JP3726356B2 - 洗濯機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、洗濯槽内の衣類を直接パルセータで攪拌せずに、洗濯液の循環によって洗濯を行う洗濯機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、洗濯機は攪拌方式の洗濯機が主流であり、その代表であるパルセータ式の洗濯機を例に挙げて説明すると、洗濯槽に衣類を投入した後、所定量の水と洗剤とを投入し、パルセータを回転させることによって衣類と水を攪拌し、洗剤を溶解しながら衣類の汚れに作用させるとともに、衣類相互間を摩擦させたり、または衣類と洗濯槽の内壁面およびパルセータ表面とを摩擦させることによって衣類の汚れの除去を行っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の攪拌方式による洗濯機では、衣類に加わる摩擦によって衣類表面が毛羽立ったり、ほつれが生じたり、または衣類どうしが絡んで引っ張り力が働くことによって伸びが発生するといった問題を有していた。また、衣類の摩擦力を低減させるために攪拌力を弱くした場合には、洗濯液が衣類を通過する能力が低下して洗濯性能が十分に確保できないといった問題を有していた。
【0004】
この問題の解決案として、既に衣類を洗濯槽内の所定の位置に保持する仕切り体を設けて衣類を攪拌することなく安定した汚れ除去が行える洗浄方式が提案されている。この洗浄方式では、パルセータの回転によって洗濯液がポンプアップされ、洗濯槽の上部の散水口から洗濯槽内の衣類に洗濯液が供給されるように工夫されている。
【0005】
しかしながら、この洗浄方式にて大容量の衣類を一度に洗浄しようとした場合、衣類に洗濯液をまんべんなく供給することが困難で、衣類が何重にも重なって厚みを帯びている部分に洗濯液が十分に行き届かず、洗浄むらができるといった問題を有していた。また、散水の際に、水面付近で多くの空気を巻き込むため非常に泡立ちすぎるといった問題を有していた。
【0006】
本発明は上記課題を解決するもので、大容量の衣類を一度に、洗濯液の循環によって洗濯する際に、衣類に洗濯液をまんべんなく供給し、洗濯液を衣類全体にむらなく浸透させて高い洗浄性能を確保することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の洗濯機においては、洗濯槽の底面にパルセータを回転自在に配設し、パルセータの上方を覆う多孔体をパルセータとは動的に切り離して設け、パルセータの裏面側に形成したポンプ室から洗濯槽の側壁上方に向かって送水する循環水路を設け、循環水路には洗濯槽の内部に向けて洗濯水を散水する散水口を設けるとともに、この散水口は高さが異なる位置に複数設け、複数の散水口の内、一部の散水口より洗濯液を左右の2方向に散水 し、その散水形態が洗濯槽の内壁に沿うように構成したものである。
【0008】
これにより、高さが異なる複数の散水口より洗濯槽内の衣類に洗濯液をまんべんなく供給することができ、衣類の量が多い場合でも、洗濯液を衣類全体にむらなく浸透させることができて、高い洗浄性能を確保することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、洗濯槽の底面にパルセータを回転自在に配設し、前記パルセータの上方を覆う多孔体を前記パルセータとは動的に切り離して設け、前記パルセータの裏面側に形成したポンプ室から前記洗濯槽の側壁上方に向かって送水する循環水路を設け、前記循環水路には前記洗濯槽の内部に向けて洗濯水を散水する散水口を設けるとともに、この散水口は高さが異なる位置に複数設け、前記複数の散水口の内、一部の散水口より洗濯液を左右の2方向に散水し、その散水形態が前記洗濯槽の内壁に沿うように構成したものであり、高さが異なる位置の複数の散水口より洗濯脱水槽の内部に向けて散水することができ、多孔体の上面の衣類に上方の複数の方向より洗濯液が散水され、衣類の量が多い場合でも、洗濯液を衣類全体にむらなく浸透させることができて、高い洗浄性能を確保することができるとともに、洗濯槽内のすべての位置に、特に内壁付近の散水されにくいとされている位置にもまんべんなく洗濯液を供給することができ、衣類に洗濯液をむらなく浸透させることができて、洗浄することができる。
【0010】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
(実施例1)
図1に示すように、洗濯機外枠1は、4本の吊り棒2により水受け槽3を吊り下げている。洗濯兼脱水槽(洗濯槽)4は水受け槽3内に回転自在に配設し、洗濯兼脱水槽4の底部にパルセータ5を回転自在に配設している。モータ6は、Vベルト7および減速機構8を介してパルセータ5および洗濯兼脱水槽4を駆動する。パルセータ5に裏羽根9を設け、この裏羽根9の外周部にポンプ室10を形成しており、洗濯兼脱水槽4内の洗濯水をポンプ室10から循環水路11、12を経由して洗濯兼脱水槽4の上方に送水する。
【0012】
循環水路11は高さの異なる位置に、第1の散水口13aとこの第1の散水口13aより下部に設けた第2の散水口13bを有し、これらの第1および第2の散水口13a、13bから洗濯兼脱水槽4内に向けて散水する。循環水路12は第2の散水口13bとほぼ同じ高さの位置に散水口14を有し、この散水口14から洗濯兼脱水槽4内に向けて散水する。
【0013】
多孔体15は、パルセータ5の上方部にパルセータ5を覆うように配設している。給水手段16は洗濯兼脱水槽4内に給水するもので、排水手段17は水受け槽3内の洗濯水を排水するものである。制御装置18は洗濯機本体の上面に設けている。
【0014】
上記構成において動作を説明する。洗濯兼脱水槽4内に設置した多孔体15の上面に衣類を置き、所定量の水と洗剤を洗濯兼脱水槽4内に投入した後、運転を開始する。これによってモータ6が駆動し、Vベルト7および減速機構8を介してパルセータ5が回転する。パルセータ5の回転とともに、パルセータ5の裏羽根9が回転し、洗濯兼脱水槽4内の洗濯液がポンプ室10から循環水路11、12へと送水される。
【0015】
循環水路11へ送水された洗濯液は高さの異なる第1の散水口13aおよび第2の散水口13bの両方から、多孔体15の上面に置いた衣類へ散水され、循環水路12へ送水された洗濯液は散水口14から多孔体15の上面に置いた衣類へ散水される。一方、パルセータ5上部の洗濯液はパルセータ5の回転によって洗濯兼脱水槽4の中央からパルセータ5の上面部を経由して外側へと強制的に送水される。このため洗濯液面の中央部の上方から下方に向けて水流が発生することになる。
【0016】
このようにパルセータ5の回転によって多孔体15の上面の衣類に対し、洗濯液が上部より散水されるとともに、上方から下方への水流によって衣類内部を強制的に通過させられることになる。これによって、衣類を攪拌することなく汚れの除去を行うことができる。
【0017】
このように高さが異なる位置に第1の散水口13aおよび第2の散水口13bを設けることにより、高さが異なる位置より洗濯脱水槽4の内部に向けて散水することができ、多孔体15の上面の衣類に上方の複数の方向より洗濯液が散水され、衣類の量が多い場合でも、洗濯液を衣類全体にむらなく浸透させることができて、高い洗浄性能を確保することができる。
【0018】
(実施例2)
図1において、パルセータ5の回転によって裏羽根9が回転し、洗濯兼脱水槽4内の洗濯液がポンプ室10と循環水路11を経由して、第1の散水口13aおよび第2の散水口13bから洗濯兼脱水槽4内へ散水される際に、第1の散水口13aから散水される洗濯液の総量が、第1の散水口13aより下部に設けた第2の散水口13bから散水される洗濯液の総量よりも少なくなるように、第1の散水口13aおよび第2の散水口13bの大きさを定めている。他の構成は上記実施例1と同じである。
【0019】
上記構成において動作を説明する。なお、多孔体15の上面の衣類に対し、パルセータ5の回転によって洗濯液を上部より散水し、衣類を攪拌することなく汚れの除去する動作は、上記実施例1の動作と同じであるので説明を省略する。
【0020】
第1の散水口13aから散水される洗濯液は、高い位置から散水されるため、水面付近で空気を多く巻き込んで泡立ちが大きくなるが、第2の散水口13bから散水される洗濯液は、第1の散水口13aより低い位置から散水されるため、水面付近の空気の巻き込みが比較的少なく、泡立ちにくくなることを発明者らは確認している。
【0021】
したがって、低い位置の第2の散水口13bからの散水を多くすることにより、泡立ちを抑えることができ、多孔体15の上面の衣類に洗濯液をむらなく浸透させることができて、高い洗浄性能を確保することができる。
【0022】
(実施例3)
図1において、パルセータ5を駆動と休止の繰り返しで運転し、循環水路11に設けた第1の散水口13aから散水される洗濯液より、第1の散水口13aよりも下部に位置する第2の散水口13bから散水される洗濯液の方が長い時間散水されるようにパルセータ5の運転を制御するように構成している。他の構成に上記実施例1または2と同じである。
【0023】
上記構成において動作を説明する。なお、多孔体15の上面の衣類に対し、パルセータ5の回転によって洗濯液を上部より散水し、衣類を攪拌することなく汚れの除去する動作は、上記実施例1または2の動作と同じであるので説明を省略する。
【0024】
第1の散水口13aおよび第2の散水口13bからの散水は、すべてパルセータ5の回転によるポンプアップの力を利用したものであるが、泡立ちを抑えることを考慮するあまりにパルセータ5の駆動時間が短かすぎては十分な量の洗濯液が散水できずに、衣類に洗濯液をむらなく浸透させることが困難である。
【0025】
パルセータ5を一定時間以上駆動した場合、高い位置にある第1の散水口13aまで洗濯液がポンプアップされにくくなり、第1の散水口13aからの散水は長くつづかない。これと逆に第1の散水口13aより下部に位置する第2の散水口13bまでは洗濯液がポンプアップされやすく、第2の散水口13bからは、長く継続して散水される。
【0026】
したがって、第1の散水口13aからの散水は長くつづかず、第2の散水口13bからは長く継続して散水される駆動時間でパルセータ5の運転を制御することにより、泡をあまり立てずに、かつ衣類に洗濯液をむらなく浸透させることができて、高い洗浄性能を確保することができる。
【0027】
(実施例4)
図1において、第2の散水口13bは中央で仕切り、図2の点線aで示すように、洗濯液を左右の2方向に散水し、その散水形態が洗濯兼脱水槽4の内壁に沿うように構成している。他の構成は上記実施例1〜3と同じである。
【0028】
上記構成において動作を説明すると、第1の散水口13aから散水される洗濯液は、図2の一点鎖線bで示す形状となり、洗濯兼脱水槽4の中央部の衣類に供給される。第2の散水口13bより、左右2方向に分けて散水される洗濯液は、図2の点線aで示す形状となり、洗濯液を洗濯兼脱水槽4の内壁に沿うようにすることにより、洗濯兼脱水槽4内のすべての位置に、特に内壁付近の散水されにくいとされている位置にもまんべんなく洗濯液を供給することができ、衣類に洗濯液をむらなく浸透させることができて、洗浄することができる。なお、二点鎖線cは、循環水路12に設けた散水口14から散水される洗濯液を示している。
【0029】
なお、上記実施例では、第2の散水口13bより洗濯液を左右の2方向に散水するように構成しているが、第1の散水口13aより洗濯液を左右の2方向に散水するように構成してもよく、また、散水口14より洗濯液を左右の2方向に散水するように構成してもよい。
【0030】
また、第1の散水口13aおよび第2の散水口13bを有する循環水路11を洗濯兼脱水槽4内に複数設けることで、洗濯兼脱水槽4内のすべての位置に洗濯液を充分に供給することができ、一層衣類に洗濯液をむらなく浸透させることができて、洗浄することができる。
【0031】
なお、上記各実施例では、水受け槽3内に回転自在に配設した洗濯兼脱水槽4の底部にパルセータ5を回転自在に配設し、パルセータ5に設けた裏羽根9の外周部にポンプ室10を形成し、洗濯兼脱水槽4内の洗濯水をポンプ室10から循環水路11、12を経由して洗濯兼脱水槽4の上方に送水するように構成しているが、二槽式洗濯機などにみられる固定した洗濯槽の底部にパルセータを回転自在に配設し、洗濯槽内の洗濯水をポンプ室から循環水路を経由して洗濯槽の上方に送水するように構成してもよい。
【0032】
【発明の効果】
以上のように本発明の請求項1に記載の発明によれば、洗濯槽の底面にパルセータを回転自在に配設し、前記パルセータの上方を覆う多孔体を前記パルセータとは動的に切り離して設け、前記パルセータの裏面側に形成したポンプ室から前記洗濯槽の側壁上方に向かって送水する循環水路を設け、前記循環水路には前記洗濯槽の内部に向けて洗濯水を散水する散水口を設けるとともに、この散水口は高さが異なる位置に複数設け、前記複数の散水口の内、一部の散水口より洗濯液を左右の2方向に散水し、その散水形態が前記洗濯槽 の内壁に沿うように構成したから、高さが異なる位置の複数の散水口より多孔体の上面の衣類に洗濯液が散水され、衣類の量が多い場合でも、洗濯液を衣類全体にむらなく浸透させることができて、高い洗浄性能を確保することができるとともに、洗濯槽の内壁付近の散水されにくいとされている位置にもまんべんなく洗濯液を供給することができ、衣類に洗濯液をむらなく浸透させることができて、洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例の洗濯機の断面図
【図2】 (a)本発明の第4の実施例の洗濯機の散水の形状を示す要部平面図
(b)同洗濯機の散水の形状を示す要部断面図
【符号の説明】
4 洗濯兼脱水槽(洗濯槽)
5 パルセータ
10 ポンプ室
11 循環水路
13a 第1の散水口(散水口)
13b 第2の散水口(散水口)
15 多孔体
Claims (1)
- 洗濯槽の底面にパルセータを回転自在に配設し、前記パルセータの上方を覆う多孔体を前記パルセータとは動的に切り離して設け、前記パルセータの裏面側に形成したポンプ室から前記洗濯槽の側壁上方に向かって送水する循環水路を設け、前記循環水路には前記洗濯槽の内部に向けて洗濯水を散水する散水口を設けるとともに、この散水口は高さが異なる位置に複数設け、前記複数の散水口の内、一部の散水口より洗濯液を左右の2方向に散水し、その散水形態が前記洗濯槽の内壁に沿うように構成した洗濯機。
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