JP3718182B2 - 排水処理装置および排水処理装置における内装部材の取付け方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、排水処理槽内に排水を受け入れて処理する排水処理装置に係り、詳しくは排水処理槽内に内装部材を取付ける技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば一般家庭から排出された家庭用排水を処理する排水処理槽においては、排水処理槽の内部を処理機構別に仕切る仕切壁部材(内装部材)を設けた構成が一般的である。この排水処理槽は、例えばいずれも槽状に形成された上槽および下槽の各フランジ部を互いに重ね合わせ所定の接着剤で接合した構成を有する。図5に示すような縦断面構造を有する排水処理槽では、内装部材の1つである仕切壁部材260を排水処理槽の内部に取付ける前に、上槽壁部221から延びる上槽フランジ部222と、下槽壁部231から延びる下槽フランジ部232が対向する位置に空間部270が形成される。仕切壁部材260を排水処理槽の内部に取付ける際に、この空間部270に所定の接着剤Cを流し込み、空間部270を接着剤Cで埋めることによって排水処理槽の内部における漏水の発生を防止するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記のような排水処理槽では、空間部270の容積を小さくするのに限界があるため過剰な量の接着剤Cが必要になるという問題がある。とりわけ、空間部270には漏水の要因になり得る隙間271が形成され易く、この隙間271を埋めるために過剰の接着剤Cを必要とする。また、このような構成では、接着剤Cの接着効果のみによって漏水の発生を防止する必要があるため、漏水防止の効果が不十分になり易いという問題を抱えている。
そこで、本発明は、以上のような点に鑑みてなされたものであり、排水処理槽内に排水を受け入れて処理する排水処理装置において、排水処理槽内に内装部材を合理的に取付けるのに有効な技術を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の排水処理装置は請求項1,2に記載の通りに構成される。また、本発明の排水処理装置における内装部材の取付け方法は後述の通りである。なお、これら各請求項に係る発明は、複数の槽構成体が接合された排水処理槽と、この排水処理槽内に取付けられる仕切壁部材とを備えた排水処理装置において、槽構成体の所定の接合部において槽構成体同士が対向する位置に空間部を形成させ、仕切壁部材にこの空間部に嵌合する突出部を設けることで、排水処理槽内に仕切壁部材を合理的に取付けることができるようにした技術である。
【0005】
本発明に係る排水処理装置では、排水処理槽内に内装部材が設けられている。排水処理槽は、複数の槽構成体を接合することで形成されている。この槽構成体には、槽状ないし円筒状のものを用いる。例えば、いずれも槽状に形成された上槽と下槽とを互いに接合することで排水処理槽が形成される。ここでいう、「内装部材」とは、排水処理槽に内蔵される処理機構部を例えば機能別に仕切る仕切壁部材をはじめ、その他、排水処理槽内に装着される各種の部材を広く含む主旨である。排水処理槽内へ受け入れた排水は、この処理機構部によって所定の処理がなされる。本発明では、槽構成体の所定の接合部において槽構成体同士が対向する位置に空間部が形成されている。この空間部は、槽構成体同士の接合を行う際に接着剤等を塗布する領域として用いられ、例えば対向する槽構成体に設けられた両フランジ部や、槽構成体の端部が互いに重なり合う箇所によって形成される。また、内装部材に突出部が設けられ、この突出部が空間部に嵌合するようになっている。図5に示す従来のように内装部材に突出部を有していない場合、空間部の容積を小さくするのには限界があるが、本発明の如く内装部材の突出部が空間部に嵌合する構成を用いることで突出部によって空間部の一部を埋め、空間部の容積を所望の大きさに抑えることができる。これにより、過剰な量の接着剤が使用されるのを極力回避することができる。また、内装部材の突出部を空間部に嵌合させるとともに、この空間部に接着剤を塗布することで、突出部による嵌合効果と接着剤による接着効果との協働によって、高い漏水防止効果を得ることができる。さらに、内装部材の突出部が空間部に嵌合する構成によって、内装部材を槽構成体に対し所定の位置に位置決めすることができ、内装部材の位置調節および位置確認を容易かつ確実に行うことが可能となる。従って、請求項1に記載した排水処理装置によれば、排水処理槽の内部に仕切壁部材を合理的に取付けることが可能となる。
【0006】
ここで、請求項1に記載の突出部は、所定断面における断面幅が先端側へ向けて縮小された形状を有する構成であるのが好ましい。ここでいう所定断面には、突出部の突出方向に関する縦断面や横断面等がある。従って、この突出部は、例えば縦断面と横断面の両方について断面幅が先端側へ向けて縮小された形状や、縦断面と横断面の両方について断面幅が先端側へ向けて縮小された形状を有する。突出部のこのような構成によれば、内装部材を取付ける際に空間部に突出部を嵌合させ易く、内装部材の位置調節および位置確認を更に容易に行うことが可能となる。
【0007】
本発明における内装部材の取付け方法では、槽構成体の所定の接合部において、内装部材に、槽構成体同士が対向する位置に形成される空間部に嵌合可能な突出部を設ける。そして、内装部材の突出部を空間部に嵌合させるとともに、この空間部に接着剤を塗布する。この接着剤および突出部によって空間部が埋められ、これにより漏水の発生が防止されることとなる。そして、内装部材はリベット等の固定手段を介して排水処理槽側に固定される。このように、内装部材を排水処理槽側に取付ける。内装部材の突出部を空間部に嵌合させる方法を用いることで空間部の容積を所望の大きさに抑えることができ、従って過剰な量の接着剤が使用されるのを極力回避することができる。また、内装部材の突出部を空間部に嵌合させるとともに、この空間部に接着剤を塗布する方法を用いることで、突出部による嵌合効果と接着剤による接着効果との協働によって、高い漏水防止効果を得ることができる。さらには、内装部材の突出部が空間部に嵌合する構成によって、内装部材を槽構成体に対し所定の位置に位置決めすることができ、内装部材の位置調節および位置確認を容易かつ確実に行うことが可能となる。従って、この排水処理装置における内装部材の取付け方法によれば、排水処理槽の内部に内装部材を合理的に取付けることが可能となる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、本実施の形態の排水処理装置の構成を図面に基づいて説明する。ここで、図1は本実施の形態の排水処理装置100の外観を示す斜視図である。図2は図1中のA−A線断面矢視図である。図3は図2中の仕切壁部材160を部分的に示す斜視図である。図4は図2中のB−B線断面矢視図である。
【0009】
図1に示すように、本実施の形態の排水処理装置100は、排水処理槽110の内部に所定の排水処理機構を内蔵する。この排水処理槽110は、いずれも槽状に形成された上槽120および下槽130によって構成されている。すなわち、上槽120の上槽フランジ部122と、下槽130の下槽フランジ部132とを互いに重ね合わせ、これらフランジ部を所定の接着剤によって接合することで、排水処理槽110が組立てられることとなる。また、上槽120には上槽壁部121から槽内方へ突出する補強用の上槽補強リブ124,125,126が形成され、下槽130には下槽壁部131から槽内方へ突出する補強用の下槽補強リブ134,135,136が形成されている。この上槽120および下槽130が本発明における槽構成体に対応している。
【0010】
上槽120の外面には、例えば一般家庭から排出された家庭用排水を排水処理槽110へ受入れるための流入管101、槽内で浄化処理された処理水を排水処理槽110から放流するための放流管102、槽内の内部点検等に用いられるマンホール150が設けられている。流入管101から受入れられた排水は、排水処理槽110内の所定の排水処理機構によって連続的に浄化処理されたのち、放流管102から放流されるようになっている。
【0011】
上槽120および下槽130によって排水処理槽110が組立てられた状態では、上槽補強リブ124と下槽補強リブ134、上槽補強リブ125と下槽補強リブ135、上槽補強リブ126と下槽補強リブ136が互いに対向するようになっている。このように上槽120と下槽130の両方に補強リブを設けたうえで、これら上槽補強リブ124,125,126と下槽補強リブ134,135,136の各々が上下に重なるように構成したため、例えば上槽120あるいは下槽130の一方にのみ補強リブを設ける場合に比して、排水処理槽110自体の補強強度が高まる。
【0012】
図2に示すように、排水処理槽110の内面には上槽壁部121および下槽壁部131にわたって複数(本実施の形態では2つ)の仕切壁部材160が取付けられている。この仕切壁部材160は、排水処理槽110を複数の領域(本実施の形態では3つの領域)に仕切る構成になっている。仕切壁部材160によって仕切られた領域には、例えば排水中の夾雑物、油分、泡沫などを分離する分離機構、嫌気性微生物や好気性微生物を用いて生物処理を行う生物処理機構、消毒機構等が設けられている。また、この仕切壁部材160には、アングル部材、配管類、バルブ類、計器類等の各種の部材が適宜取付けられるようになっている。なお、この仕切壁部材160が本発明における内装部材に対応している。
【0013】
図3に示すように、仕切壁部材160は、その両端を折り返した形状の折返し部161を備える。この折返し部161には、傾斜部161aおよび水平部161bが形成され、これらが仕切壁部材160の取付時に排水処理槽110の内面に対向する。また、傾斜部161aおよび水平部161bには、折返し部161から側方へ突出する突出部162が設けられている。この突出部162は、その突出方向に関する縦断面における断面幅dが先端側へ向けて縮小されたテーパー形状になっている。なお、本実施の形態では傾斜部161aおよび水平部161bにわたって突出部162を設けているが、この突出部162を傾斜部161aおよび水平部161bのいずれか一方のみに設けてもよい。
【0014】
図4に示すように、上槽フランジ部122と下槽フランジ部132が重なり合う箇所(本発明における「槽構成体同士が対向する位置」を構成する)に空間部170が形成される。この空間部170に仕切壁部材160の突出部162が嵌合するようになっている。すなわち、本実施の形態では、仕切壁部材160のうち空間部170に対応した位置に、空間部170に対応した形状の突出部162が設置されている。空間部170は、仕切壁部材160の取付け時に上槽フランジ部122と下槽フランジ部132との接着に用いる接着剤Cが塗布される領域となる。仕切壁部材160が排水処理槽110内に取付けられた状態では、仕切壁部材160の突出部162が空間部170に嵌合する。この空間部170は、接着剤Cおよび突出部162によって埋められているため漏水の発生が防止されることとなる。なお、上槽フランジ部122と上槽壁部121との境界部分、および下槽フランジ部132と下槽壁部131との境界部分はいずれもR形状になっており、テーパー形状の突出部162はこのR形状との係合性が良い。
【0015】
仕切壁部材160を排水処理槽110内に取付ける際は、まず、仕切壁部材160を下槽130に固定する。ここでは、下槽壁部131の折返し部161に対応した位置に接着剤Cを塗布したうえで、仕切壁部材160を所定位置にセットする。これにより、仕切壁部材160を下槽130に接着する。このとき、下槽フランジ部132に対する突出部162の相対位置を調節することで、仕切壁部材160の取付け高さの確認を行う。そして、下槽壁部131と折返し部161とをリベットR1によって固定する。
【0016】
次に、上槽120と仕切壁部材160との固定、および上槽120と下槽130との固定を行う。ここでは、上槽壁部121の折返し部161に対応した位置、および下槽フランジ部132に接着剤Cを塗布したうえで、上槽120を下槽130の上方から被せる。これにより、上槽120を下槽130および仕切壁部材160に接着する。そして、上槽壁部121と折返し部161とをリベットR2によって固定し、上槽フランジ部122と下槽フランジ部132とをリベットR3によって固定する。このように、本実施の形態では、上槽120と下槽130との接合にあわせて、これら上槽120および下槽130に対する仕切壁部材160の取付けを行う。
【0017】
以上のように本実施の形態によれば、図5に示す従来のように内装部材に突出部を有していない場合、空間部の容積を小さくするのには限界があるが、本発明の如く仕切壁部材160の突出部162が空間部170に嵌合する構成を用いることで突出部162によって空間部170の一部を埋め、空間部170の容積を所望の大きさに抑えることができる。とりわけ、突出部162と上槽120および下槽130との対向位置に図5の従来技術に示す隙間271のような箇所が形成されるのを防止することができる。これにより、過剰な量の接着剤Cが使用されるのを極力回避することができる。また、仕切壁部材160の突出部162を空間部170に嵌合させるとともに、この空間部170に接着剤Cを塗布することで、突出部162による嵌合効果と接着剤Cによる接着効果との協働によって、高い漏水防止効果を得ることができる。さらに、仕切壁部材160の突出部162が空間部170に嵌合する構成によって、仕切壁部材160を上槽120および下槽130に対し所定の位置に位置決めすることができ、仕切壁部材160の位置調節および位置確認を容易かつ確実に行うことが可能となる。
また、本実施の形態によれば、突出部162は、その突出方向に関する縦断面について断面幅dが先端側へ向けて縮小されたテーパー形状であるため、下槽フランジ部132と下槽壁部131との境界部分のR形状との係合性が良く、仕切壁部材160の位置調節および位置確認を更に容易に行うことが可能となる。
【0018】
〔他の実施の形態〕
なお、本発明は上記の実施の形態のみに限定されるものではなく、種々の応用や変形が考えられる。例えば、上記実施の形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
【0019】
(A)上記実施の形態では、仕切壁部材160の突出部162を、その突出方向に関する縦断面について断面幅dが先端側へ向けて縮小されたテーパー形状としたが、この突出部162の形状、数等は必要に応じて種々変更可能である。
【0020】
(B)また、上記実施の形態では、排水処理槽110を複数の領域に仕切る仕切壁部材160について記載したが、その他、排水処理槽内に装着される各種の部材の取付け技術に本発明を適用することもできる。
【0021】
(C)また、上記実施の形態では、排水処理槽110を、いずれも槽状である2つの上槽120および下槽130によって構成する場合について記載したが、排水処理槽を形成する槽状体の数、形状、配置等はこれに限定されず、必要に応じて種々変更可能である。例えば、上槽120および下槽130の間に円筒状の中槽を挿入した構成の排水処理槽について本発明を適用することもできる。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、排水処理槽内に排水を受け入れて処理する排水処理装置において、排水処理槽の内部に内装部材を合理的に取付けるのに有効な技術を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態の排水処理装置100の外観を示す斜視図である。
【図2】図1中のA−A線断面矢視図である。
【図3】図2中の仕切壁部材160を部分的に示す斜視図である。
【図4】図2中のB−B線断面矢視図である。
【図5】従来の仕切壁部材260の取付構造を示す断面図である。
【符号の説明】
100…排水処理装置
110…排水処理槽
120…上槽
121…上槽壁部
122…上槽フランジ部
130…下槽
131…下槽壁部
132…下槽フランジ部
160…仕切壁部材(内装部材)
161…折返し部
162…突出部
170…空間部
C…接着剤
Claims (2)
- 複数の槽構成体を接合して形成される排水処理槽と、該排水処理槽を複数の領域に仕切る構成となっており、この排水処理槽内に取付けられる仕切壁部材とを備え、この排水処理槽内に排水を受け入れて処理する排水処理装置であって、
前記槽構成体の所定の接合部において槽構成体同士が対向する位置に空間部が形成され、前記仕切壁部材にはこの空間部に嵌合する突出部が設けられ、前記空間部は接着剤及び前記突出部によって埋められて漏水の発生が防止される構成となっていることを特徴とする排水処理装置。 - 請求項1に記載の排水処理装置であって、
前記仕切壁部材は、その両端を折り返した形状の折返し部を備えたことを特徴とする排水処理装置
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