JP3727483B2 - 内燃機関の絞弁制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、アクセルペダルの操作量に応じたモータの回転を、太陽歯車と内歯タイプのリングギヤとこれらの歯車に噛合う遊星歯車とからなる歯車機構により、内燃機関への吸入空気量を調整する絞弁の弁軸に伝達する内燃機関の絞弁制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図16〜図19は、本出願人が出願し、未公開な従来例であって、図16は内燃機関の絞弁制御装置を一部切欠して示す側面図、図17は図16のD−D線断面図、図18は弁ハウジングを示す正面図、図19はリングギヤを示す正面図である。図16において、1は内燃機関、2は絞弁、3は絞弁2の弁ハウジング、4は弁ハウジング3の吸気通路、5は吸気通路4を横切りつつ弁ハウジング3に回転可能に装着された弁軸、6は弁軸5に取り付けられた弁体、7は吸気通路4を内燃機関1の図外の吸気孔に接続する吸気マニホールドのような吸気管、8は絞弁2に隣接配置されたDCブラシレスモータのようなモータ、9はモータ8のモータハウジング、10はモータハウジング9に内蔵されたステータ、11はステータ10と対を構成するロータ、12はロータ11が取り付けられた出力軸、13は出力軸12の一端をモータハウジング9に回転可能に支持したベアリング、14はステータ10のコイルに接続されかつモータハウジング9に組付けられた端子である。そして、モータ8と絞弁2との隣接配置は、出力軸12の回転中心と弁軸5の回転中心とが一点鎖線で示す1本の直線L1の上に位置する同軸状で、出力軸12の他端と弁軸5の一端とが隙間を置いて対向配置し、出力軸12の他端側周囲に環状に形成されたモータハウジング9の開口端面と弁軸5の一端側周囲に環状に形成された弁ハウジング3の開口端面とが突き合わされた形態である。この絞弁2とモータ8とが隣接配置された形態において、弁ハウジング3とモータハウジング9とにより密封状に形成された内部空間15には歯車機構16が組込まれている。歯車機構16は太陽歯車17と内歯タイプのリングギヤ18とこれらの歯車17,18に噛合う遊星歯車19とを備える。太陽歯車17はモータ8の出力軸12に一緒に回転するように設けられ、太陽歯車17の回転中心と弁軸5の回転中心とが同軸状に対向配置している。リングギヤ18は、剛性の有る芯体181と、芯体181に対して型成形された合成樹脂製の歯部182と、芯体に対して型成形された合成樹脂製の回り止め部183とを一体に備えている。リングギヤ18の歯部182が太陽歯車17の周囲に太陽歯車17と同心円状に配置され、リングギヤ18の中心孔部184が出力軸12にベアリング20を介して同軸状にかつ回転可能に装着されている。リングギヤ18の歯部182側の外周面が内部空間15を形成する弁ハウジング3の内周面とモータハウジング9の内周面とに接触して、リングギヤ18が弁ハウジング3とモータハウジング9とに固定されている。遊星歯車19の回転中心が弁軸5の一端に一緒に回転し得るように固定された支持体21に支持軸22を介して連結している。このように歯車機構16が内部空間15に組込まれた後、弁ハウジング3とモータハウジング9とが図外のボルトのような固着具により互いに結合される。23は弁体6が吸気通路4を中間開度位置へ戻す方向のばね力を支持体21に与えるばね、24はモータ2の端子14に電力を供給する制御部、25はアクセルペダル、26はアクセルペダル25の操作量を検出して変換した電気信号を制御部24に出力するアクセルセンサである。
【0003】
この絞弁制御装置の動作を説明する。アクセルペダル25が操作されると、その操作量を検出したアクセルセンサ26が電気信号を制御部24に出力し、制御部24がアクセルセンサ26からの電気信号に応じた電力をモータ8の端子14に供給する。そして、端子14からステータ10のコイルに流れる電力に応じてステータ10が回転磁界を発生する。このステータ10が発生した回転磁界とロータ11が所有する磁界とによる吸引と反発とにより出力軸12が回転し、太陽歯車17が出力軸12と一緒に回転する。すると、遊星歯車19が太陽歯車17を中心とした公転と支持軸22を中心とした自転とを行う。この遊星歯車19の公転により弁軸5が支持体21を介して回転する。この弁体6の回転により吸気通路4の通路断面積が調整される。つまり、太陽歯車17とリングギヤ18と遊星歯車19とからなる歯車機構16が、アクセルペダル25の操作量に応じたモータ2の回転を、内燃機関1への吸入空気量を調整する弁2の弁軸5に、支持体21を介して伝達する。
【0004】
図17において、リングギヤ18は回り止め部183を複数備えるが、これらの回り止め部183は任意位置に強度的に必要な数だけ設けられて弁ハウジング3に嵌合収容されたことによりリングギヤ18の周方向への回転を阻止する。図18において、弁ハウジング3は図16の内部空間15を形成する内周面に溝状の係合部3aが形成されている。これらの係合部3aは互いに直交する2本の直線L12,L13が内周面と交わる4つの位置P11,P12,P13,P14のうちの3つの位置P11〜P13に配置されている。弁ハウジング3は、中央より外側に向けて、弁軸貫通孔3b、ベアリング収容凹部3c、スプリングガイド配置部3d、スプリング収容凹部3eを同心円状に有する。スプリング収容凹部3eの外側には支持体逃げ溝3fとスプリングガイドストッパ逃げ溝3gとが配置されている。また、弁ハウジング3の外周面には内部と外部とに貫通する通気孔3hが形成されている。絞弁2とモータ8とからなる要素が内燃機関1に組付けられるとき、通気孔3hは地側に向けられ、内部空間15に結露などで溜まった水が通気孔3hより排水される。
【0005】
図19において、複数の回り止め部183はリングギヤ18の外周面より径方向外側に突出しているとともに互いに直交する2本の直線L12,L13が外周面と交わる4つの位置P1,P2,P3,P4のうちの3つの位置P1〜P3に配置されている。そして、リングギヤ18を弁ハウジング3に嵌め込む際に、回り止め部183が係合部3aに個別に挿入されることにより、図17に示すように、リングギヤ18が弁ハウジング3に回転しないように装着される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の絞弁制御装置では、回り止め部183がリングギヤ18の周方向に等分配置されていないため、合成樹脂成形後における合成樹脂の収縮により、芯体181の内側に形成された歯部182の真円度が悪化する可能性がある。この真円度について測定した結果は図8に点線L11で示してある。この点線L11によれば、歯部182のピッチ円において、−0.15mmから+0.05mmまでの0.20mmの変形が発生することが確認できるであろう。
【0007】
そこで、この発明はリングギヤの真円度の精度向上が図れる内燃機関の絞弁制御装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明に係る内燃機関の絞弁制御装置は、内燃機関への吸入空気量を調整する絞弁の弁ハウジングとアクセルペダルの操作量に応じて出力軸を回転させるモータのモータハウジングとが突き合わされたことにより形成される内部空間に、出力軸の回転を絞弁の弁軸に伝達するための太陽歯車と内歯タイプのリングギヤとこれらの歯車に噛合う遊星歯車とからなる歯車機構を備えた内燃機関の絞弁制御装置において、リングギヤは、太陽歯車と同軸状に装着されるための中心孔部と歯部を設けるための周壁とを有する金属製の芯体と、芯体における周壁の内周面に設けられる合成樹脂製の歯部と、リングギヤの周方向の回転を阻止するために芯体における周壁の外周面に設けられる合成樹脂製の回り止め部と、芯体に対する歯部の収縮を止めるために芯体における周壁の外周面に設けられる合成樹脂製の収縮止め部とを備え、回り止め部と収縮止め部とがリングギヤの周方向に等分配置され、芯体の周壁には回り止め部と収縮止め部との合計数と同数である複数の貫通孔が周方向に等分配置に形成され、合成樹脂製の歯部と合成樹脂製の回り止め部と合成樹脂製の収縮止め部とが芯体に対し型成形されることによって複数の貫通孔に充填された合成樹脂製のブリッジ部により一体に結合され、回り止め部と収縮止め部とが貫通孔よりも周壁の外周面に沿って大きな外形を有するとともに弁ハウジングとリングギヤとが組合わせられる際に弁ハウジングの係合部に嵌合収容されるように芯体における周壁の外周面から径方向外側に突出したことを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明に係る内燃機関の絞弁制御装置は、内燃機関への吸入空気量を調整する絞弁の弁ハウジングとアクセルペダルの操作量に応じて出力軸を回転させるモータのモータハウジングとが突き合わされたことにより形成される内部空間に、出力軸の回転を絞弁の弁軸に伝達するための太陽歯車と内歯タイプのリングギヤとこれらの歯車に噛合う遊星歯車とからなる歯車機構を備えた内燃機関の絞弁制御装置において、リングギヤは、太陽歯車と同軸状に装着されるための中心孔部と歯部を設けるための周壁とを有する金属製の芯体と、芯体における周壁の内周面に設けられる合成樹脂製の歯部と、リングギヤの周方向の回転を阻止するために芯体における周壁の外周面に設けられる合成樹脂製の回り止め部と、芯体に対する歯部の収縮を止めるために芯体における周壁の外周面に設けられる合成樹脂製の収縮止め部とを備え、回り止め部と収縮止め部とがリングギヤの周方向に等分配置され、芯体の周壁には回り止め部と収縮止め部との合計数と同数である複数の貫通孔が周方向に等分配置に形成され、合成樹脂製の歯部と合成樹脂製の回り止め部と合成樹脂製の収縮止め部とが芯体に対し型成形されることによって複数の貫通孔に充填された合成樹脂製のブリッジ部により一体に結合され、回り止め部と収縮止め部とが貫通孔よりも周壁の外周面に沿って大きな外形を有し、回り止め部が弁ハウジングとリングギヤとが組合わせられる際に弁ハウジングの係合部に嵌合収容されるように芯体における周壁の外周面から径方向外側に突出する一方、収縮止め部に対する貫通孔が大径な外側孔部と小径な内側孔部とよりなる段付き穴により形成され、収縮止め部が段付き穴における大径な外側孔部と小径な内側孔部とに充填された合成樹脂により芯体における周壁から外側に突出しない形態に成形されたことを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明に係る内燃機関の絞弁制御装置は、請求項1または請求項2に記載の芯体における周壁が内部空間を形成する弁ハウジングの内周面とモータハウジングの内周面との双方に内接嵌合したことを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1〜図8はこの発明の実施の形態1であって、図1は内燃機関の絞弁制御装置を一部切欠して示す側面図、図2は図1のA−A線断面図、図3は弁ハウジングを示す正面図、図4は前記芯体181に相当する芯体81を示す斜視図、図5は前記リングギヤ18に相当するリングギヤ80の成形工程を示す断面図、図6は図7のB−B線断面図、図7はリングギヤ80の正面図、図8は歯部82の真円度の測定結果図である。
【0021】
図1において、実施の形態1では、弁ハウジング30が複数の係合部30aを備え、リングギヤ80が、剛性の有る芯体81と、芯体81に対して型成形された合成樹脂製の歯部82と、芯体81に対して型成形された合成樹脂製の回り止め部83と、芯体81に対して型成形された合成樹脂製の収縮止め部84とを一体に備え、弁ハウジング30とリングギヤ80とが組合わせられる際に、回り止め部83と収縮止め部84とが係合部30aに嵌合収納された特徴がある。それ以外の内燃機関1、絞弁2、吸気通路4、弁軸5、弁体6、吸気管7、モータ8、モータハウジング9、ステータ10、ロータ11、出力軸12、ベアリング13、端子14、内部空間15、歯車機構16中の太陽歯車17および遊星歯車19、ベアリング20、支持体21、支持軸22、ばね23、制御部24、アクセルペダル25、アクセルセンサ26などの構成要素は図16と同一である。
【0022】
図2において、この実施の形態1では、複数の回り止め部83と複数の収縮止め部84とが同一形状に形成されている。これらの回り止め部83と収縮止め部84とは、合計で12個存在し、リングギヤ80の外周面を周方向に12等分した位置において、リングギヤ80の外周面より突出している。そして、回り止め部83と収縮止め部84とが弁ハウジング3の周壁に形成された溝状の係合部30aに嵌合収容されている。このため、回り止め部83は収縮止め機能も併有し、収縮止め部84は回り止め機能も併有するというように、回り止め部83と収縮止め部84それぞれは回り止め機能と収縮止め機能と兼ね備える。よって、例示的に、回り止め部83が120°毎に配置された3個とし、収縮止め部84が回り止め部83相互間に30°毎に配置された9個とするが、それらの数量はそれに限定されるものではない。例えば、リングギヤ80の回転阻止を行う上で、強度的に必要な回り止め部83の数は、1個であったり、2個以上の場合も有る。また、歯部82の真円度の精度向上の観点から、収縮止め部84が1個であったり、2個以上の場合も有る。けれども、それらの合計数量は多い方がリングギヤ80の回り止め精度と歯部82の真円度の精度とがより高くなる。また、回り止め部83と収縮止め部84とが1個ずつである場合は、弁軸5を挟んだ対角位置の一方に回り止め部83が配置され、他方に収縮止め部84が配置される。回り止め部83と収縮止め部84との合計数量が3個の場合は、120°毎の配置になる。
【0023】
図3において、弁ハウジング30は図1の内部空間15を形成する内周面に溝状の係合部30aが形成されている。これらの係合部30aは弁ハウジング30の中心を通り互いに30°で交差する6本の直線L2,L3,L4,L5,L6,L7が弁ハウジング30の内周面と交わる位置P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7,P8,P9,P10,P11,P12に配置されている。これら係合部30a以外の弁軸貫通孔3b、ベアリング収容凹部3c、スプリングガイド配置部3d、スプリング収容凹部3e、支持体逃げ溝3f、スプリングガイドストッパ逃げ溝3g、通気孔3hなどの要素は図18と同一である。
【0024】
図4にも示すように、芯体81は、金属板素材に絞り加工を行うことより、周壁81aを有する皿状の底部81bの中央に中心孔部81cを背面側に膨出した形態に形成されている。底部81bには、複数の貫通孔81d,81eが、中心孔部81cの周囲で、中心孔部81cと同心円を描く半径を異にする仮想線で示す2つの円周L8,L9上に、周方向に等分配置に、形成されている。周壁81aには、回り止め部83と収縮止め部84との合計数と同数である複数の貫通孔81fが、周方向に等分配置に形成されている。
【0025】
図5を参照し、リングギヤ80が芯体81をインサート部材として成形されるインサート成形について説明する。図4のように形成された芯体81が分割型からなる成形型40の成形空間41に格納された後、成形型40が型閉じされる。そして、射出成形機43より溶融された合成樹脂材料が、成形型40に形成された注入孔42を経由し、芯体81の内包された成形空間41に、充填固化される。それから、成形型40が型開きされる。この状態において、成形型40より図6に示す芯体81と歯部82とが一体となったリングギヤ80に相当する成形品が離型される。図5では図の明確化のために成形空間41に充填固化される合成樹脂材料の図示を省略した。
【0026】
図6にも示すように、リングギヤ80の合成樹脂部は、歯部82、内歯部82a、面部82b、貫通孔部82c、内周環状突部82d、嵌合部82e、ブリッジ部82f、充填部82g、ブリッジ部82h、複数の回り止め部83、複数の収縮止め部84とを有する。内歯部82aが芯体81の外壁81aの内周面に沿い形成されている。面部82bが内歯部82aより芯体81の底部81bの前面に接触して延設している。貫通孔部82cが面部82bの中央部に太陽歯車17を逃げるために形成されている。内周環状突部82dがベアリング20のアウタリングに接触するために貫通孔部82cの背面で芯体81の底部81bと中心孔部81cとの連接部周りに環状に突設している。嵌合部82eが芯体81の中心孔部81cの外周面およびその周囲の底部81bの背面に接触して環状に形成されている。ブリッジ部82fが芯体81の貫通孔81dに充填固化して面部82bと嵌合部82eとを結合している。充填部82gが面部82bより膨出して芯体81の貫通孔81eに充填固化されている。また、図7にも示すように、回り止め部83と収縮止め部84とが芯体81の周壁81aの外周面に周方向に等間隔で点在して突出している。
【0027】
図1を参照し、絞弁2とモータ8とが別体に形成され、それらが互いに隣接配置される際、弁ハウジング30とモータハウジング9とにより密封状に形成される内部空間15に、太陽歯車17とリングギヤ80と遊星歯車19とからなる歯車機構16を組込む作業について説明する。先ず、太陽歯車17がモータハウジング9よりモータハウジング9の開口内に突出した出力軸12の外周に出力軸12と同軸状に設けられた状態において、リングギヤ80の中心孔部81c(図6参照)が太陽歯車17の近傍に位置する出力軸12に外接嵌合されたベアリング20に外接嵌合され、リングギヤ80の内周環状突部82d(図6参照)が太陽歯車17のアウタリングの環状の端面に当接され、リングギヤ80の周壁81a(図4参照)の外周面がモータハウジング9の開口内周面に内接嵌合され、リングギヤ80の嵌合部82eの外周面の一部がモータハウジング9のロータ11を回転可能に格納した収容部の孔壁面に接触される。上記太陽歯車17は出力軸12と別体に形成したものを出力軸12に嵌合して固定的に装着するか、または、出力軸12の外周面に太陽歯車17の歯を刻設しても良い。これと並行し、遊星歯車19が弁ハウジング30より弁ハウジング30の開口内に突出した弁軸5に支持体21および支持軸22を介して取り付けられる。この状態において、弁体6が吸気通路4の通路断面積を最小とする全閉位置または通路断面積を最大とする全開位置のいずれか一方の位置となるように、作業者が弁軸5を回転操作しておく。
【0028】
次に、弁ハウジング30の開口とモータハウジング9の開口とが内部空間15を形成するように合掌状に組合わされる。この場合、遊星歯車19が太陽歯車17とリングギヤ80との間に挿入されつつ双方に噛合させられる。それと並行し、弁ハウジング30の内周面3aとリングギヤ80の開口外周面とが互いに接触した状態で、弁ハウジング30がリングギヤ80の周壁81aに嵌合装着され、弁ハウジング30の開口端面がモータハウジング9の開口端面に突き合わされる。これにより、弁ハウジング30とモータハウジング9とがリングギヤ80を介して弁軸5の径方向および出力軸12の径方向への移動を阻止された固定状態となり、弁軸5の回転中心と出力軸12の回転中心とが一点鎖線で示す1本の直線L1の上に位置した同軸状でそれらの間に隙間を置いて対向配置する。また、出力軸12に同軸状に設けられた太陽歯車17の回転中心が出力軸12の回転中心と同様に弁軸5の回転中心と同軸状でそれらの間に隙間を置いて対向配置する。しかも、内部空間15が密封状に形成される。そして、その内部空間15に歯車機構16が組込まれた形態となる。
【0029】
弁ハウジング30とリングギヤ80とが組合わせられる際、リングギヤ80の回り止め部83と収縮止め部84とが弁ハウジング30の係合部30aに嵌合収容される。これにより、リングギヤ80は周方向への回転が規制され、つまり、リングギヤ80が弁ハウジング30とモータハウジング9とに固定される。このように歯車機構16が内部空間15に組込まれた後、弁ハウジング30とモータハウジング9とが図外のボルトのような固着具により互いに結合されて図1に示す形態となる。
【0030】
この実施の形態1によれば、リングギヤ80の周方向に等分配置された複数の回り止め部83と複数の収縮止め部84とが弁ハウジング30の係合部30aに嵌合収容されたことにより、リングギヤ80が弁ハウジング30とモータハウジング9に適切に固定されるとともに、合成樹脂よりなる歯部82が剛性の有る芯体81と多点で均等に支持され、歯部82の真円度が芯体81を基準として良くなる。この真円度について測定したところ、図8に実線L10で示した結果を得た。この図8の実線L10によれば、位置P1〜12の部分が不動で、位置P1〜P12相互間の部分が0.025mm程度内側に撓むだけで、点線L11の従来例に比べてピッチ円の真円度の精度が向上したことが確認できる。この点について考察すると、この実施の形態1の構造によれば、位置P1〜12において回り止め部83と複数の収縮止め部84とが芯体81の周壁81aと弁ハウジング30とより挟まれた格好で歯部82を芯体81の周壁81aに固定支持したからと考えられる。
【0031】
また、この実施の形態1の構造によれば、リングギヤ80において、内歯部82aと回り止め部83または収縮止め部84とが芯体81に合成樹脂結合手段として設けた貫通孔81fに充填固化したブリッジ部82hを介して結合しているので、内歯部82aが芯体81に強固に結合し、歯部82の真円度の精度が一層良くなる。歯部82の内歯部82aより連接されて芯体81の前面側に設けた面部82bと芯体81の背面側に設けた嵌合部82eとが芯体81に合成樹脂結合用手段として設けた貫通孔81dに充填固化したブリッジ部82fを介して結合しているので、歯部82が芯体81に強固に結合している。また、歯部82の面部82bより充填部82gが芯体81に上記貫通孔81dとは別に合成樹脂結合用手段として設けた貫通孔81eに充填固化しているので、芯体81に対する歯部82の回転防止が適切に図れる。
【0032】
この実施の形態1の構造によれば、リングギヤ80が金属製の芯体81の絞り加工された中心孔部81cにより太陽歯車17に対しモータ8の出力軸12およびベアリング20を介して同軸状に設けられ、芯体81の絞り加工された周壁81aがモータハウジング9の開口内周面に内接嵌合し、遊星歯車19が絞弁2の弁軸5に支持体21および支持軸22を介して取り付けられた状態において、弁ハウジング30とモータハウジング9とが内部空間15を形成するように組合せられることにより、遊星歯車19が太陽歯車17とリングギヤ18とに噛合い、弁軸5の回転中心と太陽歯車17の回転中心とが同軸状で所定間隔を置いて適切に対向配置され、弁ハウジング30とモータハウジング9とが芯体81の絞り加工された周壁81aを介して適切に固定され、芯体81の中心孔部81cがリングギヤ80の合成樹脂よりなる嵌合部82eを介してモータハウジング9に適切に固定された形態となる。よって、絞弁2とモータ8と歯車機構16とからなる内燃機関1の絞弁制御装置が自動車に搭載され、係る絞弁制御装置に振動が入力された場合でも、絞弁2とモータ8と歯車機構16とが個々ばらばらにがたつくことはなく、モータ8の出力軸12の回転が歯車機構16により弁軸5に適切に伝達される。
【0033】
実施の形態2.
図9〜図11はこの発明の実施の形態2であって、図9は前述した図2に相当する断面図、図10は前記弁ハウジング30に相当する弁ハウジング30Aを示す正面図、図11は前記リングギヤ80に相当するリングギヤ80Aを示す正面図である。この実施の形態2では、前記収縮止め部84に相当する収縮止め部84Aが成形型への合成樹脂材料の流動可能な最小限の大きさに形成されている。つまり、図11に示す収縮止め部84Aの幅W1は図4に示す芯体81の貫通孔81fの直径Dよりも少し大きく、収縮止め部84Aの厚さTは薄肉に形成されている。また、図10に示す収縮止め部用の逃げ溝30bの幅W2は、収縮止め部84Aの幅W1より少し大きく、逃げ溝30bの深さHは収縮止め部84Aの厚さTより少し大きく形成されている(W1>D、W2>W1、H>T)。これにより、収縮止め部84Aを構成する合成樹脂の素材が削減でき、コストダウンが図れる。
【0034】
実施の形態3.
図12〜図15はこの発明の実施の形態3であって、図12は前述した図1に相当する側面図、図13は図12のC−C線断面図、図14は前記芯体81に相当する芯体81Aを示す斜視図、図15は前記リングギヤ80Aに相当するリングギヤ80Bを示す前述した図6に相当する断面図である。この実施の形態3では、前記収縮止め部84Aに相当する収縮止め部84Bが芯体81Aの内部に固定されている。つまり、図14に示すように、芯体81Aは周壁81aに形成された収縮止め用の穴が大径な外側孔部と小径な内側孔部とよりなる段付き穴81gにより形成されている。そして、リングギヤ80Bが芯体81Aをインサート部材としてインサート成形する際に、成形型に充填固化される剛性樹脂材料が段付き穴81gより芯体81Aの周壁81aの外側に突出しない形態に成形する。これにより、図15に示すように、樹脂材料が段付き穴81gの内部全体に充填固化して収縮止め部84Bとなり、この収縮止め部84Bが段付き穴81gを介して芯体81Aの周壁81aの内部に固定される。このため、図12および図13に示すように、前記弁ハウジング30Aに相当する弁ハウジング30Bに収縮止め用の係合部30aや逃げ溝30bを設ける必要がなくなり、弁ハウジング30Bを小型、軽量化できる。
【0035】
実施の形態4.
前記実施の形態1では合成樹脂結合用手段として貫通孔81d,81e,81fを設けたが、係る合成樹脂結合用手段は切起しまたは突起でも良い。
【0036】
実施の形態5.
前記実施の形態1では回り止め部83を弁ハウジング30に嵌合したが、回り止め部83をモータハウジング9に形成した図外の凹部に嵌合収容するか、または、回り止め部83を弁ハウジング30とモータハウジング9との双方に嵌合しても良い。
【0037】
【発明の効果】
以上のように、請求項1の発明によれば、リングギヤが芯体と歯部と回り止め部と収縮止め部とを備え、芯体が金属性であり、歯部と回り止め部と収縮止め部とが芯体に対して型成形された合成樹脂製であり、回り止め部と収縮止め部とがリングギヤの周方向に等分配置され、歯部と回り止め部とが芯体の周壁に設けた貫通孔に充填固化された合成樹脂製のブリッジ部を介して一体に結合し、歯部と収縮止め部とが芯体の周壁に設けた貫通孔に充填固化された合成樹脂製のブリッジ部を介して一体に結合しているので、歯部と回り止め部および収縮止め部が芯体に強固に結合し、リングギヤの真円度の精度を向上することができる。
【0038】
請求項2の発明によれば、リングギヤが芯体と歯部と回り止め部と収縮止め部とを備え、芯体が金属性であり、歯部と回り止め部と収縮止め部とが芯体に対して型成形された合成樹脂製であり、回り止め部と収縮止め部とがリングギヤの周方向に等分配置され、歯部と回り止め部とが芯体の周壁に設けた貫通孔に充填固化された合成樹脂製のブリッジ部を介して一体に結合し、歯部と収縮止め部とが芯体の周壁に設けた貫通孔に充填固化された合成樹脂製のブリッジ部を介して一体に結合しているので、歯部と回り止め部および収縮止め部が芯体に強固に結合し、リングギヤの真円度の精度を向上することができるうえ、収縮止め部が段付きを介して芯体の周壁の内部に固定されるので、弁ハウジングに収縮止め用の係合部を設ける必要がなくなり、弁ハウジングを小型、軽量化できる。
【0039】
請求項3の発明によれば、芯体の周壁が内部空間を形成する弁ハウジングの内周面とモータハウジングの内周面との双方に内接嵌合したので、絞弁とモータとがリングギヤを介して弁軸や出力軸の径方向への移動を阻止した状態に適切に固定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1に係る内燃機関の絞弁制御装置を一部切欠して示す側面図である。
【図2】 図1のA−A線断面図である。
【図3】 同実施の形態1に係る弁ハウジングを示す正面図である。
【図4】 同実施の形態1に係る芯体を示す斜視図である。
【図5】 同実施の形態1に係るリングギヤの成形工程を示す断面図である。
【図6】 図7のB−B線断面図である。
【図7】 同実施の形態1に係るリングギヤを示す正面図である。
【図8】 同実施の形態1に係る歯部の真円度の測定結果図である。
【図9】 この発明の実施の形態2に係る内燃機関の絞弁制御装置を示す断面図である。
【図10】 同実施の形態2に係る弁ハウジングを示す正面図である。
【図11】 同実施の形態2に係るリングギヤを示す正面図である。
【図12】 この発明の実施の形態3に係る内燃機関の絞弁制御装置を一部切欠して示す側面図である。
【図13】 図12のC−C線断面図である。
【図14】 同実施の形態3に係る芯体を示す斜視図である。
【図15】 同実施の形態3に係るリングギヤを示す断面図である。
【図16】 従来の内燃機関の絞弁制御装置を一部切欠して示す側面図である。
【図17】 図16のD−D線断面図である。
【図18】 従来の弁ハウジングを示す正面図である。
【図19】 従来のリングギヤを示す正面図である。
【符号の説明】
1 内燃機関、2 絞弁、4 吸気通路、5 弁軸、6 弁体、8 モータ、
9 モータハウジング、12 出力軸、
15 内部空間、16 歯車機構、17 太陽歯車、19 遊星歯車、
30 弁ハウジング、80,80A,80B リングギヤ、
81,81A 芯体、81a 周壁、81c 中心孔部82 歯部、
82e 嵌合部。
Claims (3)
- 内燃機関への吸入空気量を調整する絞弁の弁ハウジングとアクセルペダルの操作量に応じて出力軸を回転させるモータのモータハウジングとが突き合わされたことにより形成される内部空間に、出力軸の回転を絞弁の弁軸に伝達するための太陽歯車と内歯タイプのリングギヤとこれらの歯車に噛合う遊星歯車とからなる歯車機構を備えた内燃機関の絞弁制御装置において、リングギヤは、太陽歯車と同軸状に装着されるための中心孔部と歯部を設けるための周壁とを有する金属製の芯体と、芯体における周壁の内周面に設けられる合成樹脂製の歯部と、リングギヤの周方向の回転を阻止するために芯体における周壁の外周面に設けられる合成樹脂製の回り止め部と、芯体に対する歯部の収縮を止めるために芯体における周壁の外周面に設けられる合成樹脂製の収縮止め部とを備え、回り止め部と収縮止め部とがリングギヤの周方向に等分配置され、芯体の周壁には回り止め部と収縮止め部との合計数と同数である複数の貫通孔が周方向に等分配置に形成され、合成樹脂製の歯部と合成樹脂製の回り止め部と合成樹脂製の収縮止め部とが芯体に対し型成形されることによって複数の貫通孔に充填された合成樹脂製のブリッジ部により一体に結合され、回り止め部と収縮止め部とが貫通孔よりも周壁の外周面に沿って大きな外形を有するとともに弁ハウジングとリングギヤとが組合わせられる際に弁ハウジングの係合部に嵌合収容されるように芯体における周壁の外周面から径方向外側に突出したことを特徴とする内燃機関の絞弁制御装置。
- 内燃機関への吸入空気量を調整する絞弁の弁ハウジングとアクセルペダルの操作量に応じて出力軸を回転させるモータのモータハウジングとが突き合わされたことにより形成される内部空間に、出力軸の回転を絞弁の弁軸に伝達するための太陽歯車と内歯タイプのリングギヤとこれらの歯車に噛合う遊星歯車とからなる歯車機構を備えた内燃機関の絞弁制御装置において、リングギヤは、太陽歯車と同軸状に装着されるための中心孔部と歯部を設けるための周壁とを有する金属製の芯体と、芯体における周壁の内周面に設けられる合成樹脂製の歯部と、リングギヤの周方向の回転を阻止するために芯体における周壁の外周面に設けられる合成樹脂製の回り止め部と、芯体に対する歯部の収縮を止めるために芯体における周壁の外周面に設けられる合成樹脂製の収縮止め部とを備え、回り止め部と収縮止め部とがリングギヤの周方向に等分配置され、芯体の周壁には回り止め部と収縮止め部との合計数と同数である複数の貫通孔が周方向に等分配置に形成され、合成樹脂製の歯部と合成樹脂製の回り止め部と合成樹脂製の収縮止め部とが芯体に対し型成形されることによって複数の貫通孔に充填された合成樹脂製のブリッジ部により一体に結合され、回り止め部と収縮止め部とが貫通孔よりも周壁の外周面に沿って大きな外形を有し、回り止め部が弁ハウジングとリングギヤとが組合わせられる際に弁ハウジングの係合部に嵌合収容されるように芯体における周壁の外周面から径方向外側に突出する一方、収縮止め部に対する貫通孔が大径な外側孔部と小径な内側孔部とよりなる段付き穴により形成され、収縮止め部が段付き穴における大径な外側孔部と小径な内側孔部とに充填された合成樹脂により芯体における周壁から外側に突出しない形態に成形されたことを特徴とする内燃機関の絞弁制御装置。
- 芯体における周壁が内部空間を形成する弁ハウジングの内周面とモータハウジングの内周面との双方に内接嵌合したことを特徴とする請求項1または請求項2記載の内燃機関の絞弁制御装置。
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