JP3726710B2 - エアバッグ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エアバッグ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
従来、エアバッグ内にインフレータを収納し、制御信号に応じてインフレータから発せされるガスによりエアバッグを膨張展開させて乗員を保護するエアバッグ装置がある。また、エアバッグ装置においては、インフレータの周面を取り囲む円筒状のディフューザを設ける場合がある。ディフューザは、インフレータから吹き出されたガスの流れを制御してエアバッグに供給するための整流部材であり、上記エアバッグ装置に設ける場合、インフレータとともにエアバッグの内側に収納する必要があるため、いかにディフューザをエアバッグ内に配置させるかが問題となる。
【0003】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、ディフューザをエアバッグ内に収納してなるエアバッグ装置において、組み立て作業性に優れるものを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明のエアバッグ装置は、インフレータと、該インフレータの発するガスにより膨張して車両の乗員を保護するエアバッグと、該インフレータを収納できる開口を少なくとも一端側に有するとともに周面にガス吹出口を有する円筒状のディフューザと、を備えてなるエアバッグ装置において、前記エアバッグは前記インフレータの取付端部において挿入口を有するとともに、両側壁において開口部を有し、前記ディフューザを前記挿入口よりエアバッグ内に挿入し、その両端を前記開口部より外方に露出せしめ、前記挿入口を縫合したことを特徴とする。
【0005】
このエアバッグ装置においては、エアバッグ両側壁の開口部から外側に露出させたディフューザ端部の開口よりインフレータをディフューザ内に挿入し、これにより、インフレータはディフューザ内に収納された状態でエアバッグ内に配置される。そして、制御信号に応じてインフレータからガスが発せられると、そのガスはディフューザの周面のガス吹出口からエアバッグ内に供給されて、エアバッグが膨張展開する。
【0006】
本発明のエアバッグ装置であると、エアバッグにディフューザの挿入口を設定しておき、ディフューザの挿入後に該挿入口を縫合して閉じるようにしたので、エアバッグ装置の組み立て作業性を向上することができる。
【0007】
また、インフレータを挿入するために設けるエアバッグの上記開口部を、ディフューザが通過し得る寸法よりも小さく設定することができるので、エアバッグからのガス漏れを抑制することができる。この点、特に、ディフューザの周面に固定用突部としてボルト等が突設されている場合に有利である。
【0008】
さらに、ディフューザの両端を上記開口部からエアバッグ外に露出せしめたことにより、インフレータをディフューザ内に挿入しやすく、また、この開口縁部がインフレータの発するガスにより損傷するのを防止することができる。
【0009】
本発明のエアバック装置において、前記挿入口の前記縫合においては、縫い代のない口元部を強制的に引き出して、その内面同士を相対向させ、この対向部において縫合してもよい。
【0010】
本発明のエアバッグ装置においては、また、前記エアバッグの展開姿勢において、前記挿入口の縫合部が前記ディフューザの周面から離れて位置するように構成してもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の1実施形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1は実施形態におけるエアバッグ14及びディフューザ16の斜視図、図2は該エアバッグ14の縫製前の平面図、図3はエアバッグ装置10の分解斜視図である。
【0013】
このエアバッグ装置10は、助手席前方のインストルメントパネル内に配設される助手席用エアバッグ装置であり、ガス発生器であるインフレータ12と、該インフレータ12の発するガスにより膨張展開して車両の乗員を保護するエアバッグ14と、インフレータ12を収納する円筒状のディフューザ16と、これらを収納するケース18とからなる。
【0014】
インフレータ12は、円柱状をなし、軸方向の一端部に円板状のフランジ部20を持ち、他端部に本体胴部よりも小径のガス噴出部22を備えて、このガス噴出部22の先端面にボルト24が固設されている。
【0015】
ディフューザ16は、内側にインフレータ12を収納できるように両端において開口する円筒状をなし、周面に複数のガス吹出口26を有する。ディフューザ16の底部には、ケース18への固定用突部である複数のボルト28が下方に向けて突設されている。詳細には、ディフューザ16は、この実施形態では、図5に示すように、金属板をロール状に丸め、底部の重ね合わせ部に設けた貫通孔にボルト28を通して固定することにより構成されている。
【0016】
ケース18は、上方に開口する水平断面矩形の箱形容器であり、少なくとも一方の側壁にインフレータ12を挿入するための円形の開口部30を備える。また、ケース18の底面には、ディフューザ16のボルト28のためのボルト孔32が設けられている。
【0017】
エアバッグ14は、インフレータ12の取付端部34から乗員を受け止める正面部36にかけて逆テーパ状に広がる概略横倒四角錐状をなしており、所定形状に折り畳まれた状態でケース18内に収納固定される。詳細には、エアバッグ14は、この実施形態では、図2に示す基布を縫製して構成されている。すなわち、基布は、正面部36の上下両縁から上面部38と下面部40がそれぞれ一体に延出され、上面部38及び下面部40の左右両側縁から側面部42を構成する側面用布部44,46がそれぞれ一体に延出されており、上下の側面用布部44,46の対向する縁部同士を縫合して横縫合部48を形成すると共に、側面用布部44,46と正面部36の対向する縁部同士を縫合して縦縫合部50を形成することで、上記形状の袋状に構成されている。
【0018】
エアバッグ14には、図1に示すように、上記取付端部34にディフューザ16を挿入するための挿入口52が設けられており、また、その左右両側壁に略円形の開口部54が設けられている。なお、符号56は、側面部42に設けられたベントホールを示している。
【0019】
上記挿入口52は、図2に示す基布の上下両端縁を、エアバッグ14の縫製時に縫合しないことにより形成されており、その口元部には縫い代は設けられていない。
【0020】
上記開口部54は、側面部42、詳細には下面部40から延出された側面用布部46に設けられている。また、開口部54は、図3に示すように、その内側にディフューザ16の端部がぴったりと嵌り込み、その開口縁部がディフューザ16の端部外周面に密着した状態に保持されるように、開口周長がディフューザ16端部の外周長と同一寸法もしくはやや小さい程度に設定されている。
【0021】
上記取付端部34には、ディフューザ16のボルト28が挿通される複数のボルト孔58が設けられている。ボルト孔58は、上記挿入口52から下面部40側にずれた位置に設けられており、図2に示すように左右の上記開口部54の間に並んで設けられている。
【0022】
そして、このボルト孔58及び上記開口部54を補強するために、取付端部34には複数の補強布60,62,64が縫着されている。詳細には、図4にも示されているように、エアバッグ14の外面側に縫着される第1補強布60と、エアバッグ14の内面側に縫着される第2及び第3補強布62,64とからなり、最も内側に縫着される第3補強布64は、上記挿入口52の開口縁まで延在している。
【0023】
本実施形態のエアバッグ装置10を組み立てる際には、図2に示す基布を図1に示す袋状に縫製しておいて、挿入口52からディフューザ16をエアバッグ14内に挿入する。挿入する際には、ディフューザ16を斜めに傾けながら入れる。そして、ディフューザ16のボルト28をボルト孔58に挿通させ、ディフューザ16の軸方向両端を上記開口部54からエアバッグ14外に露出せしめると共に、上記挿入口52を縫合して閉じる。
【0024】
この縫合は、縫い代のない口元部を強制的に引き出して、その内面同士を相対向させ、平らな面に置いてこの対向部を縫製することにより行う。このようにして縫製された縫合部66は、図4に示されているように、第3補強布64が一緒に縫合され、縫合部66の重ね合わせ枚数が増加していることから強度アップが図られている。
【0025】
また、この挿入口52の縫合部66は、図5に示すように、エアバッグ14の展開姿勢(状態)において、ディフューザ16の上方に離れて位置するように設定されており、この実施形態では、縫合部66がケース18の上面から外側に出る程度の位置に設定されている。
【0026】
上記のように挿入口52を縫合した後、図3に示すように、ディフューザ16をエアバッグ14と共にケース18に固定するために、ボルト28をケース18のボルト孔32に差し込み、ナット68で締結する。これにより、ディフューザ16の端部の開口がケース18側壁の上記開口部30と一致する。その後、インフレータ12をケース18の一方の側壁の開口部30から挿入することで、インフレータ12をディフューザ16内に挿入し、ケース18の他方の側壁で上記ボルト24を不図示のナットで締め付けることにより、インフレータ12はディフューザ16内に収納された状態でエアバッグ14内に配置される。
【0027】
以上よりなる本実施形態のエアバッグ装置10であると、エアバッグ14にディフューザ16の挿入口52を設定しておき、挿入後に該挿入口52を縫合して閉じるようにしたので、エアバッグ装置10の組み立て作業性に優れる。また、インフレータ12を挿入するために設けるエアバッグ14の上記開口部54を、ボルト28が突設されたディフューザ16が通過し得る寸法よりも小さく設定することができる。すなわち、上記したように開口部54の開口縁部をディフューザ16の端部外周面に密着した状態に保持させることができるので、該開口部54からのガス漏れを抑制することができる。
【0028】
また、ディフューザ16の両端を上記開口部54からエアバッグ14外に露出させてその外周面にて開口部54の縁部を保持するようにしたことから、インフレータ12をディフューザ16内に挿入する際にエアバッグ14の開口縁部が邪魔にならず、従って、挿入しやすい。また、この開口部54の開口縁部がディフューザ16の内側に存在しないことから、インフレータ12の発するガスによるバッグの損傷を防止することができる。
【0029】
【発明の効果】
本発明のエアバッグ装置によれば、エアバッグにディフューザの挿入口を設定したことにより、エアバッグ装置の組み立て作業性を向上することができ、また、インフレータを挿入するために設けるエアバッグの開口部をディフューザが通過し得る寸法よりも小さく設定することができるので、エアバッグからのガス漏れを抑制することができる。さらに、ディフューザの両端を上記開口部からエアバッグ外に露出せしめたことにより、インフレータをディフューザ内に挿入しやすく、また、この開口縁部がインフレータの発するガスにより損傷するのを防止することができる。
【0030】
また、あらかじめ縫い代を設定しておく必要がなく、縫い代分のバッグ部材の寸法を小さくすることができるため、材料費を削減でき、その結果としてコストダウンが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施形態におけるエアバッグ及びディフューザの斜視図である。
【図2】該エアバッグの縫製前の展開図である。
【図3】実施形態のエアバッグ装置の分解斜視図である。
【図4】該エアバッグの取付端部における断面図である。
【図5】該エアバッグ装置の断面図である。
【符号の説明】
10……エアバッグ装置
12……インフレータ
14……エアバッグ
16……ディフューザ
26……ガス吹出口
34……取付端部
52……挿入口
54……開口部
66……縫合部
Claims (3)
- インフレータと、該インフレータの発するガスにより膨張して車両の乗員を保護するエアバッグと、該インフレータを収納できる開口を少なくとも一端側に有するとともに周面にガス吹出口を有する円筒状のディフューザと、を備えてなるエアバッグ装置において、
前記エアバッグは前記インフレータの取付端部において挿入口を有するとともに、両側壁において開口部を有し、
前記ディフューザを前記挿入口よりエアバッグ内に挿入し、その両端を前記開口部より外方に露出せしめ、前記挿入口を縫合した
ことを特徴とするエアバッグ装置。 - 前記挿入口の前記縫合においては、縫い代のない口元部を強制的に引き出して、その内面同士を相対向させ、この対向部において縫合したことを特徴とする請求項1記載のエアバッグ装置。
- 前記エアバッグの展開姿勢において、前記挿入口の縫合部が前記ディフューザの周面から離れて位置していることを特徴とする請求項1又は2記載のエアバッグ装置。
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