JP3721125B2 - Agc回路及び光受信装置並びに光伝送システム - Google Patents

Agc回路及び光受信装置並びに光伝送システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、AGC回路及びAGC回路を備えた光受信装置並びに光伝送システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
図21は、従来のAGC回路の構成を示すブロック図である。
図示されるAGC回路は、利得調整手段101と、振幅検出手段102と、利得制御手段103とを有し、利得調整手段101に入力される信号の振幅変動に対して、振幅検出手段102で入力信号の振幅値を検出し、利得制御手段103により、検出された振幅値に対する振幅制御信号を生成して、前記調整利得手段101を制御することで、振幅変動のある入力信号を一定振幅に変換して出力するものである。
【0003】
また、AGC増幅器の出力信号の振幅レベルを一定にする従来技術としては、例えば特開平9-246887号公報に示されるように、出力信号の振幅レベルのピーク値を検出し、外部の利得制御回路で利得制御信号を生成して、AGC増幅器にフィードバックし、AGC増幅器の出力振幅を一定に制御するものがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した図21に示される従来のAGC回路では、大振幅の信号入力時に、利得調整手段101の利得を調整しすぎてしまうことがあり、利得調整手段101の利得調整幅内において入力信号の振幅変動に対して出力信号の出力振幅値が変化してしまうことがある。
【0005】
また、上述した特開平9-246887号公報に示されるAGC増幅回路では、AGC増幅器の出力振幅を一定に制御できるものの、AGC増幅器内部の利得調整部がFETの縦積み構成となるため、回路規模が大きくなってしまい、またAGC増幅器の駆動電圧を低くすることは困難である。
【0006】
したがって、本発明の目的は、振幅調整部の回路構成を簡素化することによる駆動電圧の低電圧化を可能にし、かつ入力信号の振幅変動に対して出力信号の振幅値を一定に制御することができるAGC回路及び光受信装置並びに光伝送システムを提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に係るAGC回路は、第1と第2の入力信号の電位差を増幅して相補的な第1と第2の出力信号を出力する縦続接続された複数段の差動増幅部と、前記複数段の差動増幅部から出力される第1と第2の出力信号の電位差を増幅して出力する相補的な第1と第2の出力信号の振幅を振幅制御信号に基づいて調整する振幅調整機能を有する差動増幅振幅調整部と、前記差動増幅振幅調整部から出力される第1又は第2の出力のいずれかの出力振幅のピーク値を検出するピーク検出部と、前記ピーク検出部によりピーク値を検出する差動増幅振幅調整部の出力の直流電圧成分を検出する出力直流成分モニタ部と、前記ピーク検出部からの検出値と前記出力直流成分モニタ部からの検出値との差分を抽出して振幅制御基準電圧との比較に基づいて前記差動増幅振幅調整部からの出力の振幅を一定制御する振幅制御信号を前記差動増幅振幅調整部に出力する振幅一定制御部とを備える。この構成により、振幅調整部の回路構成を簡素化することによる駆動電圧の低電圧化を可能にし、かつ入力信号の振幅変動に対して出力信号の振幅値を一定に制御することができる。
【0008】
また、前記差動増幅振幅調整部は、差動FETと、前記差動FETの2つの負荷抵抗と、2つの負荷抵抗にそれぞれ並列接続され前記振幅一定制御部からの振幅制御信号がゲートに入力されることにより負荷抵抗に流れる電流を調整し出力振幅を調整する電流源FETとを備える。この構成により、負荷抵抗に流れる電流を調整し出力振幅を調整する。
【0009】
また、前記電流源FETにそれぞれ直列接続される抵抗を更に備え、前記電流源FETと前記抵抗との直列接続体が前記負荷抵抗にそれぞれ並列接続される。この構成により、FETに直列接続される抵抗の値により出力の振幅値の下限を任意に設定することができる。
【0010】
また、前記複数段の差動増幅部は、前記振幅一定制御部からそれぞれ出力される各振幅制御信号に基づいて出力信号の振幅を調整する振幅調整機能を有する差動増幅振幅調整部によりそれぞれ構成される。この構成により、入力振幅のダイナミックレンジを拡大することができる。
【0011】
また、前記ピーク検出部を第1のピーク検出部、前記出力直流成分モニタ部を第1の出力直流成分モニタ部とし、これら第1のピーク検出部と第1の出力直流成分モニタ部とは異なる差動増幅振幅調整部から出力される他の出力の出力振幅のピーク値と直流電圧成分をそれぞれ検出する第2のピーク検出部と第2の出力直流成分モニタ部を更に備え、前記振幅一定制御部は、前記振幅制御信号を第1の振幅制御信号とし、前記第2のピーク検出部からの検出値と前記第2の出力直流成分モニタ部からの検出値との差分を抽出して振幅制御基準電圧との比較に基づいて前記差動増幅振幅調整部からの出力の振幅を一定制御する振幅制御信号を第2の振幅制御信号として、前記差動増幅振幅調整部に出力するとともに、前記差動増幅振幅調整部は、前記振幅一定制御部からの第1の振幅制御信号に基づいて振幅制御された第1の出力を送出するとともに、前記振幅一定制御部からの第2の振幅制御信号に基づいて振幅制御された第2の出力を送出する。この構成により、入力信号の振幅変動に対して、増幅部の2つの出力信号の振幅を同一振幅値に一定に制御することができる。また、増幅部内部の差動増幅振幅調整部の回路構成を簡素化することにより、駆動電圧の低電圧化が可能となる。
【0012】
また、前記出力直流成分モニタ部からの検出値と電源電圧制御基準電圧との差分に応じた制御された電圧を前記差動増幅振幅調整部に供給する電圧制御部を更に備える。この構成により、差動増幅振幅調整部に供給する電圧を制御できる。
【0013】
また、前記差動増幅振幅調整部は、電源電圧端子と2つの負荷抵抗間に接続された1個の抵抗と、前記抵抗に並列接続された1個のFETとを更に備える。この構成により、振幅調整部の回路構成を簡素化する。
【0014】
また、前記電圧制御部は、前記出力直流成分モニタ部からの検出値に基づいて制御された電圧を前記差動増幅振幅調整部のFETのゲートに供給する。この構成により、差動増幅振幅調整部のFETのゲートに制御された電圧を供給することができる。
【0015】
また、前記差動増幅振幅調整部は、電源電圧端子と2つの負荷抵抗間にそれぞれ接続された2個の抵抗と、この2個の抵抗にそれぞれ並列接続された2個のFET及び2個の容量とを更に備える。この構成により、振幅調整部の回路構成を簡素化する。
【0016】
また、前記電圧制御部は、前記出力直流成分モニタ部からの検出値に基づいて制御された電圧を前記差動増幅振幅調整部の2個のFETのゲートにそれぞれ供給する。この構成により、差動増幅振幅調整部のFETのゲートに制御された電圧を供給することができる。
【0017】
また、前記差動増幅振幅調整部は、前記電流源FETにそれぞれソースフォロワ部を備え、各ソースフォロワ部は、第1のFETと、電流源FETとして機能する第2のFETと、前記第1のFETのソース端子と前記第2のFETのドレイン端子間に接続された、1個の抵抗と前記抵抗に並列接続された1個の第3のFETとを有する。この構成により、振幅調整部の回路構成を簡素化する。
【0018】
また、前記電圧制御部は、前記出力直流成分モニタ部からの検出値に基づいて制御された電圧を前記差動増幅振幅調整部の各ソースフォロワ部内の第3のFETのゲートにそれぞれ供給する。この構成により、駆動電圧の低電圧化が可能になる。
【0019】
また、前記出力直流成分モニタ部と前記電圧制御部は、各差動増幅振幅調整部に対応してそれぞれ複数備えられるとともに、各出力直流成分モニタ部は、対応する各差動増幅振幅調整部の出力の直流電圧成分を検出し、各電圧制御部は、各出力直流成分モニタ部からの検出値と各振幅制御基準電圧との比較に基づいた振幅制御信号を対応する差動増幅振幅調整部にそれぞれ出力する。この構成により、入力振幅のダイナミックレンジを拡大することができる。また、差動増幅振幅調整部1段ごとに出力の直流電圧の補正を行うことにより、入力での直流電圧のずれ幅及び増幅部内部で起こる直流電圧のずれ幅の許容範囲をより拡大することができる。
【0020】
また、前記第1の出力直流成分モニタ部からの検出値と電源電圧制御基準電圧との差分に応じた電圧を第1の電圧とし、前記第2の出力直流成分モニタ部からの検出値と電源電圧制御基準電圧との差分に応じた電圧を第2の電圧として、前記差動増幅振幅調整部に供給する電圧制御部を更に備え、前記差動増幅振幅調整部は、前記電圧制御部からの第1の電圧と前記振幅一定制御部からの第1の振幅制御信号に基づいて振幅制御された第1の出力を送出するとともに、前記電圧制御部からの第2の電圧と前記振幅一定制御部からの第2の振幅制御信号に基づいて振幅制御された第2の出力を送出する。この構成により、入力での直流電圧のずれ及び増幅部内部で起こる直流電圧のずれを補正し、出力される直流電圧値を一定に制御でき、駆動電圧の低電圧化が可能にする。
【0021】
また、前記電圧制御部は、前記第1と第2の出力直流成分モニタ部からの検出値に基づいて個別に制御された電圧を前記差動増幅振幅調整部の2個の負荷抵抗にそれぞれ供給する。この構成により、駆動電圧の低電圧化が可能になる。
【0022】
また、前記電圧制御部は、前記第1と第2の出力直流成分モニタ部からの検出値に基づいて個別に制御された電圧を前記差動増幅振幅調整部の2個のFETのゲートにそれぞれ供給する。この構成により、駆動電圧の低電圧化が可能になる。
【0023】
また、前記電圧制御部は、前記第1と第2の出力直流成分モニタ部からの検出値に基づいて個別に制御された電圧を前記差動増幅振幅調整部のソースフォロワ部内の各第3のFETのゲートにそれぞれ供給する。この構成により、駆動電圧の低電圧化が可能になる。
【0024】
また、前記複数段の差動増幅部は、前記振幅一定制御部からそれぞれ出力される各振幅制御信号に基づいて出力信号の振幅を調整する振幅調整機能を有する差動増幅振幅調整部によりそれぞれ構成されるとともに、当該複数段の各差動増幅振幅調整部に対応して、各差動増幅振幅調整部から出力される第1と第2の出力の直流電圧成分をそれぞれ検出する第1と第2の出力直流成分モニタ部と、対応する第1の出力直流成分モニタ部からの検出値と電源電圧制御基準電圧との差分に応じた電圧を第1の電圧とし、対応する第2の出力直流成分モニタ部からの検出値と電源電圧制御基準電圧との差分に応じた電圧を第2の電圧として、各差動増幅振幅調整部にそれぞれ出力する複数の電圧制御部とを更に備え、複数段の各差動増幅振幅調整部は、対応する電圧制御部からの第1の電圧と前記振幅一定制御部からの第1の振幅制御信号に基づいて振幅制御された第1の出力を送出するとともに、対応する電圧制御部からの第2の電圧と前記振幅一定制御部からの第2の振幅制御信号に基づいて振幅制御された第1の出力を送出する。この構成により、入力振幅のダイナミックレンジを拡大することができる。また、差動増幅振幅調整部1段ごとに出力の直流電圧の補正を行うことにより、入力での直流電圧のずれ幅及び増幅部内部で起こる直流電圧のずれ幅の許容範囲をより拡大することができる。
【0025】
また、本発明に係る光受信装置は、受信された光信号を電気信号に変換する光電気変換部と、上述したAGC回路と、前記AGC回路から出力される電気信号からクロックを再生するクロック再生部と、前記クロック再生部から再生されたクロックの位相を調整するタイミング抽出部と、前記タイミング抽出部から出力される位相調整されたクロック信号に基づいて前記AGC回路から出力される電気信号を識別する識別再生部とを備える。この構成により、振幅調整部の回路構成を簡素化することによる駆動電圧の低電圧化を可能にし、かつ入力信号の振幅変動に対して出力信号の振幅値を一定に制御することができる。
【0026】
更に、本発明に係る光伝送システムは、光信号を送信する光送信装置と、前記光送信装置から送信される光信号を増幅する光増幅装置と、前記光増幅装置により増幅された光信号を伝送する光伝送路と、前記光伝送路を介して伝送された光信号を受信する、上述した光受信装置とを備える。この構成により、振幅調整部の回路構成を簡素化することによる駆動電圧の低電圧化を可能にし、かつ入力信号の振幅変動に対して出力信号の振幅値を一定に制御することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各実施の形態について、図面を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるAGC回路の構成図である。また、図2〜図4に、周辺構成を含む差動増幅振幅調整部の回路図と動作波形図を示す。以下、図1〜図4に基づいて構成及び動作を説明する。なお、図1〜図4は、この実施の形態1が理解できる程度に概略的に示してあるに過ぎず、したがって、本発明を、図1〜図4の構成及び動作に限定するものではない。
【0028】
図1に示すように、本発明の実施の形態1におけるAGC回路は、増幅部21と振幅一定制御部27とで構成され、増幅部21には、第1と第2の入力信号の電位差を増幅して相補的な第1と第2の出力信号を出力する複数の差動増幅部(本実施の形態では差動増幅部22、差動増幅部23、・・・)と、出力信号の振幅を調整する差動増幅振幅調整部24と、出力のピーク値を検出するピーク検出部(図は単にピーク検出)25と、出力の直流電圧成分を検出する出力DCモニタ部(図は単に出力DCモニタ)26とを備えている。
【0029】
増幅部21に入力される信号入力1(以降、In1)又は入力2(以降、In2)は、差動増幅部22、23、差動増幅振幅調整部24を通った後、出力1(以降、出力Vo1)及び出力2(以降、出力Vo2)として出力される。ピーク検出部25では、出力Vo1の振幅のピーク値を検出し、検出信号(以降、Vpk1)を振幅一定制御部27に送出する。また、出力DCモニタ部26では、出力Vo1の直流電圧成分を検出し、検出信号(以降、Vdc1)を振幅一定制御部27に送出する。
【0030】
ここで、振幅一定制御部27では、入力されたVpk1及びVdc1の差分(以降、ΔVo1)を抽出し、外部から入力される基準電圧(以降、Vref)と比較する。このとき、Vrefは、必要とする出力Vo1の振幅の半分の値に設定する。ΔVo1>Vrefの場合、振幅一定制御部27から出力Vo1の振幅を小さくする制御信号を、差動増幅振幅調整部24の振幅調整端子(以降、Vg)に送出する。また、ΔVo1<Vrefの場合、振幅一定制御部27から出力Vo1の振幅を大きくする制御信号を、差動増幅振幅調整部24のVgに送出する。以後、ΔVo1=Vrefになるまで同様の処理を繰り返し、必要とする出力Vo1の振幅値に一定制御する。なお、振幅一定制御部27からの制御信号がVgに送出されるまで、Vgには初期電圧が供給されている。
【0031】
以下、差動増幅振幅調整部24の動作について図2を用いて説明する。
図2(a)は、差動増幅振幅調整部24の内部回路と、ピーク検出部25、出力DCモニタ部26、振幅一定制御部27の接続関係図を示す。
差動増幅振幅調整部24内の振幅調整部は、差動FET01、FET02の2つの負荷抵抗R1にそれぞれ並列に接続された電流源FETとなるFET1、FET2で構成されている。振幅調整端子はFET1、FET2のゲート端子Vgである。なお、Vgには、電源電圧VDDとグランドGND間に接続される抵抗R2及びR3の分圧により、初期電圧が供給されており、振幅一定制御部27の出力制御信号がゲート端子Vgに入力されると同時に、Vgの電圧は制御信号の値となる。ここで、FET1及びFET2の特性は同一のものである。
【0032】
振幅一定制御部27において、Vpk1とVdc1の差分であるΔVo1とVrefを比較した後、制御信号をVgに送出する。そして、Vgに入力された制御信号により、FET1、FET2に流れる電流が変化する。差動電流源FET3に流れる電流をI0、負荷抵抗R1に流れる電流をI1、FET1、FET2に流れる電流をI2とすると、
0=I1+I2 ・・・式1
となる。よって、差動出力信号の最大振幅値VL1、VL2は、
L1(VL2)=2×R1×I1 ・・・式2
となる。
【0033】
前述したように、ΔVo1>Vrefの場合、出力Vo1の振幅を小さくするためには、電流I1を減らし電流I2を増やすような制御信号をゲート端子Vgに送出すればよく、逆に、ΔVo1<Vrefの場合、出力Vo1の振幅を大きくするためには、電流I1を増やし電流I2を減らすような制御信号をゲート端子Vgに送出すればよいことになる。以後、ΔVo1=Vrefになるまで同様の処理を繰り返すことで、図2(b)に示すように、必要とする出力Vo1の振幅値に一定制御することが可能となる。
【0034】
次に、他の例による差動増幅振幅調整部24の動作について、図3を用いて説明する。
図3(a)は、他の例による差動増幅振幅調整部24の内部回路と、ピーク検出部25、出力DCモニタ部26、振幅一定制御部27の接続関係図を示す。
差動増幅振幅調整部24内の振幅調整部は、差動FET01、FET02の2つの負荷抵抗R1にそれぞれ並列に接続された抵抗R2とFET1、FET2で構成されている。振幅調整端子はFET1、FET2のゲート端子Vgである。なお、Vgには、VDDとGND間に接続されるR3及びR4の抵抗分圧により、初期電圧が供給されており、振幅一定制御部27の出力制御信号がVgに入力されると同時に、Vgの電圧は制御信号の値となる。
【0035】
ここで、FET1及びFET2の特性は同一のものである。
図2の場合と同様に、差動電流源FET3に流れる電流をI0、負荷抵抗R1に流れる電流をI1、FET1、FET2に流れる電流をI2とした場合、式1が成り立つ。よって、差動出力信号の最大振幅値VL1、VL2についても式2が成り立つ。
【0036】
しかし、図2に示す差動増幅振幅調整部24の構成と異なり、抵抗R2があるため、差動出力信号の最小振幅値は図2の場合と異なる。
例えば、R1=R2とした場合、I1とI2の関係は、I1≧I2にはなってもI1<I2にはならない。図2の構成時の差動出力信号の最小振幅値をVS12、VS22、図3の構成時の差動出力信号の最小振幅値をVS13、VS23とすると、
S12(VS22)≒0 ・・・式3
S13(VS23)=(1/2)×VL1(VL2) ・・・式4
となる。これをVS13、VS23をVL1、VL2とR1、R2を用いた式で表すと、
S13(VS23)=(R1/(R1+R2))×VL1(VL2)・・・式5
となる。すなわち、抵抗R2の値により出力Vo1の振幅値の下限を任意に設定することができる。
【0037】
この構成を用いれば、式2で示す最大振幅値と式5で示す最小振幅値の範囲で、Vgへの制御信号により、図3(b)に示すように、必要とする出力Vo1の振幅値に一定に制御することが可能となる。
【0038】
次に、更に他の例による差動増幅振幅調整部24の動作について、図4を用いて説明する。
図4(a)は、差動増幅振幅調整部24の内部回路と、ピーク検出部25、出力DCモニタ部26、振幅一定制御部27の接続関係図を示す。
差動増幅振幅調整部24内の振幅調整端子は、差動電流源FET1のゲート端子Vgである。なお、Vgには、VDDとGND間に接続される抵抗R2及び抵抗R3の抵抗分圧により、初期電圧が供給されており、振幅一定制御部27の出力制御信号がVgに入力されると同時に、Vgの電圧は制御信号の値となる。
差動電流源FET1に流れる電流をI0、負荷抵抗R1に流れる電流をI1とした場合、
0=2×I1 ・・・式6
が成り立つ。
【0039】
よって、差動出力信号の最大振幅値VL1、VL2については式2が成り立つ。出力Vo1の振幅を調整させるためには、電流I0を調整すればよい。
前述したように、ΔVo1>Vrefの場合、出力Vo1の振幅を小さくするためには、電流I0を減らすような制御信号をゲート端子Vgに送出すればよく、逆に、ΔVo1<Vrefの場合、出力Vo1の振幅を大きくするためには、電流I0を増やすような制御信号をゲート端子Vgに送出すればよいことになる。以後、ΔVo1=Vrefになるまで同様の処理を繰り返すことで、必要とする出力Vo1の振幅値に一定制御することが可能となる。
【0040】
次に、図5に示す増幅部21の変形例に係る構成について説明をする。
この構成では、増幅部21内が全て差動増幅振幅調整部22、23、・・・、24で構成されているが、この構成に限定するものではない。また、この差動増幅振幅調整部の回路構成は、図2、図3、図4で示すいずれかのものである。
図5に示すAGC回路は、増幅部21内の差動増幅部として、振幅調整機能を有する差動増幅振幅調整部22、23で構成されており、さらに、差動増幅振幅調整部24、ピーク検出部25、出力DCモニタ部26、振幅一定制御部27を備える。
【0041】
増幅部21に入力される信号入力1(以降、In1)又は入力2(以降、In2)は、差動増幅振幅調整部22、23、及び差動増幅振幅調整部n24を通った後、出力1(以降、出力Vo1)及び出力2(以降、出力Vo2)として出力される。ピーク検出部25では、出力Vo1の振幅のピーク値を検出し、検出信号(以降、Vpk1)を振幅一定制御部27に送出する。また、出力DCモニタ部26では、出力Vo1の直流電圧成分を検出し、検出信号(以降、Vdc1)を振幅一定制御部27に送出する。
【0042】
ここで、振幅一定制御部27では、入力されたVpk1及びVdc1の差分(以降、ΔVo1)を抽出し、外部から入力される基準電圧(以降、Vref)と比較する。このとき、基準電圧Vrefは、必要とする出力Vo1の振幅の半分の値に設定する。ΔVo1>Vrefの場合、振幅一定制御部27から出力Vo1の振幅を小さくする制御信号を、差動増幅振幅調整部22、23、24の振幅調整端子(以降、Vg1、Vg2、Vgn)に送出する。また、ΔVo1<Vrefの場合、振幅一定制御部27から出力Vo1の振幅を大きくする制御信号を、差動増幅振幅調整部22、23、24のVg1、Vg2、Vgnに送出する。以後、ΔVo1=Vrefになるまで同様の処理を繰り返し、必要とする出力Vo1の振幅値に一定制御する。なお、振幅一定制御部27からの制御信号がVg1、Vg2、Vgnに送出されるまで、Vg1、Vg2、Vgnには初期電圧が供給されている。差動増幅振幅調整部の動作については、前述したものと同様であるため割愛する。
【0043】
この構成を用いれば、Vg1、Vg2、Vgnへの制御信号により必要とする出力Vo1の振幅値に一定に制御することが可能となる。また、出力Vo1が線形の場合、出力Vo1の振幅値を一定制御する際、入力振幅のダイナミックレンジを図1の構成のn倍に拡大することができる。
【0044】
このように、本実施の形態1では、ピーク検出部25において、増幅部出力の信号のピークを検出し、また、出力DCモニタ部26において増幅部出力の直流電圧を抽出し、これら2つの信号を振幅一定制御部27に送出し、振幅一定制御部27において必要とする増幅部出力信号の振幅値に一定に制御するための信号を生成し、この信号を差動増幅振幅調整部の振幅調整端子に送出し制御することにより、差動増幅振幅調整部の振幅調整幅内において入力信号の振幅変動に対して、増幅部の出力信号の振幅値を一定に制御することができる。また、増幅部内部の差動増幅振幅調整部の回路構成を簡素化することにより、駆動電圧の低電圧化が可能となる。
【0045】
次に、実施の形態1で述べたAGC回路を光受信装置並びに光伝送システムに使用した構成を図6に示す。図6に示すように、光受信装置84は、受信された光信号を電気信号に変換する光電気変換部85と、上述したAGC回路86と、AGC回路86から出力される電気信号からクロックを再生するクロック再生部87と、クロック再生部87から再生されたクロックの位相を調整するタイミング抽出部88と、タイミング抽出部88から出力される位相調整されたクロック信号に基づいてAGC回路86から出力される電気信号を識別する識別再生部89とを備えて構成される。
【0046】
また、光伝送システムは、光信号を送信する光送信装置81と、光送信装置81から送信される光信号を増幅する光増幅装置82と、光増幅装置82により増幅された光信号を伝送する光伝送路83と、光伝送路83を介して伝送された光信号を受信する上記光受信装置84とを備えて構成される。
【0047】
このように、光受信装置84内のAGC回路86に、実施の形態1で述べたAGC回路を盛り込み、図6に示す構成にすることにより、図6に示す光伝送システムの伝送特性を安定的に高品質にすることができる。
【0048】
(実施の形態2)
図7は、本発明の実施の形態2におけるAGC回路の構成図である。また、図8に、周辺構成を含む差動増幅振幅調整部の回路図と動作波形図を示す。以下、図7及び図8に基づいて、構成及び動作を説明する。なお、図7及び図8は、この実施の形態2が理解できる程度に概略的に示してあるに過ぎず、したがって、本発明を、図7及び図8の構成及び動作に限定するものではない。
【0049】
図7に示すように、本発明の実施の形態2におけるAGC回路は、増幅部31と、振幅一定制御部39とで構成され、増幅部31には、差動増幅部32、33差動増幅振幅調整部34、第1のピーク検出部35、第1の出力DCモニタ部36、第2のピーク検出部37、第2の出力DCモニタ部38を備えている。
【0050】
増幅部31に入力される信号入力1(以降、In1)又は入力2(以降、In2)は、差動増幅部32、33、差動増幅振幅調整部34を通った後、出力1(以降、出力Vo1)及び出力2(以降、出力Vo2)として出力される。ピーク検出部35では、出力Vo1の振幅のピーク値を検出し、検出信号(以降、Vpk1)を振幅一定制御部39に送出する。同様に、ピーク検出部37では、出力Vo2の振幅のピーク検出値を検出し、検出信号(以降、Vpk2)を振幅一定制御部39に送出する。また、出力DCモニタ部36では、出力Vo1の直流電圧成分を検出し、検出信号(以降、Vdc1)を振幅一定制御部39に送出する。同様に、出力DCモニタ部38では、出力Vo2の直流電圧成分を検出し、検出信号(以降、Vdc2)を振幅一定制御部39に送出する。
【0051】
ここで、振幅一定制御部39では、入力されたVpk1及びVdc1の差分(以降、ΔVo1)を抽出し、外部から入力される基準電圧(以降、Vref)と比較する。また、振幅一定制御部39では、入力されたVpk2及びVdc2の差分(以降、ΔVo2)を抽出し、外部から入力される基準電圧(以降、Vref)と比較する。このとき、基準電圧Vrefは、必要とする出力Vo1及び出力Vo2の振幅の半分の値に設定する。
【0052】
ΔVo1、ΔVo2>Vrefの場合、振幅一定制御部39から出力Vo1及び出力Vo2の振幅を小さくする制御信号を、差動増幅振幅調整部34の振幅調整端子1及び2(以降、Vg1、Vg2)に送出する。また、ΔVo1、ΔVo2<Vrefの場合、振幅一定制御部39から出力Vo1及び出力Vo2の振幅を大きくする制御信号を、差動増幅振幅調整部34のVg1及びVg2に送出する。以後、ΔVo1、ΔVo2=Vrefになるまで同様の処理を繰り返し、必要とする出力Vo1及び出力Vo2の振幅値に一定制御する。
なお、振幅一定制御部39からの制御信号がVg1及びVg2に送出されるまで、Vg1及びVg2には初期電圧が供給されている。
【0053】
以下、差動増幅振幅調整部34の動作について図8を用いて説明する。
図8(a)は、差動増幅振幅調整部34の内部回路と、ピーク検出部35、37、出力DCモニタ部36、38、振幅一定制御部39の接続構成図を示す。
差動増幅振幅調整部34内の振幅調整部は、差動FET01、FET02の2つの負荷抵抗R1にそれぞれ並列に接続されたFET1、FET2で構成されている。振幅調整端子は、FET1、FET2のそれぞれのゲート端子Vg1及びVg2である。なお、Vg1及びVg2には、VDDとGND間に接続されるR2及びR3の抵抗分圧、及びR4及びR5の抵抗分圧により、それぞれ初期電圧が供給されており、振幅一定制御部39の出力制御信号がVg1及びVg2に入力されると同時に、Vg1及びVg2の電圧はそれぞれ制御信号の値となる。ここで、FET1及びFET2の特性は同一のものである。
【0054】
振幅一定制御部39において、Vpk1とVdc1の差分であるΔVo1とVrefを比較した後、制御信号をVg1に送出する。同様に、Vpk2とVdc2の差分であるΔVo2とVrefを比較した後、制御信号をVg2に送出する。そして、ゲート端子Vg1及びVg2に入力された制御信号により、FET1、FET2に流れる電流が変化する。差動電流源FET3に流れる電流をI0、FET1が並列に接続されている負荷抵抗R1に流れる電流をIR1、FET2が並列に接続されている負荷抵抗R1に流れる電流をIR2、FET1、FET2に流れる電流をI1、I2とすると、
0=IR1+IR2+I1+I2 ・・・式7
となる。よって、差動出力信号の最大振幅値VL1、VL2は、
L1=2×R1×IR1 ・・・式8
L2=2×R1×IR2 ・・・式9
となる。
【0055】
前述したように、ΔVo1、ΔVo2>Vrefの場合、出力Vo1及び出力Vo2の振幅を小さくするためには、IR1及びIR2を減らしI1及びI2を増やすような制御信号をVg1及びVg2に送出すればよく、逆に、ΔVo1、ΔVo2<Vrefの場合、出力Vo1及び出力Vo2の振幅を大きくするためには、電流IR1及びIR2を増やし電流I1及びI2を減らすような制御信号をゲート端子Vg1及びVg2に送出すればよいことになる。以後、ΔVo1、ΔVo2=Vrefになるまで同様の処理を繰り返すことで、必要とする出力Vo1及び出力Vo2の振幅値に一定制御することが可能となる。以上により、図8(b)に示すように、出力Vo1と出力Vo2の振幅を同一振幅値に一定制御することが可能となる。
【0056】
また、差動増幅振幅調整部34の回路構成としては、図3に示したものもある。この図3の回路構成に置き換えた場合においても、出力Vo1と出力Vo2の振幅値を同一に一定制御する動作としては、実施の形態1で前述してあるため割愛する。
【0057】
次に、図9に示す構成について説明をする。この構成では、増幅部31内が全ての差動増幅部が差動増幅振幅調整部32、33で構成されているが、この構成に限定するものではない。また、この差動増幅振幅調整部32、33、34の回路構成は、図2、図3で示すいずれかのものである。なお、図7に示す符号と同一部分は同一符号を付して示し、その説明は省略する。
【0058】
増幅部31に入力される信号入力1(以降、In1)又は入力2(以降、In2)は、差動増幅振幅調整部32、33、及び差動増幅振幅調整部34を通った後、出力1(以降、出力Vo1)及び出力2(以降、出力Vo2)として出力される。ピーク検出部35及びピーク検出部37では、出力Vo1及び出力Vo2の振幅のピーク値を検出し、それぞれ検出信号(以降、Vpk1、Vpk2)を振幅一定制御部39に送出する。また、出力DCモニタ部36及び出力DCモニタ部38では、出力Vo1及び出力Vo2の直流電圧成分を検出し、それぞれの検出信号(以降、Vdc1、Vdc2)を振幅一定制御部39に送出する。
【0059】
ここで、振幅一定制御部39では、入力されたVpk1及びVdc1の差分(以降、ΔVo1)とVpk2及びVdc2の差分(以降、ΔVo2)をそれぞれ抽出し、外部から入力される基準電圧(以降、Vref)とそれぞれ比較する。このとき、Vrefは、必要とする出力Vo1及び出力Vo2の振幅の半分の値に設定する。ΔVo1、ΔVo2>Vrefの場合、振幅一定制御部39から出力Vo1及び出力Vo2の振幅を小さくする制御信号を、差動増幅振幅調整部32、33、34の振幅調整端子(以降、Vg11・Vg12、Vg21・Vg22、Vgn1・Vgn2)に送出する。また、ΔVo1、ΔVo2<Vrefの場合、振幅一定制御部39から出力Vo1及び出力Vo2の振幅を大きくする制御信号を、差動増幅振幅調整部32、33、34のVg11・Vg12、Vg21・Vg22、Vgn1・Vgn2に送出する。以後、ΔVo1、ΔVo2=Vrefになるまで同様の処理を繰り返し、必要とする出力Vo1、出力Vo2の振幅値に一定制御する。なお、振幅一定制御部39からの制御信号がVg11・Vg12、Vg21・Vg22、Vgn1・Vgn2に送出されるまで、Vg11・Vg12、Vg21・Vg22、Vgn1・Vgn2には初期電圧が供給されている。差動増幅振幅調整部の動作については、前述したものと同様であるため割愛する。
【0060】
この構成を用いれば、ゲート端子Vg11・Vg12、Vg21・Vg22、Vgn1・Vgn2への制御信号により必要とする出力Vo1及び出力Vo2の振幅値に一定に制御することが可能となる。また、出力Vo1及び出力Vo2が線形の場合、出力Vo1及び出力Vo2の振幅値を一定制御する際、入力振幅のダイナミックレンジを図7の構成のn倍に拡大することができる。
【0061】
このように、本実施の形態2では、第1と第2のピーク検出部35及び37において、増幅部出力1及び出力2の信号のピークをそれぞれ検出し、また、第1と第2の出力DCモニタ部36及び38において増幅部出力1及び出力2の直流電圧を抽出し、これら4つの信号を振幅一定制御部39に送出し、振幅一定制御部39において必要とする出力Vo1及び出力Vo2の振幅値に一定に制御するための信号を生成し、この信号を差動増幅振幅調整部32、33、34の振幅調整端子に送出し制御することにより、差動増幅振幅調整部の振幅調整幅内において入力信号の振幅変動に対して、増幅部の2つの出力信号の振幅を同一振幅値に一定に制御することができる。また、増幅部内部の差動増幅振幅調整部の回路構成を簡素化することにより、駆動電圧の低電圧化が可能となる。
【0062】
次に、実施の形態2で述べたAGC回路を、実施の形態1と同様にして、図6に示すように、光受信装置並びに光伝送システムに使用することができる。
図6に示すように、光受信装置84内のAGC回路86に、実施の形態2で述べたAGC回路を盛り込むことにより、図6に示す光伝送システムの伝送特性を安定的に高品質にすることができる。
【0063】
(実施の形態3)
図10は、本発明の実施の形態3におけるAGC回路の構成図である。また、図11〜図14に、周辺構成を含む差動増幅振幅調整部の回路図と動作波形図を示す。以下、図10及び図11〜図14に基づいて構成及び動作を説明する。なお、図10及び図11〜図14は、この実施の形態3が理解できる程度に概略的に示してあるに過ぎず、したがって、本発明を図10及び図11〜図14の構成及び動作に限定するものではない。
【0064】
図10に示すように、本発明の実施の形態3におけるAGC回路は、増幅部41と振幅一定制御部47及び電圧制御部48とで構成され、増幅部41には、差動増幅部42、43と、差動増幅振幅調整部44と、ピーク検出部45と、出力DCモニタ部46とを備えている。
【0065】
増幅部41に入力される信号入力1(以降、In1)又は入力2(以降、In2)は、差動増幅部42、43、差動増幅振幅調整部44を通った後、出力1(以降、出力Vo1)及び出力2(以降、出力Vo2)として出力される。ピーク検出部45では、出力Vo1の振幅のピーク値を検出し、検出信号(以降、Vpk1)を振幅一定制御部47に送出する。また、出力DCモニタ部46では、出力Vo1の直流電圧成分を検出し、検出信号(以降、Vdc1)を振幅一定制御部47と電圧制御部48にそれぞれ送出する。
【0066】
ここで、振幅一定制御部47では、入力されたVpk1及びVdc1の差分(以降、ΔVo1)を抽出し、外部から入力される基準電圧(以降、Vref1)と比較する。このときVref1は、必要とする出力Vo1の振幅の半分の値に設定する。
【0067】
ΔVo1>Vref1の場合、振幅一定制御部47から出力Vo1の振幅を小さくする制御信号を、差動増幅振幅調整部44の振幅調整端子(以降、Vg)に送出する。またΔVo1<Vref1の場合、振幅一定制御部27から出力Vo1の振幅を大きくする制御信号を、差動増幅振幅調整部44のVgに送出する。以後、ΔVo1=Vref1になるまで同様の処理を繰り返し、必要とする出力Vo1の振幅値に一定制御する。なお、振幅一定制御部47からの制御信号がVgに送出されるまで、Vgには初期電圧が供給されている。
【0068】
また、電圧制御部48では、入力されたVdc1と外部からの入力される基準電圧(以降、Vref2)との差分(以降、ΔVdc)を抽出する。そして、ΔVdcを補正した電圧を差動増幅振幅調整部44の電源電圧端子(以降、VDDn)に送出する。
【0069】
なお、電圧制御部48において制御された電圧(以降、VDD')VDDnに送出されるまで、VDDnには電圧制御部48内部で生成された初期電圧(以降、VDD)が供給されている。このとき、Vref2の値は、必要とする出力Vo1の出力DCレベルの値に設定する。
【0070】
以下、差動増幅振幅調整部44の動作について図11を用いて説明する。
図11(a)は、差動増幅振幅調整部44の内部回路と、ピーク検出部45と、出力DCモニタ部46と、振幅一定制御部47と、電圧制御部48との接続関係図を示す。
差動増幅振幅調整部44内の振幅調整部は、差動FET01、02の2つの負荷抵抗R1にそれぞれ並列に接続されたFET1、FET2で構成されている。振幅調整端子は、FET1、FET2のゲート端子Vgである。なお、Vgには、VDDとGND間に接続されるR2及びR3の抵抗分圧により、初期電圧が供給されており、振幅一定制御部47の出力制御信号がVgに入力されると同時に、Vgの電圧は制御信号の値となる。ここで、FET1及びFET2の特性は同一のものである。
【0071】
振幅一定制御部47において、Vpk1とVdc1の差分であるΔVo1とVref1を比較した後、制御信号をVgに送出する。そして、Vgに入力された制御信号により、FET1、FET2に流れる電流が変化する。差動電流源FET3に流れる電流をI0、負荷抵抗R1に流れる電流をI1、FET1、FET2に流れる電流をI2とすると、
0=I1+I2 ・・・式10
となる。よって、差動出力信号の最大振幅値VL1、VL2は、
L1(VL2)=2×R1×I1 ・・・式11
となる。
【0072】
前述したように、ΔVo1>Vref1の場合、出力Vo1の振幅を小さくするためには、電流I1を減らしI2を増やすような制御信号をゲート端子Vgに送出すればよく、逆に、ΔVo1<Vref1の場合、出力Vo1の振幅を大きくするためには、電流I1を増やしI2を減らすような制御信号をゲート端子Vgに送出すればよいことになる。以後、ΔVo1=Vref1になるまで同様の処理を繰り返すことで、必要とする出力Vo1の振幅値に一定制御することが可能となる。
【0073】
また、差動増幅振幅調整部内の電源電圧調整部は、VDDn端子である。
電圧制御部48において、まず、Vdc1とVref2の差分であるΔVdcを抽出する。そして、このΔVdcを用い、
VDD'=VDD±ΔVdc ・・・式12
という処理を行い、VDDからΔVdcを補正したVDD'を生成しVDDnに送出する。以後、Vdc1=Vref2になるまで同様の処理を繰り返すことで、図11(b)に示すように、必要とする出力Vo1の出力DCレベルに一定制御することが可能となる。
【0074】
次に、他の例による差動増幅振幅調整部44の動作について図12を用いて説明する。
図12(a)は、差動増幅振幅調整部44の内部回路と、ピーク検出部45と、出力DCモニタ部46と、振幅一定制御部47と、電圧制御部48との接続関係図を示す。
差動増幅振幅調整部44内の振幅調整部は、差動FET01、02の2つの負荷抵抗R1にそれぞれ並列に接続されたFET1、FET2で構成されている。振幅調整端子は、FET1、FET2のゲート端子Vgである。なお、Vgには、VDDとGND間に接続されるR3及びR4の抵抗分圧により、初期電圧が供給されており、振幅一定制御部47の出力制御信号がVgに入力されると同時に、Vgの電圧は制御信号の値となる。ここで、FET1及びFET2の特性は同一のものである。以降、振幅一定制御の動作については、前述した動作と同様であるため割愛する。
【0075】
また、差動増幅振幅調整部内の電源電圧調整部は、図12中の抵抗R2に並列接続されたFET3のゲート端子VDDnである。なお、VDDnには、VDDとGND間に接続されるR5及びR6の抵抗分圧により、初期電圧が供給されており、電圧制御部48の出力制御信号がVDDnに入力されると同時に、VDDnの電圧は制御信号の値となる。
【0076】
電圧制御部48において、まず、Vdc1とVref2の差分であるΔVdcを抽出する。このΔVdcを補正するような制御信号をVDDn端子に送出する。この制御信号により、FET3の電流を調整し差動増幅振幅調整部の内部電圧を調整する。
【0077】
差動電流源FET4に流れる電流をI0、負荷抵抗R1に流れる電流をI1、FET1及びFET2に流れる電流をI2、R2に流れる電流をI3、FET3に流れる電流をI4とした場合、
0=2×(I1+I2)=I3+I4 ・・・式13
という関係が成り立つ。また、電圧制御部48の制御信号がVDDn端子に送出される前の図12中の点V1の直流電圧値V1[V]は、
V1[V]=VDD−I3×R2 ・・・式14
となる。このVDDは、差動増幅振幅調整部44の電源電圧である。
【0078】
式14から直流電圧値V1の電圧を調整するには電流I3を調整すればよい。これにより、Vdc1の値も変化しΔVdcを補正することができる。Vdc1>Vref2の場合は、電流I3を増やすような制御信号をVDDn端子に送出すればよく、Vdc1<Vref2の場合は、逆に、電流I3を減らすような制御信号をVDDn端子に送出すればよい。このとき、式13の関係は保たなければならない。
以後、Vdc1=Vref2となるまで同様の処理を繰り返すことで、必要とする出力Vo1の出力DCレベルに一定制御することが可能となる。
【0079】
次に、更に他の例による差動増幅振幅調整部44の動作について図13を用いて説明する。
図13(a)は、差動増幅振幅調整部44の内部回路と、ピーク検出部45と、出力DCモニタ部46と、振幅一定制御部47と、電圧制御部48との接続関係図を示す。
【0080】
差動増幅振幅調整部44内の振幅調整部は、差動FET01、02の2つの負荷抵抗R1にそれぞれ並列に接続されたFET1、FET2で構成されている。振幅調整端子は、FET1、FET2のゲート端子Vgである。なお、Vgには、VDDとGND間に接続されるR3及びR4の抵抗分圧により、初期電圧が供給されており、振幅一定制御部47の出力制御信号がVgに入力されると同時に、Vgの電圧は制御信号の値となる。ここで、FET1及びFET2の特性は同一のものである。以降、振幅一定制御の動作については、前述した動作と同様であるため割愛する。
【0081】
また、差動増幅振幅調整部44内の電源電圧調整部は、図13中の容量C1が並列接続されている2個のR2にそれぞれ並列接続されたFET3及びFET4のゲート端子VDDnである。なお、VDDnには、VDDとGND間に接続されるR5及びR6の抵抗分圧により、初期電圧が供給されており、電圧制御部48の出力制御信号がVDDnに入力されると同時に、VDDnの電圧は制御信号の値となる。ここで、FET3及びFET4の特性は同一のものである。
【0082】
電圧制御部48において、まず、Vdc1とVref2の差分であるΔVdcを抽出する。このΔVdcを補正するような制御信号をVDDn端子に送出する。この制御信号により、FET3及びFET4の電流を調整し差動増幅振幅調整部の内部電圧を調整する。
【0083】
差動電流源FET5に流れる電流をI0、負荷抵抗R1に流れる電流をI1、FET1及びFET2に流れる電流をI2、R2に流れる電流をI3、FET3及びFET4に流れる電流をI4とした場合、
0=2×(I1+I2)=2×(I3+I4) ・・・式15
という関係が成り立つ。また、電圧制御部48の制御信号がVDDn端子に送出される前の図13中の点V1及びV2の直流電圧値V1[V]、V2[V]は、V1[V]=VDD−I3×R2 ・・・式16
V2[V]=VDD−I3×R2 ・・・式17
となる。このVDDは、差動増幅振幅調整部44の電源電圧である。
式16及び17からV1及びV2の電圧を調整するには電流I3を調整すればよい。
【0084】
これにより、Vdc1の値も変化しΔVdcを補正することができる。Vdc1>Vref2の場合は、電流I3を増やすような制御信号をVDDn端子に送出すればよく、Vdc1<Vref2の場合は、逆に、電流I3を減らすような制御信号をVDDn端子に送出すればよい。このとき、式13の関係は保たなければならない。以後、Vdc1=Vref2となるまで同様の処理を繰り返すことで、図13(b)に示すように、必要とする出力Vo1の出力DCレベルに一定制御することが可能となる。
【0085】
次に、更に他の例による差動増幅振幅調整部44の動作について図14を用いて説明する。
図14(a)は、差動増幅振幅調整部44の内部回路と、ピーク検出部45と、出力DCモニタ部46と、振幅一定制御部47と、電圧制御部48との接続関係図を示す。
【0086】
差動増幅振幅調整部44内の振幅調整部は、差動の2つの負荷抵抗R1にそれぞれ並列に接続されたFET1、FET2で構成されている。振幅調整端子は、FET1、FET2のゲート端子Vgである。なお、Vgには、VDDとGND間に接続されるR4及びR5の抵抗分圧により、初期電圧が供給されており、振幅一定制御部47の出力制御信号がVgに入力されると同時に、Vgの電圧は制御信号の値となる。ここで、FET1及びFET2の特性は同一のものである。以降、振幅一定制御の動作については、前述した動作と同様であるため割愛する。
【0087】
また、FET1、FET2にそれぞれソースフォロワ部S1、S2が備えられ、各ソースフォロワ部は、第1のFETS1、FETS2と、電流源FETとして機能する第2のFET5、FET6と、上記第1のFETS1、FETS2のソース端子と上記第2のFET5、FET6のドレイン端子間に接続された、1個の抵抗R2、R2と前記抵抗に並列接続された1個の第3のFET3、FET4とを有する。
【0088】
また、差動増幅振幅調整部44内の電源電圧調整部は、図14中の2個の抵抗R2にそれぞれ並列接続されたFET3及びFET4のゲート端子VDDnである。なお、VDDnには、VDDとGND間に接続されるR6及びR7の抵抗分圧により、初期電圧が供給されており、電圧制御部48の出力制御信号がVDDnに入力されると同時に、VDDnの電圧は制御信号の値となる。ここで、FET3及びFET4は同一の特性のものである。すなわち、電圧制御部48は、出力直流成分モニタ部46からの検出値に基づいて制御された電圧を差動増幅振幅調整部44の各ソースフォロワ部S1、S2内の第3のFET3、FET4のゲートにそれぞれ供給する。
【0089】
電圧制御部48において、まず、Vdc1とVref2の差分であるΔVdcを抽出する。このΔVdcを補正するような制御信号をVDDn端子に送出する。この制御信号により、FET3及びFET4の電流を調整し差動増幅振幅調整部の内部電圧を調整する。
【0090】
ソースフォロワ部S1の電流源FET5に流れる電流をI0、ソースフォロワ部S2の電流源FET6に流れる電流をI1、抵抗R2に流れる電流をI2、抵抗R3に流れる電流をI3、FET3に流れる電流をI4、FET4に流れる電流をI5とすると、FET5とFET6の特性が同一の場合、
0=I2+I4=I3+I5=I1 ・・・式18
という関係が成り立つ。この電流I2を調整すると、出力Vo1の直流電圧値を調整することから、ΔVdcの補正を行うためには式18の関係を保つ範囲でI2を調整すればよいことが分かる。
【0091】
Vdc1>Vref2の場合は、電流I2を増やすような制御信号をVDDn端子に送出すればよく、Vdc1<Vref2の場合は、逆に、電流I2を減らすような制御信号をVDDn端子に送出すればよい。以後、Vdc1=Vref2となるまで同様の処理を繰り返すことで、必要とする出力Vo1の出力DCレベルに一定制御することが可能となる。
【0092】
以上、図11〜図14について動作説明をしたが、いずれも差動増幅振幅調整部44の振幅調整部の回路構成は図2に示したものである。差動増幅振幅調整部44の振幅調整部の回路構成としては、図3、図4に示したものもある。これら回路構成に置き換えた場合においても、出力Vo1の振幅値を一定制御する動作としては、実施の形態2で前述してあるため割愛する。
【0093】
次に、図15に示す構成について説明をする。この構成では、増幅部41内が全て差動増幅振幅調整部42、43、44で構成されているが、この構成に限定するものではない。また、この差動増幅振幅調整部42、43、44の振幅調整部の回路構成は、図2、図3、図4で示すいずれかのものである。また、この差動増幅振幅調整部42、43、44の電源電圧調整部の回路構成は、図11、図12、図13、図14で示すいずれかのものである。
【0094】
図15に示すAGC回路は、増幅部41と、振幅一定制御部49と、電圧制御部50、51、52とを備えており、増幅部41には、差動増幅振幅調整部42、43、44と、ピーク検出部45と、出力DCモニタ部46、47、48を備えている。
【0095】
増幅部41に入力される信号入力1(以降、In1)又は入力2(以降、In2)は、差動増幅振幅調整部42、43、及び差動増幅振幅調整部44を通った後、出力1(以降、出力Vo1)及び出力2(以降、出力Vo2)として出力される。ピーク検出部45では、出力Vo1の振幅のピーク値を検出し、検出信号(以降、Vpk1)を振幅一定制御部49に送出する。出力DCモニタ部46、出力DCモニタ47、出力DCモニタ48では、差動増幅振幅調整部42、差動増幅振幅調整部43、差動増幅振幅調整部44のそれぞれの出力信号の直流電圧成分を検出し、検出信号(以降、Vdc1、Vdc2、Vdcn)をそれぞれ電圧制御部50、電圧制御部51、電圧制御部52に送出する。また、出力DCモニタ48は、Vdcnを振幅一定制御部49にも送出する。
【0096】
ここで、振幅一定制御部49では、入力されたVpk1及びVdcnの差分(以降、ΔVo1)を抽出し、外部から入力される基準電圧(以降、Vref_PK)と比較する。このときVref_PKは、必要とする出力Vo1の振幅の半分の値に設定する。ΔVo1>Vref_PKの場合、振幅一定制御部49から出力Vo1の振幅を小さくする制御信号を、差動増幅振幅調整部42、43、44の振幅調整端子(以降、Vg1、Vg2、Vgn)に送出する。また、ΔVo1<Vref_PKの場合、振幅一定制御部49から出力Vo1の振幅を大きくする制御信号を、差動増幅振幅調整部42、43、44のVg1、Vg2、Vgnに送出する。以後、ΔVo1=Vref_PKになるまで同様の処理を繰り返し、必要とする出力Vo1の振幅値に一定制御する。なお、振幅一定制御部27からの制御信号がVg1、Vg2、Vgnに送出されるまで、Vg1、Vg2、Vgnには初期電圧が供給されている。なお、差動増幅振幅調整部の振幅調整部の詳細な動作説明については、前述したものと同様であるため割愛する。
【0097】
電圧制御部50において、まず、Vdc1とVref_1の差分であるΔVdc1を抽出する。このとき、Vref_1を必要とする差動増幅振幅調整部42の出力DCレベルの値に設定する。このΔVdc1を補正するような制御信号をVDD1端子に送出する。この制御信号により、差動増幅振幅調整部42の電源電圧もしくは内部電圧を調整する。以降、電圧制御部51、電圧制御部52においても同様な制御を行う。なお、差動増幅振幅調整部の電源電圧調整部の詳細な動作説明については、前述したものと同様であるため割愛する。
【0098】
この構成を用いれば、Vg1、Vg2、Vgnへの制御信号により必要とする出力Vo1の振幅値に一定に制御することが可能となる。また、出力Vo1が線形の場合出力Vo1の振幅値を一定制御する際、入力振幅のダイナミックレンジを図10の構成のn倍に拡大することができる。また、差動増幅振幅調整部の1段ごとに出力の直流電圧の補正を行うことにより、図10の構成に比べ、入力での直流電圧のずれ幅及び増幅部内部で起こる直流電圧のずれ幅の許容範囲をより拡大することができる。
【0099】
このように、本実施の形態では、ピーク検出部において、増幅部出力1の信号のピークを検出し、また出力DCモニタnにおいて増幅部出力1の直流電圧を抽出し、これら2つの信号を振幅一定制御部に送出し、振幅一定制御部において必要とする増幅部出力信号の振幅値に一定に制御するための信号を生成し、この信号を各差動増幅振幅調整部の振幅調整端子に送出し制御することにより、差動増幅振幅調整部の振幅調整幅内において入力信号の振幅変動に対して、増幅部の出力信号の振幅値を一定に制御することができる。
【0100】
また、出力DCモニタ部1〜nにおいて差動増幅振幅調整部1〜nの各出力の直流電圧を抽出し、これら信号を電圧制御部1〜nに送出し、電圧制御部1〜nにおいて必要とする直流電圧に一定に制御するための信号を生成し、この信号を差動増幅振幅調整部1〜nの各電源電圧調整端子に送出し制御することにより、各差動増幅振幅調整部の電圧調整幅内において、入力での直流電圧のずれ及び増幅部内で起こる直流電圧のずれに対して、電圧ずれを補正し増幅部の出力信号の直流電圧値を一定に制御することができる。
さらに、増幅部内部の差動増幅振幅調整部の回路構成を簡素化することにより、駆動電圧の低電圧化が可能となる。
【0101】
この実施の形態3でも、前述した各実施の形態と同様に、図6に示すように、AGC回路を光受信装置並びに光伝送システムに使用することができる。このように、光受信装置84内のAGC回路86に、実施の形態3によるAGC回路を盛り込むことにより、図6に示す光伝送システムの伝送特性を安定的に高品質にすることができる。
【0102】
(実施の形態4)
図16は、本発明の実施の形態4におけるAGC回路の構成図である。また、図17〜図19に、周辺構成を含む差動増幅振幅調整部の回路図と動作波形図を示す。以下、図16及び図17〜図19に基づいて構成及び動作を説明する。なお、図16及び図17〜図19は、この実施の形態4が理解できる程度に概略的に示してあるに過ぎず、したがって、本発明を図16及び図17〜図19の構成及び動作に限定するものではない。
【0103】
図16に示すように、本発明の実施の形態4におけるAGC回路は、増幅部51と、振幅一定制御部59と、電圧制御部60とで構成され、増幅部51には、差動増幅部52、53と、差動増幅振幅調整部54と、第1のピーク検出部55と、第1の出力DCモニタ部56と、第2のピーク検出57と、第2の出力DCモニタ58とを備えている。
【0104】
増幅部51に入力される信号入力1(以降、In1)又は入力2(以降、In2)は、差動増幅部52、53、差動増幅振幅調整部54を通った後、出力1(以降、出力Vo1)及び出力2(以降、出力Vo2)として出力される。ピーク検出部55では、出力Vo1の振幅のピーク値を検出し、検出信号(以降、Vpk1)を振幅一定制御部59に送出する。同様に、ピーク検出57では、出力Vo2の振幅のピーク検出値を検出し、検出信号(以降、Vpk2)を振幅一定制御部59に送出する。また、出力DCモニタ部56では、出力Vo1の直流電圧成分を検出し、検出信号(以降、Vdc1)を振幅一定制御部59に送出する。同様に、出力DCモニタ58では、出力Vo2の直流電圧成分を検出し、検出信号(以降、Vdc2)を振幅一定制御部59に送出する。同時に、出力DCモニタ部56、58は、Vdc1及びVdc2を電圧制御部60にも送出する。
【0105】
ここで、振幅一定制御部59では、入力されたVpk1及びVdc1の差分(以降、ΔVo1)を抽出し、外部から入力される基準電圧(以降、Vref1)と比較する。また、振幅一定制御部59では、入力されたVpk2及びVdc2の差分(以降、ΔVo2)を抽出し、外部から入力される基準電圧(以降、Vref1)と比較する。このとき、Vref1は、必要とする出力Vo1及び出力Vo2の振幅の半分の値に設定する。
【0106】
ΔVo1>Vref1の場合、振幅一定制御部59から出力Vo1の振幅を小さくする制御信号を、差動増幅振幅調整部54の振幅調整端子1(以降、Vg1)に送出する。また、ΔVo1<Vref1の場合、振幅一定制御部59から出力Vo1の振幅を大きくする制御信号を、差動増幅振幅調整部54のVg1に送出する。以後、ΔVo1=Vref1になるまで同様の処理を繰り返し、必要とする出力Vo1の振幅値に一定制御する。また、出力Vo2の振幅値を一定に制御する場合も同様な処理が行われ、制御信号を差動増幅振幅調整部54の振幅調整端子2(以降、Vg2)に送出する。
なお、振幅一定制御部59からの制御信号がVg1及びVg2に送出されるまで、Vg1及びVg2には初期電圧が供給されている。
【0107】
また、電圧制御部60では、入力されたVdc1及びVdc2と外部からの入力される基準電圧(以降、Vref2)との差分(以降、ΔVdc1、ΔVdc2)をそれぞれ抽出する。そして、ΔVdc1、ΔVdc2を補正した電圧を差動増幅振幅調整部54の電源電圧端子(以降、VDDn1、VDDn2)に送出する。
【0108】
なお、電圧制御部60において制御された電圧(以降、VDDs1、VDDs2)がVDDn1、VDDn2に送出されるまで、VDDn1、VDDn2には電圧制御部60内部で生成された初期電圧(VDDf)が供給されている。このとき、Vref2の値は、必要とする出力Vo1及び出力Vo2の出力DCレベルの値に設定する。
【0109】
次に、差動増幅振幅調整部54の動作について図17を用いて説明する。
図17(a)は、差動増幅振幅調整部54の内部回路と、ピーク検出部55、57と、出力DCモニタ部56、58と、振幅一定制御部59と、電圧制御部60との接続関係図を示す。
【0110】
差動増幅振幅調整部54内の振幅調整部は、差動FETの2つの負荷抵抗R1にそれぞれ並列に接続されたFET1、FET2で構成されている。振幅調整端子はFET1、FET2のゲート端子Vg1及びVg2である。なお、Vg1及びVg2には、VDDとGND間に接続されるR2及びR3の抵抗分圧、及びR4及びR5の抵抗分圧により、それぞれ初期電圧が供給されており、振幅一定制御部59の出力制御信号がVg1及びVg2に入力されると同時に、Vg1及びVg2の電圧はそれぞれ制御信号の値となる。ここで、FET1及びFET2の特性は同一のものである。
【0111】
振幅一定制御部59において、Vpk1とVdc1の差分であるΔVo1とVref1を比較した後、制御信号をVg1に送出する。同時に、Vpk2とVdc2の差分であるΔVo2とVref1を比較した後、制御信号をVg2に送出する。そして、Vg1及びVg2に入力された制御信号により、FET1、FET2に流れる電流が変化する。差動電流源FET3に流れる電流をI0、FET1が並列接続されている負荷抵抗R1に流れる電流をIR1、FET2が並列接続されている負荷抵抗R1に流れる電流をIR2、FET1に流れる電流をI1、FET2に流れる電流をI2とすると、
0=IR1+I1+IR2+I2 ・・・式19
となる。よって、差動出力信号の最大振幅値VL1、VL2は、
L1=2×R1×IR1 ・・・式20
L2=2×R1×IR2 ・・・式21
となる。
【0112】
前述したように、ΔVo1、ΔVo2>Vref1の場合、出力Vo1及び出力Vo2の振幅を小さくするためには、IR1及びIR2を減らしI1及びI2を増やすような制御信号をVg1及びVg2に送出すればよく、逆に、ΔVo1、ΔVo2<Vref1の場合、出力Vo1及び出力Vo2の振幅を大きくするためには、電流IR1及びIR2を増やしI1及びI2を減らすような制御信号をVg1及びVg2に送出すればよいことになる。以後、ΔVo1、ΔVo2=Vref1になるまで同様の処理を繰り返すことで、必要とする出力Vo1及び出力Vo2の振幅値に一定制御することが可能となる。また、差動増幅振幅調整部54内の電源電圧調整部は、VDDn1及びVDDnの2端子である。
【0113】
電圧制御部60において、まず、Vdc1とVref2の差分であるΔVdc1とVdc2とVref2の差分であるΔVdc2をそれぞれ抽出する。そして、このΔVdc1及びΔVdc2を用い、
VDDs1=VDDf±ΔVdc1 ・・・式22
VDDs2=VDDf±ΔVdc2 ・・・式23
という処理を行い、VDDfからΔVdc1及びΔVdc2を補正したVDDs1及びVDDs2を生成し、それぞれVDDn1、VDDn2に送出する。
以後、Vdc1及びVdc2=Vref2になるまで同様の処理を繰り返すことで、図17(b)に示すように、必要とする出力Vo1及び出力Vo2の出力DCレベルに一定制御することが可能となる。
【0114】
次に、他の例による差動増幅振幅調整部54の動作について図18を用いて説明する。
図18(a)は、差動増幅振幅調整部54の内部回路と、ピーク検出部55、57と、出力DCモニタ部56、58と、振幅一定制御部59と、電圧制御部60との接続関係図を示す。
差動増幅振幅調整部54内の振幅調整部は、差動FETの2つの負荷抵抗R1にそれぞれ並列に接続されたFET1、FET2で構成されている。振幅調整端子はFET1、FET2のゲート端子Vg1及びVg2である。なお、Vg1及びVg2には、VDDとGND間に接続されるR3及びR4の抵抗分圧、及びR5及びR6の抵抗分圧により、初期電圧がそれぞれ供給されており、振幅一定制御部59の出力制御信号がVg1及びVg2に入力されると同時に、Vg1及びVg2の電圧はそれぞれ制御信号の値となる。ここで、FET1及びFET2の特性は同一のものである。以降、振幅一定制御の動作については、前述した動作と同様であるため割愛する。
【0115】
また、差動増幅振幅調整部54内の電源電圧調整部は、図18(a)中の2個のR2にそれぞれ並列接続されたFET3及びFET4のゲート端子VDDn1及びVDDn2である。なお、VDDn1及びVDDn2には、VDDとGND間に接続されるR7及びR8の抵抗分圧、及びR9及びR10の抵抗分圧により、初期電圧がそれぞれ供給されており、電圧制御部60の出力制御信号がVDDn1及びVDDn2に入力されると同時に、VDDn1及びVDDn2の電圧はそれぞれ制御信号の値となる。ここで、FET3及びFET4の特性は同一のものである。
【0116】
電圧制御部60において、まず、Vdc1とVref2の差分であるΔVdc1とVdc2とVref2の差分であるΔVdc2をそれぞれ抽出する。このΔVdc1及びΔVdc2を補正するような制御信号をVDDn1及びVDDn2端子にそれぞれ送出する。これら制御信号により、FET3及びFET4の電流を調整し差動増幅振幅調整部の内部電圧を調整する。
【0117】
差動電流源FET5に流れる電流をI0、FET1が並列接続される負荷抵抗R1に流れる電流をIR1、FET2が並列接続される負荷抵抗R1に流れる電流をIR2、FET1に流れる電流をI1、FET2に流れる電流をI2、FET3が並列接続されるR2に流れる電流をIR3、FET4が並列接続されるR2に流れる電流をIR4、FET3に流れる電流をI3、FET4に流れる電流をI4とした場合、
0=IR1+IR2+I1+I2=IR3+IR4+I3+I4 ・・・式24
という関係が成り立つ。
【0118】
また、電圧制御部60の制御信号がVDDn1及びVDDn2端子に送出される前の図18中の点V1及びV2の直流電圧値V1[V]、V2[V]は、
V1[V]=VDD−IR3×R2 ・・・式25
V2[V]=VDD−IR4×R2 ・・・式26
となる。このVDDは差動増幅振幅調整部54の電源電圧である。
【0119】
式25及び式26からV1及びV2の電圧を調整するには電流IR3及びIR4を調整すればよい。これにより、Vdc1及びVdc2の値も変化しΔVdc1及びΔVdc2を補正することができる。Vdc1、Vdc2>Vref2の場合は、電流IR3及びIR4を増やすような制御信号をVDDn1及びVDDn2端子にそれぞれ送出すればよく、Vdc1、Vdc2<Vref2の場合は、逆に、電流IR3及びIR4を減らすような制御信号をVDDn1及びVDDn2端子にそれぞれ送出すればよい。このとき、式24の関係は保たなければならない。
以後、Vdc1、Vdc2=Vref2となるまで同様の処理を繰り返すことで、図18(b)に示すように、必要とする出力Vo1及び出力Vo2の出力DCレベルに一定制御することが可能となる。
【0120】
次に、更に他の例による差動増幅振幅調整部54の動作について図19を用いて説明する。
図19(a)は、差動増幅振幅調整部54の内部回路と、ピーク検出部55、57と、出力DCモニタ部56、58と、振幅一定制御部59と、電圧制御部60との接続関係図を示す。
差動増幅振幅調整部54内の振幅調整部は、差動FETの2つの負荷抵抗R1にそれぞれ並列に接続されたFET1、FET2で構成されている。振幅調整端子はFET1、FET2のゲート端子Vg1及びVg2である。なお、Vg1及びVg2には、VDDとGND間に接続されるR3及びR4の抵抗分圧、及びR5及びR6の抵抗分圧により、初期電圧がそれぞれ供給されており、振幅一定制御部59の出力制御信号がVg1及びVg2に入力されると同時に、Vg1及びVg2の電圧はそれぞれ制御信号の値となる。ここで、FET1及びFET2の特性は同一のものである。以降、振幅一定制御の動作については、前述した動作と同様であるため割愛する。
【0121】
また、差動増幅振幅調整部54内の電源電圧調整部は、図19(a)中の2個のR2にそれぞれ並列接続されたFET3及びFET4のゲート端子VDDn1及びVDDn2である。なお、VDDn1及びVDDn2には、VDDとGND間に接続されるR7及びR8の抵抗分圧、及びR9及びR10の抵抗分圧により、初期電圧がそれぞれ供給されており、電圧制御部60の出力制御信号がVDDn1及びVDDn2に入力されると同時に、VDDn1及びVDDn2の電圧はそれぞれ制御信号の値となる。ここで、FET3及びFET4は同一の特性のものである。
【0122】
電圧制御部60において、まず、Vdc1とVref2の差分であるΔVdc1とVdc2とVref2の差分であるΔVdc2をそれぞれ抽出する。このΔVdc1及びΔVdc2を補正するような制御信号をVDDn1及びVDDn2端子にそれぞれ送出する。これら制御信号により、FET3及びFET4の電流を調整し差動増幅振幅調整部54の内部電圧を調整する。
【0123】
ソースフォロワ部S1の電流源FET5に流れる電流をI0、ソースフォロワ部S2の電流源FET6に流れる電流をI1、ソースフォロワ部S1内の抵抗R2に流れる電流をI2、ソースフォロワ部S2内の抵抗R2に流れる電流をI3、FET3に流れる電流をI4、FET4に流れる電流をI5とすると、FET5とFET6の特性が同一の場合、
0=I2+I4=I3+I5=I1 ・・・式27
という関係が成り立つ。この電流I2及びI3を調整すると、出力Vo1及び出力Vo2の直流電圧値が調整することから、ΔVdc1及びΔVdc2の補正を行うためには式27の関係を保つ範囲でI2及びI3を調整すればよいことが分かる。
【0124】
Vdc1、Vdc2>Vref2の場合は、電流I2及びI3を増やすような制御信号をVDDn1及びVDDn2端子にそれぞれ送出すればよく、Vdc1、Vdc2<Vref2の場合は、逆に、電流I2及びI3を減らすような制御信号をVDDn1及びVDDn2端子にそれぞれ送出すればよい。
以後、Vdc1、Vdc2=Vref2となるまで同様の処理を繰り返すことで、必要とする出力Vo1及び出力Vo2の出力DCレベルに一定制御することが可能となる。
【0125】
以上、図17〜図19について動作説明をしたが、いずれも差動増幅振幅調整部54の振幅調整部の回路構成は図2に示したものである。差動増幅振幅調整部54の振幅調整部の回路構成としては、図3に示したものもある。この回路構成に置き換えた場合でも、出力Vo1及び出力Vo2の振幅値を同一に一定制御する動作としては、実施の形態3で述べてきた動作と同じであるため割愛する。
【0126】
次に、図20に示す構成について説明をする。この構成では、増幅部51内が全て差動増幅振幅調整部52、53、54で構成されているが、この構成に限定するものではない。また、この差動増幅振幅調整部52、53、54の振幅調整部の回路構成は、図2、図3で示すいずれかのものである。また、この差動増幅振幅調整部52、53、54の電源電圧調整部の回路構成は、図17、図18、図19で示すいずれかのものである。
【0127】
図20に示すAGC回路は、増幅部51と、振幅一定制御部63と、電圧制御部64、65、66とを備えている。そして、増幅部51には、差動増幅振幅調整部52、53、54と、ピーク検出部55、57と、出力DCモニタ部56、58〜62とを備えている。
【0128】
増幅部51に入力される信号入力1(以降、In1)又は入力2(以降、In2)は、差動増幅振幅調整部52、53、及び差動増幅振幅調整部n54を通った後、出力1(以降、出力Vo1)及び出力2(以降、出力Vo2)として出力される。ピーク検出部55では、出力Vo1の振幅のピーク値を検出し、検出信号(以降、Vpk1)を振幅一定制御部63に送出する。同時に、ピーク検出部57では、出力Vo2の振幅のピーク値を検出し、検出信号(以降、Vpk2)を振幅一定制御部63に送出する。出力DCモニタ部(11)56、出力DCモニタ部(12)58、出力DCモニタ(21)59、出力DCモニタ(22)60、出力DCモニタ(n1)61、出力DCモニタ(n2)62では、差動増幅振幅調整部52、差動増幅振幅調整部53、差動増幅振幅調整部n54のそれぞれの出力信号の直流電圧成分を検出し、検出信号(以降、Vdc11、Vdc12、Vdc21、Vdc22、Vdcn1、Vdcn2)をそれぞれ電圧制御部64、電圧制御部65、電圧制御部66にそれぞれ送出する。また出力DCモニタ(n1)61、出力DCモニタ(n2)62は、Vdcn1及びVdcn2を振幅一定制御部63にもそれぞれ送出する。
【0129】
ここで、振幅一定制御部63では、入力されたVpk1及びVdcn1の差分(以降、ΔVo1)とVpk2及びVdcn2の差分(以降、ΔVo2)をそれぞれ抽出し、外部から入力される基準電圧(以降、Vref_PK)と比較する。このときVref_PKは、必要とする出力Vo1及び出力Vo2の振幅の半分の値に設定する。ΔVo1、ΔVo2>Vref_PKの場合、振幅一定制御部63から出力Vo1及び出力Vo2の振幅を小さくする制御信号を、差動増幅振幅調整部52、53、n54の振幅調整端子(以降、Vg11、Vg12、Vg21、Vg22、Vgn1、Vgn2)にそれぞれ送出する。また、ΔVo1、ΔVo2<Vref_PKの場合、振幅一定制御部63から出力Vo1及び出力Vo2の振幅を大きくする制御信号を、差動増幅振幅調整部52、53、n54のVg11、Vg12、Vg21、Vg22、Vgn1、Vgn2にそれぞれ送出する。以後、ΔVo1、ΔVo2=Vref_PKになるまで同様の処理を繰り返し、必要とする出力Vo1及び出力Vo2の振幅値に一定制御する。
【0130】
なお、振幅一定制御部63からの制御信号がVg11、Vg12、Vg21、Vg22、Vgn1、Vgn2にそれぞれ送出されるまで、Vg11、Vg12、Vg21、Vg22、Vgn1、Vgn2には初期電圧が供給されている。なお差動増幅振幅調整部の振幅調整部の詳細な動作説明については、前述したものと同様であるため割愛する。
【0131】
次に、電圧制御部64において、まず、Vdc11とVref_1の差分であるΔVdc11とVdc12とVref_1の差分であるΔVdc12をそれぞれ抽出する。このとき、Vref_1を必要とする差動増幅振幅調整部52の出力DCレベルの値に設定する。このΔVdc11及びΔVdc12を補正するような制御信号をVDD11及びVDD12端子にそれぞれ送出する。これら制御信号により、差動増幅振幅調整部52の電源電圧もしくは内部電圧を調整する。以降、電圧制御部65、電圧制御部n66においても同様な制御を行う。なお差動増幅振幅調整部の電源電圧調整部の詳細な動作説明については、前述したものと同様であるため割愛する。
【0132】
この構成を用いれば、Vg11、Vg12、Vg21、Vg22、Vgn1、Vgn2への制御信号により必要とする出力Vo1及び出力Vo2の振幅値に一定に制御することが可能となる。また、出力Vo1及び出力Vo2が線形の場合出力Vo1及び出力Vo2の振幅値を一定制御する際、入力振幅のダイナミックレンジを図16の構成のn倍に拡大することができる。
【0133】
また、差動増幅振幅調整部の1段ごとに出力の直流電圧の補正を行うことにより、図16の構成に比べ、入力での直流電圧のずれ幅及び増幅部内部で起こる直流電圧のずれ幅の許容範囲をより拡大することができる。
【0134】
このように、本実施の形態4では、ピーク検出部55、57において、増幅部出力1及び増幅部出力2の信号のピークをそれぞれ検出し、また、出力DCモニタ61、62において増幅部出力1及び出力2の直流電圧をそれぞれ抽出し、これら4つの信号を振幅一定制御部63に送出し、振幅一定制御部63において必要とする増幅部の2つの出力信号を同一振幅値に一定に制御するための信号を生成し、この信号を各差動増幅振幅調整部の振幅調整端子に送出し制御することにより、差動増幅振幅調整部の振幅調整幅内において入力信号の振幅変動に対して、増幅部の2つの出力信号を同一幅値に一定に制御することができる。
【0135】
また、出力DCモニタ部56、58〜60において各差動増幅振幅調整部52、53の各出力の直流電圧をそれぞれ抽出し、これら信号を電圧制御部64、65にそれぞれ送出し、電圧制御部64、65において必要とする直流電圧に一定に制御するための信号を生成し、この信号を差動増幅振幅調整部52、53の各電源電圧調整端子に送出し制御することにより、各差動増幅振幅調整部の電圧調整幅内において、入力での直流電圧のずれ及び増幅部内で起こる直流電圧のずれに対して、電圧ずれを補正し増幅部の2つの出力信号の直流電圧値を同一電圧値に一定に制御することができる。さらに、増幅部内部の差動増幅振幅調整部の回路構成を簡素化することにより、駆動電圧の低電圧化が可能となる。
【0136】
また、この実施の形態4でも、前述した各実施の形態と同様に、図6に示すように、AGC回路を光受信装置並びに光伝送システムに使用することができる。このように、光受信装置84内のAGC回路86に、実施の形態4によるAGC回路を盛り込むことにより、図6に示す光伝送システムの伝送特性を安定的に高品質にすることができる。
【0137】
【発明の効果】
以上述べてきたように、本発明に係るAGC回路及び光受信装置並びに光伝送システムによれば、振幅調整部の回路構成を簡素化することによる駆動電圧の低電圧化を可能にし、かつ入力信号の振幅変動に対して出力信号の振幅値を一定に制御することができる。
また、差動増幅振幅調整部の振幅調整幅内において、入力信号の振幅変動に対して、増幅部の2つの出力信号の振幅を同一振幅値で一定に制御することができるという効果が得られる。
また、入力での直流電圧のずれ及び増幅部内部で起こる直流電圧のずれを補正し、増幅部出力信号の直流電圧値を一定に制御することができるという効果が得られる。
さらに、光伝送システムの伝送特性を安定的に高品質にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1によるAGC回路の構成を示すブロック図
【図2】図1の差動増幅振幅調整部24の内部回路(周辺構成を含む)と動作波形を示す図
【図3】図1の他の例による差動増幅振幅調整部24の内部回路(周辺構成を含む)と動作波形を示す図
【図4】図1のさらに他に例による差動増幅振幅調整部24の内部回路(周辺構成を含む)と動作波形を示す図
【図5】本発明の実施の形態1におけるAGC回路の他の構成例を示すブロック図
【図6】本発明のAGC回路を光受信装置内に用いた光伝送システムの構成図
【図7】本発明の実施の形態2におけるAGC回路の構成を示すブロック図
【図8】図7の差動増幅振幅調整部34の内部回路(周辺構成を含む)と動作波形を示す図
【図9】本発明の実施の形態2におけるAGC回路の他の構成例を示すブロック図
【図10】本発明の実施の形態3におけるAGC回路の構成を示すブロック図
【図11】図10の差動増幅振幅調整部44の内部回路(周辺構成を含む)と動作波形を示す図
【図12】図10の他に例による差動増幅振幅調整部44の内部回路(周辺構成を含む)と動作波形を示す図
【図13】図10の更に他に例による差動増幅振幅調整部44の内部回路(周辺構成を含む)と動作波形を示す図
【図14】図10の更に他に例による差動増幅振幅調整部44の内部回路(周辺構成を含む)と動作波形を示す図
【図15】本発明の実施の形態3におけるAGC回路の他の構成例を示すブロック図
【図16】本発明の実施の形態4におけるAGC回路の構成を示すブロック図
【図17】図16の差動増幅振幅調整部54の内部回路(周辺構成を含む)と動作波形を示す図
【図18】図16の他の例による差動増幅振幅調整部54の内部回路(周辺構成を含む)と動作波形を示す図
【図19】図16の更に他の例による差動増幅振幅調整部54の内部回路(周辺構成を含む)と動作波形を示す図
【図20】本発明の実施の形態4におけるAGC回路の他の構成例を示すブロック図
【図21】従来のAGC回路の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
21、31、41、51 増幅部
22、23、32、33、42、43、45、52、53 差動増幅部(差動増幅振幅調整部)
24、34、44、54 差動増幅振幅調整部
25、35、37、55、57 ピーク検出部
26、36、38、46、56、58〜62 出力DCモニタ部
27、39、47、59 振幅一定制御部
48、50、51、60、64、65、66 電圧制御部
81 光送信装置
82 光増幅装置
83 光伝送路
84 光受信装置
85 光電気変換部
86 AGC回路
87 クロック再生部
88 タイミング抽出部
89 識別再生部

Claims (20)

  1. 第1と第2の入力信号の電位差を増幅して相補的な第1と第2の出力信号を出力する縦続接続された複数段の差動増幅部と、
    前記複数段の差動増幅部から出力される第1と第2の出力信号の電位差を増幅して出力する相補的な第1と第2の出力信号の振幅を振幅制御信号に基づいて調整する振幅調整機能を有する差動増幅振幅調整部と、
    前記差動増幅振幅調整部から出力される第1又は第2の出力のいずれかの出力振幅のピーク値を検出するピーク検出部と、
    前記ピーク検出部によりピーク値を検出する差動増幅振幅調整部の出力の直流電圧成分を検出する出力直流成分モニタ部と、
    前記ピーク検出部からの検出値と前記出力直流成分モニタ部からの検出値との差分を抽出して振幅制御基準電圧との比較に基づいて前記差動増幅振幅調整部からの出力の振幅を一定制御する振幅制御信号を前記差動増幅振幅調整部に出力する振幅一定制御部とを、
    備えたAGC回路。
  2. 前記差動増幅振幅調整部は、差動FETと、前記差動FETの2つの負荷抵抗と、2つの負荷抵抗にそれぞれ並列接続され前記振幅一定制御部からの振幅制御信号がゲートに入力されることにより負荷抵抗に流れる電流を調整し出力振幅を調整する電流源FETとを備えている請求項1に記載のAGC回路。
  3. 前記電流源FETにそれぞれ直列接続される抵抗を更に備え、前記電流源FETと前記抵抗との直列接続体が前記負荷抵抗にそれぞれ並列接続されている請求項2に記載のAGC回路。
  4. 前記複数段の差動増幅部は、前記振幅一定制御部からそれぞれ出力される各振幅制御信号に基づいて出力信号の振幅を調整する振幅調整機能を有する差動増幅振幅調整部によりそれぞれ構成される請求項1から3のいずれか1つに記載のAGC回路。
  5. 前記ピーク検出部を第1のピーク検出部、前記出力直流成分モニタ部を第1の出力直流成分モニタ部とし、これら第1のピーク検出部と第1の出力直流成分モニタ部とは異なる差動増幅振幅調整部から出力される他の出力の出力振幅のピーク値と直流電圧成分をそれぞれ検出する第2のピーク検出部と第2の出力直流成分モニタ部を更に備え、
    前記振幅一定制御部は、前記振幅制御信号を第1の振幅制御信号とし、前記第2のピーク検出部からの検出値と前記第2の出力直流成分モニタ部からの検出値との差分を抽出して振幅制御基準電圧との比較に基づいて前記差動増幅振幅調整部からの出力の振幅を一定制御する振幅制御信号を第2の振幅制御信号として、前記差動増幅振幅調整部に出力するとともに、
    前記差動増幅振幅調整部は、前記振幅一定制御部からの第1の振幅制御信号に基づいて振幅制御された第1の出力を送出するとともに、前記振幅一定制御部からの第2の振幅制御信号に基づいて振幅制御された第2の出力を送出するよう構成されている請求項1から4のいずれか1つに記載のAGC回路。
  6. 前記出力直流成分モニタ部からの検出値と電源電圧制御基準電圧との差分に応じた制御された電圧を前記差動増幅振幅調整部に供給する電圧制御部を更に備えた請求項1から5のいずれか1つに記載のAGC回路。
  7. 前記差動増幅振幅調整部は、電源電圧端子と2つの負荷抵抗間に接続された1個の抵抗と、前記抵抗に並列接続された1個のFETとを更に備えた請求項2に記載のAGC回路。
  8. 前記電圧制御部は、前記出力直流成分モニタ部からの検出値に基づいて制御された電圧を前記差動増幅振幅調整部のFETのゲートに供給するよう構成されている請求項7に記載のAGC回路。
  9. 前記差動増幅振幅調整部は、電源電圧端子と2つの負荷抵抗間にそれぞれ接続された2個の抵抗と、前記2個の抵抗にそれぞれ並列接続された2個のFET及び2個の容量とを更に備えた請求項8に記載のAGC回路。
  10. 前記電圧制御部は、前記出力直流成分モニタ部からの検出値に基づいて制御された電圧を前記差動増幅振幅調整部の2個のFETのゲートにそれぞれ供給するよう構成されている請求項9に記載のAGC回路。
  11. 前記差動増幅振幅調整部は、前記電流源FETにそれぞれソースフォロワ部を備え、各ソースフォロワ部は、第1のFETと、電流源FETとして機能する第2のFETと、前記第1のFETのソース端子と前記第2のFETのドレイン端子間に接続された、1個の抵抗と前記抵抗に並列接続された1個の第3のFETとを有するよう構成されている請求項2に記載のAGC回路。
  12. 前記電圧制御部は、前記出力直流成分モニタ部からの検出値に基づいて制御された電圧を前記差動増幅振幅調整部の各ソースフォロワ部内の第3のFETのゲートにそれぞれ供給するよう構成されている請求項11に記載のAGC回路。
  13. 前記出力直流成分モニタ部と前記電圧制御部は、各差動増幅振幅調整部に対応してそれぞれ複数備えられるとともに、各出力直流成分モニタ部は、対応する各差動増幅振幅調整部の出力の直流電圧成分を検出し、各電圧制御部は、各出力直流成分モニタ部からの検出値と各振幅制御基準電圧との比較に基づいた振幅制御信号を対応する差動増幅振幅調整部にそれぞれ出力するよう構成されている請求項4に記載のAGC回路。
  14. 前記第1の出力直流成分モニタ部からの検出値と電源電圧制御基準電圧との差分に応じた電圧を第1の電圧とし、前記第2の出力直流成分モニタ部からの検出値と電源電圧制御基準電圧との差分に応じた電圧を第2の電圧として、前記差動増幅振幅調整部に供給する電圧制御部を更に備え、
    前記差動増幅振幅調整部は、前記電圧制御部からの第1の電圧と前記振幅一定制御部からの第1の振幅制御信号に基づいて振幅制御された第1の出力を送出するとともに、前記電圧制御部からの第2の電圧と前記振幅一定制御部からの第2の振幅制御信号に基づいて振幅制御された第2の出力を送出するよう構成されている請求項13に記載のAGC回路。
  15. 前記電圧制御部は、前記第1と第2の出力直流成分モニタ部からの検出値に基づいて個別に制御された電圧を前記差動増幅振幅調整部の2個の負荷抵抗にそれぞれ供給するよう構成されている請求項14に記載のAGC回路。
  16. 前記電圧制御部は、前記第1と第2の出力直流成分モニタ部からの検出値に基づいて個別に制御された電圧を前記差動増幅振幅調整部の2個のFETのゲートにそれぞれ供給するよう構成されている請求項14に記載のAGC回路。
  17. 前記電圧制御部は、前記第1と第2の出力直流成分モニタ部からの検出値に基づいて個別に制御された電圧を前記差動増幅振幅調整部のソースフォロワ部内の各第3のFETのゲートにそれぞれ供給するよう構成されている請求項14に記載のAGC回路。
  18. 前記複数段の差動増幅部は、前記振幅一定制御部からそれぞれ出力される各振幅制御信号に基づいて出力信号の振幅を調整する振幅調整機能を有する差動増幅振幅調整部によりそれぞれ構成されるとともに、当該複数段の各差動増幅振幅調整部に対応して、各差動増幅振幅調整部から出力される第1と第2の出力の直流電圧成分をそれぞれ検出する第1と第2の出力直流成分モニタ部と、対応する第1の出力直流成分モニタ部からの検出値と電源電圧制御基準電圧との差分に応じた電圧を第1の電圧とし、対応する第2の出力直流成分モニタ部からの検出値と電源電圧制御基準電圧との差分に応じた電圧を第2の電圧として、各差動増幅振幅調整部にそれぞれ出力する複数の電圧制御部とを更に備え、複数段の各差動増幅振幅調整部は、対応する電圧制御部からの第1の電圧と前記振幅一定制御部からの第1の振幅制御信号に基づいて振幅制御された第1の出力を送出するとともに、対応する電圧制御部からの第2の電圧と前記振幅一定制御部からの第2の振幅制御信号に基づいて振幅制御された第1の出力を送出するよう構成されている請求項14に記載のAGC回路。
  19. 受信された光信号を電気信号に変換する光電気変換部と、
    請求項1から18のいずれか1つに記載のAGC回路と、
    前記AGC回路から出力される電気信号からクロックを再生するクロック再生部と、
    前記クロック再生部から再生されたクロックの位相を調整するタイミング抽出部と、
    前記タイミング抽出部から出力される位相調整されたクロック信号に基づいて前記AGC回路から出力される電気信号を識別する識別再生部とを、
    備えた光受信装置。
  20. 光信号を送信する光送信装置と、
    前記光送信装置から送信される光信号を増幅する光増幅装置と、
    前記光増幅装置により増幅された光信号を伝送する光伝送路と、
    前記光伝送路を介して伝送された光信号を受信する請求項19に記載の光受信装置とを、
    備えた光伝送システム。
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