JP3724867B2 - 遊技球発射装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、遊技球発射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、パチンコ機等の弾球遊技機に装着される遊技球発射装置は、打球ハンマをばねで前進側に付勢しておき、回転モータによって打球ハンマをばねの付勢力に抗して後退変位させ、適宜の位置で打球ハンマを解放することにより、ばねの付勢力で打球ハンマを前進変位させて遊技球を打撃、発射する形式が主流であった。
【0003】
しかし、この回転モータを使用する形式では、打球ハンマ、ばね、回転モータ、回転モータの回転力を打球ハンマに伝達するための機構等が必要であり、全体として構成が複雑で小型化が難しかった。
そこで、このような回転モータを使用する遊技球発射装置の欠点を避けるものとして、リニアソレノイドのロータ自身またはロータに連結されたプランジャにより遊技球を打撃、発射するリニア型の遊技球発射装置が提案されている(例えば特開昭62−292184号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
リニア型の採用により遊技球発射装置の小型化は可能となったのであるが、従来のリニア型の遊技球発射装置は、電圧の変動が打撃力の強弱として発現しやすく、安定した打撃力を得ることが困難であった。
【0005】
この発明は、リニア型の遊技球発射装置において安定した打撃力を得ることを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための手段として、請求項1記載の遊技球発射装置は、弾球遊技機に装着されて遊技球を発射する遊技球発射装置において、
軸に沿って往復移動可能なロータと、互いに分極方向を逆にして隣接し前記ロータの軸方向に沿って並置された複数の圧電体からなる第1の圧電体群、互いに分極方向を逆にして隣接し前記ロータの軸方向に沿って並置された複数の圧電体からなり前記第1の圧電体群との間に前記ロータの軸方向に沿った所定の間隔をおいて配される第2の圧電体群および前記圧電体に密着され前記ロータの外周に接する弾性体を有するステータと、前記ロータに連結され該ロータと共に往復移動し前進時には先端に設けられた打球部で遊技球を打撃するプランジャと、前記プランジャを往復自在に貫通させると共に前記ロータ及びステータを収容するケースとを備えたモータ本体と、
前記プランジャを摺動させるプランジャ孔が設けられ、互いに対向して配されて一方が前記モータ本体の前端に連結され他方が前記モータ本体の後端に連結される一対の弾性の防振板と、
断面コの字状で、前記防振板の縁部が連結されることで前記モータ本体を宙づり状に保持するカバーと
からなる発射モータを設けた。
【0007】
【発明の実施の形態】
上記の構成になる遊技球発射装置においては、ステータの第1の圧電体群に高周波電圧を印加すると各圧電体は伸縮し、その伸縮は弾性体に波及する。各圧電体は互いに分極方向を逆にして隣接しているので、弾性体には高周波の周波数に応じた定在波が発生する。同様に、第2の圧電体群に高周波電圧を印加すると、第2の圧電体群による定在波が弾性体に生じる。第1の圧電体群と第2の圧電体群とに、例えば位相をπ/2ずらした高周波電圧を印加すると、2つの定在波の干渉によって弾性体には進行波が発生する。この進行波による弾性体の変位がロータを直線運動させる。
【0008】
この動作は、リニア型超音波モータの原理として知られているが、図1および図2によりさらに具体的に説明する。
図1に示すように、ステータは、第1の圧電体群に相当する区分Aの圧電体、第2の圧電体群に相当する区分Bの圧電体とを電極で挟んだ形態とし、その一方の面には弾性体が接着されている。電極間には電圧を印加可能で、各圧電体の幅は印加される高周波の1/2波長に相当しており、区分Aと区分Bとの間には3/4波長分の間隔が形成されている。
【0009】
このステータにおいて、区分Aには高周波電圧ψ0を、区分Bにはψ0とは位相がπ/2異なる高周波電圧ψ90を印加すると、弾性体には、圧電体の伸縮により高周波に対応する定在波が発生する。
ただし、区分Aと区分Bに印加される高周波の位相がπ/2だけ異なっているので、区分Aの定在波と区分Bの定在波とでは位相が異なる。このため区分Aの定在波と区分Bの定在波とが相互に干渉して、弾性体には進行波が発生する。
【0010】
図2に示すように、この進行波は、波1→波2のようにW方向に進行する。この進行波の進行に伴って、弾性体の表面上の質点Aは、進行波の進行方向Wとは逆向きに、横振幅μ、縦振幅ωの楕円運動をする。この質点Aに示される運動がロータに相当する動体Mに作用して、動体MをN方向に移動させることになる。
【0011】
このような原理によってロータが直線移動すると、プランジャは、ロータによって駆動されて前進し先端に設けられた打球部で遊技球を打撃する。
超音波モータを利用しているので、励磁作用を必要としない。このため電圧の変動が駆動力に影響することはないから安定した打撃力を得ることができる。
【0012】
またコイル等を必要としないから構造が簡単であり、一層の小型化軽量化が可能となる。 また、モータ本体は、その前後端を防振板に保持されているので、プランジャの往復運動に伴う衝撃や振動は、防振板によって効率よく減衰される。しかも、モータ本体は、プランジャの軸方向に沿っては、防振板の弾性変形の範囲内で移動できるが、プランジャの軸方向と交差する方向についての移動を規制されるので、プランジャが芯ずれすることはない。よって、常に正確に遊技球を打撃することができる。
【0013】
【具体例】
次に、本発明の具体例により発明の実施の形態を詳しく説明する。
図3に示すように、遊技球発射装置(以下、単に発射装置ともいう)10は、発射装置10の各部を保持するための主板12と副板14を備えており、両者はビス止めにて連結されている。
【0014】
図3および図4に示すように、副板14には、発射される遊技球を載置すると共に発射された遊技球の進路を保持するための発射レール16、遊技球を打撃するためのプランジャ17を有する発射モータ18が取り付けられている。発射モータ18を貫通するプランジャ17は、前後進自在で、その先端には合成樹脂製の杵先19が装着されている。また図3に示すように、発射レール上に遊技球を1個ずつ供給する遊技球供給装置(図示しない)を駆動するためのスライドプレート20も副板14に取り付けられている。
【0015】
図3に示すように、主板12には発射モータ18に駆動電力を供給する等、発射モータ18の稼働を制御するためのモータ制御回路22、モータ制御回路22に接続された可変抵抗90(図3には示さない)を内蔵する回動部材24が取り付けられている。回動部材24は、所定の範囲で時計廻りおよび反時計廻りに回動可能で、その回動量に応じて可変抵抗90の抵抗値が変化する。
【0016】
発射装置10は、発射レール16や発射モータ18を前面(遊技者)側として図示しない遊技機の機枠に取り付けられ、その前面側を覆うようにして、発射装置10を操作するための発射ハンドル26が取り付けられる。発射ハンドル26は、図示しない回動軸を中心として回動可能で、その回動軸は回動部材24に接続される。つまり、回動部材24は、発射ハンドル26によって回動操作されることになる。
【0017】
図5に示すように、発射モータ18は、モータ本体30、モータ本体30の前後端を保持するためのウレタンゴム製の防振板32、34、断面コの字状のカバー36から構成されている。
防振板32、34は、プランジャ17を摺動させるプランジャ孔38、40、モータ本体30とビス止めするためにプランジャ孔38、40の周囲に設けられている4個のビス孔42、44、カバー36とビス止めするために周縁部に設けられている4個のビス孔46、48、上下の端部に各1個設けられている位置決めボス50、52を備えている。
【0018】
カバー36は、防振板32、34を連結するための二対の防振板連結部54、56および副板14と連結するための一対の取り付け部58を備えている。防振板連結部54、56には、ビス孔60、62およびボス孔64、66が設けられており、防振板32、34の位置決めボス50、52をボス孔64、66に嵌合させてビス孔60、62でビス止めすることで、防振板32、34と防振板連結部54、56との相対位置を一定とすることができる。
【0019】
図6に示すように、モータ本体30は、その前後端を防振板32、34にビス止めされ、防振板32、34はカバー36にビス止めされる。さらに、カバー36は副板14にビス止めされる。したがって、モータ本体30は、副板14に対してほぼ固定されるのであるが、防振板32、34がウレタンゴム製であることから、プランジャ17の軸方向に沿っては、防振板32、34の弾性変形の範囲内で相対位置を変動できる。ただし、プランジャ17の軸方向と交差する方向については、モータ本体30の相対位置は殆ど変動しない。
【0020】
モータ本体30は、中空のケース70を外殻としており、ケース70の内部にステータ72が固定的に組み込まれている。ステータ72は、励振部74と銅合金製の弾性体76とを積層して構成されている。励振部74は、図1に示されるように、PZT等の圧電セラミック製の圧電体の両側に電極を積層した構造であり、ステータ72全体としては図1に示されるように電極−圧電体−電極−弾性体の積層構造となっている。
【0021】
ケース70を貫通しているプランジャ17の主軸部78には、ロータ80およびスペーサ82が外嵌されている。また、この主軸部78には、ケース70から露出している先端には前述の杵先19が装着され、後端には尾栓84が固着されている。ロータ80はアルミニウム合金製でその表面はエンジニアリングプラスチックでコーティングされており、ロータ80とステータ72の弾性体76とは摩擦接触している。
【0022】
ロータ80と杵先19との間では、主軸部78とケース70との間に空間が形成されている。この空間内には戻しばね86が挿入されており、戻しばね86は、プランジャ17を後退方向(杵先19から尾栓84に向かう方向)に付勢している。
【0023】
さらに、杵先19には、スライド押し板88が取り付けられている。このスライド押し板88は、図3に示されるようにスライドプレート20に接触し、プランジャ17の前進に伴ってスライドプレート20を前進駆動することができる。
次に、この発射装置10の電気的な構成について説明する。
【0024】
図7に示すように、発射ハンドル26には、遊技者が発射ハンドル26に接触していること、つまり遊技者が発射ハンドル26を操作していることを検出するためのタッチ電極92が設けられており、タッチ電極92はモータ制御回路22内のタッチ回路94に接続されている。タッチ回路94は、タッチ電極92が接地された状態となるとタッチ信号Tcを出力し、そのタッチ信号Tcはタイミング回路96および速度制御回路98に入力される。
【0025】
タイミング回路96は、タッチ信号Tcが入力されていると、遊技球の発射タイミングの基準となるタイミングパルスTmを一定周期で出力し、このタイミングパルスTmは速度制御回路98に入力される。
速度制御回路98は、タッチ信号TcおよびタイミングパルスTmが入力されると、前進信号Fwと後退信号RvとをタイミングパルスTmの1周期毎に交互に出力する。また、速度制御回路98は、可変抵抗90の抵抗値Vrに応じた速度信号Spを出力する。これら前進信号Fw、後退信号Rv、速度信号Spはモータ駆動回路100に入力される。
【0026】
図8に示すように、モータ駆動回路100は、速度信号Spに応じた周波数の高周波を発振する発振回路102、その高周波(基準波)の位相をπ/2だけずらした移相波を送出する移相回路104を備えている。移相回路104は、前進信号Fwが入力されているときには移相波を出力し、後退信号Rvが入力されているときには移相波の出力を停止する。
【0027】
基準波および移相波は、発射モータ18のステータ72に供給される。詳しくは、基準波は、図1に示される区分Aに相当する圧電体側に供給され、移相波は、図1に示される区分Bに相当する圧電体側に供給される。このため、前進信号Fwが入力されているときには、ステータ72からロータ80に駆動力が及ぼされプランジャ17は前進駆動されるが、後退信号Rvが入力されるとステータ72はロータ80を駆動しない。
【0028】
次に、上述の構成になる発射装置10の動作について説明する。
遊技者が発射ハンドル26に手を掛けて回動操作すると、タッチ電極92が接地された状態となるのでタッチ回路94がタッチ信号Tcを出力する。また、発射ハンドル26の回動により回動部材24が回動されて可変抵抗90の抵抗値Vrが変化する。
【0029】
タイミング回路96は、タッチ信号Tcが入力されると、タイミングパルスTmを出力する。
速度制御回路98は、可変抵抗90の抵抗値Vrに応じた速度信号Spを出力すると共に、タイミングパルスTmの周期に合わせて前進信号Fwと後退信号Rvとを交互に出力する。
【0030】
モータ駆動回路100では、発振回路102が速度信号Spに応じた基準波を発振、出力し、移相回路104は前進信号Fwがあると移相波を出力し後退信号Rvがあると移相波の出力を停止する。
発射モータ18では、基準波と移相波とがステータ72の励振部74に印加されることにより弾性体76に進行波が発生する。この進行波がロータ80に及ぼされてプランジャ17が駆動される。
【0031】
前進駆動されたプランジャ17は、発射レール16上に置かれた遊技球を杵先19で打撃して発射する。この際、戻しばね86がロータ80とケース70との衝突を防止する。そして、モータ駆動回路100に後退信号Rvが入力されてステータ72からロータ80に駆動力が及ぼされない状態となると、プランジャ17は戻しばね86の付勢力により後退させられる。
【0032】
このようにしてプランジャ17は前後進しては遊技球を次々と打撃し、発射する。
以上のように、この発射装置10では、遊技球を打撃するためのプランジャ17を駆動する駆動源として、励磁作用を必要としない超音波モータを採用している。このため電圧の変動が駆動力に影響することはないから安定した打撃力を得ることができる。
【0033】
またコイル等を必要としないから構造が簡単であり、一層の小型化軽量化が可能となる。
また、モータ本体30は、その前後端を防振板32、34にビス止めされて保持されているので、プランジャ17の往復運動に伴う衝撃や振動は、防振板32、34によって効率よく減衰される。しかも、モータ本体30は、プランジャ17の軸方向に沿っては、防振板32、34の弾性変形の範囲内で移動できるが、プランジャ17の軸方向と交差する方向についての移動を規制されるので、プランジャ17が芯ずれすることはない。よって、常に正確に遊技球を打撃することができる。
【0034】
以上、具体例に従って、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこのような具体例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でさまざまに実施できることは言うまでもない。
例えば、具体例では、プランジャを前進方向にのみモータで駆動し、ばねの付勢力によって後退させる構成としているが、プランジャを前後進ともモータで駆動することもできる。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の遊技球発射装置では超音波モータを利用しているので、励磁作用を必要としない。このため電圧の変動が駆動力に影響することはないから安定した打撃力を得ることができる。
【0036】
またコイル等を必要としないから構造が簡単であり、一層の小型化軽量化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 具体例で使用している超音波モータのステータの構造と作動原理の説明図である。
【図2】 具体例で使用している超音波モータの作動原理の説明図である。
【図3】 具体例の遊技球発射装置の斜視図である。
【図4】 具体例の遊技球発射装置の平面図である。
【図5】 具体例の遊技球発射装置の発射モータ部分の分解斜視図である。
【図6】 具体例の遊技球発射装置の発射モータの構造の説明図であり、図6(a)は後側面図、図6(b)は図6(a)のA−B−C−D−E−Fに沿った断面図である。
【図7】 具体例の遊技球発射装置の電気的な構成のブロック図である。
【図8】 具体例の遊技球発射装置のモータ駆動回路とステータの電気的な構成のブロック図である。
【符号の説明】
10・・・遊技球発射装置、12・・・主板、14・・・副板、16・・・発射レール、17・・・プランジャ、18・・・発射モータ、19・・・杵先、20・・・スライドプレート、22・・・モータ制御回路、24・・・回動部材、26・・・発射ハンドル、30・・・モータ本体、32、34・・・防振板、36・・・カバー、38、40・・・プランジャ孔、50、52・・・位置決めボス、54、56・・・防振板連結部、58・・・取り付け部、64、66・・・ボス孔、70・・・ケース、72・・・ステータ、74・・・励振部、76・・・弾性体、78・・・主軸部、80・・・ロータ、82・・・スペーサ、86・・・戻しばね、90・・・可変抵抗、92・・・タッチ電極、94・・・タッチ回路、96・・・タイミング回路、98・・・速度制御回路、100・・・モータ駆動回路、102・・・発振回路、104・・・移相回路。

Claims (1)

  1. 弾球遊技機に装着されて遊技球を発射する遊技球発射装置において、
    軸に沿って往復移動可能なロータと、
    互いに分極方向を逆にして隣接し前記ロータの軸方向に沿って並置された複数の圧電体からなる第1の圧電体群、互いに分極方向を逆にして隣接し前記ロータの軸方向に沿って並置された複数の圧電体からなり前記第1の圧電体群との間に前記ロータの軸方向に沿った所定の間隔をおいて配される第2の圧電体群および前記圧電体に密着され前記ロータの外周に接する弾性体を有するステータと、
    前記ロータに連結され該ロータと共に往復移動し前進時には先端に設けられた打球部で遊技球を打撃するプランジャと、
    前記プランジャを往復自在に貫通させると共に前記ロータ及びステータを収容するケースとを備えたモータ本体と、
    前記プランジャを摺動させるプランジャ孔が設けられ、互いに対向して配されて一方が前記モータ本体の前端に連結され他方が前記モータ本体の後端に連結される一対の弾性の防振板と、
    断面コの字状で、前記防振板の縁部が連結されることで前記モータ本体を宙づり状に保持するカバーと
    からなる発射モータ
    を設けたことを特徴とする遊技球発射装置。
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