JPH08266514A - 核スピントモグラフィー装置における画像データの収集方法およびこの方法を実施するための核スピントモグラフィー装置 - Google Patents

核スピントモグラフィー装置における画像データの収集方法およびこの方法を実施するための核スピントモグラフィー装置

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JPH08266514A
JPH08266514A JP8074954A JP7495496A JPH08266514A JP H08266514 A JPH08266514 A JP H08266514A JP 8074954 A JP8074954 A JP 8074954A JP 7495496 A JP7495496 A JP 7495496A JP H08266514 A JPH08266514 A JP H08266514A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 核スピン励起第1の高周波パルスRF1n
の照射、核スピンリフェーズのための時間間隔τ1後の
第2の高周波パルスRF1nの照射、周波数エンコード
勾配Gx下での第2の高周波パルス後の時間間隔τ2後の
核磁気共鳴信号Snの読み出し、時間間隔τ3後の次のシ
ーケンスの第1高周波パルスRF1n+1の照射というシ
ーケンスをN回繰り返す、核スピントモグラフィー装置
における画像データの収集方法を、磁場の不均一性が悪
い場合でも短い測定時間において良好な結果が得られる
ように改良する。 【解決手段】 パルスシーケンスを、n−1番目のシー
ケンスの第2高周波パルスRF2n-1および後続のn番
目のシーケンスの第1高周波パルスから生じる核磁気共
鳴信号Sn 1,Sn 2がオーバラップしないように構成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、 a)核スピンを
励起するための第1の高周波パルスRF1nの照射、 b)核スピンのリフェーズのための第1の時間間隔τ1
後の第2の高周波パルスRF2nの照射、 c)周波数エンコード勾配Gx下での前記第2の高周波
パルスに後の時間間隔τ2後の核共鳴信号Snの読み出
し、 d)次のシーケンスの第1の高周波パルスRF1n+1
照射までの時間間隔τ3の待機という上記シーケンスを
N回繰り返す、核スピントモグラフィー装置における画
像データの収集方法であって、ただしその都度n番目の
シーケンスの第1の高周波パルスRF1nと、その都度
後続のn+1番目のシーケンスの第1の高周波パルスR
F1n+1との間の繰り返し時間は、被検体の縦緩和およ
び横緩和時間より短いという方法に関する。
【0002】
【従来の技術】この形式の方法は例えば、ヨーロッパ特
許出願公告第0394504号公報並びに論文 S. Patz
et al 著“Missing Pulse Steady−State Free Perces
sion”in Medicine 10, 194ないし209頁(198
9年)に記載されている。このシーケンスでは、測定の
ために評価された核磁気共鳴信号がスピンエコー信号と
して生じ、即ちその前にデフェーズ化されたスピンが高
周波パルスによって再びリフェーズされかつこれにより
信号を送出する。この形式の信号収集は、高速の画像収
集シーケンスに対して広く普及している勾配エコー技術
に比して、それが磁場不均一性に対して影響を受け難い
という利点を有している。
【0003】この公知のパルスシーケンスでは、第1の
高周波パルスと第2の高周波パルスとの間の時間間隔、
第2の高周波パルスと読み出しフェーズとの間の時間間
隔および読み出しフェーズと次のシーケンスの第1の高
周波パルスとの間の時間間隔はそれぞれ同じである。こ
れにより読み出し時点において、それぞれのシーケンス
における励起およびリフォーカシングに基づいた核磁気
共鳴信号(所謂1次エコー)のみならず、先行するシー
ケンスの励起ないしリフォーカシングからの核磁気共鳴
信号も生じる。即ち、それぞれの測定された信号は複数
の核磁気共鳴信号の重畳を表している。これにより、所
謂“バンディング”アーチファクトを来す干渉が生じる
おそれがある。
【0004】縦緩和時間および横緩和時間より短い時間
の後のシーケンス繰り返しによって、シーケンスは非常
に迅速に経過する。磁化に関して、複数の励起後、平衡
(定常)状態が生じる。この効果は所謂FLASHシー
ケンス(例えばヨーロッパ特許出願公告第019143
1号公報から公知である)およびFISPシーケンス
(例えば米国特許第4769603号明細書)において
も使用される。2つのシーケンスでは、測定信号として
勾配エコーが評価される。しかし勾配エコーシーケンス
は磁化率効果または例えば渦電流のような時間に依存し
た効果に依存している。これら効果は、例えば幾何学的
歪みおよび強度歪みのようなアーチファクトを来すかま
たは最悪の場合には信号消失を来すことがある。
【0005】上述のFLASHシーケンスおよびFIS
Pシーケンスは、FLASHシーケンスでは次の励起の
前に、その前に設定された勾配エンコードのリフェーズ
が行われないという点で相異している。それ故に、イン
コヒーレントな定常状態が生じる。 FISPシーケン
スでは、核磁気共鳴信号の読み出しおよび次の励起の開
始の前に少なくとも位相エンコード勾配が再びリセット
される。これによりコヒーレントな定常状態が生じる。
FLASH法では、非干渉性を例えば励起パルスの位相
回転または統計学的に変動する振幅を有する強い勾配に
よって繰り返し毎に強制的に惹き起こすことができる。
【0006】ヨーロッパ特許出願公開第0204569
号公報から、90゜励起パルスの後に、180゜パルス
を用いた多重のリフォーカシングによってスピンエコー
信号列が発生されるパルスシーケンスが公知である。不
完全な180゜パルスに基因するアーチファクトを分離
するために、第1の180゜パルスと第2の180゜パ
ルスとの間の時間間隔は、90゜励起パルスと第1の1
80゜パルスとの間の時間間隔の2倍の長さに等しくな
いように選択される。
【0007】論文“Suppresson of Artefacts due to I
mperfect Pulses in Multiple EchoFourier Imaging”
(I. H. Duijn 著,SMRM Abstracts 1984)におい
て、180゜パルスにより複数の連続するリフォーカシ
ングが行われるシーケンスにおいて、それぞれに対応す
る層選択勾配を種々の長さに選択することによって、ア
ーチファクトを抑圧することが提案される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、均一
性が良好でない磁場においても、短い測定時間において
良好な結果をもたらすパルスシーケンスおよび装置を提
供することである。更に、本発明の課題は、複数の核磁
気共鳴信号の重畳によって生じるアーチファクトを回避
することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】この課題は本発明により
シーケンスの方法については請求項1の特徴部分に記載
の通り、パルスシーケンスを、n−1番目のシーケンス
の第2の高周波パルスRF2n-1および後続のn番目の
シーケンスの第1の高周波パルスRF1nから生じる核
磁気共鳴信号Sn 1,Sn 2がオーバラップしないように、
構成したことによって解決され、またシーケンスを発生
するための装置においては、基本磁場磁石と、勾配増幅
器から給電される勾配コイルと、少なくとも1つの高周
波アンテナに接続されている送受信ユニットと、制御ユ
ニットとを備えた、請求項1から16までのいずれか1
項記載の方法を実施するための核スピントモグラフィー
装置において、請求項17記載のように、前記制御ユニ
ットは次のステップを制御する、即ちa)前記送受信ユ
ニットが、前記高周波アンテナが第1の高周波パルスR
F1nを送出するように制御され、b)時間間隔τ1
後、前記送受信ユニットが、前記高周波アンテナが第2
の高周波パルスRF2nを送出するように制御され、
c)時間間隔τ2の後、前記勾配増幅器が制御されかつ
核磁気共鳴信号Snが受信され、d)時間間隔τ1および
τ2とは異なっている時間間隔τ3の後、前記送受信ユニ
ットが、前記高周波アンテナが次のシーケンスの第1の
高周波パルスRF1n+1を送出するように制御され、
e)前記シーケンスはN回繰り返されるようにしたこと
によって、または請求項18に記載のように、前記制御
ユニットは次のステップを制御する、即ちa)前記送受
信ユニットが、前記高周波アンテナが第1の高周波パル
スRF1nを送出するように制御され、b)時間間隔τ1
の後、前記送受信ユニットが、前記高周波アンテナが第
2の高周波パルスRF2nを送出するように制御され、
c)時間間隔τ2の後、前記勾配増幅器が制御されかつ
核磁気共鳴信号Snが受信され、d)次のシーケンス繰
り返しの前に、前記勾配増幅器は、勾配Gnが核スピン
の位相可干渉性を破壊するように制御され、e)前記高
周波信号の受信後の時間間隔τ3後、前記送受信ユニッ
トは、前記高周波アンテナが次のシーケンスの第1の高
周波パルスを送出するように制御され、f)前記シーケ
ンスはN回繰り返されるようにしたことによって解決さ
れる。
【0010】本発明の有利な実施例はその他の請求項に
記載されている。
【0011】
【発明の実施の態様】次に本発明を図示の実施例につき
図面を用いて詳細に説明する。
【0012】図1には、核スピントモグラフィー装置の
基本構成要素が略示されている。磁石電流供給部11か
ら給電されるコイル1ないし4は、基本磁場B0を生成
する。この磁場内で、医療診断の適用において、患者5
の検査すべき身体が存在している。更に、座標系6によ
る方向x,yおよびzの独立した、相互に垂直である磁
場成分を生成するために用いられる勾配(グラジェン
ト)コイルが設けられている。図1において、分かり易
くする理由から、勾配コイル7および8しか図示されて
いない。これらコイルは、x勾配の生成のために、対向
する、同形式の勾配コイル対とともに用いられるもので
ある。同形式の、図示されていないy勾配コイルは、身
体5に対して平行にかつ身体の上側および下側に位置
し、z勾配磁場に対するコイルは頭頂部と足の先を結ぶ
身体の長手軸線を横断する方向に位置している。
【0013】装置は更に、核磁気共鳴信号を生成しかつ
受信するために用いられる高周波アンテナ9を含んでい
る。勾配コイルは勾配増幅器12によって給電される。
高周波アンテナ9は信号増幅器14を介して画像計算機
17に結合され、画像計算機には、イメージを出力する
ためにモニタ18が接続されている。信号増幅器14お
よび高周波送信機15は、信号の生成および受信のため
の送受信ユニット16を形成する。切換スイッチ19に
より、送信作動および受信作動の切換が可能である。
【0014】勾配増幅器12、送受信ユニット16およ
び画像計算機17は、制御ユニット20によって制御さ
れる。
【0015】図2には、本発明の実施例としての第1の
パルスシーケンスが図示されている。その際層選択勾配
z1nの作用下で第1の周波数選択高周波パルスRF1n
が照射されかつこれにより被検体内に1つの層が励起さ
れる。それから勾配Gx1nによって、以下にリード・ア
ウト方向とも称するx方向において核スピンがプリフェ
ーズ化される。続いて、同様に、層選択勾配Gz2nの作
用下で照射されかつ第1の高周波パルスRF1nと同じ
層に作用する第2の周波数選択高周波パルスRF2n
続く。2つの高周波パルスRF1nおよびRF2n間の間
隔はτ1である。
【0016】第1の層選択勾配Gz1nは例えば第1の高
周波パルスRF1nの前に投入されかつ第2の層選択勾
配Gz2nは例えば第2の高周波パルスRF2n後に遮断さ
れる。このことは、層選択勾配Gz1nおよびGz2nにおい
て破線で示されている。これにより、それぞれの層選択
勾配によって惹き起される、核スピンのデフェーズ化が
再び取り消されることになり、その際高周波パルスRF
n後の層選択勾配の一部がその反転する作用に基づい
て、先行する層選択勾配Gz1nと反対方向に作用するこ
とを考慮すべきである。
【0017】第2の高周波パルスRF2nの後に、第1
の位相エンコード勾配Gy1nが投入される。
【0018】第2の高周波パルスRF2nの反転作用に
よって、第1の高周波パルスRF1nによって励起され
た核磁気共鳴信号が再びリフェーズされ、その結果スピ
ンエコーの形の核磁気共鳴信号Snが生じる。この核磁
気共鳴信号Snは、読み出し勾配Gx2nの作用下で標本化
され、標本値はデジタル化されかつ公知の方法で生デー
タマトリクスに転送される。核磁気共鳴信号は、x方向
においては読み出し勾配Gx2nによってエンコードされ
かつy方向において位相エンコード勾配Gy1nによって
エンコードされる。
【0019】第2の高周波パルスRF2と核磁気共鳴信
号Sとの間の時間間隔τ2は、第1の高周波パルスRF
nおよび第2の高周波パルスRF2n間の時間間隔τ1
に等しい。
【0020】核磁気共鳴信号Snの読み出し後、位相エ
ンコード勾配Gy1nと同じ振幅・時間・面積を有する
が、これとは反対方向である位相エンコード勾配Gy2n
が投入される。これにより核スピンの位相エンコードは
再び零にリセットされる。
【0021】核磁気共鳴信号Sの待ち時間τ3後、次の
パルスシーケンスの第1の高周波パルスRF1n+1が続
く。図示のパルスシーケンスはN回繰り返され、その際
位相エンコード勾配Gy1n,Gy2nの値は段階的に歩進切
り換えられ、このことは図2のc)における階段表示に
よって表されている。
【0022】後続のシーケンスの第1の高周波パルスR
F1n+1の照射は、励起された核スピンが緩和される前
に行われる。これにより、数回のシーケンス繰り返しの
後に、核磁化の定常状態が生じる。それ故にここに使用
の定常状態シーケンスに対して、フリップ角α1,α2
は、冒頭に述べたFISPシーケンスの場合と類似し
て、著しく低く選択される。その際最適なフリップ角
は、繰り返し時間が短ければ短い程、小さくなる。実施
例において生じている、コヒーレントな定常状態の場合
に対して、例えば2つの高周波パルスRF1およびRF
2に対してそれぞれ60゜のフリップ角が選択された。
スピンエコーの発生のために必要である反転のために、
180゜のフリップ角を有する高周波パルスは必ずしも
必要でないことが考慮される。むしろそれぞれの高周波
パルスは、Woessner の分割モデルに従って(1961
年の Journal of Chemical 34の第2057頁に記載
されている)存在するスピン磁化を位相に関して3つの
要素に分割する。即ち、一部は位相が反転され、一部は
位相は変わらずとどまりかつ一部は磁化が勾配によって
影響を受けることがないz位置に移行される。
【0023】図2に図示のパルスシーケンスは冒頭に述
べた形式の公知技術とは実質的に、τ3がτ1,τ2とは
等しくない(この場合は大きい)ということによって相
異している。これにより、1次エコーおよび2次エコー
の重畳としての核磁気共鳴信号が生じることが回避され
る。このことを次に図3および図4を用いて説明する。
【0024】図3において、τ1=τ2=τ3を有する公
知のパルスシーケンスに対するエコー発生が示されてい
る。このパルスシーケンスは文献において“ミッシング
・パルス”シーケンスとも表される。というのは、同じ
間隔の高周波パルス列において、それぞれ3番目の高周
波パルスが欠落しかつそのために信号が読み出されるか
らである。第2の高周波パルスRF2nによるリフォー
カシングと結び付いた第1の高周波パルスRF1nによ
る励起が主に核磁気共鳴信号Snの形成に役立つ。この
信号成分は1次エコーと称されかつ、図3において時間
軸aによって示されているように、第1の高周波パルス
RF1nによる励起後エコー時間2τの経過後に生じ
る。
【0025】しかし1次エコーに、先行のシーケンスに
基因する別の信号成分が重畳される。例えば所属のシー
ケンスの第1の高周波パルスRF1nによるリフォーカ
シングと結び付いた先行するシーケンスにおける第2の
高周波パルスRF2n-1が同様にエコー信号を発生し、
これは2次エコーと称されかつ核磁気共鳴信号Snにお
いて上述の1次エコーと一致する。図3における時間軸
bによって示されているように、高周波パルスRF2
n-1による励起と核磁気共鳴信号Snとの間のエコー時間
はTE=4τである。図3において時間軸cには、更に
別の信号成分が図示されている。これは、高周波パルス
RF2n-1による励起と、高周波パルスRF2n-1による
リフォーカシングによって生じるものである。ここでは
励起と信号との間のエコー時間TEは、TE=8τであ
る。
【0026】原理的に先行するすべてのシーケンスは現
シーケンスに作用する。しかしエコー時間が長くなれば
なる程、T1ないしT2の低減に基づいて、信号成分は
小さくなる。一般に、現シーケンスnからの1次エコー
信号に対して付加的に、先行するシーケンスn−1から
の2次エコー信号を考慮することで十分である。
【0027】図4には、本発明の実施例による、τ3
τ1およびτ2に比して変化されている例が示されてい
る。図示の例では、τ3はτ1およびτ2より短い。図4
において分かり易くするために、1次エコー信号は上付
きの添字“1”が付されておりかつ2次エコー信号は上
付きの添字“2”によって表されている。図4におい
て、分かり易くする理由から、第1の1次エコーのみが
図示されている。その理由は、これだけが評価されるか
らである。
【0028】図4において時間軸aに、高周波パルスR
F1nによる励起と、高周波パルスRF2nによるリフォ
ーカシングによる第1の1次エコーの発生が図示されて
いる。時間軸bには、先行するシーケンスからの高周波
パルスRF2n-1による励起と、現シーケンスからの高
周波パルスRF1nによるリフォーカシングに基づいた
2次エコーの発生が図示されている。その際、ここでは
2次エコーおよび1次エコーがもはや一致していないこ
とが分かる。
【0029】時間軸cには、高周波パルスRF2n-1
よる励起と、高周波パルスRF2n-1によるリフォーカ
シングとに基づいた別の1次エコーの発生が図示されて
いる。確かにこの1次エコーはこの場合も、現シーケン
スにおいて励起された第1の1次エコーSn 1と一致す
る。しかしこの1次エコーは2倍以上に長いエコー時間
に基づいて、分離された2次エコーより著しく僅かな振
幅を有しているので、アーチファクトを来すおそれは著
しく小さくなる。その他の終了したシーケンスの信号作
用は完全に無視することができる。
【0030】パルスシーケンスの別の実施例が図5に示
されている。ここにおいて、高周波パルスRF1,RF
2は層選択勾配の作用下で照射されず、従って層選択性
ではない。z方向における位置分解のために、核磁気共
鳴信号の読み出しの前に、y方向における位相エンコー
ドに対して付加的に、z方向における位相エンコードも
行われ、この場合位相エンコード勾配Gz1が使用され
る。エンコード勾配Gy1と同様に、この位相エンコード
勾配も複数のステップにおいて歩進的に切り換えられな
ければならず、その際ステップ数はz方向における所望
の分解能に依存している。y方向における位相エンコー
ドのように、z方向における位相エンコードも、核磁気
共鳴信号Snの読み出し後、位相エンコード勾配Gz1
は反対方向である位相エンコード勾配Gz2によって再び
リセットされる。
【0031】このシーケンスの別の特殊性は、図5の
b)に図示されている。即ち、x方向における勾配Gx
はここでは持続的に加えられた状態になっている。この
勾配は例えば、測定期間中に直ちに影響することはない
磁場不均一性と考えることもできる。高周波パルスRF
1ないしRF3が連続的に作用する勾配Gxによってx
方向における層選択性になるのを妨げるために、これら
は比較的広帯域である必要がある。
【0032】それ故にこのシーケンスは、不均一な場に
おける画像形成に特に適している。しかも3方向すべて
の空間方向において不均一の場合も構わない。読み出し
勾配として使用される、x方向における不均一性は、一
義的な位置・周波数対応を有してさえすればよい。位相
エンコード勾配Gy,Gzの方向において、磁場不均一性
は周知のように歪みを招来しない。その理由は、この場
合位相エンコードステップ当たりの位相差のみが重要で
ありかつ従って不均一性に基因する時間的に一定な位相
誤差は除去されるからである。
【0033】図2の実施例との別の差異は、図5のa)
に示されているように、順次連続する高周波パルスが相
互に異なった位相位置を有する、例えば51゜だけ回転
されているという点にある。このことは図5のa)で
は、高周波パルスRFの上に示されている位相“θ”に
よって表されている。FLASH法においても公知であ
るこの技術は、“高周波スポイリング”と称される。こ
れによりインコヒーレントな定常状態が得られ、一方図
2に示された実施例においてはコヒーレントな定常状態
が生じる。コヒーレントな定常状態およびインコヒーレ
ント定常状態により、異なったコントラスト、ひいては
異なった診断上のデータ内容を有する画像が得られるこ
とになる。
【0034】インコヒーレントな定常状態を得するため
の別の手法によれば、それぞれのシーケンスの前に、図
8のb)に破線で示されているように、強い勾配パルス
spが挿入される。“勾配スポイラー”(Gradienten-
Spoiler)と称されるこのパルスは、シーケンス毎に変
化する振幅を有しかつ先行するシーケンスからの位相可
干渉性を破壊する。この技術はそれ自体公知でありかつ
“勾配スポイリング”と称される。
【0035】インコヒーレントな定常状態の場合、第1
および第2の高周波パルスRF1,RF2に対するそれ
ぞれ30゜のフリップ角が有利であることが認められて
いる。
【0036】図6には、本発明の実施例としての別のパ
ルスシーケンスが図示されている。その際2次エコーの
デフェージングは、核磁気共鳴信号Sのアクイジション
後、まだ存在している励起の可干渉性を破壊する勾配G
Dをx方向に投入することによって実現される。それ故
に、後続のシーケンスにおいて、高周波信号RF1n
RF2nまたはそれ以前の高周波信号に基因する信号が
生じる可能性はない。これにより、干渉する信号重畳が
発生することなく、間隔τ1,τ2,τ3を同じに設定す
ることができる。
【0037】その他は、図6のパルスシーケンスは、図
2のパルスシーケンスに相応する。
【0038】干渉する信号重畳を回避するための別の手
法によれば、高周波パルスRF1,RF2に対して所謂
Chirp−Pulseが使用される。この形式のパル
スシーケンスは図7に示されている。図8には、第1の
高周波パルスRF1nの周波数が時間間隔2tにおいて
第1の周波数f0から周波数f1にリニヤに高められるこ
とが示されている。信号Sに対するリフェージング条件
は、第2の高周波パルスRF2n(リフォーカシングパ
ルス)の周波数が同様に周波数f0から周波数f1にリニ
ヤに高められる(ただし半分の時間間隔tにおいて)と
きにだけ満たされる。そこで図7において時間軸aを考
察すれば、高周波パルスRF1nを用いた励起が信号Sn
に対する高周波パルスRF2nとともにリフォーカシン
グ条件を満足する。高周波パルスRF2n-1を用いた励
起および高周波パルスRF1nによるリフォーカシング
に基づいて、従来のパルス形状の場合、図7における時
間軸bに破線で示されているように、2次エコーが生じ
る可能性がある。しかし図示のChirp−Pulse
を使用した場合、リフォーカシング条件は満たされず、
即ち2次エコーは生じない。
【0039】図9に示された本発明の実施例では、画像
形成のために、1次エコーのみならず、2次エコーおよ
び多重リフォーカシングされたエコーも評価される。図
示の例において、τ1=τ2=2/3τ3が選択された。
これにより、図9のa)に図示されているように、繰り
返し期間TRにおいて5つのエコー信号Sが生じる。種
々様々なエコーパスはaないしeによって表されてい
る。パスaは高周波パルスRF1nおよびRF2nに基づ
いた1次エコーS1nの発生を示している。パスbは高
周波パルスRF1n-1およびRF1nに基づいた2次エコ
ーS2nの発生を示している。パスcは2重にリフォー
カシングされた信号S3nの発生を表しており、その際
高周波パルスRF1nによる信号S1n-1がもう一度リフ
ォーカシングされる。パスdは2重にリフォーカシング
された信号S4nの発生を表しており、その際高周波パ
ルスRF2nによる信号S2n-1がもう一度リフォーカシ
ングされる。更にパスeは3重にリフォーカシングされ
た信号S5nの発生を表しており、その際高周波パルス
RF2n-1による信号S3n-2がもう一度リフォーカシン
グされる。即ちこれにより、図9のb)において繰り返
し期間TRに対して図示されているように、全部で5つ
の時間的に分離された信号S1nないしS5nが生じる。
これらの信号は種々異なった振幅を有している。
【0040】このようにして得られた5つの信号Sは例
えば、平均化、ひいては雑音改善のために用いることが
できる。このためにこれらの信号は、図9のd)におい
て略示されているように、すべて同じ方法で位相エンコ
ードされる。しかし、例えば概観目的のスキャンに対し
て、それぞれの信号に種々異なった位相エンコードを行
って、それにより測定時間を節約することもできる。と
いうのは、k空間は5倍迅速に捕捉されるからである。
対応する位相エンコードスキーマが図9のc)に略示さ
れている。勿論、組み合わせた形式も可能であり、即ち
繰り返しフェーズ内に、例えば2回の位相エンコードス
テップを実施し、その際その都度2つないし3つの信号
が平均化される。
【0041】本発明のパルスシーケンスは、特別なコス
トなしに、場の不均一性に対して比較的影響を受け難い
高速な画像形成を可能にするものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の核スピントモグラフィー装置の構成の概
略図である。
【図2】本発明の第1の実施例としてのパルスシーケン
スを示す線図である。
【図3】公知のパルスシーケンスにおける核スピンエコ
ー信号の重畳を説明するための時間線図である。
【図4】エコー分離を説明するための時間線図である。
【図5】3次元のデータセットを収集するためのパルス
シーケンスの別の実施例を示す線図である。
【図6】所望しない核磁気共鳴信号を勾配によってディ
フェーズするように構成されたパルスシーケンスを表す
線図である。
【図7】所謂“chirp”パルスを示す線図である。
【図8】所謂“chirp”パルスを示す線図である。
【図9】1次エコーのみならず、2次エコーおよび多重
にリフォーカシングされたエコーが評価される、本発明
の実施例を説明する線図である。
【符号の説明】
1〜4 基本磁場磁石、 7,8 勾配コイル、 9
高周波アンテナ、 12 勾配増幅器、 16 送受信
ユニット、 20 制御ユニット

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 a)核スピンを励起するための第1の高
    周波パルス(RF1n)の照射、 b)核スピンのリフェーズのための第1の時間間隔τ1
    後の第2の高周波パルス(RF2n)の照射、 c)周波数エンコード勾配(Gx)下での前記第2の高
    周波パルスに後の時間間隔τ2後の核磁気共鳴信号
    (Sn)の読み出し、 d)次のシーケンスの第1の高周波パルス(RF
    n+1)の照射までの時間間隔τ3の待機という上記シー
    ケンスをN回繰り返す、核スピントモグラフィー装置に
    おける画像データの収集方法であって、ただしその都度
    n番目のシーケンスの第1の高周波パルス(RF1n
    と、その都度後続のn+1番目のシーケンスの第1の高
    周波パルス(RF1n+1)との間の繰り返し時間は、被
    検体の縦緩和および横緩和時間(T1,T2)より短い
    という方法において、前記パルスシーケンスは、n−1
    番目のシーケンスの第2の高周波パルス(RF2n-1
    および後続のn番目のシーケンスの第1の高周波パルス
    (RF1n)から生じる核磁気共鳴信号(Sn 1,Sn 2
    がオーバラップしないように、構成されていることを特
    徴とする核スピントモグラフィー装置における画像デー
    タ収集方法。
  2. 【請求項2】 核磁気共鳴信号(Sn 1,Sn 2)のオーバ
    ラップは、τ3がτ1,τ2とは異なっているようにして
    回避される請求項1記載の核スピントモグラフィー装置
    における画像データ収集方法。
  3. 【請求項3】 時間間隔τ3は時間間隔τ1,τ2より長
    い請求項2記載の核スピントモグラフィー装置における
    画像データ収集方法。
  4. 【請求項4】 τ1=τ2=2/3τ3である請求項1か
    ら3までのいずれか1項記載の核スピントモグラフィー
    装置における画像データ収集方法。
  5. 【請求項5】 それぞれの繰り返し期間TRにおいて生
    じた核磁気共鳴信号Sは同じ方法で位相エンコードされ
    かつ画像再構成のために平均化される請求項4記載の核
    スピントモグラフィー装置における画像データ収集方
    法。
  6. 【請求項6】 それぞれの繰り返し期間TRにおいて生
    じた核磁気共鳴信号Sは異なった方法で位相コード化さ
    れ、その結果k空間の種々の断面が検出される請求項4
    記載の核スピントモグラフィー装置における画像データ
    収集方法。
  7. 【請求項7】 それぞれのシーケンス(n)の期間、n
    番目のシーケンスにおける核磁気共鳴信号Snの読み出
    し後に存在する位相可干渉性を破壊する勾配(GD)が
    加えられる請求項1から3までのいずれか1項記載の核
    スピントモグラフィー装置における画像データ収集方
    法。
  8. 【請求項8】 勾配(GD)として、システム中に存在
    する磁場不均一性が使用される請求項7記載の核スピン
    トモグラフィー装置における画像データ収集方法。
  9. 【請求項9】 システム中に存在する磁場不均一性は読
    み出し勾配(Gx)として使用される請求項1から8ま
    でのいずれか1項記載の核スピントモグラフィー装置に
    おける画像データ収集方法。
  10. 【請求項10】 すべての高周波パルス(RF1n,R
    F2n)はChirppulseであり、その際それぞ
    れの第1の高周波パルス(RF1n)の周波数は時間間
    隔t1においてf0からf1に高められかつ第2の高周波
    パルス(RF2n)の周波数は時間間隔t2=t1/2
    においてf0からf1に高められる請求項1から3までの
    いずれか1項記載の核スピントモグラフィー装置におけ
    る画像データ収集方法。
  11. 【請求項11】 核磁気共鳴信号(Sn)の読み出しの
    前に、シーケンス毎に交番する第1の位相エンコード勾
    配(Gy1)が加えられる請求項1から10までのいずれ
    か1項記載の核スピントモグラフィー装置における画像
    データ収集方法。
  12. 【請求項12】 核磁気共鳴信号(Sn)の読み出しの
    後に、第1の位相エンコード勾配(Gy1)とは反対の第
    2の位相エンコード勾配(Gy2)が加えられる請求項1
    1記載の核スピントモグラフィー装置における画像デー
    タ収集方法。
  13. 【請求項13】 すべての高周波パルス(RF1,RF
    2)は周波数選択性でありかつ層選択勾配(Gz)の作
    用下で照射される請求項1から12までのいずれか1項
    記載の核スピントモグラフィー装置における画像データ
    収集方法。
  14. 【請求項14】 位相エンコード勾配(Gy,Gz)は相
    互に垂直である2つの方向において加えられる請求項1
    から13までのいずれか1項記載の核スピントモグラフ
    ィー装置における画像データ収集方法。
  15. 【請求項15】 高周波パルス(RF1nないしRF
    n)の位相位置は高周波パルス(RF)毎に変化する
    請求項1から14までのいずれか1項記載の核スピント
    モグラフィー装置における画像データ収集方法。
  16. 【請求項16】 それぞれの高周波パルス(RF1n
    いしRF3n)の前に、核スピンの位相可干渉性を破壊
    するための、振幅、時間、面積が変化するスポイラー勾
    配(GSp)が加えられる請求項1から14までのいずれ
    か1項記載の核スピントモグラフィー装置における画像
    データ収集方法。
  17. 【請求項17】 基本磁場磁石(1−4)と、勾配増幅
    器(12)から給電される勾配コイル(7,8)と、少
    なくとも1つの高周波アンテナ(9)に接続されている
    送受信ユニット(16)と、制御ユニット(20)とを
    備えた、請求項1から16までのいずれか1項記載の方
    法を実施するための核スピントモグラフィー装置におい
    て、前記制御ユニットは次のステップを制御する、即ち a)前記送受信ユニット(16)が、前記高周波アンテ
    ナ(9)が第1の高周波パルス(RF1n)を送出する
    ように制御され、 b)時間間隔τ1の後、前記送受信ユニット(16)
    が、前記高周波アンテナ(9)が第2の高周波パルス
    (RF2n)を送出するように制御され、 c)時間間隔τ2の後、前記勾配増幅器(12)が制御
    されかつ核磁気共鳴信号(Sn)が受信され、 d)時間間隔τ1およびτ2とは異なっている時間間隔τ
    3の後、前記送受信ユニット(16)が、前記高周波ア
    ンテナ(9)が次のシーケンスの第1の高周波パルス
    (RF1n+1)を送出するように制御され、 e)前記シーケンスはN回繰り返されることを特徴とす
    る核スピントモグラフィー装置。
  18. 【請求項18】 基本磁場磁石(1−4)と、勾配増幅
    器(12)から給電される勾配コイル(7,8)と、少
    なくとも1つの高周波アンテナ(9)に接続されている
    送受信ユニット(16)と、制御ユニット(20)とを
    備えた、請求項1から16までのいずれか1項記載の方
    法を実施するための核スピントモグラフィー装置におい
    て、前記制御ユニットは次のステップを制御する、即ち a)前記送受信ユニット(16)が、前記高周波アンテ
    ナ(9)が第1の高周波パルス(RF1n)を送出する
    ように制御され、 b)時間間隔τ1の後、前記送受信ユニット(16)
    が、前記高周波アンテナ(9)が第2の高周波パルス
    (RF2n)を送出するように制御され、 c)時間間隔τ2の後、前記勾配増幅器(12)が制御
    されかつ核磁気共鳴信号(Sn)が受信され、 d)次のシーケンス繰り返しの前に、前記勾配増幅器
    (12)は、勾配(Gn)が核スピンの位相可干渉性を
    破壊するように制御され、 e)前記高周波信号の受信後の時間間隔τ3後、前記送
    受信ユニットは、前記高周波アンテナが次のシーケンス
    の第1の高周波パルスを送出するように制御され、 f)前記シーケンスはN回繰り返されることを特徴とす
    る核スピントモグラフィー装置。
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