JP3721929B2 - 刺繍データ作成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加工布に縫製すべき刺繍模様を、該刺繍模様を糸色ごとに分割した部分模様と共にカラー表示可能な刺繍データ処理装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、加工布に対し多数の刺繍模様を縫製可能な刺繍ミシンが広く用いられている。そして、予め用意された多数の刺繍模様の中から特定の刺繍模様を選択できるとともに、これら刺繍模様を視覚的に認識させるため表示手段に表示を行うタイプの刺繍ミシンも普及しつつある。
【0003】
一般に、このような刺繍ミシンは、多数の刺繍模様についての表示用データ等の刺繍データを内臓メモリに記憶する場合のほか、刺繍データが記録された外部ROMカードを用い、これを読み取り可能となるよう構成されている。これにより、刺繍ミシンの使用者は好みに応じた刺繍データが格納される外部ROMカードを入手すればよく、刺繍ミシンにて交換可能に刺繍データを扱うことができる点で利便性が高い。
【0004】
また、刺繍模様を表示させるための表示手段としてモノクロ表示可能な液晶ディスプレイを搭載する刺繍ミシンも提供されている。これに対応して、外部ROMカードには前記液晶パネルの表示用の2値データが刺繍模様ごとに格納されている。この外部ROMカードから2値データを読み出して液晶ディスプレイに表示させれば、縫製すべき刺繍模様の選択や確認を容易にして刺繍ミシンの使用者の作業を支援するのに役立つ。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
最近、刺繍模様の表示をより現実に近づけるために上記表示手段に対するカラー化の要望が高まっている。そのため、上記液晶ディスプレイとしてカラー表示可能なものを刺繍ミシンに搭載することになる。この際、外部ROMカードをカラー対応させるべく、刺繍模様のカラー表示データを格納したものを供給する必要がある。
【0006】
しかしながら、モノクロ表示タイプの刺繍ミシンを置き換えてカラー表示対応の刺繍ミシンを導入する場合、これに合わせてカラー表示に対応していない外部ROMカードを直ちにカラー表示対応のものに置き換えるのは、コスト面などから困難である。また、カラー表示に対応していない外部ROMカードをカラー表示対応の刺繍ミシンで読み取って刺繍模様をモノクロ表示することは比較的容易であるが、これではカラー表示の利点を生かすことができない。
【0007】
また、2値表示データをカラー表示データに変換させる場合に、刺繍模様について糸色ごとの部分模様の2値表示データには、部分模様そのものの表示データに加え、部分模様に関連する糸色名称や縫製順等の各種補助情報についての表示データが含まれることがある。そして、部分模様そのものは糸色に対応してカラー化し、各種補助情報は糸色とは無関係にカラー化する必要があるが、両方のデータが混在しているため、カラー表示データへの変換は容易ではない。
【0008】
そこで、本発明はこのような問題に鑑みなされたものであり、カラー表示対応ではない記録媒体の刺繍データを用いる場合であっても、部分模様と各種補助情報を識別した上で、刺繍模様のカラー表示処理を行うことができる刺繍データ処理装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の刺繍データ処理装置は、縫製すべき刺繍模様を糸色ごとに分割した部分模様を表示すると共に該部分模様に関する補助情報を表示するための2値表示データを少なくとも含む刺繍データに対する処理を行う刺繍データ処理装置であって、前記刺繍データ対し、一の部分模様についての前記2値表示データから前記補助情報に対応するデータ部分を除いた該一の部分模様に対する部分模様2値表示データを抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出された前記部分模様2値表示データを、該部分模様についての前記糸色に対応してカラー表示データに変換する変換手段と、一の刺繍模様を構成する前記部分模様に対応する前記カラー表示データを合成して該一の刺繍模様に対応する刺繍模様カラー表示データを生成する合成手段と、前記合成手段により生成された刺繍模様カラー表示データに対する表示処理を行う表示処理手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、刺繍データ処理装置において、刺繍データ中の2値表示データから補助情報に対応する部分が除外され、残りの部分模様2値表示データが抽出される。この部分模様2値表示データは糸色に対応してカラー表示データに変換され、一の刺繍模様を構成する部分模様に対応するカラー表示データが合成されて刺繍模様カラー表示データが生成される。そして、この刺繍模様カラー表示データに対し表示処理が行われる。従って、元の表示データがカラー対応であっても、糸色データに応じて刺繍模様のカラー表示処理を行うことができると共に、表示データに部分模様以外の補助情報のデータ部分が含まれる場合でも、部分模様のみ取り出してカラー表示させることができ、既存のデータを有効活用して良質な刺繍模様表示が行われる。
【0011】
【0012】
【0013】
請求項に記載の刺繍データ処理装置は、請求項1に記載の刺繍データ処理装置において、前記合成手段は、前記一の刺繍模様を構成する前記部分模様に対応する前記カラー表示データを順次合成し、それぞれのカラー表示データが互いに重なる表示領域においては、縫製順が先行するカラー表示データに、縫製順が後続のカラー表示データを上書きするようにして前記刺繍模様カラー表示データを生成することを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、糸色ごとの部分模様には縫製順が定められており、互いに表示領域が重なる場合は、この縫製順が後続するものを次々と上書きしていくようにした。従って、簡易な処理を用いて実際の縫製に適合した刺繍模様表示が行われる。
【0015】
請求項に記載の刺繍データ処理装置は、請求項1又は請求項2の何れかに記載の刺繍データ処理装置において、外部記録媒体に記録されている前記刺繍データを読み取る読み取り手段を更に備えることを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、外部記録媒体に記録される刺繍データを読み取って表示処理に利用するようにした。従って、データ交換等が簡易に行われ、多数の刺繍模様を視認して所望の刺繍模様を容易に選択可能となる。
【0017】
請求項に刺繍データ処理装置は、請求項に記載の刺繍データ処理装置において、前記外部記録媒体は、前記刺繍データ処理装置又は前記刺繍データ処理装置に接続された周辺装置に着脱自在、あるいは前記刺繍データ処理装置とネットワークを介して接続自在な記録媒体であることを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、刺繍データ処理装置自体又は周辺装置に着脱される記録媒体、ネットワーク接続される記録媒体から刺繍データを読み取って表示処理するようにした。従って、データの入手経路は多様であり、利用可能な刺繍模様のバリエーションを増加させることができる。
【0019】
請求項に記載の刺繍データ処理装置は、請求項1から請求項の何れかに記載の刺繍データ処理装置において、前記2値表示データ及び前記部分模様2値表示データはビットマップデータであり、前記変換手段は、表示画素ごとに2値画素データを前記糸色に対応する多値画素データに変換することを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、ビットマップデータである2値表示データを画素ごとに変換して糸色に対応する多値画素データを得るようにした。従って、2値表示データから多値表示データへの変換は、単純な処理により簡単に行うことができる。
【0021】
請求項に記載の刺繍データ処理装置は、請求項に記載の刺繍データ処理装置において、前記抽出手段は、前記2値表示データに対し予め設定された切断座標データに従って、前記部分模様2値表示データを切り出して抽出することを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、刺繍データ中の2値表示データには予め切断座標データが設定され、これに従って2値表示データから部分模様2値表示データを切り出し抽出する。従って、2値表示データから簡易な処理で不要な補助情報を除外することができる。
【0023】
請求項に記載の刺繍データ処理装置は、請求項1から請求項の何れかに記載の刺繍データ処理装置において、前記表示処理手段の表示画面には、前記合成手段により生成された複数の刺繍模様カラー表示データを並べてカラー表示する刺繍模様選択画面と、選択された一の刺繍模様に対し前記合成手段により生成された刺繍模様カラー表示データをカラー表示する刺繍模様確認画面とが含まれることを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、複数の刺繍模様表示データが画面上に並べられ刺繍模様選択画面としてカラー表示されると共に、選択された一の刺繍模様についての刺繍模様表示データが刺繍模様確認画面としてカラー表示される。従って、使用者は所望の刺繍模様を容易に選び出すことができると共に、刺繍模様についての縫製手順や糸色を視覚的に確認可能となる。
【0025】
請求項に記載の刺繍データ処理装置は、請求項に記載の刺繍データ処理装置において、前記刺繍模様確認画面には、選択された一の刺繍模様を構成する前記部分模様に対応する前記カラー表示データと、この部分模様に関する前記補助情報が更に表示されることを特徴とする。
【0026】
この発明によれば、選択された刺繍模様についての部分模様に対応して、そのカラー表示データと、部分模様に関する補助情報が刺繍模様確認画面上に表示される。従って、刺繍模様の部分ごとに糸色名称等の有用な情報が視覚的に把握できる。
【0027】
請求項に記載の刺繍データ処理装置は、請求項に記載の刺繍データ処理装置において、前記刺繍模様確認画面に表示される補助情報には、少なくとも前記部分模様についての糸色識別表示が含まれることを特徴とする。
【0028】
この発明によれば、部分模様に関する補助情報として、糸色識別表示が刺繍模様確認画面上に表示される。従って、刺繍模様の部分模様ごとに縫製に用いる糸色を明確に認識できる。
【0029】
請求項10に記載の刺繍データ処理装置は、請求項又は請求項に記載の刺繍データ処理装置において、前記刺繍模様確認画面に表示される補助情報には、少なくとも前記部分模様についての縫製順序を示す表示が含まれることを特徴とする。
【0030】
この発明によれば、部分模様に関する補助情報として、縫製順序を示す表示が刺繍模様確認画面上に表示される。従って、刺繍模様の部分模様ごとに縫製順序を容易に把握できる。
【0031】
請求項11に記載の刺繍データ処理装置は、請求項から請求項10の何れかに記載の刺繍データ処理装置において、前記刺繍模様確認画面に表示される補助情報には、少なくとも前記部分模様についての縫製時間を示す表示が含まれることを特徴とする。
【0032】
この発明によれば、部分模様に関する補助情報として、縫製時間を示す表示が刺繍模様確認画面上に表示される。従って、刺繍模様の部分模様ごとに縫製に要する時間を明確に認識できる。
【0033】
請求項12に記載の刺繍データ処理装置は、請求項から請求項11の何れかに記載の刺繍データ処理装置において、前記刺繍模様確認画面に表示される補助情報は、選択された一の刺繍模様を構成する全ての部分模様について、同色で表示されることを特徴とする。
【0034】
この発明によれば、選択された刺繍模様についての部分模様に関する補助情報は、全て同色で刺繍模様確認画面上に表示される。従って、刺繍模様確認画面では、部分模様と補助情報を明確に区別することができる。
【0035】
請求項13に記載の刺繍データ処理装置は、請求項12に記載の刺繍データ処理装置において、前記補助情報の表示は、白又は黒の一方により行われることを特徴とする。
【0036】
この発明によれば、選択された刺繍模様についての部分模様に関する補助情報は、全て白又は黒の一方の色で刺繍模様確認画面上に表示される。従って、刺繍模様確認画面では、補助情報が見やすく表示され、部分模様と補助情報を明確に区別することができる。
【0037】
請求項14に記載の刺繍データ処理装置は、請求項1から請求項13の何れかに記載の刺繍データ処理装置において、前記表示処理手段は、カラー表示可能な液晶表示装置を含んで構成されることを特徴とする。
【0038】
この発明によれば、刺繍データ処理装置にはカラー表示可能な液晶表示装置が搭載され、これに刺繍模様表示が行われる。従って、刺繍模様を良好な画質で表示できると共に、小型化、低消費電力化に好適な刺繍データ処理装置が提供される。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。以下の説明では、刺繍データが記録された記録媒体としての外部ROMカードと、この外部ROMカードを読み取って刺繍模様の表示処理及び縫製処理を行う刺繍ミシンに対して本発明を適用した場合の実施の形態を説明する。なお、この刺繍ミシンは、刺繍模様のカラー表示処理を行う刺繍データ処理装置として機能すると共に、刺繍模様の縫製処理を行う縫製装置としても機能する。
【0040】
図1は、本実施形態に係る刺繍ミシンの外観を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係る刺繍ミシンは、実際に加工布に縫製を行う縫針1と、加工布を縫製して刺繍を形成する際に加工布を保持する刺繍枠2と、縫製に伴い加工布を横方向あるいは縦方向に自在に移動させるキャリッジ3とを備えている。なお、キャリッジ3の代わりに、送り歯を用いて加工布を移動させるようにしてもよい。
【0041】
また、刺繍ミシンのボディ4の側面側には、刺繍ミシンの電源をオンオフさせるための電源スイッチ5と、刺繍データが記録される外部ROMカード10を着脱可能なカードスロット6が設けられている。一方、ボディ4の前面側には、カラー表示可能な表示手段であると共にタッチパネルも兼ねるLCD(LiquidCrystalDisplay)パネル7と、縫製の開始時あるいは終了時に押下されるスタート/ストップボタン8と、縫針1を手動で上下に動かす際に押下される針上下ボタン9が設けられている。
【0042】
図2は、本実施形態に係る刺繍ミシンのハードウェア構成を示すブロック図である。図2に示すように、本実施形態に係る刺繍ミシンは、全体の動作を総括的に制御するCPU11と、CPU11における処理に必要なデータ等を一時的に保持するRAM12と、CPU11で実行される制御プログラムや各種の固定データを格納するROM13を備えている。
【0043】
CPU11には、図示しないインターフェースを介して、スタート/ストップボタン8が押下される際の検出信号と針上下ボタン9が押下される際の検出信号がそれぞれ入力される。また、LCDパネル7に一体化されているタッチパネル7aにて使用者に押されたキーに対応する検出信号が入力される。このタッチパネル7aは透明電極が縦横に並べられて構成され、使用者が触れた位置の検出が可能となっている。また、図1では図示されない各種キー14に対応する検出信号が入力される更に、本実施形態に係る刺繍ミシンは、カードスロット6に挿入された外部ROMカード10が接続されており、図示しないインターフェースを介してCPU11に読み取った刺繍データ等が入力される。
【0044】
CPU11は、図示しないインターフェースを介して、メインモータ15、X方向パルスモータ16、Y方向パルスモータ17に制御信号を送出して動作を制御する。メインモータ15は、図示しない駆動機構を介して縫針1を駆動して縫製動作を行わせ、X方向パルスモータ16とY方向パルスモータ17は、刺繍枠2をXY座標データに従って横方向(X軸)又は縦方向(Y軸)に所定の移動量だけ移動させる。
【0045】
また、CPU11は、LCDパネル7に対する表示制御を行う。LCDパネル7には、刺繍ミシンの使用者に視認させるための各種画面がカラー表示される。例えば、複数の刺繍模様を並べて表示する刺繍模様選択画面や選択した刺繍模様の縫製手順等を示す刺繍模様確認画面などがあるが、より詳しくは後述する。
【0046】
図3は、本実施形態に係る刺繍ミシンにより読み取られるモノクロ表示対応の外部ROMカード10のデータ構造を示す図である。本実施形態においては、この外部ROMカード10にN個の刺繍模様についての糸色に関するデータ、モノクロ表示に対応する表示データ、縫製データなどからなる刺繍データが所定のフォーマットに従って記録されている。なお、個々の刺繍模様に対して刺繍模様1〜刺繍模様Nのように番号を付けて表記する。
【0047】
図3に示すように、外部ROMカード10には、先頭部分から、ヘッダ領域10a、色数データ領域10b、糸色コード領域10c、2値表示データ領域10d、縫製データ領域10eの順で領域が区分されている。
【0048】
ヘッダ領域10aは、主に後続の各領域のアドレス情報が記録されたアドレス情報記録領域に対応する。ヘッダ領域10aは所定のアドレスから開始し、色数データ領域10bの先頭アドレスを示す色数ヘッダと、糸色コード領域10cの先頭アドレスを示す糸色コードヘッダと、2値表示データ領域10dの先頭アドレスを示す2値表示データヘッダと、縫製データ領域10eの先頭アドレスを示す縫製データヘッダとがこの順で記録されている。また、ヘッダ領域10aには、2値表示データ領域10dに含まれる刺繍模様1〜刺繍模様Nのそれぞれに対するデータ部分の先頭アドレスが各刺繍模様ごとに順次記録されている。
【0049】
色数データ領域10bには、各刺繍模様ごとに使用する糸色の数を示す色数データが順次記録されている。すなわち、縫製の個々の手順には1つの糸色が用いられるので、色数データは縫製手順に対応して表示すべき部分模様の個数に対応することになる。よって、実際の縫製の際には、刺繍模様に対応する縫製データを用いた縫製処理がそれぞれの糸色ごとに行われて、一体化された全体の刺繍模様が完成することになる。
【0050】
糸色コード領域10cには、各刺繍模様についての部分模様ごとに使用する糸色を示す糸色コードが順次記録されている。すなわち、色数データ領域10bの色数データが示す糸色の数だけの糸色を特定する必要があるので、実際の糸色をコード化した糸色コードに対応づけたものである。なお、本実施形態では64色の糸色が設定可能となっており、糸色コードは8ビットで表現される。
【0051】
2値表示データ領域10dには、各刺繍模様ごとにモノクロ表示に用いる2値表示データが順次記録されている。上述したように、表示すべき刺繍模様としては、縫製により一体化された全体模様と個々の糸色に対応する部分模様の2通りがある。よって、刺繍模様1〜刺繍模様Nについて、一の全体模様に対応する全体模様2値表示データと、複数の部分模様に対応する部分2値表示データが記録されることになる。これら各2値表示データは各画素に1ビット(2値)を割り当てたビットマップデータとなっている。
【0052】
この部分2値表示データには、上述のように部分模様に対応する表示データ部分に加えて、この部分模様に関連する補助情報の表示データ部分を含んでいる。例えば、部分模様の糸色識別表示、縫製順序、縫製時間などの補助情報がある。これらは部分模様と共に表示され、使用者に部分模様についての有用な情報を視覚的に把握させることができる。なお、より詳しくは後述する。
【0053】
縫製データ領域10eには、各刺繍模様について加工布に縫製処理を施す際の縫針1の移動を示す縫製データが順次記録されている。この縫製データにおいては、一の糸色に対して縫針1の1針ごとの針落ち位置がXY座標に従って順次記述され、これを読み取ることによりキャリッジ3の移動制御を行うことができる。また、縫製データには、糸色に対応する部分模様ごとの区切りを示すコードやデータの終了を示すコードなどが含まれている。
【0054】
以上のようなデータ構造を有する外部ROMカード10を、本実施形態に係るカラー表示可能な刺繍ミシンのカードスロット6に挿入することにより読み取り可能となる。本来、この外部ROMカード10はモノクロ表示対応であるため、そのままでは2値表示データを用いたモノクロ表示しか行えない。そこで、本実施形態では、後述するように、表示すべき刺繍模様について、2値表示データ領域10dに記録されている部分2値表示データに対して後述の処理を行い、刺繍模様をカラー表示することにしている。
【0055】
次に、本実施形態に係る刺繍ミシンにおいて行われる刺繍模様の表示処理について、図4乃至図7を参照して説明する。
【0056】
図4は、CPU11により実行される刺繍ミシンの動作を示すフローチャートである。図4に示すように、刺繍ミシンにおける処理が開始されると、ステップS1では各種イニシャル処理が行われる。このイニシャル処理は、表示処理、縫製処理等を行うのに先立って、各メモリ、LCDパネル7、各モータなどの動作に必要な初期設定を行うものである。
【0057】
ステップS2では、外部ROMカード10にて選択可能な複数の刺繍模様について、刺繍模様カラー表示データを生成して、LCDパネル7に刺繍模様選択画面として表示する。すなわち、複数の選択可能な刺繍模様から使用者が縫製しようとする刺繍模様をこの画面上で選択させるためにカラー表示するものである。
【0058】
図5は、刺繍模様選択画面の表示例を示す図である。図5に示す刺繍模様選択画面は、複数ページに渡って表示される刺繍模様のうち、全部で23種類の刺繍模様が一のページに表示されている画面を示す。これら各刺繍模様は縫製の糸色に対応してカラー表示され、実際に加工布に形成される刺繍模様に合致したイメージになっている。
【0059】
なお、図5に示す刺繍模様選択画面に表示される刺繍模様に対応する刺繍模様カラー表示データは、2値表示データ領域10dに記録される部分2値表示データに基づいて生成されるが、詳細な処理方法については後述する。
【0060】
再び図4に戻って、ステップS3では、刺繍ミシンの使用者により刺繍模様が選択されたか否かを判断する。すなわち、図5において、使用者は刺繍模様選択画面を見ながら所望の刺繍模様をLCDパネル7に一体化されたタッチパネル7aに触れて選び出し、最後に「選択」キーを押して選択確定する。なお、表示されているページに所望の刺繍模様がない場合は、「前ページ」キー及び「次ページ」を押してページを変えることができる。
【0061】
ステップS3の判断の結果、特定の刺繍模様が選択された場合には(ステップS3;YES)、ステップS4に移行し、選択されていない場合には(ステップS3;NO)、ステップS3を繰り返し、使用者によって刺繍模様が選択されるのを待つ。ステップS4では、ステップS3において選択された刺繍模様について、上記刺繍模様カラー表示データを生成して、LCDパネル7に刺繍模様確認画面として表示する。すなわち、使用者が選択された刺繍模様の縫製を行う際に、刺繍模様を確認すると共に必要な作業を支援するための表示である。
【0062】
図6は、刺繍模様確認画面の表示例を示す図である。図6に示す刺繍模様確認画面には、左上に選択された刺繍模様が表示されていると共に、その下に各糸色ごとの部分模様が左から縫製順に表示されている。左上の刺繍模様は用いる糸色全てに対応してカラー表示され、部分模様はそれぞれの糸色に対応する一色づつでカラー表示される。また、図6の刺繍模様確認画面上には、部分模様に関連して縫製に必要となる各種の補助情報が表示されている。
【0063】
図6の例では、上述した「象」の刺繍模様が選択された場合を示している。左上には「象」全体の刺繍模様が多色にて表示されている。各部分模様としては、最初に縫製される「象の顔の部分」の部分模様と、次いで縫製される「象の帽子部分」の部分模様と、最後に縫製される「象の顔及び帽子の輪郭」の部分模様が表示される。
【0064】
また、部分模様の上には、縫製順を示す番号が補助情報として表示されている。左から縫製順に部分模様が並んでいることがわかる。
【0065】
更に、部分模様の下には、各部分模様に使用される糸色を識別するための糸色名称が補助情報として表示されている。糸色名称は、左から順にエメラルドグリーン、ウスムラサキ、ウスアカムラサキとなっている。そして、上記3つの部分模様の画面上における色が、この3つの糸色に合致した状態になるようなカラー表示と対応している。
【0066】
再び図4に戻って、ステップS5では、選択された刺繍模様を用いて縫製を開始するか否かを判断する。実際には、使用者によりスタート/ストップボタン9が押されることにより縫製が開始されるので、スタート/ストップボタン9の入力を監視して判断すればよい。ステップS5の判断の結果、縫製が開始される場合は(ステップS5;YES)、ステップS6に移行し、縫製がまだ開始されない場合は(ステップS5;NO)、ステップS10に移行する。
【0067】
ステップS6では、CPU11からの制御信号に基づきメインモータ15の駆動を開始する。次いで、ステップS7では、選択した刺繍模様を加工布に形成するための縫製処理を行う。この縫製処理に際しては、外部ROMカード10の縫製データ領域10eから、刺繍模様に対応する縫製データを読み出して、これに基づき針落ち位置ごとのキャリッジ3のX、Y方向の移動量が制御される。
【0068】
ステップS8では、CPU11に対する縫製処理の停止要求の有無を判断する。例えば、縫製処理中に使用者によりスタート/ストップボタン9が押されることによりCPU11に停止要求が出され、縫製処理は終了する。ステップS8の判断の結果、縫製処理の停止要求があった場合は(ステップS8;YES)、ステップS9に移り、停止要求がない場合は(ステップS8;NO)、ステップS7の縫製処理を継続する。
【0069】
ステップS9では、CPU11からの制御信号に基づきメインモータ15の駆動を停止する。その後、ステップS5に戻って選択中の刺繍模様に対する縫製処理の再開、あるいはそれ以外の処理が行われるのを待つ。
【0070】
一方、ステップS5からステップS10に移行すると、上記刺繍模様確認画面の右下の「戻る」キーが押されたか否かを判断する。この「戻る」キーを押すと、そのとき表示されている画面の前に表示されていた画面に戻るので、刺繍模様選択画面が再度表示されることになる。ステップS10の判断の結果、「戻る」キーが押された場合は(ステップS10;YES)、ステップS2に移ってそれ以降の刺繍模様選択画面表示の処理を再度行い、「戻る」キーが押されていない場合は(ステップS10;NO)、ステップS11に移る。
【0071】
ステップS11では、「戻る」キー以外のキーが押されたか否か判断する。その結果、何らかのキーが押された場合は(ステップS11;YES)、ステップS12でそのキーに対応した処理を行う。例えば、加工布に対する刺繍模様のレイアウトを設定する「レイアウト」キーや、刺繍ミシンの機能説明を表示させる「ヘルプ」キーなどのキーがある。一方、ステップS11の判断の結果、キーが押されていない場合は(ステップS11;NO)、ステップS12は実行されない。ステップS11又はステップS12の処理を終えると、ステップS5に戻って縫製処理の開始を待つ。
【0072】
次に、図7は、上記ステップS4の刺繍模様確認画面の表示処理について、より詳しく説明したフローチャートである。なお、ここで説明する刺繍模様表示カラーデータの生成処理と表示処理については、上記ステップS2の刺繍模様選択画面において個々の刺繍模様を表示する場合にも同様の処理が行われる。
【0073】
図7に示す処理が開始されると、ステップS21において必要な初期設定を行う。例えば、選択された刺繍模様について最初の糸色から始めるように設定する。
【0074】
ステップS22では、外部ROMカード10の2値表示データ領域10dから対応する部分2値表示データを読み出す。
【0075】
ステップS23では、ステップS22で読み出した部分2値表示データを3つのデータに分離してそれぞれを抽出する。すなわち、図6の刺繍模様確認画面上に表示される本来の部分模様に対応する部分模様データと、補助情報としての糸色識別表示に対応する糸色名称データと、補助情報としての縫製順序に対応する縫製順データの3つである。
【0076】
これら3つのデータは、ビットマップデータとしての部分2値表示データの全体領域において、分離の際の切断位置が予め一律に座標データとして設定されている。つまり、Y軸上で0から0≦Y<Y1の範囲が縫製順データ、Y1≦Y<Y2の範囲が部分模様データ、Y2≦Y<Y3の範囲が糸色名称データとなる位置関係にあり、これら所定のY1、Y2がそれぞれ切断座標データに相当する。このように、Y方向で分離可能であることは図6の表示からも明らかである。従って、Y=Y1、Y=Y2の切断座標で部分2値表示データを分離すれば、上述の3つのデータを抽出することが可能である。
【0077】
次いで、ステップS24では、ステップS23にて抽出された糸色名称データを元に糸色判定処理を行う。例えば、ROM13に選択可能な糸色についての糸色名称データに対応するビットマップデータが格納されるデータテーブルを設け、これと比較して一致する場合のビットマップデータに対応する糸色を判定結果とすればよい。この場合、同一の糸色に対しては、部分2値表示データに含まれる糸色名称データの部分と、データテーブルに格納されるデータとが同一のデータ内容となるよう設定しておく必要がある。
【0078】
なお、上述の外部ROMデータ10の糸色コード領域10cに記録される糸色コードを読み出しても、同様に糸色の判定を行える。しかし、実際には、常に表示データとセットで糸色コードが得られるとは限らないので、このような場合でも糸色が判断可能となるように、上述のような糸色判定処理について説明した。
【0079】
ステップS25では、ステップS23で抽出した部分模様データをカラー表示データに変換する。具体的には、部分2値表示データのそれぞれの画素データは2値で表されるので、これを、ステップS24で判定された糸色に対応して所定の色情報を有する多値の画素データに変換すればよい。全ての画素について変換を行えば、糸色に対応する部分模様カラー表示データが得られる。例えば、各画素に1ビット割り当てた部分模様データを、各画素に8ビット程度を割り当てたビットマップデータに変換すればよい。
【0080】
ステップS26では、ステップS25で得られた部分模様に対するカラー表示データと、ステップS23で抽出された縫製順データ、糸色名称データを、刺繍模様確認画面上の所定の表示位置に表示処理する。具体的には、図6に示すように、上から縫製順データ、部分模様に対するカラー表示データ、糸色名称データの順で表示される。このとき、部分模様データのみカラー化された状態で、ステップS23で分離される以前の位置関係となるよう表示位置を設定する。
【0081】
なお、刺繍模様確認画面上において、縫製順データと糸色名称データの表示色は、糸色とは無関係に予め設定された特定の色に設定すればよい。これにより、部分模様と補助情報が容易に区別されるので、縫製順と糸色名称の視認性を高めることができる。また、縫製順データと糸色名称データに設定された表示色を白又は黒に設定すれば、更に見やすくなり、一層視認性を高めることができる。
【0082】
ステップS27では、部分模様に対応してステップS25で得られたカラー表示データから、全体模様カラー表示を生成するための合成処理を行う。すなわち、刺繍模様確認画面に表示すべき刺繍模様カラー表示データを生成する際に、部分模様に対するカラー表示データを縫製順に従って重ね合わせるものである。
【0083】
なお、ステップS27において、処理が先行するカラー表示データに対し、後続のカラー表示データの特定の表示領域が重なる場合には、上書きすればよい。すなわち、縫製処理では刺繍を形成する際、縫製済みの糸に対し、後に使用する糸が上に重なるのが通常であるため、ステップS27で縫製順に順次上書きを行えば、加工布に形成される刺繍に合致した刺繍模様カラー表示データが得られる。なお、表示領域が重ならない場合は、上書きを行う必要はない。
【0084】
ステップS28では、一の刺繍模様についての全ての糸色に対してステップS22乃至ステップS27の処理終えたか否かを判断する。その結果、全ての糸色に対し処理を終えている場合は(ステップS28;YES)処理を終え、まだ処理すべき糸色が残っている場合は(ステップS28;NO)、ステップS29に移行する。
【0085】
ステップS29では、次に処理すべき糸色の設定を行う。現在、一の刺繍模様についてi番目の糸色について処理を行ったのであれば、次はi+1番目の糸色について処理を行えばよい。その後、ステップS22に移行して、上述したような処理を継続する。
【0086】
ステップS21乃至ステップS29の処理を行うことにより、図6に示すように、選択された刺繍模様と、この刺繍模様ついての糸色ごとの部分模様と、部分模様に関連する種々の補助情報が順次カラー表示される。
【0087】
なお、ステップS23では、切断座標データがY=Y1、Y2のように簡単な直線で表せる場合を説明したが、直線以外の複雑な形状で各データ部分を切断するためのデータとしてもよい。また、切断座標データが固定値として設定されている場合を説明したが、切断座標データを可変設定できるようにして、刺繍模様とその部分模様の種類に応じて異なる切断座標データが設定されるようにしてもよい。
【0088】
また、上述の例では、部分2値表示データに付加される補助情報として、糸色識別表示と縫製順序とが表示される場合を説明したが、これ以外の補助情報が表示されるようにしてもよい。例えば、部分模様ごとの縫製時間を補助情報として表示してもよい。
【0089】
このように、本実施形態に係る刺繍ミシンによれば、カラー表示可能なLCDパネル7を搭載し、モノクロ表示対応の外部ROMカード10から読み出した多数の刺繍模様について、部分2値表示データから部分模様データを抽出してカラー表示データに変換すると共に、これらを合成処理して全体の刺繍模様カラー表示データを得るようにした。そして、刺繍模様選択画面、刺繍模様確認画面をカラー表示するようにしたので、使用者は出来上がりの刺繍模様のイメージに基づいて所望の刺繍模様を選び出すことができると共に、糸色ごとの縫製処理に伴う作業を円滑に行うことができる。これに加えて、刺繍模様に関連する補助情報を視覚的に把握することが可能となる。
【0090】
一方、カラー表示対応の外部ROMカードを用いる場合は、上述の処理を行うまでもなく、記録されているカラー表示データを読み出して、そのまま表示に用いることができる。しかし、本実施形態のように、モノクロ表示対応の外部ROMカード10を利用可能にしておけば、既存のデータが有効活用されるので経済的かつ合理的であり、刺繍模様のバリエーションも増加する。
【0091】
なお、上述の実施形態では、刺繍模様についてカラー表示処理に対応させる場合の処理を説明したが、これ以外にも、刺繍模様について3値以上の多値データを用いた表示処理に対応させる場合であっても本発明の適用が可能である。例えば、多値表示データに対応して濃淡に差がある階調表現を含んだ表示を行いたい場合であっても、表示画面における違いを除き、上述の実施形態と同様の構成及び処理にて本発明の適用が可能である。
【0092】
また、上述の実施形態に係る外部ROMカード10には、刺繍データとして表示データ以外の色数データ、糸色コード、縫製データを含む場合について説明したが、これらのデータ全てが刺繍データに必ずしも含まれる必要はない。すなわち、色数データは縫製データの区切りを示すコードから検出することが可能である。また、既に述べたように糸色コードが含まれなくても、部分2値表示データに基づいて糸色の判定を行うことができる。更に、縫製データは各刺繍模様の部分模様の表示データに基づいて生成してもよい。
【0093】
また、上述の実施形態では、外部ROMカード10を刺繍ミシンのカードスロット6に挿入して刺繍データを読み取る場合を説明したが、外部ROMカード10を着脱自在な専用の読み取り装置を刺繍データ処理装置に接続して、読み取った刺繍データを刺繍データ処理装置に転送するようにしてもよい。あるいは、刺繍データ処理装置をネットワーク接続して、刺繍データをネットワーク経由で取得するようにしてもよい。更に、外部ROMカード10として、コンピュータ読み取り可能なフロッピー(登録商標)ディスク、CD−ROM、DVD−ROM等の記録媒体に刺繍データを記録させて用いてもよい。
【0094】
また、上述の実施形態では、刺繍模様の表示処理と縫製処理を共に行う刺繍ミシンの場合について説明を行ったが、これに限られず、刺繍模様の縫製処理を行わずに主に表示処理を行う刺繍データ処理装置あるいは刺繍模様表示装置に対しても本発明の適用が可能である。この場合には、刺繍データに対する表示処理を行う刺繍データ処理装置あるいは刺繍模様表示装置に縫製処理を行う縫製装置を接続して構成すれば、表示された刺繍模様を加工布に縫製することができる。例えば、刺繍データ処理装置としてのパーソナルコンピュータを用いて刺繍模様の表示処理を行うソフトウェアを起動するようにしてもよい。
【0095】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、部分模様の2値表示データから補助情報に対応する部分を除いた上で、変換処理、合成処理を経て刺繍模様カラー表示データを生成し、カラー表示するようにしたので、カラー対応ではない刺繍データを用いて刺繍模様のカラー表示を行うことができ、既存のデータを有効活用して刺繍模様の視認性を高めることができる。
【0096】
【0097】
請求項に記載の発明によれば、部分2値表示データを合成する際、互いに表示領域が重なる部分を、縫製順に順次上書きするようにしたので、簡易な処理を用いて実際の縫製に適合した刺繍模様表示が可能となる。
【0098】
請求項に記載の発明によれば、外部記録媒体に記録される刺繍データを読み取り、表示処理を行うようにしたので、多様なデータを供給可能となり、多数の刺繍模様を視認して所望の刺繍模様を容易に選択可能となる。
【0099】
請求項に記載の発明によれば、刺繍模様表示装置自体又は周辺装置に着脱される記録媒体、ネットワーク接続される記録媒体から刺繍データを読み取り表示処理を行うようにしたので、データの入手経路は多様となり、利用可能な刺繍模様のバリエーションを増加させることができる。
【0100】
請求項に記載の発明によれば、ビットマップデータを用いて画素ごとに2値から多値への変換を行うようにしたので、単純な処理を用いて簡易に刺繍模様をカラー表示させることができる。
【0101】
請求項に記載の発明によれば、2値表示データに対し予め設定された切断座標データに従い、部分模様2値表示データを切り出し抽出するようにしたので、簡易な処理を用いて2値表示データから不要な補助情報を除外し、刺繍模様のカラー表示処理を容易に行うことができる。
【0102】
請求項に記載の発明によれば、複数の刺繍模様表示データを並べた刺繍模様選択画面と、選択された刺繍模様を表示する刺繍模様確認画面をカラー表示するようにしたので、使用者は所望の刺繍模様を容易に選び出すことができ、縫製手順や糸色を視覚的に確認することが可能となる。
【0103】
請求項に記載の発明によれば、選択された刺繍模様についての各部分模様を関連の補助情報と共に刺繍模様確認画面上に表示するようにしたので、縫製処理における有用な情報が視覚的に把握可能となる。
【0104】
請求項に記載の発明は、補助情報として部分模様についての糸色識別表示を含ませたので、部分模様ごとに縫製に用いる糸色を一見して明確に把握可能となる。
【0105】
請求項10に記載の発明は、補助情報として部分模様についての縫製順序を示す表示を含ませたので、部分模様ごとに縫製する際の順番を容易に把握可能となる。
【0106】
請求項11に記載の発明は、補助情報として部分模様についての縫製時間を示す表示を含ませたので、部分模様ごとに縫製に要する時間を一見して明確に認識可能となる。
【0107】
請求項12に記載の発明は、一の刺繍模様を構成する全ての部分模様についての補助情報を同色で表示するようにしたので、部分模様と補助情報を明確に区別することができる。
【0108】
請求項13に記載の発明は、一の刺繍模様を構成する全ての部分模様についての補助情報を白又は黒の一方で表示するようにしたので、補助情報が見やすくなり、しかも部分模様と明確に区別することができる。
【0109】
請求項14に記載の発明によれば、カラー表示可能な液晶表示装置を用いて刺繍模様をカラー表示するようにしたので、良好な画質で刺繍模様を視認でき、小型化、低消費電力化に好適な刺繍データ処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る刺繍ミシンの外観図である。
【図2】本発明の実施形態に係る刺しゅうミシンのハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】刺繍データが記録された外部ROMカードのデータ構造を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る刺繍ミシンの動作を示すフローチャートである。
【図5】LCDパネルに表示される刺繍模様選択画面の表示例を示す図である。
【図6】LCDパネルに表示される刺繍模様確認画面の表示例を示す図である。
【図7】刺繍模様確認画面の表示処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…縫針
2…刺繍枠
3…キャリッジ
4…ボディ
5…電源スイッチ
6…カードスロット
7…LCDパネル
7a…タッチパネル
8…スタート/ストップボタン
9…針上下ボタン
10…外部ROMカード
10a…ヘッダ領域
10b…色数データ領域
10c…糸色コード領域
10d…2値表示データ領域
10e…縫製データ領域
11…CPU
12…RAM
13…ROM
14…各種キー
15…メインモータ
16…X方向パルスモータ
17…Y方向パルスモータ

Claims (14)

  1. 縫製すべき刺繍模様を糸色ごとに分割した部分模様を表示すると共に該部分模様に関する補助情報を表示するための2値表示データを少なくとも含む刺繍データに対する処理を行う刺繍データ処理装置であって、
    前記刺繍データ対し、一の部分模様についての前記2値表示データから前記補助情報に対応するデータ部分を除いた該一の部分模様に対する部分模様2値表示データを抽出する抽出手段と、
    前記抽出手段により抽出された前記部分模様2値表示データを、該部分模様についての前記糸色に対応してカラー表示データに変換する変換手段と、
    一の刺繍模様を構成する前記部分模様に対応する前記カラー表示データを合成して該一の刺繍模様に対応する刺繍模様カラー表示データを生成する合成手段と、
    前記合成手段により生成された刺繍模様カラー表示データに対する表示処理を行う表示処理手段と、
    を備えることを特徴とする刺繍データ処理装置。
  2. 前記合成手段は、前記一の刺繍模様を構成する前記部分模様に対応する前記カラー表示データを順次合成し、それぞれのカラー表示データが互いに重なる表示領域においては、縫製順が先行するカラー表示データに、縫製順が後続のカラー表示データを上書きするようにして前記刺繍模様カラー表示データを生成することを特徴とする請求項1に記載の刺繍データ処理装置。
  3. 外部記録媒体に記録されている前記刺繍データを読み取る読み取り手段を更に備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の刺繍データ処理装置。
  4. 前記外部記録媒体は、前記刺繍データ処理装置又は前記刺繍データ処理装置に接続された周辺装置に着脱自在、あるいは前記刺繍データ処理装置とネットワークを介して接続自在な記録媒体であることを特徴とする請求項に記載の刺繍データ処理装置。
  5. 前記2値表示データ及び前記部分模様2値表示データはビットマップデータであり、前記変換手段は、表示画素ごとに2値画素データを前記糸色に対応する多値画素データに変換することを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の刺繍データ処理装置。
  6. 前記抽出手段は、前記2値表示データに対し予め設定された切断座標データに従って、前記部分模様2値表示データを切り出して抽出することを特徴とする請求項5に記載の刺繍データ処理装置。
  7. 前記表示処理手段の表示画面には、前記合成手段により生成された複数の刺繍模様カラー表示データを並べてカラー表示する刺繍模様選択画面と、選択された一の刺繍模様に対し前記合成手段により生成された刺繍模様カラー表示データをカラー表示する刺繍模様確認画面とが含まれることを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載の刺繍データ処理装置。
  8. 前記刺繍模様確認画面には、選択された一の刺繍模様を構成する前記部分模様に対応する前記カラー表示データと、この部分模様に関する前記補助情報が更に表示されることを特徴とする請求項7に記載の刺繍データ処理装置。
  9. 前記刺繍模様確認画面に表示される補助情報には、少なくとも前記部分模様についての糸色識別表示が含まれることを特徴とする請求項8に記載の刺繍データ処理装置。
  10. 前記刺繍模様確認画面に表示される補助情報には、少なくとも前記部分模様についての縫製順序を示す表示が含まれることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の刺繍データ処理装置。
  11. 前記刺繍模様確認画面に表示される補助情報には、少なくとも前記部分模様についての縫製時間を示す表示が含まれることを特徴とする請求項8から請求項 10の何れかに記載の刺繍データ処理装置。
  12. 前記刺繍模様確認画面に表示される補助情報は、選択された一の刺繍模様を構成する全ての部分模様について、同色で表示されることを特徴とする請求項8から請求項11の何れかに記載の刺繍データ処理装置。
  13. 前記補助情報の表示は、白又は黒の一方により行われることを特徴とする請求項12に記載の刺繍データ処理装置。
  14. 前記表示処理手段は、カラー表示可能な液晶表示装置を含んで構成されることを特徴とする請求項1から請求項13の何れかに記載の刺繍データ処理装置。
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