことができる。
【0006】
ヨーロッパ特許出願公開第0204569号公報から、90゜励起パルスの後に、180゜パルスを用いた多重のリフォーカシングによってスピンエコー信号列が発生されるパルスシーケンスが公知である。不完全な180゜パルスに基因するアーチファクトを分離するために、第1の180゜パルスと第2の180゜パルスとの間の時間間隔は、90゜励起パルスと第1の180゜パルスとの間の時間間隔の2倍の長さに等しくないように選択される。
【0007】
論文“Suppresson of Artefacts due to Imperfect Pulses in Multiple Echo Fourier Imaging”(I. H. Duijn 著,SMRM Abstracts 1984)において、180゜パルスにより複数の連続するリフォーカシングが行われるシーケンスにおいて、それぞれに対応する層選択勾配を種々の長さに選択することによって、アーチファクトを抑圧することが提案される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、均一性が良好でない磁場においても、短い測定時間において良好な結果をもたらすパルスシーケンスおよび装置を提供することである。更に、本発明の課題は、複数の核磁気共鳴信号の重畳によって生じるアーチファクトを回避することである。
【0009】
この課題は冒頭に述べた形式の装置から出発して、本発明によれば、時間間隔τ3をτ1=τ2=2/3τ3であるように時間間隔τ1,τ2とは異ならせて、n−1番目のシーケンスの第2の高周波パルスおよび後続のn番目のシーケンスの第1の高周波パルスから生じる核磁気共鳴信号がオーバラップしないようにする手段を備えていることによって解決される。
【0011】
【発明の実施の態様】
次に本発明を図示の実施例につき図面を用いて詳細に説明する。
【0012】
図1には、核スピントモグラフィー装置の基本構成要素が略示されている。磁石電流供給部11から給電されるコイル1ないし4は、基本磁場B0を生成する。この磁場内で、医療診断の適用において、患者5の検査すべき身体が存在している。更に、座標系6による方向x,yおよびzの独立した、相互に垂直である磁場成分を生成するために用いられる勾配(グラジェント)コイルが設けられている。図1において、分かり易くする理由から、勾配コイル7および8しか図示されていない。これらコイルは、x勾配の生成のために、対向する、同形式の勾配コイル対とともに用いられるものである。同形式の、図示されていないy勾配コイルは、身体5に対して平行にかつ身体の上側および下側に位置し、z勾配磁場に対するコイルは頭頂部と足の先を結ぶ身体の長手軸線を横断する方向に位置している。
【0013】
装置は更に、核磁気共鳴信号を生成しかつ受信するために用いられる高周波アンテナ9を含んでいる。勾配コイルは勾配増幅器12によって給電される。高周波アンテナ9は信号増幅器14を介して画像計算機17に結合され、画像計算機には、イメージを出力するためにモニタ18が接続されている。信号増幅器14および高周波送信機15は、信号の生成および受信のための送受信ユニット16を形成する。切換スイッチ19により、送信作動および受信作動の切換が可能である。
【0014】
勾配増幅器12、送受信ユニット16および画像計算機17は、制御ユニット20によって制御される。
【0015】
図2には、本発明の実施例としての第1のパルスシーケンスが図示されている。その際層選択勾配Gz1nの作用下で第1の周波数選択高周波パルスRF1nが照射されかつこれにより被検体内に1つの層が励起される。それから勾配Gx1nによって、以下にリード・アウト方向とも称するx方向において核スピンがプリフェーズ化される。続いて、同様に、層選択勾配Gz2nの作用下で照射されかつ第1の高周波パルスRF1nと同じ層に作用する第2の周波数選択高周波パルスRF2nが続く。2つの高周波パルスRF1nおよびRF2n間の間隔はτ1である。
【0016】
第1の層選択勾配Gz1nは例えば第1の高周波パルスRF1nの前に投入されかつ第2の層選択勾配Gz2nは例えば第2の高周波パルスRF2n後に遮断される。このことは、層選択勾配Gz1nおよびGz2nにおいて破線で示されている。これにより、それぞれの層選択勾配によって惹き起される、核スピンのデフェーズ化が再び取り消されることになり、その際高周波パルスRF2n後の層選択勾配の一部がその反転する作用に基づいて、先行する層選択勾配Gz1nと反対方向に作用することを考慮すべきである。
【0017】
第2の高周波パルスRF2nの後に、第1の位相エンコード勾配Gy1nが投入される。
【0018】
第2の高周波パルスRF2nの反転作用によって、第1の高周波パルスRF1nによって励起された核磁気共鳴信号が再びリフェーズされ、その結果スピンエコーの形の核磁気共鳴信号Snが生じる。この核磁気共鳴信号Snは、読み出し勾配Gx2nの作用下で標本化され、標本値はデジタル化されかつ公知の方法で生データマトリクスに転送される。核磁気共鳴信号は、x方向においては読み出し勾配Gx2nによってエンコードされかつy方向において位相エンコード勾配Gy1nによってエンコードされる。
【0019】
第2の高周波パルスRF2と核磁気共鳴信号Sとの間の時間間隔τ2は、第1の高周波パルスRF1nおよび第2の高周波パルスRF2n間の時間間隔τ1に等しい。
【0020】
核磁気共鳴信号Snの読み出し後、位相エンコード勾配Gy1nと同じ振幅・時間・面積を有するが、これとは反対方向である位相エンコード勾配Gy2nが投入される。これにより核スピンの位相エンコードは再び零にリセットされる。
【0021】
核磁気共鳴信号Sの待ち時間τ3後、次のパルスシーケンスの第1の高周波パルスRF1n+1が続く。図示のパルスシーケンスはN回繰り返され、その際位相エンコード勾配Gy1n,Gy2nの値は段階的に歩進切り換えられ、このことは図2のc)における階段表示によって表されている。
【0022】
後続のシーケンスの第1の高周波パルスRF1n+1の照射は、励起された核スピンが緩和される前に行われる。これにより、数回のシーケンス繰り返しの後に、核磁化の定常状態が生じる。それ故にここに使用の定常状態シーケンスに対して、フリップ角α1,α2は、冒頭に述べたFISPシーケンスの場合と類似して、著しく低く選択される。その際最適なフリップ角は、繰り返し時間が短ければ短い程、小さくなる。実施例において生じている、コヒーレントな定常状態の場合に対して、例えば2つの高周波パルスRF1およびRF2に対してそれぞれ60゜のフリップ角が選択された。スピンエコーの発生のために必要である反転のために、180゜のフリップ角を有する高周波パルスは必ずしも必要でないことが考慮される。むしろそれぞれの高周波パルスは、Woessner の分割モデルに従って(1961年の Journal of Chemical 34の第2057頁に記載されている)存在するスピン磁化を位相に関して3つの要素に分割する。即ち、一部は位相が反転され、一部は位相は変わらずとどまりかつ一部は磁化が勾配によって影響を受けることがないz位置に移行される。
【0023】
図2に図示のパルスシーケンスは冒頭に述べた形式の公知技術とは実質的に、τ3がτ1,τ2とは等しくない(この場合は大きい)ということによって相異している。これにより、1次エコーおよび2次エコーの重畳としての核磁気共鳴信号が生じることが回避される。このことを次に図3および図4を用いて説明する。
【0024】
図3において、τ1=τ2=τ3を有する公知のパルスシーケンスに対するエコー発生が示されている。このパルスシーケンスは文献において“ミッシング・パルス”シーケンスとも表される。というのは、同じ間隔の高周波パルス列において、それぞれ3番目の高周波パルスが欠落しかつそのために信号が読み出されるからである。第2の高周波パルスRF2nによるリフォーカシングと結び付いた第1の高周波パルスRF1nによる励起が主に核磁気共鳴信号Snの形成に役立つ。この信号成分は1次エコーと称されかつ、図3において時間軸aによって示されているように、第1の高周波パルスRF1nによる励起後エコー時間2τの経過後に生じる。
【0025】
しかし1次エコーに、先行のシーケンスに基因する別の信号成分が重畳される。例えば所属のシーケンスの第1の高周波パルスRF1nによるリフォーカシングと結び付いた先行するシーケンスにおける第2の高周波パルスRF2n-1が同様にエコー信号を発生し、これは2次エコーと称されかつ核磁気共鳴信号Snにおいて上述の1次エコーと一致する。図3における時間軸bによって示されているように、高周波パルスRF2n-1による励起と核磁気共鳴信号Snとの間のエコー時間はTE=4τである。図3において時間軸cには、更に別の信号成分が図示されている。これは、高周波パルスRF2n-1による励起と、高周波パルスRF2n-1によるリフォーカシングによって生じるものである。ここでは励起と信号との間のエコー時間TEは、TE=8τである。
【0026】
原理的に先行するすべてのシーケンスは現シーケンスに作用する。しかしエコー時間が長くなればなる程、T1ないしT2の低減に基づいて、信号成分は小さくなる。一般に、現シーケンスnからの1次エコー信号に対して付加的に、先行するシーケンスn−1からの2次エコー信号を考慮することで十分である。
【0027】
図4には、本発明の実施例による、τ3がτ1およびτ2に比して変化されている例が示されている。図示の例では、τ3はτ1およびτ2より短い。図4において分かり易くするために、1次エコー信号は上付きの添字“1”が付されておりかつ2次エコー信号は上付きの添字“2”によって表されている。図4において、分かり易くする理由から、第1の1次エコーのみが図示されている。その理由は、これだけが評価されるからである。
【0028】
図4において時間軸aに、高周波パルスRF1nによる励起と、高周波パルスRF2nによるリフォーカシングによる第1の1次エコーの発生が図示されている。時間軸bには、先行するシーケンスからの高周波パルスRF2n-1による励起と、現シーケンスからの高周波パルスRF1nによるリフォーカシングに基づいた2次エコーの発生が図示されている。その際、ここでは2次エコーおよび1次エコーがもはや一致していないことが分かる。
【0029】
時間軸cには、高周波パルスRF2n-1による励起と、高周波パルスRF2n-1によるリフォーカシングとに基づいた別の1次エコーの発生が図示されている。確かにこの1次エコーはこの場合も、現シーケンスにおいて励起された第1の1次エコーSn 1と一致する。しかしこの1次エコーは2倍以上に長いエコー時間に基づいて、分離された2次エコーより著しく僅かな振幅を有しているので、アーチファクトを来すおそれは著しく小さくなる。その他の終了したシーケンスの信号作用は完全に無視することができる。
【0030】
パルスシーケンスの別の実施例が図5に示されている。ここにおいて、高周波パルスRF1,RF2は層選択勾配の作用下で照射されず、従って層選択性ではない。z方向における位置分解のために、核磁気共鳴信号の読み出しの前に、y方向における位相エンコードに対して付加的に、z方向における位相エンコードも行われ、この場合位相エンコード勾配Gz1が使用される。エンコード勾配Gy1と同様に、この位相エンコード勾配も複数のステップにおいて歩進的に切り換えられなければならず、その際ステップ数はz方向における所望の分解能に依存している。y方向における位相エンコードのように、z方向における位相エンコードも、核磁気共鳴信号Snの読み出し後、位相エンコード勾配Gz1とは反対方向である位相エンコード勾配Gz2によって再びリセットされる。
【0031】
このシーケンスの別の特殊性は、図5のb)に図示されている。即ち、x方向における勾配Gxはここでは持続的に加えられた状態になっている。この勾配は例えば、測定期間中に直ちに影響することはない磁場不均一性と考えることもできる。高周波パルスRF1ないしRF3が連続的に作用する勾配Gxによってx方向における層選択性になるのを妨げるために、これらは比較的広帯域である必要がある。
【0032】
それ故にこのシーケンスは、不均一な場における画像形成に特に適している。しかも3方向すべての空間方向において不均一の場合も構わない。読み出し勾配として使用される、x方向における不均一性は、一義的な位置・周波数対応を有してさえすればよい。位相エンコード勾配Gy,Gzの方向において、磁場不均一性は周知のように歪みを招来しない。その理由は、この場合位相エンコードステップ当たりの位相差のみが重要でありかつ従って不均一性に基因する時間的に一定な位相誤差は除去されるからである。
【0033】
図2の実施例との別の差異は、図5のa)に示されているように、順次連続する高周波パルスが相互に異なった位相位置を有する、例えば51゜だけ回転されているという点にある。このことは図5のa)では、高周波パルスRFの上に示されている位相“θ”によって表されている。FLASH法においても公知であるこの技術は、“高周波スポイリング”と称される。これによりインコヒーレントな定常状態が得られ、一方図2に示された実施例においてはコヒーレントな定常状態が生じる。コヒーレントな定常状態およびインコヒーレント定常状態により、異なったコントラスト、ひいては異なった診断上のデータ内容を有する画像が得られることになる。
【0034】
インコヒーレントな定常状態を得するための別の手法によれば、それぞれのシーケンスの前に、図5のb)に破線で示されているように、強い勾配パルスGspが挿入される。“勾配スポイラー”(Gradienten- Spoiler)と称されるこのパルスは、シーケンス毎に変化する振幅を有しかつ先行するシーケンスからの位相可干渉性を破壊する。この技術はそれ自体公知でありかつ“勾配スポイリング”と称される。
【0035】
インコヒーレントな定常状態の場合、第1および第2の高周波パルスRF1,RF2に対するそれぞれ30゜のフリップ角が有利であることが認められている。
【0036】
図6には、本発明の実施例としての別のパルスシーケンスが図示されている。その際2次エコーのデフェージングは、核磁気共鳴信号Sのアクイジション後、まだ存在している励起の可干渉性を破壊する勾配GDをx方向に投入することによって実現される。それ故に、後続のシーケンスにおいて、高周波信号RF1n,RF2nまたはそれ以前の高周波信号に基因する信号が生じる可能性はない。これにより、干渉する信号重畳が発生することなく、間隔τ1,τ2,τ3を同じに設定することができる。
【0037】
その他は、図6のパルスシーケンスは、図2のパルスシーケンスに相応する。
【0038】
干渉する信号重畳を回避するための別の手法によれば、高周波パルスRF1,RF2に対して所謂Chirp−Pulseが使用される。この形式のパルスシーケンスは図7に示されている。図8には、第1の高周波パルスRF1nの周波数が時間間隔2tにおいて第1の周波数f0から周波数f1にリニヤに高められることが示されている。信号Sに対するリフェージング条件は、第2の高周波パルスRF2n(リフォーカシングパルス)の周波数が同様に周波数f0から周波数f1にリニヤに高められる(ただし半分の時間間隔tにおいて)ときにだけ満たされる。そこで図7において時間軸aを考察すれば、高周波パルスRF1nを用いた励起が信号Snに対する高周波パルスRF2nとともにリフォーカシング条件を満足する。高周波パルスRF2n-1を用いた励起および高周波パルスRF1nによるリフォーカシングに基づいて、従来のパルス形状の場合、図7における時間軸bに破線で示されているように、2次エコーが生じる可能性がある。しかし図示のChirp−Pulseを使用した場合、リフォーカシング条件は満たされず、即ち2次エコーは生じない。
【0039】
図9に示された本発明の実施例では、画像形成のために、1次エコーのみならず、2次エコーおよび多重リフォーカシングされたエコーも評価される。図示の例において、τ1=τ2=2/3τ3が選択された。これにより、図9のa)に図示されているように、繰り返し期間TRにおいて5つのエコー信号Sが生じる。種々様々なエコーパスはaないしeによって表されている。パスaは高周波パルスRF1nおよびRF2nに基づいた1次エコーS1nの発生を示している。パスbは高周波パルスRF2 n−1およびRF1nに基づいた2次エコーS2nの発生を示している。パスcは2重にリフォーカシングされた信号S3nの発生を表しており、その際高周波パルスRF1nによる信号S1n−1がもう一度リフォーカシングされる。パスdは2重にリフォーカシングされた信号S4nの発生を表しており、その際高周波パルスRF2nによる信号S2n−1がもう一度リフォーカシングされる。更にパスeは3重にリフォーカシングされた信号S5nの発生を表しており、その際高周波パルスRF2n−1による信号S3n−2がもう一度リフォーカシングされる。即ちこれにより、図9のb)において繰り返し期間TRに対して図示されているように、全部で5つの時間的に分離された信号S1nないしS5nが生じる。これらの信号は種々異なった振幅を有している。
【0040】
このようにして得られた5つの信号Sは例えば、平均化、ひいては雑音改善のために用いることができる。このためにこれらの信号は、図9のd)において略示されているように、すべて同じ方法で位相エンコードされる。しかし、例えば概観目的のスキャンに対して、それぞれの信号に種々異なった位相エンコードを行って、それにより測定時間を節約することもできる。というのは、k空間は5倍迅速に捕捉されるからである。対応する位相エンコードスキーマが図9のc)に略示されている。勿論、組み合わせた形式も可能であり、即ち繰り返しフェーズ内に、例えば2回の位相エンコードステップを実施し、その際その都度2つないし3つの信号が平均化される。
【0041】
本発明のパルスシーケンスは、特別なコストなしに、場の不均一性に対して比較的影響を受け難い高速な画像形成を可能にするものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の核スピントモグラフィー装置の構成の概略図である。
【図2】本発明の第1の実施例としてのパルスシーケンスを示す線図である。
【図3】公知のパルスシーケンスにおける核スピンエコー信号の重畳を説明するための時間線図である。
【図4】エコー分離を説明するための時間線図である。
【図5】3次元のデータセットを収集するためのパルスシーケンスの別の実施例を示す線図である。
【図6】所望しない核磁気共鳴信号を勾配によってディフェーズするように構成されたパルスシーケンスを表す線図である。
【図7】所謂“chirp”パルスを示す線図である。
【図8】所謂“chirp”パルスを示す線図である。
【図9】1次エコーのみならず、2次エコーおよび多重にリフォーカシングされたエコーが評価される、本発明の実施例を説明する線図である。
【符号の説明】
1〜4 基本磁場磁石、 7,8 勾配コイル、 9 高周波アンテナ、 12 勾配増幅器、 16 送受信ユニット、 20 制御ユニット
Claims (1)
- a) 核スピンを励起するための第1の高周波パルス(RF1n)を照射するための手段と、
b) 第1の時間間隔τ1後に核スピンのリフェーズのために第2の高周波パルス(RF2n)を照射するための手段と、
c) 前記第2の高周波パルス後の時間間隔τ2後に周波数エンコード勾配(Gz)下で核磁気共鳴信号(Sz)を読み出す手段と、
d) 次のシーケンスの第1の高周波パルス(RF1n+1)の照射までの時間間隔τ3を待機する手段と
を備えている、上記シーケンスをN回繰り返す、核スピントモグラフィー装置において画像データを収集するための装置であって、ただしその都度n番目のシーケンスの第1の高周波パルス(RF1n)と、その都度後続のn+1番目のシーケンスの第1の高周波パルス(RF1n+1)との間の繰り返し時間は、被検体の縦緩和および横緩和時間(T1,T2)より短い
という装置において、
時間間隔τ3をτ 1 =τ 2 =2/3τ 3 であるように時間間隔τ1,τ2とは異ならせて、n−1番目のシーケンスの第2の高周波パルス(RF2n−1)および後続のn番目のシーケンスの第1の高周波パルス(RF1n)から生じる核磁気共鳴信号(Sn 1,Sn 2)がオーバラップしないようにする手段を備えている
ことを特徴とする核スピントモグラフィー装置における画像データ収集装置
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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