JP3728153B2 - 縦型チップ電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

縦型チップ電解コンデンサの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、巻回型のコンデンサ素子を座板に載置した縦型チップ電解コンデンサの製造方法に関し、特に、リード線をプレス加工して電極端子に用いるものに関する。
【0002】
【従来の技術】
陽極化成箔と対向陰極箔とをセパレ−タ紙を介して巻回したコンデンサ素子にTCNQ錯塩を含浸し、該コンデンサ素子を有底筒状のケースに収納した固体電解コンデンサにおいて、ケースの開口部を封口ゴムにて密封した固体電解コンデンサは、特開平8−330190号に開示されている。
【0003】
この固体電解コンデンサは、以下のような工程を経て製造される。
【0004】
すなわち、まず陽極用エッチドアルミニウム箔の表面に化成処理を施して誘電体皮膜を形成した陽極化成箔2を図5に示すように対向陰極箔3及びセパレ−タ紙4とともに巻回してコンデンサ素子1を形成する。図5において5は巻き止めテープ、61、61は陽極及び陰極のリード線、62、62はリードボスである。
【0005】
一方で、TCNQ錯塩の粉末を有底筒状の第1アルミニウム製ケ−ス内に適量詰め、これを加熱して融解液化させる。そして、前記コンデンサ素子1を前記第1アルミニウムケ−スの開口部から挿入して融解液化したTCNQ錯塩中に浸漬し、コンデンサ素子の内部に電解質としてのTCNQ錯塩を含浸させた後、直ちに引き抜き、コンデンサ素子内部に含浸したTCNQ錯塩を冷却固化させる(図示せず)。
【0006】
次に、図4に示すようにコンデンサ素子1のリード線61、61の根元部分のリードボス部62、62に封口ゴム7を装着し、該封口ゴム付コンデンサ素子を有底筒状の第2のアルミニウムケース8内に収納し、該ケースの開口部にカール加工を施した後、周知のエージング処理を施す。
【0007】
更に、図3に示すように、リード線61、61をプラスチック性の座板9の孔に挿通し、座板9下面部分のリード線61、61部分を夫々プレス加工して電極端子部64、64を形成した後、これを折り曲げ、コンデンサ本体を座板9に載置固定することにより、表面実装用の縦型チップ電解コンデンサを完成させていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
然るに、上記のようにして製造した縦型チップ電解コンデンサにおいては、コンデンサとしての漏れ電流が大きい製品が発生しやすく、製造歩留まりが低いといった問題があった。
【0009】
本発明者が斯かる原因を鋭意研究した結果、リード線をプレス加工する際の機械的ストレスがコンデンサ内部まで影響し、誘電体である陽極化成箔表面の酸化皮膜が損傷してしまうことが原因となることを突き止めた。
【0010】
従って、本発明は、このプレス加工時の機械的損傷を低減して漏れ電流を抑え、製造歩留まりの高い縦型チップ電解コンデンサの製造方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、リード線部とリードボス部とを有するタブ端子を陽極化成箔及び対向陰極箔に夫々接合する工程と、前記陽極化成箔と前記対向陰極箔とをセパレータを介して巻回し、コンデンサ素子を形成する工程と、該コンデンサ素子に固体電解質を含有させた後、有底筒状のケース内に収納封止する工程と、収納されたコンデンサ素子をエージング処理する工程と、前記コンデンサ素子を座板に載置した後、前記タブ端子のリード線部を座板面で折曲する工程とを含む縦型チップ電解コンデンサの製造方法において、前記タブ端子のリード線部をプレス加工する工程を前記エージング工程よりも前に行うと共に、前記エージング処理する工程を前記タブ端子のリード線部を座板面で折曲する工程の前に行うことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明方法の実施例について説明する。
【0013】
先ず、図2(a)に示す、リード線部61、リードボス部62及びアルミ平うち部63からなるタブ端子6’のリード線部61をプレス加工し、図2(b)に示すように偏平の電極端子部64を形成したタブ端子6を準備する。電極端子部64は、縦型チップコンデンサに用いる座板の電極端子配置部の厚みや溝形状に整合性を持たせた形状、寸法とする。
【0014】
次に、斯かるタブ端子6を、周知のエッチング処理及び化成処理を行ったアルミニウム箔からなる陽極化成箔2と対向陰極箔3とにタブ端子6のアルミ平うち部63でカシメ接合にて取り付けた後、図1に示すように、陽極化成箔2と対向陰極箔3との間にセパレータ紙4を介して円筒状に巻回し、コンデンサ素子1を形成する。更に、陽極化成箔3の切り口部分及びカシメ接合部の化成と、誘電体酸化膜である化成皮膜の損傷部の修復を目的とする再化成処理を行う。尚、図1の本実施例で図5の従来例と同じものには同番号を付し、説明を省略する。
【0015】
この後、コンデンサ素子1を、希釈剤としてn−ブチルアルコールを50%含むパラトルエンスルホン酸鉄(III)と、3,4−エチレンジオキシチオフェンを2:1の重量比で調合した化学重合液に浸漬させ、浸漬後200℃で約5分間熱処理することにより、コンデンサ素子1の両極間に電解質としての導電性ポリマー層(図示せず)を含有形成させる。
【0016】
しかる後、従来と同様に、コンデンサ素子1から植立されたリードボス部62、62を封口ゴム7の貫通穴に通し、有底筒状のアルミニウムケース8に収納し、該ケースの開口部端を横絞りとカール加工することによって封止する。そして、周知のエージング処理を施すことによって固体電解コンデンサを得る。
【0017】
最後に、図3に示すように、固体電解コンデンサのアルミニウムケース8のカール面に、PPS等のプラスチック製座板9を挿入し、タブ端子の電極端子部 を折り曲げ、不必要なリード線部 を切断して完成品とした。尚、定格電圧は20V、定格容量は22μF、サイズは6.3φ×5.8Lとした。
【0018】
次に、従来例として、タブ端子のプレス加工を、周知のエージング処理の後に行ったこと以外は実施例と同様にして固体電解コンデンサを作成した。
【0019】
これら実施例と従来例を夫々30個ずつ作成し、初期電気特性として、C(120Hzにおける静電容量)、tanδ(120Hzにおける損失角の正接)、ESR(100kHzにおける等価直列抵抗)の平均値を調べると共に、夫々100個ずつ作成してLC歩留(定格電圧を印加して60秒後の漏れ電流値が44μA以下のものの割合)を調べた。その結果を表1に記す。
【0020】
【表1】
Figure 0003728153
【0021】
表1から明らかなように、本実施例においては、従来例に比べ、漏れ電流の歩留まり(LC歩留)の向上が図られることが分かる。これは、タブ端子のプレス加工を予め施すことによって、プレス加工する時の機械的ストレスがコンデンサ内部に加わることなく、陽極化成箔の酸化皮膜の損傷が免れたためであると考えられる。
【0022】
更に、本発明者は、タブ端子のプレス加工を、コンデンサ素子に電解質を含有形成する工程の直前、あるいはエージング処理の直前に行った場合についても実験を行った結果、上記実施例と同等のLC歩留が得られることを確認した。このことから、タブ端子のプレス加工は、エージング処理の前までに行えば、本発明の効果が得られることが判った。また、プレス加工を施したタブ端子を組み込んで、種々の製造工程を行うと、各々の工程でタブ端子の偏平化した電極端子部分で変形しやすく、後工程の自動化の妨げになるため、タブ端子のプレス加工は製造工程中に行うことが好ましく、エージング処理の直前に行うことがより好ましい。
【0023】
以上の実施例では、導電性ポリマーを電解質に用いた場合を説明したが、電解質としてTCNQ錯塩を用いた固体電解コンデンサや電解液を用いた電解コンデンサにおいても同様の効果が得られる。
【0024】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明によれば、巻回型のコンデンサ素子を座板に載置した縦型チップ電解コンデンサの製造において、タブ端子のプレス加工をエージング工程よりも前に行うことによって、陽極化成箔における酸化皮膜の損傷を低減し、LC歩留を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例において用いられるコンデンサ素子の分解斜視図である。
【図2】本発明の実施例において用いられるタブ端子を示し、図2(a)はプレス加工前の上面図及び側面図、図2(b)はプレス加工後の上面図及び側面図である。
【図3】本発明実施例及び従来例による縦型チップコンデンサの断面図である。
【図4】従来例において用いられるコンデンサ素子の断面図である。
【図5】従来例において用いられるコンデンサ素子の分解斜視図である。
【符号の説明】
1 コンデンサ素子
6 タブ端子
61 リード線部
62 リードボス部
63 アルミ平うち部
64 電極端子部
7 封口ゴム
8 アルミニウムケース
9 座板

Claims (3)

  1. リード線部とリードボス部とを有するタブ端子を陽極化成箔及び対向陰極箔に夫々接合する工程と、前記陽極化成箔と前記対向陰極箔とをセパレータを介して巻回し、コンデンサ素子を形成する工程と、該コンデンサ素子に固体電解質を含有させた後、有底筒状のケース内に収納封止する工程と、収納されたコンデンサ素子をエージング処理する工程と、前記コンデンサ素子を座板に載置した後、前記タブ端子のリード線部を座板面で折曲する工程とを含む縦型チップ電解コンデンサの製造方法において、前記タブ端子のリード線部をプレス加工する工程を前記エージング工程よりも前に行うと共に、前記エージング処理する工程を前記タブ端子のリード線部を座板面で折曲する工程の前に行うことを特徴とする縦型チップ電解コンデンサの製造方法。
  2. 前記タブ端子のリード線部をプレス加工する工程は、前記陽極化成箔と前記対向陰極箔とをセパレータを介して巻回する工程以降に行うことを特徴とする請求項1記載の縦型チップ電解コンデンサの製造方法。
  3. 前記タブ端子のリード線部をプレス加工する工程は、前記有底筒状のケース内に収納封止する工程以降に行うことを特徴とする請求項1記載の縦型チップ電解コンデンサの製造方法。
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