JP3728218B2 - ステアリングシャフトの製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、インナーシャフトとアウターシャフトとが摺動自在に連結してテレスコピックタイプのステアリングシャフトを構成するステアリングシャフトにおいて、滑らかなテレスコ動作を行うことができるステアリングシャフト及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、テレスコ機能を有するステアリングシャフトの伸縮連結構造として、アウターシャフトとインナーシャフトとをスプライン係合等の手段で連結し、且つその連結箇所に樹脂材を充填しているものが存在している。その樹脂材は、アウターシャフトにインナーシャフトを適宜挿入配置して、アウターシャフトの外周部から樹脂材をアウターシャフトとインナーシャフトとの連結摺動部間の隙間に注入して、摺動樹脂係合部材として形成されている。
【0003】
また、インナーシャフトの樹脂成形部位を金型内にセットして、金型の外部から樹脂材を注入して、金型内にセットされたインナーシャフトとその金型との成形空間によってインナーシャフトに連結摺動部を形成した後、その摺動樹脂係合部をアウターシャフトに挿入する製造工程としたステアリングシャフトの伸縮連結構造もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、インナーシャフトとアウターシャフトとを軸方向に係合連結し、アウターシャフトの外部から樹脂材を射出成形 (インジェクション) によって注入し、インナーシャフトとアウターシャフトとの間に樹脂係合部を成形し連結部間を軸方向に摺動可能とするものでは、インナーシャフトとアウターシャフトとの間に形成される隙間容積に合わせて、適宜の圧力で樹脂材を注入して樹脂層を形成することで以下の欠点がある。
【0005】
即ち、その樹脂材が固化して成形された樹脂係合部は、隙間に目一杯埋まり、該樹脂係合部がインナーシャフト及びアウターシャフトの両方に対して押圧状態で固まり、その結果、両シャフト同士の係合状態は極めてきつくなって、隙間に余裕が全く無く、シャフト伸縮方向の摺動が重くなり、容易に摺動性を良好にすることが困難である。
【0006】
また、射出条件によっては、隙間に注入された樹脂材が固化するときの樹脂材の収縮のため、インナーシャフト又はアウターシャフトとの間に隙間が発生し、シャフト回転方向のガタとなるおそれもあり、操舵フィーリングを低下させることもある。
【0007】
次に、そのインナーシャフトの樹脂係合部が金型によって成形されることもある。この場合では、金型の成形形状をアウターシャフトのインナーシャフトが嵌合する嵌合孔形状と略同一形状として、インナーシャフトに樹脂係合部が成形される。これは、前述したアウターシャフトにインナーシャフトを挿入係合して隙間に樹脂係合部をインジェクション成形するタイプとは異なる。即ち、インナーシャフトの樹脂係合部をアウターシャフトとは別の金型で成形することになる。そのために、樹脂係合部を成形する寸法精度を高くしなければならないが、これは、金型の製造自体が極めて困難で且つ費用がかかるものである。
【0008】
これは、高精度の寸法管理を行って、寸法のバラツキを最小にし、アウターシャフトの係合孔とインナーシャフトの樹脂係合部とが良好に摺動できる隙間寸法を安定に設けることが必要であるからである。このように、金型成形状態のままのインナーシャフトの摺動樹脂係合部をアウターシャフトと連結係合するだけで良好な連結係合を設けることは困難である。
【0009】
このようなことから、金型成形されるインナーシャフトの樹脂係合部を予めアウターシャフトの係合孔より大きめに成形して、その後仕上げ加工を行って、寸法精度を安定させることもある。しかし、アウターシャフトの係合孔とインナーシャフトの摺動樹脂係合部とは別部材であり、互いに安定した寸法精度で連結係合の隙間を設けたとしても、そのアウターシャフトの係合とインナーシャフトの樹脂係合部との選択組み合わせによっては、その隙間は大きくなったりも、小さくなったりもするものであり、作業効率が低下するものである。
【0010】
上記のことから、そのステアリングシャフトの伸縮操作を重くしたり、軽くしたり、またはハンドル回転方向のガタを発生させたりして操舵フィーリングを低下させるおそれがあり、容易に良好なステアリングシャフトの伸縮連結構造を提供することが困難である。本発明の目的は、ステアリングシャフトにおけるアウターシャフトとインナーシャフトとの伸縮連結構造における係合隙間を略均一にして、伸縮方向及び回転方向の操作性及び操舵フィーリングを容易に改善することを提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
そこで、発明者は、上記課題を解決すべく鋭意,研究を重ねた結果、本発明を、長手方向に所定の範囲に外周係合部を形成したインナーシャフトと、内周側に前記外周係合部に係合する内周係合部を形成したアウターシャフトとからなり、前記インナーシャフトを金型に装着し、該金型と前記インナーシャフトの外周係合部との空隙に溶融した樹脂を注入して該外周係合部の周囲に樹脂係合部を形成し、該樹脂係合部は、前記アウターシャフトの内周係合部の内径よりも僅かに大きい寸法値とし、前記インナーシャフトの外周係合部を前記アウターシャフトの内周係合部に挿入し、インナーシャフトの樹脂係合部箇所をアウターシャフトの外部から加熱して樹脂係合部を軟化させ、該樹脂係合部を前記外周係合部と内周係合部との隙間形状にしてなるステアリングシャフトの製造法としたことにより、プレス成形からそのまま完成品として使用することができる程度に良好な仕上がりとしたプレス加工品とすることができ、充分な強度を確保することができ、ひいてはコスト低減を実現することができ、上記課題を解決したものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に基づいて説明する。まず本発明は、主にインナーシャフトAとアウターシャフトBとからなるものであって、そのインナーシャフトAは、軸本体部1及び外周係合部2から形成される。該軸本体部1は中空軸であり、その軸本体部1の軸方向に沿って、適宜の範囲で外周係合部2が形成されている。該外周係合部2の具体的には、スプラインであるが、セレーション、或いはスプラインの定義に属さない歯車形状のものであってもかまわない〔図1(A),(B)参照〕。その軸本体部1の外周係合部2が形成されている側とは反対側にフランジ板1a等が形成されることもある。
【0013】
また、アウターシャフトBは、アウター軸本体部4と内周係合部5とからなり、アウター軸本体部4は中空状に形成され、その内周側面に内周係合部5が形成されている。該内周係合部5は、前記外周係合部2に係合するスプライン形状としたり、セレーション、或いはスプラインの定義に属さない歯車形状のものであってもかまわない。即ち、前記外周係合部2に係合するものであればよい。そのアウター軸本体部4の内周係合部5が形成されている側と反対側にはジョイント部4aが形成されている〔図1(A),(B)参照〕。
【0014】
次に、前記インナーシャフトAの外周係合部2には、樹脂係合部6が形成される(図2参照)。該樹脂係合部6は、前記アウターシャフトBの内周係合部5の形状に対応して合致(略合致も含む)する形状に成形されたものである〔図2(A),(B)参照〕。その樹脂係合部6はアウターシャフトBの外部から加熱されることにより、樹脂係合部6が軟化して形状の変形が容易となることで、外周係合部2と内周係合部5との隙間形状に転写状に形状が変化する。ここで、転写とは軟化した樹脂係合部6が所定の形状にしたがって変化することである。
【0015】
このため、ステアリングシャフトの伸縮連結構造における断面がスプライン形状或いは小判形状等の非円形状であっても、インナーシャフトAの樹脂係合部6がアウターシャフトBの内周係合部5に従う転写形状となり、そのインナーシャフトAの樹脂係合部6とアウターシャフトBとの連結係合部位の係合形状をお互い近い形状とすることができ、外周係合部2と内周係合部5との間に樹脂係合部6が介在して略均一の隙間を有して連結係合することができる。
【0016】
これによって、ステアリングシャフトの伸縮操作(テレスコピック)における摺動性を良好にするとともに、インナーシャフトAとアウターシャフトBとの係合部の隙間を最小且つ略均一にすることで、摺動性と剛性感(ガタ感の無い)とを良好に満足させることができる。例えば、インナーシャフトAとアウターシャフトBとがスプライン連結係合のものは、インナーシャフトAとアウターシャフトBとのかみ合うスプラインの形状がアウターシャフトBの雌スプライン形状に合わせてインナーシャフトAの樹脂係合部の雄スプライン形状が加熱による軟化で転写されるので、樹脂係合部6によるインナーシャフトA及びアウターシャフトBに及ぼす圧力は、強すぎず,弱すぎず丁度良いものとなり、ハンドル回転方向のガタの発生を抑止するとができ、操舵フィーリングを向上させることができる。
【0017】
次に、製造法について説明する。まず前記インナーシャフトAの外周係合部2に樹脂係合部6による被覆成形が行われる加工工程は、まずインナーシャフトAが金型Cに装着され、その金型CとワークとするインナーシャフトAの外周係合部2との空隙に金型Cの外部から溶融した樹脂が注入される。金型Cは、上下方向(或いは左右方向)に2分割以上に分割されるもので、インナーシャフトAの型枠10a,10bには、インナーシャフトAの外周係合部2箇所に樹脂係合部6を成形するための樹脂成形室11a,11b及びインナーシャフトAを固定支持する支持室12a,12bがそれぞれ形成されている〔図4(A),(B)参照〕。
【0018】
また、金型Cには、溶融した樹脂を注入する注湯部13が形成され、金型Cの外部より前記樹脂成形室11a,11b連通している。また、該樹脂成形室11a,11bは、外歯タイプのスプラインを成形するものであり、スプライン形状とした外周係合部2の各スプライン歯を被覆する樹脂層を成形することができるようになっている。この金型Cによって、樹脂成形室11a,11bに収納された外周係合部2には前記注湯部13から溶融した樹脂が注入され、外周係合部2の周囲に樹脂係合部6が成形されるものである〔図4(B)参照〕。
【0019】
このようにして成形された樹脂係合部6は、外周係合部2よりも平均外形寸法が大きくなり、また前記アウターシャフトBの内周係合部5の内径よりも僅かに大きい寸法値となる〔図5(A)参照〕。前記アウターシャフトB側の内周係合部5は、中空管の内周面にスプライン又は非円形状の小判形状等の異形状を成形する加工工程がある。この加工工程は、スウェージング加工(絞り加工),引き抜き加工等の塑性加工によって加工したり、又はブローチ加工などの切削加工によって加工されることもある。
【0020】
前記樹脂係合部6が成形されたインナーシャフトAと、前記内周係合部5が成形されたアウターシャフトBとを揃える。そして、インナーシャフトAの外周係合部2側をアウターシャフトBの内周係合部5が挿入される〔図3(A),(B)参照〕。このとき外周係合部2と内周係合部5とがスプライン構成である場合には、スプライン方向に沿って外周係合部2と内周係合部5が係合する。そして、両スプライン同士には隙間が存在する遊挿状態となるが、外歯スプライン形状とした樹脂係合部6は、内周係合部5に対して圧入状態となる。このようにして、インナーシャフトAとアウターシャフトBとが連結され、樹脂係合部6が内周係合部5に対してしまり嵌め状態となる。
【0021】
次に、インナーシャフトAとアウターシャフトBとを連結した状態で、アウターシャフトBの外周側からその樹脂係合部6が加熱される工程となる。この加熱工程は、ステアリングシャフトの外部から加熱部材又は加熱装置による加熱手段14を近接させて加熱する〔図3(C)参照〕。また、前記ステアリングシャフトを加熱装置に装着して加熱することもある。
【0022】
その加熱手段14の具体例としては、ステアリングシャフトの連結係合部周辺に高周波コイルの加熱部材が近接配置され、誘導加熱によりステアリングシャフトの連結係合部の外部から内部の樹脂係合部6が加熱され、該樹脂係合部6が軟化される。このように、高周波加熱による加熱手段14とすることでアウターシャフトBの内周面側形状があたかも鋳型としても役目をなし、アウターシャフトBの内周係合部5と係合するインナーシャフトAの樹脂係合部6は、前記内周係合部5に対応する形状となるものである。
【0023】
加熱によって、樹脂係合部6を適宜軟化させることで、該樹脂係合部6はアウターシャフトBの内周係合部5(例えば,スプライン形状であれば、その形状に近くなる)に軟化変形して、略相似形状とすることができる〔図5(C)参照〕。そのまま自然放置冷却により軟化変形の樹脂係合部が固化して、インナーシャフトAの樹脂係合部6は、アウターシャフトBの内周係合部5を金型とする成形品となる。そして、インナーシャフトAとアウターシャフトBとの係合部の隙間が略均一となり、且つ最小にすることができる〔図5(D)参照〕。
【0024】
これによって、インナーシャフトAとアウターシャフトBとの伸縮摺動性を極めて良好にすることができ、且つその伸縮係合部の遊びを最小限とし、剛性感を高め、回転方向のガタを防止することができる。なお図5(B)は、組付の初期状態において外周係合部2及び内周係合部5に対して樹脂係合部6がまだ完全に馴染まず、均一に装着されていない状態を示している。この状態から加熱手段14により、樹脂係合部6が軟化し、外周係合部2及び内周係合部5に馴染むものである。
【0025】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。この実施形態は、前記インナーシャフトAとアウターシャフトBとを連結係合してから、溶融した樹脂を注入し、樹脂係合部6を転写するものである(図6参照)。そのインナーシャフトAとアウターシャフトBとの間に溶融した樹脂が注入されつつ、アウターシャフトBの外部より加熱手段14を介して加熱が行われるものである〔図6(E)参照〕。
【0026】
そのアウターシャフトBとインナーシャフトAとの外周係合部2と内周係合部5との隙間である空隙部に溶融した樹脂材が高い圧力で注入される。なお、前記アウターシャフトBのアウター軸本体部4には、注湯口4bが形成され、該注湯口4bから溶融した樹脂材が注入される〔図6(C)参照〕。この注入される樹脂は、過大に行われる。即ち、外周係合部2と内周係合部5との隙間である空隙部の容積以上の樹脂材が注入される。高い圧力で注入することによって、空隙部の容積が拡大され、容積以上の樹脂材が注入されるともいえる〔図6(C),(D)参照〕。
【0027】
ただし、この容積の拡大により、アウターシャフトBのアウター軸本体部4が溶融した樹脂から受ける圧力にて膨らむように変形するが、これはアウターシャフトBの弾性変形範囲以内である。この過大樹脂係合部がアウターシャフトBを外部から加熱してアウターシャフトBとインナーシャフトAとの間の過大樹脂係合部を溶湯状態に維持させて、アウターシャフトBと過大樹脂係合部との間に生じた荷重を解除しつつ、容積以上の樹脂材がアウターシャフトBの内周係合部5に転写され、且つ余剰分の樹脂材をその空隙部からシャフト間の隙間へ流出させて、アウターシャフトBとインナーシャフトAとの間の樹脂係合部6を形成することができる。このように、樹脂材を連結係合したステアリングシャフトに射出成形して形成される樹脂係合部にアウターシャフトBの内周係合部形状を確実に転写形成することができる。
【0028】
【発明の効果】
請求項1の発明は、長手方向に所定の範囲に外周係合部2を形成したインナーシャフトAと、内周側に前記外周係合部2に係合する内周係合部5を形成したアウターシャフトBとからなり、前記インナーシャフトAを金型Cに装着し、該金型Cと前記インナーシャフトAの外周係合部2との空隙に溶融した樹脂を注入して該外周係合部2の周囲に樹脂係合部6を形成し、該樹脂係合部6は、前記アウターシャフトBの内周係合部5の内径よりも僅かに大きい寸法値とし、前記インナーシャフトAの外周係合部2を前記アウターシャフトBの内周係合部5に挿入し、インナーシャフトAの樹脂係合部6箇所をアウターシャフトBの外部から加熱して樹脂係合部6を軟化させ、該樹脂係合部6を前記外周係合部2と内周係合部5との隙間形状にしてなることを特徴とするステアリングシャフトの製造法としたことにより、インナーシャフトAとアウターシャフトBとが摺動自在に連結して構成するテレスコピックタイプのステアリングシャフトにおいて、滑らかなテレスコ動作を行うことができるステアリングシャフトを極めて効率的に製造することができる効果を奏する。
【0029】
上記効果を詳述すると、インナーシャフトAの外周係合部2と、アウターシャフトBの内周係合部5とが連結係合され、樹脂係合部6が加熱手段14による軟化で前記外周係合部2及び内周係合部5に対して転写形成されるので、外周係合部2及び内周係合部5に対して樹脂係合部6を良好に適合させることができる。これによって、樹脂係合部6と外周係合部2或いは樹脂係合部6と内周係合部5との隙間を略均一で且つ最小とすることができる。
【0030】
したがって、ステアリングシャフトの伸縮操作(テレスコピック)における摺動性を良好にし、ハンドル回転方向のガタの発生を抑止するとができ、操舵フィーリングを向上させることができるものである。また、樹脂係合部6を成形するための特別な高精度加工設備や、厳しい寸法管理を必要とすることなく、容易にアウターシャフトBとインナーシャフトAの樹脂係合部との高い係合精度を得ることができる。
【0031】
さらに、アウターシャフトBとインナーシャフトAとの樹脂係合部6との連結係合部において、高精度加工による係合組み合わせをすることなく、係合隙間を適宜良好に形成することができる。また、製造方法において、係合隙間の厳しい工程管理などをすることなく、容易に高精度の連結係合部を形成することができ、特別な高精度加工装置も必要なく品質を安定して製造することができる。
【0032】
また、長手方向に所定の範囲に外周係合部2を形成したインナーシャフトAと、内周側に前記外周係合部2に係合する内周係合部5を形成したアウターシャフトBとからなり、前記インナーシャフトAの外周係合部2に被覆された樹脂係合部6をアウターシャフトBの内周係合部5の形状を転写した係合形状にすれば、テレスコ機能を有するステアリングシャフトは、連結係合部にガタが生じることなく、且つテレスコ調整におけるフィーリングを良好なものにできるものである。
【0033】
さらに、また長手方向に所定の範囲に外周係合部2を形成したインナーシャフトAと、内周側に前記外周係合部2に係合する内周係合部5を形成したアウターシャフトBとからなり、前記インナーシャフトAの外周係合部2をアウターシャフトBの内周係合部5に挿入し、前記外周係合部2と内周係合部5との間に溶融した樹脂を注入しつつ、アウターシャフトBを外周から加熱し、その軟化樹脂を前記外周係合部2と内周係合部5との隙間形状にしてなるステアリングシャフトの製造法とすれば、製造するための設備を簡単にすることができる。これは、外周係合部2と内周係合部5との間に溶融した樹脂を注入するために、金型は不要であり、したがって設備を最小限にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明の一部断面にした側面図
(B)は(A)の要部拡大断面図
【図2】(A)はインナーシャフトの一部断面にした要部拡大斜視図
(B)は(A)の一部拡大斜視図
(C)は(A)の一部断面にした側面図
【図3】(A)は第1実施形態におけるインナーシャフトがアウターシャフトに挿入される前の状態の工程図
(B)はインナーシャフトがアウターシャフトに挿入された状態の工程図
(C)はアウターシャフトの外部から加熱手段を近接させて加熱している工程図
【図4】(A)は金型の分離した状態の縦断側面図
(B)は金型でインナーシャフトに樹脂係合部を成形する縦断側面図
【図5】(A)は外周係合部と樹脂係合部の断面図
(B)は外周係合部及び内周係合部と樹脂係合部とが馴染まない状態の拡大図
(C)は外周係合部及び内周係合部と樹脂係合部とが馴染んだ状態の拡大図
(D)は外周係合部及び内周係合部と樹脂係合部とが馴染んだ状態図
【図6】(A)は第2実施形態におけるインナーシャフトがアウターシャフトに挿入される前の状態の工程図
(B)はインナーシャフトがアウターシャフトに挿入された状態の工程図
(C)は外周係合部と内周係合部との隙間に容積以上の樹脂材が注入された工程図
(D)は(C)の要部拡大図
(E)はアウターシャフトの外部から加熱手段を近接させて加熱している工程図
【符号の説明】
A…インナーシャフト
B…アウターシャフト
2…外周係合部
5…内周係合部
6…樹脂係合部

Claims (1)

  1. 長手方向に所定の範囲に外周係合部を形成したインナーシャフトと、内周側に前記外周係合部に係合する内周係合部を形成したアウターシャフトとからなり、前記インナーシャフトを金型に装着し、該金型と前記インナーシャフトの外周係合部との空隙に溶融した樹脂を注入して該外周係合部の周囲に樹脂係合部を形成し、該樹脂係合部は、前記アウターシャフトの内周係合部の内径よりも僅かに大きい寸法値とし、前記インナーシャフトの外周係合部を前記アウターシャフトの内周係合部に挿入し、インナーシャフトの樹脂係合部箇所をアウターシャフトの外部から加熱して樹脂係合部を軟化させ、該樹脂係合部を前記外周係合部と内周係合部との隙間形状にしてなることを特徴とするステアリングシャフトの製造法。
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