JP3723880B2 - マイグレーション測定方法および測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はマイグレーション測定方法および測定装置に関する。さらに詳しくは、水晶振動子を利用したマイグレーション測定方法および測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、導体回路基板上に水分が付着した状態で電界を印加すると、電極材料の溶出および析出が繰り返されて、やがて電極間に短絡が発生する現象、いわゆるイオンマイグレーション現象(以下、単にマイグレーションという)が知られている。このマイグレーションは電極間距離が狭まるほど起こりやすく、とりわけ銀、銅、およびはんだで起こりやすいことが知られている。また、近年の電子機器の小型化、軽量化に伴う回路の高密度、ファインピッチ化の進展や、さまざまな環境で使用されることによる結露、吸湿の可能性の増大により、このマイグレーションは助長されている。そのため、電子機器においてはマイグレーションが大きな問題となっている。
【0003】
従来、このマイグレーションの評価は、絶縁抵抗値や誘電特性値などの電気的特性の変化に着目することによりなされている。すなわち、絶縁性の劣化を評価することによりマイグレーションの評価がなされている。そのため、従来の手法においては、マイグレーションの発生過程における評価は一切なし得ない。とりわけ、マイグレーション発生速度に大きく影響する電極の質量変化を定量的には測定できない。
【0004】
かかる問題を解決すべく、本発明者等は水晶振動子を用いたマイクロバランス法によるマイグレーション測定方法および測定装置を既に提案している(表面技術、1999年11月号論文(116頁〜120頁))。
【0005】
しかしながら、本発明等の先の提案に係るマイグレーション測定方法および測定装置においては、図11に示すように、水晶振動子に形成された電極の上にイオン交換蒸留水を滴下し、その水滴中に測定対象とする電極先端を進出させて測定を行っているので、水晶振動子に形成されている作用極と測定対象電極との間隔の調整が煩雑であるという問題がある。また、各種環境におけるマイグレーションの挙動を測定、とりわけプリント基板などの絶縁性素材の層間(以下、単に層間という)におけるマイグレーションを測定できないという問題もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる本発明者等の先の提案に係るマイグレーション測定方法および測定装置の課題に鑑みなされたものであって、測定が簡易になし得るとともに、各種環境におけるマイグレーションの挙動、とりわけ層間におけるマイグレーションを測定できるマイグレーション測定方法および測定装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のマイグレーション測定方法は、水晶振動子を用いたマイクロバランス法によるマイグレーション測定方法であって、
表面電極および該表面電極に対応させた裏面電極が形成された振動生成体に測定環境模擬部材を載置する手順と、前記測定環境模擬部材にイオン交換蒸留水を滴下する手順と、前記測定環境模擬部材に対極を当接する手順と、前記表面電極および裏面電極ならびに前記対極が所定の極性となるように通電するとともに、前記振動生成体を振動させる手順と、前記振動生成体の振動数の変化より前記測定環境模擬部材の質量変動を算出する手順と、前記質量変動に基づいてマイグレーションの評価をなす手順とを含み、
前記表面電極が、前記振動生成体の中心部に配設された中心電極を有し、前記裏面電極が、前記振動生成体の中心部に配設された中心電極を有し、前記表面電極の中心電極は前記振動生成体のほぼ半分の大きさとされ、前記裏面電極の中心電極は前記表面電極の半分程度の大きさとされていることを特徴とする。
【0008】
本発明のマイグレーション測定方法においては、測定環境模擬部材および対極を大気と遮断した状態で測定をなしてもよい。
【0009】
また、本発明のマイグレーション測定方法においては、測定環境模擬部材および対極を所望雰囲気として測定をなしてもよい。その場合、雰囲気ガスにてバブリングされたイオン交換蒸留水を用いるのが好ましい。
【0010】
さらに、本発明のマイグレーション測定方法においては、作用極表面を対極と同材質として測定をなしてもよい。
【0011】
一方、本発明のマイグレーション測定装置は、水晶振動子を用いたマイクロバランス法によるマイグレーション測定装置であって、
測定部と、該測定部に所定の直流電流を印加する直流電源装置と、該直流電源装置の電流変化を記録する記録装置と、前記測定部の周波数変化を測定する周波数測定器と、該周波数測定器により測定された周波数変化を演算処理してマイグレーションの評価をなす評価装置とを備え、前記測定部は、振動生成体と、該振動生成体に振動を生成させる振動生成部と、測定環境模擬部材と、前記振動生成体を保持しかつ前記振動生成部に電力を供給する保持手段とを有し、
前記振動生成体は、前記振動生成体の表面および裏面にそれぞれ形成された表面電極および裏面電極と、前記表面電極に対向配置された対極とを備え、
前記表面電極が、前記振動生成体の中心部に配設された中心電極を有し、前記裏面電極が、前記振動生成体の中心部に配設された中心電極を有し、前記表面電極の中心電極は前記振動生成体のほぼ半分の大きさとされ、前記裏面電極の中心電極は前記表面電極の半分程度の大きさとされてなることを特徴とする。
【0012】
本発明のマイグレーション測定装置においては、対極と測定環境模擬部材とを大気から遮断するように構成されてもよい。
【0013】
また、本発明のマイグレーション測定装置においては、作用極表面が対極と同材質とされてもよい。
【0014】
さらに、本発明のマイグレーション測定装置においては、対極が作用極に対して進退自在とされてなるのが好ましい。
【0015】
【作用】
本発明は前記の如く構成されているので、マイグレーションをリアルタイムにしかも使用環境を模擬して測定できる。とりわけ、層間のマイグレーションをリアルタイムに測定できる。
【0016】
また、本発明の好ましい形態によれば、所望雰囲気下においてマイグレーションをリアルタイムに測定できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施形態に基づいて説明するが、本発明はかかる実施形態のみに限定されるものではない。
【0018】
実施形態1
本発明の実施形態1に係るマイグレーション測定方法に適用される測定装置を図1にブロック図で、図2に概略図でそれぞれ示す。この実施形態1の測定装置Aは、測定部1と、測定部1に所定の直流電流を印加する直流電源装置2と、直流電源装置2の電流変化を記録する記録装置3と、測定部1の周波数変化を測定する周波数測定器4と、周波数測定器4により測定された周波数変化を演算処理してマイグレーションの評価をなす評価装置5と、出力装置6とを主要構成要素としてなる。
【0019】
測定部1は、振動生成体11と、この振動生成体11に振動を生成させる振動生成部12と、測定環境模擬部材(図3参照)13と、振動生成体11を保持するとともに内部に振動生成部12に電力を供給するための配線が設けられた保持手段14とを有してなるものとされる。なお、図3中の符号Wはイオン交換蒸留水を示す。
【0020】
振動生成体11は、例えば所定方向にカットされた所定厚さ、例えば0.5mm厚の水晶板(例えば、MAXTEK社製の水晶板)とされる。振動生成部12は振動生成体11の表面に所定パターンで形成された表面電極(作用極)15と、振動生成体11の裏面に所定パターンで形成された裏面電極16と、前記表面電極15と対向配置された所定形状の対極17とを備えてなるものとされる。
【0021】
図4に円板とされた振動生成体11の表面および裏面に形成された電極パターンの一例を示す。なお、図4において、(a)は表面電極15を示し、(b)は裏面電極16を示す。
【0022】
表面電極15は振動生成体11表面にAuを蒸着して形成してなるもので、図4(a)に示すように、円形振動生成体11の表面中心部に円形振動生成体11のほぼ半分の大きさに形成された円形電極15aとされる一方、裏面電極16は振動生成体11裏面にAuを蒸着して形成してなるもので、図4(b)に示すように、円形振動生成体11の裏面中心部に形成された小円形の中心電極16aと、この中心電極16aと電気的に接続されてその外周に配置された円弧状外周電極(接続電極)16bとからなるものとされる。ここで、中心電極16aの大きさは表面電極15aの大きさの半分程度とされる一方、外周電極16bは表面電極15aの外周部に位置する大きさとされている。表面電極15および裏面電極16をこのようなサイズおよび位置関係とするのは、振動数(共振周波数)1Hz当り24ngという微小な質量変化を測定可能とするためである。なお、電極パターンは前記に限定されるものではなく、かかる微小質量の変化を測定できるかぎり各種パターンとすることができる。
【0023】
対極17は丸棒金属電極(例えばSn電極)とされて、その先端部には測定対象とされた金属がめっきされる一方、その基端は対極17を表面電極15に対して進退させる進退機構20の進退部材21の先端に保持されている。
【0024】
進退機構20は例えばマイクロメータとされ、その測定ロッド(進退部材)21の先端に対極17の基端が、明瞭には図示されていないが、チャック機構により着脱自在に保持されている。ここで、この進退機構20は、その本体部22が支持台30に対極17が表面電極15の中心部に対応する位置となるようにして固定されている。支持台30は、図2に示すようにその脚31によりベースBの上に固定されている。この脚31の長さは、対極17が表面電極15の上方所定位置となるように調整されている。また、このベースBの上には振動生成体11を固定している保持手段14も配設されている。
【0025】
測定環境模擬部材13は、吸湿性絶縁部材からなる所定厚さの平板とされて、図3に示すように表面電極15と対極17との間に配設される。吸湿性絶縁部材の材質としては、プリント基板に用いられている各種素材を用いることができ、例えば紙、布、ガラス繊維織布などを用いることができる。その厚みは、基板の層間パターンの間隔が約1mm以下であるため、1mm以下とされ、そのサイズは対極17より大きくされている。なお、測定環境模擬部材13の材質は前記に限定されるものではなく、測定しようとする環境に対応させて吸湿性および絶縁性を有する各種素材の中から適宜選定できる。
【0026】
保持手段14は、振動生成体11を載置・固定している載置部14aと、直流電源装置2からの配線および周波数測定器4への配線が接続される端子部14bと、載置部14aと端子部14bとを接続している接続部材14cとからなるものとされる。
【0027】
載置部14aには、図1に模式的に示すように、表面電極15の振動生成体11の裏面に延伸形成されている接続部15bと電気的接触をなす表面電極接触端子14d、および裏面電極16の中心電極16aから延伸形成されている接続電極16bと電気的接触をなす裏面電極接触端子14eが設けられている。これらの表面および裏面接触端子14d,14eのそれぞれには端子部14bから接続部14cを通ってきた配線が接続されている。なお、かかる保持手段14には、MAXTEK社製の水晶振動子板固定用プローブを好適に用いることができる。
【0028】
周波数測定器4は、保持手段14から出力される電流変化により振動生成体11の振動数(共振周波数)をカウントする公知の周波数測定器とされる。
【0029】
評価装置5は、例えば振動生成体11の振動数(共振周波数)の変化に基づいて、環境模擬部材13における質量変化を算出するようにプログラムされたパソコンとされる。この振動数(共振周波数)変化から質量変化の算出は、例えば下記に示すSauerbreyの式によりなされる。
【0030】
dm/df=−(μρ)0.5/(2fs2)
【0031】
ここに、
dm:質量変化
df:周波数変化
fs:初期の共振周波数(Hz)
μ:水晶の剛性率
ρ:水晶の密度
【0032】
記録装置3は、直流電源装置2の電流変化を記録できる各種記録装置を好適に用いることができる。また、出力装置6は、例えばプリンタ、CRTディスプレイなどとされる。
【0033】
次に、かかる構成とされている測定装置Aによるマイグレーションの測定について説明する。
【0034】
(1)所定量のイオン交換蒸留水Wを測定環境模擬部材13が配設された表面電極15に滴下する。
【0035】
(2)進退機構20により対極17を進出させて測定環境模擬部材13に当接させる。
【0036】
(3)イオン交換蒸留水Wを滴下してから所定時間、例えば5分間経過後、直流電源装置2より対極17、表面電極15に所定電圧、例えば5Vの直流電流を供給する。この場合、対極17が陽極となるようにされ、表面電極15が陰極となるようにされている。なお、その逆に対極17が陰極となるようにされ、表面電極15が陽極となるようにされてもよい。
【0037】
(4)電流が供給されると対極17にめっきされている測定対象の金属が溶出して対極17の先端部17a周囲の金属イオンの濃度が上昇する。
【0038】
(5)溶出した金属イオンは表面電極15の作用により測定環境模擬部材13中に泳動してその中で金属酸化物、金属水酸化物として析出する(図5参照)。なお、図5中の符号Sは析出物を示す。
【0039】
(6)周波数測定器4により測定されている振動生成体11の振動数(共振周波数)は、測定環境模擬部材13中に金属イオンが泳動したきたこと、および泳動してきた金属イオンが析出することにより変化する。
【0040】
(7)この周波数変化は周波数測定器4から評価装置5に入力される。
【0041】
(8)評価装置5は測定された周波数の変化から測定環境模擬部材13中の質量増加を算出してマイグレーションの評価を行う。
【0042】
(9)この評価結果は出力装置6に出力される。
【0043】
このように、この実施形態1によればマイグレーションをリアルタイムに測定できる。また、測定環境模擬部材13の材質を適宜選定することにより、使用環境を模擬してマイグレーションの測定、とりわけ層間におけるマイグレーションの測定がなし得る。そのため、各種金属材料の種々の環境におけるマイグレーションによる劣化あるいは電極間の短絡を精度よく予測できる。
【0044】
実施形態2
本発明の実施形態2に係るマイグレーション測定方法に適用される測定装置A1を図6に概略図で示す。この実施形態2は実施形態1を改変してなるものであって、対極17と測定環境模擬部材13とをアクリル樹脂による隔壁18で囲って大気との接触を遮断する一方、その内部を所望雰囲気としてなるものである。例えば、窒素雰囲気としたり、所望湿度としたりしてなるものである。
【0045】
この場合、滴下するイオン交換蒸留水Wは、所望雰囲気ガスでバブリングした後にイオン交換したものを用いるのが好ましい。例えば、窒素雰囲気とする場合には、窒素ガスによるバブリングした後にイオン交換したものを用いるのが好ましい。また、その滴下は例えば隔壁18の取付前になされる。
【0046】
なお、実施形態2のその余の構成および作用・効果は実施形態1と同様とされている。
【0047】
このように、この実施形態2によれば、対極17および測定環境模擬部材13を隔壁18で囲って大気と遮断する一方、その内部を所望雰囲気としているので、実施形態1よりも多用な環境を模擬してマイグレーションの測定がなし得る。
【0048】
【実施例】
以下、本発明をより具体的な実施例に基づいて説明する。
【0049】
実施例1〜実施例5および比較例1〜比較例5
ATカットクリスタル(共振周波数:5MHz)にAuを蒸着して表面電極(作用電極)とし、直径3.0mmのSn棒に約14μmの厚さで測定対象金属をめっきして対極とし、測定環境模擬部材として定性濾紙1号(厚さ:0.2mm;保留粒子径:6μm)を用いて、実施形態1の測定装置により印加電圧を5.0Vとしてマイグレーションの測定を行った(実施例1〜実施例5)。また、比較のために測定環境模擬部材を用いなかった他は実施例1〜実施例5と同様にしてマイグレーションの測定を行った(比較例1〜比較例5)。なお、測定対象金属は下記のとおりである。また、μ:水晶の剛性率は2.95x1011(g・cm-1・s-2)とされ、ρ:水晶の密度は2.65(g/cm3)とされている。
【0050】
実施例1,比較例1:Sn−3.5Ag(融点:221℃)
実施例2,比較例2:Sn−9Zn(融点:198.5℃)
実施例3,比較例3:Sn−5Bi(融点:210℃)
実施例4,比較例4:Sn−0.9Cu(融点:227℃)
実施例5,比較例5:Sn−37Pb(融点:183.3℃)
【0051】
図7および図8に実施例1〜実施例5および比較例1〜5の電流値変化をそれぞれ示すし、図9および図10に実施例1〜実施例5および比較例1〜5の共振周波数変化をそれぞれ示す。
【0052】
図7および図8から、実施例5を除いた全てについて電流値の急激な増加が認められることより、マイグレーションにより対極と作用電極との短絡が発生しているのが理解される。一方、実施例5においては測定時間内(3000秒)に対極と作用極との短絡が発生していないと理解される。
【0053】
また、図9および図10から、実施例2を除いた全てについて測定時間の経過とともに共振周波数の低下が認められることから、対極の測定対象金属が濾紙に析出しているのが理解される。ここで、実施例2において測定時間の経過とともに共振周波数の低下が認められないのは、実施例2の対極金属が金属酸化膜を形成しやすい性質のため、対極からの金属の溶出反応がその他の金属に比較して少なく、その結果共振周波数の低下、すなわち作用極における質量の増加が認められなかったと推測される。
【0054】
なお、図示は省略するが、測定終了後に濾紙の対極側表面および作用極側表面のSEMによる観察を行った。その結果、実施例5を除いて対極側表面および作用極側表面の両方に測定対象金属の析出が認められた。一方、実施例5においては対極側表面のみに測定対象金属の析出が認められた。このことから、短絡は対極側に析出した析出物が徐々に成長して作用極に到達して起こるものと推定される。
【0055】
以上、本発明を実施形態および実施例に基づいて説明してが、本発明はかかる実施形態および実施例に限定されるものではなく、種々改変が可能である。例えば、実施例では測定環境模擬部材として濾紙を用いたが、ガラス繊維濾紙を用いてもよい。また、実施形態おび実施例では対極のみに測定対象金属をめっきしたが、作用極にも測定対象金属をめっきしてもよい。また、そうすることにより、短絡発生までの時間を長くすることができる。さらに、実施形態では対極をSn丸棒電極としているが、対極は測定対象金属に応じて適宜選定される。
【0056】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によればマイグレーションをリアルタイムに測定できるという優れた効果が得られる。また、測定環境模擬部材の材質を適宜選定することにより、使用環境を模擬してマイグレーションの測定、とりわけ層間におけるマイグレーションの測定がなし得るという優れた効果も得られる。そのため、各種金属材料の種々の環境におけるマイグレーションによる劣化あるいは電極間の短絡を精度よく予測できるという効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係る測定装置のブロック図である。
【図2】同概略図である。
【図3】図2の要部拡大図である。
【図4】電極パターンを示す図であって、同(a)は表面電極を示し、同(b)は裏面電極を示す。
【図5】測定対象金属が対極から測定環境模擬部材に泳動して析出している状態を示す模式図である。
【図6】本発明の実施形態2に係る測定装置の概略図である。
【図7】実施例1〜実施例5の電流変化を示すグラフである。
【図8】比較例1〜比較例5の電流変化を示すグラフである。
【図9】実施例1〜実施例5の周波数変化を示すグラフである。
【図10】比較例1〜比較例5の周波数変化を示すグラフである。
【図11】本発明者等の先の提案に係る測定装置の図3相当図である。
【符号の説明】
1 測定部
2 直流電源装置
3 記録装置
4 周波数測定器
5 評価装置
6 出力装置
11 振動生成体
12 振動生成部
13 測定環境模擬部材
14 保持手段
15 表面電極(作用極)
16 裏面電極
17 対極
18 隔壁
20 進退機構
A 測定装置
S 析出物
W イオン交換蒸留水
Claims (9)
- 水晶振動子を用いたマイクロバランス法によるマイグレーション測定方法であって、
表面電極および該表面電極に対応させた裏面電極が形成された振動生成体に測定環境模擬部材を載置する手順と、
前記測定環境模擬部材にイオン交換蒸留水を滴下する手順と、
前記測定環境模擬部材に対極を当接する手順と、
前記表面電極および裏面電極ならびに前記対極が所定の極性となるように通電するとともに、前記振動生成体を振動させる手順と、
前記振動生成体の振動数の変化より前記測定環境模擬部材の質量変動を算出する手順と、
前記質量変動に基づいてマイグレーションの評価をなす手順
とを含み、
前記表面電極が、前記振動生成体の中心部に配設された中心電極を有し、
前記裏面電極が、前記振動生成体の中心部に配設された中心電極を有し、
前記表面電極の中心電極は前記振動生成体のほぼ半分の大きさとされ、前記裏面電極の中心電極は前記表面電極の半分程度の大きさとされている
ことを特徴とするマイグレーション測定方法。 - 測定環境模擬部材および対極を大気と遮断した状態で測定をなすことを特徴とする請求項1記載のマイグレーション測定方法。
- 測定環境模擬部材および対極を所望雰囲気として測定をなすことを特徴とする請求項2記載のマイグレーション測定方法。
- 雰囲気ガスにてバブリングされたイオン交換蒸留水を用いることを特徴とする請求項3記載のマイグレーション測定方法。
- 作用極を対極と同材質として測定をなすことを特徴とする請求項1記載のマイグレーション測定方法。
- 水晶振動子を用いたマイクロバランス法によるマイグレーション測定装置であって、
測定部と、該測定部に所定の直流電流を印加する直流電源装置と、該直流電源装置の電流変化を記録する記録装置と、前記測定部の周波数変化を測定する周波数測定器と、該周波数測定器により測定された周波数変化を演算処理してマイグレーションの評価をなす評価装置とを備え、前記測定部は、振動生成体と、該振動生成体に振動を生成させる振動生成部と、測定環境模擬部材と、前記振動生成体を保持しかつ前記振動生成部に電力を供給する保持手段とを有し、
前記振動生成体は、前記振動生成体の表面および裏面にそれぞれ形成された表面電極および裏面電極と、前記表面電極に対向配置された対極とを備え、
前記表面電極が、前記振動生成体の中心部に配設された中心電極を有し、
前記裏面電極が、前記振動生成体の中心部に配設された中心電極を有し、
前記表面電極の中心電極は前記振動生成体のほぼ半分の大きさとされ、前記裏面電極の中心電極は前記表面電極の半分程度の大きさとされてなる
ことを特徴とするマイグレーション測定装置。 - 対極と測定環境模擬部材とを大気から遮断するように構成されてなることを特徴とする請求項6記載のマイグレーション測定装置。
- 作用極表面が対極と同材質とされてなることを特徴とする請求項6記載のマイグレーション測定装置。
- 対極が作用極に対して進退自在とされてなることを特徴とする請求項6記載のマイグレーション測定装置。
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