JP3720204B2 - ユ−ズドブリック調ブリック及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,門,扉,建物外壁等に使用するブリックに関し,特にユーズドブリックと同様な外観を呈するようにしたユーズドブリック調ブリック及びその製造方法に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
ユーズドブリックは,欧州,特に英国における古い建造物に使われていたレンガを回収し,その表面層をスライスして形成されるが,このユーズドブリックは,長年月の屋外使用によって,黄ばんだり,黒ずんだりして,部分的に様々の色調を呈するとともに,劣化や外力による欠落や崩落を生じて,歴史を感じさせる古色感に富んだものとされ,景観の向上にも大きく寄与するものであるが,回収したレンガをスライスしたものであるため,生産量が限られ,その入手は一般に容易ではない。
【0003】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので,その解決課題とするところは,ユーズドブリックと同様な外観を呈するコンクリート製又はモルタル製にして,比較的安価に供給することができるユーズドブリック調ブリック及びその製造方法を提供するにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題に添って本発明は,無機顔料を添加することによって,ユーズドブリックの色調に着色した複数色の着色生コンクリートを,ユーズドブリックを用いて型取りする等して,表面の欠落や崩落等の状態を再現したブリック型枠に複数色混在の斑状に供給する一方,例えばバイブレータを用いた振動を与えて着色生コンクリートの境界色調を調整し,色調の一体感を得るようにして,可及的にユーズドブリックの古色感を呈するようにしたものであって,即ち請求項1に記載の発明を,ユーズドブリック調のブリックを製造する方法であって,異色又は異配合の無機顔料を添加することによって,イエロー系,ブラウン系,レッド系,グレー系,ブラック系等所定の色調に着色した複数色の着色生コンクリートと,表面を欠落,崩落状等の凹凸面に成形するブリック型枠とを使用し,該ブリック型枠に上記複数色の着色生コンクリートを複数色混在の斑状に供給配置する配色充填工程と,上記ブリック型枠に振動を与えて上記複数色の着色生コンクリート間の境界を混和して境界色調の調整を施す境界色調調整工程とを備えてなることを特徴とするユーズドブリック調ブリックの製造方法とし,請求項2に記載の発明は,上記に加えて,更にユーズドブリックにみられる,例えば部分的な汚れ等を表現し得るように,これを,上記複数色の着色生コンクリートとブリック型枠に加えて,着色生コンクリートと異なる色調の無機顔料を使用し,上記配色充填工程の前に,ブリック型枠に該無機顔料を部分的に塗布又は散布する顔料配置工程を追加的に備えてなることを特徴とする請求項1に記載のユーズドブリック調ブリックの製造方法とし,請求項3に記載の発明は,同じく上記に加えて,その原料に骨材を含まないモルタル製のブリックを製造するように,これを,上記着色生コンクリートに代えて,着色生モルタルを使用することを特徴とする請求項1又は2に記載のユーズドブリック調ブリックの製造方法とし,請求項4に記載の発明は,上記ユーズドブリックの古色感を呈するようにしたブリックを提供するように,これを,ユーズドブリック調のコンクリート又はモルタルブリックであって,異色又は異配合の無機顔料を添加することによって,イエロー系,ブラウン系,レッド系,グレー系,ブラック系等所定の色調に着色した複数色の着色生コンクリート又は着色生モルタルと,表面を欠落,崩落状等の凹凸面に成形するように型取りしたブリック型枠とを使用し,該ブリック型枠に上記複数色の着色生コンクリート又は着色生モルタルを複数色混在の斑状に供給配置するとともに上記ブリック型枠に振動を与えて上記複数色の着色生コンクリート又は着色生モルタル間の境界を混和して境界色調の調整を施して成形してなることを特徴とするユーズドブリック調ブリックとし,請求項5に記載の発明は,上記に加えて,更にユーズドブリックにみられる,例えば部分的な汚れ等を表現したものとするように,これを,上記複数色の着色生コンクリート又は着色生モルタルとブリック型枠に加えて,着色生コンクリート又は着色生モルタルと異なる色調の無機顔料を使用し,上記ブリック型枠に該無機顔料を部分的に塗布又は散布することによって表面に該無機顔料による部分的な着色を施してなることを特徴とする請求項4に記載のユーズドブリック調ブリックとし,これらをそれぞれ発明の要旨として上記課題解決の手段としたものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下図面の例に従って本発明を更に具体的に説明すれば,Aはブリック,Bはブリック型枠であり,該ブリックAは,ユーズドブリック調のコンクリート又はモルタルブリックであって,異色又は異配合の無機顔料を添加するすることによって,イエロー系,ブラウン系,レッド系,グレー系,ブラック系等所定の色調に着色した複数色の着色生コンクリート又は着色生モルタル1,2と,表面を欠落,崩落等の凹凸面に成形するように型取りしたブリック型枠Bとを使用し,該ブリック型枠Bに上記複数色の着色生コンクリート又は着色生モルタル1,2を複数色混在の斑状に供給配置するとともに上記ブリック型枠Bに振動を与えて上記複数色の着色生コンクリート又は着色生モルタル1,2間の境界を混和して境界色調の調整を施して成形したものとしてあり,本例にあって該ブリックAは,上記複数色の着色生コンクリート又は着色生モルタル1,2とブリック型枠Bに加えて,着色生コンクリート又は着色生モルタル1,2と異なる色調の無機顔料を使用し,上記ブリック型枠Bに該無機顔料を部分的に塗布又は散布することによって表面に該無機顔料による部分的な着色を施したものとしてある。
【0006】
即ち本例にあってブリックAは,表面を劣化や外力による欠落や崩落を生じたユーズドブリック調に凹凸面に成形し,セメント,骨材,砂,水を混練したコンクリート製にして,更に無機顔料を添加し混合することによって,上記凹凸面とともに古色感を呈するように所定の色調に着色した複数色の着色コンクリート製のものとするとともに,該着色コンクリート1,2を複数色混在の斑状に配置し,表面から裏面の厚み方向に向けて幅方向に出入りがあるも,ほぼ同じような斑状パタンの断面を有する一体のものとする一方,表面の一部に部分的に無機顔料による上記部分的な着色を施したものとしてあり,本例においてセメントは,一般に用いられるポルトランドセメント或いは比較的淡い単色の着色用にホワイトセメントを,骨材は,ブリックAの軽量化のために,例えばメサライト,セイライト等非造粒型の,或いは焼成フライアッシュ等造粒型の人工軽量骨材を用いてあり,またコンクリート着色の無機顔料及び表面の部分的な着色の無機顔料は,それぞれ例えば酸化鉄系等の無機顔料,即ちモルタル着色用にして,例えばブラウン,イエロー,ブラック,レッド等適宜の色彩の色粉を用い,これらを必要に応じて混合使用することによってブリックA及び表面の部分的着色が上記所定の色調を呈するようにしたものとしてある。
【0007】
これをブリックAの製造方法によって説明すれば,該製造方法は,ユーズドブリック調のブリックAを製造する方法であって,異色又は異配合の無機顔料を添加することによって,イエロー系,ブラウン系,レッド系,グレー系,ブラック系等所定の色調に着色した複数色の着色生コンクリート1,2と,表面を欠落,崩落状等の凹凸面に成形するブリック型枠Bとを使用し,該ブリック型枠Bに上記複数色の着色生コンクリート1,2を複数色混在の斑状に供給配置する配色充填工程と,上記ブリック型枠Bに振動を与えて上記複数色の着色生コンクリート1,2間の境界を混和して境界色調の調整を施す境界色調調整工程とを備えたものとしてあり,本例にあって該製造方法は,上記複数色の着色生コンクリート1,2とブリック型枠Bに加えて,着色生コンクリート1,2と異なる色調の無機顔料を使用し,上記配色充填工程の前に,ブリック型枠Bに該無機顔料を部分的に塗布又は散布する顔料配置工程を備えたものとしてある。
【0008】
即ち着色生コンクリート1,2は,上記セメント,骨材,砂,水を混練するとともにこれに,例えば5重量%以下,好ましくは3±1重量%の上記無機顔料を添加混合した,例えばJIS A 1101のスランプ試験によるスランプ値を20±5cm,好ましくは20±3cmとするものとしてあり,該着色生コンクリート1,2は,その無機顔料,即ち上記モルタル用の色粉を異色とし或いは同色複数の色粉を用いるもその配合比率を変化して添加することによって複数色,例えば2色又は3色に着色したそれぞれを適量用いるものとしてある。
【0009】
このとき無機顔料を5重量%を超える量とすれば,着色が濃くなりすぎるとともにコンクリートに悪影響を及ぼし,強度が低下する等の可能性があり,2重量%を下回ると好ましい色調を得ることができず,3±1重量%とするのが,コンクリートの強度を充分に確保し,好ましいユーズドブリック調の色調を得る上で好ましい結果とすることができ,一方スランプ値が15cmを下回ると,コンクリートが硬くなりすぎ,後述の境界色調調整工程において,好ましい境界色調の調整をなし得ず,色調の違いが目視されるようになる可能性があり,25cmを超えると,コンクリートが軟らかくなりすぎ,後述の配色充填工程において,好ましい複数色混在の斑状の供給配置をなし得ず,複数色が混合する傾向を招く可能性があり,20±3cmとするのが,適度な硬さにして,好ましいユーズドブリック調の色調を得る上で好ましい結果とすることができる。
【0010】
ブリック型枠Bは,例えば表面形状を異にする多数のユーズドブリックを用いて,これらから型取りしたブリック型枠Bを多数並置して配置した,例えばウレタンゴム,シリコンゴム等軟質の合成ゴム系にして厚肉のプレート状のものとしてあり,それぞれ欠落,崩落状等の凹凸面の表面形状が異なる多数のブリックAを同時に成形することが可能なものとしてある。
【0011】
顔料配置工程は,着色生コンクリート1,2と異なる色調の無機顔料,例えばグレー系,特にダークグレーになるように色粉を配合してなる無機顔料を使用し,例えばこれを極く軟練のモルタルに混合し,或いは水に溶くこと等によって,刷毛塗りを可能として,刷毛を用いてブリック型枠Bの底面,立上り壁面に部分的に塗布するか,又は色粉の粉末のまま,これをブリック型枠Bに同様に部分的に散布することによって行なうものとしてあり,該無機顔料を後述の着色生コンクリート1及び/又は2に転写することによってブリックAの表面に,例えばユーズドブリックに見られるような汚れ,焦げ跡等の部分的な着色を施すようにしてある。
【0012】
配色充填工程は,上記ブリック型枠Bに,上記複数色の着色生コンクリート,例えばイエロー系とグレー系の複数,特に2色の着色生コンクリート1,2を,例えばブリック型枠Bの一側端部にイエロー系を,その隣にグレー系を,更にその隣にイエロー系をという如くに,それぞれ大小適量の各着色生コンクリート1,2を順次に投入することによって或いは,例えばこれら着色生コンクリ−ト1,2を,予めミキサ−に入れる等して軽くプレミキシングを施して同時に投入することによって,ブリック型枠B内に複数色が混在した斑状に着色生コンクリート1,2を供給配置し,各ブリック型枠Bの容量に応じてそれぞれこれに着色生コンクリート1,2を充填することによって行なうものとしてある。
【0013】
境界色調調整工程は,上記着色生コンクリート1,2を上記斑状に充填したブリック型枠Bに,例えばバイブレータの振動テーブルにブリック型枠Bを載置して,バイブレータを作動させる等して振動,特に微振動を与えることにより,上記斑状配置の複数の着色生コンクリート1,2における境界部分を馴染ませるように混和して,着色色調の境界をなくし,双方の混合色とすることにより,一方の色調から他方の色調に無段階的な色調変化を行なって,ユーズドブリックの自然な色調を,違和感なく呈することが可能になるようにすることによって行なうものとしてある。
【0014】
境界の調整工程,即ち境界色調調整工程を経た後,一般には養生工程を施して,ブリック型枠Bから脱型してブリックAとすればよく,上記養生工程は,例えば数日乃至1週間程度の期間の自然養生によって,これを行なうように,常法によるものとすればよい。
【0015】
このように形成したブリックAは,箱詰めして出荷し,現場でタイル等の無機外装材と同様に張設使用するか,べース,例えばモルタルの無機系ボードや発泡ポリスチレン,発泡ウレタン等の発泡樹脂ボード等適宜材質のべースに張設したブリックパネルやブリック張りのブロックとして出荷し,現場で構造材に固定使用して建物外壁とし,或いは現場で組合せ使用して門,塀を構成したりするように使用するものとされる。
【0016】
本発明のブリックAは,例えば,ブラウン,イエロー,ブラック等の無機顔料を共通に用いるとともに,その配合比率を変えた異配合の無機顔料を添加して一方をイエロー掛かったグレー系,他方を黄土系にした2種類の着色生コンクリートを用い,或いはブラウン,ブラック,レッド等の無機顔料を同じく共通に用いるとともに,その配合比率を変えた異配合の無機顔料を添加して一方をレッド系,他方をダークグレー系にした同じく2種類の着色生コンクリートを用い,それぞれ上記配色充填工程,境界色調調整工程及び養生工程を経て製造するか,該ブリックAに,更にブラック系の無機顔料を使用し,上記顔料配置工程を,上記配色充填工程の事前工程として採用して製造するようにした結果,いずれもその色調は,ユーズドブリックと同様に,長年月の屋外使用によって,黄ばんだり,黒ずんだりして,部分的に様々の色調を呈するとともに,劣化や外力による欠落や崩落を生じて,歴史を感じさせる古色感に富んだものとなり,入手が困難なユーズドブリックに代えて使用して,景観を向上するに適したものとし得るとともに,コンクリート製にして,比較的安価に供給し得るものとし得た。
【0017】
なお本発明においては,上記着色生コンクリートに代えて着色生モルタルを用いて同様にモルタル製のブリックを製造することができるが,このとき着色生モルタルは,上記着色生コンクリートから骨材を除いたセメント,砂,水を混練したものとすればよく,そのスランプ値,無機顔料の重量%は,上記着色生コンクリートについて記載したものと同様にするようにすればよく,更に本発明の実施にあたって,単独色の無機顔料を使用する等無機顔料の種類やその添加量,ブリック型枠の材質,形態,骨材を用いるときのその種類,硬化促進剤等混和材料の使用等は,上記発明の要旨に反しないかぎり,これを様々に変更した形態とすることができる。
【0018】
【発明の効果】
本発明は以上のとおりに構成したので,請求項1に記載の発明は,ユーズドブリックと同様な外観を呈するコンクリート製又はモルタル製にして,比較的安価に供給することができるユーズドブリック調ブリックの製造方法を提供することができ,請求項2に記載の発明は,上記に加えて,更にユーズドブリックにみられる,例えば部分的な汚れ等を表現し得るようにすることができ,請求項3に記載の発明は,同じく上記に加えて,その原料に骨材を含まないモルタル製のブリックを製造することができ,請求項4に記載の発明は,上記ユーズドブリックの古色感を呈するようにしたブリックを提供することができ,請求項5に記載の発明は,上記に加えて,更にユーズドブリックにみられる,例えば部分的な汚れ等を表現したものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ブリック型枠の斜視図である。
【図2】ブリック型枠における着色生コンクリートの充填状態を示す縦断面図である。
【図3】ブリックの斜視図である。
【符号の説明】
A ブリック
B ブリック型枠
1 着色生コンクリート
2 着色生コンクリート
Claims (5)
- ユーズドブリック調のブリックを製造する方法であって,異色又は異配合の無機顔料を添加することによって,イエロー系,ブラウン系,レッド系,グレー系,ブラック系等所定の色調に着色した複数色の着色生コンクリートと,表面を欠落,崩落状等の凹凸面に成形するブリック型枠とを使用し,該ブリック型枠に上記複数色の着色生コンクリートを複数色混在の斑状に供給配置する配色充填工程と,上記ブリック型枠に振動を与えて上記複数色の着色生コンクリート間の境界を混和して境界色調の調整を施す境界色調調整工程とを備えてなることを特徴とするユーズドブリック調ブリックの製造方法。
- 上記複数色の着色生コンクリートとブリック型枠に加えて,着色生コンクリートと異なる色調の無機顔料を使用し,上記配色充填工程の前に,ブリック型枠に該無機顔料を部分的に塗布又は散布する顔料配置工程を追加的に備えてなることを特徴とする請求項1に記載のユーズドブリック調ブリックの製造方法。
- 上記着色生コンクリートに代えて,着色生モルタルを使用することを特徴とする請求項1又は2に記載のユーズドブリック調ブリックの製造方法。
- ユーズドブリック調のコンクリート又はモルタルブリックであって,異色又は異配合の無機顔料を添加することによって,イエロー系,ブラウン系,レッド系,グレー系,ブラック系等所定の色調に着色した複数色の着色生コンクリート又は着色生モルタルと,表面を欠落,崩落状等の凹凸面に成形するように型取りしたブリック型枠とを使用し,該ブリック型枠に上記複数色の着色生コンクリート又は着色生モルタルを複数色混在の斑状に供給配置するとともに上記ブリック型枠に振動を与えて上記複数色の着色生コンクリート又は着色生モルタル間の境界を混和して境界色調の調整を施して成形してなることを特徴とするユーズドブリック調ブリック。
- 上記複数色の着色生コンクリート又は着色生モルタルとブリック型枠に加えて,着色生コンクリート又は着色生モルタルと異なる色調の無機顔料を使用し,上記ブリック型枠に該無機顔料を部分的に塗布又は散布することによって表面に該無機顔料による部分的な着色を施してなることを特徴とする請求項4に記載のユーズドブリック調ブリック。
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