JP3724457B2 - 電子線励起型ディスプレイ用ガラススペーサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子線励起型ディスプレイ用ガラススペーサに関し、特に電子伝導性を有し、帯電を効果的に防止することができる電子線励起型ディスプレイ用ガラススペーサに関する。
【0002】
【従来の技術】
大きくて重いブラウン管に比べて薄型で軽く、また液晶表示装置に比べて明るい画像が得られるとともに視野角も広いフラット型のディスプレイとして、FED(Field Emission Display)に代表される自発光式の電子線励起型ディスプレイが注目されており、近年盛んに研究が進められている。
【0003】
フラット型の電子線励起型ディスプレイは、内面に画像形成部材が形成されたガラス基板からなる前面板と、電子線放出素子(カソード)群を搭載したガラス基板からなる背面板とを備える。画像形成部材は、電子放出素子からの電子線を蛍光体に照射して画像を形成する。前面板と背面板とは、支持枠を介して互いに気密的に接合されて支持枠と共に気密の耐大気圧構造をなす真空容器を形成する(例えば、特開平7−230776号公報)。
【0004】
このようなフラット型の電子線励起型ディスプレイにあっては、電子線を蛍光体に当てて画像を形成するため、電子線源、蛍光体及びその他の構成部品が作り込まれる真空容器内は、約1.33×10-8Pa(約10-10Torr)以下の真空雰囲気に保持される。そのため、ディスプレイの表示画面が大きくなるに従って、真空容器内部と外部の気圧差により前面板と背面板とが変形または接触し、画像が表示できなくなる。この変形や接触を防止して前面板と背面板との間隔を一定に保つために、前面板と背面板の間には大気圧支持部材としてガラス製またはセラミックス製のスペーサが挿入される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、通常のガラスやセラミックスは不導体と見なされるため、電子線源から照射された電子の一部がスペーサに衝突すると、スペーサはその電子を捕捉して帯電を生じる。これを繰り返すことにより、スペーサの帯電量が増大し、そして帯電量が許容量を超えると、スペーサに捕捉されていた電子が一気に解放されて過大な電流が生じ、その結果ディスプレイの画像が乱れてしまうという問題点が生じていた。
【0006】
従来、このような問題点を改善する方法として、スペーサ表面に電子伝導性の被膜を形成すること(例えば、特開平8−180821号公報)や、電子伝導性物質を混合した原料を焼成したセラミックスをスペーサとして使用すること(例えば、米国特許5,675,212号公報)等が知られているが、大量生産性や製造コスト、品質面等の観点から、根本的な解決手段になっていない。
【0007】
本発明の目的は、電子伝導性を有し、帯電を防止することができる電子線励起型ディスプレイ用ガラススペーサを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、請求項1記載のガラススペーサは、ガラス基板を備える電子線励起型ディスプレイに用いられるガラススペーサであって、30〜80モル%のSiO2、10〜40モル%のFe、Cu及びVの中から選択される金属の酸化物、10〜50モル%のRO(但し、Rはアルカリ土類金属を示す)及び5モル%以下のR'2O(但し、R'はアルカリ金属を示す)を含むガラス組成物からなることを特徴とする。
【0009】
請求項2のガラススペーサは、請求項1記載のガラススペーサにおいて、前記遷移金属酸化物が12〜30モル%であることを特徴とする。
【0010】
請求項3のガラススペーサは、請求項1または2に記載のガラススペーサにおいて、前記R'2Oが2.5モル%以下であることを特徴とする。
【0011】
請求項4のガラススペーサは、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のガラススペーサにおいて、前記ガラス基板と前記ガラススペーサとは線熱膨張係数の差が15%以下であることを特徴とする。なお、本発明において線膨張係数とは、温度30〜400℃の間の平均線膨張係数である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明者は、上記目的を達成するべく鋭意研究を行った結果、ガラススペーサは30〜80モル%のSiO2、10〜40モル%の遷移金属酸化物、10〜50モル%のRO(但し、Rはアルカリ土類金属を示す)及び5モル%以下のR'2O(但し、R'はアルカリ金属を示す)を含むガラス組成物からなると、電子線源からの電子線の照射時に、スペーサに衝突した電子が帯電するのを防止することができることを見い出した。
【0013】
本発明は、上記研究の結果に基づいてなされたものである。
【0014】
以下、本発明の実施の形態に係る電子線励起型ディスプレイ用ガラススペーサの構成を図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態に係るガラススペーサを備えるフラット型の電子線励起型ディスプレイの分解斜視図である。
【0016】
図1において、フラット型の電子線励起型ディスプレイは、内面に画像形成部材5が形成されたガラス基板15からなる前面板1と、電子線放出素子群を搭載したガラス基板21からなる背面板2とを備える。画像形成部材5は、電子放出素子から電子線が照射されて発光する蛍光体を有する。
【0017】
ガラス基板15,21は、例えばソーダライムガラスやPDP用高歪点ガラスまたはTFT用アルミノボロシリケートガラスからなり、このガラスの線膨張係数は概ね35〜95×10-7/℃の範囲である。
【0018】
前面板1と背面板2とは、図1の線II−IIに関する断面図である図2に示すように支持枠3を介して気密的に接合されて、支持枠3と共に気密の耐大気圧構造をなす真空容器を形成する。また、前面板1と背面板2の間には、大気圧支持部材としての複数のガラススペーサ4が挿入される。
【0019】
背面板2は、ガラス基板21と、ガラス基板21上にマトリックス状に配列された厚さ100nm程度のNiからなる複数個の素子部23と、これらの素子部23に給電すべくガラス基板21上に形成された厚さ2μm程度のAgからなる複数の配線部24とを備える。素子部23の各々には、電子放出素子25が形成されている。配線部24の配線パターンは平行線のパターンであり、隣り合う一対の配線部24を通して、これらの配線部24に沿う複数の電子放出素子25に同時に給電される。さらに、図示はされていないが、ガラス基板21の10μm程度上方には、SiO2絶縁膜を介して50μm径程度の電子通過孔を有する変調電極が配置されている。
【0020】
ガラススペーサ4の各々は、下端が接着部材8を介して背面板2に固定されるが、これに代えて、上端が接着部材8を介して前面板1に固定されるか、または上下端が接着部材8を介して前面板1及び背面板2の夫々に固定されてもよい。
【0021】
ガラススペーサ4の断面形状のアスペクト比(高さ/最大幅比)は、通常は4〜50である。
【0022】
ガラススペーサ4は、厚さが0.03〜0.30mmであるのがよい。ガラススペーサ4が前面板1及び背面板2と接触する部分はディスプレイが発光表示できないので、厚さは薄いほうが好ましいが、0.03mm未満では薄すぎて、ガラススペーサ4の絶対強度が不足して取り扱いが困難となるからであり、また、ディスプレイの開口率を上げるためにガラススペーサ4を配線部24に配置することになるが、その配線部24の幅は一般的に最大0.30mmであるので、ガラススペーサ4の厚さが配線部24の幅を超えるのは得策ではないからである。
【0023】
ガラススペーサ4は、一般的に高さが0.7〜5.0mmであり、好ましくは1.0〜3.0mmであるのがよい。フラット型の電子線励起型ディスプレイでは、蛍光体の利用効率を高めるために、一般的に5000〜6000ボルトの高加速電圧を用いるので、ガラススペーサ4を介して形成される前面板1と背面板2との間隔が1.0mm未満では双方の絶縁性を確保するのが難しく、3.0mmを超えると電子線源から放出された電子ビームが広がりすぎて、隣接する画素まで発光してしまうので好ましくないからである。
【0024】
ガラススペーサ4の長さは、ディスプレイの大きさやその製造方法に依存して決定され、一般的に30〜2000mmである。
【0025】
また、ディスプレイの組立ては、電子放出素子群を搭載した背面板2の上にガラススペーサ4を封着用フリット8を介して所定のピッチで並べた上で、この背面板2やガラススペーサ4に前面板1を封着用フリット8を用いて接合し、約400〜500℃で焼成による熱処理を施すことにより行われる。
【0026】
次に、本発明の電子線励起型ディスプレイ用ガラススペーサを構成するガラス組成物の限定理由について説明する。
【0027】
本発明の電子線励起型ディスプレイ用ガラススペーサを構成するガラス組成物は、30〜80モル%のSiO2、10〜40モル%の遷移金属酸化物、10〜50モル%のRO(但し、Rはアルカリ土類金属を示す)及び5モル%以下のR'2O(但し、R'はアルカリ金属を示す)を含むものである。
【0028】
SiO2は、ガラスの骨格を形成する主成分である。SiO2が30モル%未満ではガラスの耐久性が低く、安定なガラスが得られない。また、SiO2が80モル%を超えるとガラスの熔解温度が極端に上昇して、ガラスの熔解が困難になる。従って、SiO2の含有量は30〜80モル%であり、好ましくは40〜60モル%である。
【0029】
遷移金属酸化物は、ガラスに電子伝導性を付与するために必須である。所望の電子伝導度を得るため、遷移金属酸化物の含有量は10〜40モル%である。遷移金属酸化物が10モル%未満ではガラスの電子伝導度が低すぎてスペーサ上に蓄積された電荷を十分に放出できず、電子線励起型ディスプレイ用ガラススペーサとしての機能を果たすことができない。また、遷移金属酸化物が40モル%を超えるとガラスが失透を生じて安定なガラスが得られなくなる。好ましくは、12〜30モル%である。
【0030】
遷移金属イオンは、ガラス中で2種または3種以上の原子価を有することが可能である。ガラス中の遷移金属イオンの価数は、ガラス組成や作製時の条件に依存して変化する。本発明ではガラスに所望する電子伝導度を得るため、各価数の含有割合が重要である。すなわち、ガラス中で2価と3価の状態で存在する遷移金属イオンの場合、2価の遷移金属イオンが10〜90%含有することが好ましい。2価の遷移金属イオンの含有割合が10%未満及び90%を超える場合は、ガラスが実質的に電子伝導性を有さないため、本発明の電子線励起型ディスプレイ用ガラススペーサとしての機能を果たすことができない。また、ガラス中で3種以上の価数の状態で存在する遷移金属イオンでは、前記と同様の理由から夫々の価数の遷移金属イオンが少なくとも10%含有することが好ましい。
【0031】
ガラス中に存在する遷移金属酸化物の価数の含有割合は、種々の方法により制御することができる。ガラス原料を通常の熔解雰囲気で熔解した場合、ガラス中の遷移金属は価数の大きい方に偏る傾向にあるが、還元性雰囲気で行うことにより低い価数の状態に維持することができる。最も簡便な方法としては、ガラス原料に炭素等を混合して加熱し、還元性雰囲気で熔解することである。
【0032】
前記遷移金属は、Fe、V、Ti,Co、Ni、Cu、Mn及びCrの中から選択することが好ましい。前記各金属は、夫々の元素の電子伝導性に対する活性化エネルギーが異なるため、電子伝導性も夫々異なる。本発明者らの検討によれば、特にFe、Cu及びVは、ガラス中で適度な活性化エネルギーを示すので好ましい。
【0033】
RO、すなわちMgO、CaO、SrO及びBaO等のアルカリ土類金属酸化物は、ガラスの耐久性を向上させるとともに、成形時の失透温度、粘度を調整するのに用いられる。ROは1種または2種以上が含有されるが、その合計量が10モル%未満では熔解温度が上昇してガラスの熔解が困難になるとともに、ガラスの耐久性が低下する。また、ROの合計量が50モル%を超えると失透温度が上昇する。好ましくは、20〜40モル%である。
【0034】
本発明のガラススペーサを構成するガラス中に、ナトリウムのような可動イオンが含まれているとバイアス電圧でイオンがガラス中を動き、最終的に偏在することにより電界破壊が起こるという問題が生じる。従って、このような不具合を防止するために、R'2O、すなわちLi2O、Na2O及びK2O等のアルカリ金属酸化物は極力ガラス中に含有しないことが望ましいが、ガラスの熔解促進性を向上させるとともに、失透温度を低下させるために5モル%以下含有しても良い。好ましくは2.5モル%以下、さらに望ましくは1モル%以下である。また、イオンの伝導性を回避する観点から、含有させるアルカリ金属酸化物はなるべく重元素の酸化物であることが好ましい。
【0035】
ガラス基板からなる前面板や背面板とガラススペーサとの間で線膨張係数が異なる場合は、焼成昇温時には線膨張係数が大きい方が小さい方に比べて伸長し、降温時には線膨張係数が大きい方が小さい方に比べて収縮する。これらの差が許容値を超えると、ガラススペーサの反り、変形、破壊等が生じる場合がある。従って、本発明においては、ガラススペーサガラス基板とガラススペーサとは線熱膨張係数の差が15%以下であることが好まく、さらに望ましくは同10%以下である。この範囲であれば、熱処理時における熱膨張差に起因するガラススペーサの反り、変形、破壊等の問題を確実に防止することができる。
【0036】
なお、電子線励起型ディスプレイの構造から、ガラススペーサの電気抵抗が低すぎると、システムとして電気的な短絡を生じるため使用できない。逆に、ガラススペーサの抵抗値が高すぎると、蓄積された電荷が十分に緩和されない。従って、本発明の電子線励起型ディスプレイ用スペーサの抵抗率は、概ね103〜1010Ω・cmの範囲にあることが好ましい。
【0037】
本発明の電子線励起型ディスプレイ用ガラススペーサは、その製造方法について特に制限はないが、図3に示すような電子線励起型ディスプレイ用ガラススペーサ製造装置を用いて、以下に記載する方法に従って製造されることが好ましい。
【0038】
第1工程:
まず、ガラス材料に切断、切削、研磨等の機械加工を施すか、熔着、熱間プレス・熱間押し出し等の延伸を施すことにより得られる所定の断面形状を有する母材ガラス41を準備する。この母材ガラス41は、その断面形状がガラススペーサ4の断面形状とほぼ相似形となるように形成されている。また、母材ガラス41の断面積は、得られるべきガラススペーサ4の断面積の100〜700倍程度である。
【0039】
第2工程:
前記準備された母材ガラス41を製造装置30のワイヤ37の一端に懸吊して装着し、モータ36の駆動軸を回転させて母材ガラス41の下端部を加熱炉34内に導入する。次いで、電気ヒータ43,44に通電して加熱炉34によって母材ガラス41の下端部を加熱する。この加熱により、母材ガラス41から下垂した延伸ガラスを延伸ロール46に通し、延伸ロール46をモータ45により回転させて下方に引っ張る。
【0040】
以後、モータ36及び45を夫々制御して、母材ガラス41を加熱炉34内に後述する所定の供給速度で導入すると同時に後述する所定の延伸速度で下方に引っ張る。その際、電気ヒータ43,44を母材ガラス41の加熱温度が所定範囲内になるように制御する。すなわち、母材ガラス41をその粘度が104〜108Pa・s(105〜109ポアズ)、好ましくは107〜108Pa・s(108〜109ポアズ)になるように所定の温度範囲に加熱する。
【0041】
上記母材ガラス41の供給速度に対する母材ガラス41の延伸速度の比は、20〜8000であるのが好ましい。当該比が20未満の場合は、母材ガラス41が延伸される延伸率が小さく生産性が悪化し、当該比が8000を超える場合は、前記延伸率が大きすぎて延伸ガラスの延伸方向に垂直な断面形状が不安定になる。より好ましくは、当該比が100〜7000の範囲にあるのがよい。
【0042】
第3工程:
次いで、前記延伸ガラスを所望の長さに切断してガラススペーサ4を得る。この切断は、ダイヤモンドソー、ガラスカッター、ウォータージェット等により行う。ガラススペーサ4の切断面以外の4つの面は、加熱延伸時にほぼ火造り面となるので、元のガラスの加工精度はそれほど問題にならない。ここに、火造り面とは、ガラスの粘性が加熱温度に相関することを利用して、熔解ガラスを成形型等に接触させることなく加熱温度の制御により、例えば板状に成形したときのそのガラス面をいう。この火作り面は成形型の微小な凹凸が転写されないので、微視的に平坦であるという特徴を有する。
【0043】
以上の3工程によって、母材ガラス41から、その断面形状とほぼ相似形の所望の断面形状を有するガラススペーサ4を形成することができる。
【0044】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0045】
母材ガラス41は、下記のように調整した。SiO2原料として光学ガラス用の珪砂、遷移金属酸化物原料として所望の遷移金属酸化物、RO(但し、Rはアルカリ土類金属を示す)原料及びR'2O(但し、R'はアルカリ金属を示す)原料として、夫々の金属の炭酸塩を用い、熔解後のガラス重量が300グラムになるよう所定の割合で混合した。この原料混合物を白金製の坩堝に入れて、1500〜1550℃に保持してある電気炉中で2時間熔解した。熔解後、ガラスを鉄板上に流し出し、厚さ約5mmになるように成形した。その際の失透物発生の有無を観察し、失透物が発生しないものは○、失透物が発生したものは×として、ガラス状態の判定を行った。その結果を表1に示す。なお、表1においてガラス組成の数字はいずれもモル%である。
【0046】
【表1】
【0047】
成形後のガラスは、予め500〜600℃に加熱してある電気炉に入れて1時間保温した。その後電気炉の電源を切り、自然放冷した。このガラスを厚さ約3mmに研磨して電気抵抗を測定した。具体的な測定手順は、JIS−R214に準じた。ガラスの電子伝導性は、既に報告(例えば、J.D.Mackenzie、Modern Aspects of the Vitreous States、Vol.3)があるように、電気抵抗の経時変化で判定できる。すなわち、通常のガラスが示すようなイオン伝導性では直流電流を流し続けるとイオンの偏在化が起こり時間の経過と供に抵抗が上昇するが、電子伝導性ではそのような変化が観察されず、直流電流を流し続けても抵抗値は変化しない。本発明の電子伝導性は、測定の電流を流し始めた直後の測定値と、電流を流したまま3時間経過した後の測定値を比較することで判断した。表1において、抵抗値が変化せず電子伝導性を示すものを○、抵抗値が変化して電子伝導性を示さないものを×として、電子伝導性の判定を行った。表1から明らかなように、本発明の範囲内では、安定性に優れた電子伝導性ガラスを供給でき、電子線励起型ディスプレイに適したガラススペーサを供給できる。
【0048】
表2は、比較例のガラスを示すものである。表2におけるガラス組成の数字はいずれもモル%であり、失透物発生の有無及び電子伝導性の有無の評価は実施例の場合と同様である。
【0049】
【表2】
【0050】
表2において、比較例1及び比較例2は市販されているガラスの代表例である。いずれも、非常に安定なガラスが得られたものの電子伝導性は示さず、これらのガラスで試作したガラススペーサを使用した電子線励起型ディスプレイは、帯電した状態が至るところで観察された。
【0051】
比較例3は、十分な遷移金属酸化物を含有するため電子伝導性を示すが、安定なガラスとはならず、ガラス製造時に複数の失透が発生してスペーサに加工できなかった。
【0052】
比較例4及び比較例5は安定なガラスであるが、遷移金属酸化物の含有量が少ないため、十分な電子伝導性を示さなかった。
【0053】
比較例6及び比較例7は、RO(但し、Rはアルカリ土類金属を示す)が少ないガラス及びR'2O(但し、R'はアルカリ金属を示す)が多いガラスである。前者は、熔解温度が高い上に均質なガラスが得られ難く、後者は失透性が高い。いずれのガラスも電子伝導性は示すものの、安定で均質なガラスが得られず、スペーサを得ることができなかった。
【0054】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、請求項1記載のガラススペーサによれば、30〜80モル%のSiO2、10〜40モル%のFe、Cu及びVの中から選択される金属の酸化物、10〜50モル%のRO(但し、Rはアルカリ土類金属を示す)及び5モル%以下のR'2O(但し、R'はアルカリ金属を示す)を含むガラス組成物から構成されるので、ガラススペーサは電子伝導性を有し、電子線源から照射された電子の一部が衝突した場合に電子を捕捉して帯電することを効果的に防止することができる。
【0055】
請求項2記載のガラススペーサによれば、前記遷移金属酸化物を12〜30モル%含有しているので、十分な電子伝導性を有して帯電を防止できる安定性の高いガラススペーサを得ることができる。
【0056】
請求項3記載のガラススペーサによれば、前記R'2Oが2.5モル%以下であるので、請求項1の作用効果をより確実に奏することができる。
【0057】
請求項4記載のガラススペーサによれば、前記ガラス基板と前記ガラススペーサとは線熱膨張係数の差が15%以下であるので、熱処理時におけるガラススペーサの反り、変形、破壊を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る電子線励起型ディスプレイ用ガラススペーサを備えるフラット型の電子線励起型ディスプレイの分解斜視図である。
【図2】図1の線II−IIに関する断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る電子線励起型ディスプレイ用ガラススペーサの製造装置の概略構成を示す図である。
【図4】図3の線VI−VIに関する断面図である。
【符号の説明】
1 前面板
2 背面板
3 支持板
4 ガラススペーサ
15,21 ガラス基板
23 素子部
24 配線部
25 電子放出素子
30 製造装置
33 台
34 加熱炉
36,45 モータ
37 ワイヤ
41 母材ガラス
43,44 電気ヒータ
46 延伸ロール
Claims (4)
- ガラス基板を備える電子線励起型ディスプレイに用いられるガラススペーサであって、30〜80モル%のSiO2、10〜40モル%のFe、Cu及びVの中から選択される金属の酸化物、10〜50モル%のRO(但し、Rはアルカリ土類金属を示す)及び5モル%以下のR'2O(但し、R'はアルカリ金属を示す)を含むガラス組成物からなることを特徴とする電子線励起型ディスプレイ用ガラススペーサ。
- 前記遷移金属酸化物が12〜30モル%であることを特徴とする請求項1記載の電子線励起型ディスプレイ用ガラススペーサ。
- 前記R'2Oが2.5モル%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子線励起型ディスプレイ用ガラススペーサ。
- 前記ガラス基板と前記ガラススペーサとは、線熱膨張係数の差が15%以下であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電子線励起型ディスプレイ用ガラススペーサ。
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