JP3726238B2 - マレイミド末端ゴムおよびそれを用いた硬化性組成物 - Google Patents

マレイミド末端ゴムおよびそれを用いた硬化性組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP3726238B2
JP3726238B2 JP2004111545A JP2004111545A JP3726238B2 JP 3726238 B2 JP3726238 B2 JP 3726238B2 JP 2004111545 A JP2004111545 A JP 2004111545A JP 2004111545 A JP2004111545 A JP 2004111545A JP 3726238 B2 JP3726238 B2 JP 3726238B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rubber
maleimide
curable composition
group
present
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004111545A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004315818A (ja
JP2004315818A5 (ja
Inventor
源文 崔
和洋 畑中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yokohama Rubber Co Ltd
Original Assignee
Yokohama Rubber Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yokohama Rubber Co Ltd filed Critical Yokohama Rubber Co Ltd
Priority to JP2004111545A priority Critical patent/JP3726238B2/ja
Publication of JP2004315818A publication Critical patent/JP2004315818A/ja
Publication of JP2004315818A5 publication Critical patent/JP2004315818A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3726238B2 publication Critical patent/JP3726238B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Reinforced Plastic Materials (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Description

本発明は、経時安定性に優れ、かつ、硬化後の強靱性に優れる硬化性組成物、および、それに用いられるゴムに関する。
従来、分子の両末端にアミン構造を有する液状ゴム(以下「アミン末端ゴム」という。)が知られている(例えば、非特許文献1および2参照。)。このアミン末端ゴムは、主鎖がゴムであり、かつ、分子の両末端に反応性のアミン構造を有するため、熱硬化性樹脂に強靱性(曲げても破壊しない性質)を与えること等を目的として用いられている。例えば、エポキシ樹脂は、力学的特性(例えば、弾性率)および耐熱性に優れるため、種々の用途に用いられているが、特定の用途においては、強靱性に劣ることが問題となっており、そのような用途にアミン末端ゴムが用いられている。
しかしながら、上述した従来公知のアミン末端ゴムは、低分子量であり、エポキシ基等との反応性が高いため、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂と併用すると、得られる組成物の経時安定性に問題があった。
B.F.Goodrich chemical company テクニカルデータ L.C.Chan,J.K.Gillham,J.Kinloch,polymer,24,1341,1355(1983)
本発明は、硬化後の強靱性に優れ、かつ、経時安定性に優れる硬化性組成物、ならびに、該硬化性組成物に用いられるゴムを提供することを目的とする。
また、本発明は、上記硬化性組成物を用いた複合体成形体を提供することを目的とする。
本発明者は、アミン末端ゴムおよびそれを用いた硬化性組成物について鋭意検討した結果、アミン末端ゴムのアミン構造にビスマレイミド化合物を反応させて、両末端をビスマレイミド構造とすると、硬化性組成物の強靱性を改善しつつ、経時安定性を向上させることができることを見出し、更に、該硬化性組成物がエポキシ樹脂を含有する場合、強度等の力学的特性および耐熱性を向上させることもできることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、以下の(1)〜(7)を提供する。
(1)分子の両末端にアミノ基および/またはイミノ基を有するゴムと、ビスマレイミド化合物との反応により得られる、分子の両末端にマレイミド構造を有するマレイミド末端ゴム。
(2)上記(1)に記載のマレイミド末端ゴムと、樹脂および/または前記マレイミド末端ゴム以外のゴムとを含有する硬化性組成物。
(3)更に、マレイミド構造と反応しうる官能基を有する硬化剤を含有する上記(2)に記載の硬化性組成物。
(4)前記官能基が、アミノ基、イミノ基、チオール基およびジエン構造からなる群から選ばれる少なくとも一つである上記(3)に記載の硬化性組成物。
(5)前記樹脂として、エポキシ樹脂を含有し、かつ、前記官能基が、アミノ基、イミノ基およびチオール基からなる群から選ばれる少なくとも一つである上記(3)に記載の硬化性組成物。
(6)上記()〜(5)のいずれかに記載の硬化性組成物を用いた複合体成形体。
(7)上記(5)に記載の硬化性組成物を用いたプリプレグ。
本発明のマレイミド末端ゴムは、ゴムの主鎖を有し、分子量が比較的高く、かつ、分子の両末端に常温における反応性が比較的低いマレイミド構造を有する。したがって、本発明のマレイミド末端ゴムを用いた本発明の硬化性組成物は、硬化後の強靱性が優れたものとなり、また、経時安定性が優れたものとなるので、複合体成形体等の種々の用途に極めて有用である。中でも、本発明の硬化性組成物がエポキシ樹脂を含有する場合には、本発明のマレイミド末端ゴムを含有しない場合に比べて、強度等の力学的特性および耐熱性もより優れたものとなるので、プリプレグ等の用途に極めて有用である。
以下に、本発明を詳細に説明する。初めに、本発明のマレイミド末端ゴムについて説明する。
本発明のマレイミド末端ゴムは、分子の両末端にアミノ基および/またはイミノ基を有するゴムと、ビスマレイミド化合物との反応により得られる、分子の両末端にマレイミド構造を有するゴムである。
本発明に用いられる分子の両末端にアミノ基および/またはイミノ基を有するゴムは、主鎖を特に限定されない。例えば、従来公知のジエン系ゴムおよびその水素添加物(例えば、天然ゴム、エポキシ化天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、水素化スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム(高シスブタジエンゴム、低シスブタジエンゴム)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、オレフィン系ゴム(例えば、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、マレイン酸変性エチレン−プロピレンゴム、ブチルゴム、イソブチレンと芳香族ビニルまたはジエン系モノマーとの共重合体、アクリルゴム、アイオノマー)、含ハロゲンゴム(例えば、臭素化ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、イソブチレン−パラメチルスチレン共重合体の臭素化物、クロロプレンゴム、ヒドリンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、マレイン酸変性塩素化ポリエチレン)、シリコーンゴム(例えば、メチルビニルシリコーンゴム、メチルフェニルビニルシリコーンゴム)、含イオウゴム(例えば、ポリスルフィドゴム)、フッ素ゴム(例えば、ビニリデンフルオロライド系ゴム、含フッ素ビニルエーテル系ゴム、含フッ素ホスファゼン系ゴム)、ウレタンゴム、液状ポリイソプレン、液状ポリブタジエン、液状1,2−ポリブタジエン、液状スチレン−ブタジエンゴム、液状ポリクロロプレン、液状シリコーンゴム、液状フッ素ゴム、熱可塑性エラストマー(例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−エチレンブチレン−スチレンブロックコポリマー等のスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、エステル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマー)、熱硬化性エラストマー(例えば、ウレタン系エラストマー、シリコーン系エラストマー)等の骨格を用い、分子の両末端にアミノ基および/またはイミノ基を導入したゴムが挙げられる。
中でも、NBRの分子の両末端にアミノ基および/またはイミノ基を導入したゴムが好ましい。そのようなゴムとしては、市販品、例えば、宇部興産社製のHYCAR ATポリマー ATBN1300×16、下記式(1)で表されるATBN1300×45等を用いることができる。
Figure 0003726238
本発明に用いられるビスマレイミド化合物は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、下記式(2)で表されるビスマレイミド化合物が好適に挙げられる。
Figure 0003726238
上記式中、R1〜R4は、それぞれ独立に、−H、−CH3、−C25、−C37、−F、−Cl、−Brおよび−Iからなる群から選ばれる基を表す。Xは、置換基を有していてもよい炭素数1〜24の2価の非環状脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数5〜18の2価の環状脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水素基、または、SO2、O、NおよびSからなる群から選ばれる少なくとも1種をこれらの基に含有させた2価の基を表す。
Xとしては、例えば、単結合または下記式から選ばれる基が挙げられる(下記式中、pおよびqは、それぞれ独立に、1以上の整数を表す。)。
Figure 0003726238
Figure 0003726238
Figure 0003726238
Figure 0003726238
中でも、下記式から選ばれる基が好ましい。
Figure 0003726238
上記式(2)で表されるビスマレイミド化合物としては、具体的には、例えば、1,2−ビスマレイミドエタン、1,6−ビスマレイミドへキサン、N,N′−1,2−フェニレンジマレイミド、N,N′−1,3−フェニレンジマレイミド、N,N′−1,4−フェニレンジマレイミド、N,N′−1,4−フェニレン−2−メチルジマレイミド、N,N′−(1,1′−ビフェニル−4,4′−ジイル)ビスマレイミド、N,N′−(3,3′−ジメチル−1,1′ビフェニル−4,4′−ジイル)ビスマレイミド、4,4′−ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N′−(メチレンビス(2−クロロ−4,1−フェニレン))ビスマレイミド、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、N,N′−(スルホニルビス(1,3−フェニレン))ジマレイミド、N,N′−(4,4′−トリメチレングリコールジベンゾエート)ビスマレイミドが挙げられる。
また、ビスマレイミド化合物としては、マレイミド変性高分子化合物(樹脂、ゴム等)も挙げられる。
中でも、1,6−ビスマレイミドへキサン、1,2−ビスマレイミドエタン、N,N′−1,3−フェニレンジマレイミド、4,4′−ジフェニルメタンビスマレイミド、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパンが、安価である点で好ましい。
本発明のマレイミド末端ゴムは、上述した分子の両末端にアミノ基および/またはイミノ基を有するゴムの1種以上と、上述したビスマレイミド化合物の1種以上とを、分子の両末端がマレイミド構造となるように反応させて得ることができる。
分子の両末端がマレイミド構造となるように反応させるには、ビスマレイミド化合物のマレイミド構造と、ゴムの分子の両末端のアミノ基および/またはイミノ基との当量比が、好ましくは1.05〜2、より好ましくは1.05〜1.5となるような量比で両者を反応させる。
具体的には、例えば、上述した分子の両末端にアミノ基および/またはイミノ基を有するゴムと、上述したビスマレイミド化合物とを、上記量比で、好ましくは溶媒中で混合し、室温から70℃までの温度で10〜60分かくはんすることにより、本発明のマレイミド末端ゴムを得ることができる。溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミドが挙げられる。
上記反応は、下記式により模式的に表される。
Figure 0003726238
上記式中、Aはゴムの主鎖を表し、Eはゴムのアミノ基もしくはイミノ基またはそれらに由来する部分を表し、E−A−Eは分子の両末端にアミノ基および/またはイミノ基を有するゴムを表す。Gはビスマレイミド化合物のマレイミド構造以外の部分を表し、Jはビスマレイミド化合物のマレイミド構造またはそれに由来する部分を表し、J−G−Jはビスマレイミド化合物を表す。各式において、複数個のA、E、GおよびJは、それぞれ2種以上であってもよい。nは0以上の整数を表す。
本発明のマレイミド末端ゴムとしては、上記式において、nの異なる2種以上の分子が混合していてもよく、また、A、E、GおよびJの少なくとも1種が異なる2種以上の分子が混合していてもよい。
上述したようにして得られる本発明のマレイミド末端ゴムは、分子の両末端にマレイミド構造を有する。ここで、マレイミド構造は、下記式(3)で表される。
Figure 0003726238
上記式中、R5およびR6は、それぞれ独立に、−H、−CH3、−C25、−C37、−F、−Cl、−Brおよび−Iからなる群から選ばれる基を表す。
中でも、R5およびR6の組み合わせが、−Hおよび−H、−Hおよび−CH3であるのが好ましい。
本発明のマレイミド末端ゴムは、分子量を特に限定されないが、例えば、重量平均分子量が1,000〜100,000であるのが好ましい。
本発明のマレイミド末端ゴムは、主鎖、マレイミド構造、分子量等が異なる2種以上の混合物であってもよい。
本発明のマレイミド末端ゴムは、上述したように、ゴムの主鎖を有し、分子の両末端にマレイミド構造を有する。したがって、本発明のマレイミド末端ゴムを後述する本発明の硬化性組成物に用いると、ゴムの主鎖を有するため、硬化後の強靱性が優れたものとなり、また、原料に用いたアミノ基および/またはイミノ基を有するゴムよりも分子量が高くなり、かつ、反応性の高いアミノ基および/またはイミノ基を封鎖し、常温における反応性が比較的低いマレイミド構造を有しているため、経時安定性が優れたものとなる。
つぎに、本発明の硬化性組成物について説明する。
本発明の硬化性組成物は、本発明のマレイミド末端ゴムと、樹脂および/または本発明のマレイミド末端ゴム以外のゴム(以下「その他のゴム」という。)とを含有する。
本発明の硬化性組成物に用いられる樹脂は、組成物としたときに硬化性を有していれば特に限定されず、従来公知の樹脂を用いることができる。例えば、単独で硬化しうる樹脂、硬化剤の存在下で硬化しうる樹脂、本発明のマレイミド末端ゴムと反応して硬化しうる樹脂、本発明の硬化性組成物に含有される他の樹脂および/またはゴムと反応して硬化しうる樹脂が挙げられる。
そのような樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂(例えば、液状エポキシ樹脂、固形エポキシ樹脂)、オキセタン樹脂、マレイミド樹脂が挙げられる。中でも、エポキシ樹脂は、力学的特性および耐熱性に優れるという長所を有する一方で、強靱性に劣るという短所を有するところ、本発明の硬化性組成物とすると強靱性が優れたものとなり、また、強度等の力学的特性および耐熱性がより優れたものとなるので、本発明の硬化性組成物がエポキシ樹脂を含有するのは、本発明の好ましい態様の一つである。
本発明の硬化性組成物に用いられるその他のゴムは、組成物としたときに硬化性を有していれば特に限定されず、従来公知のゴムを用いることができる。例えば、単独で硬化しうるゴム、硬化剤(加硫剤)の存在下で硬化しうるゴム、本発明のマレイミド末端ゴムと反応して硬化しうるゴム、本発明の硬化性組成物に含有される他の樹脂および/またはゴムと反応して硬化しうるゴムが挙げられる。
そのようなゴムとしては、例えば、分子の両末端にアミノ基および/またはイミノ基を有するゴム、ジエンゴム、ハロゲン化ゴムが挙げられる。
本発明の硬化性組成物は、上述した樹脂および/またはその他のゴムを2種以上含有することができる。
また、本発明の硬化性組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、上述した樹脂および/またはその他のゴム以外の樹脂および/またはゴムを1種以上含有することができる。
本発明の硬化性組成物は、硬化剤を含有することができる。
硬化剤は、上述した樹脂および/またはその他のゴムに応じて、従来公知のものを1種以上選択して用いることができる。
中でも、マレイミド構造と反応しうる官能基を有する硬化剤が好ましい。本発明の硬化性組成物がマレイミド構造と反応しうる官能基を有する硬化剤を含有すると、硬化剤と樹脂および/またはその他のゴムとの反応のほかに、硬化剤と本発明のマレイミド末端ゴムとの反応も起こるので、硬化後の本発明の硬化性組成物の強度等が優れたものとなる。
マレイミド構造と反応しうる官能基は、特に限定されないが、アミノ基、イミノ基、チオール基およびジエン構造からなる群から選ばれる少なくとも一つであるのが、反応しやすい点で、好ましい。
中でも、本発明の硬化性組成物がエポキシ樹脂を含有する場合には、マレイミド構造と反応しうる官能基が、アミノ基、イミノ基およびチオール基からなる群から選ばれる少なくとも一つであるのが好ましい。これらの官能基は、エポキシ樹脂の含有するエポキシ基との反応、および、本発明のマレイミド末端ゴムの含有するマレイミド構造との反応を起こすので、本発明の硬化性組成物の硬化後の強度等が優れたものとなる。
そのような官能基を有する硬化剤としては、例えば、1,3−ベンゼンチオール、4,4′−ジアミノジフェニルスルフォン(DDS)、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、末端にチオール基を有するポリサルファイド樹脂(例えば、チオコールケミカル社製のLP−3)が挙げられる。
本発明の硬化性組成物における硬化剤の含有量は、特に限定されないが、通常、樹脂および/またはその他のゴム100質量部に対して、10〜100質量部であるのが好ましく、10〜50質量部であるのがより好ましい。
更に、本発明の硬化性組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、可塑剤、充填剤、触媒、溶剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、難燃剤、補強剤、老化防止剤、酸化防止剤、揺変性付与剤、界面活性剤(レベリング剤を含む。)、分散剤、脱水剤、防錆剤、接着付与剤、帯電防止剤等の配合剤を含有することもできる。これらの配合剤としては、通常、ゴム組成物または樹脂組成物に用いられるものを用いることができる。配合剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の硬化性組成物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、反応容器に上記の各必須成分と任意成分とを入れ、減圧下で混合ミキサー等のかくはん機を用いて十分に混練する方法を用いることができる。
本発明の硬化性組成物は、上述したように、硬化後の強靱性に優れ、かつ、経時安定性に優れるので、含有される樹脂および/またはその他のゴムに応じて、種々の用途に用いられる。具体的には、好ましい用途の一つとして、本発明の硬化性組成物と他の材料とからなる複合体成形体が挙げられる。
本発明の複合体成形体に用いられる他の材料の材質、形状等は、特に限定されず、例えば、金属、樹脂成形品、強化繊維、繊維強化プラスチック(FRP)が挙げられる。
中でも、複合体成形体がプリプレグであるのが好ましい態様の一つである。プリプレグは、炭素繊維等の強化繊維にマトリックス樹脂を含浸させ、シート状にして得られる成形用中間材料であり、航空機、自動車等の構造材料等に用いられている。従来、プリプレグに用いられるマトリックス樹脂としては、力学的特性、耐熱性等に優れるため、エポキシ樹脂が多く用いられている。
本発明の複合体成形体が、エポキシ樹脂を含有する本発明の硬化性組成物を用いたプリプレグであると、力学的特性(例えば、引張強度、層間せん断強度)および耐熱性に加え、強靱性も優れたものとなるので、極めて好ましい。
本発明のプリプレグに用いられる強化繊維は、特に限定されず、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維が挙げられる。
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限られるものではない。
1.本発明のマレイミド末端ゴムの調製
上記式(1)で表されるアミン末端ゴム(アミン末端液状NBR、HYCAR ATポリマー ATBN1300×45、宇部興産社製、重量平均分子量3500、アミン等量1900)100gと、4,4′−ジフェニルメタンビスマレイミド10.8g(マレイミド構造/イミノ基=1.15となる量である。)とを、MEK300g中、室温で5時間、更に、70℃で2時間かくはんすることにより反応させて、本発明のマレイミド末端ゴムを得た(下記反応式参照。)。
Figure 0003726238
上記式(4)で表される本発明のマレイミド末端ゴム(式中、nは繰り返し単位の数を表す。)は、重量平均分子量が15,500であった。
2.硬化性組成物の調製(その1)
(実施例1および比較例1)
下記の原料を第1表に示される質量比で混合し、各種の硬化性組成物を調製した。
・液状エポキシ樹脂1:ELM434、住友化学工業社製
・固形エポキシ樹脂:ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、EPICLON HP−7200、大日本インキ化学工業社製
・液状エポキシ樹脂2:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、YD−128、東都化成社製
・4,4′−ジアミノジフェニルスルフォン(DDS):セイカキュアS、和歌山精化工業社製
・MEK
・アミン末端ゴム:上記式(1)で表されるアミン末端ゴム(アミン末端液状NBR、HYCAR ATポリマー ATBN1300×45、宇部興産社製)
・マレイミド末端ゴム:上記で得られた上記式(4)で表されるマレイミド末端ゴム
Figure 0003726238
3.物性試験(その1)
実施例1および比較例1で得られた各硬化性組成物について、以下の物性試験を行った。
(1)経時安定性
実施例1および比較例1で得られた硬化性組成物を、MEK溶媒中、室温で6時間かくはんした後、減圧下、60℃で5時間かくはんして溶媒を除去し、硬化性組成物の状態を目視で観察した。硬化性組成物に硬化が起こっていたか否かにより、硬化性組成物の経時安定性を評価した。
(2)硬化物の外観
実施例1および比較例1で得られた硬化性組成物を、MEK溶媒中、室温で6時間かくはんした後、減圧下、60℃で5時間かくはんして溶媒を除去した。ついで、硬化性組成物を180℃で2時間放置して硬化させ、硬化物を得た。この硬化物の外観を目視で観察した。
(3)ガラス転移温度(Tg
上述した硬化物の外観の場合と同様の方法で、硬化物を得た。得られた硬化物のガラス転移温度(Tg)を、示差走査熱量計(DSC、model DSC2920、TAインスツルメント社製)により測定した。
各物性試験の結果を第2表に示す。第2表から明らかなように、本発明のマレイミド末端ゴムを用いた本発明の硬化性組成物(実施例1)は、アミン末端ゴムを用いた場合(比較例1)に比べ、経時安定性に優れ、かつ、Tgが高い。硬化物の外観の観察において、本発明の硬化性組成物(実施例1)は、半透明であり、ゴムと樹脂との相分離が生じていなかったと考えられるのに対し、アミン末端ゴムを用いた場合(比較例1)は、不透明であり、相分離が生じていたと考えられる。
Figure 0003726238
4.硬化性組成物の調製(その2)
(実施例2および3ならびに比較例2および3)
下記の原料を第3表に示される質量比で混合し、各種の硬化性組成物を調製した。
・多官能エポキシ樹脂:テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン、エピコート1031S、ジャパンエポキシレジン社製
・固形エポキシ樹脂:ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、EPICLON HP−7200、大日本インキ化学工業社製
・液状エポキシ樹脂2:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、YD−128、東都化成社製
・液状エポキシ樹脂3:ナフタレン型エポキシ樹脂、EPICLON HP−4032、大日本インキ化学工業社製
・4,4′−ジアミノジフェニルスルフォン(DDS):セイカキュアS、和歌山精化工業社製
・BF3MEA:三フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体、ステラケミファ社製
・マレイミド末端ゴム:上記で得られた上記式(4)で表されるマレイミド末端ゴム
・カルボキシ変性NBR:Nipol−1072、日本ゼオン社製、カルボキシ変性率5%
Figure 0003726238
5.繊維強化複合材料の製造
実施例2および3ならびに比較例2および3で得られた各硬化性組成物を用いて、以下のようにして繊維強化複合材料を製造した。
硬化性組成物をリバースロールコーターを用いて、離型紙上に塗布して、樹脂フィルムを作製した。ついで、シート状に一方向に配列させた炭素繊維(トレカ T800HB、東レ社製、引張弾性率294GPa)を、上記で得られた樹脂フィルム2枚で上下から挟み、加熱加圧により樹脂を含浸させ、一方向プリプレグを得た。得られた一方向プリプレグは、炭素繊維の目付が196±5g/cm2であり、マトリックス樹脂の割合が34質量%であった。
得られた一方向プリプレグを、炭素繊維の方向が同一になるように、10枚積層した。その後、オートクレーブを用いて、昇温速度2℃/分の条件で180℃まで加熱した後、180℃、0.59MPaの条件で2時間保持して、板状の繊維強化複合材料を成形した。
6.物性試験(その2)
上記で得られた一方向プリプレグおよび繊維強化複合材料について、以下の物性試験を行った。
(1)一方向プリプレグのタックおよびドレープ
製造直後の2枚の一方向プリプレグを積層した後、手ではく離させ、粘着力(タック)の有無を官能的に評価した。また、製造直後の一方向プリプレグを手で曲げて、ドレープの有無を官能的に評価した。これらの評価は、25℃で行った。
製造後、25℃の室内で10日間放置した一方向プリプレグを用いて、同様の評価を行った。
(2)繊維強化複合材料の層間せん断強度
板状の繊維強化複合材料から、繊維方向の長さ20mm、繊維方向に垂直な方向の長さ10mm、厚さ1.87mmの試験片を切り出し、この試験片について、オートグラフを用いて、JIS K7203−1995の方法で曲げ試験を行った。曲げ試験は、スパン長10mm、試験速度1mm/分で三点曲げを行い、下記式より、層間せん断強度を求めた。なお、曲げ試験は、25℃、90℃および120℃で、それぞれ行った。
層間せん断強度=破断時荷重/(試験片の幅×試験片の厚さ)×3/4
(3)繊維強化複合材料の90度引張強度
板状の繊維強化複合材料から、繊維方向の長さ25mm、繊維方向に垂直な方向の長さ250mm、厚さ1.87mmの試験片を切り出し、この試験片について、オートグラフを用いて、ASTM D3039の方法により、繊維方向に対して90度の引張試験を行った。引張試験は、グリップ長さ50mm、試験速度0.5mm/分で行い、下記式より、90度引張強度を求めた。なお、曲げ試験は、25℃で行った。
90度引張強度=破断時荷重/(試験片の幅×試験片の厚さ)
一方向プリプレグについての物性試験の結果を第4表に示す。第4表から明らかなように、本発明のマレイミド末端ゴムを用いた本発明の硬化性組成物(実施例2および3)は、プリプレグとしたときの粘着力およびドレープ性に優れ、これらの経時安定性にも優れる。これに対し、カルボキシ変性NBRを用いた場合(比較例2および3)は、経時安定性に劣る。
また、繊維強化複合材料についての物性試験の結果を第5表に示す。第5表から明らかなように、本発明のマレイミド末端ゴムを用いた本発明の硬化性組成物(実施例2および3)は、カルボキシ変性NBRを用いた場合(比較例2および3)に比べ、繊維強化複合材料としたときの強度、特に高温における強度に優れる。
Figure 0003726238
Figure 0003726238

Claims (7)

  1. 分子の両末端にアミノ基および/またはイミノ基を有するゴムと、ビスマレイミド化合物との反応により得られる、分子の両末端にマレイミド構造を有するマレイミド末端ゴム。
  2. 請求項1に記載のマレイミド末端ゴムと、樹脂および/または前記マレイミド末端ゴム以外のゴムとを含有する硬化性組成物。
  3. 更に、マレイミド構造と反応しうる官能基を有する硬化剤を含有する請求項2に記載の硬化性組成物。
  4. 前記官能基が、アミノ基、イミノ基、チオール基およびジエン構造からなる群から選ばれる少なくとも一つである請求項3に記載の硬化性組成物。
  5. 前記樹脂として、エポキシ樹脂を含有し、かつ、前記官能基が、アミノ基、イミノ基およびチオール基からなる群から選ばれる少なくとも一つである請求項3に記載の硬化性組成物。
  6. 請求項〜5のいずれかに記載の硬化性組成物を用いた複合体成形体。
  7. 請求項5に記載の硬化性組成物を用いたプリプレグ。
JP2004111545A 2003-04-04 2004-04-05 マレイミド末端ゴムおよびそれを用いた硬化性組成物 Expired - Fee Related JP3726238B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004111545A JP3726238B2 (ja) 2003-04-04 2004-04-05 マレイミド末端ゴムおよびそれを用いた硬化性組成物

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003101278 2003-04-04
JP2004111545A JP3726238B2 (ja) 2003-04-04 2004-04-05 マレイミド末端ゴムおよびそれを用いた硬化性組成物

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2004315818A JP2004315818A (ja) 2004-11-11
JP2004315818A5 JP2004315818A5 (ja) 2005-09-29
JP3726238B2 true JP3726238B2 (ja) 2005-12-14

Family

ID=33478891

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004111545A Expired - Fee Related JP3726238B2 (ja) 2003-04-04 2004-04-05 マレイミド末端ゴムおよびそれを用いた硬化性組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3726238B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7555684B2 (ja) 2021-11-10 2024-09-25 信越化学工業株式会社 熱硬化性マレイミド樹脂組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004315818A (ja) 2004-11-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4962162A (en) Resin composition of thermosetting resin and thermoplastic resin
KR102235448B1 (ko) 에폭시 수지 조성물, 수지 경화물, 섬유 강화 복합 재료 및 프리프레그
US6515081B2 (en) Composition of epoxy resin, curing agent and reactive compound
KR101612203B1 (ko) 에폭시 수지 조성물, 프리프레그 및 섬유 강화 복합 재료
JP5349143B2 (ja) 繊維強化複合材料用樹脂組成物およびそれを用いた繊維強化複合材料
JP6771884B2 (ja) エポキシ樹脂組成物、プリプレグおよび繊維強化複合材料
JP2005247879A (ja) 繊維強化複合材料用組成物及びその成形材料
JP4986627B2 (ja) 耐熱複合材料
JP5193517B2 (ja) 繊維強化複合材料用樹脂組成物、それを用いた成形材料及び繊維強化複合材料
JP6771885B2 (ja) エポキシ樹脂組成物、プリプレグおよび繊維強化複合材料
JP2013253194A (ja) エポキシ樹脂組成物
US7390570B2 (en) Maleimide terminated rubber and curable composition produced by using the maleimide terminated rubber
JP3726238B2 (ja) マレイミド末端ゴムおよびそれを用いた硬化性組成物
JPH08337707A (ja) エポキシ樹脂組成物、プリプレグおよび繊維強化複合材料
JP5447059B2 (ja) 炭素繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物、プリプレグおよび炭素繊維強化複合材料
JPH05125152A (ja) 繊維強化樹脂成形品の製造方法
JP5016998B2 (ja) 繊維強化複合材料用マトリックス樹脂およびプリプレグ
JP2003055534A (ja) 複合材料用樹脂組成物、複合材料用中間材および複合材料
JP2011057851A (ja) エポキシ樹脂組成物、プリプレグおよび繊維強化複合材料
JP2012136568A (ja) エポキシ樹脂組成物およびそれを用いた繊維強化複合材料
JPH05500377A (ja) ビスシトラコンイミド(コ)ポリマー及びアニオン性触媒を用いての硬化
JP3354707B2 (ja) エポキシ樹脂組成物
JPH04351626A (ja) 硬化性樹脂組成物
JPH01268716A (ja) 硬化樹脂成型品の製造法
JP3308578B2 (ja) ビスマレイミド樹脂とゴムとの接着複合体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050711

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050711

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20050711

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20050711

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20050829

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050906

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050914

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091007

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101007

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111007

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111007

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111007

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees