JP3721214B2 - 遊技盤の自動釘打ち装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、盤面上に複数の釘を立設して構成したパチンコ機等に用いる遊技盤の自動釘打ち装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に用いられている遊技機には、パチンコ機等の如く盤面上に複数の釘を立設した遊技盤を用いて構成したものがある。
【0003】
このような遊技盤は、釘打ち装置を用いて盤面上の所定複数位置にそれぞれ釘を立設して製造される。
【0004】
従来の釘打ち装置では、遊技盤材を一枚づつXYテーブル上にセットし、このXYテーブルをX軸とY軸の2軸制御のサーボモータで駆動することによって、遊技盤の釘を打つべき位置を、釘打ち機の釘打込み位置に位置決めする。そして、釘打ち機では、エアシリンダで駆動される釘を把持するためのホルダを、そのエアシリンダがストッパ部材に当って停止され、又はシリンダエンドに当って停止されるまで駆動することにより、釘供給部の位置まで移動する。この釘供給部では、釘供給部用エアシリンダをストッパ部材又はシリンダエンドに当るまで駆動する動作によって、釘を1本づつホルダに供給する。このように釘1本を供給されたホルダは、エアシリンダを駆動して、その釘を釘打込み位置に移動する。次にエアシリンダで駆動されるハンマ部材により、このエアシリンダをストッパ部材又はシリンダエンドに当るまで駆動する動作に連動して、ホルダに把持された釘を遊技盤上に所定高さに打ち込む。 この後、再びXYテーブルを移動して位置決めするとともに、ホルダのエアシリンダを駆動して釘の供給動作を行い、エアシリンダを駆動してハンマ部材で釘を打ち込むという動作を繰り返す。このようにして遊技盤上に複数の釘を立設し終えると、XYテーブルから釘打ち込み済の遊技盤材を取り外し、次の釘打ち込みをする遊技盤材をXYテーブルにセットし、前述の釘打ち作業を繰り返す。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような従来の釘打ち装置では、釘打ち機において、ホルダの移動、釘供給部の釘供給動作、及びハンマ部材による釘打込み動作は、エアシリンダを用いて行われていた。このようにエアシリンダを駆動源として用いた場合に、この釘打ち機を長期間不使用後、再使用開始する場合、冬期の使用の場合、若しくは、エアの供給バランスが崩れた場合には、エアシリンダの動作が遅くなるために、ホルダの移動動作と釘供給部、又はハンマ部材による釘打込み動作のタイミングがずれて、釘供給ミスを生じたり、盤面上へ打込まれた釘が曲がったり、打込まれた釘の盤面からの高さが不均一になる等の品質不良を生ずることがある。このような品質不良の盤が作られること、これをチェックして除き、又は修理せねばならず、さらには各エアシリンダの調整を行わねばならないため、釘打ち機の稼働率が低下してしまうという問題がある。
【0006】
また、エアシリンダの動作を制御するため、エアシリンダの駆動動作が、ストッパ部材、又はシリンダエンドに当たって停止するように構成すると、このストッパ部材、又はシリンダエンドに衝突して停止するときの大きな衝撃により、エアシリンダに関する部品の消耗が激しく、これらの部品の使用寿命が短くなり修理費が嵩む。さらに消耗部品を頻繁に交換せねばならない場合には、釘打ち機を止めておく時間が長くなり、稼働率をさらに低下させる。
【0007】
また、エアシリンダがストッパ部材、又はシリンダエンドに衝突したときに大きな衝撃音を発生するため、この騒音により工場環境を悪くするという問題があった。
【0008】
そこで、次のような改善策が考えられる。まず、各エアシリンダが前進端位置、又は後進端位置に至ったことを検出して、各工程の動作が終了したことを確認してから、次の動作に移らせる。また、エアシリンダの停止端部に緩衝材を設けるとともに、エアシリンダを駆動制御して所定位置に位置決めして停止させる。このようにすればエアシリンダの動作に関連して衝撃が発生するのを防止できるが、このために各工程の動作の完了を検出し、位置決め制御を行うと釘打ち装置が高価になるばかりでなく、その1サイクルの動作を実行するためのサイクルタイムが長くなり、作業効率も低下するという問題があり、問題の根本的解決にはならない。
【0009】
本発明は上述の問題点を考慮し、部品の消耗が少なく、騒音が低く、しかも廉価で生産効率の高い遊技盤の自動釘打ち装置を新たに提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る遊技盤の自動釘打ち装置は、装置本体にはXYテーブルと加工部および釘供給装置が設けられ、加工部にはカム機構とホルダおよびハンマが設けられ、カム機構はモータで回動されるカム主軸にホルダ上下カムおよびハンマ上下カムを備え、遊技盤がXYテーブルの上に搭載され、XYテーブルが釘打ち位置の座標データに基づいて位置決めされ、釘供給装置から供給された釘を支持したホルダが釘打ち部においてホルダ上下カムで下降し当該支持した釘を遊技盤の釘打ち付け位置へ運び、ハンマがハンマ上下カムで下降し上記ホルダで遊技盤の釘打ち付け位置へ運ばれた釘を遊技盤に打込むことを特徴とする。本発明に係る遊技盤の自動釘打ち装置において、XYテーブルが釘打ち位置の座標データに基づいて釘を打った位置から次の釘を打つ位置へ移動するのに所定時間以上経過する場合には、移動にかかる時間に対応して、モータの回転速度が停止しないように低速に調整され、ハンマによる釘打ち動作がXYテーブルの次の釘を打つ位置への位置決め動作完了後に行ってもよい。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の遊技盤の自動釘打ち装置の本実施の形態例を図面によって説明する。本実施の形態例の釘打ち装置は図1に示すように、装置本体10にXYテーブル部12、カム機構による加工部14、釘供給装置16、操作盤18及び制御盤20を装着して構成されている。
【0023】
装置本体10に設けたXYテーブル部12は、図2にも示すように、テーブル22を互いに直交するX軸方向、及びY軸方向に設置された図示しない摺動案内部材上を摺動自在に装着されたいわゆるクロススイライドで構され、かつX軸サーボモータ24とY軸サーボモータ26とにより、それぞれX軸とY軸方向に移動動作される。また、X軸サーボモータ24とY軸サーボモータ26とは、それぞれ制御盤20に接続され、同時に制御される。
【0024】
本実施の形態例では、テーブル22上に2つの遊技盤28を取り付けるため、第1治具30と、第2治具32とが設置位置調整可能に設けられている。これら第1治具30と第2治具32とにはそれぞれ一対の基準ピン34が立設され、これら一対の基準ピン34を利用し各遊技盤28を各第1治具30、第2治具32上の所定位置に位置決めして取り付ける。なお、第1、第2治具30、32にはそれぞれ遊技盤28の有無を検出する手段が設けられている。
【0025】
また、装置本体10のテーブル22に近接した所定部所には、テーブル22上に取り付けられた2つの遊技盤28に釘がそれぞれ立設されているか否かを検出する釘検出装置36が設置されている。この釘検出装置36は、光学式センサ、電磁気を利用したセンサ等の種々のセンサで構成しても良い。
【0026】
テーブル22に取り付けられた2つの遊技盤28には、カム機構を利用した加工部14によりそれぞれ釘打ち加工が行われる。この加工部14は、カム機構に連動して釘供給動作、及び釘の打ち込み動作を実行する。カム機構は、ACサーボモータ38の回転力を減速機40を介してカム主軸42に伝達し、カムを回動するように構成されている。
【0027】
カム主軸42には、ルダ上下カム104、ホルダ前後カム106、ハンマ上下カム108、分離カム110、押込みカム112、及び強制排出カム114の計6個のカムが2組設けられている。
【0028】
カム主軸42には、回動力伝達用のプーリ44が設けてあり、ギヤボックス46の従動プーリ48との間にタイミングベルト50を巻装して回転力を伝達する。このギヤボックス46はロータリーインデックス52に接続され、従動プーリ48から入力した回転力をロータリーインデックス52に伝達する。
【0029】
ロータリーインデックス52は、図3にも示すように、テーブル22上の2個の遊技盤28に対応するよう2個並べて配置されている。各ロータリーインデックス52には、釘を1本ずつ保持するためのホルダ54が4個十文字状に配置されていて、これら4個のホルダ54を一体的に回動して中心角90度ずつ置いた所定の4分割角度位置に停止される構成にされている。すなわち、ロータリーインデックス52内に間欠機構を装着してギヤボックス46側から伝達された連続回転運動を中心角90度回転後停止し、再回動するといった間欠回転運動に変換することにより、4個のホルダ54をそれぞれ所定4部所に停止させる。
【0030】
ロータリーインデックス52に用いる間欠機構として一般に用いられているパラレル・カム又は、ローラギヤ・カムを用いることができる。例えばパラレル・カムは、共役カムの一種で、2枚の板カムにより2列の複数個の従節ローラを順次送ることによって間欠運動をさせるカムである。
【0031】
ロータリーインデックス52の各ホルダ54が停止する4部所は、釘供給部56、釘有無検出部58、釘打ち部60及び釘排出部62である。
【0032】
ロータリーインデックス52に装着されるホルダ54は、図4に示す如く、一対の矩形部材66を所定間隔を開け、これらの中間部を軸ピン68で軸支して先端部が開閉可能に構成されている。ホルダ54の先端部は角を落して先細りとなるよう形成され、その一対の矩形部材66の相対向する側面先端部には、一方の矩形部材66を一部切除して釘を挾んで保持するための保持部70にはV字状の保持溝部70Aが形成されている。また、一対の矩形部材66後端部の相対向する側面間には、圧縮コイルばね72が架設され、一対の矩形部材66の先端部の間を弾性的に圧接する。
【0033】
保持溝部70を設けた一方の矩形部材66における図で上面に当る軸ピン68より先端側の所定位置には、小柱体74が立設され、その前側面にローラ部材76が軸着されている。
【0034】
このように構成された各ホルダ54には、図3に示す如く釘供給部56に各ホルダ54が至ると、各々1本の釘が釘供給装置に接続された供給機78から供給される。
【0035】
この供給機78には、図5乃至図11に示す如く、釘搬送部80と、釘分離送り部82と、釘渡し部84とが設けられている。
【0036】
釘搬送部80は、図1及び図2にも示す如く釘供給装置16から釘渡し部84まで釘86を一列に並べて搬送する。このため一対の長板を釘86の軸部を通す間隔を開けて平行に配置し、一対の長板の上端辺上に釘86の頭部を乗せて吊り下げる状態に整列させる。そして一対の長板上端辺を釘86の頭部が摺動しながら釘86が搬送される。
【0037】
釘搬送部80の釘渡し部84側の端部近くは、角45度で先端に向けて下向する斜向部81に形成され、その斜向部分の一対の長板の側面には、これらを一連に貫く開口88が穿設されている。また、釘搬送部80の先端部には1本の釘86を釘渡し部84へ導入する導入口部90が設けてあり、その自由端部には、開閉蓋92を設け、閉状態の開閉蓋92の上に釘86を保持しておいて、供給タイミングに合わせ開閉蓋92を開き、釘86を釘渡し部84へ落とし込むように構成されている。
【0038】
釘分離送り部82には、図6、図7及び図11に示すように釘搬送部80の下に直交する方向に配設された摺動案内部材94上を摺動自在に動く摺動子材96が釘搬送部80の両横にそれぞれ所定間隔を開けて配置され、これらが一体的に動くよう連結されている。各摺動子材96にはそれぞれ支板98が立設され、各支板98の所定位置には、それぞれ分離用支杆100、102の先端部が開口88内に出入可能に臨むように突設されている。これらの分離用支杆100、102は、釘86の一本分より若干大きい間隔を開けて平行となるように配置されている。そして、一対の摺動子材96が摺動案内部材94上の2つの所定位置の間を1回往復動することにより、 釘搬送部80の斜向部81上にある釘86が2本の分離用支杆100、102の間に入り、さらにこの釘86がこの間から釘搬送部80の先端側へ1本分離して送出される。このようにして釘86を1本ずつ分離して送り出す。
【0039】
この釘分離送り部82における釘分離動作は、カム機構に連動して実行される。すなわち、図11に示す如くこのカム機構は、カム主軸42の分離カム110の外周カム面に中間を装置本体に軸支された揺動従節116の一端を転接させ、その他端を第1支杆118によって、揺動部材120の一方の腕部に連動されている。揺動部材120の基部は装置本体に軸支され、その他方の腕部は、第2支杆122を介して摺動子材96に連動されている。これにより、分離カム110の回動に従って、摺動子材96が摺動案内部材94上を所定距離往復動作する。
【0040】
この釘分離送り部82のカム機構には、制御板20で制御されるロックアップ装置121を設ける。このロックアップ装置121は、揺動従節116の第1支杆118を接続した端部近くに配置され、揺動従節116に設けた受け板123をロックアップ装置121のロッドが押し上げて、揺動従節116が分離カム110からカムの最大リフト位置でも接触しないように切り離された状態にロックアップし、釘86の供給を停止する。
【0041】
また、図5に示すように釘分離送り部82で1本分離された直後では、二点鎖線で示すように釘86Aの先端部が図に向って右方向へ傾斜している。そこで、釘搬送部80にノズル91を設け、ノズル91にホール93を介して図示しない圧搾空気供給源を接続し、この圧搾空気供給源から送給された圧搾空気をノズル91から釘86Aの先端部に向けて噴射し、釘86Aの頭を中心に先端側を図に向って時計方向に回動し、導入口部90の前側面に釘を沿わせてから、釘86を開閉蓋92側へ落下させるように構成されている。
【0042】
釘分離送り部82で分離された釘86は、導入口部90から1本ずつ釘渡し部84へ送られる。釘渡し部84は、釘挿入補助機124と、釘押込み機126とで構成されている。
【0043】
釘挿入補助機124は、図5乃至図10に示す如く構成されるもので、供給機78における釘搬送部80の先端にある導入口部90の下側に配置される。釘挿入補助機124には一対の挾持部材128、130が設けられている。一方の挾持部材128は比較的長い部材に形成され、その中間部を軸ピン132で軸支されている。他方の挾持部材130は比較的短い部材で形成され、その基端部を軸ピン134で軸支されている。なお、各軸ピン132、134の位置は、一対の挾持部材128、130の先端からの距離が同等に設定されている。
【0044】
これらの挾持部材128、130は、図示しないばね部材により、互いに接する方向に付勢されている。また、一対の挾持部材128、130の間には、釘86がこれらの挾持部材128、130を弾性的に押し広げて釘86の長さ方向及びこれと直角方向へ通されるようにする通し溝136が設けられている。
【0045】
また、釘挿入補助機124の構造部には、図8にも示すように導入口部90から送出された釘86を通し溝136へ導くための略逆三角形状の案内溝138が形成されている。
【0046】
この案内溝138と、通し溝136との境部分には、釘横振れ防止機構の補助部材140先端指示部を臨ませ、通し溝136へ挿入される釘86が進行方向に対し横振れしないように案内させる。この補助部材140は、図10にも示すように平面鉤形、及び側面鉤形であり、その縦側部140Aがブロック部材142に締結されている。
【0047】
ブロック部材142は、その中央部を貫通して固着された軸棒144によって釘挿入補助機124の構造部に軸支されている。。ブロック部材142の補助部材140の締結部と反対の側面部には、取付穴146が穿設され、この取付穴146に操作部材148と連動する先端に球部150Aを形成した連動支杆150が止着されている。
【0048】
操作部材148は、略長方形状で、連動支杆の球部150Aを挿入する連動溝148Aを形成するとともに、中央部に突設した軸棒152を、図示しない構造部に軸支させて設置されている。このブロック部材142に設けた連動支杆150は、軸棒152より図で上端部に偏心して位置されている。操作部材148の軸棒152より図で下端部に偏心した位置には被操作部材154が突設されている。
【0049】
被操作部材154は、軸棒156の自由端部にローラ部158を回動可能に取り付けナット160で締結して構成される。また、被操作部材154と同様に、軸棒162にローラ部164が軸支されナット166で締結されて成る操作補完部材168が、構造部に突設されている。そして、被操作部材154の軸棒156と、操作補完部材168の軸棒162との間には、引張コイルばね170が架設され、被操作部材154を操作補完部材168側へ近寄る方向に付勢する。
【0050】
このように構成した釘横振れ防止機構は、被操作部材154のローラ部158と、操作補完部材168のローラ部164との間に、図11に示した後述するくさび形部分を有する操作部材172を挿入して両者間を押し広げる。
【0051】
これにより被操作部材154は図10に矢印A方向に押し動かされて、操作部材148を矢印B方向に回動する。この動作に従って、連動支杆150は矢印C方向に揺動し、ブロック部材142、及びこれと一体の補助部材140を矢印D方向へ回動する。すると補助部材140の先端支持部は、図8、及び図9からも分るように通し溝136に沿う位置から離脱してこの通し溝136内に挿通された釘86から解放される。
【0052】
また、被操作部材154が操作部材172から解放されると、引張コイルばね170の付勢力によって、前述とは逆の動作により、補助部材140の先端指示部が通し溝136に沿う位置に復帰する。
【0053】
釘渡し部84の釘押込み機126は、図5及び図11に示す如く、装置本体10に固定されたレール174に摺動自在に装着された台座176と、この台座176に設置された釘押し部材178と操作部材172とを有する。
【0054】
操作部材172には、下方に向いた自由端に向けて先窄まりとなる左右一対の斜辺172Aと、その中央から突出する細板状の突片172Bとが設けられている。
【0055】
この操作部材172は、所定位置まで下降動作されると、その一対の斜辺172Aが、図6、及び図10に示す被操作部材154と操作補完部材168との間に入り、一対の斜辺172Aが2つのローラ部158、164に転接しながら押し広げるようにして被操作部材154を所定位置まで移動する。
【0056】
釘押し部材178には、その先端部に案内溝138内の釘86の頭部を押し操作するための丸棒状の押し棒180が突設されている。尚、押し棒180の先端部は釘86の頭部と同様な偏平な凹球面になっている。
【0057】
この押し棒180は、図8及び図9にも示すように案内溝138内に所定位置まで挿入され、その頭部が釘86の頭部に当り、釘86を通し溝136内へ押し込む。この動作の際、通し溝136の入口部において、補助部材140が釘86を横振れしないよう案内するので、釘86は通し溝136に沿って真直に挿入される。これにより釘86の先端部はこの通し溝136の直下に連通するよう位置したホルダ54の保持溝部70内に挿入される。
【0058】
この動作の際、押し棒180の先端が補助部材140の位置に接近したとき、前述の操作部材172の作用で図6、及び図10に示す被操作部材154が移動操作されこれに前述の如く連動して補助部材140の先端支持部が通し溝136から離間しているので、押し棒180は補助部材140に防げられることなく、釘86の頭部を通し溝136内における補助部材140より下の所定位置まで挿入する。
【0059】
上述のような釘押し部材178と操作部材172との動作は、図11に示すように台座176をカム機構で連動して実行される。このため、カム主軸42の押込みカム112の外周カム面には、基端部を装置本体に軸支された従動部材182の自由端部に軸支した転動部材184が転接されている。この従動部材182の自由端部は第1支杆186によって第1揺動部材188の一方の腕部に連動されている。第1揺動部材188の基部は装置本体に軸支され、その他方の腕部は、第2支杆190を介して第2揺動部材192の腕部に連動されている。第2揺動部材192の基部は装置本体に軸支され、その他方の腕部は第3支杆193を介して台座176に連動されている。これにより、押込みカム112の回動に従って、台座176と一体に釘押し部材178と操作部材172とを所定距離往復動作する。
【0060】
上述のようにして、ホルダ54に釘86の先端が支持されると、ロータリインデックス52が中心角90度回動される。これにより、ホルダ54から突出している釘86の頭部側は、釘挿入補助機124の通し溝136から釘86の軸線に直角な横方向に、一対の挾持部材128、130を押し拡げながら引き出される。そしてホルダ54に支持された状態で図3に示す釘有無検出部58へ搬送され停止される。
【0061】
釘有無検出部58は、図12、及び図13に示すように、装置本体10に吊下された2本の支柱194の自由端部にそれぞれホルダ54から突出している釘86の胴部を検出するセンサ196を設けて構成されている。本実施の形態例ではセンサ196として光センサを用い、光センサ196の破線で示す光路198上に釘86が位置して光路198を遮断する場合には釘86が正常な状態に保持されていることを検出し、光路198が遮断されない場合には釘86無しと検出する。なお、センサ196として電気的性質又は音を利用したセンサ等種々のセンサを用いることができる。
【0062】
このセンサ196の検出信号は、制御盤20に送られる。この釘有無検出部58は、2つのロータリーインデックス52の各々に対応して配置されるもので、これら両者のホルダ54に共に釘86が支持されている場合には、図3に示す次の釘打ち部60で釘打ち動作を実行し、いずれか又は両者のホルダ54に釘86が支持されていないと検出された場合には釘打ち動作が行われない。
【0063】
釘有無検出部58で検出後、ロータリインデックス52が中心角90度回動され、図3に示す如くホルダ54が釘打ち部60まで移動される。
【0064】
釘打ち部60の位置に送られたホルダ54部分を図14乃至図18に示すように、各ホルダ54は、それぞれ進退機構、及び昇降機構を介してロータリーインデックス52に装着されている。
【0065】
ホルダ54は、進退機構の機台198に装着され、ホルダ54の底部には略台形状の押え部材200が取り付けられている。押え部材200の底面にはゴム等で形成した弾性押え部材202が設けられている。また、ロータリーインデックス52はXYテーブル22の表面に対して傾斜して設けられているので、ホルダ54が釘打ち部60に位置したとき、押え部材200の底面がXYテーブル22上の遊技盤28と平行になるよう押え部材202の底面が斜状に形成されている。
【0066】
ホルダ54を装着した機台198は、図に向って横方向に延びる進退案内レール204に摺動自在に装着されている。また、図17に示すように機台198に設けたブラケット206には支杆208を横に突設し、進退案内レール204側に設けたブラケット210の遊挿口に支杆208を挿通し、この支杆208の自由端止め具と、ブラケット210との間に圧縮コイルばね212を架設することによりホルダ54は図17に示す後退位置に至るよう付勢されている。機台198には図14に示すように鉤形に立ち上がる被操作用部材214が設けられ、その自由端部に係合用ローラ216が軸支されている。
【0067】
進退案内レール204には直角に立ち上がる支柱部材218が立設され、この支柱部材218に固定された摺動支持部材220を介して、ロータリーインデックス52の縦レール222に摺動自在に装着される。支柱部材218の図で上部位置には支持用ローラ224が軸支されている。
【0068】
この支持用ローラ224は、ロータリーインデックス52の周囲を取り巻くように装置本体10に配置され、断面が中心側に開放する溝状に形成された案内環226の溝226B内を転動するようにされている。また、案内環226の釘打ち部60に対応する位置は図18に示す如く所定幅切欠され、この切欠部226Aには昇降操作部材228が配置されている。
【0069】
昇降操作部材228には、案内環226の断面形状と同じ溝228Aが設けてあり、切欠部226Aに昇降操作部材228が合致されたとき、溝226Bと溝228Aが一致して連続され、一連の円環状溝が形成される。
【0070】
よって、支持用ローラ224は、環状に接続された溝226Bと溝228A内を転動して周回可能とされる。このため、支柱部材218に加わる荷重は、支持用ローラ224を介して案内環226及び昇降操作部材228で受けられるので、ホルダの機台198部分が待機位置から自重で縦レール222に沿って降下することなく、ホルダ54が釘供給部56、釘有無検出部58、釘打ち部60、及び釘排出部62の各位置を回転して移動可能とされる。
【0071】
昇降操作部材228は、図18に示す如く、従動用部材230に係留され、摺動保持部材232を介して、装置本体に固定された縦レール234に沿って移動自在に装着されている。
【0072】
昇降操作部材228は、カム機構で昇降動作されるもので、カム主軸42のホルダ上下カム104の外周カム面には、基端部を装置本体に軸支された従動部材236の自由端部に軸支した転動部材238が転接されている。この従動部材236の自由端部は、支杆240によって揺動部材242の一方の腕部に連動されている。揺動部材242の中央部は装置本体に軸支され、その他方の腕部横側面にはローラ244が軸支されている。この揺動部材242のローラ244は、従動用部材230の横溝246内に転接されている。これにより、ホルダ上下カム104の回動に従って、従動用部材230と一体に昇降操作部材228が所定距離往復動作する。このとき、釘打ち部60に位置するホルダ54は、その支柱部材218の支持用ローラ224が昇降操作部材228の溝228A内に位置し支持されている状態にあるので、昇降操作部材228と一体的に昇降動作を行う。
【0073】
上述のようにしてホルダ54が待機位置から昇降すると、その被操作用部材214の係合用ローラ216が進退操作部材248の2つの挾持瓜250の間に入る。進退操作部材248は、図17に示すように、鉤形に形成され、摺動案内部材252を介して装置本体に固定されたガイドレール254に摺動自在に装着される。
【0074】
進退操作部材248はカム機構により進退移動操作される。このカム機構では、カム主軸42のホルダ前後カム106の外周カム面に、基端部を装置本体に軸支された従動部材254の一方の腕部に軸したローラ256が転接されている。従動部材254の他方の腕部の中間位置は、第1支杆258によって揺動部材260の一方の腕部に連動されている。揺動部材260の基端部は装置本体に軸支され、その他方の腕部は第2支杆262によって進退操作部材248に連動されている。これにより、ホルダ前後カム106の回動に従って、進退操作部材248が所定距離前進後退の動作をする。この動作の際、進退操作部材248の挾持瓜250の間に係合用ローラ216が挾持されているので、機台198とともにホルダ54は、進退操作部材248に連動して前進後退の動作を行う。
【0075】
上述したホルダ前後カム196に関するカム機構には、図17に示すような制御盤20で制御されるロックアップ装置288が設けられている。このロックアップ装置288は、従動部材254の支杆258を軸支している腕部の自由端部に設けた受け板部254Aの直下に配置されている。ロックアップ装置288は、制御盤20の指令に基づいて、そのロッドが受け板部254Aを押し上げて、従動部材254がホルダ前後カム106からカムの最大リフト位置でも接触しないようにロックアップする。このロックアップ装置288のロックアップ状態では、ホルダ前後カム106に連動する進退操作部材248は、最後端位置に停留され、前進動作を全く行わないことになる。
【0076】
上述のように構成した釘打ち部60におけるホルダ54の進退機構、及び昇降機構は、前述の釘有無検出部58で両ホルダ54とも釘86を保持していると確認されたときに、釘打ち動作が行われる。この場合、釘打ち部60においてホルダ54は、XYテーブル22と共に移動される遊技盤28上にすでに打ち付けられて立設されている釘86を避けながら、ホルダ54で保持している釘86を所定の打ち付け位置に運んで位置決めするため、ホルダ54に昇降動作と進退動作を組み合わせた図20の動作線図に示す如き動作をする。まず、第1段階264として、図14の位置にあるホルダ54をホルダ上下カム104の作用によって、盤面より20ミリメートルの高さから12ミリメートル降下させる。第2段階266では図15に示すようにホルダ上下カム104とホルダ前後カム106との両者の作用でホルダ54が下に凸の円弧状軌跡を画くように6ミリメートルの降下と6ミリメートル前進の複合動作をさせる。
【0077】
次に第3段階268ではホルダ前後カム106の作用でホルダ54を6ミリメートル前進させて停止する。これに続いて、第4段階270ではまずホルダ上下カム104の作用でホルダ54を2ミリメートル降下し図16に実線で示す状態になってから、さらにホルダ54を1ミリメートル程度降下させ、図に1点鎖線で示すように弾性押え部材202を遊技盤28の表面上に圧接する。
【0078】
このようにホルダ54を移動操作することによって、ホルダ54に保持された釘86を所定の釘打込位置に位置決めでき、しかもすでに打ち付けられた釘86の近傍に隣接して位置決めできる。さらに、この釘86を釘打込位置に位置決めして保持した状態では、遊技盤28の表面に圧接した弾性押え部材202が密着したときの摩擦力で、遊技盤28とホルダ54との位置がずれないように確実に支持できる。
【0079】
このようにして、図16に示す如くホルダ54が釘86を遊技盤28上の釘打ち位置に位置決めしている状態で、ハンマ272により釘86を遊技盤28に、表面から所定角度をなし、かつ所定高さ突出するように打込む。
【0080】
ハンマ272は、図19に示す如く基板274に一体的に取り付けられている。さらに基板274には、ローラ部材76用の操作部材280が取り付けられている。この基板274は、摺動案内部材276を介して装置本体に固定されたガイドレール278に摺動自在に装着されている。尚、ハンマ272の釘打部272Aは図24に示すように釘86の頭部が被るように、偏平状の凹球面を有している。又、釘86の先端側はスクリュー状に溝が形成されているので、釘を打込む際に、釘が回転し、そのため釘の頭部がこすれて傷を受ける。この傷を防止するために、ハンマ272は、図示しないベアリングを設けて、ハンマ272に対して、釘打部272Aを回転自由な構造としている。
【0081】
ハンマ272、及び操作部材280を有する基板274は、カム機構により往復摺動操作される。このカム機構では、カム主軸42のハンマ上下カム108の外周カム面に、基端部を装置本体に軸支された従動部材282の自由端部に軸支したローラ284を転接させる。この従動部材282の自由端部と、基板274とは支杆286によって連動されている。これにより、ハンマ上下カム108の回動に従って、基板274が所定距離上下する往復動作をする。この動作の際、図16からも解るように、基板274の下降動作に伴って、ハンマ272が釘86を遊技盤28に打ち込み、釘86がハンマ272による動作によっても傾かなくなる程度の長さまで打ち込まれた段階で、操作部材280がホルダ54のローラ部材76に当り、これを押しホルダ54の一対の矩形部材66の保持溝部70Aの間を開かせ、保持されていた釘86を開放する。この後、ハンマ272が釘86を所定高さ位置まで打ち込む。
【0082】
さらに、操作部材280がローラ部材76に作用して、保持溝部70を開かせ釘86を解放している間に、ホルダ54は、ホルダ上下カム104、及びホルダ前後カム106の作用で、前述の図20に示す動作と略逆の動作で図14に示す頭初位置に復帰する。また、ホルダ54が打ち込まれた釘86から離れた段階で、ハンマ272と操作部材280は、ハンマ上下カム108の作用で、図14に示す遊技盤28に打ち付けられた釘86の頭より高い盤面より20ミリメートルの高さの頭初位置に復帰する。
【0083】
次に、前述の釘有無検出部58で両ホルダ54の少なくとも1方に釘86が保持されていないことが検出されたときには、釘打ち回避動作が行われる。この回避動作は、ロックアップ装置288により、従動作部材254をロックアップし、進退操作部材248に前進動作を行わせないことにより実行される。この場合には、ホルダ541はホルダ上下カム104の作用で昇降動作だけを行うことになる。よって、ホルダ54が前進されずホルダ54に釘が保持されていてもハンマ272の直下に行かないのでハンマ272、及び操作部材280の昇降動作は空振りになる。このため2つのホルダ54のうち、釘86が保持されていたホルダ54は釘86を保持した状態で図14に示す頭初位置に復帰する。
【0084】
上述のように、釘打ち部60の位置で釘打ち動作、又は釘打ち回避動作が完了すると、ロータリインデックス52が中心角90度回動され図3に示す如くホルダ54が釘排出部62まで移動される。なお、このときホルダ54は遊技盤28に打ち付けた釘86の頭より高い位置を通るので、釘86と干渉することはない。
【0085】
釘排出部62には図21、及び図22に示すように、釘排出機構が装着されている。
【0086】
この釘排出機構では、図示するように装置本体に固定されたガイドレール290に摺動指示部材292を介して排出部材294が摺動自在に装着されている。排出部材294は、そのホルダ側先端部に釘引き抜き開口部296が設けられている。このため、排出部材294の図21に向って右側部には、支持部298が一体的に突設されている。支持部298の右端側には、一段長く形成し、その自由端の支持部298側に小矩形突部300を設けた引き抜き部材302が設けられている。また、支持部298の左端側には、一段短く形成し、その自由端の支持部298側に小矩形突部304を設けた引き抜き部材306が設けられている。そして、支持部298、2つの引き抜き部材302、306によって囲まれ、図21の紙面の前後、及び下方に開放する釘引き抜き開口部296が形成されている。
【0087】
排出部材294は、カム機構でガイドレール290上を往復動作される。図22に示すように、このカム機構は、カム主軸42の強制排出カム114の外周カム面に、中間を装置本体に軸支された揺動従節310の一端のローラ311を転接させ、その他端を第1支杆312によって、揺動部材314の一方の腕部に連動されている。この揺動部材314の他方の腕部は、第2支杆316を介して排出部材294に連動されている。これにより、強制排出カム114の回動に従って、排出部材294はガイドレール290上を所定の釘受け位置から釘排出位置まで往復動作をする。そして、排出部材294が図21に実線で示す釘受け位置にあるときに、ホルダ54に保持されている釘86を釘引き抜き開口部296内に導入可能とされる。すなわち、前述のXYテーブル22上の2つの遊技盤28にそれぞれ対応する2つの釘打ち部60に各々ホルダ54が来たときに、いずれか一方のホルダ54に釘86が保持されていなかったため釘打ち動作が行なわれなかった場合に、その他方のホルダ54は釘86を保持したまま、図21に実線で示す釘排出部62へ回動して来る。このとき、ホルダ54に保持された釘86は、所定の釘受け位置に待機していた排出部材294の釘引き抜き開口部296内に導入される。次に、排出部材294がカム機構で矢印E方向へ引き動作された際、2つの引き抜き部材302、306が相俟って、その小矩形突部304が釘頭に引掛る等して、ホルダ54から釘86が引き外され、図示しない排出容器内へ釘86が排出される。なお、この動作時に平板308によって釘86が釘引き抜き開口部296から一方の横側へ抜け落ちるのを防止できる。
【0088】
上述の釘排出部62の位置での釘排出動作は、ホルダ54に釘86が保持されていると否とにかかわらず行なわれる。この釘排出動作完了後、ロータリインデックス52が中心角90度回動され、図3に示す如く、ホルダ54が再び釘供給部56まで移動され前述した動作が繰り返される。
【0089】
次に、本実施の形態例の自動釘打ち装置におけるカム主軸42に連動する2組の各カム機構のカム曲線について説明する。まず、カム主軸42に巻掛伝導機構で連動するカム機構によるロータリインデックス52の間欠機構は、図23の割付角の線図に示すように、カム曲線はカム主軸42の回動が角0度から角90度まで回転する間にロータリーインデックス52の4つのホルダ54を装着した回転軸は中心角90度回転する。その後カム軸42の回動が角90度から角360度までの間は停止している。
【0090】
次に、ホルダ上下カム104は、カム主軸42の回動が角0度から角70度までは不動で、角70度から角147度までの間に従接端変位量18ミリメートルだけホルダ54を下降し、角147度から角158度まで動作を停止し、角158度から角193度まで従接端変位量3ミリメートルだけホルダ54を下降し、角193度から角232度までホルダ54を停止する。さらに回動角が角232度から角267度までに従接端変位量3ミリメートルだけホルダ54を上昇し、角267度から角293度までホルダ54を停止し、角293度から中心角77度回動するまでの間に従接端変位量18ミリメートルだけホルダ54を上昇する。
【0091】
次に、ホルダ前後カム106は、カム主軸42の回動が角0度から角108,5度までは不動で、角108,5度から角171,5度まで従接端変位量12ミリメートルだけホルダ54を前進させ、角171,5度から角267度まで停止し、角267度から角330度まで従接端変位量12ミリメートルだけホルダ54を後退させ、角330度から角360度までホルダ54を停止させる。
【0092】
なお、図23に示すホルダ上下カム104とホルダ前後カム106の作用が相俟ってホルダ54に前述した図20に示す如き動作を行なわせるものである。
【0093】
次に、ハンマ上下カム108は、カム主軸42の回動が角0度から角150度までは不動で、角151度から角232度まで従接端変位量20ミリメートルだけハンマ272を下降させ、角232度から角279度まで停止し、角278度から角360度まで従接端変位量20ミリメートルだけハンマ272を上昇させる。 次に、分離カム110は、カム主軸42の回動が角0度から角63度までは不動で、角63度から角124度まで従接端変位量11ミリメートルだけ釘分離送り部82の摺動子材96を一方へ移動し、角124度から角299度まで停止し、角299度から角360度までに摺動子材96を復帰動作させることにより90度近辺で開閉蓋92で保持されていた釘86が通し溝136に落ちる。
【0094】
次に、押し込みカム112は、カム主軸42の回動が角345度から角15度までに従接端変位量5ミリメートルだけ釘押し込み機126の釘押し部材178と操作部材172とを緩やかに上昇し、釘86の頭から押し棒180の凹球面が放れ、続けて角15度から角90度までに従接端変位量25ミリメートルだけ押し下げる。さらに、角90度から角255度まで停止し、角255度から角345度まで釘押し部材178と操作部材172とを従接端変位量30ミリメートルだけ押し下げ、角345度から角360度まで従接端変位量2.5ミリメートルだけ緩やかに上げる。なお、角345度から角360度まで、及び角0度から角15度までの区間は一連の緩やかな上げ動作を行なうことになる。
【0095】
次に、強制排出カム114は、カム主軸42の回動が角0度から角90度までは不動で、角90度から角200度までに従接端変位量25ミリメートルだけ排出部材294を移動し、角200度から角250度まで停止し、角250度から角360度までに排出部材294を元の位置に復帰動作させる。なお、上述したカム機構の各カム曲線に緩和曲線を用いて急激な加速度の変化を防止し、自動釘打ち機の各動作が滑らかに、かつ騒音を発生しないように構成する。
【0096】
さらに、カム機構の各カム曲線は図23に例示したものに限られるものではなく、各カム機構の必要とする動作に合わせた各カム曲線となるように構成しても良い。さらに、各カム機構の連動用支杆の一部が弾性的に伸縮するように構成し、一定以上の荷重が加わったとき、この支杆の一部が縮んで荷重を吸収し、各カム機構が破損することを防止するように構成することが望ましい。
【0097】
本実施の形態例の自動釘打ち装置で遊技盤28に釘86を打ち付ける作業を行う場合には、あらかじめ、各釘86を打ち付ける位置の座標を操作盤18を用いて制御盤20に記憶させておく。そして、作業者がXYテーブル22上の第1治具30と第2治具32との各上にそれぞれ遊技盤28をセットする。すると、各治具30、32の検出手段によって各治具30、32上にそれぞれ遊技盤28が有るか否かを検出し、制御盤20は遊技盤28がない治具に対する釘打ち作業を行わないように制御する。また、誤って、釘打ち済の遊技盤28を各治具30、32上にセットした場合には、釘検出装置36で釘が打ってあることが検出されるので、制御盤20は釘打ち作業を行わないよう制御する。
【0098】
また、XYテーブル12の第1、第2治具30、32上の各遊技盤28に釘86を打ち付ける作業を行う場合には、まず制御盤20は、釘打ち位置の座標データに基づいてX軸、Y軸のサーボモータ24、26をそれぞれ駆動制御し、XYテーブル12を位置決めする。これと同時に釘打ち加工を行うカム機構のACサーボモータ38を駆動する。この際、制御部は、XYテーブル12の移動量が一定距離以上になり、釘を打った位置から次の釘を打つ位置へ移動するのに所定時間以上経過する場合には、この移動にかかる時間に対応して、カム機構のACサーボモータ38の回転速度を低速に調整して停止しないようにし、XYテーブル12の位置決め動作完了後に釘打ち動作が行われるようにする。これは、ACサーボモータ38を一担停止し、位置決め完了を待って再スタートさせる場合には、ACサーボモータの特性上高速回転から停止動作への移行、及び停止状態から高速回転への移行には多くの電力を消費し、時間も必要となるため、ACサーボモータ38を停止させなくても位置合せの時間を待てるよう、ACサーボモータ38の回転速度を減速して対応するためである。このように制御することにより、位置決めから釘打ちまでの一連の動作を繰り返し行う作業のタクトタイムを短縮し、作業効率を向上できる。さらに、2つの遊技盤28に同時に釘打ち作業を行なえるので、作業性を向上できる。
【0099】
本実施の形態例の釘打ち装置では、ロータリインデックス52に4つのホルダ54を装着し、これらの4つのホルダ54を利用して、カム主軸42の1回転の間に釘供給、釘有無確認、釘打ち、釘排出の4つの工程を同時に行なう。また、各ホルダ54は回転されてこれら4つの工程を順に回り、1サイクルの動作を実行する。このように4つのホルダ54を用いて4つの動作をカム機構で同時に行うので、4つの各動作間にタイミングのずれを生じないようにできる。これとともに、1つのホルダで逐次釘の供給を受け釘打ちのための動作をおこなわせるのに比較して釘の供給と釘打ちを同時に行えるので作業効率を向上できる。
【0100】
また、釘有無検出部58でセンサ196により2つのホルダ54のいずれか又は両者に釘86が無いことが検出された場合には、制御盤20は、次の釘打ち部60で釘打ちを行わないようロックアップ装置288を作動させる制御をするとともに、この位置に釘86を打ち付ける動作を再度行うよう制御する。さらに、この釘86がホルダ54にないことが3回連続して検出された場合には制御盤20は釘打ち装置全体の動作を停止する。
【0101】
釘打ち部60でのハンマ272をカム機構で駆動して釘86を打ち付ける作業は、カム曲線を調整して、ハンマ272が釘86の頭にゆっくりと当り、打ち終えるときもゆっくりとした動作で止まるようにし、騒音が発生しないようにするとともに、打ち付けた釘86の頭の高さが一定になるようにする。また、各カム機構では、カムの緩和曲線を利用して動作時に衝撃音を発生しないようにしている。
【0102】
本実施の形態例の自動釘打ち装置では、XYテーブル22の平面から直角上方の高さ位置を第1、第2治具30、32の表面を基準に設定している。すなわち、この第1、第2治具30、32に載置される各遊技盤28の裏面を基準としていることになる。よって、この裏面を基準に打ち付けた釘86の頭の高さ位置が定まる。このため、本実施の形態例の自動釘打ち装置で製作した遊技盤28をパチンコ機の機枠に取り付けて用いる場合には、遊技盤28の平面に対する直角上方の高さ位置の基準が一致するので、パチンコ機の組立精度を向上でき、遊技盤28に打ち付けた釘86の頭部とパチンコ機のガラス面との間隔を一定にできる。
【0103】
釘排出部62では、釘打ち部60において釘打ち回避動作がなされ、ホルダ54に保持されたままの釘86を排出するので、釘が保持されている状態のホルダ54に釘供給部56で再度釘86が供給されるような誤動作を防止できる。
【0104】
上述のようにして、2つの遊技盤28にそれぞれ釘86を打ち付ける作業を終了すると、作業員には、完成した遊技盤28を取り去り、新たに釘打ちを行う遊技盤28をXYテーブル22上の第1、第2治具30、32上にセットし、作業を再開する。なお、釘排出部62で排出容器に排出された釘は適時、作業員が廃棄する。
【0105】
【発明の効果】
本発明に係る遊技盤の自動釘打ち装置によれば、ホルダの昇降とハンマの昇降とをカム主軸に設けられたホルダ上下カムおよびハンマ上下カムにより行うので、ホルダの昇降とハンマの昇降とを別々の駆動機構で行うよりも機構が簡単となるうえ、ハンマによる釘を打つときの騒音が発生しないという効果がある。XYテーブルが釘打ち位置の座標データに基づいて釘を打った位置から次の釘を打つ位置へ移動するのに所定時間以上経過する場合には、移動にかかる時間に対応して、モータの回転速度が停止しないように低速に調整され、ハンマによる釘打ち動作がXYテーブルの次の釘を打つ位置への位置決め動作完了後に行えば、位置決めから釘打ちまでの一連の動作を繰り返し行う作業のタクトタイムを短縮し、作業効率を向上できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の遊技盤の自動釘打ち装置の本実施の形態例を示す部分断面概略全体斜視図である。
【図2】本実施の形態例の自動釘打ち装置の全体構成を説明するための概略側面図である。
【図3】本実施の形態例の自動釘打ち装置のロータリーインデックス回りの作業配置を説明するための要部概略平面図である。
【図4】本実施の形態例におけるホルダ部分を取り出して示す斜視図である。
【図5】本実施の形態例の自動釘打ち装置における釘供給部分を示す部分側面図である。
【図6】本実施の形態例における釘の供給機部分を取り出して示す斜正面側から見た斜視図である。
【図7】本実施の形態例における釘の供給機部分を取り出して示す斜横側から見た斜視図である。
【図8】本実施の形態例における釘挿入補助機部分を取り出して示す要部側面図である。
【図9】本実施の形態例における釘挿入補助機の補助部材部分を取り出して示す要部平面図である。
【図10】本実施の形態例における釘挿入補助機の補助部材部分を取り出して示す要部概略斜視図である。
【図11】本実施の形態例における釘分離送り部と、釘押し込み機とのカム機構を説明するため要部を取り出して示す概略構成の斜視図である。
【図12】本実施の形態例におけるホルダに保持されている釘の検出手段を示す要部側面図である。
【図13】本実施の形態例におけるホルダに保持されている釘の検出手段を示す要部正面図である。
【図14】本実施の形態例の釘打ち付け位置におけるホルダの昇降機構、及び進退機構部分を示す要部側面図である。
【図15】本実施の形態例におけるホルダの釘打ち付けのための動作状態要部を示す要部側面図である。
【図16】本実施の形態例におけるホルダの釘打ち付けの作業状態を示す要部側面図である。
【図17】本実施の形態例におけるホルダの、カムに連動する進退機構を示す要部概略斜視図である。
【図18】本実施の形態例におけるホルダの、カムに連動する昇降機構を示す要部概略斜視図である。
【図19】本実施の形態例におけるハンマを往復動作するカム機構を示す要部概略斜視図である。
【図20】本実施の形態例におけるホルダの昇降及び進退の複合動作の一例を示す動作説明線図である。
【図21】本実施の形態例における釘排出機構部分を示す要部側面図である。
【図22】本実施の形態例におけるカムで往復動作される釘排出機構の構成を示すための要部概略斜視図である。
【図23】本実施の形態例の自動釘打ち装置に用いるカム曲線の一例を示すカム曲線図である。
【図24】本実施の形態例における針を打つハンマ部分を示す拡大部分断面図である。
【符号の説明】
12 XYテーブル部
14 加工部
16 釘供給装置
22 XYテーブル
28 遊技盤
36 釘検出装置
54 ホルダ
56 釘供給部
58 釘有無検出部
60 釘打ち部
62 釘排出部
70 保持溝部
78 供給機
82 釘分離送り部
86 釘
136 通し溝
140 補助部材
306 引き抜き部材

Claims (2)

  1. 装置本体にはXYテーブルと加工部および釘供給装置が設けられ、加工部にはカム機構とホルダおよびハンマが設けられ、カム機構はモータで回動されるカム主軸にホルダ上下カムおよびハンマ上下カムを備え、遊技盤がXYテーブルの上に搭載され、XYテーブルが釘打ち位置の座標データに基づいて位置決めされ、釘供給装置から供給された釘を支持したホルダが釘打ち部においてホルダ上下カムで下降し当該支持した釘を遊技盤の釘打ち付け位置へ運び、ハンマがハンマ上下カムで下降し上記ホルダで遊技盤の釘打ち付け位置へ運ばれた釘を遊技盤に打込むことを特徴とする遊技盤の自動釘打ち装置。
  2. XYテーブルが釘打ち位置の座標データに基づいて釘を打った位置から次の釘を打つ位置へ移動するのに所定時間以上経過する場合には、移動にかかる時間に対応して、モータの回転速度が停止しないように低速に調整され、ハンマによる釘打ち動作がXYテーブルの次の釘を打つ位置への位置決め動作完了後に行われることを特徴とする請求項1記載の遊技盤の自動釘打ち装置。
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