JP3722651B2 - ダイナミック閾値動作トランジスタの製造方法 - Google Patents

ダイナミック閾値動作トランジスタの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3722651B2
JP3722651B2 JP18368699A JP18368699A JP3722651B2 JP 3722651 B2 JP3722651 B2 JP 3722651B2 JP 18368699 A JP18368699 A JP 18368699A JP 18368699 A JP18368699 A JP 18368699A JP 3722651 B2 JP3722651 B2 JP 3722651B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
region
conductivity type
well region
shallow well
ions
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP18368699A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000091576A (ja
Inventor
晃秀 柴田
浩 岩田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sharp Corp filed Critical Sharp Corp
Priority to JP18368699A priority Critical patent/JP3722651B2/ja
Publication of JP2000091576A publication Critical patent/JP2000091576A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3722651B2 publication Critical patent/JP3722651B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Insulated Gate Type Field-Effect Transistor (AREA)
  • Metal-Oxide And Bipolar Metal-Oxide Semiconductor Integrated Circuits (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイナミック閾値動作トランジスタの製造方法に関する。更に詳しくは、本発明は、ゲート電極とウェル領域とを接続したダイナミック閾値動作トランジスタ製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
MOSFETを用いたCMOS回路において消費電力を減少させるには、電源電圧を下げることがもっとも有効である。しかし、単に電源電圧を低下させるとMOSFETの駆動電流が低下し、回路の動作速度が遅くなる。この現象は、電源電圧がトランジスタの閾値の3倍以下になると顕著になることが知られている。
この現象を防ぐためには、閾値を低くすればよいが、そうするとMOSFETのオフ時のリーク電流(以下、オフリーク)が増大するという問題が生じることとなる。そのためこの問題が生じない範囲で閾値の下限が規定される。閾値の下限は、電源電圧の下限に対応しているため、低消費電力化の限界を規定することとなる。
【0003】
従来、この問題を緩和するために、MOSFETのオン時に、実効的な閾値を低下させることにより、低電源電圧で高駆動電流が得られるSOI基板を用いたダイナミック閾値動作トランジスタが提案されている(A Dynamic Threshold Voltage MOSFET(DTMOS) for Ultra-Low Voltage Operation, F.Assaderaghi et al., IEDM 94 Ext. Abst. p809(1994))。また、高価なSOI基板を用いずにバルク基板を用いたダイナミック閾値動作トランジスタも提案されている(特開平10−22462号公報、Novel Bulk Threshold Voltage MOSFET(B-DTMOS) with Advanced Isolation (SITOS) and Gate to Shallow Well Contact(SSS-C)Processes for Ultra Low Power Dual Gate CMOS, H.Kotaki et al., IEDM Tech. Dig., p459, 1996)。双方のMOSFETがオン時に実効的な閾値を低下させることができるのは、ゲート電極と基板(又はウェル領域)が電気的に短絡されているからである。
【0004】
前者のSOI基板を用いたN型のダイナミック閾値動作トランジスタを図27(a)及び(b)に示す。図27(a)は完全空乏化型、図27(b)は部分空乏化型のトランジスタを示している。図中、111は半導体基板、112は埋め込み酸化膜層、113はボディ、114はソース領域、115はドレイン領域、116はゲート絶縁膜、117はゲート電極をそれぞれ示している。また、図示しないが、ゲート電極117はP型のボディ113とコンタクトホールを介して電気的に接続されている。ここで、完全空乏化とは、ゲート電極下のボディが完全に空乏化していることを意味し、部分空乏化とは、ゲート電極下のボディに空乏化していない部分があることを意味している。なお、極性(導電型)を反対にすることにより、P型のトランジスタを形成することができる。
【0005】
後者のバルク基板を用いたN型のダイナミック閾値動作トランジスタを図28に示す。なお、極性(導電型)を反対にすることにより、P型のものを形成することができる。図中、211は基板、212はN型のウェル領域(深いウェル領域)、213はP型のウェル領域(浅いウェル領域)、214は高濃度埋め込み領域、215は溝型分離領域、216はソース領域、217はドレイン領域、218はゲート絶縁膜、219はゲート電極をそれぞれ示している。また、図示しないが、ゲート電極219は浅いウェル領域213とコンタクト孔を介して電気的に接続されている。以下では、1つのP型のウェル領域(浅いウェル領域)内に形成されたトランジスタを、単に素子という。
【0006】
以下、バルク基板を用いたダイナミック閾値動作トランジスタの動作原理を説明する。なお、SOI基板を用いたトランジスタも同様の原理で動作する。上記トランジスタにおいて、ゲート電極の電位がローレベルにある時(オフ時)は浅いウェル領域の電位もローレベルにあり、実効的な閾値は通常のMOSFETの場合と変わりない。したがって、リーク電流値は通常のMOSFETの場合と同じである。
一方、ゲート電極の電位がハイレベルにある時(オン時)は浅いウェル領域の電位もハイレベルになり、基板バイアス効果により実効的な閾値が低下し、駆動電流は通常のMOSFETの場合にくらべて増加する。このため、低電源電圧で低リーク電流を維持しながら大きな駆動電流を得ることができる。
【0007】
次に、バルク基板を用いたダイナミック閾値動作トランジスタの素子分離について説明する。浅いウェル領域中の電位はゲート電極の電位により変動する。そのため、素子間に溝型分離領域を形成して、各素子を分離することにより、素子間の干渉を防いでいる。溝型分離領域の深さは、隣接する素子の浅いウェル領域が電気的に分離するように設定される。すなわち、浅いウェル領域と深いウェル領域の接合から伸びる空乏層が、隣接する素子の浅いウェル領域と深いウェル領域の接合から伸びる空乏層とつながらないように、溝型分離領域の深さが設定される。
【0008】
基板バイアス効果を十分に働かせ、高速動作を実現するためには、ゲート電極の電位の変化が、速やかに浅いウェル領域に伝達される必要がある。そのため、図28では、高濃度埋め込み領域が、不純物濃度が低い領域によってはさまれた構造を有している。この構造により、浅いウェル領域の電気抵抗が下がり、ゲート電極の電位の変化を速やかに浅いウェル領域に伝達することができる。同時に、チャネル領域の不純物濃度を低くすることができるため、低閾値を実現できると共に、ソース領域及びドレイン領域と浅いウェル領域との接合容量を小さく保つことができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、ダイナミック閾値動作トランジスタの動作においては、ゲート電極の電位の変化が、速やかに浅いウェル領域に伝達する必要がある。これに要する時間を図29(a)及び(b)を用いて説明する。図29(a)はバルク基板を用いたダイナミック閾値動作トランジスタの模式図であり、図29(b)はその等価回路図である。図中、311は深いウェル領域、312は浅いウェル領域、313はソース領域、314はドレイン領域、315はゲート絶縁膜、316はゲート電極、317はゲート入力端子、318はソース領域と浅いウェル領域との接合から伸びる空乏層領域、319はドレイン領域と浅いウェル領域との接合から伸びる空乏層領域、320はゲート空乏層領域、321は浅いウェル領域と深いウェル領域との接合から伸びる空乏層領域、322はソース入力端子、323はドレイン入力端子、324は深いウェル領域の端子、325は電荷反転層、326はソース領域と浅いウェル領域との接合から伸びる空乏層による容量、327はドレイン領域と浅いウェル領域との接合から伸びる空乏層による容量、328はゲート空乏層容量、329はゲート容量、330は浅いウェル領域と深いウェル領域との接合から伸びる空乏層による容量、331は浅いウェル領域の抵抗、332はゲート電極の抵抗をそれぞれ示している。なお、この図では素子分離領域は図示していない。
【0010】
ゲート入力端子317に与えられた電位が、浅いウェル領域に伝達するのに要する時間の目安τは、
τ=CR
C=Cs+Cd+Cdep+Csw/dw
で表される。ここで、Cは、ソース領域と浅いウェル領域(ボディ)との接合容量Cs、ドレイン領域と浅いウェル領域(ボディ)との接合容量Cd、ゲート空乏層容量Cdep、浅いウェル領域と深いウェル領域との接合容量Csw/dw(バルク基板を用いたダイナミック閾値動作トランジスタの場合のみ)の和である。また、Rは浅いウェル領域(ボディ)の抵抗である。なお、ゲート容量Cgを充電するのに要する時間は、ゲート容量Cgと抵抗Rgとの積で表され、通常τより短い。
【0011】
τはトランジスタがオン状態になり、次段の容量の充電が完了するのに要する時間より十分に短くなければならない。即ち、ゲート容量や配線容量等にまつわる時定数の和より十分短くなければならない。この条件を満たさない場合は、スイッチング動作が完了する間に、基板バイアス効果が十分得られず、回路の動作速度が著しく低下する。
【0012】
上述のSOI基板を用いたダイナミック閾値動作トランジスタは、ボディの抵抗が高いという問題点が指摘されている。完全空乏化型の場合、ボディの厚さは30nm程度と非常に薄いため、ボディ抵抗を下げるためにボディの不純物濃度を濃くすると閾値調整ができなくなってしまう。一方、部分空乏化型の場合、ボディの厚さは100〜150nm程度と比較的厚い。しかし、ボディの不純物濃度を1×1018cm-3まで濃くしても、例えばゲート長0.18μm、ゲート幅1.8μmの素子において、Cを1×10-15Fとしたときのτは約1×10-10秒となる。これは他の遅延要因に比べて大きく、基板バイアス効果は殆ど得られない。また、ボディの濃度を濃くした場合、ソース領域及びドレイン領域との接合から伸びる空乏層が埋め込み酸化膜層に接しなくなり、接合容量が大幅に増加してしまう。これを防ぐためソース領域及びドレイン領域とボディとの接合深さを深くすると、短チャネル効果が著しく悪化してしまう。
以上のように、SOI基板を用いたダイナミック閾値動作トランジスタでは、十分に短いτを得ることは困難である。
【0013】
一方、バルク基板を用いたダイナミック閾値動作トランジスタ(以下、B−DTMOS)の場合は、浅いウェル領域の深さに制限がない。従って、十分深い場所に高濃度不純物層を形成すれば、チャネル領域の濃度に影響を与えることなく浅いウェル領域を低抵抗化することが可能となる。これによりτを十分小さくすることができる。
【0014】
浅いウェル領域の抵抗を下げるためには、不純物の注入量を増やせばよいことは明らかである。しかし、注入量を増加させていくと、オフ時のリーク電流値が急速に増大することがわかった。
【0015】
図5は、浅いウェル領域の注入条件として、不純物イオン種を11+、注入エネルギーを250KeV、注入量を1×1014cm-2としたN型のB−DTMOSのId(ドレイン電流)−Vg(ゲート電圧)特性を示している。この場合、オフ時のリーク電流(以下、オフリークと称する)は単位ゲート幅当たり9×10-10A/μmとなり、電源電圧を0.5Vとしたときの駆動電流対オフリーク電流比は104程度である。この電流比は、低消費電力素子として必要とされる目安の105に及ばない。
【0016】
このように、浅いウェル領域の抵抗を低減して、ゲート電極の電位の変化の伝達速度を向上するために不純物の注入量を増す方法では、オフリークが増大するという問題が生じる。また、浅いウェル領域と深いウェル領域から伸びる空乏層がより深くなるため、溝型分離領域を深くしなければならないという問題も生じる。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、基板バイアス効果が十分に得られることにより高速動作が可能であり、かつオフリークが許容範囲にあるダイナミック閾値動作トランジスタの製造方法を提供することである。
【0018】
かくして本発明によれば、ゲート電極とウェル領域とを接続したダイナミック閾値動作トランジスタにおいて、半導体基板と、前記半導体基板内に形成された第1導電型のウェル領域と、前記半導体基板内かつ前記第1導電型のウェル領域上に形成された第2導電型のウェル領域と、前記第2導電型のウェル領域中に位置しかつ前記第2導電型のウェルより高い不純物濃度の高濃度埋込領域と、前記第2導電型のウェル領域隣接する第2導電型のウェル領域と電気的に分離するための溝型分離領域と、前記第2導電型のウェル領域の表面層に形成された第1導電型のソース領域及びドレイン領域と、前記ソース領域と前記ドレイン領域間に形成されたチャネル領域と、前記チャネル領域上に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成され、前記第2導電型のウェル領域に電気的に接続されたゲート電極を備え、前記第2導電型のウェル領域と前記ソース領域及び前記ドレイン領域との間の接合容量、前記第2導電型のウェル領域と前記第1導電型のウェル領域との間の接合容量、及び前記第2導電型のウェル領域と前記チャネル領域中に形成される反転層との間の静電容量の和Cと、前記第2導電型のウェル領域の電気抵抗Rとの積τ(=CR)が6×10 -12 5×10-11であり、前記第2導電型のウェル領域のシート抵抗が300Ω/□〜10kΩ/□であるダイナミック閾値動作トランジスタの製造方法であって、
前記第2導電型のウェル領域及び前記高濃度埋込領域が、イオン注入工程と注入された不純物イオンを活性化させるための熱処理工程を経ることにより形成され、
(1)前記イオン注入工程が、前記溝型分離領域の形成後前記ゲート絶縁膜の形成前に、第2導電型の不純物イオンとして 11 + イオンのとき、注入エネルギーとして60〜500KeV、注入量として1×10 14 cm -2 未満の条件下、又は第2導電型の不純物イオンとして 31 + イオンのとき、注入エネルギーとして130〜900KeV、注入量として1×10 14 cm -2 未満の条件下で行われ、
(2)前記熱処理工程が、前記ゲート絶縁膜の形成時及び前記ソース領域と前記ドレイン領域形成時の熱処理工程と同時に行われることを特徴とするダイナミック閾値動作トランジスタの製造方法が提供される。
【0019】
また、本発明によれば、ゲート電極とウェル領域とを接続したダイナミック閾値動作トランジスタにおいて、半導体基板と、前記半導体基板内に形成された第1導電型のウェル領域と、前記半導体基板内かつ前記第1導電型のウェル領域上に形成された第2導電型のウェル領域と、前記第2導電型のウェル領域中に位置しかつ前記第2導電型のウェルより高い不純物濃度の高濃度埋込領域と、前記第2導電型のウェル領域と隣接する第2導電型のウェル領域とを電気的に分離するための溝型分離領域と、前記第2導電型のウェル領域の表面層に形成された第1導電型のソース領域及びドレイン領域と、前記ソース領域と前記ドレイン領域間に形成されたチャネル領域と、前記チャネル領域上に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成され、前記第2導電型のウェル領域に電気的に接続されたゲート電極を備え、前記第2導電型のウェル領域と前記ソース領域及び前記ドレイン領域との間の接合容量、前記第2導電型のウェル領域と前記第1導電型のウェル領域との間の接合容量、及び前記第2導電型のウェル領域と前記チャネル領域中に形成される反転層との間の静電容量の和Cと、前記第2導電型のウェル領域の電気抵抗Rとの積τ(=CR)が6×10 -12 〜5×10 -11 秒であり、前記第2導電型のウェル領域のシート抵抗が300Ω/□〜10kΩ/□であるダイナミック閾値動作トランジスタの製造方法であって、
前記第2導電型のウェル領域及び前記高濃度埋込領域が、イオン注入工程と注入された不純物イオンを活性化させるための熱処理工程とを経ることにより形成され、かつ両工程が前記溝型分離領域の形成後前記ゲート絶縁膜の形成前に行われ、
(1)前記イオン注入工程が、前記第2導電型の不純物イオンとして 11 + イオンのとき、注入エネルギーとして60〜500KeV、注入量として2×10 14 cm -2 未満の条件下、又は第2導電型の不純物イオンとして 31 + イオンのとき、注入エネルギーとして130〜900KeV、注入量として2×10 14 cm -2 未満の条件下で行われ、
(2)前記熱処理工程が、900〜1100℃の温度で行われることを特徴とするダイナミック閾値動作トランジスタの製造方法が提供される。
【0020】
更に、本発明によれば、ゲート電極とウェル領域とを接続したダイナミック閾値動作トランジスタにおいて、半導体基板と、前記半導体基板内に形成された第1導電型のウェル領域と、前記半導体基板内かつ前記第1導電型のウェル領域上に形成された第2導電型のウェル領域と、前記第2導電型のウェル領域中に位置しかつ前記第2導電型のウェルより高い不純物濃度の高濃度埋込領域と、前記第2導電型のウェル領域と隣接する第2導電型のウェル領域とを電気的に分離するための溝型分離領域と、前記第2導電型のウェル領域の表面層に形成された第1導電型のソース領域及びドレイン領域と、前記ソース領域と前記ドレイン領域間に形成されたチャネル領域と、前記チャネル領域上に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成され、前記第2導電型のウェル領域に電気的に接続されたゲート電極を備え、前記第2導電型のウェル領域と前記ソース領域及び前記ドレイン領域との間の接合容量、前記第2導電型のウェル領域と前記第1導電型のウェル領域との間の接合容量、及び前記第2導電型のウェル領域と前記チャネル領域中に形成される反転層との間の静電容量の和Cと、前記第2導電型のウェル領域の電気抵抗Rとの積τ(=CR)が6×10 -12 〜5×10 -11 秒であり、前記第2導電型のウェル領域のシート抵抗が300Ω/□〜10kΩ/□であるダイナミック閾値動作トランジスタの製造方法であって、
前記第2導電型のウェル領域及び前記高濃度埋込領域が、イオン注入工程と注入された不純物イオンを活性化させるための熱処理工程とを経ることにより形成され、
(1)前記イオン注入工程が、前記溝型分離領域の形成前に、第2導電型の不純物イオンとして 11 + イオンのとき、注入エネルギーとして60〜500KeV、注入量として1×10 14 cm -2 未満の条件下、又は第2導電型の不純物イオンとして 31 + イオンのとき、注入エネルギーとして130〜900KeV、注入量として1×10 14 cm -2 未満の条件下で行われ、
(2)前記熱処理工程が、800〜1000℃の温度で行われる前記溝型分離領域の形成時の熱処理と同時に行われることを特徴とするダイナミック閾値動作トランジスタの製造方法が提供される。
【0024】
【発明の実施の形態】
本明細書において、第1導電型とは、P型又はN型を意味する。また、第2導電型とは、第1導電型がP型の場合はN型、N型の場合はP型を意味する。
本発明に使用することができる半導体基板としては、特に限定されないが、シリコン基板が好ましい。また、半導体基板は、P型及びN型の導電型を有していてもよい。
【0025】
(溝型分離領域)
基板には、隣接する第2導電型のウェル領域を互いに電気的に分離するための領域に溝型の分離領域が形成される。ここで、溝型の分離領域とは、LOCOS法により形成された分離領域でもよく、STI(Shallow TrenchIsolation)であってもよい。溝の領域に埋め込まれる物質は、隣接する第2導電型のウェル領域を互いに電気的に分離することができれば、酸化物に限るものでなく、例えば酸化膜に覆われたポリシリコンでもよい。また、これら分離領域を組み合わせてもよい。STIからなる分離領域は、一般的に、半導体基板に溝を形成し、バイアスCVD法により溝を材料で埋め込み、CMP(化学的機械的研磨)法で基板を平坦化することにより形成される。
【0026】
この溝型の分離領域は、以下で説明する、第1導電型のウェル領域及び第2導電型のウェル領域の形成前、第1導電型のウェル領域の形成後かつ第2導電型のウェル領域の形成前、第2導電型のウェル領域の形成後かつ第1導電型のウェル領域の形成前、又は第1導電型のウェル領域及び第2導電形のウェル領域の形成後に形成することができる。
なお、本明細書において、第2導電型のウェル領域は、第1導電形のウェル領域と比較して基板表面から浅い領域に形成されているので浅いウェル領域、一方、第1導電型のウェル領域は深いウェル領域と称する。
【0027】
溝型の分離領域を形成する工程における熱処理(酸化を含む)は、800〜1150℃で行うことができる。
【0028】
(深いウェル領域)
次に、半導体基板には、第1導電型の深いウェル領域が形成される。P型を与える不純物イオンとしては11+が挙げられ、N型を与える不純物イオンとしては31+が挙げられる。深いウェル領域は、例えば、不純物イオンとして11+イオンを使用した場合、注入エネルギーとして100〜400KeV、注入量として3×1012〜1×1014cm-2の条件、又は不純物イオンとして31+イオンを使用した場合、注入エネルギーとして240〜750KeV、注入量として3×1012〜1×1014cm-2の条件で形成することができる。
【0029】
(浅いウェル領域)
第1導電型の深いウェル領域上で、基板表面から見て浅い領域に、第2導電型の浅いウェル領域を形成する。
浅いウェル領域は、ゲート電極に与えられた電位が、浅いウェル領域に伝達するのに要する時間の目安τ=CRが5×10-11秒以下(好ましくは6×10-12〜5×10-11秒)となるように形成される。ここで、Cは、浅いウェル領域とソース領域及びドレイン領域との間の接合容量、浅いウェル領域と深いウェル領域との間の接合容量、及び浅いウェル領域とチャネル領域中に形成される反転層との間の静電容量の和を意味する。また、Rは、浅いウェル領域の電気抵抗を意味する。
これにより、バルク基板を用いたダイナミック閾値動作トランジスタの動作時において、基板バイアス効果が十分に得られ、高速かつ低消費電力のCMOS回路を実現することができる。また、むやみに浅いウェル領域の不純物濃度を上げる必要はなく、低消費電力目的のLSIを十分なスピードで動作させることが可能となる。その結果、オフ時のリーク電流を抑制することができる。つまり、浅いウェル領域の濃度の最適設計が可能となる。
もしくは、浅いウェル領域は、そのシート抵抗が10kΩ/□以下(好ましくは300Ω/□〜10kΩ/□)になるように形成される。
これにより、バルク基板を用いたダイナミック閾値動作トランジスタの動作時において、基板バイアス効果が十分に得られ、高速かつ低消費電力のCMOS回路を実現することができる。
【0030】
具体的には、例えばゲート長が0.18μm、ゲート幅が1.8μm、ソース領域及びドレイン領域の幅が0.51μm、ソース領域及びドレイン領域と浅いウェル領域の接合付近の不純物濃度が5×1017cm-3のとき、Cは約5.3×10-15Fとなる。そのため浅いウェル領域の抵抗Rは約9.4kΩ以下(シート抵抗では940Ω/□以下)である必要がある。ここで、浅いウェル領域の不純物濃度を場所によらず一定とし、かつその厚さを5×10-7mとすると、抵抗率が3.1×10-3Ωm以下である必要がある。この時、不純物がB(P型の浅いウェル領域)の場合、濃度は約9×1016cm-3以上となり、不純物がP(N型の浅いウェル領域)の場合、濃度は約2×1016cm-3以上となる。現実の素子においては、浅いウェル領域の不純物濃度は一定でないので、深さ方向に平均した値が上の条件を満たせばよい。
【0031】
また、例えばゲート長が0.18μm、ゲート幅が1.8μm、ソース領域及びドレイン領域の幅が0.12μm、ソース領域及びドレイン領域と浅いウェル領域の接合付近の不純物濃度が5×1017cm-3のとき、Cは約1.9×10-15Fとなる。そのため浅いウェル領域の抵抗Rは約26kΩ以下(シート抵抗では2.6kΩ/□以下)である必要がある。ここで、浅いウェル領域の不純物濃度を場所によらず一定とし、かつその厚さを5×10-7mとすると、抵抗率が1.1×10-3Ωm以下である必要がある。この時、不純物がB(P型の浅いウェル領域)の場合、濃度は約5×1017cm-3以上となり、不純物がP(N型の浅いウェル領域)の場合、濃度は約8×1016cm-3以上となる。現実の素子においては、浅いウェル領域の不純物濃度は一定でないので、深さ方向に平均した値が上の条件を満たせばよい。
【0032】
また、例えばゲート長が0.25μm、ゲート幅が1.5μm、ソース領域及びドレイン領域の幅が0.17μm、ソース領域及びドレイン領域と浅いウェル領域の接合付近の不純物濃度が1×1017cm-3のとき、Cは約9×10-16Fとなる。そのため浅いウェル領域の抵抗Rは約56kΩ以下(シート抵抗では9.3kΩ/□以下)である必要がある。ここで、浅いウェル領域の不純物濃度を場所によらず一定とし、かつその厚さを5×10-7mとすると、抵抗率が1.1×10-3Ωm以下である必要がある。この時、不純物がB(P型の浅いウェル領域)の場合、濃度は約5×1017cm-3以上となり、不純物がP(N型の浅いウェル領域)の場合、濃度は約8×1016cm-3以上となる。現実の素子においては、浅いウェル領域の不純物濃度は一定でないので、深さ方向に平均した値が上の条件を満たせばよい。
【0033】
浅いウェル領域は、イオン注入工程と注入された不純物イオンを活性化させるための熱処理工程を経ることにより形成される。浅いウェル領域の形成条件としては、以下の4条件が挙げられる。
【0034】
(1)イオン注入工程を、溝型分離領域の形成後ゲート絶縁膜の形成前に、第2導電型の不純物イオンとして11+イオンのとき、注入エネルギーとして60〜500KeV、注入量として1×1014cm-2未満の条件下、又は第2導電型の不純物イオンとして31+イオンのとき、注入エネルギーとして130〜900KeV、注入量として1×1014cm-2未満の条件下で行い、
熱処理工程を、ゲート絶縁膜の形成時及びソース領域とドレイン領域形成時の熱処理工程と同時に行う。
【0035】
(2)イオン注入工程を、第2導電型の不純物イオンとして11+イオンのとき、注入エネルギーとして60〜500KeV、注入量として2×1014cm-2未満の条件下、又は第2導電型の不純物イオンとして31+イオンのとき、注入エネルギーとして130〜900KeV、注入量として2×1014cm-2未満の条件下で行い、
熱処理工程を、900〜1100℃の温度で行い、
両工程を溝型分離領域の形成後ゲート絶縁膜の形成前に行う。
【0036】
(3)イオン注入工程を、溝型分離領域の形成前に、第2導電型の不純物イオンとして11+イオンのとき、注入エネルギーとして60〜500KeV、注入量として4×1014cm-2未満の条件下、又は第2導電型の不純物イオンとして31+イオンのとき、注入エネルギーとして130〜900KeV、注入量として4×1014cm-2未満の条件下で行い、
熱処理工程を、1000〜1150℃の温度で行われる溝型分離領域の形成時の熱処理と同時に行う。
【0037】
(4)イオン注入工程を、溝型分離領域の形成前に、第2導電型の不純物イオンとして11+イオンのとき、注入エネルギーとして60〜500KeV、注入量として1×1014cm-2未満の条件下、又は第2導電型の不純物イオンとして31+イオンのとき、注入エネルギーとして130〜900KeV、注入量として1×1014cm-2未満の条件下で行い、
熱処理工程を、800〜1000℃の温度で行われる溝型分離領域の形成時の熱処理と同時に行う。
【0038】
上記のように、浅いウェル領域形成の際のイオン注入量及び注入エネルギーを選択することにより、半導体基板の結晶へのダメージを抑制することができる。また、イオン注入後の熱処理工程の温度により、結晶欠陥の回復の程度が変わる。従って、より高い温度で熱処理を行えば、注入量の上限を高くすることができる。なお、注入エネルギーの下限は、ソース領域及びドレイン領域と、深いウェル領域との間のパンチスルーを防止するように設定される。
上記浅いウェル領域の形成により、PN接合に生じる逆方向及び順方向のリーク電流を抑制することができる。そのため、N型又はP型トランジスタのオフリークを抑制することができると共に、低電圧駆動に必要な低い閾値を実現することができる。
【0039】
(1)の条件によれば、素子のオフリークを許容の範囲内に抑えることができる。更に、浅いウェル領域形成のためのイオン注入後に行われる熱処理を、ゲート絶縁膜形成工程や、ソース領域及びドレイン領域形成時の不純物イオンの活性化のためのアニール工程と兼用することが可能となる。従って、製造工程を簡略化できる。更に、最低限の熱処理を行うだけで浅いウェル領域を形成できるので、不純物イオンの拡散による注入プロファイルの広がりを最小限に抑えることができる。
【0040】
特にN型の素子においては、溝型分離領域を構成する酸化膜付近で浅いウェル領域の不純物(例えば、ボロン)濃度が低下する現象を最低限に抑えることができる。従って、溝型分離領域近辺でのソース領域及びドレイン領域と深いウェル領域との間のパンチスルーを効果的に抑制することが可能となる。その結果溝型分離領域の深さを最低限に抑えることができる。これは、次の理由による。溝型分離領域を構成する酸化膜付近で浅いウェル領域のボロン濃度が低下した場合、浅いウェル領域と深いウェル領域との間の接合空乏層が広がる。そのため、浅いウェル領域と深いウェル領域間の接合空乏層と接触しない程度に浅いウェル領域を深く形成する必要が生じる。それに伴い、浅いウェル領域を素子毎に分離する溝型分離領域の深さをより深く形成する必要が生じるためである。
【0041】
上記(1)の条件では、溝を浅く形成することができるので、溝を材料で埋め込むことが容易であり、STIからなる溝型分離領域を簡便に形成することができる。
【0042】
(2)の条件によれば、浅いウェル領域の形成のための熱処理工程を独立して行っているので、浅いウェル領域の形成のためのイオン注入による結晶欠陥が回復し、その結果、オフリークを低減することができる。条件(2)は、条件(1)と比べて、浅いウェル領域のイオン注入量の上限を2倍にすることができる。これにより、浅いウェル領域をより低抵抗化できるので、高速化に対応したLSIを提供することができる。
【0043】
(3)の条件によれば、溝型分離領域形成のための1000〜1150℃の熱処理前に、浅いウェル領域のイオン注入を行うことができるので、浅いウェル領域の深さ方向の不純物プロファイルを平坦に近くすることができる。その結果、閾値を制御するためのチャネル領域の不純物濃度を制御することが容易となる。また、高温で不純物拡散のための熱処理を行うので、不純物イオンの注入による結晶欠陥を著しく回復させることができ、オフリークを低減することが可能となる。条件(3)は、条件(1)と比べて、浅いウェル領域のイオン注入量の上限を4倍にすることができる。これにより、浅いウェル領域をより低抵抗化できるので、高速化に対応したLSIを提供することができる。また、浅いウェル領域と溝型分離領域形成のための熱処理を同時に行うので、工程を簡略化でき、その結果製造コストを抑制することができる。
【0044】
(4)の条件によれば、溝型分離領域形成のための800〜1000℃の熱処理前に、浅いウェル領域のイオン注入を行うことができるので、(3)の条件に比べて、浅いウェル領域の不純物拡散を少なくすることができる。そのため、溝型分離領域と浅いウェル領域の深さを浅くすることができる。
【0045】
ここで、上記イオン注入の条件は、不純物イオンとして11+イオンを使用した場合、注入エネルギーとして80〜340KeV、注入量として3×1012〜5×1013cm-2の条件、又は不純物イオンとして31+イオンを使用した場合、注入エネルギーとして200〜650KeV、注入量として3×1012〜5×1013cm-2の条件が好ましい。
【0046】
より具体的には、前記ゲート電極に与えられた電位が、浅いウェル領域に伝達するのに要する時間の目安τを5×10-11秒以下にするために、以下のように条件を設定することができる。
【0047】
まず、Cが約1.9×10-15FのN型MOSFETのP型の浅いウェル領域は、注入エネルギーが100keV、注入量を2.5×1013cm-2以上の条件で、11+イオンを注入することにより形成することが好ましい。また、Cが約1.9×10-15FのP型MOSFETのN型の浅いウェル領域は、注入エネルギーが240keV、注入量を5×1012cm-2以上の条件で、31+イオンを注入することにより形成することが好ましい。
【0048】
(高濃度埋込領域)
更に、浅いウェル領域の抵抗を低減するための高濃度埋込領域を浅いウェル領域中に形成してもよい。高濃度埋込領域は、例えば、不純物イオンとして11+イオンを使用した場合、注入エネルギーとして100〜400KeV、注入量として3×1012〜1×1014cm-2の条件、又は不純物イオンとして31+イオンを使用した場合、注入エネルギーとして240〜750KeV、注入量として2×1012〜1×1014cm-2の条件で浅いウェル領域中に形成することができる。
【0049】
(パンチスルーストッパー)
更にまた、基板表面領域で不純物濃度が薄くなりすぎることを防ぐために、浅いウェル領域の不純物イオンと同じ導電型(第2導電型)の不純物イオンを、浅いウェル領域内にパンチスルーストッパー注入してもよい。パンチスルーストッパー注入は、例えば、不純物イオンとして11+イオンを使用した場合、注入エネルギーとして10〜60KeV、注入量として5×1011〜1×1013cm-2の条件、又は不純物イオンとして31+イオンを使用した場合、注入エネルギーとして30〜150KeV、注入量として5×1011〜1×1013cm-2の条件で行うことができる。
【0050】
(ゲート絶縁膜とゲート電極)
次に、ゲート絶縁膜とゲート電極がこの順で形成される。
ゲート絶縁膜としては、絶縁性を有する限りその材質は特に限定されない。ここで、シリコン基板を使用した場合は、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜又はそれらの積層体を使用することができる。ゲート絶縁膜は、1〜10nmの厚さを有することが好ましい。ゲート絶縁膜は、CVD法、スパッタ法、熱酸化法等の方法で形成することができる。
【0051】
次に、ゲート電極としては、導電性を有する限りその材質は特に限定されない。ここで、シリコン基板を使用した場合は、ポリシリコン、単結晶シリコン等のシリコン膜が挙げられる。また、前記以外にも、アルミニウム、銅等の金属膜が挙げられる。ゲート電極は、0.1〜0.4μmの厚さを有することが好ましい。ゲート電極は、CVD法、熱酸化法、蒸着法等の方法で形成することができる。
【0052】
ここで、ソース領域、ドレイン領域及びシリコン膜からなるゲート電極は、それぞれと接続する配線との導電性を向上させるために、その表面層がシリサイド化されていてもよい。シリサイドとしては、タングステンシリサイド、チタンシリサイド等が挙げられる。
更に、ゲート電極の側壁に、サイドウォールスペーサーを形成してもよい。このサイドウォールスペーサーの材質は特に限定されず、酸化シリコン、窒化シリコン等が挙げられる。
【0053】
(ソース領域及びドレイン領域)
次に、浅いウェル領域の表面層には、第1導電型のソース領域及びドレイン領域が形成される。
ソース領域及びドレイン領域の形成方法は、例えば、ゲート電極をマスクとして不純物イオンを注入することにより自己整合的に形成することができる。ソース領域及びドレイン領域は、例えば、不純物イオンとして11+イオンを使用した場合、注入エネルギーとして1〜20KeV、注入量として1×1015〜1×1016cm-2の条件、又は不純物イオンとして75As+イオンを使用した場合、注入エネルギーとして3〜100KeV、注入量として1×1015〜1×1016cm-2の条件で形成することができる。なお、ゲート電極の下の半導体基板の表面層はチャネル領域として機能する。
【0054】
更に、ソース領域及び/又はドレイン領域は、ゲート電極側にLDD領域を備えていてもよい。LDD領域の形成方法は、例えば、ゲート電極をマスクとして第1導電型の不純物イオンを注入することにより自己整合的に形成することができる。この場合、ソース領域及びドレイン領域は、LDD領域を形成した後、ゲート電極の側壁にサイドウォールスペーサーを形成し、ゲート電極とサイドウォールスペーサーをマスクとしてイオン注入することにより自己整合的に形成することができる。LDD領域は、例えば、不純物イオンとして11+イオンを使用した場合、注入エネルギーとして1〜20KeV、注入量として1×1013〜5×1014cm-2の条件、又は不純物イオンとして75As+イオンを使用した場合、注入エネルギーとして3〜100KeV、注入量として5×1013〜1×1015cm-2の条件で形成することができる。
【0055】
より好ましい条件は、不純物イオンとして11+イオンを使用した場合、注入エネルギーとして10〜20KeV、注入量として1×1014〜3×1014cm-2の条件、又は不純物イオンとして75As+イオンを使用した場合、注入エネルギーとして5〜40KeV、注入量として1×1014〜3×1014cm-2の条件である。
なお、ソース領域、ドレイン領域及びLDD領域形成用の不純物イオンとして、上記11+75As+以外にも、31+122Sb+115In+49BF2+等も使用することができる。
【0056】
ソース領域及びドレイン領域の形成方法としては、積み上げ型のソース領域及びドレイン領域の形成方法も挙げられる。この場合は、以下の手順で形成することができる。ゲート電極を加工した後、ゲート電極の側壁に非導電性のサイドウォールスペーサーを形成し、その側壁に更にポリシリコンのサイドウォールスペーサーを形成する。このポリシリコンのサイドウォールスペーサーを形成する直前に、将来ソース領域及びドレイン領域になる部分の絶縁膜を除いておく。ポリシリコンのサイドウォールスペーサーは、そのままではゲート電極の周りを囲んだ環状の形状をしているので、少なくとも2箇所以上でその環をエッチングにより切断し、ポリシリコンが残っている部分(2つ以上の部分に別れている)にソース領域及びドレイン領域のイオン注入を行う。
【0057】
ソース領域及びドレイン領域のイオン注入は、例えば、不純物イオンとして11+イオンを使用した場合、注入エネルギーとして5〜40KeV、注入量として1×1015〜2×1016cm-2の条件、不純物イオンとして75As+イオンを使用した場合、注入エネルギーとして10〜180KeV、注入量として1×1015〜2×1016cm-2の条件、又は不純物イオンとして31+イオンを使用した場合、注入エネルギーとして5〜100KeV、注入量として1×1015〜2×1016cm-2の条件で行うことができる。
【0058】
この後、不純物イオンの活性化アニールを、適当な温度で適当な時間行うことにより、ポリシリコンのサイドウォールスペーサー中を不純物が拡散し、その結果ソース領域及びドレイン領域を形成することができる。
上記の方法によれば、浅い接合を持つソース領域及びドレイン領域を形成することができる。これは、ポリシリコン中の不純物の拡散速度が、単結晶中よりはるかに大きいためである。これにより、短チャネル効果の少ない素子を容易に形成することが可能となる。
この後、公知の手法により、配線層等を形成することにより半導体装置を形成することができる。
なお、上記では説明の便宜上、1つの素子の場合について述べているが、基板上に複数の素子が形成されている場合も本発明の範囲に含まれる。複数の素子が形成されている場合、それら素子の個々の構成要素(深いウェル領域、浅いウェル領域等)の導電型は、同一でも異なっていてもよい。例えば、本発明によれば、CMOSのような基板上に異なる導電型の深い領域を有する素子を形成することができる。
【0059】
実施の形態1
本発明の第1の実施の形態について、図1〜12に基づいて説明すれば以下の通りである。
【0060】
(半導体装置の構成)
図1〜4は、本発明の実施の第1の形態である半導体装置の製法によって作成された半導体素子の模式図である。図1は平面図であり、図2は図1の切断面線A−A’から見た断面図であり、図3は図1の切断面線B−B’から見た断面図であり、図4は図1の切断面線C−C’から見た断面図である。なお、図1ではシリサイド化された領域、層間絶縁膜及び上部メタル配線を、図2及び3では上部メタル配線を、図4では層間絶縁膜及び上部メタル配線を省略している。また、図1〜図4は、浅いウェル領域が1つの導電型の素子のみを示している。しかしながら、これに限定されることなく、別の導電型の素子も同様な構造で作成することができ、更には、両導電型の素子を混在させることもできる。
【0061】
図1〜4の半導体装置1は、半導体基板11内に、第1導電型の深いウェル領域12と、この深いウェル領域12上に深いウェル領域12とは逆の導電型(第2導電型)の浅いウェル領域13が形成されている。浅いウェル領域13内には、浅いウェル領域13の抵抗を低減するための高濃度埋込領域14が形成されている。隣接する素子間の浅いウェル領域13は、電気絶縁性の溝型分離領域15によって相互に分離されている。浅いウェル領域13には、浅いウェル領域13と逆の導電型(第1導電型)のソース領域16及びドレイン領域17が形成されている。また、このソース領域16とドレイン領域17との間のチャネル領域上には、ゲート絶縁膜18を介してゲート電極19が形成されている。
【0062】
ソース領域16及びドレイン領域17は、層間絶縁膜20に形成されたコンタクト孔21、22を介して、上部メタル配線にそれぞれ電気的に接続されている。また、浅いウェル領域13の上部かつ、ソース領域16及びドレイン領域17以外の領域には、第2導電型の不純物濃度の濃い領域23が形成されており、領域23はゲート電極19と電気的に接続されている。この不純物濃度の濃い領域23は、ゲート電極19と浅いウェル領域13をオーミック接続するためのものである。ゲート電極19は、上部にシリサイド化された領域24をもち、コンタクト孔25を介して上部メタル配線に接続されている。また、浅いウェル領域13が存在しない領域の深いウェル領域12上に、第1導電型の不純物濃度の濃い領域26が形成されており、ここでコンタクト孔27を介して深いウェル領域と上部メタル配線とが接続されている。
【0063】
(半導体装置の製造手順)
次に、図1〜4に示す半導体装置1を含むCMOS回路の作成手順を述べる。なお、図1〜4はN型の素子のみが示され、P型の素子は省略されている。
・深いウェル領域
半導体基板11のN型の素子を形成する領域にN型の不純物イオンを注入し(不純物イオン種31+、注入エネルギー700KeV、注入量5×1012cm-2)、P型素子を形成する領域にP型の不純物イオンを注入した(不純物イオン種11+、注入エネルギー80KeV、注入量7×1012cm-2)。その後1100℃で2時間アニールしてP型及びN型の深いウェル領域12を形成した。
【0064】
・パンチスルーストッパー注入
次に、N型の深いウェル領域内に、パンチスルーストッパー注入(不純物イオン種11+、注入エネルギー15KeV、注入量5×1012cm-2)をした。一方、P型の深いウェル領域内にも、パンチスルーストッパー注入(不純物イオン種31+、注入エネルギー80KeV、注入量3×1012cm-2)をした。このパンチスルーストッパー注入は、後述する浅いウェル領域13のイオン注入と、イオン種は同じであるが、より注入エネルギーが低いもので、表面から0.2μmより浅い領域で不純物濃度が薄くなりすぎるのを防ぐために行われる。
【0065】
・溝型分離領域
その後、溝型分離領域15(深さ約1.8μm)を形成した。
・浅いウェル領域
次に、N型の深いウェル領域上に、P型の不純物イオンを注入し(不純物イオン種11+、注入エネルギー250KeV、注入量1×1012cm-2〜1×1014cm-2)、P型の浅いウェル領域13を形成した。一方、P型の深いウェル領域上にも、N型の不純物イオンを注入し(不純物イオン種31+、注入エネルギー450KeV、注入量1×1012cm-2〜1×1014cm-2)、N型の浅いウェル領域13を形成した。この浅いウェル領域13を形成するためのイオン注入では、注入不純物は約0.6μmの深さで濃度がピークとなり、その前後では濃度が薄くなっていくように行った。この濃度が濃い部分が、浅いウェル領域13の抵抗を低減するための前記高濃度埋込領域14となる。更に、閾値調整のためのイオン注入を適宜行った。
【0066】
・ゲート電極とゲート絶縁膜
その後、ゲート酸化(膜厚3nm)を行ってゲート絶縁膜18を形成し、続いてポリシリコンを用いてゲート電極19を形成した。
次いで、LDD領域を形成するためのイオン注入(Nチャネル:不純物イオン種75As+、注入エネルギー20KeV、注入量3×1014cm-2、Pチャネル:不純物イオン種49BF2+、注入エネルギー20KeV、注入量4×1013cm-2)を行った。
【0067】
この後、ゲート電極19の側壁にサイドウォールスペーサーを形成した。次に、ソース領域16、ドレイン領域17及びチャネル領域以外の領域において、ゲート電極19と浅いウェル領域13を電気的に接続する領域を形成するために、該領域上のゲート電極及びゲート酸化膜を下地基板が露出するまでエッチングした。この露出した領域には不純物濃度の濃い領域23が形成される。
【0068】
・ソース領域及びドレイン領域
続いて、N型のソース領域及びドレイン領域を形成するために、不純物イオンを注入し(不純物イオン種75As+、注入エネルギー40KeV、注入量3×1015cm-2)、850℃で30分間活性化アニールを行った。一方、P型のソース領域及びドレイン領域を形成するために、不純物イオンを注入し(不純物イオン種11+、注入エネルギー15KeV、注入量3×1015cm-2)、RTA処理(1000℃、10秒)を行った。これらの注入により、ソース領域16及びドレイン領域17の形成と共に不純物濃度の濃い領域23と26も形成できた。
【0069】
その後、ソース領域16及びドレイン領域17、ゲート電極19及び不純物濃度の濃い領域23と26の上層部をシリサイド化した。このシリサイド化により、ゲート電極19と浅いウェル領域13がオーミック接続される。そして、層間絶縁膜を形成し、そこにコンタクト孔21、22、25及び27を形成して、メタル工程により、ソース領域16、ドレイン領域17、ゲート電極19及び深いウェル領域12を上部メタル配線にそれぞれ接続する。
上記工程によりCMOS回路が作成される。
なお、浅いウェル領域の熱処理は、ゲート絶縁膜の形成時と、ソース領域及びドレイン領域の熱処理工程時に同時に行った。
【0070】
(実施の形態1の効果)
図5〜8は、前述の手順で作成したゲート長が0.26μmのN型MOSFETの単位ゲート幅あたりのドレイン電流対ゲート電圧のグラフである。図5は、P型の浅いウェル領域の11+イオン注入の注入量が1×1014cm-2、図6は5×1013cm-2、図7は1×1013cm-2、図8は5×1012cm-2のときの特性である。いずれの場合も注入エネルギーは250KeVである。
【0071】
図9〜12は、前述の手順で作成したゲート長が0.50μmのP型MOSFETの単位ゲート幅あたりのドレイン電流対ゲート電圧のグラフである。図9は、N型の浅いウェル領域の31+イオン注入の注入量が1×1014cm-2、図10は5×1013cm-2、図11は1×1013cm-2、図12は5×1012cm-2のときの特性である。いずれの場合も注入エネルギーは450KeVである。
【0072】
N型MOSFETの場合、浅いウェル領域13の11+イオン注入の注入量が1×1014cm-2のときは、ゲート電極19のバイアスが0Vと0.5Vでのドレイン電流比は105に及ばない。すなわち、低消費電力素子としてはオン・オフ電流比が十分ではない。一方、浅いウェル領域13の11+イオン注入の注入量が5×1013cm-2以下のときは、ドレイン電流比は105程度かそれ以上であり、十分なオン・オフ電流比が得られることが分かる。
【0073】
また、P型MOSFETの場合、浅いウェル領域13の31+イオン注入の注入量が1×1014cm-2のときは、ゲート電極19のバイアスが0Vと−0.5Vでのドレイン電流比は105に及ばない。すなわち、低消費電力素子としてはオン・オフ電流比が十分ではない。一方、浅いウェル領域の31+イオン注入の注入量が5×1013cm-2以下のときは、ドレイン電流比は106以上であり、十分なオン・オフ電流比が得られることが分かる。
【0074】
図13及び図14は、前述の手順で作成した、ソース領域16又はドレイン領域17と浅いウェル領域13の接合の単位面積当たりの逆方向リーク電流をプロットしたグラフである。図13は、N型のソース領域又はドレイン領域とP型の浅いウェル領域の接合の逆方向リーク電流、図14は、P型のソース領域又はドレイン領域とN型の浅いウェル領域の接合の逆方向リーク電流を表している。どちらの型においても、浅いウェル領域の注入量が5×1013cm-2までは逆方向リーク電流は比較的ゆるやかに増加するが、浅いウェル領域の注入量が1×1014cm-2になると、逆方向リーク電流が大幅に増加している。
【0075】
図15及び図16は、前述の手順で作成した、ソース領域16又はドレイン領域17と浅いウェル領域13の接合の単位面積当たりの順方向リーク電流をプロットしたグラフである。図15は、N型のソース領域及びドレイン領域とP型の浅いウェル領域の接合の順方向リーク電流、図16は、P型のソース領域及びドレイン領域とN型の浅いウェル領域の接合の順方向リーク電流を表している。通常は、浅いウェル領域の注入量が増加して不純物濃度が濃くなれば、順方向リーク電流は減少するはずである。しかし、図15が示すように、N型のソース領域及びドレイン領域とP型の浅いウェル領域の接合では、浅いウェル領域の注入量の増加とともに順方向リーク電流が増加し、特に注入量が1×1014cm-2になると大きく増加する。また、図16が示すように、P型のソース領域及びドレイン領域とN型の浅いウェル領域の接合では、浅いウェル領域の注入量の増加とともに順方向リーク電流が減少するが、注入量が1×1014cm-2になると、接合間の電圧が0.4V以下で、順方向リーク電流が増加に転じる。
【0076】
上述のように、ソース領域16又はドレイン領域17と浅いウェル領域13の接合の順方向リーク電流及び逆方向リーク電流が、浅いウェル領域の注入量の増加とともに増えた要因は、不純物注入によりシリコン格子に欠陥が生じ、特定のエネルギーに欠陥準位が生じたためである。特に、浅いウェル領域の注入量が1×1014cm-2になったときに、リーク電流が大きく増加したのは、この特定のエネルギーに多数の欠陥準位が生じるようになったためと考えられる。この接合リーク電流の増加が、MOSFETのオフリークの増加の原因となっている。
【0077】
以上述べたように、N型(P型)MOSFETの場合は浅いウェル領域の11+31+)の注入量が1×1014cm-2以上では、オフリークが素子特性に大きな影響を与えるが、それ未満の場合は、その影響は無視できる。それゆえ、N型(P型)MOSFETの場合は浅いウェル領域の11+31+)の注入量を1×1014cm-2未満にすることが望ましい。
【0078】
本実施の形態では、浅いウェル領域のイオン注入を行った後の主な熱処理は、ゲート酸化(900℃)と不純物活性化のための熱処理(850℃、30分間、窒素雰囲気下でのアニール処理及び1000℃、10秒のRTA処理)のみである。しかしながら、十分高い温度で熱処理を行えば、リーク電流をひきおこす結晶欠陥を回復することができる。
【0079】
それゆえ、浅いウェル領域が、イオン注入工程と注入された不純物イオンを活性化させるための900〜1100℃の熱処理工程とを経ることにより形成され、かつ両工程が溝型分離領域の形成後、ゲート絶縁膜の形成前に行われる場合は、浅いウェル領域の11+31+)の注入量を2×1014cm-2未満にすることが望ましい。また、1000〜1150℃での溝型分離領域の熱処理工程前に、浅いウェル領域形成のためのイオン注入を行う場合は、浅いウェル領域の11+31+)の注入量を4×1014cm-2未満にすることが望ましい。
【0080】
N型のMOSFETの場合、浅いウェル領域13の11+の注入エネルギーが60KeVで不純物濃度のピークの深さが約0.2μmになり、チャネルの濃度に強く影響を及ぼすようになる。そのため60KeV未満では、浅いウェル領域の低抵抗化と低電圧駆動のための低閾値化の両立が困難になる。一方、浅いウェル領域の11+の注入エネルギーが500KeVで不純物濃度のピークの深さが約1μmになる。
【0081】
そのため、500KeVより大きい場合、溝型分離領域15の深さを2μm以上にしなければならなくなり、また、表面付近の不純物濃度が非常に低くなるため、それを補う注入が新たに必要となる。その上、注入エネルギーが増するほどシリコン基板結晶へのダメージが増えてオフリークが増大してしまう。それゆえ、N型MOSFETの場合の浅いウェル領域の11+の注入エネルギーは、60KeV以上500KeV以下が望ましい。
【0082】
P型のMOSFETの場合、浅いウェル領域13の31+の注入エネルギーが150KeVで不純物濃度のピークの深さが約0.2μmになり、チャネルの濃度に強く影響を及ぼすようになる。そのため150KeV未満では、浅いウェル領域の低抵抗化と低電圧駆動のための低閾値化の両立が困難になる。一方、浅いウェル領域の11+の注入エネルギーが900KeVで不純物濃度のピークの深さが約1μmになる。
【0083】
そのため、900KeVより大きい場合、溝型分離領域15の深さを2μm以上にしなければならなくなる。また、表面付近の不純物濃度が非常に低くなるため、それを補う注入が新たに必要となる。その上、注入エネルギーが増加するほどシリコン基板結晶へのダメージが増えてオフリーク電流が増大してしまう。それゆえ、P型MOSFETの場合の浅いウェル領域の31+の注入エネルギーは、150KeV以上900KeV以下が望ましい。
【0084】
上記の製造方法によれば、浅いウェル領域形成の際の11+イオン及び31+イオンの注入量及び注入エネルギーを制限することにより、シリコン基板結晶へのダメージを制限することができる。また、濃度が最大となる深さがチャネルより深くなるように注入エネルギーの下限を設定することにより、チャネル付近での不純物濃度が低く抑えられる。
【0085】
したがって、PN接合での逆方向及び順方向リーク電流を抑制することができ、MOSFETのオフリークを抑えることができ、かつ低電圧駆動に必要な低閾値を実現できる。
【0086】
実施の形態2
本発明の第2の実施の形態について、図17〜20に基づいて説明すれば以下の通りである。
【0087】
図17〜20は、本発明の第2の実施の形態である半導体装置の製法によって作成された半導体素子を模式的に示す断面図である。図17は平面図であり、図18は図17の切断面線A−A’から見た断面図であり、図19は図17の切断面線B−B’から見た断面図であり、図20は図17の切断面線C−C’から見た断面図である。なお、図17ではシリサイド化された領域、層間絶縁膜及び上部メタル配線を、図18、19では上部メタル配線を、図20では層間絶縁膜及び上部メタル配線を省略している。
【0088】
この半導体素子2は、前記半導体素子1にフィールド酸化膜28が加わったもので、上記半導体素子1の形成過程中、溝型分離領域15の形成後にフィールド酸化膜28を形成して作成した。溝型分離領域15を形成する場合、その幅を基板上の場所に応じて変えることは困難である。したがって、大きな幅の素子分離領域を形成する必要がある場合には、フィールド酸化膜28を形成することが有効となる。これにより、素子分離に要する面積が小さい溝型分離領域と、大きな幅のフィールド酸化膜を必要に応じて混在させることにより、素子分離に要する面積を最小限に抑えることが可能になる。なお、フィールド酸化膜28の形成により、浅いウェル領域13の形成のため不純物注入によるシリコン基板結晶へのダメージ等に影響はなく、得られるMOSFET素子の特性は前記半導体素子1の場合と変わらない。
【0089】
したがって、この場合もまた、ウェル領域形成の際の11+イオン及び31+イオンの注入量及び注入エネルギーを制限することにより、シリコン基板結晶へのダメージを制限することができる。また、濃度が最大となる深さがチャネルより深くなるように注入エネルギーの下限を設定することにより、チャネル付近での不純物濃度が低く抑えられる。
したがって、PN接合での逆方向及び順方向リーク電流を抑制することができ、MOSFETのオフリークを抑えることができ、かつ低電圧駆動に必要な低閾値を実現できる。
【0090】
本発明の第1の実施の形態又は第2の実施の形態である半導体装置の製法で形成されたMOSFETを用いたリングオッシレーターの1段当たりの遅延時間のグラフを図26に示す。バルク基板を用いたダイナミック閾値動作トランジスタの動作電圧として適当な0.5V動作のとき、1段当たりの遅延時間は約1×10-10秒となる。この遅延時間には、上述の接合容量によるものの他に、ゲート容量や配線容量が寄与している。時定数τは、この遅延時間に比べて十分に小さいことが望ましい。したがって、N型及びP型MOSFETの時定数τが5×10-11秒以下であることが望ましい。
【0091】
実施の形態3
本発明の第3の実施の形態について、図21〜図23に基づいて説明すれば以下の通りである。
図21〜23は、本発明の第3の実施の形態である半導体装置の製法によって作成された半導体素子を模式的に示す図である。図21は平面図であり、図22は図21の切断面線A−A’から見た断面図であり、図23は図21の切断面線B−B’から見た断面図である。なお、図21ではシリサイド化された領域、層間絶縁膜及び上部メタル配線を、図22、23では上部メタル配線を省略している。
【0092】
この半導体素子は、前記実施の形態の半導体素子とは、ソース領域及びドレイン領域が積み上げ型になっている点で異なっている。この素子の形成手順を下記する。
【0093】
ゲート電極の作成までは、前記実施の形態の半導体素子1と同様の手順で形成する。次に、ゲート電極の側壁に、シリコン窒化膜からなるサイドウォールスペーサー29を形成した。更に、サイドウォールスペーサー29の側壁にポリシリコンからなるサイドウォールスペーサーを形成した。このポリシリコンからなるサイドウォールスペーサーは、サイドウォールスペーサー29により、ゲート電極19と電気的に絶縁されている。この時点では、ポリシリコンからなるサイドウォールスペーサーは、ゲート電極の周囲を環状に取り囲んでいる。
【0094】
次に、レジストからなるマスクを用いて、ポリシリコンからなるサイドウォールスペーサーの2箇所をエッチングで除去する。更に、ポリシリコンからなるサイドウォールスペーサーに、ソース領域及びドレイン領域形成のためのイオン注入及び不純物の活性化のためのアニールを行うことにより、積上げ型のソース領域30及びドレイン領域31を形成した。
【0095】
なお、ポリシリコンからなるサイドウォールスペーサーのエッチングによりゲート電極19の一部とその下のゲート酸化膜18も同時に除去され浅いウェル領域13が露出した部分にも、ソース領域及びドレイン領域形成のための不純物イオンが注入され、後のアニールにより不純物濃度の濃い領域23も形成された。なお、不純物濃度の濃い領域23は、浅いウェル領域13と同じ導電型であり、逆極性の素子のソース領域及びドレイン領域形成のための不純物イオン注入時に同時に注入された。
次に、シリサイド化工程を行い、ゲート電極19と浅いウェル領域13をオーミック接続した。その後、前記実施の形態の半導体素子1と同様の手順でコンタクト工程及びメタル工程を行った。
上記工程により、半導体素子3を形成した。
【0096】
ソース領域及びドレイン領域を積上げ型にすることにより、ソース領域及びドレイン領域と浅いウェル領域の接合の深さを浅くすることが容易となる。これは、ポリシリコン中の不純物の拡散速度が、単結晶中よりもはるかに大きいためである。このため、短チャネル効果の少ない素子を容易に作成することが可能となる。更に、ソース領域及びドレイン領域の面積を大幅に縮小することができる。例えば、前記実施の形態の半導体素子1では、コンタクト形成時のマージンを考慮すると、ソース領域及びドレイン領域の幅を、最小加工寸法の3倍程度にする必要がある。
これに対して、ソース領域及びドレイン領域を積上げ型にした場合、最小加工寸法の2/3倍程度まで幅を縮小することが可能である。これにより、ソース領域及びドレイン領域と浅いウェル領域の接合容量は、約2/9倍に大幅に減少する。一方、この構造では、浅いウェル領域のゲート長方向の長さが、半導体素子1と比べて、1/3程度に縮小される。このため、実施の形態1及び2の場合と同じ条件で浅いウェル領域形成のためのイオン注入を行うと、浅いウェル領域の抵抗が約3倍高くなる。しかしながら、Cの中で、ソース領域及びドレイン領域と浅いウェル領域の接合容量が支配的であれば、トータルとして時定数τは減少する。
【0097】
実施の形態4
本発明の第4の実施の形態について、図24〜図26に基づいて説明すれば以下の通りである。
【0098】
図24及び図25は、本発明の第1の実施の形態又は第2の実施の形態である半導体装置の製法で形成されるMOSFET素子の、浅いウェル領域13のシート抵抗に対して、接合容量と浅いウェル領域の抵抗の積である時定数をプロットしたグラフをあらわす。図24はN型のMOSFETの、図25はP型のMOSFETの時定数のグラフを示す。ここで、容量Cは、ソース領域16と浅いウェル領域13の接合容量Cs、ドレイン領域17と浅いウェル領域13の接合容量Cd、ゲート空乏層容量Cdep、浅いウェル領域13と深いウェル領域12の接合容量Csw/dwの和である。接合容量Cと浅いウェル領域の抵抗Rの積τは時間の次元をもち、CMOS回路の状態が遷移するとき接合容量Cを充電するのに要する時間の目安となり、全体の遅延時間に寄与する。容量Cは、実際のMOSFET素子では非常に小さい値であるので、次の方法により、容量Cを求めた。まず、このMOSFETと同じ不純物プロファイルと同じ不純物プロファイルを持つ大面積のソース領域、ドレイン領域、浅いウェル領域及び深いウェル領域を形成する。それぞれの接合容量を測定し、この容量を実際のMOSFET素子の接合の面積に換算することにより容量Cを求めた。図24及び図25は、ゲート長が0.25μmで、ゲート幅が2.5μmの場合についてプロットしている。
【0099】
N型及びP型MOSFETのいずれの場合も浅いウェル領域13のシート抵抗Rwが増加すると時定数τも増加し、Rwが10kΩ/□のときτは約5×10-11秒になる。この時浅いウェル領域の抵抗Rは約100kΩである。
【0100】
注入量が増すにつれて、浅いウェル領域のシート抵抗が減少し、時定数も小さくなっているが、P型及びN型のいずれの浅いウェル領域の場合も、不純物イオンの注入量が1×1014cm-2に達すると、素子のオフリークが急激に増大した。従って、本実施の形態の条件で形成した素子においては、浅いウェル領域のシート抵抗を、N型MOSFETの場合は400〜10000Ωとし、P型MOSFETの場合は300〜10000Ωとするのが好ましい。従って、図24及び25より、本実施の形態の条件で形成した素子は、τを6×10-12〜5×10-11秒とするのが好ましい。但し、浅いウェル領域形成のための熱処理を、溝型の素子分離領域の形成時の熱処理と兼ねれば、イオン注入による結晶欠陥を回復させることができると共に、浅いウェル領域を低抵抗化ことが可能となる。
【0101】
なお、実施の形態3の積上げ型のソース領域及びドレイン領域を用いた素子では、実施の形態1及び2の素子に比べて、大幅にCを小さくすることができる。即ち、実施の形態1及び2の素子の場合は、ソース領域及びドレイン領域の幅が最小加工寸法の約3倍必要なのに対して、実施の形態3の素子では約2/3倍でよいからである。そのため、CdepがCに比べて無視できるとき、実施の形態3の素子では、実施の形態1及び2の素子に比べて、Cが約2/9倍となり、Rは約9/2倍の大きさまで許容される。
【0102】
このようにして、ゲート電極の電位の変化がウェル領域に伝播する時間の目安となる時定数τを十分に小さくすることができ、ダイナミック閾値トランジスタの基板バイアス効果を十分に引き出し、低動作電圧での高速動作が可能となる。
【0103】
【発明の効果】
本発明の半導体装置及びその製造方法によれば、バルク基板を用いたダイナミック閾値トランジスタにおいて、浅いウェル領域の設計の最適条件を提供することが可能となる。そのため、デバイス設計コスト削減、熱処理プロセスの削減、過剰なイオン注入量の削減による作業行程の短縮等によるトータルコスト削減効果がある。
また、不純物注入によるシリコン基板結晶へのダメージを制限することができ、かつ濃度が最大となる深さがチャネルより深くなるため、チャネル付近での不純物濃度が低く抑えられる。従って、PN接合での逆方向及び順方向リーク電流が抑制され、MOSFETのオフリークを抑えることができ、かつ低電圧駆動に必要な低閾値をもつ高性能なMOSFET素子が実現される。
【0104】
更に、本発明の半導体装置によれば、ゲート電極の電位の変化がウェル領域を伝播する時間の目安となるCR時定数を、ゲート容量、配線容量、配線抵抗等の他の遅延要因に比べて十分小さくすることができる。したがって、ダイナミック閾値トランジスタの基板バイアス効果を十分に引き出すことが可能になり、低動作電圧での高速動作が可能な高性能なMOSFET素子が実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の半導体素子の製造方法で作成した半導体素子の平面図である。
【図2】図1の切断面線A−A’から見た断面図である。
【図3】図1の切断面線B−B’から見た断面図である。
【図4】図1の切断面線C−C’から見た断面図である。
【図5】図1で示すN型の半導体素子の、浅いウェル領域形成の際の11+イオンの注入量が1×1014cm-2の場合の動作特性を示すグラフである。
【図6】図1で示すN型の半導体素子の、浅いウェル領域形成の際の11+イオンの注入量が5×1013cm-2の場合の動作特性を示すグラフである。
【図7】図1で示すN型の半導体素子の、浅いウェル領域形成の際の11+イオンの注入量が1×1013cm-2の場合の動作特性を示すグラフである。
【図8】図1で示すN型の半導体素子の、浅いウェル領域形成の際の11+イオンの注入量が5×1012cm-2の場合の動作特性を示すグラフである。
【図9】図1で示すP型の半導体素子の、浅いウェル領域形成の際の31+イオンの注入量が1×1014cm-2の場合の動作特性を示すグラフである。
【図10】図1で示すP型の半導体素子の、浅いウェル領域形成の際の31+イオンの注入量が5×1013cm-2の場合の動作特性を示すグラフである。
【図11】図1で示すP型の半導体素子の、浅いウェル領域形成の際の31+イオンの注入量が1×1013cm-2の場合の動作特性を示すグラフである。
【図12】図1で示すP型の半導体素子の、浅いウェル領域形成の際の31+イオンの注入量が5×1012cm-2の場合の動作特性を示すグラフである。
【図13】図1で示すN型の半導体素子の、浅いウェル領域形成の際のイオン注入量に対するソース領域及びドレイン領域と浅いウェル領域の接合の逆方向電流を示すグラフである。
【図14】図1で示すP型の半導体素子の、浅いウェル領域形成の際のイオン注入量に対するソース領域及びドレイン領域と浅いウェル領域の接合の逆方向電流を示すグラフである。
【図15】図1で示すN型の半導体素子の、浅いウェル領域形成の際のイオン注入量に対するソース領域及びドレイン領域と浅いウェル領域の接合の順方向電流を示すグラフである。
【図16】図1で示すP型の半導体素子の、浅いウェル領域形成の際のイオン注入量に対するソース領域及びドレイン領域と浅いウェル領域の接合の順方向電流を示すグラフである。
【図17】本発明の実施の第2の形態の半導体素子の製造方法で作成した半導体素子の平面図である。
【図18】図17の切断面線A−A’から見た断面図である。
【図19】図17の切断面線B−B’から見た断面図である。
【図20】図17の切断面線C−C’から見た断面図である。
【図21】本発明の実施の第3の形態の半導体素子の製造方法で作成した半導体素子の平面図である。
【図22】図21の切断面線A−A’から見た断面図である。
【図23】図21の切断面線B−B’から見た断面図である。
【図24】図1で示すN型の半導体素子の浅いウェル領域のシート抵抗に対する、浅いウェル領域のシート抵抗と接合容量の積である時定数の関係を示すグラフである。
【図25】図1で示すP型の半導体素子の浅いウェル領域のシート抵抗に対する、浅いウェル領域のシート抵抗と接合容量の積である時定数の関係を示すグラフである。
【図26】図1で示す半導体素子で構成されたリングオッシレーターの1段当たりの遅延時間を示すグラフである。
【図27】従来技術のSOI基板を用いたダイナミック閾値動作トランジスタを示す断面図である。
【図28】従来技術のバルク基板を用いたダイナミック閾値動作トランジスタを示す断面図である。
【図29】ゲート電極に与えられた電位が、浅いウェル領域に伝わる時定数τを説明する概念図である。
【符号の説明】
1、2、3 半導体装置
11、111、211 半導体基板
12、212、311 深いウェル領域
13、213、312 浅いウェル領域
14、214 高濃度埋込領域
15、215 溝型分離領域
16、114、216、313 ソース領域
17、115、217、314 ドレイン領域
18、116、218、315 ゲート絶縁膜
19、117、219、316 ゲート電極
20 層間絶縁膜
21、22、25、27 コンタクト孔
23、26 不純物の濃い領域
24 シリサイド化された領域
28 フィールド酸化膜
29 シリコン窒化膜のサイドウォールぺーサー
30 積上げ型のソース領域
31 積上げ型のドレイン領域
112 埋め込み酸化膜層
113 ボディ
317 ゲート入力端子
318 ソース領域と浅いウェル領域との接合から伸びる空乏層領域
319 ドレイン領域と浅いウェル領域との接合から伸びる空乏層領域
320 ゲート空乏層領域
321 浅いウェル領域と深いウェル領域との接合から伸びる空乏層領域
322 ソース入力端子
323 ドレイン出力端子
324 深いウェル領域の端子
325 電荷反転層
326 ソース領域と浅いウェル領域との接合から伸びる空乏層による容量
327 ドレイン領域と浅いウェル領域との接合から伸びる空乏層による容量
328 ゲート空乏層容量
329 ゲート容量
330 浅いウェル領域と深いウェル領域との接合から伸びる空乏層による容量
331 浅いウェル領域の抵抗
332 ゲート電極の抵抗

Claims (5)

  1. ゲート電極とウェル領域とを接続したダイナミック閾値動作トランジスタにおいて、半導体基板と、前記半導体基板内に形成された第1導電型のウェル領域と、前記半導体基板内かつ前記第1導電型のウェル領域上に形成された第2導電型のウェル領域と、前記第2導電型のウェル領域中に位置しかつ前記第2導電型のウェルより高い不純物濃度の高濃度埋込領域と、前記第2導電型のウェル領域隣接する第2導電型のウェル領域と電気的に分離するための溝型分離領域と、前記第2導電型のウェル領域の表面層に形成された第1導電型のソース領域及びドレイン領域と、前記ソース領域と前記ドレイン領域間に形成されたチャネル領域と、前記チャネル領域上に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成され、前記第2導電型のウェル領域に電気的に接続されたゲート電極を備え、前記第2導電型のウェル領域と前記ソース領域及び前記ドレイン領域との間の接合容量、前記第2導電型のウェル領域と前記第1導電型のウェル領域との間の接合容量、及び前記第2導電型のウェル領域と前記チャネル領域中に形成される反転層との間の静電容量の和Cと、前記第2導電型のウェル領域の電気抵抗Rとの積τ(=CR)が6×10 -12 5×10-11であり、前記第2導電型のウェル領域のシート抵抗が300Ω/□〜10kΩ/□であるダイナミック閾値動作トランジスタの製造方法であって、
    前記第2導電型のウェル領域及び前記高濃度埋込領域が、イオン注入工程と注入された不純物イオンを活性化させるための熱処理工程を経ることにより形成され、
    (1)前記イオン注入工程が、前記溝型分離領域の形成後前記ゲート絶縁膜の形成前に、第2導電型の不純物イオンとして 11 + イオンのとき、注入エネルギーとして60〜500KeV、注入量として1×10 14 cm -2 未満の条件下、又は第2導電型の不純物イオンとして 31 + イオンのとき、注入エネルギーとして130〜900KeV、注入量として1×10 14 cm -2 未満の条件下で行われ、
    (2)前記熱処理工程が、前記ゲート絶縁膜の形成時及び前記ソース領域と前記ドレイン領域形成時の熱処理工程と同時に行われることを特徴とするダイナミック閾値動作トランジスタの製造方法
  2. ゲート電極とウェル領域とを接続したダイナミック閾値動作トランジスタにおいて、半導体基板と、前記半導体基板内に形成された第1導電型のウェル領域と、前記半導体基板内かつ前記第1導電型のウェル領域上に形成された第2導電型のウェル領域と、前記第2導電型のウェル領域中に位置しかつ前記第2導電型のウェルより高い不純物濃度の高濃度埋込領域と、前記第2導電型のウェル領域と隣接する第2導電型のウェル領域とを電気的に分離するための溝型分離領域と、前記第2導電型のウェル領域の表面層に形成された第1導電型のソース領域及びドレイン領域と、前記ソース領域と前記ドレイン領域間に形成されたチャネル領域と、前記チャネル領域上に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成され、前記第2導電型のウェル領域に電気的に接続されたゲート電極を備え、前記第2導電型のウェル領域と前記ソース領域及び前記ドレイン領域との間の接合容量、前記第2導電型のウェル領域と前記第1導電型のウェル領域との間の接合容量、及び前記第2導電型のウェル領域と前記チャネル領域中に形成される反転層との間の静電容量の和Cと、前記第2導電型のウェル領域の電気抵抗Rとの積τ(=CR)が6×10 -12 〜5×10 -11 秒であり、前記第2導電型のウェル領域のシート抵抗が300Ω/□〜10kΩ/□であるダイナミック閾値動作トランジスタの製造方法であって、
    前記第2導電型のウェル領域及び前記高濃度埋込領域が、イオン注入工程と注入された不純物イオンを活性化させるための熱処理工程とを経ることにより形成され、かつ両工程が前記溝型分離領域の形成後前記ゲート絶縁膜の形成前に行われ、
    (1)前記イオン注入工程が、前記第2導電型の不純物イオンとして11+イオンのとき、注入エネルギーとして60〜500KeV、注入量として2×1014cm-2未満の条件下、又は第2導電型の不純物イオンとして31+イオンのとき、注入エネルギーとして130〜900KeV、注入量として2×1014cm-2未満の条件下で行われ、
    (2)前記熱処理工程が、900〜1100℃の温度で行われることを特徴とするダイナミック閾値動作トランジスタの製造方法。
  3. ゲート電極とウェル領域とを接続したダイナミック閾値動作トランジスタにおいて、半導体基板と、前記半導体基板内に形成された第1導電型のウェル領域と、前記半導体基板内かつ前記第1導電型のウェル領域上に形成された第2導電型のウェル領域と、前記第2導電型のウェル領域中に位置しかつ前記第2導電型のウェルより高い不純物濃度の高濃度埋込領域と、前記第2導電型のウェル領域と隣接する第2導電型のウェル領域とを電気的に分離するための溝型分離領域と、前記第2導電型のウェル領域の表面層に形成された第1導電型のソース領域及びドレイン領域と、前記ソース領域と前記ドレイン領域間に形成されたチャネル領域と、前記チャネル領域上に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成され、前記第2導電型のウェル領域に電気的に接続されたゲート電極を備え、前記第2導電型のウェル領域と前記ソース領域及び前記ドレイン領域との間の接合容量、前記第2導電型のウェル領域と前記第1導電型のウェル領域との間の接合容量、及び前記第2導電型のウェル領域と前記チャネル領域中に形成される反転層との間の静電容量の和Cと、前記第2導電型のウェル領域の電気抵抗Rとの積τ(=CR)が6×10 -12 〜5×10 -11 秒であり、前記第2導電型のウェル領域のシート抵抗が300Ω/□〜10kΩ/□であるダイナミック閾値動作トランジスタの製造方法であって、
    前記第2導電型のウェル領域及び前記高濃度埋込領域が、イオン注入工程と注入された不純物イオンを活性化させるための熱処理工程とを経ることにより形成され、
    (1)前記イオン注入工程が、前記溝型分離領域の形成前に、第2導電型の不純物イオンとして11+イオンのとき、注入エネルギーとして60〜500KeV、注入量として1×1014cm-2未満の条件下、又は第2導電型の不純物イオンとして31+イオンのとき、注入エネルギーとして130〜900KeV、注入量として1×1014cm-2未満の条件下で行われ、
    (2)前記熱処理工程が、800〜1000℃の温度で行われる前記溝型分離領域の形成時の熱処理と同時に行われることを特徴とするダイナミック閾値動作トランジスタの製造方法。
  4. 前記イオン注入工程が、第2導電型の不純物イオンとして11+イオンのとき、注入エネルギーとして80〜340KeV、注入量として3×1012〜5×1013cm-2の条件下、又は第2導電型の不純物イオンとして31+イオンのとき、注入エネルギーとして200〜650KeV、注入量として3×1012〜5×1013cm-2の条件下で行われる請求項1〜3のいずれか1つに記載のダイナミック閾値動作トランジスタの製造方法。
  5. 前記ソース領域及び前記ドレイン領域が積上げ型の構造を有し、これら領域が、前記ゲート電極の側壁に非導電性のサイドウォールスペーサーを介して、ポリシリコンからなる所望形状のサイドウォールスペーサーを形成し、ポリシリコンからなるサイドウォールスペーサーに不純物イオンを注入することにより形成される請求項1〜4のいずれか1つに記載のダイナミック閾値動作トランジスタの製造方法。
JP18368699A 1998-07-17 1999-06-29 ダイナミック閾値動作トランジスタの製造方法 Expired - Fee Related JP3722651B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18368699A JP3722651B2 (ja) 1998-07-17 1999-06-29 ダイナミック閾値動作トランジスタの製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20338798 1998-07-17
JP10-203387 1998-07-17
JP18368699A JP3722651B2 (ja) 1998-07-17 1999-06-29 ダイナミック閾値動作トランジスタの製造方法

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003320245A Division JP2004048046A (ja) 1998-07-17 2003-09-11 半導体装置及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000091576A JP2000091576A (ja) 2000-03-31
JP3722651B2 true JP3722651B2 (ja) 2005-11-30

Family

ID=26502022

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP18368699A Expired - Fee Related JP3722651B2 (ja) 1998-07-17 1999-06-29 ダイナミック閾値動作トランジスタの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3722651B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AU2001296754A1 (en) * 2000-10-19 2002-04-29 Sun Microsystems, Inc. Method and apparatus for introducing an equivalent rc circuit in a mos device using resistive wells
US7022530B2 (en) 2001-04-03 2006-04-04 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Semiconductor device and method for fabricating the same
JP6123462B2 (ja) * 2013-04-30 2017-05-10 富士通セミコンダクター株式会社 半導体装置及び半導体装置の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000091576A (ja) 2000-03-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3408762B2 (ja) Soi構造の半導体装置及びその製造方法
US6025237A (en) Methods of forming field effect transistors having graded drain region doping profiles therein
JP2816353B2 (ja) Mos電界効果トランジスタを有する集積回路の製造方法
US6524903B2 (en) Method of manufacturing a semiconductor device having two peaks in an impurity concentration distribution
US20040065903A1 (en) Integrated circuit with MOSFETS having bi-layer metal gate electordes and method of making same
JP3950294B2 (ja) 半導体装置
US7446354B2 (en) Power semiconductor device having improved performance and method
US20030107103A1 (en) Semiconductor device having dynamic threshold transistors and element isolation region and fabrication method thereof
US8294210B2 (en) High voltage channel diode
US20100084709A1 (en) Semiconductor device and method for manufacturing same
US20080001183A1 (en) Silicon-on-insulator (SOI) junction field effect transistor and method of manufacture
US6876055B2 (en) Semiconductor device and its production method
JP2701762B2 (ja) 半導体装置及びその製造方法
US5918114A (en) Method of forming vertical trench-gate semiconductor devices having self-aligned source and body regions
KR20030064872A (ko) 반도체 장치 및 휴대 전자 기기
JP2000150669A (ja) 半導体集積回路及びその製造方法
US5903029A (en) Insulated-gate field-effect transistor and method for producing the same
KR20030004144A (ko) 반도체장치 및 그 제조방법
JP3742845B2 (ja) ダブルゲート構造を持つsoi素子の製造方法及びその製造方法で製造されたダブルゲート構造を持つsoi素子
US6198114B1 (en) Field effect transistor having dielectrically isolated sources and drains and method for making same
JP2007005575A (ja) 半導体装置およびその製造方法
US6172405B1 (en) Semiconductor device and production process therefore
JPH10261792A (ja) 半導体装置およびその製造方法
JP3722651B2 (ja) ダイナミック閾値動作トランジスタの製造方法
JP5185061B2 (ja) Mis電界効果トランジスタ及び半導体基板の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050802

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050913

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080922

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090922

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090922

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100922

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110922

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120922

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130922

Year of fee payment: 8

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees