JP3727784B2 - 鋼板曲げ加工における加熱点及び加熱線の決定方法及び装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は鋼板曲げ加工における加熱点及び加熱線の決定方法及び装置に関し、特に船殻の外板を加熱により所定形状に曲げ加工する場合に適用して有用なものである。
【0002】
【従来の技術】
船殻の外板は、推進抵抗を低減して水中を効率良く航行するために、複雑な非可展曲面形状をもつ厚さ10〜30mm程度の鋼板で構成されている。この曲がり外板を加工するには、一般に線状加熱といわれる加工法が古くから知られている。これは、ガスバーナ等を用いて鋼板の表面を局部的に加熱してその際に生成される塑性歪による鋼板の面外角変形や面内収縮変形を巧みに利用し、その組合わせによって目標とする形状を得る方法であり、多くの造船所で使用されている。
【0003】
図13は、船殻の外板となる鋼板の曲げ加工方法に係る従来技術を概念的に示す説明図、図14は当該曲げ加工に用いる木型を鋼板に設置した状態で示す正面図である。両図に示すように、従来技術においては、先ず船殻外板のフレームライン(当該外板の骨材を取り付ける位置におけるこの骨材に沿うライン;以下同じ。)を目標形状として有する多数(図では10個)の木型1を鋼板2上に設置する。次に、各木型1と鋼板2の形状を作業者が目視観察で比較して両者の形状の違い、例えば木型1と鋼板2との間の隙間を考慮し、どの位置を加熱すれば目標形状に近づいていくかを考慮して各加熱位置(加熱点)を決定する。具体的には、垂直面(図14と同一面)内で木型1を鋼板2のフレームラインに沿って転動させた後元に戻し、このときの感触等により加熱位置等を決定している。
【0004】
その後、各フレームライン上の各加熱点をどの様に結べば鋼板2を目標形状に近づけることができるのかを考慮して加熱線を決定し、図15に示すように、決定した加熱線3をチョーク等で鋼板2の表面上にマークし、この加熱線3に沿ってガスバーナ等で加熱している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述の如く従来技術においては、作業者の永年の経験による勘で加熱線3を決定していた。この加熱線3を期待した曲げ効果が得られるように決定する能力を備えるには約5年以上の経験が必要とされており、熟練技術者の高齢化及び不足という問題を招来している。また、当該曲げ加工作業においては、鋼板2に対する木型1の製作、設置及び撤去等、付帯作業に多くの作業時間がとられ、全体の作業時間が長くなる。
【0006】
上述の如き熟練技術者の不足という問題の解決及び作業時間の合理化を図るためには、作業者が経験により獲得したノウハウを考慮しつつ改良を加えて理論化し、作業の自動化を図る必要がある。
【0007】
本発明は、上記従来技術に鑑み、木型を用いることなく加熱点及び加熱線を決定することができ、また加熱点及び加熱線の自動決定に資することができる鋼板曲げ加工における加熱点及び加熱線の決定方法及び装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明は、作業者が行っている作業を幾何学的な問題として把握し、幾何学的な手法によるデータ処理を行うことにより作業の自動化を可能にするものであり、次の点を特徴とする。
【0009】
1) 曲げ加工に伴う鋼板の目標形状である目標形状データで形成した仮想的な木型を、鋼板の表面形状を実測して得る鋼板形状実測データで形成した仮想的な鋼板上に載置し、上記木型若しくは鋼板を所定の基準位置から上記鋼板の断面を含む面内でフレームライン等、鋼板上の特定のラインに沿って転動し、木型と鋼板とが2点で接触した場合の鋼板側の接点をA、Bとするとともに木型側の接点をC、Dとし、その後木型若しくは鋼板を逆方向に転動して上記基準位置に戻し、このようにして基準位置に戻した状態で上記接点A、Bを結ぶ直線Uと上記接点C、Dを結ぶ直線Vとを求め、両直線U、Vの交点に基づき加熱点を決定すること。
【0010】
2) 曲げ加工に伴う鋼板の目標形状である目標形状データで形成した仮想的な木型を、鋼板の表面形状を実測して得る鋼板形状実測データで形成した仮想的な鋼板上に載置し、上記木型若しくは鋼板を所定の基準位置から上記鋼板の断面を含む面内でフレームライン等、鋼板上の特定のラインに沿って転動し、木型と鋼板とが2点で接触した場合の鋼板側の接点をA、Bとするとともに木型側の接点をC、Dとし、その後木型若しくは鋼板を逆方向に転動して上記基準位置に戻し、このようにして基準位置に戻した状態で上記接点A、Bを結ぶ直線Uと上記接点C、Dを結ぶ直線Vとを求め、両直線U、Vの交点に基づき加熱点を決定するとともにこのときの直線U、Vの交差角度に基づきこの加熱点における鋼板の曲げ角度を決定すること。
【0011】
3) 上記1)又は2)に記載する鋼板曲げ加工における加熱点の決定方法において、
或る基準点に対する加熱点、又は加熱点及び曲げ角度を求めた後、この加熱点の決定の際に用いた基準点側の接点A、Cを接触させた状態で新たな基準点として同様の操作を繰り返し、特定のラインに沿って鋼板の端に至る迄の各加熱点、又は各加熱点及び各曲げ角度を決定すること。
【0012】
4) 曲げ加工に伴う鋼板の目標形状である目標形状データと鋼板の表面形状を実測して得る鋼板形状実測データとを読み込み、目標形状データで形成した仮想的な木型を、鋼板形状実測データで形成した仮想的な鋼板上に載置し、上記木型若しくは鋼板を所定の基準位置から上記鋼板の断面を含む面内でフレームライン等、鋼板上の特定のラインに沿って転動し、木型と鋼板とが2点で接触した場合の鋼板側の接点をA、Bとするとともに木型側の接点をC、Dとし、その後木型若しくは鋼板を逆方向に転動して上記基準位置に戻し、このようにして基準位置に戻した状態で上記接点A、Bを結ぶ直線Uと上記接点C、Dを結ぶ直線Vとを求め、両直線U、Vの交点に基づき加熱点の三次元座標を算出する加熱点決定手段を有すること。
【0013】
5) 曲げ加工に伴う鋼板の目標形状である目標形状データと鋼板の表面形状を実測して得る鋼板形状実測データとを読み込み、目標形状データで形成した仮想的な木型を、鋼板形状実測データで形成した仮想的な鋼板上に載置し、上記木型若しくは鋼板を所定の基準位置から上記鋼板の断面を含む面内でフレームライン等、鋼板上の特定のラインに沿って転動し、木型と鋼板とが2点で接触した場合の鋼板側の接点をA、Bとするとともに木型側の接点をC、Dとし、その後木型若しくは鋼板を逆方向に転動して上記基準位置に戻し、このようにして基準位置に戻した状態で上記接点A、Bを結ぶ直線Uと上記接点C、Dを結ぶ直線Vとを求め、両直線U、Vの交点に基づき加熱点の三次元座標を算出するとともにこのときの直線U、Vの交差角度に基づきこの加熱点における鋼板の曲げ角度も併せて算出する加熱点決定手段を有すること。
【0014】
6) 上記4)又は5)に記載する鋼板曲げ加工における加熱点の決定装置において、
或る基準点に対する加熱点、又は加熱点及び曲げ角度を求めた後、この加熱点の決定の際に用いた基準点側の接点A、Cを接触させた状態で新たな基準点として同様の処理を繰り返し、特定のラインに沿って鋼板の端に至る迄の各加熱点、又は各加熱点及び各曲げ角度を算出すること。
【0015】
7) 上記3)に記載する方法により決定した加熱点に基づき或るライン上の或る加熱点を起点として他のライン上の加熱点に対して直線を引き、この直線と鋼板の一次曲げ加工の際のローラ線との平行度を調べ、この平行度が所定範囲に収まっている場合に同一グループの加熱点として各ライン上の各加熱点のグループ分けを行い、各グループ毎の各加熱点間を直線又は曲線で結んで加熱線を決定すること。
【0016】
8) 上記3)に記載する方法により決定した加熱点に基づき或るライン上の或る加熱点を起点として他のライン上の加熱点に対して直線を引き、この直線と鋼板の一次曲げ加工の際のローラ線との平行度を調べ、この平行度が所定範囲に収まっている場合に同一グループの加熱点として各ライン上の各加熱点のグループ分けを行い、各グループ毎の各加熱点間を直線又は曲線で結んで加熱線を決定するとともに各加熱点における鋼板の曲げ角度に基づきこの加熱点における加熱量をデータとして付与するようにしたこと。
【0017】
9) 上記3)に記載する方法により決定した加熱点に基づき或るライン上の或る加熱点を起点として他のライン上の加熱点に対して直線を引き、この直線と鋼板の一次曲げ加工の際のローラ線との平行度を調べ、この平行度が所定範囲に収まっている場合であって、且つ加熱点における鋼板の曲げ角度に基づき決定される加熱点における加熱量が等しい場合に同一グループの加熱点として各ライン上の各加熱点のグループ分けを行い、各グループ毎の各加熱点間を直線又は曲線で結んで加熱線を決定すること。
【0018】
10) 上記6)に記載する加熱点決定装置により算出した加熱点に関するデータを読み込み、各加熱点のデータに基づき或るライン上の或る加熱点を起点として他のライン上の加熱点に対して直線を引き、この直線と鋼板の一次曲げ加工の際のローラ線との平行度を調べ、この平行度が所定範囲に収まっている場合に同一グループの加熱点として各ライン上の各加熱点のグループ分けを行い、各グループ毎の各加熱点間を直線又は曲線で結んで加熱線を算出する加熱線決定手段を有することを特徴とする鋼板曲げ加工における加熱線の決定装置。
【0019】
11) 上記6)に記載する加熱点決定装置により算出した加熱点及び曲げ角度に関するデータを読み込み、各加熱点のデータに基づき或るライン上の或る加熱点を起点として他のライン上の加熱点に対して直線を引き、この直線と鋼板の一次曲げ加工の際のローラ線との平行度を調べ、この平行度が所定範囲に収まっている場合に同一グループの加熱点として各ライン上の各加熱点のグループ分けを行い、各グループ毎の各加熱点間を直線又は曲線で結んで加熱線を算出するとともに各加熱点における鋼板の曲げ角度のデータに基づき各加熱点における加熱量を算出する加熱線決定手段を有すること。
【0020】
12) 上記6)に記載する加熱線決定装置により算出した加熱点及び曲げ角度に関するデータを読み込み、各加熱点及び曲げ角度のデータに基づき或るライン上の或る加熱点を起点として他のライン上の加熱点に対して直線を引き、この直線と鋼板の一次曲げ加工の際のローラ線との平行度を調べ、この平行度が所定範囲に収まっている場合であって、且つ加熱点における鋼板の曲げ角度に基づき決定される加熱点における加熱量が等しい場合に同一グループの加熱点として各ライン上の各加熱点のグループ分けを行い、各グループ毎の各加熱点間を直線又は曲線で結んで加熱線を算出する加熱線決定手段を有すること。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0022】
図1は本発明の実施の形態に係る鋼板曲げ加工における加熱点及び加熱線の決定装置を示すブロック線図である。同図に示すように、加熱点決定手段11は目標形状データ12及び鋼板計測データ13を読み込んで所定の処理(後に詳述する)を行うことにより鋼板2(図12等参照;以下同じ。)上の加熱点を決定する。ここで、目標形状データ12はCADデータ等の設計データで三次元座標データとして与えられ、また鋼板形状実測データ13は鋼板2の表面形状をレーザー計測等により実測した三次元座標データとして与えられる。加熱線決定手段14は加熱点決定手段11で決定した加熱点の情報に基づいて所定の処理(後に詳述する)を行うことにより鋼板2上の加熱線3(図14参照;以下同じ。)を決定する。加熱線決定手段14で決定した加熱線3は三次元座標の点列データとして出力装置15に送出される。かくして、出力装置15を介して加熱線3の情報が三次元座標の点列データとして得られる。したがって、この加熱線3の点列データに基づいて鋼板2の加熱手段、例えば高周波加熱コイルの位置を制御すれば当該鋼板曲げ加工の自動化を実現し得る。また、出力装置15を介して与えられる点列データに基づき鋼板2に加熱線3をマークするマーキング装置の位置を制御するように構成すれば加熱線3を鋼板2上に自動的にマークすることができる。表示装置16は当該加熱点及び加熱線の決定装置の各種の処理に伴う情報を可視化するとともに、処理に必要な情報の外部入力装置としても機能する。
【0023】
図2は加熱点決定手段11で行う処理の一例を説明するための説明図である。図2中、1’は説明のための仮想的な木型、2’は同様の仮想的な鋼板である。ここで、「仮想的」とは、現実のものとして存在するのではなく、電子的なデータとして或いはこれを表示装置16に可視可して表した図形として存在するものをいう。また、本例の処理は、従来作業者が行っているのと同様に木型2’を転動させつつ鋼板1’との接点を確認して加熱点を決定するものである。そこで、これを「接点確認法」と呼称する。
【0024】
図2(a)に示すように、この場合の曲げ加工の対象となる鋼板2’は一次曲げ加工が施された曲面形状のものであることが前提となっており、かかる鋼板2’はミクロに観察すると滑らかに変化する曲面形状を有するのではなく、或る線の部分で折曲された平面の集合であると考えられる。例えば、図2(a)に示すように、板幅方向における中心線であるMラインより一定の範囲で平面となっており、或る位置イで、10°の角度を持つように折曲されている。これに対し木型1’が有する目標形状が図2(a)のように与えられる。そこで、先ず木型1’を図2(a)に示す初期位置からフレームラインに沿って転動させ、図2(b)に示すように、木型1’を鋼板2’に接触させる。このときの鋼板2’上の接点をA、Bとし、木型2’上の接点をC、Dとする。次に、木型1’を反対方向に転動させ、図2(c)に示すように、元の初期状態(図2(a)に示す状態)に戻す。
【0025】
このように木型1’を初期状態に戻した状態で接点A、Bを結ぶ直線Uと接点C、Dを結ぶ直線Vを求め、両者の交点P及び交差する角度θを求める。この交点Pに基づき加熱点を決定するとともに、角度θ(図2の場合は3°)を加熱点における折曲角とする。実際には、交点Pを図2(d)中垂直上方向に延長した位置を加熱位置とする。この加熱位置を加熱して角度θだけ折り曲げた場合を図2(e)に示す。同図に示すように、このときの加熱により鋼板2’の接点Bが木型1’の接点Dに接触してその分鋼板2’の形状が目標形状(木型1’の形状)に近づいている。なお、厳密にいえば交点Pとこれに基づく加熱位置との間にはズレがある(垂直方向の位置であるZ軸に関する座標が異なる)が、当該曲げ加工においては交点Pから接点B、Dに至る直線U、Vの長さが角度θに対し十分長いので、交点Pとこれに基づく加熱位置とは同一位置と見做して処理しても実用的には何の支障もない。
【0026】
次に、木型1’をその接点Cが接点Aに接した状態を前述の初期位置に対応する基準位置として同様の操作(図2(b)〜図2(d)に示す操作)を行い、加熱点及び当該加熱点における曲げ角度θを決定する。この操作を繰り返し、鋼板2’の端まで木型1’を転動させて、逐次加熱点及び当該加熱点における曲げ角度θを決定する。
【0027】
図3は加熱点決定手段11により加熱点を決定しているときの表示装置16の表示画面を概念的に示す説明図である。同図(a)が初期位置、(b)が木型1’を1回転動させた場合及び(c)が木型1’を2回転動させた場合である。
【0028】
図4は本実施の形態に係る加工対象である鋼板2の板取りの関係を概念的に示す説明図である。同図に示すように、本実施の形態では半径Rの円筒面の一部を図のように取り出した仮想的な鋼板2’を考える。この円筒面を折り曲げによって近似的に形成するには円筒の中心軸に沿って断面が多角形になるように折り曲げれば良い。すなわち、目標形状を大まかに円筒面と見做したときの中心軸の方向を示すものとしてローラー基準線16’が定義される。図4に示す場合は、板幅方向における中心線であるMラインがローラー基準線16’に対して交差している場合である。ローラー基準線16’とMラインとは、常にこのような関係にあるとは限らない。例えば船殻の外板の一部を形成するものであるため、当然ローラー基準線16’とMラインとが一致する場合もある。
【0029】
図5は加熱線決定手段14で行う処理の一例を説明するための説明図である。この場合の加熱線の決定は、加熱点決定手段11で決定した加熱点同士を仮想的な直線で結び、この直線と仮想的な鋼板2’上に引いた仮想的なローラー線16”との平行度を調べ、所定の平行度を有するもの同士を同一のグループとしてグループ分けするものであり、ローラー線16”を基準に図中上側と下側とに分けてグループ分けを行っている。なお、図5中、F1 〜F7 は仮想的なフレームラインであり、その符号Fに付したサフィックスがこの場合のフレームライン番号である。また、各フレームラインF1 〜F7 に短く直角に付した多数の点が加熱点である。
【0030】
図5(a)に示すように、先ず起点1を決めこの起点1から各フレームラインF1 〜F7 上の加熱点に向けて仮想的な直線(図5中に点線で示す。)を引く。ここで、起点はフレームライン番号が若い方で、且つローラー線16”に近い方から順にとる。
【0031】
次に、上述の如く起点1から各フレームラインF1 〜F7 上の加熱点に向けて引いた仮想的な直線のローラー線16”に対する平行度を調べる。この結果、平行若しくは交差角が所定角度以下である場合に同一グループの加熱点としてグループ分けを行う。図5(a)は起点1を基準とするこの場合の平行度に関する条件を満足する同一グループの加熱点がフレームラインF3 、F4 に存在したことを表している。起点1を基準とするグループ分けが終了した場合には、図5(b)に示すように、同様の手順で起点2を基準とするグループ分けを行う。図5(b)は起点1を基準とするグループ1に属する加熱点が確定し、起点2を基準とする加熱点の確認作業中であることを表している。このとき、既にグループ分けされた加熱点については起点の対象にも、グループ分けの対象にもしない。このようにしてローラー線16”よりも下側の加熱点のグループ分けを行ない、グループ分けが完了した後、図5(c)に示すように、各グループ毎に加熱点列から直線(若しくは曲線)を求めこれを仮想的な加熱線3’とする。加熱線3’は、これが直線の場合には最小二乗法等により、また曲線の場合にはスプライン補間等により求める。
【0032】
図6は接点確認法により加熱点を求める場合の加熱点決定手段11における具体的な手順(実施例)を示すフローチャートである。本実施例ではフレームライン上で加熱点を求めているが、勿論これに限定するものではない。ただ、フレームラインは骨材を取り付ける位置に対応するラインであるため、その位置データが設計データとして用意されており、これを流用することができるという利点はある。図6に基づき当該手順を説明する。
【0033】
1) CADデータ等の設計データを読み込むことにより鋼板の目標形状を三次元データとして入力する(ステップS1 参照)。
【0034】
2) 加工対象である鋼板の形状を実測してその三次元座標データを得る(ステップS2 参照)。これはレーザ計測又はカメラにより撮影した画像の画像処理等、既存のいずれかの計測方法により容易に実施し得る。
【0035】
3) 各フレームラインについてステップS4 からステップS14の処理を行う((ステップS3 参照)。ここで、ステップS3 のブロックに記載するように「・・・のループ」とは、当該ステップ(この場合にはステップS3 )より後の処理を一つのループと考えて当該ループに属する処理を、例えば本例の場合の如く、各フレームライン毎に順次繰り返すことを意味する(以下同じ。)。ステップS3 では、先ずフレームライン番号iを「1」として次のステップS4 の処理に移行する。また、「FLMAX」とは最大のフレームライン番号とする(以下同じ。)。
【0036】
4) 最初は加熱点が存在しないので、加熱点番号の初期値としてj=0を設定する(ステップS4 参照)。
【0037】
5) 目標形状の位置、姿勢を記録する(ステップS5 参照)。具体的には、例えば目標形状の基準点(フレームラインの目標形状を示す曲線と見通し線の交点、すなわち仮想木型のMラインを示す点)の座標と、見通し線の傾き(水平線又は垂線を基準にした傾き角度)を記録する。このときの状態は、従来の木型を用いる作業において、作業者が木型の目標形状に沿う部分の中点を鋼板のMライン上に置き、見通し線を垂直に保持した初期状態に対応する。
【0038】
6) 目標形状を鋼板に沿って回動し(ステップS6 参照)、これが鋼板の端に達するまで繰り返す(ステップS7 参照)とともに、その転動の途中において2点で接したことが検出された場合(ステップS8 参照)には、前述の「接点確認法の原理」において説明した通りの処理を行い交点Pの座標及び角度θを算出する(ステップS9 、ステップS10、ステップS11及びステップS12参照)。
【0039】
7) 加熱点番号に「1」を加算し、特定のフレームラインにおける各加熱点のデータを作成する(ステップS13及びステップS14参照)。このときの加熱点のデータは各フレームライン番号及び各加熱点番号を特定した三次元座標及び角度データとして与えられる。
【0040】
8) ステップS7 の判定処理において端に達したことが検出された場合には、このときのフレームライン番号が当該加熱点決定処理を行うフレームラインの数の最大値(FLMAX)よりも大きいか否かを判定し、フレームライン番号i<FLMAXの場合には次の番号のフレームラインについてステップS4 〜ステップS14の処理を繰り返す。ここで、ステップS4 に戻る毎にフレームライン番号iに「1」が加算される。この結果、フレームライン番号i≧FLMAXの場合には、全てのフレームラインについて所定の加熱点を求める処理が終了したことを意味するので、当該加熱点決定処理を終了する(ステップS15及びステップS16参照)。
【0041】
9) ステップS8 の処理で2点で接したことが検出されない場合には、ステップS5 の処理に戻りステップS5 〜ステップS7 の処理を繰り返す。すなわち、一回の処理で一定角度、目標形状を回動し、2点での接触が検出されるまでステップS5 〜ステップS7 の処理を繰り返す。したがって、加熱点を求めるフレームラインに沿う鋼板の形状が平面である場合には接点が求まることなくステップS7 の処理で端に達したことが検出され、当該フレームラインに関しては加熱点が存在しないものとして次のフレームラインの処理に移行する。全部のフレームラインに関して2点での接触が検出されない場合、すなわち鋼板の全体が平面の場合には当該「接点確認法」により加熱点を求めることはできない。したがって、本方法による加熱点決定の対象となる鋼板は、ベンディングロール等により一次曲げ加工がなされていることが条件となる。
【0042】
なお、上記ステップS6 の処理では目標形状を鋼板に沿って回動したが、これは鋼板を目標形状に沿って回動しても同様である。要するに、両者の接点が得られるように一方を他方に対して相対的に回動させれば良い。また、上述の如く加熱点を求める目的は必要な形状変化を与えるための加熱位置と加熱強度(鋼板に与える熱量)を得ることである。加熱強度と角度θとの間には、所定の関連性があり、これは実験的に求めることができる。したがって、角度θが判明した時点で加熱強度を求めることができる(勿論、角度θがデータとして記録されていれば、後で必要なときに変換することが可能である。)。そこで、加熱点を求める処理とは直接的な関連はないが、ステップS14において、角度θに関するデータとともに角度θに対する加熱強度を求めておいても良い。
【0043】
図7〜図10は求めた加熱点に基づいて加熱線を求める場合の加熱線決定手段14における具体的な手順(実施例)を示すフローチャートである。これらの図に基づき当該手順を説明する。
【0044】
図7に示すように次の様な処理を行う。
1) 加熱点のデータを入力する(ステップS21参照)。具体的には、図6のステップS14で求めた各フレームラインにおける各加熱点の三次元座標及
び角度データを入力する。
【0045】
2) 最初は所定のグループができていないので、グループ番号gの初期値としてg=0を設定する(ステップS22参照)。
【0046】
3) 各フレームラインについてステップS24〜ステップS54の処理を行う(ステップS23参照)。
【0047】
4) フレームライン番号iの上側加熱点数HPU(i)>0であるか否かを判定する(ステップS24)。ここで「上側加熱点数HPU」とは、ローラー線16”を基準に上下を決定した場合の上側の加熱点の数を意味し、例えば各フレームラインとローラー線16”との交点よりもY座標が大きい方を上とする。したがって、上側の加熱点が存在する場合にはHPU(i)>0となり、この場合にステップS25の処理に移行する。
【0048】
5) フレームライン番号i上の各上側加熱点についてステップS26〜ステップS38の処理を行う(ステップS25参照)。すなわち加熱点番号j=1〜HPU(i)の各加熱点に対して同様の処理を行ってグループ分けをする。
【0049】
6) グループ分けが済んでいるか否かを判定する(ステップS26参照)。具体的には当該判定の対象となっている加熱点にグループ番号gが付されているか否かを判定する。
【0050】
7) ステップS26の判定の結果、判定の対象となっている加熱点がグループ分けされていない場合にはグループ番号gに「1」を加える(ステップS27参照)。グループ番号gの初期値は「0」であるので、最初のフレームラインに関する最初の加熱点に対する処理でグループ番号g=1が付与される。
【0051】
8) 処理の対象となっている加熱点にステップS27で付与したグループ番号gを付与する(ステップS28参照)。
【0052】
9) グループに所属する加熱点数を「1」とする(ステップS29参照)。
【0053】
10) 上記ステップS27〜ステップS29の処理により起点を決定する。
【0054】
11) フレームライン番号iより後方の各フレームラインについてステップS31〜ステップS37の処理を行う(ステップS30参照)。このときのフレームライン番号をk=(i+1)〜FLMAXとする。
【0055】
12) フレームライン番号kの各上側加熱点についてステップS32〜ステップS36の処理を行う(ステップS31参照)。
【0056】
13) フレームライン番号kのフレームライン上の特定の加熱点のグループ分けが済んでいるか否かを判定する(ステップS32参照)。具体的には当該判定の対象となっている加熱点にグループ番号gが付されているか否かを判定する。
【0057】
14) ステップS32の判定の結果、判定の対象となっている加熱点がグループ分けされていない場合には、起点から見てローラー線16”と平行な位置にあるか否かを判定する(ステップS33参照)。一例として起点となる加熱点と当該判定の対象となっている加熱点とを直線で結び、この直線のローラー線16”に対する角度を検出し、この角度が所定値よりも小さい場合には平行な位置にあると判定する。他にも前記直線の両端におけるローラー線16”との間の距離を計測し、これが一定の範囲に収まっているか否かを検出するようにしても同様の判定を行うことができる。
【0058】
15) ステップS33の判定の結果、判定の対象となっている加熱点がローラー線16”と平行な位置にあると判定された場合には、その起点の加熱点と同様のグループ番号gを付与する(ステップS34参照)。
【0059】
16) ステップS34で付与したグループ番号gに所属する加熱点数に「1」を加算する(ステップS35参照)。
【0060】
17) ステップS35の処理が終了した場合、ステップS32の処理で判定の対象となった加熱点のグループ分けが済んでいた場合又はステップS33の処理で所定の平行度を有していないことが検出された場合には、フレームライン番号kに属するものとして当該判定の対象となっている加熱点の加熱点番号lがその最大値HPU(k)よりも大きくなるまでステップS32〜ステップS35の処理を繰り返す(ステップS36参照)。ここで、ステップS36からステップS32に戻る毎に加熱点番号に「1」が加算される。かくして特定のフレームライン上の加熱点のグループ分けが行われる。
【0061】
18) ステップS36の処理でフレームライン番号kのフレームライン上の全ての上側加熱点のグループ分けが終了したことが検出された場合には、上述のステップS31〜ステップS36の処理を、フレームライン番号kがその最大値FLMAXよりも大きくなるまで繰り返す(ステップS37参照)。ここで、ステップS37からステップS31に戻る毎にフレーム番号kに「1」が加算される。かくしてフレームライン番号がi以降の全フレームラインに関する上側加熱点のグループ分けが行われる。
【0062】
19) ステップS26の処理でフレームライン番号iのフレームライン上の判定の対象となっている加熱点のグループ分けが済んでいた場合又はステップS37の処理でフレームライン番号がi以降の全フレームラインに関する上側加熱点のグループ分けが終了していることが検出された場合には、フレームライン番号iに属するものとして当該判定の対象となっている加熱点の加熱点番号jがその最大値HPU(i)よりも大きくなるまでステップS26〜ステップS38の処理を繰り返す(ステップS38参照)。ここで、ステップS38からステップS26に戻る毎に加熱点番号に「1」が加算される。かくしてフレームライン番号i上の上側加熱点に対するグループ分けが行われる。
【0063】
図8に示すにように次の様な処理を行う。
20) ステップS24の処理でフレームライン番号iのフレームラインについて上側加熱点が存在しないことが検出された場合又はステップS38の処理で起点が属するフレームラインの全部の上側加熱点についてグループ分けが終了したことが検出された場合には、各フレームライン上の下側加熱点について全く同様の手順で加熱点のグループ分けを行う。すなわち、ステップS24〜ステップS38の各処理に対応するステップS39〜ステップS53の処理を下側加熱点に対して行う。ステップS39で「下側加熱点数HPL」とは、ローラー線16”を基準に上下を決定した場合の上側加熱点と逆の関係にある加熱点である。すなわちローラー線16”よりも下側の加熱点の数を意味し、例えば各フレームラインとローラー線16”との交点よりもY座標が小さい方を下とする。
【0064】
21) ステップS39の処理でフレームライン番号iのフレームラインについて下側加熱点が存在しないことが検出された場合又はステップS53の処理で起点が属するフレームラインの全部の下側加熱点についてグループ分けが終了したことが検出された場合には、フレームライン番号がFLMAXより大きいか否かを判定し、小さい場合には各フレームラインに関してステップS24〜ステップS53の処理を繰り返し、全フレームラインに関して当該処理が終了した場合、すなわち全フレームラインに属する全加熱点のグループ分けが完了した場合に次の処理に移る(ステップS54参照)。
【0065】
図9に示すように次の様な処理を行う。
22) グループ分けされた各加熱点グループについて、各グループ毎に、加熱点を順に直線で結んだり、加熱点の座標値より最小二乗法やスプライン補間等で直線又は曲線を算出して加熱線を導出する(ステップS55及びステップS56参照)。なお、ステップS55において「GNO」とはグループ数の最大値である。
【0066】
23) グループ番号≧GNO の関係になったことを検出した場合、すなわち全てのグループに関して加熱線3が求まったことを検出した場合に全体の処理を終了する(ステップS57及びステップS58参照)。
【0067】
図10は、図9に示す処理の際に各加熱点の加熱強度(折曲角度θにより決定される。)を加味し、この加熱強度の情報も加熱線の情報中に入れ込んだ実施例である。同図に示すように、本実施例ではステップS56の次の処理で、求めた加熱線に対して加熱強度分布を算出している(ステップS59参照)。この場合の加熱強度は加熱点における折曲角度θに基づいて別途直接与えられているか、又は加熱点における折曲角度θの情報に基づいて導出する。
【0068】
本実施例によれば各加熱線3上の各加熱点を最も適切な熱量で加熱することができる。これは、例えば高周波加熱による曲げ加工の場合は高周波コイルに供給する電流を制御して鋼板2に対する入熱量を制御することにより容易に実現される。
【0069】
図11は、図7及び図8に示す処理の際に、各加熱点の加熱強度(折曲角度θにより決定される。)を加味し、この加熱強度もグループ分けの際の条件として取り込んだ実施例である。同図に示すように、本実施例ではステップS33若しくはステップS48の次の処理で、起点と同じ加熱強度(所定の許容範囲にあるものも含む。)であるか否かを判定するようになっている(ステップS60参照)。そして、この判定の結果同じ加熱強度でない場合には、当該グループから外すように処理する。換言すれば、同じ加熱強度であることを条件として起点と同じグループ番号が付与される。
【0070】
本実施例によれば各加熱線3上の各加熱点を同一熱量で加熱することができる。このことにより、例えば高周波加熱による曲げ加工の場合は、1つの加熱線3に対しては高周波コイルに供給する電流を一定に保持することにより最も適切な鋼板に対する入熱量とすることができる。
【0071】
なお、上述の実施の形態において、「仮想的」とは、現実のものとして存在するのではなく、電子的なデータとして或いはこれを表示装置16に可視化して表した図形として存在するものをいうと定義したが、本願発明に係る技術思想においてはかかる限定を付す必要はない。現実のものとして存在する木型及び鋼板でなければ、例えば作業者が作図により作成する木型及び鋼板も、ここにいう、「仮想的」なる概念に含まれる。
【0072】
【発明の効果】
以上実施の形態とともに詳細に説明した通り、〔請求項1〕に記載する発明によれば、加工対象である鋼板の表面形状の目標形状に対するズレを両者の接点に基づく幾何学問題として解決することができるので、熟練を要することなく何人でも容易に適切な加熱線を決定することができる。〔請求項2〕に記載する発明によれば、加熱線のみならず折曲げ角度(加熱量)も同時に決定することができる。〔請求項3〕に記載する発明によれば、鋼板の特定のライン上の全ての加熱点を決定することができる。〔請求項4〕乃至〔請求項6〕に記載する発明によれば加熱点、又は加熱点及び曲げ角度を自動的に決定することかできる。
【0073】
〔請求項7〕に記載する発明によれば、何人でも容易に適切な加熱線を決定することができる。〔請求項8〕に記載する発明によれば、適切な加熱線とともに当該加熱線上の加熱量が異なる場合でも、この加熱量の変化を考慮した加熱線のデータを作成し得る。〔請求項9〕に記載する発明によれば、1つの加熱線上の加熱量が同じになるようにグループ分けされているので、加熱作業の作業性の高効率化を達成し得る加熱線を容易に提供し得る。〔請求項10〕乃至〔請求項11〕に記載する発明によれば、適切な加熱線を自動的に作成することができる。この加熱線のデータに基づき、例えば高周波加熱装置等の加熱手段の位置を制御することにより所定の鋼板の自動的な曲げ加工を行うことができる。
【0074】
図12は本願発明により求めた加熱線に沿って鋼板を加熱したときの、加熱前後における鋼板形状を等高線表示したものである。図12(a)が加熱前の等高線表示で、鋼板形状と目標形状の差を色の違いによって表示したものである。中央部の青色部分が目標形状との差が5mm、また鋼板端部の赤色部分が50mmと中央部から端部に行くにしたがって目標形状に対するズレが大きくなっていることを示している。これに対し、図12(b)が本願発明の加熱線に沿って鋼板を加熱したときの表示で、同図を参照すれば青色部分が多くなり、目標形状に顕著に近づいていることが分かる。すなわち、従来技術に係る木型を用いることなく十分有用な加熱線を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る鋼板曲げ加工における加熱点及び加熱線の決定装置を示すブロック線図。
【図2】図1の加熱点決定手段11で行う処理の一例を説明するための説明図。
【図3】図1の加熱点決定手段11で行う処理に伴う表示装置16の表示例を示す説明図。
【図4】本実施の形態に係る加工対象である鋼板2の板取りの関係を概念的に示す説明図。
【図5】図1の加熱線決定手段14で行う処理の一例を説明するための説明図。
【図6】加熱点決定のための実施例を示すフローチャート。
【図7】加熱線決定のための第1の実施例を示すフローチャート(その1)。
【図8】加熱線決定のための第1の実施例を示すフローチャート(その2)。
【図9】加熱線決定のための第1の実施例を示すフローチャート(その3)。
【図10】加熱線決定のための第2の実施例の一部を示すフローチャート。
【図11】加熱線決定のための第3の実施例の一部を示すフローチャート。
【図12】本願発明の効果を確認するための実験結果を示すため鋼板の形状を等高線表示した模式図。
【図13】船殻の外板となる鋼板の曲げ加工方法に係る従来技術を概念的に示す説明図。
【図14】従来技術に係る鋼板の曲げ加工に用いる木型を鋼板に設置した状態で示す正面図。
【図15】従来技術において決定し加熱線を鋼板に付した状態を示す斜視図。
【符号の説明】
11 加熱点決定手段
12 目標形状データ
13 鋼板形状計測データ
14 加熱線決定手段
16” ローラー線
A,B,C,D 接点
P 交点
U,V 直線
F1 〜F7 フレームライン
θ 折曲げ角度
【発明の属する技術分野】
本発明は鋼板曲げ加工における加熱点及び加熱線の決定方法及び装置に関し、特に船殻の外板を加熱により所定形状に曲げ加工する場合に適用して有用なものである。
【0002】
【従来の技術】
船殻の外板は、推進抵抗を低減して水中を効率良く航行するために、複雑な非可展曲面形状をもつ厚さ10〜30mm程度の鋼板で構成されている。この曲がり外板を加工するには、一般に線状加熱といわれる加工法が古くから知られている。これは、ガスバーナ等を用いて鋼板の表面を局部的に加熱してその際に生成される塑性歪による鋼板の面外角変形や面内収縮変形を巧みに利用し、その組合わせによって目標とする形状を得る方法であり、多くの造船所で使用されている。
【0003】
図13は、船殻の外板となる鋼板の曲げ加工方法に係る従来技術を概念的に示す説明図、図14は当該曲げ加工に用いる木型を鋼板に設置した状態で示す正面図である。両図に示すように、従来技術においては、先ず船殻外板のフレームライン(当該外板の骨材を取り付ける位置におけるこの骨材に沿うライン;以下同じ。)を目標形状として有する多数(図では10個)の木型1を鋼板2上に設置する。次に、各木型1と鋼板2の形状を作業者が目視観察で比較して両者の形状の違い、例えば木型1と鋼板2との間の隙間を考慮し、どの位置を加熱すれば目標形状に近づいていくかを考慮して各加熱位置(加熱点)を決定する。具体的には、垂直面(図14と同一面)内で木型1を鋼板2のフレームラインに沿って転動させた後元に戻し、このときの感触等により加熱位置等を決定している。
【0004】
その後、各フレームライン上の各加熱点をどの様に結べば鋼板2を目標形状に近づけることができるのかを考慮して加熱線を決定し、図15に示すように、決定した加熱線3をチョーク等で鋼板2の表面上にマークし、この加熱線3に沿ってガスバーナ等で加熱している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述の如く従来技術においては、作業者の永年の経験による勘で加熱線3を決定していた。この加熱線3を期待した曲げ効果が得られるように決定する能力を備えるには約5年以上の経験が必要とされており、熟練技術者の高齢化及び不足という問題を招来している。また、当該曲げ加工作業においては、鋼板2に対する木型1の製作、設置及び撤去等、付帯作業に多くの作業時間がとられ、全体の作業時間が長くなる。
【0006】
上述の如き熟練技術者の不足という問題の解決及び作業時間の合理化を図るためには、作業者が経験により獲得したノウハウを考慮しつつ改良を加えて理論化し、作業の自動化を図る必要がある。
【0007】
本発明は、上記従来技術に鑑み、木型を用いることなく加熱点及び加熱線を決定することができ、また加熱点及び加熱線の自動決定に資することができる鋼板曲げ加工における加熱点及び加熱線の決定方法及び装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明は、作業者が行っている作業を幾何学的な問題として把握し、幾何学的な手法によるデータ処理を行うことにより作業の自動化を可能にするものであり、次の点を特徴とする。
【0009】
1) 曲げ加工に伴う鋼板の目標形状である目標形状データで形成した仮想的な木型を、鋼板の表面形状を実測して得る鋼板形状実測データで形成した仮想的な鋼板上に載置し、上記木型若しくは鋼板を所定の基準位置から上記鋼板の断面を含む面内でフレームライン等、鋼板上の特定のラインに沿って転動し、木型と鋼板とが2点で接触した場合の鋼板側の接点をA、Bとするとともに木型側の接点をC、Dとし、その後木型若しくは鋼板を逆方向に転動して上記基準位置に戻し、このようにして基準位置に戻した状態で上記接点A、Bを結ぶ直線Uと上記接点C、Dを結ぶ直線Vとを求め、両直線U、Vの交点に基づき加熱点を決定すること。
【0010】
2) 曲げ加工に伴う鋼板の目標形状である目標形状データで形成した仮想的な木型を、鋼板の表面形状を実測して得る鋼板形状実測データで形成した仮想的な鋼板上に載置し、上記木型若しくは鋼板を所定の基準位置から上記鋼板の断面を含む面内でフレームライン等、鋼板上の特定のラインに沿って転動し、木型と鋼板とが2点で接触した場合の鋼板側の接点をA、Bとするとともに木型側の接点をC、Dとし、その後木型若しくは鋼板を逆方向に転動して上記基準位置に戻し、このようにして基準位置に戻した状態で上記接点A、Bを結ぶ直線Uと上記接点C、Dを結ぶ直線Vとを求め、両直線U、Vの交点に基づき加熱点を決定するとともにこのときの直線U、Vの交差角度に基づきこの加熱点における鋼板の曲げ角度を決定すること。
【0011】
3) 上記1)又は2)に記載する鋼板曲げ加工における加熱点の決定方法において、
或る基準点に対する加熱点、又は加熱点及び曲げ角度を求めた後、この加熱点の決定の際に用いた基準点側の接点A、Cを接触させた状態で新たな基準点として同様の操作を繰り返し、特定のラインに沿って鋼板の端に至る迄の各加熱点、又は各加熱点及び各曲げ角度を決定すること。
【0012】
4) 曲げ加工に伴う鋼板の目標形状である目標形状データと鋼板の表面形状を実測して得る鋼板形状実測データとを読み込み、目標形状データで形成した仮想的な木型を、鋼板形状実測データで形成した仮想的な鋼板上に載置し、上記木型若しくは鋼板を所定の基準位置から上記鋼板の断面を含む面内でフレームライン等、鋼板上の特定のラインに沿って転動し、木型と鋼板とが2点で接触した場合の鋼板側の接点をA、Bとするとともに木型側の接点をC、Dとし、その後木型若しくは鋼板を逆方向に転動して上記基準位置に戻し、このようにして基準位置に戻した状態で上記接点A、Bを結ぶ直線Uと上記接点C、Dを結ぶ直線Vとを求め、両直線U、Vの交点に基づき加熱点の三次元座標を算出する加熱点決定手段を有すること。
【0013】
5) 曲げ加工に伴う鋼板の目標形状である目標形状データと鋼板の表面形状を実測して得る鋼板形状実測データとを読み込み、目標形状データで形成した仮想的な木型を、鋼板形状実測データで形成した仮想的な鋼板上に載置し、上記木型若しくは鋼板を所定の基準位置から上記鋼板の断面を含む面内でフレームライン等、鋼板上の特定のラインに沿って転動し、木型と鋼板とが2点で接触した場合の鋼板側の接点をA、Bとするとともに木型側の接点をC、Dとし、その後木型若しくは鋼板を逆方向に転動して上記基準位置に戻し、このようにして基準位置に戻した状態で上記接点A、Bを結ぶ直線Uと上記接点C、Dを結ぶ直線Vとを求め、両直線U、Vの交点に基づき加熱点の三次元座標を算出するとともにこのときの直線U、Vの交差角度に基づきこの加熱点における鋼板の曲げ角度も併せて算出する加熱点決定手段を有すること。
【0014】
6) 上記4)又は5)に記載する鋼板曲げ加工における加熱点の決定装置において、
或る基準点に対する加熱点、又は加熱点及び曲げ角度を求めた後、この加熱点の決定の際に用いた基準点側の接点A、Cを接触させた状態で新たな基準点として同様の処理を繰り返し、特定のラインに沿って鋼板の端に至る迄の各加熱点、又は各加熱点及び各曲げ角度を算出すること。
【0015】
7) 上記3)に記載する方法により決定した加熱点に基づき或るライン上の或る加熱点を起点として他のライン上の加熱点に対して直線を引き、この直線と鋼板の一次曲げ加工の際のローラ線との平行度を調べ、この平行度が所定範囲に収まっている場合に同一グループの加熱点として各ライン上の各加熱点のグループ分けを行い、各グループ毎の各加熱点間を直線又は曲線で結んで加熱線を決定すること。
【0016】
8) 上記3)に記載する方法により決定した加熱点に基づき或るライン上の或る加熱点を起点として他のライン上の加熱点に対して直線を引き、この直線と鋼板の一次曲げ加工の際のローラ線との平行度を調べ、この平行度が所定範囲に収まっている場合に同一グループの加熱点として各ライン上の各加熱点のグループ分けを行い、各グループ毎の各加熱点間を直線又は曲線で結んで加熱線を決定するとともに各加熱点における鋼板の曲げ角度に基づきこの加熱点における加熱量をデータとして付与するようにしたこと。
【0017】
9) 上記3)に記載する方法により決定した加熱点に基づき或るライン上の或る加熱点を起点として他のライン上の加熱点に対して直線を引き、この直線と鋼板の一次曲げ加工の際のローラ線との平行度を調べ、この平行度が所定範囲に収まっている場合であって、且つ加熱点における鋼板の曲げ角度に基づき決定される加熱点における加熱量が等しい場合に同一グループの加熱点として各ライン上の各加熱点のグループ分けを行い、各グループ毎の各加熱点間を直線又は曲線で結んで加熱線を決定すること。
【0018】
10) 上記6)に記載する加熱点決定装置により算出した加熱点に関するデータを読み込み、各加熱点のデータに基づき或るライン上の或る加熱点を起点として他のライン上の加熱点に対して直線を引き、この直線と鋼板の一次曲げ加工の際のローラ線との平行度を調べ、この平行度が所定範囲に収まっている場合に同一グループの加熱点として各ライン上の各加熱点のグループ分けを行い、各グループ毎の各加熱点間を直線又は曲線で結んで加熱線を算出する加熱線決定手段を有することを特徴とする鋼板曲げ加工における加熱線の決定装置。
【0019】
11) 上記6)に記載する加熱点決定装置により算出した加熱点及び曲げ角度に関するデータを読み込み、各加熱点のデータに基づき或るライン上の或る加熱点を起点として他のライン上の加熱点に対して直線を引き、この直線と鋼板の一次曲げ加工の際のローラ線との平行度を調べ、この平行度が所定範囲に収まっている場合に同一グループの加熱点として各ライン上の各加熱点のグループ分けを行い、各グループ毎の各加熱点間を直線又は曲線で結んで加熱線を算出するとともに各加熱点における鋼板の曲げ角度のデータに基づき各加熱点における加熱量を算出する加熱線決定手段を有すること。
【0020】
12) 上記6)に記載する加熱線決定装置により算出した加熱点及び曲げ角度に関するデータを読み込み、各加熱点及び曲げ角度のデータに基づき或るライン上の或る加熱点を起点として他のライン上の加熱点に対して直線を引き、この直線と鋼板の一次曲げ加工の際のローラ線との平行度を調べ、この平行度が所定範囲に収まっている場合であって、且つ加熱点における鋼板の曲げ角度に基づき決定される加熱点における加熱量が等しい場合に同一グループの加熱点として各ライン上の各加熱点のグループ分けを行い、各グループ毎の各加熱点間を直線又は曲線で結んで加熱線を算出する加熱線決定手段を有すること。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0022】
図1は本発明の実施の形態に係る鋼板曲げ加工における加熱点及び加熱線の決定装置を示すブロック線図である。同図に示すように、加熱点決定手段11は目標形状データ12及び鋼板計測データ13を読み込んで所定の処理(後に詳述する)を行うことにより鋼板2(図12等参照;以下同じ。)上の加熱点を決定する。ここで、目標形状データ12はCADデータ等の設計データで三次元座標データとして与えられ、また鋼板形状実測データ13は鋼板2の表面形状をレーザー計測等により実測した三次元座標データとして与えられる。加熱線決定手段14は加熱点決定手段11で決定した加熱点の情報に基づいて所定の処理(後に詳述する)を行うことにより鋼板2上の加熱線3(図14参照;以下同じ。)を決定する。加熱線決定手段14で決定した加熱線3は三次元座標の点列データとして出力装置15に送出される。かくして、出力装置15を介して加熱線3の情報が三次元座標の点列データとして得られる。したがって、この加熱線3の点列データに基づいて鋼板2の加熱手段、例えば高周波加熱コイルの位置を制御すれば当該鋼板曲げ加工の自動化を実現し得る。また、出力装置15を介して与えられる点列データに基づき鋼板2に加熱線3をマークするマーキング装置の位置を制御するように構成すれば加熱線3を鋼板2上に自動的にマークすることができる。表示装置16は当該加熱点及び加熱線の決定装置の各種の処理に伴う情報を可視化するとともに、処理に必要な情報の外部入力装置としても機能する。
【0023】
図2は加熱点決定手段11で行う処理の一例を説明するための説明図である。図2中、1’は説明のための仮想的な木型、2’は同様の仮想的な鋼板である。ここで、「仮想的」とは、現実のものとして存在するのではなく、電子的なデータとして或いはこれを表示装置16に可視可して表した図形として存在するものをいう。また、本例の処理は、従来作業者が行っているのと同様に木型2’を転動させつつ鋼板1’との接点を確認して加熱点を決定するものである。そこで、これを「接点確認法」と呼称する。
【0024】
図2(a)に示すように、この場合の曲げ加工の対象となる鋼板2’は一次曲げ加工が施された曲面形状のものであることが前提となっており、かかる鋼板2’はミクロに観察すると滑らかに変化する曲面形状を有するのではなく、或る線の部分で折曲された平面の集合であると考えられる。例えば、図2(a)に示すように、板幅方向における中心線であるMラインより一定の範囲で平面となっており、或る位置イで、10°の角度を持つように折曲されている。これに対し木型1’が有する目標形状が図2(a)のように与えられる。そこで、先ず木型1’を図2(a)に示す初期位置からフレームラインに沿って転動させ、図2(b)に示すように、木型1’を鋼板2’に接触させる。このときの鋼板2’上の接点をA、Bとし、木型2’上の接点をC、Dとする。次に、木型1’を反対方向に転動させ、図2(c)に示すように、元の初期状態(図2(a)に示す状態)に戻す。
【0025】
このように木型1’を初期状態に戻した状態で接点A、Bを結ぶ直線Uと接点C、Dを結ぶ直線Vを求め、両者の交点P及び交差する角度θを求める。この交点Pに基づき加熱点を決定するとともに、角度θ(図2の場合は3°)を加熱点における折曲角とする。実際には、交点Pを図2(d)中垂直上方向に延長した位置を加熱位置とする。この加熱位置を加熱して角度θだけ折り曲げた場合を図2(e)に示す。同図に示すように、このときの加熱により鋼板2’の接点Bが木型1’の接点Dに接触してその分鋼板2’の形状が目標形状(木型1’の形状)に近づいている。なお、厳密にいえば交点Pとこれに基づく加熱位置との間にはズレがある(垂直方向の位置であるZ軸に関する座標が異なる)が、当該曲げ加工においては交点Pから接点B、Dに至る直線U、Vの長さが角度θに対し十分長いので、交点Pとこれに基づく加熱位置とは同一位置と見做して処理しても実用的には何の支障もない。
【0026】
次に、木型1’をその接点Cが接点Aに接した状態を前述の初期位置に対応する基準位置として同様の操作(図2(b)〜図2(d)に示す操作)を行い、加熱点及び当該加熱点における曲げ角度θを決定する。この操作を繰り返し、鋼板2’の端まで木型1’を転動させて、逐次加熱点及び当該加熱点における曲げ角度θを決定する。
【0027】
図3は加熱点決定手段11により加熱点を決定しているときの表示装置16の表示画面を概念的に示す説明図である。同図(a)が初期位置、(b)が木型1’を1回転動させた場合及び(c)が木型1’を2回転動させた場合である。
【0028】
図4は本実施の形態に係る加工対象である鋼板2の板取りの関係を概念的に示す説明図である。同図に示すように、本実施の形態では半径Rの円筒面の一部を図のように取り出した仮想的な鋼板2’を考える。この円筒面を折り曲げによって近似的に形成するには円筒の中心軸に沿って断面が多角形になるように折り曲げれば良い。すなわち、目標形状を大まかに円筒面と見做したときの中心軸の方向を示すものとしてローラー基準線16’が定義される。図4に示す場合は、板幅方向における中心線であるMラインがローラー基準線16’に対して交差している場合である。ローラー基準線16’とMラインとは、常にこのような関係にあるとは限らない。例えば船殻の外板の一部を形成するものであるため、当然ローラー基準線16’とMラインとが一致する場合もある。
【0029】
図5は加熱線決定手段14で行う処理の一例を説明するための説明図である。この場合の加熱線の決定は、加熱点決定手段11で決定した加熱点同士を仮想的な直線で結び、この直線と仮想的な鋼板2’上に引いた仮想的なローラー線16”との平行度を調べ、所定の平行度を有するもの同士を同一のグループとしてグループ分けするものであり、ローラー線16”を基準に図中上側と下側とに分けてグループ分けを行っている。なお、図5中、F1 〜F7 は仮想的なフレームラインであり、その符号Fに付したサフィックスがこの場合のフレームライン番号である。また、各フレームラインF1 〜F7 に短く直角に付した多数の点が加熱点である。
【0030】
図5(a)に示すように、先ず起点1を決めこの起点1から各フレームラインF1 〜F7 上の加熱点に向けて仮想的な直線(図5中に点線で示す。)を引く。ここで、起点はフレームライン番号が若い方で、且つローラー線16”に近い方から順にとる。
【0031】
次に、上述の如く起点1から各フレームラインF1 〜F7 上の加熱点に向けて引いた仮想的な直線のローラー線16”に対する平行度を調べる。この結果、平行若しくは交差角が所定角度以下である場合に同一グループの加熱点としてグループ分けを行う。図5(a)は起点1を基準とするこの場合の平行度に関する条件を満足する同一グループの加熱点がフレームラインF3 、F4 に存在したことを表している。起点1を基準とするグループ分けが終了した場合には、図5(b)に示すように、同様の手順で起点2を基準とするグループ分けを行う。図5(b)は起点1を基準とするグループ1に属する加熱点が確定し、起点2を基準とする加熱点の確認作業中であることを表している。このとき、既にグループ分けされた加熱点については起点の対象にも、グループ分けの対象にもしない。このようにしてローラー線16”よりも下側の加熱点のグループ分けを行ない、グループ分けが完了した後、図5(c)に示すように、各グループ毎に加熱点列から直線(若しくは曲線)を求めこれを仮想的な加熱線3’とする。加熱線3’は、これが直線の場合には最小二乗法等により、また曲線の場合にはスプライン補間等により求める。
【0032】
図6は接点確認法により加熱点を求める場合の加熱点決定手段11における具体的な手順(実施例)を示すフローチャートである。本実施例ではフレームライン上で加熱点を求めているが、勿論これに限定するものではない。ただ、フレームラインは骨材を取り付ける位置に対応するラインであるため、その位置データが設計データとして用意されており、これを流用することができるという利点はある。図6に基づき当該手順を説明する。
【0033】
1) CADデータ等の設計データを読み込むことにより鋼板の目標形状を三次元データとして入力する(ステップS1 参照)。
【0034】
2) 加工対象である鋼板の形状を実測してその三次元座標データを得る(ステップS2 参照)。これはレーザ計測又はカメラにより撮影した画像の画像処理等、既存のいずれかの計測方法により容易に実施し得る。
【0035】
3) 各フレームラインについてステップS4 からステップS14の処理を行う((ステップS3 参照)。ここで、ステップS3 のブロックに記載するように「・・・のループ」とは、当該ステップ(この場合にはステップS3 )より後の処理を一つのループと考えて当該ループに属する処理を、例えば本例の場合の如く、各フレームライン毎に順次繰り返すことを意味する(以下同じ。)。ステップS3 では、先ずフレームライン番号iを「1」として次のステップS4 の処理に移行する。また、「FLMAX」とは最大のフレームライン番号とする(以下同じ。)。
【0036】
4) 最初は加熱点が存在しないので、加熱点番号の初期値としてj=0を設定する(ステップS4 参照)。
【0037】
5) 目標形状の位置、姿勢を記録する(ステップS5 参照)。具体的には、例えば目標形状の基準点(フレームラインの目標形状を示す曲線と見通し線の交点、すなわち仮想木型のMラインを示す点)の座標と、見通し線の傾き(水平線又は垂線を基準にした傾き角度)を記録する。このときの状態は、従来の木型を用いる作業において、作業者が木型の目標形状に沿う部分の中点を鋼板のMライン上に置き、見通し線を垂直に保持した初期状態に対応する。
【0038】
6) 目標形状を鋼板に沿って回動し(ステップS6 参照)、これが鋼板の端に達するまで繰り返す(ステップS7 参照)とともに、その転動の途中において2点で接したことが検出された場合(ステップS8 参照)には、前述の「接点確認法の原理」において説明した通りの処理を行い交点Pの座標及び角度θを算出する(ステップS9 、ステップS10、ステップS11及びステップS12参照)。
【0039】
7) 加熱点番号に「1」を加算し、特定のフレームラインにおける各加熱点のデータを作成する(ステップS13及びステップS14参照)。このときの加熱点のデータは各フレームライン番号及び各加熱点番号を特定した三次元座標及び角度データとして与えられる。
【0040】
8) ステップS7 の判定処理において端に達したことが検出された場合には、このときのフレームライン番号が当該加熱点決定処理を行うフレームラインの数の最大値(FLMAX)よりも大きいか否かを判定し、フレームライン番号i<FLMAXの場合には次の番号のフレームラインについてステップS4 〜ステップS14の処理を繰り返す。ここで、ステップS4 に戻る毎にフレームライン番号iに「1」が加算される。この結果、フレームライン番号i≧FLMAXの場合には、全てのフレームラインについて所定の加熱点を求める処理が終了したことを意味するので、当該加熱点決定処理を終了する(ステップS15及びステップS16参照)。
【0041】
9) ステップS8 の処理で2点で接したことが検出されない場合には、ステップS5 の処理に戻りステップS5 〜ステップS7 の処理を繰り返す。すなわち、一回の処理で一定角度、目標形状を回動し、2点での接触が検出されるまでステップS5 〜ステップS7 の処理を繰り返す。したがって、加熱点を求めるフレームラインに沿う鋼板の形状が平面である場合には接点が求まることなくステップS7 の処理で端に達したことが検出され、当該フレームラインに関しては加熱点が存在しないものとして次のフレームラインの処理に移行する。全部のフレームラインに関して2点での接触が検出されない場合、すなわち鋼板の全体が平面の場合には当該「接点確認法」により加熱点を求めることはできない。したがって、本方法による加熱点決定の対象となる鋼板は、ベンディングロール等により一次曲げ加工がなされていることが条件となる。
【0042】
なお、上記ステップS6 の処理では目標形状を鋼板に沿って回動したが、これは鋼板を目標形状に沿って回動しても同様である。要するに、両者の接点が得られるように一方を他方に対して相対的に回動させれば良い。また、上述の如く加熱点を求める目的は必要な形状変化を与えるための加熱位置と加熱強度(鋼板に与える熱量)を得ることである。加熱強度と角度θとの間には、所定の関連性があり、これは実験的に求めることができる。したがって、角度θが判明した時点で加熱強度を求めることができる(勿論、角度θがデータとして記録されていれば、後で必要なときに変換することが可能である。)。そこで、加熱点を求める処理とは直接的な関連はないが、ステップS14において、角度θに関するデータとともに角度θに対する加熱強度を求めておいても良い。
【0043】
図7〜図10は求めた加熱点に基づいて加熱線を求める場合の加熱線決定手段14における具体的な手順(実施例)を示すフローチャートである。これらの図に基づき当該手順を説明する。
【0044】
図7に示すように次の様な処理を行う。
1) 加熱点のデータを入力する(ステップS21参照)。具体的には、図6のステップS14で求めた各フレームラインにおける各加熱点の三次元座標及
び角度データを入力する。
【0045】
2) 最初は所定のグループができていないので、グループ番号gの初期値としてg=0を設定する(ステップS22参照)。
【0046】
3) 各フレームラインについてステップS24〜ステップS54の処理を行う(ステップS23参照)。
【0047】
4) フレームライン番号iの上側加熱点数HPU(i)>0であるか否かを判定する(ステップS24)。ここで「上側加熱点数HPU」とは、ローラー線16”を基準に上下を決定した場合の上側の加熱点の数を意味し、例えば各フレームラインとローラー線16”との交点よりもY座標が大きい方を上とする。したがって、上側の加熱点が存在する場合にはHPU(i)>0となり、この場合にステップS25の処理に移行する。
【0048】
5) フレームライン番号i上の各上側加熱点についてステップS26〜ステップS38の処理を行う(ステップS25参照)。すなわち加熱点番号j=1〜HPU(i)の各加熱点に対して同様の処理を行ってグループ分けをする。
【0049】
6) グループ分けが済んでいるか否かを判定する(ステップS26参照)。具体的には当該判定の対象となっている加熱点にグループ番号gが付されているか否かを判定する。
【0050】
7) ステップS26の判定の結果、判定の対象となっている加熱点がグループ分けされていない場合にはグループ番号gに「1」を加える(ステップS27参照)。グループ番号gの初期値は「0」であるので、最初のフレームラインに関する最初の加熱点に対する処理でグループ番号g=1が付与される。
【0051】
8) 処理の対象となっている加熱点にステップS27で付与したグループ番号gを付与する(ステップS28参照)。
【0052】
9) グループに所属する加熱点数を「1」とする(ステップS29参照)。
【0053】
10) 上記ステップS27〜ステップS29の処理により起点を決定する。
【0054】
11) フレームライン番号iより後方の各フレームラインについてステップS31〜ステップS37の処理を行う(ステップS30参照)。このときのフレームライン番号をk=(i+1)〜FLMAXとする。
【0055】
12) フレームライン番号kの各上側加熱点についてステップS32〜ステップS36の処理を行う(ステップS31参照)。
【0056】
13) フレームライン番号kのフレームライン上の特定の加熱点のグループ分けが済んでいるか否かを判定する(ステップS32参照)。具体的には当該判定の対象となっている加熱点にグループ番号gが付されているか否かを判定する。
【0057】
14) ステップS32の判定の結果、判定の対象となっている加熱点がグループ分けされていない場合には、起点から見てローラー線16”と平行な位置にあるか否かを判定する(ステップS33参照)。一例として起点となる加熱点と当該判定の対象となっている加熱点とを直線で結び、この直線のローラー線16”に対する角度を検出し、この角度が所定値よりも小さい場合には平行な位置にあると判定する。他にも前記直線の両端におけるローラー線16”との間の距離を計測し、これが一定の範囲に収まっているか否かを検出するようにしても同様の判定を行うことができる。
【0058】
15) ステップS33の判定の結果、判定の対象となっている加熱点がローラー線16”と平行な位置にあると判定された場合には、その起点の加熱点と同様のグループ番号gを付与する(ステップS34参照)。
【0059】
16) ステップS34で付与したグループ番号gに所属する加熱点数に「1」を加算する(ステップS35参照)。
【0060】
17) ステップS35の処理が終了した場合、ステップS32の処理で判定の対象となった加熱点のグループ分けが済んでいた場合又はステップS33の処理で所定の平行度を有していないことが検出された場合には、フレームライン番号kに属するものとして当該判定の対象となっている加熱点の加熱点番号lがその最大値HPU(k)よりも大きくなるまでステップS32〜ステップS35の処理を繰り返す(ステップS36参照)。ここで、ステップS36からステップS32に戻る毎に加熱点番号に「1」が加算される。かくして特定のフレームライン上の加熱点のグループ分けが行われる。
【0061】
18) ステップS36の処理でフレームライン番号kのフレームライン上の全ての上側加熱点のグループ分けが終了したことが検出された場合には、上述のステップS31〜ステップS36の処理を、フレームライン番号kがその最大値FLMAXよりも大きくなるまで繰り返す(ステップS37参照)。ここで、ステップS37からステップS31に戻る毎にフレーム番号kに「1」が加算される。かくしてフレームライン番号がi以降の全フレームラインに関する上側加熱点のグループ分けが行われる。
【0062】
19) ステップS26の処理でフレームライン番号iのフレームライン上の判定の対象となっている加熱点のグループ分けが済んでいた場合又はステップS37の処理でフレームライン番号がi以降の全フレームラインに関する上側加熱点のグループ分けが終了していることが検出された場合には、フレームライン番号iに属するものとして当該判定の対象となっている加熱点の加熱点番号jがその最大値HPU(i)よりも大きくなるまでステップS26〜ステップS38の処理を繰り返す(ステップS38参照)。ここで、ステップS38からステップS26に戻る毎に加熱点番号に「1」が加算される。かくしてフレームライン番号i上の上側加熱点に対するグループ分けが行われる。
【0063】
図8に示すにように次の様な処理を行う。
20) ステップS24の処理でフレームライン番号iのフレームラインについて上側加熱点が存在しないことが検出された場合又はステップS38の処理で起点が属するフレームラインの全部の上側加熱点についてグループ分けが終了したことが検出された場合には、各フレームライン上の下側加熱点について全く同様の手順で加熱点のグループ分けを行う。すなわち、ステップS24〜ステップS38の各処理に対応するステップS39〜ステップS53の処理を下側加熱点に対して行う。ステップS39で「下側加熱点数HPL」とは、ローラー線16”を基準に上下を決定した場合の上側加熱点と逆の関係にある加熱点である。すなわちローラー線16”よりも下側の加熱点の数を意味し、例えば各フレームラインとローラー線16”との交点よりもY座標が小さい方を下とする。
【0064】
21) ステップS39の処理でフレームライン番号iのフレームラインについて下側加熱点が存在しないことが検出された場合又はステップS53の処理で起点が属するフレームラインの全部の下側加熱点についてグループ分けが終了したことが検出された場合には、フレームライン番号がFLMAXより大きいか否かを判定し、小さい場合には各フレームラインに関してステップS24〜ステップS53の処理を繰り返し、全フレームラインに関して当該処理が終了した場合、すなわち全フレームラインに属する全加熱点のグループ分けが完了した場合に次の処理に移る(ステップS54参照)。
【0065】
図9に示すように次の様な処理を行う。
22) グループ分けされた各加熱点グループについて、各グループ毎に、加熱点を順に直線で結んだり、加熱点の座標値より最小二乗法やスプライン補間等で直線又は曲線を算出して加熱線を導出する(ステップS55及びステップS56参照)。なお、ステップS55において「GNO」とはグループ数の最大値である。
【0066】
23) グループ番号≧GNO の関係になったことを検出した場合、すなわち全てのグループに関して加熱線3が求まったことを検出した場合に全体の処理を終了する(ステップS57及びステップS58参照)。
【0067】
図10は、図9に示す処理の際に各加熱点の加熱強度(折曲角度θにより決定される。)を加味し、この加熱強度の情報も加熱線の情報中に入れ込んだ実施例である。同図に示すように、本実施例ではステップS56の次の処理で、求めた加熱線に対して加熱強度分布を算出している(ステップS59参照)。この場合の加熱強度は加熱点における折曲角度θに基づいて別途直接与えられているか、又は加熱点における折曲角度θの情報に基づいて導出する。
【0068】
本実施例によれば各加熱線3上の各加熱点を最も適切な熱量で加熱することができる。これは、例えば高周波加熱による曲げ加工の場合は高周波コイルに供給する電流を制御して鋼板2に対する入熱量を制御することにより容易に実現される。
【0069】
図11は、図7及び図8に示す処理の際に、各加熱点の加熱強度(折曲角度θにより決定される。)を加味し、この加熱強度もグループ分けの際の条件として取り込んだ実施例である。同図に示すように、本実施例ではステップS33若しくはステップS48の次の処理で、起点と同じ加熱強度(所定の許容範囲にあるものも含む。)であるか否かを判定するようになっている(ステップS60参照)。そして、この判定の結果同じ加熱強度でない場合には、当該グループから外すように処理する。換言すれば、同じ加熱強度であることを条件として起点と同じグループ番号が付与される。
【0070】
本実施例によれば各加熱線3上の各加熱点を同一熱量で加熱することができる。このことにより、例えば高周波加熱による曲げ加工の場合は、1つの加熱線3に対しては高周波コイルに供給する電流を一定に保持することにより最も適切な鋼板に対する入熱量とすることができる。
【0071】
なお、上述の実施の形態において、「仮想的」とは、現実のものとして存在するのではなく、電子的なデータとして或いはこれを表示装置16に可視化して表した図形として存在するものをいうと定義したが、本願発明に係る技術思想においてはかかる限定を付す必要はない。現実のものとして存在する木型及び鋼板でなければ、例えば作業者が作図により作成する木型及び鋼板も、ここにいう、「仮想的」なる概念に含まれる。
【0072】
【発明の効果】
以上実施の形態とともに詳細に説明した通り、〔請求項1〕に記載する発明によれば、加工対象である鋼板の表面形状の目標形状に対するズレを両者の接点に基づく幾何学問題として解決することができるので、熟練を要することなく何人でも容易に適切な加熱線を決定することができる。〔請求項2〕に記載する発明によれば、加熱線のみならず折曲げ角度(加熱量)も同時に決定することができる。〔請求項3〕に記載する発明によれば、鋼板の特定のライン上の全ての加熱点を決定することができる。〔請求項4〕乃至〔請求項6〕に記載する発明によれば加熱点、又は加熱点及び曲げ角度を自動的に決定することかできる。
【0073】
〔請求項7〕に記載する発明によれば、何人でも容易に適切な加熱線を決定することができる。〔請求項8〕に記載する発明によれば、適切な加熱線とともに当該加熱線上の加熱量が異なる場合でも、この加熱量の変化を考慮した加熱線のデータを作成し得る。〔請求項9〕に記載する発明によれば、1つの加熱線上の加熱量が同じになるようにグループ分けされているので、加熱作業の作業性の高効率化を達成し得る加熱線を容易に提供し得る。〔請求項10〕乃至〔請求項11〕に記載する発明によれば、適切な加熱線を自動的に作成することができる。この加熱線のデータに基づき、例えば高周波加熱装置等の加熱手段の位置を制御することにより所定の鋼板の自動的な曲げ加工を行うことができる。
【0074】
図12は本願発明により求めた加熱線に沿って鋼板を加熱したときの、加熱前後における鋼板形状を等高線表示したものである。図12(a)が加熱前の等高線表示で、鋼板形状と目標形状の差を色の違いによって表示したものである。中央部の青色部分が目標形状との差が5mm、また鋼板端部の赤色部分が50mmと中央部から端部に行くにしたがって目標形状に対するズレが大きくなっていることを示している。これに対し、図12(b)が本願発明の加熱線に沿って鋼板を加熱したときの表示で、同図を参照すれば青色部分が多くなり、目標形状に顕著に近づいていることが分かる。すなわち、従来技術に係る木型を用いることなく十分有用な加熱線を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る鋼板曲げ加工における加熱点及び加熱線の決定装置を示すブロック線図。
【図2】図1の加熱点決定手段11で行う処理の一例を説明するための説明図。
【図3】図1の加熱点決定手段11で行う処理に伴う表示装置16の表示例を示す説明図。
【図4】本実施の形態に係る加工対象である鋼板2の板取りの関係を概念的に示す説明図。
【図5】図1の加熱線決定手段14で行う処理の一例を説明するための説明図。
【図6】加熱点決定のための実施例を示すフローチャート。
【図7】加熱線決定のための第1の実施例を示すフローチャート(その1)。
【図8】加熱線決定のための第1の実施例を示すフローチャート(その2)。
【図9】加熱線決定のための第1の実施例を示すフローチャート(その3)。
【図10】加熱線決定のための第2の実施例の一部を示すフローチャート。
【図11】加熱線決定のための第3の実施例の一部を示すフローチャート。
【図12】本願発明の効果を確認するための実験結果を示すため鋼板の形状を等高線表示した模式図。
【図13】船殻の外板となる鋼板の曲げ加工方法に係る従来技術を概念的に示す説明図。
【図14】従来技術に係る鋼板の曲げ加工に用いる木型を鋼板に設置した状態で示す正面図。
【図15】従来技術において決定し加熱線を鋼板に付した状態を示す斜視図。
【符号の説明】
11 加熱点決定手段
12 目標形状データ
13 鋼板形状計測データ
14 加熱線決定手段
16” ローラー線
A,B,C,D 接点
P 交点
U,V 直線
F1 〜F7 フレームライン
θ 折曲げ角度
Claims (12)
- 曲げ加工に伴う鋼板の目標形状である目標形状データで形成した仮想的な木型を、鋼板の表面形状を実測して得る鋼板形状実測データで形成した仮想的な鋼板上に載置し、上記木型若しくは鋼板を所定の基準位置から上記鋼板の断面を含む面内でフレームライン等、鋼板上の特定のラインに沿って転動し、木型と鋼板とが2点で接触した場合の鋼板側の接点をA、Bとするとともに木型側の接点をC、Dとし、その後木型若しくは鋼板を逆方向に転動して上記基準位置に戻し、このようにして基準位置に戻した状態で上記接点A、Bを結ぶ直線Uと上記接点C、Dを結ぶ直線Vとを求め、両直線U、Vの交点に基づき加熱点を決定することを特徴とする鋼板曲げ加工における加熱点の決定方法。
- 曲げ加工に伴う鋼板の目標形状である目標形状データで形成した仮想的な木型を、鋼板の表面形状を実測して得る鋼板形状実測データで形成した仮想的な鋼板上に載置し、上記木型若しくは鋼板を所定の基準位置から上記鋼板の断面を含む面内でフレームライン等、鋼板上の特定のラインに沿って転動し、木型と鋼板とが2点で接触した場合の鋼板側の接点をA、Bとするとともに木型側の接点をC、Dとし、その後木型若しくは鋼板を逆方向に転動して上記基準位置に戻し、このようにして基準位置に戻した状態で上記接点A、Bを結ぶ直線Uと上記接点C、Dを結ぶ直線Vとを求め、両直線U、Vの交点に基づき加熱点を決定するとともにこのときの直線U、Vの交差角度に基づきこの加熱点における鋼板の曲げ角度を決定することを特徴とする鋼板曲げ加工における加熱点の決定方法。
- 〔請求項1〕又は〔請求項2〕に記載する鋼板曲げ加工における加熱点の決定方法において、
或る基準点に対する加熱点、又は加熱点及び曲げ角度を求めた後、この加熱点の決定の際に用いた基準点側の接点A、Cを接触させた状態で新たな基準点として同様の操作を繰り返し、特定のラインに沿って鋼板の端に至る迄の各加熱点、又は各加熱点及び各曲げ角度を決定することを特徴とする鋼板曲げ加工における加熱点の決定方法。 - 曲げ加工に伴う鋼板の目標形状である目標形状データと鋼板の表面形状を実測して得る鋼板形状実測データとを読み込み、目標形状データで形成した仮想的な木型を、鋼板形状実測データで形成した仮想的な鋼板上に載置し、上記木型若しくは鋼板を所定の基準位置から上記鋼板の断面を含む面内でフレームライン等、鋼板上の特定のラインに沿って転動し、木型と鋼板とが2点で接触した場合の鋼板側の接点をA、Bとするとともに木型側の接点をC、Dとし、その後木型若しくは鋼板を逆方向に転動して上記基準位置に戻し、このようにして基準位置に戻した状態で上記接点A、Bを結ぶ直線Uと上記接点C、Dを結ぶ直線Vとを求め、両直線U、Vの交点に基づき加熱点の三次元座標を算出する加熱点決定手段を有することを特徴とする鋼板曲げ加工における加熱点の決定装置。
- 曲げ加工に伴う鋼板の目標形状である目標形状データと鋼板の表面形状を実測して得る鋼板形状実測データとを読み込み、目標形状データで形成した仮想的な木型を、鋼板形状実測データで形成した仮想的な鋼板上に載置し、上記木型若しくは鋼板を所定の基準位置から上記鋼板の断面を含む面内でフレームライン等、鋼板上の特定のラインに沿って転動し、木型と鋼板とが2点で接触した場合の鋼板側の接点をA、Bとするとともに木型側の接点をC、Dとし、その後木型若しくは鋼板を逆方向に転動して上記基準位置に戻し、このようにして基準位置に戻した状態で上記接点A、Bを結ぶ直線Uと上記接点C、Dを結ぶ直線Vとを求め、両直線U、Vの交点に基づき加熱点の三次元座標を算出するとともにこのときの直線U、Vの交差角度に基づきこの加熱点における鋼板の曲げ角度も併せて算出する加熱点決定手段を有することを特徴とする鋼板曲げ加工における加熱点の決定装置。
- 〔請求項4〕又は〔請求項5〕に記載する鋼板曲げ加工における加熱点の決定装置において、
或る基準点に対する加熱点、又は加熱点及び曲げ角度を求めた後、この加熱点の決定の際に用いた基準点側の接点A、Cを接触させた状態で新たな基準点として同様の処理を繰り返し、特定のラインに沿って鋼板の端に至る迄の各加熱点、又は各加熱点及び各曲げ角度を算出することを特徴とする鋼板曲げ加工における加熱点の決定装置。 - 〔請求項3〕に記載する方法により決定した加熱点に基づき或るライン上の或る加熱点を起点として他のライン上の加熱点に対して直線を引き、この直線と鋼板の一次曲げ加工の際のローラ線との平行度を調べ、この平行度が所定範囲に収まっている場合に同一グループの加熱点として各ライン上の各加熱点のグループ分けを行い、各グループ毎の各加熱点間を直線又は曲線で結んで加熱線を決定することを特徴とする鋼板曲げ加工における加熱線の決定方法。
- 〔請求項3〕に記載する方法により決定した加熱点に基づき或るライン上の或る加熱点を起点として他のライン上の加熱点に対して直線を引き、この直線と鋼板の一次曲げ加工の際のローラ線との平行度を調べ、この平行度が所定範囲に収まっている場合に同一グループの加熱点として各ライン上の各加熱点のグループ分けを行い、各グループ毎の各加熱点間を直線又は曲線で結んで加熱線を決定するとともに各加熱点における鋼板の曲げ角度に基づきこの加熱点における加熱量をデータとして付与するようにしたことを特徴とする鋼板曲げ加工における加熱線の決定方法。
- 〔請求項3〕に記載する方法により決定した加熱点に基づき或るライン上の或る加熱点を起点として他のライン上の加熱点に対して直線を引き、この直線と鋼板の一次曲げ加工の際のローラ線との平行度を調べ、この平行度が所定範囲に収まっている場合であって、且つ加熱点における鋼板の曲げ角度に基づき決定される加熱点における加熱量が等しい場合に同一グループの加熱点として各ライン上の各加熱点のグループ分けを行い、各グループ毎の各加熱点間を直線又は曲線で結んで加熱線を決定することを特徴とする鋼板曲げ加工における加熱線の決定方法。
- 〔請求項6〕に記載する加熱点決定装置により算出した加熱点に関するデータを読み込み、各加熱点のデータに基づき或るライン上の或る加熱点を起点として他のライン上の加熱点に対して直線を引き、この直線と鋼板の一次曲げ加工の際のローラ線との平行度を調べ、この平行度が所定範囲に収まっている場合に同一グループの加熱点として各ライン上の各加熱点のグループ分けを行い、各グループ毎の各加熱点間を直線又は曲線で結んで加熱線を算出する加熱線決定手段を有することを特徴とする鋼板曲げ加工における加熱線の決定装置。
- 〔請求項6〕に記載する加熱点決定装置により算出した加熱点及び曲げ角度に関するデータを読み込み、各加熱点のデータに基づき或るライン上の或る加熱点を起点として他のライン上の加熱点に対して直線を引き、この直線と鋼板の一次曲げ加工の際のローラ線との平行度を調べ、この平行度が所定範囲に収まっている場合に同一グループの加熱点として各ライン上の各加熱点のグループ分けを行い、各グループ毎の各加熱点間を直線又は曲線で結んで加熱線を算出するとともに各加熱点における鋼板の曲げ角度のデータに基づき各加熱点における加熱量を算出する加熱線決定手段を有することを特徴とする鋼板曲げ加工における加熱線の決定装置。
- 〔請求項6〕に記載する加熱線決定装置により算出した加熱点及び曲げ角度に関するデータを読み込み、各加熱点及び曲げ角度のデータに基づき或るライン上の或る加熱点を起点として他のライン上の加熱点に対して直線を引き、この直線と鋼板の一次曲げ加工の際のローラ線との平行度を調べ、この平行度が所定範囲に収まっている場合であって、且つ加熱点における鋼板の曲げ角度に基づき決定される加熱点における加熱量が等しい場合に同一グループの加熱点として各ライン上の各加熱点のグループ分けを行い、各グループ毎の各加熱点間を直線又は曲線で結んで加熱線を算出する加熱線決定手段を有することを特徴とする鋼板曲げ加工における加熱線の決定装置。
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DK01112142T DK1129798T3 (da) | 1997-09-24 | 1998-09-24 | Automatisk pladebukningssystem, der anvender höjfrekvensinduktionsopvarmning |
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