JP3726300B2 - 自動販売機の施錠装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、メインドアを販売機本体にロック・アンロックする施錠装置に関し、特に防犯対策用に開発された自動販売機の施錠装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在の自動販売機における施錠は、メインドアに取り付けたハンドルとこのハンドルに組み込んだ錠前とから成る、いわゆるハンドルロック式が主流となっている。ハンドルロック式では、ハンドルや錠前を破壊すると容易にメインドアが開けられてしまうため、防犯対策として、ハードロックやブルロックと呼ばれるロック機構を追加して2重施錠方式にしている。図10に示すように、ハードロック101およびブルロック102は、それぞれ販売機本体103からメインドア104に掛け渡した鎖やロック板を、錠前により施錠するものであり、これらは自動販売機の外面に取り付けられている(図示では、ハードロック101およびブルロック102の両者を同一の図に記載している)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の施錠装置では、いずれにあっても外部に露出すると共に、錠前による施錠となるため、犯罪者に対し視覚に訴える効果はあるものの、これら2重施錠を破壊するのは時間の長短の問題であり、十分な防犯対策にはなっていなかった。しかも、オペレータ側では、メインドアを開放する場合に、2回の解鍵操作(施錠操作も1回必要)が必要になり、取扱いが煩雑になる問題があった。
【0004】
もっとも、機械的なハンドルロック式に代えて電子ロック式にすれば、上記の問題は解消される。しかし、かかる場合に、通電不能な保管場所や据付当初などにおいて、メインドアを開くことができないという事態が発生する。また、防犯対策が必要なのは、人通りの少ない所に設置される自動販売機に限定されるため、そのために電子ロック式専用の自動販売機を製作することは不経済となる。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、取扱い性を損なうことなく、防犯性能を向上させることができる自動販売機の施錠装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく本発明は、販売機本体に対するメインドアの閉塞を外部からロック・アンロックする機械的な第1のロック機構と、販売機本体に対するメインドアの閉塞を内部においてロック・アンロックする電気的な第2のロック機構と、当該第のロック機構を起動する起動手段とを備え、前記起動手段は、第2のロック機構のロック・アンロック時に当該第2のロック機構を複数回連続して起動することを特徴とする。
【0007】
この場合、起動手段が、タイマーにより制御され、定期的に第2のロック機構を起動することが、好ましい。
【0010】
【作用】
請求項1の自動販売機の施錠装置では、内部においてメインドアを販売機本体にロック・アンロックする第2のロック機構を備えることにより、外部から第1のロック機構が破壊されても、第2のロック機構は破壊されることがなく、メインドアのロック状態を保持することができる。また、起動手段により、第2のロック機構をアンロックしておけば、通常の自動販売機と同様に、第1のロック機構により、通電の有無に関係なく、メインドアを販売機本体にロック・アンロックすることができる。さらに、起動手段により、第2のロック機構のロック・アンロック時に複数回起動することにより、ロック状態およびアンロック状態を確実なものとすることができる。
【0011】
請求項2の自動販売機の施錠装置では、起動手段がタイマーにより制御されることにより、例えば、第2のロック機構のロック状態を、人通りの少ない深夜のみに設定することができ、防犯の目的を十分に達成することができると共に、商品のローディングなどでは、通常の自動販売機と全く同様に取り扱うことができる。また、起動手段をタイマーにより定期的に第2のロック機構を起動することによりロック状態およびアンロック状態を確実なものとすることができる。
【0014】
【実施例】
以下、本発明の好ましい実施例を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の施錠装置を組み込んだ缶飲料自動販売機の正面図、図2はその側面図である。これらの図に示すように、この自動販売機1は、販売機本体2と、販売機本体2の前面開口を開閉するメインドア3とで構成されており、メインドア3の前面には、多数の選択ボタン(接客操作部)4、表示器5、紙幣投入口6、コイン投入口7、および返却レバー(接客操作部)8などが設けられている。コイン投入口7の脇には第1ロック機構9が設けられ、また第1ロック機構9の上側のメインドア3の懐内には、第2ロック機構10が設けらている。
【0015】
図3ないし図5に示すように、第1のロック機構9は、一般に用いられるハンドルロック式のものであり、錠前22を組み込んだハンドル21と、ハンドル21を回動自在に保持するハンドルホルダ23と、中間部でハンドル21に係合し、ハンドル21の回動操作で相互に逆方向に進退する第1ロック板(移動部材)24および第2ロック板(移動部材)25と、販売機本体2に固定され、第1ロック板24および第2ロック板25に係止する上下一対の固定板(図4参照)26,26とで構成されている。
【0016】
ハンドル21は、メインドア3の外部に露出したハンドル本体27と、錠前22を内蔵した軸部28と、軸部28の尾端の偏心位置にそれぞれ取り付けられた第1ピン29aおよび第2ピン29bとで構成されている。第1ピン29aには上記の第1ロック板24が、第2ピン29bには上記の第2ロック板25がそれぞれ係合している。ハンドル本体27は、錠前22をキー操作することにより、ハンドルホルダ23から突出して回動操作可能な状態になり、この状態でハンドル21を回動させることにより、第1ピン29aおよび第2ピン29bを介して、第1ロック板24および第2ロック板25が上下方向に進退する。
【0017】
第1ロック板24および第2ロック板25は、メインドア3の内縁部に沿って上下に長く、かつ重なるように配設されている(図1および図5参照)。第1ロック板24および第2ロック板25は、断面「コ」字状に形成されたアングル材でそれぞれ構成され、第1ロック板24が、その内側に第2ロック板25を内包するように配設されている。第1ロック板24の中間部には、ハンドル21の第1ピン29aに向かって第1平板部30aが延設されており、この第1平板部30aに形成された第1長孔31aに、第1ピン29aが係合している。同様に、第2ロック板25の中間部には、第2ピン29bに向かって第2平板部30bが延設され、この第2平板部30bに形成された第2長孔31bに、第2ピン29bが係合している。
【0018】
第1長孔31aおよび第2長孔31bは、それぞれ水平方向に延びており、ハンドル21の軸心を挟んで斜め上下にそれぞれ配設されている。これにより、ハンドル21を時計方向に回動操作すると、第1ロック板24が上動し、同時に第2ロック板25が下動する。この状態から逆にハンドル21を反時計方向に戻すと、第1ロック板24が下動し、同時に第2ロック板25が上動する。
【0019】
一方、各固定板26は、基端部が販売機本体2のシャーシに固定されており、先端部が鍔部26a,26aおよびくびれ部26b,26bを有して鏃形に形成されている。これに対応して、第1ロック板24および第2ロック板25には、各固定板26の鍔部26a,26aがくぐり抜け可能な第1ロック開口24a,25aが、それぞれ形成されている。第1ロック板24の第1ロック開口24aと、第2ロック板25の第1ロック開口25aとは、相互に位置ずれして配設されており、第1ロック板24が下動すると共に第2ロック板25が上動して、第1ロック板24の第1ロック開口24aの上端と、第2ロック板25の第1ロック開口25aの下端とが、固定板26のくびれ部26b,26bに挿入された状態がロック状態であり、第1ロック板24が上動すると共に第2ロック板25が下動して、両第1ロック開口24a,25aが合致した状態が、アンロック(ロック解除)状態である。すなわち、第1ロック機構9は、図3のハンドル21を実線で示した状態でロック状態になり、2点鎖線で示した状態でアンロック状態になる。
【0020】
なお、図示では省略されているが、第1ロック板24および第2ロック板25は、ばねによりロック方向に付勢されており、アンロック位置に回動操作したハンドル21は自動的にロック位置に戻ると共に、メインドア3を閉めたときに、固定板26が第1ロック板24および第2ロック板25を押し開くようにこれらに貫通して、自動的にロックが掛かるようになっている。
【0021】
次に、図6ないし図9を参照して、第2ロック機構10について説明する。これら図に示すように、第2ロック機構10は、第1ロック板24および第2ロック板25に同時に係脱する係止板(移動阻止部材)41と、係止板41の係脱を案内するガイド板42と、係止板41を進退(係脱)させるスライド板43と、スライド板43の上下両端に連結された一対のソレノイド44a,44bとで構成されており、両ソレノイド44a,44bには、その駆動を制御するコントローラ(起動手段)11が接続されている。すなわち、第2ロック機構10は、第1ロック機構9の第1ロック板24および第2ロック板25を利用して、ロック・アンロック動作する構造になっている。
【0022】
係止板41の先端には、係止突起41aが形成されており、これに対応して第1ロック板24および第2ロック板25には、第2ロック開口24b,25bがそれぞれ形成されている。両第2ロック開口24b,25bは、上下に相互に位置ずれして配設されており(図6参照)、第1ロック板24が下動すると共に第2ロック板25が上動したロック状態において合致し、係止突起41aの係合を許容する(図9参照)。この係止突起41aの係合により、第1ロック板24および第2ロック板25のアンロック方向への移動が阻止され、メインドア3のロック状態が維持される。
【0023】
また、係止板41の尾端は山形に形成され、これを受けるようにスライド板43の中間部に谷形の溝が形成されている。この係止板41の尾端とスライド板43の谷形の溝とは、直動カムを構成しており、スライド板43が上下方向に移動することにより、係止板41が進退して、その係止突起41aが第1、第2ロック板24,25の第2ロック開口24b,25bに係脱する。なお、係止板41には、コイルばね45が取り付けられており、係止板41はコイルばね45により離脱方向に常に付勢されている。
【0024】
スライド板43の両端には、スライド板43を相互(交互)に引き付ける一対のソレノイド44a,44bが連結されており、両ソレノイド44a,44bは交互に励磁され、スライド板43を介して係止板41を、第1、第2ロック板24,25の移動を阻止する位置と移動を許容する位置との間で進退させる。両ソレノイド44a,44bは、これに接続されたコントローラ11により制御され、第2ロック機構10をロック状態にするときは、このコントローラ11により下側のソレノイド44bにのみ瞬時通電して、スライド板43を下動させ(図9参照)、アンロック状態にするときは、上側のソレノイド44aにのみ瞬時通電して、スライド板43を上動させる(図6参照)。この場合、ロック動作を行う下側のソレノイド44bは、ばねに置き換え得るが、停電時にロックが解除されてしまう不具合を生ずるため、常時ソレノイドに通電している必要のない構造になっている。したがって、常時ソレノイドに通電する必要のない他の構造を執ることもできる。
【0025】
また、コントローラ11にはタイマー12が組み込まれており(コントローラ、タイマー共に、自動販売機に搭載されているマイコンを利用)、このタイマー12により、犯罪多発時間帯のみ、第2ロック機構10をロック状態にするようになっている。さらに、このタイマー12を利用して、ロック状態およびアンロック状態を確実なものにするため、ロック状態にするときおよびアンロック状態にするときに、該当するソレノイド44a,44bに数回連続して通電し、かつその後、時間をおいて定期的(例えば1時間毎)に通電するようにしている。このように、犯罪多発時間帯、例えば深夜のみ第2ロック機構10のロックを掛けることにより、昼間、集金やローディング作業を行う場合に、第1ロック機構9のみの操作で、自動販売機1を取り扱うことができる。
【0026】
一方、非常時を想定して、上記の第2ロック機構10のロック状態を解除可能にするために、本実施例では、多数の選択ボタン4の選択的な押釦により、第2ロック機構10のロック状態を強制的に解除できるようになっている。この押釦手順は、暗号的な組み合わせで構成されることが、好ましい。なお、フェールセイフを観点から、停電時に、第2ロック機構10のロック状態を解除できるようにすることも必要である。例えば、上側のソレノイド44aに通電できるコネクタを自動販売機1の外面に設け、或いは上側のソレノイド44aに通電できるバッテリー電源を内蔵して、その通電スイッチを自動販売機1の外面に設け、コネクタまたは通電スイッチをキー操作で使用できるようにする。
【0027】
以上のように、本実施例の施錠装置によれば、ハンドルロック式の第1ロック機構9と、外部に操作部の無い、電気的な第2ロック機構10を備え、この第2ロック機構10をタイマー12で制御するようにしているので、通常行われる集金やローディングの際に、煩わしい操作や通常と異なる操作を必要とすることなく、より確実な防犯性能を発揮させることができる。
【0028】
また、この第2ロック機構10は、通常に自動販売機1が備えるコントローラ11やタイマー12を利用でき、かつ第1ロック機構9の一部をも利用できる構造なので、簡単かつ低コストで構成することができる。
【0029】
なお、本発明は、上述した実施例に限られることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、ロック板が1枚構造のものでは、このロック板とメインドアに固定したアングル材とを、同時に貫通するように、第2ロック機構の係止板を配設し、或いはこのロック板と販売機本体に固定した固定板とを、同時に貫通するように、第2ロック機構の係止板を配設する。また、第2ロック機構のロック・アンロックを、上記した選択ボタンの選択的操作、リモートコントローラおよび磁気カードなどで制御する構造でもよい。
【0030】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の自動販売機の施錠装置は、機械的な第1のロック機構と、防犯に有効な電気的な第2のロック機構とを併用し、かつ必要なときのみ第1のロック機構に加えて第2のロック機構を働かせることができるので、メインドアの開閉に伴う、ロック機構の取扱い性を損なうことなく、防犯性を格段に向上させることができ、さらに、起動手段により第2のロック機構のロック・アンロック時に複数回起動することにより、ロック状態およびアンロック状態を確実なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の施錠装置を組み込んだ缶飲料自動販売機の正面図である。
【図2】本発明の施錠装置を組み込んだ缶飲料自動販売機の側面図である。
【図3】第1ロック機構の正面図である。
【図4】第1ロック機構の側面図である。
【図5】第1ロック機構の平面図である。
【図6】第2ロック機構のアンロック状態の正面図である。
【図7】第2ロック機構の側面図である。
【図8】第2ロック機構の正面図である。
【図9】第2ロック機構のロック状態の正面図である。
【図10】従来の防犯対策を採用した缶飲料自動販売機の正面図である。
【符号の説明】
1 自動販売機
2 販売機本体
3 メインドア
4 選択ボタン
9 第1ロック機構
10 第2ロック機構
11 コントローラ
12 タイマー
24 第1ロック板
25 第2ロック板
41 係止板

Claims (2)

  1. 販売機本体に対するメインドアの閉塞を外部からロック・アンロックする機械的な第1のロック機構と、販売機本体に対するメインドアの閉塞を内部においてロック・アンロックする電気的な第2のロック機構と、当該第のロック機構を起動する起動手段とを備え、前記起動手段は、第2のロック機構のロック・アンロック時に当該第2のロック機構を複数回連続して起動することを特徴とする自動販売機の施錠装置。
  2. 前記起動手段はタイマーにより制御され、定期的に第2のロック機構を起動することを特徴とする自動販売機の施錠装置。
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