JP3721372B2 - バタフライ弁 - Google Patents

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Description

この発明は、流体が流過する流路を開閉、制御するためのバタフライ弁に関し、特に弁本体と弁軸筒コラムとを異種の材料で形成したバタフライ弁に関する。
従来、管路を流過する流体と大気との温度差に起因して大気中に露出した弁軸筒コラムやアクチュエータに結露が生じて来るのを防止するために、弁軸筒コラムを弁本体とは異種の断熱性材料、例えば合成樹脂で形成し、弁本体を流過する流体の温度が弁軸筒コラムやアクチュエータに伝わらないようにして、結露を防止するようにしたバタフライ弁の構造が提案されている。かかる結露を防止したバタフライ弁の例が、特許第3026251号公報(特許文献1)、特開平8-312795号公報(特許文献2)等に開示されており、又、弁軸筒コラムと弁本体とを別個の部材として作成し、両者を連結するようにしたものも公知であり、例えば特開2001-50414号公報(特許文献3)に開示されている。
弁本体と弁軸筒コラムとを異種の材料で形成した場合、両者の接合構造が重要となる。弁本体内には円板状の弁体が配置されており、該弁体を駆動回転するために、弁棒が弁軸筒コラム内を外方に伸びており、弁軸筒コラムの外端に取り付けられたアクチュエータに連結されている。したがって、弁本体と弁軸筒との接合部には捻り応力がかかるため、強固な連結構造であることが要求される。
前記特許文献1に開示されたバタフライ弁は、弁本体と弁軸筒コラムの連結部を互いに嵌合する連結溝と連結脚を弁軸筒コラムの周囲に複数間隔を置いて形成し、連結溝と脚との係合により捻り応力に対する強度を保証し、且ネジで相互に連結して抜止を図りつつ、両者を分離自在とする構造が提案されている。しかしながら、かかる構造にあっては、連結溝と連結脚との嵌合は隙間があるとガタ付きを生じ破損の原因となるため、加工精度を要すると共に、弁軸筒コラムの周囲に等間隔に複数設けなければならず、コストが上昇するおそれがあった。
又、特許文献2に開示されたバタフライ弁は、弁本体の弁棒軸支部にボルトで固定されるキャップで、弁棒が貫通するスリーブを保持して外方への抜止を図りつつ、スリーブをバネで外方へ弾発する構造とすることにより、弁軸筒部を短く構成可能として、断熱被覆を容易とするようにしたものである。かかる構造にあっては、弁軸筒部が短いため弁本体から離れた位置にアクチュエータを配置することが出来ず、バタフライ弁の取付位置が限定される問題を有している。
特許文献3に開示された回転弁は、弁軸筒コラムの内端を弁本体の弁棒軸支部にボルトで着脱自在に固着し、弁軸筒コラムを少なくとも2種類用意して、コラムを交換することによって異なったアクチュエータに対応し得るようにしたものであり、断熱構造については何等教示されていないとともに、弁軸筒コラムと弁棒軸支部との間に生ずる捻り応力に対向する強度に関しては何等の示唆も教示もない。
特許第3026251号公報 特開平8-312795号公報 特開2001-50414号公報
弁本体と弁軸筒コラムの接合面には、バルブを駆動するアクチュエータの回転駆動力と、弁体からの反力が作用しており、これらの加重を十分に担う強度が要求される。アルミダイカストと合成樹脂のような異種材料は、機械的性質のうち伸びが著しく低いため、破壊時、変形が少なく限界点で即破断するおそれがある。特に弁体を閉から開に移動するときには、弁軸筒コラムと弁本体との接続部に急激な捻り力が働くため、両者の接合部で効果的に分散して伝達することが望まれる。この発明は、かかる捻り力を弁軸筒コラムと弁本体の接合部で効果的分散可能とする構造を提供し、捻り応力に対する十分な強度を発揮しうるようにすると共に、弁本体と弁軸筒コラムとの抜止をより簡単な構造で確実に達成せんとするものである。
上記課題を解決するためにこの発明が採った手段は、円筒状の流路(101)を貫設した弁本体(1)内に弾性密封材からなるシートリング(2)を装着し、該シートリング(2)に接離する円板状の弁体(3)を回動自在に軸支し、弁本体(1)の直径方向に弁棒軸支部(102)(103)を形成して前記弁体(3)を弁棒(4)で回転自在に軸支すると共に、外端にアクチュエータ(6)を連結して弁体(3)を駆動回転するため一方の弁棒(401)を弁棒軸支部(102)から外方に延出し、該外方に延び出す一方の弁棒(401)を軸支する弁軸筒コラム(5)を前記弁本体(1)とは別異の材料で形成し、該弁軸筒コラム(5)と前記弁棒軸支部(102)が接合される端部を、互いに嵌合して接合するようにしたバタフライ弁において、前記互いに嵌合する弁軸筒コラム(5)と弁棒軸支部(102)水平端部に互いに衝接する接合面(105)(501)を形成し、該接合面(105)(501)は衝接時に摩擦力を増大する粗面に形成され、接合面(105)(501)から垂直方向に互いに嵌合する底面及び端面が平面である凹部(106)と突部(502)を形成、該凹部(106)と突部(502)水平断面において同一形状でかつ軸方向に沿って延びる直線状の垂直な嵌合面(107)(505)を有し、凹部(106)の嵌合面(107)水平方向において互いに直交する関係にある少なくとも2つの面(108)と互いに当接して異った方向に延びる複数の面(109)(110)とを含む閉塞した囲繞形状でかつ底面が水平面に構成され、突部(502)の該嵌合面(505)は水平方向において互いに直交する関係にある少なくとも二つの面(506)と該面(506)に連続して異なった方向に延びる複数の面(507)(508)とを含む連続面でかつ端部が水平面に構成され、接合面(105)(501)内の凹部(106)と突部(502)を除く位置に弁軸筒コラム(5)と弁棒軸支部(102)を締結する締結部材(509)を弁軸方向と平行に配置し、更に前記弁軸コラム(5)の内周面と弁棒(4)との間に弁軸コラム(5)の上方に開放する断面変形多角形状の空隙(512)を形成し、前記凹部(106)と突部(502)の嵌合面(107)(505)による嵌合と締結部材(509)による締結とにより、弁軸筒コラム(5)と弁棒軸支部(102)の間に付加される駆動トルクを負担すると共に、空隙の存在により熱の放散を行うようにしたことを特徴とする。
締結部材(509)が、ボルトからなり、弁軸筒コラム(5)側から挿通され弁棒軸支部(102)に螺着するようにしたことを特徴とする。
この発明によれば、接合面内に互いに嵌合する同一形状の凹部(106)と突部(502)が形成されており、この凹部(106)と突部(502)は断面において閉塞する同一形状でかつ軸方向に沿って延びる断面直線状の垂直な嵌合面(107)(505)を有し、かつ嵌合面(107)(505)は互いに直交する関係にある少なくとも2つの面(108)と、互いに当接して異った方向に延びる複数の面(109)(110)とを含んで閉塞した囲繞形状で構成されているので、弁軸筒コラムと弁棒軸支部は、面接触による接合を達成することが出来、接合面に負荷される捻り応力を効率よく分散させ得ると共に、破損や損傷を効果的に回避することが出来、良好な嵌め合い結合が達成可能となる結果、弁本体と弁軸筒コラムを機械的伸び強度が低いアルミダイカストや樹脂材料の如き異種の材料で形成し、捻り応力に対する十分な強度で接合して、捻り応力による破損や損傷を防止することが可能となる。更に、弁軸筒コラム(5)の内周面と弁棒(4)との間に、上方に向かって開放する断面変形多角形状の空隙(512)を形成してあるので、空隙からの熱の放散を行い、結露の防止を図ることができる。
この発明の好ましい実施の形態を、以下に詳細に説明する。この発明は、金属と合成樹脂の如き異種の材料で、弁本体と弁軸筒コラムとを形成し、両者を捻り応力と抜止に対して十分な強度を持って、接合したことを特徴とするものである。弁本体は例えばアルミダイカスト、鋳物等の金属で形成し、弁軸筒コラムをナイロン、ABS、PBT、PPS等の合成樹脂若しくは弁本体と異なる金属材料で形成し、両者を凹部と突部により互いに嵌合して接合する。
弁軸筒コラムと弁軸軸支部の端部には、互いに衝接する接合面が形成されるとともに、該接合面内に互いに嵌合する凹部と突部が形成される。突部と凹部は、少なくとも2面以上において当接する断面において閉塞した形状を成して軸方向に沿って延びるほぼ垂直な嵌合面を有しており、該嵌合面は互いに密着する面に形成されていると共に、前記凹部と突部が存在しない接合面内に弁軸筒コラムと弁棒軸支部を締結する締結部材が弁軸方向と平行に配され、前記凹部と突部の嵌合面による嵌合と締結部材による締結とにより、弁軸筒コラムと弁棒軸支部の間に付加される駆動トルクを負担するようにしたことを特徴とする。一般的に、アルミダイカストや樹脂材料は、前述したように機械的強度の伸びが著しく低く、破壊時に変形が少なく、限界点で即破断するおそれがある。
本発明では、少なくとも2面以上において当接する断面において閉塞した形状を成して軸方向に沿って延びるほぼ垂直な嵌合面を有する凹部と突部で嵌合するようにし、嵌合面は複数の異った方向に延びる面を以て閉塞される囲繞形状、好ましくは、少なくとも互いに直交する2つの面と該面に連続する段部状の面を含む嵌合面で構成するようにしてあるので、弁軸筒コラムと弁棒軸支部との接合面に負荷される捻り応力を効率よく分散させることが出来、破損や損傷を効果的回避することが出来、良好な嵌め合い結合が達成可能となる。
閉塞形状からなる嵌合面は、接合面に対して垂直面であっても良いが、傾斜面とすることにより、ダイカストや樹脂成形において求められる型から製品を取り出すために抜け勾配を設ける必要がなくなる。又、嵌合面は直線的な面に限られるものではなく、曲面を持って構成しても良いことは勿論である。更に、嵌合面が形成される弁軸筒コラムと弁棒軸支部の接合面は、平滑な面であっても良いが、粗面とすることにより、両者の間に作用する捻り応力に対向する摩擦力を増大することが可能となる。かくしてこの発明によれば、異種材料で形成された弁本体と弁軸筒コラムとを十分な強度を持って連結することが出来、両者の接合部に付加される捻り応力に十分耐える接合を達成することが可能となる。接合された弁本体と弁軸筒コラムとは、軸方向に延びるボルトによって締結され、弁軸筒コラムを弁本体に定着し脱落を防止するとともに、弁軸筒コラムの交換を可能としている。弁本体と弁軸筒コラムの接合面間には、必要に応じてガスケットを配在させて密封性を向上させるようにしても良い。
図1,2を参照して、(1)は円筒形状の流路(101)を貫設したアルミダイカスト製の弁本体であり、弁本体の内部にはゴム等の弾性密封材からなるシートリング(2)が取り外し可能に装着され、流路(101)の実質的な径を設定している。(3)は、該シートリング(2)内に弁棒(4)で回動可能に軸支された円板状の弁体であり、弁体の回動によって外周面をシートリング(2)の内周面に接離させて前記流路の開閉を行う。弁棒(4)は、弁本体(1)から直径方向外方に延び出す弁棒軸支部(102)(103)において回転自在に軸支される。弁棒の上部(401)は弁棒軸支部(102)から弁軸筒コラム(5)を通って外方に長く延び出しており、その外端に弁棒を駆動回転するアクチュエータ(6)が連結される。尚、アクチュエータ(6)は、図示の手動ギア式に限られるものではなく、レバー式、電動式、エアーシリンダー式等種々の機構のアクチュエータを利用可能である。
弁本体(1)は、前述したようにアルミダイカスト成型若しくは鋳物成型品として提供され、シートリングはゴム等の弾性密封材の加硫成型品である。弁体(3)は、弁本体(1)と同様のアルミダイカスト若しくは鋳物成型或いはプレス加工品である。弁棒(4)は、丸棒からの削り出し成型品若しくは引き抜き製品である。弁軸筒コラム(5)は、ナイロン、ABS、PBT、PPS等の断熱性の合成樹脂成型品である。又、アクチュエータの上下ギアボックス(601)(602)、ウォームホイル(603)、ウォーム(604)並びにハンドル(605)は、弁軸筒コラムと同様の断熱性の合成樹脂で成型する。尚、ウォームホイル(603)、ウォーム(604)並びにハンドル(605)は、必ずしも合成樹脂製とする必要はない。
図3〜6を参照して、アルミダイカスト製の弁本体(1)は、内部に円筒状の流路(101)が貫設され、外周面から直径方向外方に弁棒軸支部(102)(103)が延出している。弁本体の内周面の中央部には、内周面のほぼ半分の幅を有する係合凸部が内周面を囲繞して形成されている。該係合凸部は後述するシートリング(2)の装着時に、シートリング(2)への圧縮代を係合凸部の両側部とは異ならせ得るようにし、これによって後述するように弁体(3)の回動トルクを軽減している。
弁棒軸支部(102)(103)は、図4〜6に示すように内方から外方に貫通した弁棒孔(104)が形成されており、上部弁棒軸支部(102)には弁軸筒コラム(5)が連結される。上部弁棒軸支部(102)の上端面は弁軸筒コラム(5)の接合面(501)に衝接する接合面(105)が形成される。図示の接合面(105)は、平滑な平面に形成されているが、摩擦力を増大させるために粗面とするのが好ましい。更に、図4〜6に示すように、衝接面(105)内に位置して凹部(106)が凹設され、弁軸筒コラム(5)の下部に形成される突部(502)との嵌合を可能としている。凹部(106)は、断面において閉塞し形状を有するほぼ垂直な嵌合面(107)で構成される。図6を参照して、該嵌合面(107)は、2つの直交する面(108)(108)と該直交する面に連続する段部状面(109)及び段部上面を連続する円弧面(110)が連続した閉塞形状を成している。凹部が形成されていない接合面(105)内に、後述する締結ボルト(509)を螺着するネジ穴(111)が形成される。
図2及び7〜10を参照して、弁軸筒コラム(5)は、ナイロンで成形された所要の長さを有する略角筒形状の筒体であり、前記上部弁棒(401)が内部を貫通して上方に延び出している。弁軸筒コラム(5)の下面には、前記弁本体(1)の上部弁棒軸支部(102)の接合面(105)に衝接する接合面(501)と凹部(106)に嵌合する突部(502)が形成され、上部にはアクチュエータ(6)の下部ギアボックス(601)を載置支持する支持板部(503)が形成される。弁軸筒コラムの中心には、弁棒孔(504)が上下に貫通している。接合面(501)は、前記弁棒軸支部(102)の接合面(105)に衝接する平面であり、平滑面若しくは粗面に形成される。更に、図1,3,9,10に示すように、弁軸筒コラム(5)の弁棒孔(504)の外周部に、下端部を残して弁軸筒コラム(5)の上端部に向かって内周面と上部弁棒(401)との間に空隙(512)を形成する。該空隙(512)は、弁棒と直交する断面において、図9に示すような変形多角形状に形成され、弁軸筒コラム(5)の上方に開放される。空隙(512)の存在により、空隙から熱の放散を図ることができ、結露防止効果が向上する。
突部(502)は、前記接合面(501)内に位置して突設して形成されており、凹部(106)の嵌合面(107)に倣った同一形状の嵌合面(505)を有し、凹部(106)に嵌合することが出来る。突部(502)の嵌合面(505)は、凹部(106)の嵌合面(107)と同様に直交する2つの面(506)と該面(506)に連続する段部状面(507)並びに段部状面を連続する円弧面(508)とからなる閉塞した断面形状を有している。突部(502)が存在しない接合面(501)に締結ボルト(509)を挿通するためのボルト挿通孔(510)が弁軸と平行に貫設されている。図8において、(511)は後述する押え板(411)を(図2参照)凹部(106)の内底面にネジ止めするネジを受け入れる凹陥部である。
弁本体(1)と弁軸筒コラム(5)との接合は、凹部(106)に突部(502)を嵌入し、両者の接合面(105)(501)を衝接させる。その後、締結ボルト(509)を上方からボルト挿通孔(510)に挿入し、弁棒軸支部(102)の接合面(105)に形成されたネジ穴(111)に螺着して、弁本体と弁軸筒コラムを締結する。かくして、弁本体(1)と弁軸筒コラム(5)は、嵌合面(107)と(505)との矩形状の当接と接合面(105)(505)間の摩擦力とにより、弁本体と弁軸筒間に働く捻り応力を効果的に分散させることが出来、接合部における破損、損傷を回避することが出来るとと共に、ボルトの締結により軸方向への抜止を確実に行うことが可能となり、極めて強固で安定した接合を達成することが出来る。かくして、機械的伸び強度が低い材料であるアルミダイカスト合成樹脂の如き異種材料で弁本体と弁軸筒コラムとを形成することを可能とする。
弁体(3)に下端を連結された上部弁棒(401)は、所要の長さを有し上部弁棒軸支部(102)及び弁軸筒コラム(5)を貫通して上方に延び出しており、上端に連結されるアクチュエータ(6)で駆動回転される。上部弁棒(401)は、上部弁棒軸支部(102)内において上部ブッシュ(403)を挿通している。図11,12を参照して上部ブッシュ(403)は上下に貫通した短い筒体からなり、外周面には上部弁棒軸支部(102)の内周面との間をシールするOリング(406)を挿着するための、溝(408)が形成されている。又、上部ブッシュ(403)の上端内面にもOリング(409)が挿着されており上部弁棒との間をシールしている。更に、上部弁棒(401)の途中には2分割された押え板を(411)を係入するための溝(410)が形成されており(図2参照)、該押え板(411)を上部弁棒軸支部(102)の弁棒孔(104)の内底面にネジ止めすることにより、弁棒(401)の抜止が図られている。
下部弁棒軸支部(103)には、下方から短い下部弁棒(402)が挿入されて弁体(3)に連結されると共に、短筒状の下部ブッシュ(404)が下部弁棒(402)に挿着され、横方向から打ち込まれる固定ピン(405)で下面を支持して抜止状態に軸支される。図13,14に示すように、下部ブッシュ(404)は上面を開放し、下面を閉止した短い筒体からなり、下部弁棒(402)に下方からキャップ状に挿着し上端をシートリング(2)に嵌入して軸封する。下部ブッシュの外周面にも、上部ブッシュ(403)と同様にOリング(406)を装着する溝(408)が形成され、下部弁棒軸支部(103)の内周面との間をシールするようにしてある。閉止された下面には角柱状のツマミ部(407)が突設され、ニッパ、ペンチ等の所望の掴持手段を用いてブッシュの取出しを容易に行うことが出来るようになっている。又、下部ブッシュ(404)は、底面を閉止してあるので、外部への流体のリークを防止できると共に、Oリングによるシールで、ブッシュ外周への流体のリークと外部からの液体の侵入を効果的に防止できる。更に、下部弁棒にブッシュを挿着し固定ピン(405)を打ち込むだけでブッシュ(404)の開放端がシートリングに密着して下部弁棒の軸封を達成することが出来、下部弁棒の軸封を自動化することが容易となる。
図15〜17参照して、シートリング(2)は、ゴム等の弾性密封材からなり、加硫成型によって製作される。シートリング(2)の内周面には、内径方向に突出する山形のシート部(201)が形成され、該山形シート部(201)に弁体の外周面が圧接着座して弁の閉止が達成される。山形シート部(201)は、シートリング(2)を直径方向に貫通する弁軸孔(202)と直交する位置においてその幅が最も大きく形成され、弁軸孔(202)に近づくにしたがって漸次幅が減少し、弁軸孔のボス部周縁において最も小さくなっている。これにより、弁体(3)との接触圧力をシートリングの全内周面においてほぼ均等にすることが出来、シール力を均一化してシール漏れによる流体の漏洩を防止することが出来る。
シートリング(2)の内周面と外周側面との間には、斜面(203)が形成される。該斜面(203)と外周側面とがなす角度及び斜面の幅は、弁軸と直交する位置において最も大きくし、弁軸位置において最も小さくされている。そして、斜面の幅と角度が最も大きい弁軸直交位置から最も小さい弁軸位置までをコサインカーブに倣った曲面で連続する。シートリング(2)の内周面と外周側面との間に斜面(203)を形成することにより、弁体の微少開度において弁体先端とシートリング内周面との間の隙間が十分広くなるため、微少開度において弁軸直交位置で最も大きくなるオリフィス側の吸引力を減少させ、シートリングの吸引量を可能な限り小さくすることが出来、シートリングの剥離や損傷を防止することが可能となる。尚、かかるシートリングの構造は、特許第3188680号公報に詳細に開示されている。
シートリング(2)の外周面中央部には、凹溝(204)が外周面を周囲して形成される。該凹溝(204)は、前記弁本体内周面に形成された係合凸部(112)が係入する幅と深さを有している。シートリング(2)の外径は、凹溝(204)の部分(図17のA部分)においては弁本体の内面に密に圧接する寸法には形成されておらず、緩やかな接触状態に形成されている。一方、凹溝の両側部分(図17のB,C部分)を弁本体の内周面に密に圧着する外径寸法に形成して、タイトな接触状態に形成する。これにより、シートリング(2)は凹溝の両側のB,C部分において弁本体(1)の内周面に挿着保持され、シール性能が発揮されると共に、弁体(3)が圧接する山形シート部の部分(A部分に相当)のおいては、弁体の接触に伴ってシートリングのA部分のずれ動きが許容されることとなり、弁体(3)の回動トルクを軽減させることが可能となる。すなわち、シートリング(2)の圧縮代を、A,B,Cの部分において異ならせることにより、相反的なトルクの低減とシール力の保持とを、同時に達成することが出来るのである。
シートリング(2)は、A部分においては緩やかな接触状態にあるがB,C部分においては十分な圧縮率で弁本体(1)の内周面に装着され、密着されているため、B,C部分でシートリングを弁本体に強固に取り付けることが出来、流体圧によりシートリングが弁本体から剥離したり、破損するのを防止する。そして弁体が圧接してシールを達成するA部分は弁本体内周面に密に圧着しておらず、弁体(3)との接触時に弁体に随伴する移動が許容される結果、弁体の回動トルクが小さくなり、弁体による不必要な圧縮を防止し、シールに必要な圧縮のみをゴムにかけることが出来るため、シートリングを小さな圧縮率なものとし、ゴムの劣化を防止することが可能となる。このことは、逆にシリコンゴムの如き比較的引き裂き強度の低い材料をシートリングに使用することを可能とする。
図18,19を参照して、弁体(3)は、基本的な形状を円板形状とするものであり、図19に示すように外周縁に向って漸次厚さが減少する傾斜表面に形成されると共に、上下の弁棒穴(301)のボス部を連結する状態で、弁体表面の中心を軸方向に伸びる縦リブ(302)が形成されている。又、弁体のノズル側及びオリフィス側表面には、弁軸方向と直交する方向にほぼ並行に延びる3本の横リブ(303)(304)(305)が形成される。各横リブ(303)(304)(305)は、弁体表面から一定の高さを有しており、弁体表面近傍を流れる流体の方向を該リブで制御する。
すなわち、中央の横リブ(304)は、管内の最大流速部分に位置し、最大流速を二分し、且その流速を加速する。中央リブの上下に配置された横リブ(303)(305)は、中央の横リブに向って傾斜されており、管壁近傍の低速領域の流体を中央リブ方向に向かわせ、中央リブによって加速された流速に引き込まれる状態でその速度を増加させる。流体に対しては、上下弁棒穴(301)のボス部が流路抵抗となり、ボス部に衝突した流体はボス部の二次側に渦を発生させ、流体抵抗を更に増加させる。これに対して、前記3本の横リブはボス部の二次側に発生する渦に対して整流効果を発揮し、渦の発生を低減させる。結果として、3本の横リブは、管内流速を弁体近傍で分断し、整流し、管壁の流体抵抗、弁体表面の流体抵抗を、リブ部が持つ流れ方向制御により補完し、弁全体の流体抵抗を減じる効果を有する。
図2及び図20〜22を参照して、アクチュエータ(6)は、下部ギアボックス(601)と上部ギアボックス(602)を接合して形成したギアボックス内に、回動自在に軸支されたウォームホイール(603)と該ウォームホイールと噛合するウォーム(604)を備える。ウォームホイール(603)には前記上部弁棒(401)の上端が回り止め状態で連結され、ウォーム(604)には、ハンドル軸(606)が連結される。ハンドル軸(606)の外端には、ハンドル(605)が取り付けられる。上下ギアボックスは、内部にウォームホイール、ウォームを組み込んで、前記弁軸筒コラム(5)上部の支持板部(503)上に載置され、挿通されるボルト・ナットで締結される。(607)は、ウォームホイール(603)に一体的に植立された開度指示板であり、上部ギアボックスから上方に突出し、弁体の開度を示している。
上下ギアボックス(601)(602)は共に、例えばナイロン、ABS、PBT、PPS等の合成樹脂で成形される。図21に示すように、上部ギアボックス(602)の内部にウォームホイール(603)を回転角度90度の全開位置及び全閉位置で停止させるストッパー(610)が一体に形成される。又、図22に示すように、下部ギアボックス(601)の上部周縁には上部ギアボックスを嵌合する立上壁(608)が周囲して形成されている。更に、該立上壁(608)の外方に若干の間隔を置いてシール突条(609)を同様に周囲して突設されている。立上壁(608)の存在により、上下ギアボックスの組合せを容易且確実に行うことが出来ると共に、シール突条(609)が上部ギアボックスの下面に当接し、ボルト・ナットで締め付けるとき嵌入してシール性が発揮される。更に、両者の間にパッキングを介在させる場合には、シール突条がパッキングを圧縮し確実なシールを得ることが可能となる。
上下ギアボックス全体を合成樹脂で成型したので、寸法精度が向上し、開度ストッパー(610)を一体に形成することが可能となる。この結果、従来のようなネジによる開度調整手段を備えるストッパーを必要としないため、全体の構造を簡略化でき、コストの低下を図ることが出来る。又、断熱性を有する合成樹脂を用いることにより、結露を効果的に防止することが出来る。更に潤滑性の高い樹脂を用いてグリースレス構造とすることも容易となる。ギアボックスへのグリースの封入は、昨今のこの種バタフライ弁が室内に配置される現状からすると、グリース漏れによる室内床や壁面の汚染の問題を解消することが出来、極めて有益な構造となる。
一部を断面した全体の外観斜視図 全体の分解斜視図 アクチュエータを除いた全体の縦断面図 一部を断面した弁本体の正面図 同平面図 上部弁棒軸支部を拡大して示す平面図 弁軸筒コラムの正面図 同底面図 同平面図 同縦断面図 上部ブッシュの斜視図 同断面図 下部ブッシュの斜視図 同断面図 一部を断面したシートリングの側面図 シートリングの異なる位置の断面図 シートリングと弁本体との装着構造を示す要部の拡大断面図 弁体の正面図 弁体の平面図 アクチュエータの分解斜視図 上部ギアボックスの内部を示す図 上下ギアボックスの接合部の詳細を示す断面図
符号の説明
(1)弁本体
(101)流路
(102)(103)弁棒軸支部
(104)弁棒孔
(105)接合面
(106)凹部
(107)嵌合面
(108)直交する面
(109)段部状面
(110)円弧面
(111)ネジ孔
(112)係合突部
(2)シートリング
(201)山形シート部
(202)弁軸孔
(203)斜面
(204)凹溝
(3)弁体
(301)弁棒穴
(302)縦リブ
(303)(304)(305)横リブ
(4)弁棒
(401)上部弁棒
(402)下部弁棒
(403)上部ブッシュ
(404)下部ブッシュ
(405)固定ピン
(406)Oリング
(407)ツマミ部
(408)溝
(409)Oリング
(410)溝
(411)押え板
(5)弁軸筒コラム
(501)接合面
(502)突部
(503)支持板部
(504)弁棒孔
(505)嵌合面
(506)直交する面
(507)段部状面
(508)円弧面
(509)締結ボルト
(510)ボルト挿通孔
(511)凹陥部
(512)空隙
(6)アクチュエータ
(601)下部ギアボックス
(602)上部ギアボックス
(603)ウォームホイル
(604)ウォーム
(605)ハンドル
(606)ハンドル軸
(607)開度指示板
(608)立上壁
(609)シール突条
(610)ストッパー

Claims (2)

  1. 円筒状の流路(101)を貫設した弁本体(1)内に弾性密封材からなるシートリング(2)を装着し、該シートリング(2)に接離する円板状の弁体(3)を回動自在に軸支し、弁本体(1)の直径方向に弁棒軸支部(102)(103)を形成して前記弁体(3)を弁棒(4)で回転自在に軸支すると共に、外端にアクチュエータ(6)を連結して弁体(3)を駆動回転するため一方の弁棒(401)を弁棒軸支部(102)から外方に延出し、該外方に延び出す一方の弁棒(401)を軸支する弁軸筒コラム(5)を前記弁本体(1)とは別異の材料で形成し、該弁軸筒コラム(5)と前記弁棒軸支部(102)が接合される端部を、互いに嵌合して接合するようにしたバタフライ弁において、前記互いに嵌合する弁軸筒コラム(5)と弁棒軸支部(102)水平端部に互いに衝接する接合面(105)(501)を形成し、該接合面(105)(501)は衝接時に摩擦力を増大する粗面に形成され、接合面(105)(501)から垂直方向に互いに嵌合する底面及び端面が平面である凹部(106)と突部(502)を形成、該凹部(106)と突部(502)水平断面において同一形状でかつ軸方向に沿って延びる直線状の垂直な嵌合面(107)(505)を有し、凹部(106)の嵌合面(107)水平方向において互いに直交する関係にある少なくとも2つの面(108)と互いに当接して異った方向に延びる複数の面(109)(110)とを含む閉塞した囲繞形状でかつ底面が水平面に構成され、突部(502)の該嵌合面(505)は水平方向において互いに直交する関係にある少なくとも二つの面(506)と該面(506)に連続して異なった方向に延びる複数の面(507)(508)とを含む連続面でかつ端部が水平面に構成され、接合面(105)(501)内の凹部(106)と突部(502)を除く位置に弁軸筒コラム(5)と弁棒軸支部(102)を締結する締結部材(509)を弁軸方向と平行に配置し、更に前記弁軸コラム(5)の内周面と弁棒(4)との間に弁軸コラム(5)の上方に開放する断面変形多角形状の空隙(512)を形成し、前記凹部(106)と突部(502)の嵌合面(107)(505)による嵌合と締結部材(509)による締結とにより、弁軸筒コラム(5)と弁棒軸支部(102)の間に付加される駆動トルクを負担すると共に、空隙の存在により熱の放散を行うようにしたことを特徴とするバタフライ弁。
  2. 締結部材(509)が、ボルトからなり、弁軸筒コラム(5)側から挿通され弁棒軸支部(102)に螺着するようにしたことを特徴とする請求項1記載のバタフライ弁。
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