JP3721378B2 - 基板重ね合せ封止方法 - Google Patents
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Description
本発明は、例えば液晶ディスプレー(LCD)やプラズマディスプレー(PDP)などのフラットパネルディスプレーの製造過程において、それに用いられる二枚の基板を相対的にXYθ方向へ位置合わせ(アライメント)した後に、これら基板同士を重ね合わせて封止し、その後、上下両基板の内外に生じる気圧差で両基板の間を所定のギャップまで加圧する基板貼り合わせ機の基板重ね合せ封止方法に関する。
詳しくは、上方保持板に上側基板を静電吸着手段により着脱自在に保持し、この上側基板と対向する下側基板を下方保持板の上に着脱自在に保持し、これら上下基板同士の位置合わせを行い、その周囲が所望の真空度になった時に、静電吸着手段による上側基板の保持を解除して、上側基板を下側基板上に重ね合わせ封止する基板重ね合せ封止方法に関する。
背景技術
従来、この種の基板重ね合せ封止方法として、加圧板が内部に電極板を内蔵した絶縁性部材で構成され、上側基板(上基板)を保持できる静電吸着手段(静電吸着機能)を備えており、この静電吸着手段で上側基板を上方保持板に保持させ、これら両基板をXY方向へ位置合わせした後、真空チャンバ内を減圧し、この真空チャンバ内が所望の真空度になったところで、静電吸着機能を解除して、上側基板を下側基板上に落下させて上下両基板を重ね合わせ、その加圧板を降下させることで、上下両基板を加圧して両者の間隔を所定のギャップに貼り合わせるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】
特開2001−166272号公報(第6頁、図8)
しかし乍ら、このような従来の基板重ね合せ封止方法では、静電吸着手段の解除により真空中で上側基板を自由落下させるが、静電吸着手段による基板吸着力は、その電源を遮断しても基板吸着力が直ぐには消滅せず作用し続けるため、その後の基板吸着力の低下により解除ムラが発生して、静電吸着面と上側基板との界面が部分的に剥がれ始め、そして最後には上側基板の全面が剥がれて自由落下することになる。
それにより、上側基板は、最後に剥がれた箇所を中心として回転移動しながら自由落下するため、両基板同士の位置合わせに誤差が発生すると共に、自由落下の圧力では封止が不完全となって空気が混入し易いという問題があった。
更に、上側基板は、静電吸着面に対して先に剥がれ始めた箇所から重力により部分的に垂れ下がって傾きが発生し、しかも、この傾きは状況に応じて変化し易いため、自由落下中に修正することが不可能であると共に、下側基板の上に落下した後も修正することは困難であって、所定の平行度を達成できないという問題があった。
ところで、近年では基板が大型化する傾向で一辺が1000mmを超えるものまで製造され始めているが、基板が大型化されても小型の基板と同様な平行度が要求される。特に基板の一辺が1000mmを超えると、このXY方向の大きさに比べてZ方向の間隔が極端に小さくなるため、これら上下基板を完全な平行のまま接近移動させるのが理想ではあるが、実際には非常に困難である。
このような環境下において、一辺が1000mmを超える大型の上側基板が僅かでも傾くと、XY方向の大きさに比べてZ方向の間隔が極端に小さいため、上下基板の対向面のどちらか一方に予め塗布される液晶封止用シール材(環状接着剤)や両基板の膜面を損傷させるなどの障害を発生させる恐れがあり、到底正常な貼り合わせは期待できないという問題がある。
本発明のうち請求項1記載の発明は、静電吸着力の解除ムラに関係なく上側基板を位置合わせされたまま強制的に落下させることを目的としたものである。
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の発明の目的に加えて、静電吸着力の解除ムラによる上側基板の位置ズレを完全に防止することを目的としたものである。
請求項3記載の発明は、請求項1または2に記載の発明の目的に加えて、上下保持板の静電吸着面や上下両基板の平行度に関係なく上側基板を下側基板と平行に重ねることを目的としたものである。
発明の開示
前述した目的を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、静電吸着手段による上側基板の保持解除と連動して、該上側基板の背面側から気体を噴出させ、この気体を上方保持板の静電吸着面と上側基板の背面との間に強制注入することにより、これら静電吸着面と基板面の密着状態を破壊し両者を剥離することで、両者間の静電吸着力が強制的に減衰されて消滅すると共に、注入した気体の圧力で下側基板への落下力、即ち落下の加速度が強制的に作用され、それにより、該上側基板が瞬時に下側基板の上へ圧着し、静電吸着手段で保持したまま上側基板が姿勢変化することなく下側基板の上へ移動して圧着され、上下基板を封止して重ね合わされる。
従って、静電吸着力の解除ムラに関係なく上側基板を位置合わせされたまま強制的に落下させることができる。
その結果、静電吸着の解除によって上側基板を自由落下させる従来のものに比べ、両基板同士の位置合わせ誤差を防止できると共に、封止空間を確実に形成できて空気の混入を防止できる。
更に、静電吸着面からの上側基板の剥離に伴って全く傾きが発生しないので、所定の平行度を達成でき、しかも一辺が1000mmを超える大型基板であっても、上側基板の傾きに起因する液晶封止用シール材(環状接着剤)や両基板の膜面を損傷させるなどの障害を完全に防止できる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明に加えて、静電吸着手段で上側基板の保持が解除されると略同時か又は直後のいまだ静電吸着力が残存する状態において、上側基板の背面側から気体の噴出を開始することにより、静電吸着力の解除ムラが発生する前に、気体圧力で上方保持板の静電吸着面から上側基板が強制的に剥離される。
従って、静電吸着力の解除ムラによる上側基板の位置ズレを完全に防止できる。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明の構成に加えて、強制的に落下させるテスト結果に応じて、上側基板に対する気体の噴出量、噴出速度及び噴出位置を調整することにより、強制落下する上側基板の姿勢が制御可能となる。
従って、上下保持板の静電吸着面や上下両基板が完全な平行でなくても上側基板を下側基板と平行に重ねることができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の一実施例を示す基板重ね合せ封止方法の実施に直接使用する基板貼り合わせ装置の縦断正面図であり、(a)が基板同士の微合わせ後の状態を示す全体図であり、(b)は静電吸着面から上側基板を強制的に剥離する前の状態を部分拡大して示し、(c)は剥離後の状態を部分拡大して示している。
図2は、基板のセット時を示す説明図である。
図3は、基板同士の組合わせ時を示す説明図である。
図4は、貼り合わせ後の状態を示す説明図である。
発明を実施するための最良な形態
本発明の基板重ね合せ封止方法を実施するために直接使用する基板貼り合わせ装置は、図1〜図4に示す如く、上方保持板1及び下方保持板2の背後にZ方向へ相対的に移動自在に配設された上下一対の取付体3,4と、これら取付体3,4の接近移動によって取付体3,4の間に上下保持板1,2が囲まれるように区画形成した閉空間S1と、上方保持板1及び下方保持板2に配設された上側基板Aと下側基板Bを夫々着脱自在に保持するための保持手段5とを備えている。
この実施例は、上方保持板1が、XYθ(水平)方向へ移動可能な板状の上方取付体3に対してZ(上下)方向のみへ移動自在に取り付けた上定盤1であり、下方保持板2が、板状の下方取付体4の上に一体的に固定した下定盤2であり、これら上定盤1及び下定盤2の対向面に保持した二枚のガラス製基板A,Bを真空な閉空間S1内で重ね合わせ、相対的にXYθ方向へ調整移動させることにより、両基板A,B同士の位置合わせとして組合わせと微合せが順次行われる場合を示すものである。
上定盤1及び下定盤2は、例えば金属やセラミックスなどの剛体で歪み(撓み)変形しない厚さの平板状に構成され、本実施例の場合には上定盤1を、上方取付体3の周縁部3aに対してZ方向へ調整移動自在に支持し、下定盤2を下方取付体4の中央部分の上に載置固定して歪み変形しないようにすると共に、この下方取付体4の中央部分を筺状の架台14の上に連結して更に歪み変形しないようにしている。
図示例の場合には、例えば上方取付体3の周縁部3aに複数開穿された横孔3bに対し、上定盤1の側面に複数連設された支持梁1aを夫々遊嵌状に挿通されるなどしてZ方向のみへ調整移動自在に支持されると共に、これら両者間を例えばベローズなどの弾性シール材1bで密閉する。
更に必要に応じて、上方取付体3から上定盤1の上面に亘ってZ方向のみ弾性変形可能な例えばスプリングなどの弾性部材1cを複数連設しても良い。
なお、上方取付体3は、図示例の場合、平板状に形成された保持本体と、その周縁に対し気密状に連結された分離可能な額縁状の周縁部3aとから構成されているが、これらを一体に形成しても良い。
上記保持手段5は、本実施例の場合には、上定盤1及び下定盤2の対向面に夫々に開穿した複数の通気孔5a1から例えば真空ポンプなどの吸引源(図示せず)により吸引して基板A,Bを吸着する吸引吸着手段5a,5aと、真空中における吸着保持するための静電吸着手段5b,5bと、基板搬送用ロボット(図示せず)から上下基板A,Bを受け取って該上下定盤1,2の基板保持面まで移送するための受け渡し用吸着保持手段5c,5cとが配設されている。
上記吸引吸着手段5a,5aの吸引源と静電吸着手段5b,5bの電源は、コントローラー(図示せず)で動作制御され、両基板A,Bをセットする初期状態に吸引吸着及び静電吸着が開始され、両基板A,Bの微合わせが完了した後に、上側基板Aだけの吸引吸着及び静電吸着を解除し、後述する閉空間S1が大気に戻った後は下側基板Bの吸引吸着及び静電吸着を解除して初期状態に戻す。
図示例では、上記静電吸着手段5b,5bが、互いに接近させて並列状に配置された静電チャックであり、上下定盤1,2の対向面との間に介在された金属製の台座5d,5dに対して静電チャックを着脱自在に連結固定し、これら静電チャックの表面である静電吸着面5b1,5b1の全面に亘って、上記吸引吸着手段5a,5aの通気孔5a1,5a1を夫々適宜間隔毎に複数個ずつ開設している。
上記受け渡し用吸着保持手段5c,5cは、静電チャックの台座5d,5d、上下定盤1,2及び上下取付体3,4に亘ってZ方向へ移動自在に貫通して複数配置されたリフトピンなどであり、基板搬送用ロボット(図示せず)が吸着保持する上下基板A,Bの非貼り合せ面を干渉しない位置で吸着し直して上下定盤1,2の基板保持面である静電チャックまで移送させるようになっている。
更に必要に応じて上下定盤1,2の対向面と台座5d,5dとの間には、例えば皿バネなどの高さ調整治具1d,2dを介装することにより、これら台座5d,5dの対向面の平行度を微調整するようにしても良いし、高さ調整治具1d,2dを介装せずに台座5d,5dと上下定盤1,2を接着しても良い。
なお、両基板A,Bの保持手段は、上述したものに限定されず、例えば低真空であれば、真空差を利用した真空吸着手段を、静電吸着手段5b,5bに代えて使用しても良い。
上方取付体3の周縁部3aと下方取付体4の周縁部4aとの間には、これら両者間の密閉状態を維持したまま相対的にXYθ方向へ移動自在に支持する移動シール手段6が、両基板A,Bを囲むように環状に設けられ、これら取付体3,4の接近移動によって上下取付体3,4の間に閉空間S1を上下定盤1,2が囲まれるように区画形成する。
図示例の場合には、上下両基板A,Bが矩形であるため、移動シール手段6を平面額縁状に形成しているが、これに限定されず、例えばウェーハーのように両基板A,Bが円形の場合には、その外周に沿って相似する形状に形成される。
この移動シール手段6は、本実施例の場合、上下両基板A,Bの平面形状に合わせて横断面矩形又は円形に形成された移動ブロック6aと、この移動ブロック6aの上面に装着した上方取付体3の周縁部3aと接離する例えばOリングなどのZ方向へ弾性変形可能な環状シール材6bと、移動ブロック6aの下面に装着した下方取付体4の周縁部4aと常時接触してXYθ方向へ移動可能な例えばOリングなどの環状の真空シール6cとから構成される。
この真空シール6cには、必要に応じて例えば真空グリースを使用し、図示例では、移動ブロック6aの内側下面から下方取付体4の周縁部4aに亘って真空シール6cを一重のみ介装したが、これに限定されず、図示せぬが移動ブロック6aの外側下面にも真空シール6cを追加して二重介装しても良く、これと同様に環状シール材6bも内外に二重介装しても良い。
また、前記基板A,Bの対向面のどちらか一方、本実施例の場合には下側基板Bの表面周縁部に沿って、予め液晶封止用シール材として環状接着剤Cが閉鎖した額縁状に予め塗布され、その内部には液晶(図示せず)が充填されると共に、必要に応じて多数のギャップ調整用スペーサー(図示せず)が散布されている。
そして、上側基板Aが環状接着剤Cに全く接触しないように上下基板A,Bの間隔を維持した状態で、上述した組合わせが行われ、その後、上側基板Aを下降して環状接着剤Cの少なくとも周方向一部と部分的に接触させた状態で、上述した微合わせが行われる。
これら組合わせと微合わせを行うために、上下取付体3,4に対して上下定盤1,2のどちらか一方又は両方をZ方向へ平行移動させる基板間隔調整手段7と、移動シール手段6と上下取付体3,4のどちらか一方とをXYθ方向へ係合して一体化させる係合手段8と、移動シール手段6をXYθ方向へ調整移動させる水平移動手段9と、上定盤1及び下定盤2の相対的なXYθ方向への調整移動に伴って同方向へ移動可能な鉛直(Z)方向へ大きな剛性を有する位置調整手段10と、閉空間S1を開閉させるために上下取付体3,4を相対的にZ方向へ昇降させる昇降手段11と、閉空間S1内の気体を出し入れして所定の真空度にする吸気手段12とが備えられる。
上記基板間隔調整手段7は、本実施例の場合、Z方向へ調整移動自在な上定盤1の支持梁1aへ向けて、移動ブロック6aの上面に周方向へ等間隔毎に複数配設した例えばリニアアクチュエーターなどのZ方向へ伸縮動する駆動体であり、後述する昇降手段11によって接近移動した両基板A,Bの間隔を更に接近移動させて、粗合わせと微合わせが順次行われる。
この基板間隔調整手段7の駆動体は、コントローラー(図示せず)で動作制御され、両基板A,Bをセットする前の時点で、基板A,Bの厚みバランスなどの変化要因を考慮して各駆動体を別々に伸長させることにより、上下定盤1,2が平行となるように設定し、その後の閉空間S1が形成された状態では、上側基板Aが下側基板B上の環状接着剤Cや液晶に全く接触しない約1mm〜2mm程度の隙間を開け、その後、両基板A,Bの粗合わせ及び微合わせに連動して順次短縮動させることにより、上下両基板A,Bの間隔を両基板A,Bの位置合わせ精度が測定で十分確保できる間隔まで段階的に接近させ、閉空間S1が大気圧に戻った後は伸長させて初期状態に戻す。
その具体例を述べれば、粗合わせを行う前にはその最小値として上側基板Aが環状接着剤Cと接触しない約0.5mm程度まで接近させることが好ましく、微合わせを行う前にはその最小値として、上側基板Aが環状接着剤Cの少なくとも周方向一部に部分的に接触しても下側基板Bとは接触しない約0.1mm〜0.2mm程度まで更に接近させることが好ましい。
なお、図示せぬが基板間隔調整手段7の駆動体を、上方取付体3の周縁部3aから上定盤1の支持梁1aへ向けて配設しても良い。
上記係合手段8は、本実施例の場合、移動シール手段6の移動ブロック6aと上方取付体3の周縁部3aとの対向面に夫々形成したZ方向のみに嵌合する凹部8a及び凸部8bから構成され、図示例では、この凹部8aを移動シール手段6の移動ブロック6a上面に凹設し、凸部8bを上方取付体3の周縁部3a下面に凸設しているが、これらを上下逆に配置しても良い。
上記水平移動手段9は、本実施例の場合、閉空間S1の外側に少なくとも3つ以上配設されるモーター9aに連設したカム9bと、このカム9bを移動ブロック6aに常時当接させる例えばスプリングなどの弾性体9cからなり、両基板A,Bに表示されたマークを顕微鏡とカメラで構成された検出器(図示せず)から出力されるデータに基づいてモーター9aを作動させることにより、移動ブロック6a及びそれに係合した上方取付体3がXYθ方向へ押動されて、上定盤1に保持された上側基板Aの粗合わせと微合わせを行っている。
なお、水平移動手段9はモーター9aに連設したカム9bに限定されず、例えばアクチュエーターなどの他の駆動源であっても良い。
上記位置調整手段10は、本実施例の場合、Z方向へ延びる略平行な複数部材で構成され、これらの一端部を相互に接合すると共に、他端部を移動シール手段6の移動ブロック6aと下方取付体4に夫々接合して、複数部材の一部をXYθ方向のみへ屈曲変形自在に支持している。
更に詳しく説明すれば、この複数部材が移動ブロック6aの下面から下方取付体4の周縁部4aへ向けて懸垂するように接合されたZ方向へ大きな剛性を有する中心部材10aと、その周囲を囲むように下方取付体4の周縁部4aの下面に懸垂するように接合されたXYθ方向へ屈曲変形な周囲部材10bと、これら中心部材10a及び周囲部材10bの下端部を接合して支持する連結部材10cとで構成される。これらを一体化したユニットを下方取付体4の周縁部4aに沿って周方向へ所定間隔毎に複数配置することにより、上方取付体3に作用する大気圧や該上方取付体3及び上定盤1の重量などの力は、移動ブロック6aの下面から各連結部材10c…に亘って垂設された各中心部材10a…に分散するため、各中心部材10a…が有するZ方向への大きな剛性によって、移動ブロック6aの下面と下方取付体4の周縁部4aとの間が所定間隔に保持される。
特に図示例の場合には、中心部材10aをZ方向へ剛性が高くてXYθ方向へ変形しない大径な円柱状に形成すると共に、下方取付体4の周縁部4aに開穿された通孔4bに対してXYθ方向へ移動可能に貫通させ、この中心部材10aの周囲にリンク機構からなるXYθ方向へ変形可能な周囲部材10bを複数本、例えば4本配置すると共に、これらリンク機構の下端部及び上端部に使用した屈曲部材10dとして、例えばボールジョイントなどを使用し、更に連結部材10cを平面円板状に形成している。
なお、上記位置調整手段10を構成する複数部材の構造は、図示したものに限定されず、XYθ方向へ変形可能な周囲部材10bは、上述したリンク機構に代えて、弾性変形可能に形成したり、複数本の弾性変形可能な柱やワイヤーなどからなる弾性杆材を配置したり、これらと逆に周囲部材10bの剛性をZ方向へ高くしてXYθ方向へ変形不能にすると共に中心部材10aをXYθ方向へ変形させるなど、他の構造しても同様な作用が得られる。
上記昇降手段11は、本実施例の場合、前記架台14の周辺部から上方取付体3の周縁部3aの四隅部分に向けて固定配置された例えばジャッキや上下駆動用シリンダーなどであり、その先端部11aを上方取付体3の周縁部3aに対してXYθ方向へ移動可能に当接させると共に、中間部11bを上記移動シール手段6の移動ブロック6aがXYθ方向へ移動可能に挿通している。
この昇降手段11の駆動源は、コントローラー(図示せず)で動作制御され、基板A,Bをセットする初期状態で、上方取付体3を所定高さ位置まで上昇させて待機しており、基板A,Bのセット完了後に、上方取付体3を下降させて、下方取付体4との間に閉空間S1が両基板A,Bを囲むように区画形成し、両基板A,Bの微合わせ終了後か、或いは後述する閉空間S1が大気圧に戻った後は上昇させて初期状態に戻す。
上記吸気手段12は、閉空間S11の外部に配設した真空ポンプ(図示せず)と連絡する通気路であり、この真空ポンプはコントローラー(図示せず)で動作制御され、上下定盤1,2の接近移動により閉空間S1が形成された後にそこから吸気を開始し、本実施例の場合には、後述する基板圧着手段13の作動後に、閉空間S1に空気を供給して大気圧に戻す。
図示例の場合には、上記通気路の吸気口12aを、上下定盤1,2の対向面と台座5d,5dとの形成した隙間に夫々開設して、これら吸気口12a,12aから閉空間S1内の空気が一方向のみへ流れることによる悪影響、例えば保持した両基板A,Bが傾いたり、予め下側基板B上に充填された液晶が飛び散るなどを防止している。
上記基板圧着手段13は、上述した微合わせ後の状態で前記上定盤1の基板保持面である静電チャックに静電吸着された上側基板Aを、下側基板Bへ向け強制的に圧着させるものであり、図1(b)(c)に示す如く、静電吸着手段5bによる上側基板Aの静電吸着が解除されると略同時か又は直後のいまだ静電吸着力が残存する状態において、図示例では吸引吸着手段5a,5aの通気孔5a1,5a1を使って静電チャックから上側基板Aの背面側に向け、例えば窒素ガスや空気などの気体Gを噴き出して、この気体Gを上方保持板1の静電吸着面5b1と上側基板Aの背面との間に強制注入することにより、これら静電吸着面5b1と基板面の密着状態を破壊し両者を剥離することで、両者間の静電吸着力が強制的に減衰されて消滅すると共に、注入した気体Gの圧力で下側基板Bへの落下力、即ち落下の加速度が強制的に作用され、それにより、該上側基板Aが最小でも約0.1mm〜0.2mm程度落下して瞬時に下側基板B上の環状接着剤Cの全周に亘って圧着させる。
なお、上記気体Gの噴射については、事前のテスト結果に基づいて、少なくとも以下の作動条件を予め設定しておく必要がある。
(1)静電吸着手段5bによる上側基板Aの静電吸着が解除されてから気体Gの噴射作動までの遅延時間。
(2)気体Gの噴射圧力。
(3)気体Gの噴射時間。
一方、前記基板A,Bは、基板搬送用ロボット(図示せず)により保持され、上定盤1及び下定盤1まで移送して夫々の保持手段5に受け渡すが、特に上側基板Aの場合にはその膜面A2が下方に向くために傷付けないように周縁部のみを保持して搬送するのが一般的である。しかし、特に一辺が1000mmを超える大型な基板A,Bの場合、上述した周縁部のみの保持では、上側基板Aの膜面A2の中央部分が垂れ下がってしまい、移送中に膜面A2の中央部分が異物に突き当たって破壊する恐れがある。
そこで本実施例の場合には図2の二点鎖線に示す如く、基板搬送用ロボットにより上側基板Aの膜面A2と反対側の非貼り合せ面(裏面)A1の複数箇所を吸着して膜面A2の中央部分が垂れ下がらないように移送すると共に、この上側基板Aの非貼り合せ面A1へ向け前記保持手段5の受け渡し用吸着保持手段5c…を下方へ伸長させ、基板搬送用ロボットの吸着位置と干渉しない位置で吸着し直して受け取り、上定盤1の基板保持面まで移送させるようにしている。
次に、斯かる基板貼り合わせ装置による基板重ね合せ封止方法を工程順に従って説明する。
先ず、基板搬送用ロボットにより上下両基板A,Bを吸着移送して上定盤1の保持手段5及び下定盤1の保持手段5に夫々受け渡すが、本実施例の場合には、基板搬送用ロボットで上側基板Aの非貼り合せ面A1を吸着して移送すると共に、図2の二点鎖線に示す如く、この吸着位置と干渉しない位置を受け渡し用吸着保持手段5c…で吸着し直すことにより、該非貼り合せ面A1のみの吸着で基板搬送用ロボットから上定盤1の基板保持面への受け渡しが可能となって、基板A,Bの大型化に伴い上側基板Aの中央部分が垂れ下がらない。
その結果、基板A,Bが大型化しても膜面A2を傷付けることなく搬入できる。
このようにして上定盤1及び下定盤2の対向面に、図2に示す如く上側基板Aと、予め接着剤Cが塗布されて液晶が充填された下側基板Bとを夫々プリアライメントしてセットされると、吸引吸着手段5a,5a及び静電吸着手段5b,5bで両基板A,Bを夫々移動不能に吸着保持させる。
その後、図3に示す如く、昇降手段11の作動で上方取付体3を下降させて下方取付体4と近づけ、上方取付体3の周縁部3aと移動シール手段6の移動ブロック6aとの対向面に夫々形成した係合手段8がZ方向のみに嵌合して、これら両者がXYθ方向へ一体化されると共に、移動ブロック6a上の環状シール材6bに密接して、上下取付体3,4の間には上定盤1及び下定盤2と両基板A,Bを囲むように閉空間S1が区画形成される。
これと同時に両基板A,Bは、上定盤1と下定盤2の接近移動により、所定間隔まで接近するものの、基板間隔調整手段7により約1mm〜2mm程度の隙間をもって対峙し、下側基板Bに塗布した環状接着剤Cには、上側基板Aが接触せず、これら両基板A,Bの間と閉空間S1は連通している。
その後、吸気手段12の作動で閉空間S1から空気が抜かれて所定の真空度になると共に、両基板A,Bの間からも空気が抜かれて真空となる。
それにより、上定盤1及び下定盤2を囲む上下取付体3,4には大気圧が作用し、真空な閉空間S1との圧力差によってこれら上下取付体3,4は変形する可能性があるものの、閉空間S1内の上定盤1には大気圧が全く作用しない。
その結果、大気圧による上定盤1の歪み変形を追加補強なしで防止できる。
また、本実施例の場合には、下方取付体4の肉厚寸法を大気圧が作用しても変形しない程度まで厚くすることにより、大気圧で下定盤2が歪み変形しないようにしている。
図示例の場合には、上方取付体3が大気圧により閉空間S1内へ向けて歪み変形しても、上定盤1の上面に亘ってZ方向のみ弾性変形可能な弾性連係部材1cにより、上方取付体3の歪み変形が上定盤1へ全く影響せず、しかもXYθ方向へ横ズレしないという利点がある。
そして、この真空状態で、図3に示す如く、基板間隔調整手段7の作動により、上定盤1が下定盤2へ向け下降して、上下両基板A,Bの間隔を最小で約0.5mm程度まで接近させた後、水平調整手段9の作動により移動シール手段6の移動ブロック6aをXYθ方向へ押動すれば、該移動ブロック6aと係合手段8で一体化した上方取付体3が下方取付体4に対してXYθ方向へ移動し、それにより、上定盤1が下定盤2と相対的にXYθ方向へ調整移動し、両基板A,B同士の粗合わせが行われる、
その結果、XYθステージを用いずに閉空間S1の外部から真空中の両基板A,BをスムーズにXYθ移動させて高精度に粗合わせできる。
これと同時に、上記移動ブロック6aがXYθ方向へ押動されると、位置調整手段10の周囲部材10bが屈曲変形することにより、中心部材10a及び移動ブロック6aが平行移動して、該中心部材10aが有する鉛直方向への大きな剛性によって、上方取付体3に作用する大気圧や該上方取付体3及び上定盤1の重量などに耐えながら移動ブロック6aの下面と下方取付体4の周縁部4aとの間が所定間隔に保持されるため、移動シール手段6の真空シール6cが受ける摺動抵抗は低減される。
その結果、両基板A,B同士の位置合わせをスムーズに行うことができる。
これに続いて、図1(a)(b)に示す如く、基板間隔調整手段7の作動により、上定盤1が下定盤2へ向け下降して、上下両基板A,Bの間隔を最小で約0.1mm〜0.2mm程度まで更に接近させた後に、上定盤1と下定盤2を相対的にXYθ方向へ調整移動させて、両基板A,B同士の微合わせが行われる。
この微合わせが終了した後に、静電吸着手段5bによる上側基板Aの静電吸着を全面的に解除させると共に、基板圧着手段13により複数の通気孔5a1,5a1から例えば窒素ガスなどの気体Gを上側基板Aの非貼り合せ面(背面)A1の全体へ均等に噴き出して、この気体Gを上方保持板1の静電吸着面5b1と上側基板Aの背面との間に強制注入することにより、これら静電吸着面5b1と基板面の密着状態を破壊し両者を剥離することで、両者間の静電吸着力が強制的に減衰されて消滅すると共に、注入した気体Gの圧力で下側基板Bへの落下力、即ち落下の加速度が強制的に作用され、それにより図1(c)に示す如く、該上側基板Aが瞬間的に下側基板B上の環状接着剤Cの全周に亘って圧着封止され、封止空間S2が確実に形成される。
その結果、静電吸着手段5bの電源を遮断しても基板吸着力が直ぐには消滅せず作用し続けたとしても、この基板吸着力の解除ムラに影響されることなく、上側基板AをXYθ方向へ位置合わしたまま強制的に落下させることができる。
それにより、両基板A,B同士の位置合わせ誤差を防止できると共に封止空間S2を確実に形成できて空気の混入を防止できるという利点がある。
更に、静電吸着手段5bによる上側基板Aの保持が解除されると略同時か又は直後に、上側基板Aの背面側から気体Gの噴出を開始した場合には、静電吸着力の解除ムラが発生する前に、気体G圧力で上方保持板1の静電吸着面5b1から上側基板Aが強制的に剥離される。
その結果、静電吸着力の解除ムラによる上側基板Aの位置ズレを完全に防止できるという利点がある。
また、この際、上側基板Aに対する気体Gの噴出量、噴出速度及び噴出位置を調整可能に構成した場合には、強制的に落下させるテスト結果に応じて、上側基板Aに対する気体Gの噴出量、噴出速度及び噴出位置を調整すれば、強制落下する上側基板Aの姿勢が制御可能となる。
その結果、上下保持板1,2の静電吸着面5b1や上下両基板A,Bが完全な平行でなくても上側基板Aを下側基板Bと平行に重ねることができるという利点がある。
そして、両基板A,Bの圧着が終了した後は、吸気手段12の作動により閉空間S1内に空気や窒素を入れてその雰囲気を大気圧に戻す。
それにより、両基板A,Bの内外に生じる気圧差で均等に押し潰され、液晶が封入された状態で所定のギャップが形成される。
それ以降は、閉空間S1内が大気圧に戻ったら、昇降手段11の作動により上方取付体3及び上定盤1と下方取付体4及び下定盤2を離して閉空間S1が開放され、アライメントされた両基板A,Bを基板搬送用ロボットにより取り出して、上述した動作が繰り返される。
尚、前示実施例では、上方保持板1である上定盤の背後に上方取付体3をZ方向へ移動自在に設け、下方保持板2である下定盤の背後に下方取付体4を一体的に固定したが、これに限定されず、図示せぬが下方保持板2である下定盤と下方取付体4とを分離して配置することにより、大気圧により下方取付体4が変形しても下定盤2に影響しないようにしても良い。
この場合には、上方取付体3と上定盤1の上面との間に必要に応じて連設したZ方向のみ弾性変形可能な例えばスプリングなどの弾性部材1cと同様なものを、下定盤と下方取付体4との間に配置して両者が連結されるようにしても良い。
産業上の利用可能性
以上のように、本発明にかかる基板重ね合せ封止方法は、液晶ディスプレー(LCD)やプラズマディスプレー(PDP)などのフラットパネルディスプレーを製造する産業で利用される。
Claims (3)
- 上方保持板(1)に上側基板(A)を静電吸着手段(5b)により着脱自在に保持し、この上側基板(A)と対向する下側基板(B)を下方保持板(2)の上に着脱自在に保持し、これら上下基板(A,B)同士の位置合わせを行い、その周囲が所望の真空度になった時に、静電吸着手段(5b)による上側基板(A)の保持を解除して、上側基板(A)を下側基板(B)上に重ね合わせ封止する基板重ね合せ封止方法において、
前記静電吸着手段(5b)による上側基板(A)の保持解除と連動して、該上側基板(A)の背面側から気体(G)を噴出させ、この気体(G)圧力により上方保持板(1)の静電吸着面(5b1)から上側基板(A)を強制的に剥離して瞬時に下側基板(B)の上へ圧着封止して重ね合わせることを特徴とする基板重ね合せ封止方法。 - 前記静電吸着手段(5b)による上側基板(A)の保持が解除されると略同時か又は直後のいまだ静電吸着力が残存する状態において、上側基板(A)の背面側から気体(G)の噴出を開始した請求項1記載の基板重ね合せ封止方法。
- 前記上側基板(A)に対する気体(G)の噴出量、噴出速度及び噴出位置を調整可能にした請求項1または2記載の基板重ね合せ封止方法。
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