JP3994891B2 - 被熱処理物の検査方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミック成形体等の被熱処理物が熱処理中に膨張収縮したときその表面の挙動検査に供する被熱処理物の検査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
積層セラミックコンデンサのような電子部品など熱処理工程を経て作製される被熱処理物では一般に製品の信頼性を確保するために熱処理中における膨張収縮の状態やクラックの発生などを検査する。従来の検査方法に実施されるものとして示差熱分析装置(TMA:Thermo−Mechanical Analyzer)がある。示差熱分析装置は、被熱処理物に検査に必要な荷重を与え、その荷重による被熱処理物の膨張収縮に伴う寸法変化を機械機構により増幅検知する(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特公平8−30685号(全頁、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような示差熱分析装置を用いた従来の検査方法の場合、その膨張収縮の検知可能な精度は、その機械的構造の点から1μm程度が限界であるため、小型化が著しいチップコンデンサなどのようにそれよりも小さいクラックの発生するおそれのある被熱処理物の検査はきわめて困難なものとなっていた。
【0005】
また、従来の検査方法の場合、クラックの発生など不連続な寸法変化を検知することができるものの、被熱処理物の熱処理中の連続的な寸法変化などを捉えることが難しく、例えば熱処理の温度制御プロファイルを設定するために電子部品の膨張収縮に関する詳細なデータを得るものとしては不十分であった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る被熱処理物の検査方法は、被熱処理物の表面に導電性膜を成膜する成膜工程と、前記成膜工程後の被熱処理物に対して該被熱処理物の膨張収縮を伴う熱処理を行なう熱処理工程と、該電気抵抗の変化から被熱処理物の膨張収縮挙動を検知するために、前記熱処理工程中に前記導電性膜の少なくとも2点間の電気抵抗を測定する測定工程とを含む。
【0007】
請求項1に係る被熱処理物の検査方法によれば、被熱処理物の表面における形態変化を検知する対象部位に導電性膜を成膜し、その被熱処理物に対して所望の熱処理を行い、その熱処理の際に、導電性膜の電気抵抗を測定することから、被熱処理物の膨張収縮に伴う形態変化が被熱処理物の表面における面方向での寸法変化となり、その表面変化を導電性膜の抵抗変化として測定することになるので、確実性高く、かつ高精度に検知することができる。また、被熱処理物の表面の形態変化として微小なクラックが発生した場合もそのクラックの発生に伴う導電性膜の破断による測定抵抗値の急な増加により確実に検知することができる。
【0008】
なお、導電性膜の膜厚は、被熱処理物の膨張収縮に伴う被熱処理物表面の形態変化の影響を受けて抵抗値も簡易に変わるものとする必要から、極力薄いものであることが望ましい。また、その膜厚の程度も被熱処理物の大きさに応じて適宜設定される。
【0009】
本発明に係る被熱処理物の検査方法は、好ましくは、前記導電性膜を、検知対象となる被熱処理物の表面の互いに離間した複数部位に形成し、各部位の導電性膜に対して前記測定を行う。この場合、例えばクラックが発生し、そのクラックが拡がっていく過程が複数部位に形成した導電性膜のそれぞれの時間的な抵抗変化を追跡することによって具体的に判明するのであり、従来微小クラックの発生を十分検知できなかったものに比較して、クラック発生のメカニズムの検証が行なえるなどの利点がある。
【0010】
本発明に係る被熱処理物の検査方法は、好ましくは、前記被熱処理物はセラミック成形体である。この場合、熱処理に伴う膨張収縮状態が検知しにくいセラミック成形体についても精度良くその検知を行なうことができる。
【0011】
本発明に係る被熱処理物の検査方法は、好ましくは、導電体薄膜は、白金、金、カーボンの少なくともいずれかで構成されている。この場合、白金、金においては酸化しにくいものであるので、雰囲気ガスとの酸化反応により電気抵抗値が変化するというおそれが小さいものであり、酸化反応が生じ易い雰囲気中での熱処理においても電気抵抗の測定を精度良く行なうことができる。カーボンについては、比較的低温での導電性膜形成が可能となっており、導電性膜の形成による被熱処理物に対する熱的影響が抑制されたものにできる。
【0012】
本発明に係る被熱処理物の検査方法は、好ましくは、前記被熱処理物はバインダを含む成形体であり、前記熱処理工程は熱処理により前記被熱処理物からバインダ成分を離脱させる脱脂を行なう工程である。この場合、バインダ成分を被熱処理物から離脱させることから、クラックなどの発生しやすい脱脂工程において、精度良くそのクラック発生や被熱処理物の膨張収縮状態が検知できる。
【0013】
本発明に係る被熱処理物の検査方法は、好ましくは、前記測定工程は、被熱処理物の熱処理時における温度検知と、前記抵抗測定とを対応させて行なう。この場合、被熱処理物の温度と測定された抵抗値との関係から膨張収縮に伴う被熱処理物の寸法変化が熱処理時の温度と対応させられることになって、被熱処理物が熱処理時の温度に対応してどのように表面が挙動するかが判明する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の詳細を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0015】
図1ないし図6に、本発明の実施形態に係る被熱処理物の一例としての電子部品の熱処理中における検査方法の実施の形態を示す。図1は、被熱処理物としてのセラミック成形体の検査装置の概略構成図、図2(a)はセラミック成形体の斜視図、図2(b)は、図2(a)の側面図、図3、図4は、本実施形態の検査方法によるセラミック成形体の検査結果を示す図、図5は、従来の検査方法によるセラミック成形体の検査結果を示す図、図6は、本発明の検査方法による測定の際、ワークにクラックが発生した状態を示す図である。
【0016】
図1を参照して検査装置の構成を説明すると、2はワーク1としてのセラミック成形体(積層セラミックコンデンサ)を一定姿勢に保持した状態で装着可能な基板2を示す。その基板2の表面には、所定長さのギャップをおく状態で直線上に沿った一対の電極3,4がストリップラインとして設けられている。この一対の電極3,4は、電気信号の送受が可能に電気抵抗測定装置5に接続されている。基板2は、温度制御可能な加熱炉6の炉内に配備される。加熱炉6は、不図示のヒータにより炉内の加熱が行われるとともに、ヒータの運転制御は制御装置7によって行われる。加熱炉6の炉内には、温度センサ8が設けられており、この温度センサ8の検知結果に基づいて炉内温度の制御が行われる。
【0017】
図2を参照してセラミック成形体1の具体構成を説明すると、セラミック成形体1は、積層セラミックコンデンサ用であって、有機バインダによりセラミック粉末を結合してなる直方体状の成形体である。ワーク1の側面には、その長手方向中央個所に白金(Pt)による一つの導電性膜9がスパッタリングで所定幅に成膜されている。ここで、ワーク1の上下方向は積層セラミックコンデンサの積層方向に対応している。以下の説明においては、ワーク1の長手方向に沿う辺をL辺とし、上下方向に沿う辺をT辺とし、L辺とT辺とに直交する辺をW辺とするとともに、例えばL辺とT辺とでなる側面をLT面と呼ぶ。したがって、導電性膜9はワークの一つのLT面にT方向に沿うように形成されている。3,4は電極、5は電気抵抗測定装置を示す。
【0018】
図1に戻って、ワーク1は、導電性膜9を成膜したLT面を下面にして、その導電性膜9の両端のそれぞれが一対の電極3,4のそれぞれの対向する端部に接触する状態で基板2上に装着される。そして、導電性膜9と電極3,4とが電気的に接続されるよう互いに接触する状態にしておく。例えば、導電性膜9と電極3,4とを導電性接着剤により接着すればよい。なお、一対の電極3,4におけるワーク1との接触部位には、ワーク1の導電性膜9に対して確実性高く接触ができるよう、基板1表面より幾分盛り上がる状態で突起が形成されていてもよい。
【0019】
電気抵抗測定装置5は、導電性膜9の電気抵抗を高精度に測定できるものであって、その精度は、±0.2Ωである。
【0020】
上記検出装置の構成において、ワーク1の熱処理中における検査方法について以下に説明する。
【0021】
まず、成膜工程において、検査対象のワーク1に対してスパッタリングにより白金の上記導電性膜9を成膜する。その導電性膜9が成膜されたワーク1は、基板2に装着される。このとき、基板2における一対の電極3,4のそれぞれの接触端がワーク1の導電性膜9の両端部にそれぞれ接触するようにワーク1が装着される。基板2は、加熱炉6の炉内に収納される。この電気抵抗測定を行なうときの加熱炉における雰囲気としては大気雰囲気としたり、あるいは窒素雰囲気としたりしてその熱処理対象に対応させた所望の雰囲気に設定される。
【0022】
次いで、加熱炉6内を常温から単位時間当たり所定の上昇温度となる温度制御により加熱していく。本発明の熱処理工程は、ワーク1から有機バインダを揮発させる脱脂工程であるから、300℃近くまでを上限として温度制御を行なう。そして、その加熱していく過程において適宜な温度間隔ごとあるいは時間間隔ごとに導電性膜9の電気抵抗を電気抵抗測定装置5によって測定する。その測定結果は、制御装置7などに備える記憶装置10に記憶する。あるいは、加熱炉6の炉内温度と、導電性膜9の電気抵抗の測定結果とを共に表示装置11に表示できるようにして、作業者がその測定結果などを記録できるようにしてもよい。その測定結果に基づいて、例えば、ワーク1に関する熱処理工程について温度制御プロファイルの設定や、ワーク1の熱処理における評価などを行なう。
【0023】
次に、被熱処理物としてセラミック成形体1について、本発明者が脱脂工程中に本発明に係る上記実施の形態の検査方法により抵抗測定を行なった実施例について説明する。
【0024】
実施例においては加熱炉6内部を大気雰囲気とした状態でその炉内温度の温度上昇速度を、毎分0.5℃、毎分1℃、毎分4℃の3種類にそれぞれ設定して常温から270℃まで昇温させた試験を行なった。また、この実施例に対する比較例として、ワーク1に付設していない白金の導電性膜9についてのみの電気抵抗を炉内温度を毎分4℃で昇温させた場合についても測定した。それぞれの測定結果を図3および図4に示す。図3および図4において、横軸は加熱炉6の炉内温度(℃)に対応し、縦軸は測定された導電性膜9の電気抵抗(Ω)に対応する。また、温度上昇速度を上記と同じ3種類の条件にした状態で従来の示差熱分析装置による測定も行った。この場合の測定結果を図5に示す。図5において、横軸は加熱炉6の炉内温度(℃)に対応し、縦軸はワーク1の膨張率(%)に対応する。
【0025】
上記測定の結果、本発明の検査方法により、温度上昇速度を毎分0.5℃とした場合には、常温から約180℃までの間は導電性膜9の電気抵抗が低下していき、180℃から高温側では、ほぼ温度と電気抵抗とが線形的に対応して、電気抵抗が温度上昇に伴って上昇していることがわかる。この電気抵抗の上昇は、ワーク1の膨張に伴って、導電性膜9が伸びたことによると考えられる。よって、ワーク1が約180℃から膨張する状態となっていることが判明する。なお、常温から180℃までの間は、スパッタされた白金の粒間結合が温度上昇に伴って進行することにより電気抵抗の低下が生じていると考えられる。比較例の場合、270℃までさらに電気抵抗の低下が生じている。
【0026】
また、本発明の検査方法により、温度上昇速度を毎分1℃とした場合、240℃近くにおいてワーク1にクラックが発生したことで導電性膜9が切断されて電気抵抗が急に増大したものである。また、本発明の検査方法により、温度上昇速度を毎分4℃とした場合、260℃近くにおいてワーク1にクラックが発生しさらにそれによりワーク1を2分割する割れが生じたことで導電性膜9が切断されて電気抵抗が急に増大したものである。なお、本発明の検査方法による測定の際、ワーク1にクラックCが発生した状態を図6に示している。
【0027】
一方、従来の検査方法による場合、図5に示すように、温度上昇速度が毎分0.5℃および1℃の場合、常温から270℃近くまでワークの膨張率に変化がなく、温度上昇速度が毎分4℃の場合のみ240℃近くにおいて突然膨張率が0.4%と大きくなることが判明するのみであって、ワークの膨張収縮について連続的に測定できるものではない。
【0028】
次に、本発明に係る検査方法の別の実施の形態について示す。なお、上記実施の形態と同様の構成については説明を省略し、同一符号を付す。
【0029】
図7及び図8を参照して、基板2の表面には、所定長さのギャップをおく状態で直線上に沿った三対の電極3a〜3c,4a〜4cがストリップラインとして設けられている。なお、各対において電極3a〜3c,4a〜4cのギャップ長さは同一に設定している。この三対の電極3a〜3c,4a〜4cは、電気信号の送受が可能に電気抵抗測定装置5にそれぞれ接続されている。基板2は、温度制御可能な加熱炉6の炉内に配備される。この加熱炉6は、図示しないヒータにより炉内の加熱が行われるとともに、ヒータの運転制御は制御装置7によって行われる。加熱炉6の炉内には、温度センサ8が設けられており、この温度センサ8の検知結果に基づいて炉内温度の制御が行われる。
【0030】
図8に示すように、ワーク1はセラミック成形体であって、有機バインダによりセラミック粉末を結合して成形体としたものであり、その形状は直方体状となっている。そのワーク1における一つの側面には、その長手方向での左右両端および中央個所に所定幅の白金(Pt)による三つの導電性膜9a〜9cがスパッタリングで成膜されている。その導電性膜9a〜9cは、ワーク1の長手方向に沿う上下の各辺間にわたって所定幅に成膜されている。
【0031】
ワーク1の基板2への装着固定は上記実施の形態と同様導電性接着剤による各導電性膜9a〜9cと対応する各電極3a〜3c,4a〜4cとの接触により行なわれる。
【0032】
成膜工程により、上記各導電性膜9a〜9cをワーク1のLT面に成膜する。そのワーク1を基板2に装着し、その基板2を加熱炉6に収納する。加熱炉6の炉内温度制御を所定の温度上昇速度で行なって、そのときの温度などに対応させて各導電性膜9a〜9cの電気抵抗を測定する。この測定結果は、例えばクラックがワークに発生する場合、各導電性膜9a〜9cでの電気抵抗の急な増大を時間的に追うことによって、ワークのどの箇所でクラックが生じ、どのような過程を経てそのクラックが拡大していくのか判明できる。
【0033】
次に、被熱処理物として積層コンデンサのチップ部品となるセラミック成形体について、本発明者が脱脂工程中に本発明に係る上記別の実施の形態の検査方法により抵抗測定を行なった実施例について説明する。
【0034】
大気雰囲気とした状態で加熱炉6の炉内温度の温度上昇速度を、毎分1℃に設定して常温から270℃まで昇温させた試験を行なった
【0035】
この場合、脱脂後のワークについてクラックが観察された。そして、ワーク長手方向一端側の導電性膜9aではほぼ235℃、中央の導電性膜9bではほぼ240℃、他端側の導電性膜9cではほぼ243℃で電気抵抗が急激に増大しているものである。これにより、このワークにおけるクラックは、ワーク長手方向一端側の導電性膜9a個所から先に発生し、次いでワークの長手方向中央箇所にクラックが生じた状態になり、最後にワーク長手方向他端側の導電性膜9c箇所にクラックが生じた状態となっていることが判明する。
【0036】
本発明の上記実施の形態などに限定されるものでなく、例えば次のような変形例や応用例が考えられる。
【0037】
(1)図9(a),(b)に示すように、一つの導電性膜9を、被熱処理物であるワーク1の側面(この場合、LT面)において、長手方向一端から他端まで上下方向でジグザグ状に付設向きを変えて連続するように形成してもよい。その導電性膜9の電気抵抗は、例えば図9(a)に示すように、長手方向両端間で測定する。なお、図9において、3,4はそれぞれ測定用の電極、5は電気抵抗測定装置である。
【0038】
(2)図10に示すように、一つの導電性膜9を、被熱処理物であるワーク1の一つの辺を共通とする二つの側面(この場合、LT面とLW面)にわたって形成してもよい。
【0039】
(3)本発明において、被熱処理物としては、セラミック成形体以外に、樹脂や金属などを用いることができる。また、本発明において、セラミック成形体の表面の全体あるいは一部に金属材が例えば膜状に形成されているものを被熱処理物として用いることができる。
【0040】
(4)表面に金属を含む部位が備えられた被熱処理物20を熱処理する場合のその表面挙動を検知する場合には、図11に示すように、表面が金属部分となっている部位の絶縁を図るため、検知対照となる所望の表面部位に予め絶縁薄膜21を薄膜形成しておき、その絶縁薄膜21の表面に導電性膜9を成膜してもよい。この場合、絶縁薄膜21を被熱処理物20の表面と導電性膜9との間に介するものとなるが測定対象物の熱処理に伴う表面挙動が絶縁層で制限されるほどのものでない限り、精度良くその表面挙動を検知することが可能である。
【0041】
(5)本発明は、被熱処理物の表面に成膜した導電性膜に、電気抵抗測定装置に接続された一対の針状のプローブを接触させて、導電性膜の電気抵抗を測定するものとしてもよい。なお、針状のプローブを導電性膜に接触した状態で保持するには、そのプローブと導電性膜とを導電性接着材で接着させることが好ましい。
【0042】
(6)本発明は、被熱処理物の表面に成膜した導電性膜に電気抵抗測定用の端子を3つ以上接触させ、適宜選択された各端子間の電気抵抗を測定可能に構成してもよい。
【0043】
(7)導電性膜を被熱処理物の一つの側面の全面に形成してもよい。また、被熱処理物の複数の側面にわたって導電性膜を形成してもよい。
【0044】
(8)導電性膜としては、被熱処理物の表面の形態変化に伴う応力を受けて電気的な歪抵抗値が変化するものでもよい。
【0045】
(9)導電性膜と電気抵抗測定用の電極とを導電性接着剤で接触させるものでは、基板に接着したワークを除去する作業が面倒であることから、ワークと電極との着脱が簡易に行なえるよう、電極を設けた基板のワーク装着箇所にワークを真空吸着により着脱自在に位置保持する機構を設けてもよい。
【0046】
(10)導電性膜の電気抵抗の測定を行なうのに、電気抵抗測定を専用に行なう電気抵抗測定装置を用いてよいとともに、電流計や電圧計などにより導電性膜に流れる電流や印加電圧を測定し、測定結果の電流値および電圧値に基づいて抵抗値を求めるものでもよい。
【0047】
(11)本発明において、導電性膜の厚みは数nmが好ましい。表面の微小な伸縮を観察するためには、導電性膜は薄いほうが好ましい。
【0048】
(12)導電性膜はスパッタリングによる成膜に限定されるものでなく、蒸着法など各種成膜技術を採用することができる。また、導電性膜は薄膜形成によるものに限られず、例えば、金属箔を被熱処理物の表面に貼り付けることにより形成しても良い。
【0049】
(13)被熱処理物の表面に成膜される導電性膜としては、白金のほかに金などの耐酸化性金属を採用することができる。また、導電性膜としては、カーボンを採用してもよい。カーボンの場合導電性膜として低温で成膜可能である。
【0050】
(14)本発明は、例えばセラミック電子部品の製造工程中における熱処理時に、その製造工程における熱処理炉中にサンプルとされる電子部品についてその表面に成膜された導電性膜の電気抵抗を測定するようにし、その測定結果に基づいて製造工程における温度制御などを行なうことにも利用できる。
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、被熱処理物の膨張収縮に伴う形態変化が被熱処理物の表面における面方向での寸法変化となり、その表面変化を導電性膜の抵抗変化として測定することになるので、確実性高く、かつ高精度に検知することができる。また、被熱処理物の表面の形態変化として微小なクラックが発生した場合もそのクラックの発生に伴う導電性膜の破断による測定抵抗値の急な増加により確実に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る検査方法の実施に供する検査装置の概略構成図
【図2】(a)図1のワークの斜視図、(b)図1のワークの側面
【図3】本発明に係る検査方法によるワークの測定結果の一例を示すグラフ
【図4】本発明に係る検査方法によるワークの測定結果の一例を示すグラフ
【図5】従来の検査方法によるワークの測定結果の一例を示すグラフ
【図6】ワークにクラックが発生している様子を示す斜視図
【図7】本発明に係る検査方法の別の実施の形態によるワークの表面挙動を検知する様子を示す概略図(a)と、この(a)におけるワークの要部側面図
【図8】図7の検知を行なう装置等を示す概略図
【図9】本発明に係る検査方法の一変形例におけるワークの表面挙動を検知する様子を示す概略図(a)と、この(a)におけるワークの要部側面図
【図10】本発明に係る検査方法の別の変形例におけるワークの表面挙動を検知する様子を示す概略図
【図11】本発明に係る検査方法のさらに別の変形例におけるワークの表面挙動を検知する様子を示す概略図
【符号の説明】
1 ワーク(被熱処理物)
9 導電性膜

Claims (6)

  1. 被熱処理物の表面に導電性膜を成膜する成膜工程と、
    前記成膜工程後の被熱処理物に対して該被熱処理物の膨張収縮を伴う熱処理を行なう熱処理工程と、
    該電気抵抗の変化から被熱処理物の膨張収縮挙動を検知するために、前記熱処理工程中に前記導電性膜の少なくとも2点間の電気抵抗を測定する測定工程と、
    を含むことを特徴とする被熱処理物の検査方法。
  2. 請求項1に記載の被熱処理物の検査方法において、前記導電性膜を、検知対象となる被熱処理物の表面の互いに離間した複数部位に形成し、各部位の導電性膜に対して前記測定を行う、ことを特徴とする被熱処理物の検査方法。
  3. 請求項1または2に記載の被熱処理物の検査方法において、前記被熱処理物をセラミック成形体とする、ことを特徴とする被熱処理物の検査方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の被熱処理物の検査方法において、前記導電体薄膜を、白金、金、カーボンの少なくともいずれかで構成する、ことを特徴とする被熱処理物の検査方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の被熱処理物の検査方法において、前記被熱処理物をバインダを含む成形体とし、前記熱処理工程が熱処理により前記被熱処理物からバインダ成分を離脱させる脱脂工程である、ことを特徴とする被熱処理物の検査方法。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載の被熱処理物の検査方法において、前記測定工程が、被熱処理物の熱処理時における温度検知と、前記抵抗測定とを対応させて行なう工程である、ことを特徴とする被熱処理物の検査方法。
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