JP3725807B2 - ダイカスト製造品の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はダイカスト製造品の製造方法に係り、特にダイカスト製造品の表面全体にモールド層を成形したダイカスト製造品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のワイパーアームヘッドは、ワイパーモータからの出力を伝えるピボット軸とワイパーのアーム部とを連結するワイパーの基幹部品であり、ワイパー作動時に大きな回転力、支持力を受け持つ必要があることから、通常、ダイカスト製造品が用いられている。
【0003】
従来このダイカスト製造品の製造工程としては、まずダイカスト鋳造品が鋳造され、そのダイカスト鋳造品に対してトリミングが行われる。次に、外観仕上げ工程として、ゲート・オーバーフローのトリミング跡や、ダイカスト鋳造品の外周に発生するバリに対して、それぞれゲート・オーバーフロー跡処理工程と、バレル等によるバリ取り工程が行われている。
【0004】
また、ダイカスト鋳造品の外周面には、湯じわ不良が発生することがあり、この湯じわは機械強度的及び機能的には問題ないが、外観上好ましくないため、ダイカスト鋳造品の外観検査が行われている。その際、湯じわの外観検査と共に、ダイカスト鋳造品外周のバリの外観検査も行われる。さらに、防水防錆のために表面処理工程が行われ、最後に塗装が行われダイカスト製造品として完成する。
【0005】
また、ダイカスト鋳造品に軸受け孔が成形される場合、ダイカスト鋳造のみによって、その軸受け孔の軸精度をだすことは困難であり、たとえ軸精度をだすことができた場合であっても、鋳造の焼き付け、金型の摩耗等によりその軸精度を維持することができず実用的ではなかった。そこで一般的には、ダイカスト鋳造後に、軸受け孔に切削による穴仕上げ加工が施され、軸精度を確保していた。
【0006】
なお、上記のようなダイカスト鋳造品ではなく、樹脂射出成形による樹脂成形品に軸受け孔が成形される場合でも、金型内に樹脂材料が充填され、その樹脂材料が固化する際に、樹脂成形品の肉厚が収縮変形するために、やはり軸受け孔の軸精度をだすことは困難である。
【0007】
そのため、樹脂成形品の場合は、軸受け孔に薄肉ブシュを入れ込んだり、リーマ加工仕上げを行ったり、軸受け孔とその嵌合部材の内、どちらか一方の嵌合面円周上に成形された複数の凸状突起によって軸方向の調整を行ったりすることによって軸受け部の精度だしを行っている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようにダイカスト製造品を製造するには、ダイカスト鋳造後、外観仕上げ工程、外観検査工程、表面処理工程、塗装工程等の多くの工程を経なければならず工数、人手が多く掛かり、製造コストが掛かっていた。
【0009】
また、ダイカスト製造品に成形された軸受け孔の軸精度を確保するには、現状では切削による穴仕上げ加工が最も現実的であり、このためダイカスト製造品の製造コストを押し上げる原因となっていた。
【0010】
本発明の目的は、従来多くの工程によって製造されていたダイカスト製造品の製造工程において、ダイカスト鋳造後の工程を削減し、その代わりに他の工程を実施することによって、工数が掛からず安価に製造することができると共に、軸受け部の軸精度を確保することができるダイカスト製造品の製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、本発明のダイカスト製造品の製造方法によれば、両端面縁部に段部を有する孔を備えたダイカスト鋳造品の表面に樹脂材料又はゴム材料のモールド層を有するダイカスト製造品の製造方法であって、前記ダイカスト鋳造品を鋳造する工程と、前記ダイカスト鋳造品の表面に樹脂材料又はゴム材料のモールド層を成形する工程と、を備え、該樹脂材料又はゴム材料のモールド層の成形は、次の工程を含むことにより解決できる。(1)前記ダイカスト製造品を成形する空間を有する金型内に前記ダイカスト鋳造品をセットする第1工程、(2)前記孔の一方から前記孔の内周面を規制する先端部を有した第1のスライドピンを挿入し、前記孔の他方を第2のスライドピンで覆うと共に、前記第1のスライドピンの先端部の根元部に形成された肩部及び前記第2のスライドピンの先端面縁部を前記両段部に当接させて、前記先端部と前記孔の内周面との間に所定の樹脂材料又はゴム材料の流入空間を確保する第2工程、(3)前記第1のスライドピン及び第2のスライドピンを留置すると共に、前記金型内の前記空間に樹脂材料又はゴム材料を充填する第3工程、(4)前記樹脂材料又はゴム材料を固化させる第4工程、(5)前記工程の後に、前記第1のスライドピン及び第2のスライドピンを抜去すると共に、前記金型から前記ダイカスト鋳造品の表面に樹脂材料又はゴム材料のモールド層を有したダイカスト製造品を離型する工程。
【0012】
孔内周面を規制するスライドピンの先端部は、孔の両端面縁部に形成された段部とスライドピンに先端部の根元部に形成された肩部によって正確に位置決めされるので、孔内周面の所定の位置に配置される。これにより、孔内周面の所定位置に正確にモールド層を成形することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、自動車のワイパーに使用されるワイパーアームヘッドを例にとって図面を参照して説明する。以下に説明する配置、形状等は、本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変することができることは勿論である。
【0014】
図1及び図2は実施例のワイパーアームヘッドの斜視図、図3は正面図、図4は側面図、図5乃至図7は図1のワイパーアームヘッドのインサート成形の説明図、図8はスライドピンの先端部分の拡大図、図9は図1のアーム連結孔部分の拡大図である。
【0015】
図1から図4に示すように、本発明の実施例に係るワイパーアームヘッド1は、ピボット軸連結部20と、アーム部10と、アーム連結部30とから構成される。
【0016】
ワイパーモータの駆動出力は、リンクロッドを介してレバーに伝達され、さらにレバーからピボット軸を介してワイパーアームヘッド1に伝達される。ピボット軸は、ワイパーアームヘッド1のピボット軸連結部20と連結されている。
【0017】
さらに、ワイパーアームヘッド1のアーム連結部30は、ワイパーアームに連結され、ワイパーアームの他端には、ワイパーブレードが回動可能に連結されている。
【0018】
ワイパーアームヘッド1は、ワイパーモータからの回転力をピボット軸連結部20で受け、ワイパーアーム及びワイパーブレードに伝える。さらに、ワイパーアームヘッド1は、ワイパーアーム及びワイパーブレードを支持すると共に、ワイパーブレードをウインドウに適度の押圧力で押し付けるため、常に荷重を受けている。このように、機械的強度を要求されるので、ワイパーアームヘッド1は、ダイカスト鋳造品により製造されている。
【0019】
ピボット軸連結部20は、上側に円形穴21が形成され、下側には円筒形状の円形穴23が突出形成され、円形穴21と23の中央部には、貫通孔22が形成されている。また、アーム連結部30は、アーム連結孔31が水平方向に貫通形成されている。
【0020】
ピボット軸連結部20とアーム連結部30は、平板形状のアーム部10によって一体に連結されている。アーム部10の下面には、凹部11が形成され軽量化が図られている。また、アーム連結部30の下側にも同様に、凹部32が形成されている。
【0021】
ワイパーアームヘッド1は略全面を厚さ1mm程度の樹脂モールド層で覆われ、外観上、この樹脂モールド材の色によって色が決定されている。以下に、ワイパーアームヘッド1の製造方法について説明する。まず、周知の金型を用いて、アルミダイカスト鋳造により、ワイパーアームヘッド1のインサートとなるダイカスト鋳造品1´が成形される。そして、鋳込まれたダイカスト鋳造品1´から、金型の分割面等に発生する余分に張出した鋳バリ、ランナー等の不必要な部分を取り除くトリミングが行われる。ここまでの工程は、従来の工程と同様である。
【0022】
次に、ダイカスト鋳造品1´を骨子としてインサート成形を行う。インサート成形は、図5乃至図7に示す金型40を用いて、予め定められた成形条件による射出成形によって成形される。図5乃至図7は、それぞれワイパーアームヘッド1のダイカスト鋳造品1´を金型40内に配置した際の、図3のA−A線断面に相当する部分の断面図、図4のB−B線断面に相当する部分の断面図、C−C線断面に相当する部分の断面図を表している。
【0023】
金型40は、キャビティ41、コア42、及びスライドピン43、44、45、46を備える。キャビティ41とコア42の間には、図1に示したワイパーアームヘッド1を成形することができる空間部47が形成されている。なお、図5乃至図7において斜線部は金型40であり、ダイカスト鋳造品1´は空間部47内の実線で表してある。
【0024】
また、キャビティ41には、スライドピン44、45及び46を挿通させるための挿通孔44a、45a及び46aが形成されている。コア42には、スライドピン43を挿通させるための挿通孔43aが形成されている。
【0025】
そして、ワイパーアームヘッド1を成形するためには、はじめに、キャビティ41内にダイカスト鋳造品1´を配置し、スライドピン44、45、46を挿通孔44a、45a、46aに挿入して仮位置決めを行い、キャビティ41をコア42で覆うと共に、スライドピン43を挿通孔43aに挿入する。
【0026】
上記のように金型をセットすると、スライドピン44の先端面は、円形穴23の底面23aと当接し、スライドピン44の突起部44bは、貫通孔22に嵌り込む。また、スライドピン43の先端面は、円形穴21の底面21aと当接すると共に、スライドピン44の突起部44bの先端面とも当接する。したがって、ダイカスト鋳造品1´は、金型40にセットされると、スライドピン43及び44によって上下位置を決定される。
【0027】
一方、スライドピン45の先端部には、図7に示すようにアーム連結孔31に挿通される挿通部45bが形成され、スライドピン45、46が金型40に挿入されると、挿通部45bはアーム連結孔31に挿通されると共に、挿通部45bの先端面はスライドピン46の先端面と当接する。したがって、ダイカスト鋳造品1´は、金型40にセットされた状態では、スライドピン45及び46によって水平方向の位置決めがされる。
【0028】
上記のように、金型40内にダイカスト鋳造品1´が配置されると、ダイカスト鋳造品1´と金型40との間には、図5乃至図7に示すような薄い層、即ち樹脂流入空間が形成される。
【0029】
そして、ランナー及びゲートを通じて空間部47内に周知の樹脂材料を充填させる。この空間部47内に充填された樹脂材料が、固化した後、スライドピン43乃至46を抜去し、金型40から樹脂材料と一体になったダイカスト鋳造品1´を離型することにより、表面に樹脂モールド層が成形されたダイカスト製造品であるワイパーアームヘッド1が製造される。
【0030】
さらに図8に基づきスライドピン45、46について説明する。ダイカスト鋳造品1´は、アーム連結孔31の両端面縁部、即ちアーム連結部30の側面上のアーム連結孔31開口円縁部に、円環状の段部31aが設けられている。即ち、円環状の段部31aが両端面部に形成されたことにより、アーム連結孔31の断面は、両端面部において大きくなっている。
【0031】
図8に示すようにスライドピン45には、断面円径が小さく形成された円柱状の挿通部45bを先端部に有しており、その挿通部45bの根元部には、円環状の肩部45cが形成されている。さらに、この円環状の肩部45cの一部には階段状の段部45dが形成されている。本実施例においては、円環状の肩部45cを周方向に6分割し、肩部45cの周方向60度の範囲毎に交互に3箇所の段部45dが形成されている。
【0032】
また、スライドピン46の先端面縁部である肩部46cにも、同様に階段状の段部46dが周方向60度の範囲毎に3箇所形成されている。
【0033】
これらスライドピン45及び46が金型40内に配置されたダイカスト鋳造品1´に向けて挿入されると、スライドピン45の肩部45cがアーム連結孔31の段部31aに嵌り込む。このとき、スライドピン45の段部45dが形成されている部分は、アーム連結孔31の段部31aとの間に、間隙が形成された状態となる。
【0034】
また、スライドピン46の肩部46cも、アーム連結孔31の段部31aに嵌り込むと共に、スライドピン46の段部46dが形成されている部分には、アーム連結孔31の段部31aとの間に、間隙が形成される。この状態で、スライドピン45の先端面とスライドピン46の先端面は当接し、スライドピン45及び46によって、ダイカスト鋳造品1´は空間部47内において所定の水平位置に維持される。
【0035】
上記のようにスライドピン45及び46は、ダイカスト鋳造品1´のアーム連結孔31に挿入されるので、図7に示すように、スライドピン45の挿通部45bは、アーム連結孔31の内周面の略中央部に配置されることになる。スライドピン45の挿通部45bがアーム連結孔31内への挿通される角度及び挿通される位置は、スライドピン45の肩部45c及びスライドピン46の肩部46cとアーム連結孔31の段部31aとの嵌合、及び、スライドピン45の先端面及びスライドピン46の先端面との当接によって正確に決められる。
【0036】
この状態で、樹脂材料が空間部47内に射出されると、前述の間隙を通してアーム連結孔31の内周面に薄く充填される。スライドピン45の挿通部45bは円柱形状であるので、アーム連結孔31の内周面に成形された樹脂モールド層内面は、正確な円柱面となる。また、樹脂モールド層は、薄く成形されるため、固化後の変形がほとんどなく、正確な円柱面を維持することができる。
【0037】
図9は、上記のようにして樹脂成形した後の、アーム連結孔31付近の拡大図である。図中斜線部は、樹脂モールド層をあらわす。前述のように、アーム連結孔31の段部31aの内、スライドピン45及び46の肩部45c及び46cと当接していた部分は、樹脂モールド層が成形されていない。一方、アーム連結孔31の段部31aの内、スライドピン45及び46の段部45d及び46dとの間に間隙が形成されていた部分には、樹脂モールド層が形成されている。
【0038】
上記したように、本実施の形態によれば、以下の効果を有する。
(1)ワイパーアームヘッド1のダイカスト鋳造品1´をインサートとして、樹脂成形されると、ダイカスト鋳造品1´の略全表面が樹脂モールド層で覆われたダイカスト製造品であるワイパーアームヘッド1が製造される。これにより、骨子はダイカスト鋳造品1´であり、外郭はダイカスト鋳造品1´より比重の小さい樹脂層となるため、ワイパーアームヘッド1の機械的強度は殆ど変わることなく、軽量化することができる。
【0039】
(2)また、ダイカスト鋳造品1´は、ワイパーアームヘッド1のインサートとなるため、最終製品であるワイパーアームヘッド1と同様の外郭形状を持たなくとも、樹脂成形によって最終的に外郭形状が成形されるので、形状を単純化することができる。
【0040】
(3)ダイカスト鋳造品1´は、その外周面が略全域に渡って樹脂モールド層で覆われるので、鋳造時に成形されてしまうゲートやオーバーフロー跡及びバリ等も樹脂モールド層によって覆われるので、従来は鋳造品に対して行っていたゲート・オーバーフロー跡処理工程及びバリ取り工程等の外観仕上げ工程が不要となる。
【0041】
(4)従来は、ダイカスト鋳造後に、ダイカスト鋳造品の表面に形成されることがある湯じわ等の外観検査を行っていたが、本発明の実施例によれば、表面は樹脂モールド層で覆われるので、上記外観検査が不要となる。
【0042】
(5)また、ダイカスト鋳造品1´の表面に樹脂モールド層が成形されることにより、ダイカスト鋳造品1´の防水効果が得られると共に、高い防錆効果も得られる。したがって、従来行っていたアルマイト処理等の表面処理工程及び塗装工程が不要となる。
【0043】
(6)また、ダイカスト鋳造品1´の表面を覆う樹脂モールド層に使用する樹脂の染料は適宜選択することができるので、最終製品であるワイパーアームヘッド1の外周面の色を選択することが可能である。
【0044】
(7)さらに、使用する樹脂材料は適宜選択することができるので、高強度、耐摺動性、低摩擦等の特性を有する樹脂を選択することも可能である。
【0045】
(8)上述のように、従来のダイカスト製造品における加工工程(外観仕上げ工程、外観検査工程、表面処理工程、塗装工程)を省くことができ、製造にかかる工数が大幅に削減されるので、安価にダイカスト製造品であるワイパーアームヘッド1を製造することが可能となる。
【0046】
(9)ワイパーアームヘッド1は、軸受け孔の軸精度を要求されるアーム連結孔31を有しており、その軸受け孔の軸精度は、従来では、ダイカスト鋳造品に対して切削加工等を行うことにより調整されていたが、本発明ではワイパーアームヘッド1のインサートとなるダイカスト鋳造品1´に対しては必要とされない。そして、軸受け孔の軸精度は、ダイカスト鋳造品1´のインサート成形時に、アーム連結孔31を薄い樹脂モールド層で被覆し、アーム連結孔31の内周面に挿通されたスライドピン45の外周面形状を保持することにより、精度出しが可能となる。
【0047】
したがって、従来のダイカスト鋳造品のように軸受け穴精度を出すために、切削による穴仕上げ工程が不要となり、ワイパーアームヘッド1の製造コストを抑えることができる。
【0048】
(10)ダイカスト鋳造品1´のアーム連結孔31内周面に、薄く樹脂モールド層を形成する際、アーム連結孔31の開口円の縁部に形成された段部31aと、アーム連結孔31内に挿入されるスライドピン45先端の挿通部45bの根元部に形成された肩部45cが当接することにより、アーム連結孔31内における挿通部45bの位置決めが確実に行われる。したがって、挿通部45bの外周面に形成される軸受け穴は、位置精度の確保ができると共に、薄い樹脂層であるため収縮変形が抑えられ、正確な軸受け穴精度の確保ができる。
【0049】
なお、本発明の実施の形態は、以下のように変更してもよい。
○上記実施例では、自動車のワイパーアームに使用されるワイパーアームヘッドを例にとって説明したが、ワイパーアームヘッドに限らず、ダイカスト鋳造品であれば、その外周面に樹脂モールド層を成形することにより、上述したように外観仕上げ工程、外観検査工程、表面処理工程、塗装工程を省くことができる。
【0050】
○また、上記実施例では、ダイカスト用合金としてアルミニウム合金を使用した鋳造品を例にとって説明しているが、他のダイカスト用合金、例えば亜鉛合金、マグネシウム合金を使用した鋳造品を使用できることは勿論である。
【0051】
○また、上記実施例では、アーム連結孔31内周面に形成される樹脂モールド層を規制するスライドピン45先端の挿通部45bの位置決めを、アーム連結孔31の段部31aとスライドピン45の肩部45cで行っており、スライドピン45の肩部45cの一部に段部45dを設けることにより、段部45dと段部31a間に間隙を形成していた。また、スライドピン46の肩部46cにも段部46dを設け、段部46dと段部31a間に間隙を形成しており、これら間隙を、樹脂射出時の樹脂の通路としていた。
【0052】
この樹脂の通路を形成するために、肩部45c及び46cに段部45dを設ける代わりに、段部31aの一部に樹脂の通路を形成するための段部を設ける構成としてもよい。
【0053】
○また、上記実施例では、階段状に形成された段部31aと、同じく階段状に形成された段部45d及び46dとの間に間隙を形成しているが、スライドピン45及び46の肩部45c及び46cに形成される段部45d及び46dは、必ずしも階段状である必要はなく、傾斜状に形成された面であってもよい。
【0054】
○また、上記実施例では、モールド材料として樹脂を使用したが、ゴム材料であってもよい。
【0055】
【発明の効果】
以上のように、本発明のダイカスト製造品の製造方法によれば、従来は、ダイカスト製造品は多くの製造工程を経て製造されていたが、ダイカスト鋳造後の所定の製造工程を省き、その代わりにダイカスト鋳造品をインサートとして外周面を薄い樹脂層で覆うインサート成形工程のみとしたことによって、従来と比して製造に掛かる工数を削減でき、安価に製造することができる。
【0056】
また、軸受け精度を要求される部分についても、樹脂成形によって形成される薄い樹脂層によって軸受け精度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のワイパーアームヘッドの斜視図である。
【図2】図1の別斜視図である。
【図3】図1の正面図である。
【図4】図1の側面図である。
【図5】図1のワイパーアームヘッドのインサート成形の説明図である。
【図6】図1のワイパーアームヘッドのインサート成形の説明図である。
【図7】図1のワイパーアームヘッドのインサート成形の説明図である。
【図8】スライドピンの先端部分の拡大図である。
【図9】図1のアーム連結孔部分の拡大図である。
【符号の説明】
1 ワイパーアームヘッド、 1´ ダイカスト鋳造品、 10 アーム部、11 凹部、 20 ピボット軸連結部、 21、23 円形穴、 21a、23a 底面、 22 貫通孔、 30 アーム連結部、 31 アーム連結孔、 31a 段部、 32 凹部、 40 金型、 41 キャビティ、 42コア、 43、44、45、46 スライドピン、 43a、44a、45a、46a 挿通孔、 44b 突起部、 45b 挿通部、 45c、46c肩部、 45d、46d 段部、 47 空間部
Claims (1)
- 両端面縁部に段部を有する孔を備えたダイカスト鋳造品の表面に樹脂材料又はゴム材料のモールド層を有するダイカスト製造品の製造方法であって、
前記ダイカスト鋳造品を鋳造する工程と、
前記ダイカスト鋳造品の表面に樹脂材料又はゴム材料のモールド層を成形する工程と、を備え、
該樹脂材料又はゴム材料のモールド層の成形は、次の工程を含むことを特徴とするダイカスト製造品の製造方法;
(1)前記ダイカスト製造品を成形する空間を有する金型内に前記ダイカスト鋳造品をセットする第1工程、
(2)前記孔の一方から前記孔の内周面を規制する先端部を有した第1のスライドピンを挿入し、前記孔の他方を第2のスライドピンで覆うと共に、前記第1のスライドピンの先端部の根元部に形成された肩部及び前記第2のスライドピンの先端面縁部を前記両段部に当接させて、前記先端部と前記孔の内周面との間に所定の樹脂材料又はゴム材料の流入空間を確保する第2工程、
(3)前記第1のスライドピン及び第2のスライドピンを留置すると共に、前記金型内の前記空間に樹脂材料又はゴム材料を充填する第3工程、
(4)前記樹脂材料又はゴム材料を固化させる第4工程、
(5)前記工程の後に、前記第1のスライドピン及び第2のスライドピンを抜去すると共に、前記金型から前記ダイカスト鋳造品の表面に樹脂材料又はゴム材料のモールド層を有したダイカスト製造品を離型する工程。
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