JP3725356B2 - 電磁弁および燃料噴射弁 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁弁および燃料噴射弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の電磁弁、例えば燃料噴射弁には、可動弁が板ばねにより開閉可能に支持され、ソレノイドコイルの通電により発生する電磁吸引力によって、可動弁を板ばねのスプリング荷重に打ち勝って移動させるものがある(例えば、特開平4−31662号公報参照)。このような燃料噴射弁では、電磁吸引力を発生する磁気回路が可動弁と磁路形成部材との間に2個所のエアギャップをもっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の燃料噴射弁において、ソレノイドコイルの通電により発生する電磁吸引力は、それぞれのエアギャップにおける可動弁と磁路形成部材との対向面積に比例する。したがって、可動弁の作動応答性を良くするためには、可動弁と磁路形成部材との対向面積を大きくして、電磁吸引力を増大させればよい。
【0004】
しかしながら、それぞれのエアギャップにおける可動弁と磁路形成部材との対向面積を単純に大きくする方法は、燃料噴射弁の大型化を余儀無くされることから、エンジンへの搭載上の制限を受ける燃料噴射弁には好ましくない。また、可動弁の作動に要する作動電圧(バルブ作動電圧ともいう)が大きくなるため、電磁吸引力の発生効率を低下させることになる。
【0005】
そこで、本件出願人は、それぞれのエアギャップにおけるパーミアンスに着眼して提案されたものである。なお、パーミアンスは、周知のとおり、磁束の流れやすさを表すもので、パーミアンスが大きいほど電磁吸引力が大であり、逆にパーミアンスが小さいほど電磁吸引力が小である。また、パーミアンス(P)は、
P=(μ・S)/L
で表わされる。ここで、μは透磁率、Sは対向面積、Lはエアギャップの対向距離である。
【0006】
本発明は上記した問題点を解決するためになされたものであって、本発明が解決しようとする課題は、可動弁に作用する電磁吸引力を2個所のエアギャップをもつ磁気回路によって発生するものにおいて、バルブ作動電圧を小さくしながらも、電磁吸引力の発生効率を向上し、もって小型化を図るとともに可動弁の作動応答性を向上することのできる電磁弁および燃料噴射弁を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する請求項1の発明は、ソレノイドコイルの通電により可動弁に作用する電磁吸引力を発生する磁気回路が、
前記ソレノイドコイルの内方における磁路形成部材と前記可動弁との間に形成されるエアギャップG1と、
前記エアギャップG1の外方における磁路形成部材と前記可動弁との間に形成されるエアギャップG2と、
の2個所のエアギャップをもつ電磁弁において、
前記エアギャップG2におけるパーミアンスP2を前記エアギャップG1におけるパーミアンスP1で除したパーミアンス比(P2/P1)を、1.5〜2.1の範囲内に設定した電磁弁である。
【0008】
このように構成すると、2個所のエアギャップG1,G2をもつ磁気回路によって可動弁に作用する電磁吸引力を発生する電磁弁において、パーミアンス比(P2/P1)が1.5〜2.1の範囲内となるように、各エアギャップG1,G2におけるパーミアンスP1,P2を選定することにより、バルブ作動電圧を小さくしながらも、電磁吸引力の発生効率を向上することができる。これにより、電磁弁の小型化を図りつつ、可動弁の作動応答性を向上することができる。
【0009】
請求項2の発明は、可動弁に対する電磁吸引力の作用方向と交差する方向における磁路形成部材と可動弁との間にエアギャップG0が形成され、前記エアギャップG0におけるパーミアンスP0をエアギャップG1におけるパーミアンスP1で除したパーミアンス比(P0/P1)を、0.55〜0.9の範囲内に設定した請求項1記載の電磁弁である。このように構成すると、パーミアンス比(P0/P1)が0.55〜0.9の範囲内となるように、エアギャップG1,G0におけるパーミアンスP1,P0を選定することにより、バルブ作動電圧を一層小さくしながらも、電磁吸引力の発生効率を一層向上することができる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1または2記載の電磁弁における可動弁が板ばねにより開閉可能に支持されている燃料噴射弁である。このように構成すると、可動体に対するバルブ作動電圧を小さくしながらも、電磁吸引力の発生効率を向上することができ、よって、小型で可動弁の高い作動応答性が要求される燃料噴射弁に有効である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。なお本実施の形態では、圧縮天然ガス燃料等の気体燃料を使用する燃料噴射弁を例示することにする。燃料噴射弁を断面図で示した図1において、ほぼ円筒状のボデー1は、磁性材からなり、その中央部内周に突出する環状のフランジ部1aを有している。ボデー1の後半部(図1において右半部)にほぼ円筒状のコア2が挿入されている。コア2は、磁性材からなり、その中央部外周に突出する環状のフランジ部2aを有している。このフランジ部2aに前記ボデー1の後端部をかしめつけることにより、コア2がボデー1に固定されている。
【0012】
前記ボデー1とコア2の間にはほぼ円筒状のボビン3が配置されている。ボビン3は、合成樹脂などの電気絶縁材からなり、ソレノイドコイル4を多層状に巻装している。ソレノイドコイル4には、後方へ突出するターミナル5が電気的に接続されている。ターミナル5は、前記コア2のフランジ部2aを貫通している。なお、ボビン3の前端部外周には、ボビン3とボデー1との間をシールするリング形状をした前側のOリング6が取り付けられている。ボビン3の後端部内周には、ボビン3とコア2との間をシールするリング形状をした後側のOリング7が取り付けられている。
【0013】
前記コア2の後半部外周には、樹脂モールド成形が施されることにより受電用コネクタ8が形成されている。受電用コネクタ8は、前記ターミナル5の先端部周囲を取り囲むソケット部8aを有している。なお、ソケット部8aには、図示されない電子制御装置の給電用コネクタが接続される。これにより、電子制御装置からの信号がターミナル5を通じてソレノイドコイル4に入力され、ソレノイドコイル4の通電及びその解除がなされる。
【0014】
前記ボデー1の前半部(図1の左半部)内には、ストッパ10、カラー12、可動弁14を付けた板ばね16、リング18およびシート20が順次組み込まれている。説明の都合上、シート20、ストッパ10、カラー12、リング18、可動弁14、板ばね16の順に説明する。
【0015】
まず、シート20は、例えばステンレス材からなり、その後端面に座面22が形成されている。シート20の軸心部に燃料噴射口21が形成されている。燃料噴射口21は、その後端面から前方に向かって小径をなすテーパ孔部21aと、前記テーパ孔部21aの前端に連続する小径孔部21bと、前記小径孔部21bの前端に段付面(符号省略)を介して連続する大径孔部21cとからなる。
【0016】
前記シート20の外周面に形成された段付部に前記ボデー1の前端部をかしめつけることにより、シート20がボデー1に固定されている。これにより、前記フランジ部1aとシート20との間に、ストッパ10、カラー12、板ばね16の外周部およびリング18が挟持される。なお、シート20の中央部外周には、シート20とボデー1との間をシールするリング形状のシール材23が取り付けられている。
【0017】
次に、ストッパ10は、磁性材である電磁ステンレス材からリング板形状に形成され、前記ボデー1内に嵌合されかつ前記フランジ部1aと当接されている。なお、図1の要部拡大図が図2に示されている。
【0018】
次に、カラー12は、例えばステンレス材からリング形状に形成され、前記ボデー1内に嵌合されかつ前記ストッパ10の外周部と当接されている。
【0019】
次に、リング18は、例えばステンレス材からリング形状に形成され、前記ボデー1内に嵌合されかつ板ばね16の外周縁部と当接されている。リング18は、前記ボデー1に対するシート20の固定によって板ばね16の外周縁部を前記カラー12に押圧している。これにより、カラー12とリング18との間に板ばね16の外周縁部が挟持されている。
【0020】
図2において、可動弁14は、磁性材である電磁ステンレス材からなり、前記コア2とほぼ同様の断面形状をなす円筒形状の主部14aと、その主部14aの前部外周に突出するフランジ部14bと、前記主部14aの前端部に突出する円板形状のバルブ部14cとを有している。なお、前記主部14aおよびフランジ部14bは、前記ソレノイドコイル4の通電時においてアーマチュアとして機能する。
【0021】
前記主部14aの中空部(符号、14dを付す)の内周面には、段付面からなるばね座面14eが形成されている。また、フランジ部14bの後面は、前記ストッパ10と面接触可能な当接面14fとなっている。
【0022】
前記バルブ部14cの前面は、前記シート20の座面22と面接触可能な当接面14hとなっている。前記当接面14hに形成された環状溝(符号省略)には、弾性を有する環状のダンパ部材15が嵌着されている。ダンパ部材15は、可動弁14の閉弁時に前記シート20の座面22と当接してダンパ作用およびシール作用を果たす。
【0023】
前記バルブ部14cには、前記主部14aの中空部14dと連通しかつ半径方向に放射状をなす例えば4本の貫通孔14kが形成されている。前記中空部14dと貫通孔14kとにより、可動弁14の燃料通路(符号省略)が形成されている。
【0024】
次に、板ばね16を説明する。板ばね16の正面図が図3、図3のIV−IV線断面図が図4に示されている。板ばね16は、ほぼ円板形状に形成されており、内外二本の円周線に沿う長細孔16aが内外3本ずつ約1/2ピッチずらした状態で形成されている。各長細孔16aの中間部には、他方の長細孔16aの相互間に位置する凹部16bが形成されている。なお板ばね16は、疲れ限度の高い材質、例えば、SUS631,SUS632J1等の析出硬化系ステンレスにより形成されている。
【0025】
前記板ばね16の内周縁部には、表裏両面に跨がりその縁部を被覆する弾性体25がインサート成形によって設けられている。板ばね16の内周部分には適数個(図3は6個を示す。)の孔16cがほぼ等間隔で形成されており、その孔16cを通じて表裏の弾性体25が連結されている。なお、図4のV部の部分拡大図が図5に示されている。なお弾性体25は、低温性の良い弾性材、例えば、パーフロロ系フッ素ゴム、パーフロロエーテル系フッ素ゴム、フロロシリコンゴム、水素添加NBRにより形成されている。
【0026】
また、図3に示すように、前記弾性体25の孔25aの内径D1は、前記可動弁14(図2参照)の主部14aの外径D2よりも小さく設定されている。これにより、可動弁14の主部14aに対する弾性体25の締めしろTが設定されている。そして、前記弾性体25の孔25aに前記可動弁14のバルブ部14cが挿入されかつ前記締めしろT(図3参照)による締まりばめによって、弾性体25に可動弁14が取り付けられている。なお弾性体25は、可動弁14のフランジ部14bに当接されている。
【0027】
前記板ばね16の外周縁部は、前にも述べたように前記カラー12とリング18との間に挟持されている。したがって、可動弁14は、板ばね16により軸方向に開閉可能に支持されている。可動弁14は、閉弁状態からの後退(図1において右方への移動)によって開弁し、その開弁状態からの前進(図1において左方への移動)によって閉弁する。なお、閉弁時においては、可動弁14のバルブ部14cがシート20の座面22と面接触する。また、開弁時においては、可動弁14のフランジ部14bがストッパ10と面接触する。なお可動弁14は、後述するコイルばね26の弾性によって常には閉弁状態に保持されている。
【0028】
また、図1に示すように、前記コア2内には、その後方からコイルばね26が挿入され、さらに、ばね荷重調整用のパイプ27が挿入されている。前記コイルばね26の先端面は前記可動弁14のばね座面14eと当接している(図2参照)。また、コイルばね26の後端面にパイプ27の先端面が当接している。前記コイルばね26は、可動弁14を常には閉弁状態に付勢している。また、パイプ27は、その挿入位置の位置調整により可動弁14に対するコイルばね26のばね荷重を調整した後、前記コア2にコーキングによって固定されている。
【0029】
前記コア2の後端面(図1の右端面)からシート20の先端面までの間には、コア2およびパイプ27内の中空部、可動弁14の中空部14dおよび貫通孔14k、シート20の燃料噴射口21からなる一連の燃料通路29が形成されている。なお、コア2の後端部にはストレーナ30が組み込まれている。
【0030】
前記コア2の後端部外周に形成された凹溝(符号省略)にOリング31が嵌着されている。Oリング31は、コア2とそれに連通される図示しないデリバリパイプとの間をシールする。またコア2には、前記受電用コネクタ8の後端面に当接するグロメット32が嵌着されている。グロメット32は、受電用コネクタ8と前記デリバリパイプとの間の緩衝作用を果たす。
【0031】
続いて、上記のように構成された燃料噴射弁の作動を説明する。図示しない燃料タンクから調圧弁を介して所定の圧力を付与された状態で供給される燃料は、ストレーナ30によってろ過された後、一連の燃料通路29を通って、シート20に対する可動弁14の閉止部分まで至っている。そして、板ばね16とコイルばね26のばね荷重の合力によって、可動弁14が閉弁状態に保持されているため、燃料は噴射されない。
【0032】
ここで、電子制御装置からの電気信号の入力によってソレノイドコイル4が通電状態になると、ボデー1、コア2、可動弁14、ストッパ10を通る磁気回路M(図1中の点線M参照)が構成されることによる電磁吸引力によって、可動弁14が後退されることにより開弁する。可動弁14の開弁により、シート20の燃料噴射口21から燃料が噴射される。
【0033】
そして、前記ソレノイドコイル4に対する電気信号がオフになり、可動弁14に作用していた電磁吸引力がなくなると、前に述べたように可動弁14が閉弁されることにより、前記燃料の噴射が停止する。
【0034】
ところで、上記燃料噴射弁において、ソレノイドコイル4の通電により可動弁14に作用する電磁吸引力は、2個所のエアギャップをもつ磁気回路Mによって発生する。すなわち、図6の断面図において、2個所のエアギャップのうちの一方のエアギャップG1は、ソレノイドコイル4が巻かれているコア2と可動弁14の主部14aとの間に形成される。なお、コア2は、本発明でいう「ソレノイドコイル4の内方における磁路形成部材」に相当している。
【0035】
また、他方のエアギャップG2は、ストッパ10と可動弁14のフランジ部14bとの間に形成される。なおストッパ10は、本発明でいう「エアギャップG1の外方における磁路形成部材」に相当している。
【0036】
また、前記磁気回路Mと交差する方向に関してストッパ10およびボデー1のフランジ部1aと可動弁14の主部14aとの間には、エアギャップG0が形成される。なおストッパ10およびボデー1のフランジ部1aは、本発明でいう「可動弁に対する電磁吸引力の作用方向と交差する方向における磁路形成部材」に相当している。
【0037】
エアギャップG1の説明図を示した図7において、コア2と可動弁14の主部14aとの対向面の間の対向距離をL1、その対向面における面取りやR面を含まない断面対向幅をW1とする。断面対向幅W1のほぼドーナッツ形状の面積がコア2と可動弁14の主部14aとの対向面積S1(図示省略)となる。そして、エアギャップG1におけるパーミアンスP1は、
P1=(μ1・S1)/L1
で表わされる。なお、μ1はエアギャップG1における透磁率である。また、対向距離L1は、可動弁14の閉弁時における寸法である。
【0038】
また、エアギャップG2の周辺部を断面図で示した図8において、ストッパ10と可動弁14のフランジ部14bとの対向面の間の対向距離をL2、その対向面における面取りやR面を含まない断面対向幅をW2とする。断面対向幅W2のほぼドーナッツ形状の面積がストッパ10と可動弁14のフランジ部14bとの対向面積S2(図示省略)となる。そして、エアギャップG2におけるパーミアンスP2は、
P2=(μ2・S2)/L2
で表わされる。なお、μ2はエアギャップG2における透磁率である。また、対向距離L2は、可動弁14の閉弁時における寸法である。
【0039】
また、エアギャップG0の周辺部を断面図で示した図9において、ストッパ10およびボデー1のフランジ部1aと可動弁14の主部14aとの径方向の対向面の間の対向距離をL0、その対向面における面端の面取りやR面を含まない軸方向の断面対向幅をW0とする。なお、ドーナッツ形状の径を平均径とするため、断面対向幅W0は対向距離をL0の1/2の位置でとる。
【0040】
前記断面対向幅W0のほぼ円筒形状の面積がストッパ10およびボデー1のフランジ部1aと可動弁14の主部14aとの径方向の対向面積S0(図示省略)となる。そして、エアギャップG0におけるパーミアンスP0は、
P0=(μ0・S0)/L0
で表わされる。なお、μ0はエアギャップG0における透磁率である。
【0041】
しかして、前記エアギャップG2におけるストッパ10と可動弁14のフランジ部14bとの対向面積S2を大きくするほど、パーミアンスP2が大きくなり、電磁吸引力を増大することができる。しかし、燃料噴射弁の体格の大きさには制限があるため、通常、ストッパ10やカラー12等が嵌まる部分のボデー1の軸心から内周面までの半径R(図6参照)はほぼ一定寸法と考えられる。このため、前記エアギャップG2における対向面積S2を可動弁14のフランジ部14bの外径の増大によって大きくし過ぎると、ボデー1と可動弁14のフランジ部14bとの径方向の対向距離L(図8参照)が小さくなり、ここでの漏洩磁束M1(図6中、二点鎖線M1参照)が大きくなる結果、電磁吸引力が減少する。
【0042】
また、前記エアギャップG2における対向面積S2をストッパ10の内径の減少によって大きくし過ぎると、エアギャップG0における対向距離L0(図9参照)が小さくなり、ここでの漏洩磁束M0(図6中、二点鎖線M0参照)が大きくなる結果、これまた電磁吸引力が減少する。
【0043】
また、前記エアギャップG0における対向距離L0を大きくするほど、ここでの漏洩磁束M0が小さくなる。すると、エアギャップG1およびエアギャップG2を流れる磁束が大きくなり、パーミアンスP1,P2が大きくなるため、電磁吸引力は増大する。しかし、対向距離L0を大きくし過ぎると、エアギャップG2における対向面積S2が最適値より小さくなる。また、エアギャップG2における対向面積S2を大きくするためには、エアギャップG0における対向距離L0または前記対向距離Lが小さくなり、ここでの漏洩磁束M0,M1が大きくなる結果、電磁吸引力が減少する。
【0044】
そこで、本件出願人は、ボデー1と可動弁14のフランジ部14bとの径方向の対向距離L(図8参照)を一定寸法として、対向距離L1,L2,L0および断面対向幅W1,W2,W0等を変えることによって、パーミアンスP1,P2,P0の異なる試料を作製したうえで、バルブ作動電圧を測定した。
【0045】
そして、上記測定結果に基づいて、エアギャップG2におけるパーミアンスP2をエアギャップG1におけるパーミアンスP1で除したパーミアンス比(P2/P1)によりバルブ作動電圧がどのように変化するかを図10に示すようにグラフ化することによって確認した。
【0046】
図10において、横軸がパーミアンス比(P2/P1)であり、縦軸がバルブ作動電圧である。このとき、エアギャップG0におけるパーミアンスP0をエアギャップG1におけるパーミアンスP1で除したパーミアンス比(P0/P1)は0.7とした。図10から明らかなように、パーミアンス比(P2/P1)を1.5〜2.1の範囲内に設定することにより、バルブ作動電圧を小さくすることができる。なお、構成部品の寸法公差を考慮すると、パーミアンス比(P2/P1)を1.5〜2.1の範囲内に設定することになるが、とくにパーミアンス比(P2/P1)を1.8に設定することにより、バルブ作動電圧を最小値とすることができる。
【0047】
また、上記測定結果に基づいて、エアギャップG0におけるパーミアンスP0をエアギャップG1におけるパーミアンスP1で除したパーミアンス比(P0/P1)によりバルブ作動電圧がどのように変化するかを図11に示すようにグラフ化することによって確認した。
【0048】
図11において、横軸がパーミアンス比(P0/P1)であり、縦軸がバルブ作動電圧である。このとき、エアギャップG2におけるパーミアンスP2を前記エアギャップG1におけるパーミアンスP1で除したパーミアンス比(P2/P1)は1.8とした。図11から明らかなように、パーミアンス比(P0/P1)を0.55〜0.9の範囲内に設定することにより、バルブ作動電圧を小さくすることができる。なお、構成部品の寸法公差を考慮すると、パーミアンス比(P0/P1)を0.55〜0.9の範囲内に設定することになるが、とくにパーミアンス比(P0/P1)を0.7に設定することにより、バルブ作動電圧を最小値とすることができる。
【0049】
上記した燃料噴射弁によると、ソレノイドコイル4の通電により可動弁14に作用する電磁吸引力を発生する磁気回路Mが、前記ソレノイドコイル4の内方におけるコア2と前記可動弁14との間に形成されるエアギャップG1と、前記エアギャップG1の外方におけるストッパ10と前記可動弁14との間に形成されるエアギャップG2との2個所のエアギャップをもち、前記エアギャップG2におけるパーミアンスP2を前記エアギャップG1におけるパーミアンスP1で除したパーミアンス比(P2/P1)を、1.5〜2.1の範囲内に設定したものである。したがって、パーミアンス比(P2/P1)が1.5〜2.1の範囲内となるように、各エアギャップG1,G2におけるパーミアンスP1,P2を選定することにより、可動弁14の作動に要する作動電圧を小さくしながらも、電磁吸引力の発生効率を向上することができる。これにより、電磁弁の小型化を図りつつ、可動弁14の作動応答性を向上することができる。
【0050】
また、可動弁14に対する電磁吸引力の作用方向と交差する方向におけるストッパ10およびボデー1のフランジ部1aと可動弁14の主部14aとの間にエアギャップG0が形成され、前記エアギャップG0におけるパーミアンスP0をエアギャップG1におけるパーミアンスP1で除したパーミアンス比(P0/P1)を、0.55〜0.9の範囲内に設定したものである。したがって、パーミアンス比(P0/P1)が0.55〜0.9の範囲内となるように、エアギャップG1,G0におけるパーミアンスP1,P0を選定することにより、可動弁14の作動に要する作動電圧を一層小さくしながらも、電磁吸引力の発生効率を一層向上することができる。
【0051】
また、可動弁14が板ばね16により開閉可能に支持されている燃料噴射弁であるから、可動弁14の作動に要する作動電圧を小さくしながらも、電磁吸引力の発生効率を向上することができ、よって、小型で可動弁14の高い作動応答性が要求される燃料噴射弁に有効である。
【0052】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、可動弁14は、主部14a、フランジ部14bおよびバルブ部14cを有する一体成形品としたが、各部14a,14b,14cを別体で形成した部品を組み合わせることによって構成することもできる。また、燃料噴射弁の使用燃料としては、圧縮天然ガスが好適であるが、その他の燃料例えばガソリン、液化ガス等の使用までも制限するものではない。また、本発明は燃料噴射弁に限定されるものでなく、種々の電磁弁に流用することが可能である。
【0053】
【発明の効果】
本発明の燃料噴射弁によれば、可動弁に作用する電磁吸引力を2個所のエアギャップをもつ磁気回路によって発生するものにおいて、バルブ作動電圧を小さくしながらも、電磁吸引力の発生効率を向上することにより、小型化を図るとともに可動弁の作動応答性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施の形態を示す燃料噴射弁の断面図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】板ばねの正面図である。
【図4】図3のIV−IV線断面図である。
【図5】図4のV部の部分拡大図である。
【図6】エアギャップの説明にかかる断面図である。
【図7】エアギャップG1の周辺部を示す断面図である。
【図8】エアギャップG2の周辺部を示す断面図である。
【図9】エアギャップG0の周辺部を示す断面図である。
【図10】パーミアンス比(P2/P1)とバルブ作動電圧との関係を示す特性線図である。
【図11】パーミアンス比(P0/P1)とバルブ作動電圧との関係を示す特性線図である。
【符号の説明】
1 ボデー(磁路形成部材)
2 コア(磁路形成部材)
4 ソレノイドコイル
10 ストッパ(磁路形成部材)
14 可動弁
16 板ばね
G1 エアギャップ
G2 エアギャップ
G0 エアギャップ
M 磁気回路
Claims (3)
- ソレノイドコイルの通電により可動弁に作用する電磁吸引力を発生する磁気回路が、
前記ソレノイドコイルの内方における磁路形成部材と前記可動弁との間に形成されるエアギャップG1と、
前記エアギャップG1の外方における磁路形成部材と前記可動弁との間に形成されるエアギャップG2と、
の2個所のエアギャップをもつ電磁弁において、
前記エアギャップG2におけるパーミアンスP2を前記エアギャップG1におけるパーミアンスP1で除したパーミアンス比(P2/P1)を、1.5〜2.1の範囲内に設定した電磁弁。 - 可動弁に対する電磁吸引力の作用方向と交差する方向における磁路形成部材と可動弁との間にエアギャップG0が形成され、前記エアギャップG0におけるパーミアンスP0をエアギャップG1におけるパーミアンスP1で除したパーミアンス比(P0/P1)を、0.55〜0.9の範囲内に設定した請求項1記載の電磁弁。
- 請求項1または2記載の電磁弁における可動弁が板ばねにより開閉可能に支持されている燃料噴射弁。
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