JP3726865B2 - 検体処理システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は検体処理システムに係り、特に臨床検査分野において検体検査を自動的に行うのに適した検体処理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
通常の検体処理システムは、ラック搬送部が内蔵されている種々の処理ユニット(遠心分離,開栓,分注,バーコードラベリング,閉栓,分類,分析等)とそれらの処理ユニットを結合する搬送ラインとを含み、処理ユニットと処理ユニット,搬送ラインと処理ユニット、あるいは搬送ラインと搬送ラインを直列に接続して処理システムを構築している。
【0003】
“Hitachi Review, vol.41,No.4,第167〜172頁(1992年)”は、検体を搬送するための搬送ラインを複数の搬送ルートで構成し、搬送ラインを複数に分岐することによって検体を種々の処理ユニットに分配するような自動検体取扱システムを教示している。
【0004】
このシステム内に配置される処理ユニットは、血液を血清と沈殿物に分離するための自動遠心分離ユニット,検体容器上の蓋を自動的に除去するための開栓ユニット,親検体容器から子検体容器へ血清を分注するための分注ユニット,子検体容器に対し親検体と同じ検体IDを有するバーコードラベルを貼り付けるためのバーコードラベラユニット,検体容器に蓋をするための閉栓ユニット,検体容器を検査別グループに分類する検体分類ユニット,検体を自動的に化学分析するための化学分析計ユニットなどである。
【0005】
“臨床検査,vol.37,No.11,第110〜113頁(1993年増刊号)”は、検体搬送システム内に配置した複数の機能ユニットにそれぞれバーコードリーダを設ける例を教示している。この先行技術では、バーコードリーダにより検体容器に貼り付けられているバーコード情報を読み取ることによって、検体同士の取違えを防止する。
【0006】
米国特許第5,366,062 号は、検体容器を保持する検体キャリアを、複数のワークステーションに搬送するためのコンベアシステムを教示している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来の検体処理システムでは、各検体処理装置が各検体容器毎にその処理項目を中央の制御部に問い合せる通信処理を行っているために、検体容器や検体処理装置の数が増えると通信量が増えるために、規模が大きく処理速度が高速化された複雑な通信システムが必要となる。
【0008】
本発明の目的は、処理する検体の数や検体処理装置の数が増加することにより、この検体処理システムの全体を管理及び制御する中央制御部と各検体処理装置の間の通信システムが複雑且つ大型化するのを軽減することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、この目的を達成するために、検体の情報が書き込まれた検体標識を有する検体容器に収容した検体について処理を行う検体処理装置と、前記検体容器を搬送する搬送ラインに設けられて前記検体標識を読み取る標識読み取り装置を備えた検体処理システムにおいて、前記検体処理装置により処理する前記検体の処理項目群をコード化して前記検体容器に付けられた検体標識に書き込んでおき、この検体標識を読み取って前記検体処理装置により処理項目群に該当する処理を行うようにしたことを特徴とする。
【0010】
本発明に基づく検体処理システムは、検体を収容し得る検体容器を保持する検体支持体と、該検体支持体を搬送する搬送ラインと、該搬送ラインに沿って配置された複数の検体処理装置を備える。この検体処理システムは、検体容器の外壁に付された検体標識であって、検体番号のコードを含み、その内部に収容する検体に関し上記複数の検体処理装置の内の1つ以上による処理項目の組合せをグループとして表わすグループコードを含むように表示されている検体標識と、上記検体支持体に形成されている識別可能にコード化されたキャリア標識と、上記複数の検体処理装置の方へ上記検体支持体を搬送するに先立って、上記検体標識を読み取る検体標識読み取り装置と、上記複数の検体処理装置の方へ上記検体支持体を搬送するに先立って、上記キャリア標識を読み取る第1のキャリア標識読み取り装置と、複数の検体処理装置のそれぞれに対応して配置されている第2のキャリア標識読み取り装置と、各々の検体処理装置とペアをなしており、対応する第2のキャリア標識読み取り装置からの読み取り情報を受け取る処理装置制御部と、上記検体標識読み取り装置による検体標識の読み取り結果と上記第1のキャリア標識読み取り装置によるキャリア標識の読み取り結果に基づき個々の検体支持体に関しキャリア標識とグループコードの対応関係を登録する情報管理制御部と、を具備し、各々の処理装置制御部は、登録される上記対応関係を上記情報管理制御部から受け取って自己とペアをなす検体処理装置に関係するキャリア標識を管理する。
【0011】
この検体処理システムにおける各々の検体処理装置は、自己に対応する第2のキャリア標識読み取り装置で読み取られたキャリア標識が自己の処理項目に該当するグループコードを含むときに、その読み取られたキャリア標識を有する検体支持体上の検体容器又は検体に対して自己の処理項目の処理を実行する。
【0012】
本発明の望ましい実施例では、検体標識読み取り装置により読み取られた検体標識の中に予め設定されているグループに該当しない処理項目が含まれているならば、上記情報管理制御部は、その非該当処理項目を処理すべき特定の検体処理装置に対応する特定の処理装置制御部に対し問い合せ要求指令を設定する。その後、上記特定の処理装置制御部は、上記非該当処理項目と対応関係にあるキャリア標識を認識したときに、上記情報管理制御部に対し問い合せることにより上記情報管理制御部から受け取る処理情報に基づいて上記特定の検体処理装置が上記非該当処理項目の処理を実行するように制御する。
【0013】
さらに、本発明の望ましい実施例は、検体標識読み取り装置及び上記第1のキャリア標識読み取り装置による読み取り後に、上記グループコードが同じである複数の検体容器を1つの検体支持体に装填し、複数検体容器装填済みの検体キャリアを上記搬送ラインに供給する検体振り分け装置を具備する。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明に基づく一実施例の構成を示すブロック図を図1に示す。図1において、血液や尿の如き検体は、検体支持体としての検体ラックに保持された状態で、ラック供給ユニット7に並べられる。検体処理項目入力器51には、各検体に関しどのような処理をするかの項目依頼が入力される。オペレータは、検体毎に処理項目,検体を識別するための検体ID(検体識別情報),検体属性情報(日付,性別,年齢など)を入力する。
【0015】
各検体の処理項目としては、遠心分離,開栓,検体分注,検体分析,開栓及び一時待機などの検体処理システムが有している検体処理装置が有している機能が選択される。また、入力される処理項目は、分注装置で検体を分注するときの検体量及び該当する分析装置で検査すべき分析項目を含む。
【0016】
情報管理制御部として機能する中央コントローラ33には、検体処理システムによる検体処理のためのグループコードが予め設定されている。この場合、検体処理システム内の複数の検体処理装置が有する処理機能の中で、処理指定される頻度が高い1つ以上の処理項目の組合せ毎にグループされる。例えば、遠心分離と開栓と分注との組合せ、遠心分離と分析の組合せ、分注と分析の組合せの等の如き各グループが形成されており、各グループに対し識別可能なグループコードが割り当てられており、中央制御部のメモリに登録されている。
【0017】
そのようなグループ処理に該当する検体に関し、中央コントローラ33は、バーコードラベル発行機(図示せず)に各検体毎のバーコードを発行させるように制御する。発行されたバーコードラベルには、検体ID,検体属性情報,検体処理に関するグループコードが表示され、さらに、予め設定されているグループ以外の処理項目がある場合には、中央制御部に対する問い合せを指示する情報のコードが表示される。検体を収容した各々の検体容器には、発行された検体標識としてのバーコードラベルが貼り付けられる。
【0018】
予め設定されているグループ以外の処理項目、例えば分析項目や検体分注量などは、バーコードラベルに表示されず、中央制御部33がグループ以外の処理項目を検体ID及びキャリアIDに関連づけて管理する。このような管理は、バーコードラベルによる表示容量の不足を補う。
【0019】
図2は、検体容器が装填されている検体支持体としての検体ラックを示す。この検体支持体3は、箱状の検体支持体であって、複数本、例えば5本の検体容器1を保持することができる。各検体容器1には、上述した検体標識としてのバーコードラベル2が貼り付けられている。検体支持体3の所定箇所には、キャリア番号(キャリアID)をコード化したキャリア標識4が形成されている。図2の例では、キャリア標識4がバーコードラベルからなるが、これに代えて2進化コードを形成するような複数の光通過孔や切欠きをキャリア標識として形成してもよい。
【0020】
図1において、検査結果出力器52は、依頼された検査の結果を各検体に対応して出力する。ラック供給ユニット7には、それぞれの検体処理ユニットに供給されるべき複数の検体ラックを置くことができ、それぞれの検体処理ユニットでの検体の処理が進むにつれ、供給ユニット内に並べた順に検体ラック3を搬送ライン30に供給する。
【0021】
搬送ライン30のベルトコンベアが駆動源であるパルスモータによって駆動されることにより検体ラックはある場所から別のある場所に搬送される。ラック収納ストッカ8は依頼に基づく処理を完了した検体ラックを収納する。システムの使用者は処理済みの検体ラックを収納ストッカ8から取出すことができる。検体処理ユニット9,10,11は遠心分離,開栓,分注,バーコードラベル貼り付け,閉栓,分類,分析などの様々な検体処理機能の内のいずれかを有し、また、その寸法も種々存在する。それぞれの検体処理ユニットは搬送ライン30により搬送されてきた検体ラックをラック移載機構を介して自装置内に取り込み、処理後再び搬送ライン30に検体ラックを戻す。
【0022】
各検体処理ユニットが搬送ライン30から検体ラックを受け取る入口が受け取り側のアクセス位置であり、各検体処理ユニットが搬送ライン30に対して検体ラックを送り出す出口が排出側のアクセス位置である。このような搬送ラインと各検体処理ユニットとの間の一方から他方への検体ラックの移動は、ラック移載機構によって実行される。よって、搬送ライン上における検体ラックの送り出し位置又は受け取り位置と、各検体処理ユニット内における検体ラックのためのアクセス位置とは対応関係にあり、これらの位置とラック移載機構とによって、ラック移載ステーションが形成される。
【0023】
供給ユニット7,搬送ライン30及び収納ストッカ8は、それぞれ、通信ケーブル7B,30B、及び8Bを介して中央制御部33に接続されており、これらの動作は中央制御部33によって制御される。また、検体処理ユニット9としての遠心ユニットはユニット制御部9aを内蔵し、検体処理ユニット10としての開栓ユニットはユニット制御部10aを内蔵し、検体処理ユニット11としての分注ユニットはユニット制御部11aを内蔵する。これらのユニット制御部9a,10a,11aは、それぞれ通信ケーブル9B,10B,11Bを介して中央制御部33に接続されており、制御部同士で情報交換する。
【0024】
中央制御部33は検体処理項目入力器51,検査結果出力器52,パラメータ入力器53に通信ケーブル51B,52B,53Bを介して接続される。中央制御部33は項目入力部51で入力された依頼内容に基づき、検体ラックを供給ユニット7から搬送ライン30に、また、搬送ライン30からそれぞれの検体処理ユニット又は収納ストッカ8に送り、収納ストッカ8はそれぞれの検体処理ユニット9,10,11から搬送ライン30を通って送られてくる検体ラックを収納する。各検体処理ユニットとペアをなしているそれぞれのユニット制御部9a,10a,11aは独立して動作する。
【0025】
パラメータ入力器53は、各検体処理ユニットの種類及び位置、各検体処理ユニットが搬送ライン30を通して他の検体処理ユニット又は収納ストッカ8に検体ラックを送出するタイミング、取り扱う検体ラックの種別などをパラメータとしてオペレータが入力するためのものである。中央制御部33には、各種の情報を画面表示するための画面表示器54が接続される。
【0026】
ラック供給ユニット7は、検体ラックの出口付近に、検体標識2の情報を読み取るための読み取り器5a及びキャリア標識4の情報を読み取るための読み取り器6aを備える。検体処理ユニット9,10,11のそれぞれには、各処理ユニット用のキャリア標識読み取り器57,58,59が対応して配置される。
【0027】
図1のシステムにおいて、供給ユニット7から搬送ライン30を介して検体処理ユニット9,10,11の方へ検体ラックを搬送するのに先立って、その検体ラックのキャリア標識4がキャリア標識読み取り器6aにより読み取られ、かつ、該検体ラック上の各検体容器1の検体標識2が検体標識読み取り器5aにより読み取られる。それの読み取り結果に基づき、中央制御部33は、読み取った個々の検体ラックに関しキャリア標識とグループコードの対応関係を登録すると共に、そのグループコードに処理項目の組合せとして含まれている処理機能を実行し得る検体処理ユニットとペアをなす各ユニット制御部の全てに対し、該対応関係の情報を伝達する。この場合のグループコードは、中央制御部33に予め設定されている1つの以上の処理項目の組合せからなるグループに割り当てられている識別可能なコードである。
【0028】
そのような対応関係の情報を受け取った各ユニット制御部は、ペアをなす検体処理ユニットが関係するキャリア標識を登録し、該当する検体ラックが搬送されることに備えてキャリア標識を管理する。検体処理ユニットの1つに搬送ライン30によって検体ラックが搬送されてきたとき、いずれかの検体処理ユニットのキャリア標識読み取り器57,58又は59は、読み取ったキャリア標識の情報を対応するユニット制御部9a,10a又は11aに伝達する。読み取られたキャリア標識の情報が自検体処理ユニットの処理項目が該当するグループコードを含んでいるとき、検体処理ユニットは、その検体ラック上の検体容器又は検体に対して自己の処理項目の処理を実行するようにユニット制御部により制御される。すなわち、いずれかの検体処理ユニット9,10又は11が、遠心処理,開栓処理又は分注処理を実行する。
【0029】
さらに、検体標識読み取り器5a及びキャリア標識読み取り器6aによる読み取りの際に、中央制御部33は、予め設定されているグループに該当しない処理項目、例えば検体分注量や分析項目、が読み取られた検体標識の中に含まれているか否かをチェックする。もしも、予め設定されたグループに該当しない処理項目が存在するならば、中央制御部33は、そのようなグループに当てはまらない処理項目である非該当項目を処理すべきである特定の検体処理ユニットとペアをなす特定のユニット制御部に対し、そのキャリア標識については処理情報の問い合せをせよとの要求指令のコードを、設定する。
【0030】
そのような非該当項目を有する検体が装填されている検体ラックのキャリア標識が、特定の検体処理ユニットのキャリア標識読み取り器57,58又は59により読み取られたとき、そのキャリア標識を認識した特定のユニット制御部は、中央制御部33に対し上記要求指令コードに基づいて問い合せをする。その問い合せに応じて、中央処理装置33は、予め読み取ってあった該当検体に関する詳細で具体的な内容を持つ処理情報を、通信ケーブルを介して特定のユニット制御部へ伝達する。そのような伝達を受けた特定のユニット制御部は、非該当処理項目の処理を実行するように特定の検体処理ユニットを制御する。
【0031】
図3は、多数の検体処理装置を搬送ラインに沿って配置すると共に、さらに検体振り分け装置を付加した例を示す。検体標識2が貼り付けられた検体容器は、検体キャリアである検体支持体に保持された状態で、図1の供給ユニット7と同様の供給部に架設される。
【0032】
この検体処理システムは、血液や尿などの検体を収容した検体容器1を検査や分注などの処理内容に応じて新たな検体支持体3に移し替える検体振り分け装置12を備える。システムは、移し替える前の検体支持体に載置された各検体容器1に貼り付けられている検体標識2を読み取るバーコードリーダーなどの検体標識読み取り装置5a,5bと、各検体支持体3に貼り付けられているキャリア標識4を読み取るキャリア標識読み取り装置6a〜6gを備える。検体標識2には、予め設定されたその検体に必要な処理項目群(1つの検体に必要な1つまたは典型的な一連の検体処理項目を1つの処理項目群とする)を示すコード番号及び該コード番号で示される処理項目群以外の処理項目がある場合にはそのための問い合せの要否を示す情報を書き込む領域を設け、それぞれに該当情報を書き込む。
【0033】
この検体処理システムは、また、検体容器移し替え後の検体支持体3を搬送する搬送ライン30と、検体を検体容器1に入れた状態で遠心分離する遠心分離機13と、検体容器1の栓を抜き取る開栓機14と、遠心分離機13によって遠心分離処理した検体容器1内の親検体を目的の検査毎に用意された子検体容器1aへ分注する分注装置15,17,19,21,22,23と、前記分注装置15で分注した検体(以下、子検体という)を分析処理するための分析装置16と、分注装置19で分注した子検体を分析処理するための分析装置20とを備える。
【0034】
この検体処理システムは、更に、分注装置23による分注後の残りの子検体を収容する子検体容器1bに子検体標識を貼る標識貼り付け装置24と、その子検体容器1bを取り出す検体取り出し部25及び分注装置17による分注済みの検体容器(以下、親検体容器という)1を必要に応じ取り出し得る検体取り出し部18を備え、更に、分注した子検体を保存するために子検体容器1cを閉栓する閉栓機26と、閉栓した子検体容器1cを一時的に待機させる待機部27と、待機していた子検体を再度処理するために子検体容器1cを開栓する開栓機28と、再処理するために親検体容器1または子検体容器1cを搬送ライン30の先頭部に戻す帰還ライン31と、搬送ライン30の終端部で親検体容器1及び子検体容器1a,1c取り出す検体取り出し部29と、検体を保持する検体支持体3を分析ラインへ分岐する分岐手段34a〜34jと、検体支持体3を分岐ラインから搬送ライン30に合流する合流手段35a〜35jと、各検体処理装置に設けられてその動作制御を行う処理装置制御部37〜42及びこの検体処理システムの全体の制御及び管理を行う中央制御部33を備える。
【0035】
次に、図3の検体処理システムの動作等について説明する。
【0036】
検体振り分け装置12は、検体供給ユニットに投入された検体支持体と検体容器を持たない空の検体支持体とを移し替えステーションに移動する。振り分け装置12はそれぞれ処理項目群が同一である複数の検体容器が1つの空の検体支持体3に収まるように移し替えて分類する。各々の空の検体支持体3には、予め固有のキャリア標識4を貼り付けておく。
【0037】
検体振り分け装置12によって分類された検体容器1の振り分け先は、振り分け装置12用の制御部36の制御の下に、検体の処理項目群を予めコード化して検体標識2に書き込んだコード番号を検体標識読み取り装置5aにより読み取り、これを制御部36あるいは中央制御部33に予め設定した各種のコード番号と照合し、予め設定した検体処理項目群に割り当てた検体支持体3(振り分け先)に振り分けるようにする。図3の例では、中央制御部33と振り分け装置用の制御部36とが共同することにより情報管理制御部として機能する。
【0038】
制御部36による場合には、各検体容器1毎に振り分け先の情報を中央制御部33に問い合せる必要がなくなるので、検体処理装置が多い検体処理システムにおいても検体振り分けに関する情報通信処理の負担が重くなることがない。
【0039】
続いて、各検体容器1内の検体又は検体容器自体を処理するために、検体容器1を載置した検体支持体3を搬送ライン30によって搬送する。搬送すべき検体支持体3については、これに載置した各検体容器1との関係を対応づけた管理を行うために、制御部36は、前記振り分け処理において検体標識読み取り装置5aにより読み取った各検体容器1の検体標識2の情報と、キャリア標識読み取り装置6aで読み取った検体支持体3のキャリア標識(この標識には各検体支持体毎の固有の番号を表示している)4の情報に基づいて、検体支持体3のキャリア標識のコードと支持されている検体容器1内の検体に対する処理項目群の組合せとの対応関係を把握し、これを管理情報として中央制御部33に登録する。そして、中央制御部33は、この管理情報を各処理装置及び/またはその処理装置制御部に設定する。この検体支持体と処理項目群の関係を示す情報は、予め、オフライン処理で設定しておくこともできる。
【0040】
搬送ライン30によって搬送される各検体支持体3は、対応関係にある処理項目群が遠心処理を設定しているならば、分岐手段34aによって遠心分離機13に搬入するように分岐される。遠心分離機13に向けて分岐された検体支持体3は該遠心分離機13内に搬入して検体の遠心分離を実行する。この場合、検体支持体3に載置した各検体容器1は、この検体標識2に予め書き込まれた遠心分離に関するコード番号により遠心分離が必要な検体容器1をグループ化する検体支持体3に振り分けて載置しているので、この検体支持体3のキャリア標識4をキャリア標識読み取り装置6bで読み取り、予め中央制御部33から処理装置制御部37に設定された管理情報と照合して識別することで遠心分離の要否が決定される。
【0041】
この実施形態によれば、検体支持体3のキャリア標識4の読み取り情報と該検体支持体3に載置した検体容器1の処理項目群として予め処理装置制御部37に設定された管理情報(コード番号を含む)により遠心分離を実施するか否かを決定するので、各検体容器1毎に中央制御部33に問い合せすることなく各検体の遠心分離処理を実施することができる。
【0042】
検体容器1内の検体の遠心分離が終って遠心分離機13から搬出された検体支持体3は、検体の分注処理を実施する前に、搬送ライン30によって、検体容器1の栓を開ける開栓機14に搬送する。この実施形態では、開栓機14が全部の容器の栓を開けるように構成してあるが、中央制御部33に問い合せすることなく、予め設定されたコード番号により開栓処理を実施するか否かを該開栓機14内に予め設定された情報により判断して処理することも可能である。
【0043】
遠心分離及び開栓処理済みの検体容器1を載置した検体支持体3は、搬送ライン30によって搬送する途中でキャリア標識読み取り装置6cによりキャリア標識4を読み取り、分注装置15へ運ぶように分岐手段34bで分岐する。この分注装置15は、緊急で分注処理することを考慮して、検体投入口を設けてある。検体投入口に検体標識読み取り装置5bを設置して検体標識2を読み取り、前記キャリア標識読み取り装置6cによって読み取ったキャリア標識4の情報と新たに載置された検体容器1の情報を対(検体容器1と検体支持体3との組合せ)にして中央制御部33に再登録する。
【0044】
本発明のこの実施形態によれば、各検体支持体3毎に、そこに載置されている検体容器1の情報は検体標識2に既にコード化された処理項目群として書き込んであり、また、処理装置制御部38が管理情報として認識しているために、検体容器1(検体支持体3)が通過するたびに中央制御部33に問い合せる必要がなく、分注装置15に予め設定されている分注方法により、自動的に分注することが可能となる。このとき、この検体支持体3には予め設定された処理項目群以外の項目が指示されている検体容器1が載置されている場合があるが、このような場合にのみ分注情報を中央制御部33に問い合せる。従って、たとえ検体容器(検体支持体)の数が増えたとしても中央制御部33への情報通信量はあまり変わらないために、複雑で大規模な通信システムは不要である。
【0045】
このようにして分注装置15で分注処理を受けた親検体容器1が載置された検体支持体3は、搬送ライン30によって次の検体処理装置へ搬送する。
【0046】
また、分注装置15で分注された子検体を入れた子検体容器1aは、親検体とは別の検体支持体3に載置して支持されるが、このときも、子検体(子検体容器1)と検体支持体3は検体標識2とキャリア標識4によって相関付けられ分析装置16へ搬送される。そして、分析装置16に搬送した子検体容器1aについては、この分析装置16に取り付けられているキャリア標識読み取り装置(図示省略)によって検体支持体3のキャリア標識4を読み取ることにより、その検体支持体3にはどのような検体(子検体容器1)が載置されているかを認識し、認識された子検体の処理項目群に基づき該当する処理を行う。
【0047】
次に、合流手段35cを経て搬送ライン30に搬出された親検体容器1は、検体(例えば血清)を別の子検体容器1bに分注するために分注装置17に搬送し、ここでも同様に、検体支持体3のキャリア標識4をキャリア標識読み取り装置6dによって読み取ることにより、処理装置制御部39に予め設定された管理情報に基づいた分注処理を実施する。そして、分注処理済みの親検体容器1は、必要に応じて検体取り出し部18へ搬送する。分注処理により別の子検体容器1bに移した子検体(血清のみ)について、バーコードラベラの如き標識貼り付け装置32の処理装置制御部(図示省略)は、検体(検体容器1)の情報を中央制御部33に問い合せる。この問い合せに対する応答情報に基づき、バーコードラベラ32は、親検体容器1と同じ、属性,コード化された処理項目群を示すコード番号,コード化されていない処理項目の問い合せの要否情報を書き込んだ検体標識2のラベルを発行し、子検体容器1bの外壁に貼り付ける処理を行った後、搬送ライン30に検体支持体を送り出す。
【0048】
以下同様に、オンライン用の分析装置20で検体の分析処理を行うための分注装置19により子検体容器1bから別の子検体容器1cへ検体を分注処理し、オフライン用の分析装置(図示省略)のために分注装置21,22、(キャリア標識読み取り装置及び処理装置制御部を図示省略)により分注処理し、用手検査用として分注装置23で分注処理する。残った子検体は、検体容器1cを閉栓機26にて閉栓した後に一時待機部27に一時的に保存する。
【0049】
待機部27に保存した検体は必要に応じて待機部27から搬出される。そして、この保存された検体を再処理する場合には、検体容器1cを開栓機28にて開栓した後にキャリア標識読み取り装置(図示省略)にて検体支持体3の情報を読み取ることによりその検体支持体3に載置されている検体がどういう検体かを認識する。検体容器1cを帰還ライン31により合流手段35aを介して搬送ライン30の先頭部に搬送し、再度、必要な処理を実行する。
【0050】
再処理しない場合、あるいは予定された総ての処理が適正に終了した検体容器は、検体取り出し部29に搬出され、収納される。
【0051】
尚、検体標識2には、前述したが、各検体処理装置での処理項目が多くて検体容器に付けられた検体標識2の情報容量が足らないために、予め設定されたコード番号(処理項目群)以外の処理(処理項目)が必要となる場合に、必要に応じて中央制御部33に処理内容の問い合せを行うことを指示するための問い合せ要否を示すコード番号を設ける。
【0052】
以上に説明したように、図3の実施形態によれば、検体処理システムは、予め決められた処理項目群に相当するコードを各検体容器1に貼り付けた検体標識2に書き込んでおき、搬送ライン30に沿って設置した各検体処理装置は、先ず、予め決められた処理項目群に相当するコードに従って検体容器1を検体支持体3に振り分け載置して該検体支持体3とこれに載置している検体容器1の処理項目群を関連付け、各検体処理装置は、検体支持体3に付けられたキャリア標識4を認識することにより、その都度、中央制御部33との処理情報のやり取りをしなくても、各検体に必要な処理を実行することができ、従って、各検体処理装置と中央制御部の間の情報交換のための通信処理量を軽減することができる。
【0053】
このようなシステムは、検体や検体処理装置の数が多い検体処理システムにおいて、中央制御部33と各検体処理装置の間の情報通信処理量を軽減して検体処理速度を向上することができる。また、見方を変えれば、大規模な検体処理システムにおいても、簡易な通信システムを採用することができるので、価格を低減することができる。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、処理する検体の数や検体処理装置の数が増加することにより、この検体処理システムの全体を管理及び制御する中央制御部と各検体処理装置の間の通信システムが複雑且つ大型化するのを軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】少数の検体処理装置を配置した検体処理システムを示すブロック図である。
【図2】検体支持体の例を示す図である。
【図3】多数の検体処理装置を配置した検体処理システムであり、本発明に基づく検体処理機能を説明するための図である。
【符号の説明】
1…検体容器、2…検体標識、3…検体支持体、4…キャリア標識、5a,5b…検体標識読み取り装置、6a〜6g…キャリア標識読み取り装置、7…ラック供給ユニット、8…収納ストッカ、12…検体振り分け装置、13…遠心分離機、14,28…開栓機、15,17,19,21,22,23…分注装置、16,20…分析装置、18…検体取り出し部、24,32…標識貼り付け装置、25,29…検体取り出し部、26…閉栓機、27…待機部、30…搬送ライン、31…帰還ライン、33…中央制御部、37〜42…処理装置制御部、54…画面表示器、57,58,59…キャリア標識読み取り器。

Claims (11)

  1. 検体の情報が書き込まれた検体標識を有する検体容器に収容した検体について処理を行う複数の検体処理装置と、前記検体容器の前記検体標識を読み取る標識読み取り装置を備えた検体処理システムにおいて、
    上記複数の検体処理装置の内の1つ以上による処理項目の組合せをグループとして表わすグループコードを含むようにコード化して前記検体容器の検体標識に書き込んでおき、この検体標識を読み取って前記検体処理装置により処理項目群に該当する処理を行うようにしたことを特徴とする検体処理システム。
  2. 請求項1において、前記検体標識には、遠心分離の要否,開栓の要否,分注先,分注量の1つまたは一連の処理を1つの群にして示すコードで記録し、このコード番号に従って検体支持体に振り分けて載置した検体容器については、検体処理装置は、検体支持体を識別することにより該検体支持体に載置された検体容器内の検体に対して前記コードに該当する処理を行うようにしたことを特徴とする検体処理システム。
  3. 請求項1または2において、検体処理装置で行う処理項目群を示すコード化した標識を有する前記検体容器に収容された検体について、前記検体処理装置は、予め設定されたコード以外の処理については、処理項目を情報処理装置に問い合せて確認するようにしたことを特徴とする検体処理システム。
  4. 請求項1〜3の1項において、前記検体容器に付けられた検体標識には、収容する検体の、日付,年齢,性別,名前等の属性を書き込むようにしたことを特徴とする検体処理システム。
  5. 請求項1において、前記検体標識を読み取って処理項目群が同一の検体容器を1つの検体支持体に振り分け載置する検体振り分け装置と、この検体支持体に応じて該検体支持体に載置された各検体容器内の検体の処理を行う検体処理装置を備えたことを特徴とする検体処理システム。
  6. 検体の情報が書き込まれた検体標識を有する検体容器と、固有の支持体標識を有し、複数の検体容器を載置して支持する検体支持体と、前記検体容器の検体標識を読み取る検体標識読み取り装置と、前記検体支持体の支持体標識を読み取る支持体標識読み取り装置と、前記検体容器に収容した検体の処理を行う検体処理装置と、これらを管理する情報処理装置を備えた検体処理システムにおいて、前記複数の検体処理装置の内の1つ以上による処理項目の組合せをグループとして表わすグループコードを含むようにコード化して前記検体容器の検体標識に書き込んでおき、この検体標識を前記標識読み取り装置で読み取って処理項目群が同一の検体容器を1つの検体支持体に振り分け載置する検体振り分け装置を設け、前記情報処理装置は、前記検体支持体とこれに載置された検体容器に収容した検体の処理項目群を対にして管理情報として保持すると共に各検体処理装置に設定し、前記検体処理装置は、前記検体支持体の支持体標識を読み取って該検体支持体に載置された検体容器に収容した検体の処理項目群を判別するようにしたことを特徴とする検体処理システム。
  7. 検体を収容し得る検体容器を保持する検体支持体と、該検体支持体を搬送する搬送ラインと、該搬送ラインに沿って配置された複数の検体処理装置を備えた検体処理システムにおいて、上記検体容器の外壁に付された検体標識であって、検体番号のコードを含み、その内部に収容する検体に関し上記複数の検体処理装置の内の1つ以上による処理項目の組合せをグループとして表わすグループコードを含むように表示されている検体標識と、上記検体支持体に形成されている識別可能にコード化されたキャリア標識と、上記複数の検体処理装置の方へ上記検体支持体を搬送するに先立って、上記検体標識を読み取る検体標識読み取り装置と、上記複数の検体処理装置の方へ上記検体支持体を搬送するに先立って、上記キャリア標識を読み取る第1のキャリア標識読み取り装置と、上記複数の検体処理装置のそれぞれに対応して配置されている第2のキャリア標識読み取り装置と、各々の検体処理装置とペアをなしており、対応する第2のキャリア標識読み取り装置からの読み取り情報を受け取る処理装置制御部と、上記検体標識読み取り装置による検体標識の読み取り結果と上記第1のキャリア標識読み取り装置によるキャリア標識の読み取り結果に基づき個々の検体支持体に関しキャリア標識とグループコードの対応関係を登録する情報管理制御部と、を具備し、各々の処理装置制御部は、登録される上記対応関係を上記情報管理制御部から受け取って自己とペアをなす検体処理装置に関係するキャリア標識を管理することを特徴とする検体処理システム。
  8. 請求項7記載の検体処理システムにおいて、各々の検体処理装置は、自己に対応する第2のキャリア標識読み取り装置で読み取られたキャリア標識が自己の処理項目に該当するグループコードを含むときに、その読み取られたキャリア標識を有する検体支持体上の検体容器又は検体に対して自己の処理項目の処理を実行することを特徴とする検体処理システム。
  9. 請求項7記載の検体処理システムにおいて、上記識別可能なグループに含まれる処理項目は、遠心分離,開栓,検体分注,検体分析,閉栓及び一時待機の中から選ばれることを特徴とする検体処理システム。
  10. 請求項7記載の検体処理システムにおいて、上記検体標識読み取り装置により読み取られた検体標識の中に予め設定されているグループに該当しない処理項目が含まれているならば、上記情報管理制御部は、その非該当処理項目を処理すべき特定の検体処理装置に対応する特定の処理装置制御部に対し問い合せ要求指令を設定し、上記特定の処理装置制御部は、上記非該当処理項目と対応関係にあるキャリア標識を認識したときに、上記情報管理制御部に対し問い合せることにより上記情報管理制御部から受け取る処理情報に基づいて上記特定の検体処理装置が上記非該当処理項目の処理を実行するように制御することを特徴とする検体処理システム。
  11. 請求項7記載の検体処理システムにおいて、さらに、上記検体標識読み取り装置及び上記第1のキャリア標識読み取り装置による読み取り後に、上記グループコードが同じである複数の検体容器を1つの検体支持体に装填し、複数検体容器装填済みの検体支持体を上記搬送ラインに供給する検体振り分け装置を具備することを特徴とする検体処理システム。
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