JP3725138B2 - 丼加工機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は丼加工機に関し、親子丼やカツ丼などの丼物を効率良く容易に製造することができる丼加工機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
丼物を加工する調理機械としては、例えば、特許文献1に見られるように、天丼などの丼物の上に自動的にだし汁を供給する装置や、特許文献2に見られるように、一次調理された牛丼の具を自動的に加熱、二次調理し、ご飯を盛った容器上に落下させるようにした牛丼の調理装置などが提案されている。しかしながら、前者の装置は単にだし汁を供給するだけの装置であって、天丼などの丼物は別途調理する必要がある。また、後者の牛丼の調理装置は、牛肉を予め一次調理して油脂分と灰汁とを減少させておく必要がある上に、一次調理した牛丼の具を回転する水車状の収容容器内で二次調理するものであるので、装置の構造が複雑であり、清掃が困難であるという欠点がある。また、牛丼に特化した装置であるので、他の丼物を調理することができないという制約がある。このように、従来、種々の丼物を効率よく調理する簡単な構造の丼加工機は存在しなかった。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−91495号公報
【特許文献2】
特開平8−98669号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような問題点を解決するために為されたもので、種々の丼物を効率よく調理することができる丼加工機を提供することを課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく研究を重ねた結果、本発明者は、丼物はその殆どが小鍋で加熱調理した具材をご飯を盛った丼の上に載せるという操作によって製造される点に着目し、複数の小鍋を効率よく加熱することができれば種々の丼物を効率よく調理することができるのではないかと考えた。しかしながら、多数の小鍋を単に多数の加熱装置によって加熱するのでは、各小鍋内での加熱時間を管理することが極めて困難になり、このため、例えば、卵綴じのある丼物などの場合には、加熱時間の過不足によって、綴じ卵の固まりが不十分であったり、逆に固くなり過ぎたりして、製造される丼物の品質が一定しないという問題点のあることが分かった。そこで、本発明者は、更に研究を重ね、単に多数の小鍋を多数の加熱装置によって加熱調理するのではなく、多数の小鍋を作業者が一時に注意を払うことができる数ごとのグループに分け、それぞれのグループ毎にタイミングをずらして加熱調理を開始・終了することができるようにすれば前記の問題点が解消できることを見出して、本発明を完成した。
【0006】
すなわち本発明は、搬送手段と、その搬送手段を駆動する駆動手段と、その搬送手段に取り付けられた1又は複数のグリル部材と、そのグリル部材に適宜の間隔で設けられた1又は複数の鍋載置台と、グリル部材の下側に設けられた下側加熱装置とを備えてなる丼加工機を提供することによって上記の課題を解決するものである。
【0007】
本発明の丼加工機によれば、最大、1つのグリル部材に設けられた鍋載置台の数に相当する数の鍋を1グループとしてグループ単位で加熱調理を行うことができるので、担当する作業者がそれぞれの鍋に十分な注意を払い加熱調理を十分に管理することができるという利点がある。しかも、搬送手段に取り付けるグリル部材の数を複数にすれば、搬送手段を駆動することによって、各グリル部材に設けられた鍋載置台上の鍋を、下側加熱装置が存在する加熱調理位置へと順次搬送して加熱調理を行うことができるので、多数の鍋を効率良く加熱調理することができるものである。
【0008】
本発明の丼加工機においては、グリル部材の上側にも加熱装置を設けるのが望ましく、上側にも加熱装置を設ける場合には、丼の具材を下からの熱だけでなく上からの熱でも加熱して、加熱調理を十分なものとしたり、適宜の焦げ目を付けたりすることができるという利点がある。上側加熱装置は搬送手段の搬送方向に沿った方向及び/又は垂直方向に移動可能に設けるのが好ましく、これにより、上からの熱で加熱調理するタイミングを調節したり、上からの加熱の強さを調節したりすることができる。
【0009】
下側加熱装置及び/又は上側加熱装置は、それぞれ単一の加熱装置として構成されていても良いが、それぞれを複数の加熱装置の集合体として構成し、搬送手段が所定の加熱調理位置で停止したときに、それら複数の加熱装置の各々が、それぞれ1つの鍋載置台に対向するような位置に配置するのが望ましい。このように、複数の加熱装置をそれぞれ1つの鍋載置台と対応させることにより、鍋の存在しない部分を加熱する無駄がなくなり、熱効率を高めることができる。また、下側加熱装置の周囲には煮こぼれ受を設けるのが好ましく、煮こぼれ受を設けておくことにより、例え鍋から煮汁等が吹きこぼれても、下側加熱装置周囲が汚れることが防止され、清掃作業が容易になるという利点がある。
【0010】
本発明の丼加工機においては、搬送手段としては、それがグリル部材を所定の方向に搬送することができるものである限り、どのような構造、機構のものを使用しても良く、強度的に可能であれば、単一の搬送手段を用い、その搬送手段にグリル部材を方持ち式で取り付けるようにしても良い。しかしながら、構造上の安定性乃至は耐熱性の観点からは、搬送手段としては、所定の間隔をおいて平行に配置された一対の無端チェーンコンベアを使用するのが好ましい。この場合、一対の無端チェーンコンベアは、それぞれが同期して動作する2つの駆動源からの駆動力によって駆動されても良いが、単一の駆動源からの駆動力によって駆動されても良い。
【0011】
また、本発明の丼加工機においては、グリル部材を、搬送手段に支持されたグリルフレームと、そのグリルフレームに着脱自在に取り付けられた鍋載置台支持部材とを含むように構成するのが望ましい。このような構成とすれば、加熱装置からの熱によって鍋載置台支持部材が変形するのをグリルフレームによって有効に抑制することができ、鍋を鍋載置台上に載せて安定に搬送することが可能である。また、鍋載置台支持部材がグリルフレームに着脱自在に取り付けられているので、清掃時や機械調整時等には鍋載置台支持部材を取り外すことができ、非常に便利である。鍋載置台支持部材がそれ自身十分な耐熱変形性を備えている場合には、グリルフレームを介さずに、直接、搬送手段に取り付けても良いことは言うまでもない。
【0012】
鍋載置台支持部材としては、鍋載置台を支持することができる限り、どのような形状のものを使用しても良く、例えば、グリルフレームに着脱自在に取り付けられた棒状部材であっても良いが、鍋載置台を安定に支持する上からは、板状若しくは網状のグリルプレートであるのが好ましい。板状のグリルプレートを鍋載置台支持部材として使用する場合には、取り付けられる鍋載置台の中央部分、すなわち、鍋が載置される部分には、下側加熱装置からの熱の伝達が妨げられることがないように、穴を設けておくのが望ましい。網状のグリルプレートを鍋載置台支持部材として使用する場合には、網目の大きさにもよるが、通常は、下側加熱装置からの熱の伝達が妨げられることが少ないので、穴、すなわち、網の存在しない部分を設けておくには及ばないが、穴を設けておいても良いのは勿論である。
【0013】
1つのグリルフレームに取り付けられる板状若しくは網状のグリルプレートは、連続した単一部材であっても良いが、搬送手段の搬送方向と直交する水平方向において、複数に分割されていても良い。特に、搬送手段の搬送方向と直交する水平方向のグリル部材の長さが長く、1つのグリル部材に設けられる鍋載置台の数が多い場合には、2以上のグリルプレートに分割して、そのそれぞれをグリルフレームに着脱自在に取り付けるのが望ましい。このようにすることにより、グリルプレート自体の取り扱いが容易となる上に、熱変形の程度も抑制されるという利点が得られる。
【0014】
本発明の丼加工機において、グリル部材に設けられる鍋載置台としては、それが搬送手段によって搬送されている状態でも鍋を安定に載置することができるものである限り、どのような形状乃至は構造のものを使用しても良いが、比較的簡単な構造で、かつ、安定に鍋を載置することができる鍋載置台としては、複数の五徳爪片を含み、各五徳爪片の鍋中心部に相当する方向に近い方の上部には、鍋底に対応した切り欠きが設けられているものを使用するのが望ましい。このような鍋載置台上に鍋を載置すると、鍋の底はそれぞれの五徳爪片の切り欠き部にはまり込み、鍋載置台が搬送手段によって搬送されても安定に鍋を保持することができる。1つの鍋載置台を構成する五徳爪片の数に特に制限はないが、通常は3本〜6本であり、好ましくは4本〜5本であり、より好ましくは4本である。鍋載置台は、例えば、上記のような五徳爪片をグリル部材乃至はグリル部材を構成する鍋載置台支持部材に取り付けるようにしても良いし、グリル部材乃至は鍋載置台支持部材の一部を変形させるなどして、五徳爪片乃至はそれに代わりうる形状とし、鍋載置台をグリル部材乃至は鍋載置台支持部材と一体的に設けるようにしても良い。
【0015】
本発明の丼加工機においては、搬送手段の搬送方向に沿う適宜の位置で、かつ、搬送手段の搬送面の上側に、だし汁、具材、綴じ卵、調味料、及び/又は薬味を供給する装置を備えるのが好ましい。これらの供給装置から、適宜の具材や調味料などを鍋載置台に載せられている鍋の中に自動的ないしは手動により投入するようにすれば、本発明の丼加工機の自動化をより一層高度なものとすることができる。これらの供給装置の搬送手段の搬送方向に沿った方向の位置や、垂直方向の位置は、それぞれ調節可能としておくのが望ましい。なお、これらの供給装置が搬送手段の搬送面の上側に位置するとは、少なくとも、その供給装置の最終的な供給口が搬送手段の搬送面の上側に位置していれば良く、必ずしも供給装置全体が搬送手段の搬送面の上側に位置する必要はない。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明するが、本発明が図示のものに限られるものでないことは勿論である。
【0017】
図1は、本発明の丼加工機の一例の全体構成を示す平面図であり、図2はその側面図である。図1及び図2において、1は本発明の丼加工機を、2a、2bは、所定の間隔をおいて平行に配置された一対の無端チェーンコンベアを示し、無端チェーンコンベア2a、2bは搬送手段を構成している。3は無端チェーンコンベア2a、2bの駆動装置である。駆動装置3には、図示しない制御装置が備えられており、制御装置からの指令によって、無端チェーンコンベア2a、2bを図中矢印方向にも、またその逆方向にも移動させることが可能であり、更には、無端チェーンコンベア2a、2bを連続的に移動させる連続駆動は勿論、所定距離だけ移動しては所定時間停止を繰り返す間歇駆動を行わせることも、無端チェーンコンベア2a、2bの移動速度を種々に変えることも適宜行えるようになっている。4a、4b、4c・・・は、同大、同形の複数のグリル部材であり、その両端がそれぞれ無端チェーンコンベア2a、2bに取り付けられている。グリル部材4a、4b、4c・・・を無端チェーンコンベアに取り付ける手段としては、ボルトナット等の適宜の固定手段を用いることができる。6はグリル部材に設けられている鍋載置台である。複数のグリル部材4a、4b、4c・・・は、隣接するグリル部材に取り付けられている対応する位置にある鍋載置台6、6間の距離dが一定となるように、無端チェーンコンベア2a、2bの全周にわたって取り付けられている(図2ではグリル部材の図示は省略している)。
【0018】
5a、5b、5c、5dは五徳爪片であり、鍋載置台6を構成している。図示の例では、1つのグリル部材に、五徳爪片5a〜5dを三組取り付けることによって、3個の鍋載置台6が設けられているが、1つのグリル部材に設けられる鍋載置台の数は3個に限られる訳ではなく、1個でも、2個でも、4個でも、或いは5個以上の何個でも良いが、効率と管理の容易さとを両立させる意味からは少な過ぎても多過ぎても好ましくなく、通常は2個〜6個が好ましく、より好ましくは3個〜4個である。
【0019】
また、図示の例では3個の鍋載置台6、6、6がグリル部材4a、4b、4c・・・上に、搬送手段の搬送方向とは直交する水平方向に1列の直線状に配置されているが、鍋載置台6、6、6は、場合によっては2列や3列以上に配置しても良く、或いは、直線状ではなくジグザグ状に配置しても良い。また、1つのグリル部材に設けられている複数の鍋載置台間の間隔w1、w2は図示の例では1つのグリル部材において同じであるが、w1及びw2は、必ずしも同じである必要はない。ただし、鍋載置台6、6、6に載置された図示しない鍋が、搬送手段としての無端チェーンコンベア2a、2bを駆動することによって、後述する下側加熱装置を構成する下側バーナーと対向する位置に順次搬送されるようにするためには、鍋載置台6、6、6の配置パターンは、全てのグリル部材4a、4b、4c・・・を通じて同じであるのが望ましい。
【0020】
101〜113は、グリル部材4a、4b、4c・・・の下側に配置された下側加熱装置を構成する下側バーナーであり、図1においては、グリル部材4b〜4nに取り付けられた鍋載置台6、6、6・・・のちょうど真下にあり、鍋載置台6、6、6・・・と対向するように配置されている。したがって、図2においては、下側バーナー101〜113としては、紙面の一番手前のものしか図示されていないけれども、下側バーナーは紙面の奥方向に更に2列配置されており、1つのグリル部材に対して3個のバーナーが対応していることになる。下側バーナー101〜113の配置間隔は、無端チェーンコンベア2a、2bの搬送方向並びにそれと直交する水平方向において、鍋載置台6、6、6・・・が配置されている間隔d及びw1、w2とそれぞれ同じであり、その結果、図1の状態から無端チェーンコンベア2a、2bが矢印方向に距離dの整数倍だけ移動しても、下側バーナー101〜113はやはり鍋載置台6、6、6・・・と対向する位置にあることになる。
【0021】
同様に、201〜204は、グリル部材4a、4b、4c・・・の上側に配置された上側加熱装置を構成する上側バーナーであり、その無端チェーンコンベア2a、2bの搬送方向並びにそれと直交する水平方向における配置間隔は、下側バーナー101〜113と同じく、それぞれ、d及びw1、w2である。7は上側バーナー201〜204によって構成される上側加熱装置の移動枠であり、8、8、8、8はその上下位置調整輪である。上下位置調整輪8、8、8、8を回転させることによって、移動枠7を上下垂直方向に移動させ、上側バーナー201〜204の垂直位置を調整できるようになっている。また、上側バーナー201〜204は、図示しないハンドルを操作することによって、全体として、無端チェーンコンベア2a、2bの搬送方向に沿った方向にも移動可能とされている。9、9は保温カバーであり、不要時等には取り外したり、無端チェーンコンベア2a、2bの搬送方向に沿った方向にその位置を変えたりすることが可能である。11a、11b、11cは、保温カバー9、9の取り外し乃至は開閉自在な蓋であり、適宜取り外したり開けたりすることによって保温カバー9、9内の様子を観察することができるようになっている。
【0022】
以上の例では、上側バーナー201〜204は、無端チェーンコンベア2a、2bの搬送方向に沿った方向に4列設けられているが、3列以下であっても良く、また5列以上であっても良いことは勿論である。同様に、下側バーナーの列数も図示のものに限定されるものではない。また、以上の例では、下側加熱装置及び上側加熱装置ともに、鍋載置台と一対一に対応する複数のバーナーから構成されているが、例えば2以上の鍋載置台に対して1つのバーナーを配置したり、1列若しくは複数例の鍋載置台に対して1つのバーナーを配置したり、更には、下側加熱装置及び/又は上側加熱装置を全体として1つの加熱装置として構成することも適宜行うことができる。なお、下側及び上側バーナーは、点火並びに消火操作や加熱熱量の調節を個別に行うことができるものであるのが好ましいが、複数のバーナー単位で点火並びに消火操作や加熱熱量の調節を行うことができるものであっても良い。また、バーナーとしては、通常、ガスバーナーが使用されるが、オイルバーナーであっても良く、更には、バーナーに代えて電気ヒーターや電磁加熱装置などのその他の適宜の加熱手段を用いても良い。
【0023】
図2において、A及びBは、だし汁、具材、綴じ卵、調味料、及び/又は薬味などから選ばれる1種又は2種以上の材料や調味料を、鍋載置台6上に載置される図示しない鍋内に適宜供給する供給装置である。図2では、供給装置A及びBはそれぞれ1つずつしか示していないけれども、図2の紙面の奥に向かって更に2個ずつ存在し、1つのグリル部材に設けられた鍋載置台6の数と同じ数だけ設けられている。供給装置A及びBの操作は、作業者が手で行っても良いし、図示しない制御装置によって、予め決められたプログラムに従って及び/又は鍋に付された識別マークを認識して、調理すべき丼の具材の種類に応じて、必要な材料や調味料を必要な量だけ自動的に供給するようにしても良い。これらの供給装置A、Bの水平方向の位置や、垂直方向の位置は、それぞれ調節可能としておくのが望ましい。また、供給装置の種類の数は図示のA、B、2種類に限られず、1種類だけでも良いし、更に種類の数を増やして、搬送経路上の適宜の位置に供給装置C、D・・・を設け、多種類の材料や調味料などを鍋内に供給するようにしても良い。
【0024】
図3は、グリル部材の詳細を示す平面図である。グリル部材4aは、グリルフレーム12と、グリルフレーム12に着脱自在に取り付けられている2枚のグリルプレート13a、13bとを含み、グリルフレーム12は、その両端において、ボルトナット等の適宜の固定手段14、14を介して無端チェーンコンベア2a、2bに固定されている。図示の例では、グリルプレート13a、13bは、共に板状のグリルプレートであり、無端チェーンコンベア2a、2bの搬送方向と直交する方向において2枚に分割されているが、一枚の連続したグリルプレートであっても良い。15、15、15は、グリルプレート13a、13bに設けられた穴であり、その下に位置する加熱装置からの熱が五徳爪片5a〜5d上に載置される図示しない鍋に伝達されるのが妨げられないように設けられているものである。なお、グリルプレート13a、13bとしては、板状のものに限られず、網状のものであっても良く、網状のグリルプレートの場合には、穴15、15、15は設けられていても良いし、設けられていなくても良い。
【0025】
グリルフレーム12は、中実若しくは中空の棒状部材によって構成され、2つに分割されているグリルプレート13a、13bに対応して2つの四辺形を互いの一辺で結合した形状を有している。グリルプレート13a、13bが2つに分割されておらず単一のものである場合には、グリルフレーム12も単一の四辺形である。グリルフレーム12は、比較的剛性の高い材料で構成され、しっかりとした四辺形を組んでいるので、着脱自在に取り付けられたグリルプレート13a、13bが、熱などによって変形するのを抑制し、鍋載置台6、6、6上に安定して鍋を保持することを可能にするものである。
【0026】
16は、グリルフレーム12にグリルプレート13a、13bを着脱自在に取り付けるためのリンク機構であり、グリルフレーム12の無端チェーンコンベア2a、2bに近い側に設けられている。リンク機構16は、グリルフレーム12の一辺にビス19等の手段で回転自在に取り付けられた2枚のレバー17、17と、その2枚のレバー17、17の自由端を回転自在のビス19と、固定・解除が可能な蝶ネジ21とで連結する連結片18とから構成されている。
【0027】
図4、図5は、グリルフレーム12にグリルプレート13を着脱自在に取り付ける操作を示す説明図であり、図4はグリルプレート13を側面から見た図、図5はグリルプレート13a、13bを正面から見た図である。図4に示すように、グリルプレート13a、13bの無端チェーンコンベアの搬送方向前後の端部(図4においては左右の端部)には、折り返し部22、22が設けられており、この折り返し部22、22に、グリルフレーム12が嵌まり込むようにグリルフレーム12の上からグリルプレート13a、13bを被せ、グリルフレーム12にグリルプレート13a、13bを取り付ける。なお、グリルプレート13a、13bの無端チェーンコンベアの搬送方向と直交する水平方向の端部(図4においては紙面の前後の端部)には、折り返し部23a、23bが設けられている。
【0028】
図5に示すように、リンク機構16を構成するレバー17のグリルプレート側の端部には当接片17aが設けられており、この当接片17aをグリルプレート13aの折り返し部23aに当接させた状態で、蝶ネジ21を締め、リンク機構16を固定する。これにより、グリルプレート13aの浮き上がりと、無端チェーンコンベア2a側への移動とが阻止される。なお、当接片17aは必ずしも必要なものではなく、当接片17aがなくてもグリルプレート13aをグリルフレーム12に安定して取り付けることができる場合には、当接片17aを設けなくても良い。一方、グリルフレーム13aの他端部の折り返し部23bは、熱膨張を吸収できるように他端側のグリルフレーム12と若干の間隙をもって対峙しており、この状態で、押さえ24をグリルフレーム12の上から被せると、押さえ24にはその両側にフィン24aが設けられているので、グリルプレート13a及び13bがグリルフレーム12から浮き上がるのが有効に防止される。押さえ24は、弾性を有する材料で作成されており、押さえ24の開口部の幅は、グリルフレーム12の幅よりも若干小さく形成されており、押さえ24の開口部の弾性によって、押さえ24はグリルフレーム12に半固定状態で嵌合される。グリルプレート13bの無端チェーンコンベア2b側に設けられているリンク機構16も、無端チェーンコンベア2a側に設けられている上述したリンク機構16と同様に操作されて、グリルプレート13bの一端を固定することは言うまでもない。また、グリルプレート13a、13bが2枚に分割されておらず一枚の場合には、その両端がリンク機構16で固定され、押さえ24は用いる必要はない。
【0029】
グリルプレート13a、13bをグリルフレーム12から取り外すには、取り付ける場合と逆に操作すれば良い。すなわち、蝶ネジ21を緩めると、リンク機構16は自由に菱形に変形し、レバー17とグリルプレート13a、13bとの当接が解除される。更に、押さえ24を取り外すと、グリルプレート13a、13bを上方に持ち上げるのを阻止する部材はなくなり、グリルプレート13a、13bをグリルフレーム12から取り外すことができる。このように、グリルプレート13a、13bが、グリルフレーム12から自由に取り外すことができるように構成されているので、煮こぼれ等で鍋載置台やグリルプレートが汚損した場合にも、取り外して、自由に洗浄、修理乃至は交換等が行えるという利点がある。
【0030】
図6、図7は、本発明で使用する鍋載置台の一例を示す平面図並びに側面図である。図6,図7において、鍋載置台6は、グリルプレート13に設けられた穴15の周囲に配置された4本の五徳爪片5a、5b、5c、5dから構成されている。図7に見られるように、五徳爪片5a〜5dの鍋中心部に相当する方向に近い方の上部には、鍋底に対応した切り欠き25が設けられており、この切り欠き25によって、鍋の底部をしっかりと保持し、グリルプレート13が移動しても常に安定した状態で鍋を載置、保持することができる。図示の例では4本の五徳爪片によって1つの鍋載置台を構成しているが、1つの鍋載置台を構成する五徳爪片の数は4本に限られない。3本でも良いし、5本或いは6本以上であっても良い
【0031】
図8は、下側バーナー102を例に、下側バーナーと、鍋載置台と、その上に載置された鍋との関係を示す図であり、図8において、26が鍋である。このように、鍋載置台を構成する五徳爪片5a〜5dは、その切り欠き25によって鍋26の底部をしっかりと保持しており、鍋26の下方には下側バーナー102が位置している。27は下側バーナー102のガス管接続口であり、28は煮こぼれ受である。
【0032】
図9、図10は、煮こぼれ受28の平面図及びそのA−A断面図である。図9、図10から明らかなように、煮こぼれ受28は平面形状が正方形であり、中央に円形の穴29が設けられており、この穴29の部分に下側バーナー102がはめ込まれるようになっている。煮こぼれ受28の中央の穴29の回りには、穴29を取り囲むように一段低くなった平坦部30が設けられている。鍋26から吹きこぼれた煮汁等はこの平坦部30で受けられることとなる。なお、図9、図10に示した煮こぼれ受28の形状はその一例であり、下側バーナーの周囲に設置され、鍋から吹きこぼれる煮汁等の煮こぼれをうまく受けることができるものである限り、その形状に特段の制約がないことは勿論である。
【0033】
図11は、下側バーナー102、103を例に、煮こぼれ受28の設置方法を説明する図である。すなわち、まず、下側バーナー102、103の周囲に31で示される受け台を設置し、その受け台31の上に煮こぼれ受28を載せ、更に、必要がある場合には、その上から押さえカバー32を設置する。受け台31は、図に示すように脚付きの受け台であり、その平面形状は、中央部に煮こぼれ受28の平面形状と略相似形の穴部を備えた正方形である。なお、受け台31の脚は、紙面に垂直方向には存在せず、下側バーナー102、103のガス管接続口へのガス管の接続が妨げられないようになっている。押さえカバー32の平面形状は中央部が正方形状にくり抜かれた正方形である。これら受け台31、押さえカバー32の図示された形状は単なる一例であり、受け台31、押さえカバー32の形状が図示されたものに限られるものでないことは言うまでもない。
【0034】
次に、図1及び図2を用いて、本発明の丼加工機1の使用例を説明する。図1及び図2において、搬送手段としての無端チェーンコンベア2a、2bの搬送方向は図示矢印の方向であり、図示の状態で、搬送方向一番手前のグリル部材4oに設けられた鍋載置台6、6、6の下には下側加熱装置が存在しない。無端チェーンコンベア2a、2bは、駆動装置3によって間歇駆動されており、下側バーナーに対向する位置に所定時間停止しては、隣接する下側バーナーに対向する位置まで移動する動作を繰り返している。この状態で、それぞれ適当な具材やだし汁、調味料を入れた予め用意した3個の鍋を、無端チェーンコンベア2a、2bが停止状態にあるタイミングを見計らって、グリル部材4o上の鍋載置台6、6、6上に載置する。所定時間が経過するとグリル部材4oは、その鍋載置台6、6、6が下側バーナー113と対向する位置まで移動し、鍋載置台6、6、6上に載置されている鍋の加熱調理が開始する。このとき、下側バーナー113の上部にある供給装置Xから必要な材料や調味料などを鍋内に供給するようにしても良い。当初、グリル部材4oが存在していた位置には、次のグリル部材4pが来ているので、その鍋載置台6、6、6上に予め用意した次の3個の鍋を載置する。このような操作を繰り返すことにより、鍋は3個ずつのグループとなって下側バーナー上を順次移動し、加熱調理を受けることになる。所要の加熱時間が短い材料は、搬送経路の下流側の位置で、人力又は供給装置によって、鍋内に供給すれば良い。例えば、短時間加熱するだけで良い三つ葉などの材料は、最下流近傍に設けられた供給装置Bから最後に供給するようにしても良い。
【0035】
加熱調理時に保温が必要な場合には保温カバー9を適宜の位置に置いて熱の不要な散逸を防止する。また、鍋を上火で加熱する必要がある場合には、上側バーナー201〜204にも点火して、その下に位置する鍋を上火で加熱調理する。全体の加熱調理の時間は、無端チェーンコンベア2a、2bの停止時間や移動速度を調節したり、バーナーを選択的に点火したりすることによって調節できる。通常は、グリル部材が、下側バーナー101上に停止している所定時間が経過し、下側バーナーが存在しない搬送方向最も下流の位置に移動した時点で加熱調理が終了するように設定されているので、作業者はその搬送経路の最も下流の位置に来た鍋を観察し、加熱調理が終了していることを確認して、鍋載置台6、6、6から鍋を取り外し、別途用意した容器上に調理済みの具材を移し替えれば良い。
【0036】
このように、本発明の丼加工機によれば、1度に最大3個の鍋だけが加熱調理を終了するので、作業者がその加熱調理状態の確認を容易に行うことができ、万が一不良のものがあれば除去することができる。その一方、無端チェーンコンベア2a、2bが停止状態にある所定時間を単位として、3個ずつの鍋が次々と加熱調理を終了するので、多数の丼を少人数の作業者で効率良く製造することが可能である。
【0037】
本発明の丼加工機によって製造することのできる食品は、容器内のご飯の上に別途鍋で調理した具材を載せるいわゆる丼物に限られるものではなく、加熱調理された具材だけで料理となる柳川なども当然に含まれ、鍋で加熱調理される食品全てを対象とするものである。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の丼加工機によれば、最大、1つのグリル部材に設けられた鍋載置台の数に等しい数の鍋を1グループとして、グループ単位で加熱調理が開始、終了するので、作業者が加熱調理工程を管理するのが容易であり、それでいて、グループ単位で次々と加熱調理が終了するので、多数の鍋を効率よく加熱調理することが可能である。本発明の丼加工機を使用することによって、従来は比較的困難であった丼物の製造が非常に容易になり、しかも製造効率が上がるので、本発明は、食品加工の分野に大いなる貢献をなすものであり、極めて画期的なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の丼加工機の一例を示す平面図である。
【図2】 本発明の丼加工機の一例を示す側面図である。
【図3】 グリル部材の詳細を示す平面図である。
【図4】 グリルプレートの取り付け操作を示す説明図である。
【図5】 グリルプレートの取り付け操作を示す説明図である。
【図6】 鍋載置台の一例を示す平面図である。
【図7】 鍋載置台の一例を示す側面図である。
【図8】 下側バーナー、鍋載置台、鍋の関係を示す側面図である。
【図9】 煮こぼれ受の一例を示す平面図である。
【図10】 図9のA−A断面図である。
【図11】 煮こぼれ受の設置方法を説明する図である。
【符号の説明】
1 丼加工機
2a、2b 無端チェーンコンベア
3 駆動装置
4a、4b・・・ グリル部材
5a、5b・・・ 五徳爪片
6 鍋載置台
7 移動枠
8 上下位置調整輪
9 保温カバー
101、102・・・ 下側バーナー
12 グリルフレーム
13a、13b グリルプレート
14 固定手段
15 穴
16 リンク機構
17 レバー
18 連結片
19 ビス
201、202・・・ 上側バーナー
21 蝶ネジ
22 折り返し部
23a、23b 折り返し部
24 押さえ
24a、24b フィン
25 切り欠き部
26 鍋
27 ガス管接続口
28 煮こぼれ受
29 穴
30 平坦部
31 受け台
32 押さえカバー
A、B 供給装置
d 鍋載置台間の距離
w1、w2 鍋載置台間の距離
Claims (9)
- 搬送手段と、その搬送手段を駆動する駆動手段と、その搬送手段に固定された1又は複数のグリルフレームであって棒状部材によって構成されたグリルフレームと、グリルフレームが嵌まり込む折り返し部を端部に有し、グリルフレームに対し着脱自在に取り付けられた板状若しくは網状のグリルプレートと、そのグリルプレートに適宜の間隔で設けられた1又は複数の鍋載置台と、グリルフレームの下側に設けられた下側加熱装置とを備えてなる丼加工機。
- グリルフレームの上側に上側加熱装置を備えている請求項1記載の丼加工機。
- 上側加熱装置が搬送手段の搬送方向に沿った方向及び/又は垂直方向に移動可能に設けられている請求項2記載の丼加工機。
- 下側加熱装置及び/又は上側加熱装置が、それぞれ複数の加熱装置を含み、それら複数の加熱装置の各々が、搬送手段が所定の加熱調理位置で停止したときに、それぞれ1つの鍋載置台に対向するような位置に配置されている請求項1〜3のいずれかに記載の丼加工機。
- 各々の下側加熱装置の周囲に煮こぼれ受が配置されている請求項4記載の丼加工機。
- 搬送手段が、所定の間隔をおいて平行に配置された一対の無端チェーンコンベアである請求項1〜5のいずれかに記載の丼加工機。
- 板状若しくは網状のグリルプレートが搬送手段の搬送方向と直交する水平方向において、複数に分割されている請求項1〜6のいずれかに記載の丼加工機。
- 鍋載置台が、複数の五徳爪片を含み、各五徳爪片の鍋中心部に相当する方向に近い方の上部には、鍋底に対応した切り欠きが設けられている請求項1〜7のいずれかに記載の丼加工機。
- 搬送手段の搬送方向に沿う適宜の位置で、かつ、搬送手段の搬送面の上側に、だし汁、具材、綴じ卵、調味料、及び/又は薬味を供給する装置を備えている請求項1〜8のいずれかに記載の丼加工機。
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