JP3717795B2 - 色分離回路及びそれを備えた色信号処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像信号より色信号を再生するために色分離を行う色分離回路及びそれを備えた色信号処理装置に関するもので、特に、固体撮像装置より出力された画像信号の色分離を行う色分離回路及びそれを備えた色信号処理装置である。
【0002】
【従来の技術】
単板色カラーCCD(Charge Coupled Device)や2板色カラーCCDなどの複数種類のカラーフィルタが設けられた固体撮像装置より出力される画像信号より、色信号を生成するとき、カラーフィルタの種類毎に得られる画像信号を用いて、現在得られた画像信号を出力する画素に設けられたカラーフィルタ以外の種類のカラーフィルタによって得られるであろう信号が近隣の画像信号より補間されることで生成される。このように補間処理を行うことで生成された信号と、CCDより出力される画像信号を用いて、色分離を行った後、R(Red)、G(Green)B(Blue)の原色信号を生成した後、R−Y、B−Yの色差信号を生成し、最終的に色信号を生成する。
【0003】
このように、CCDより出力される画像信号を用いて色信号を生成する従来の色信号処理装置を、図6に示す。図6の色信号処理装置は、CCDからの画像信号が入力されると、この画像信号が、ラインメモリ51及び加算回路53に与えられる。又、ラインメモリ51より出力される画像信号がラインメモリ52及び色分離回路55に与えられるとともに、ラインメモリ52より出力される画像信号が加算回路53に与えられる。このようにして、1行分の画像信号がラインメモリ51,52に格納される。そして、ラインメモリ52より1行目の画像信号が、CCDより直接3行目の画像信号が、それぞれ、加算回路53に与えられるとともに、加算回路53で加算された画像信号が乗算回路54でその信号レベルに1/2が乗算されて、1行目と3行目の画像信号が平均化される。そして、乗算回路54からの画像信号とラインメモリ51からの2行目の画像信号とが色分離回路55に与えられる。
【0004】
色分離回路55では、1つの画像信号に対して3種類の輝度信号YL及び色分離信号Cr,Cbを生成して、RGBマトリクス回路56に出力する。そして、RGBマトリクス回路56で、輝度信号YL及び色分離信号Cr,Cbに基づいて原色信号R,G,Bを生成した後、色差マトリクス回路57で、この原色信号R,G,Bに基づいて色差信号R−Y,B−Yが生成される。この色差信号R−Y,B−Yがカラーエンコーダ58に入力されると、カラーエンコーダ58で色信号が生成されて出力される。
【0005】
又、色分離回路55には、ラインメモリ51より与えられる画像信号を水平方向に補間又は補正する色分離フィルタ59,60と、加算回路53より与えられる画像信号を水平方向に補間又は補正する色分離フィルタ61,62と、色分離フィルタ59,60からの出力を加算する加算回路63と、色分離フィルタ59,60からの出力を減算する減算回路64と、色分離フィルタ61,62からの出力を加算する加算回路65と、色分離フィルタ61,62からの出力を減算する減算回路66と、加算回路63,65の出力を加算する加算回路67とが設けられる。
【0006】
このような構成の色信号処理装置に、図3(a)のように、M(Magenta)、G(Green)、Y(Yellow)、C(cyan)の4種類のカラーフィルタが設けられたCCDより出力される画像信号が与えられるものとする。尚、CCDでは、図3(a)のように、M、Y、G、Yの順にカラーフィルタが並んでいる列とG、C、M、Cの順にカラーフィルタが並んでいる列が交互に配列されている。又、CCDからは、2行毎に組み合わされた画像信号が出力される。即ち、図3(b)のように、M+Y、G+C、G+Y、M+Cが画像信号として出力される。
【0007】
このとき、画像信号C1,C2,C3,C4を、それぞれ、C1=M+Y、C2=G+C、C3=G+Y、C4=M+Cとする。このように画像信号が出力される際、M、C、Yは、それぞれ、原色R(Red)、G(Green)、B(Blue)で表すと、M=R+B、C=G+B、Y=R+Gとなる。よって、画像信号C1,C2,C3,C4を、原色R、G、Bで表すと、C1=2R+G+B、C2=2G+B、C3=2G+R、C4=2B+G+Rとなる。
【0008】
このように画像信号が与えられるとき、例えば、画像信号C1を与える画素の色信号を生成する場合、ラインメモリ52より複数の画像信号C1,C2が、色分離フィルタ59,60に与えられ、色分離フィルタ59,60より補間又は補正された画像信号C1,C2が出力される。又、CCDより直接与えられた画像信号C3,C4と、ラインメモリ51より与えられる画像信号C3,C4とが加算回路53及び乗算回路54で平均化され、色分離フィルタ61,62に与えられる。そして、色分離フィルタ61,62より補間又は補正された画像信号C3,C4が出力される。
【0009】
このようにして、画像信号C1を出力する画素における画像信号C2〜C4が擬似的に求められると、加算回路63で画像信号C1,C2が加算されるとともに、減算回路64で画像信号C1,C2が減算される。又、このとき同時に、加算回路65で画像信号C3,C4が加算されるとともに、減算回路66で画像信号C3,C4が減算される。そして、加算回路63,65からの出力が加算回路67で加算されて輝度信号YLが生成されるとともに、減算回路64,66より、それぞれ色分離信号Cr,Cbが出力される。このようにして輝度信号YL及び色分離信号Cr,Cbが生成されると、まず、RGBマトリクス回路56で原色信号が生成された後、次に、色差マトリクス回路57で色差信号が得られ、そして、カラーエンコーダ58で色信号が生成されて出力される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
図6のような色信号処理回路において、その色分離回路55に設けられた色分離フィルタ59〜62を、その前後に存在する2つの画像信号をあわせた水平方向に隣接した3つの画像信号から演算を行うフィルタとし、そのフィルタ特性を、色分離フィルタ59,61が(0,2,0)、色分離フィルタ60,62が(1,0,1)となるものとする。
【0011】
尚、このフィルタ特性(a,b,c)をとし、現在色信号を求める画素の画像信号の信号レベルをcb、信号レベルcbの画像信号の前後に出力される画像信号の信号レベルをそれぞれca,ccとすると、このフィルタ特性の色分離フィルタよりa×ca+b×cb+c×ccとなる画像信号を生成して出力する。又、この色分離フィルタのフィルタ特性(a,b,c)における成分a,b,cの数を「タップ」と呼び、色分離フィルタで信号生成するために使用する画像信号の数量に相当する。
【0012】
このようなフィルタ特性(0,2,0)、(1,0,1)の色分離フィルタ59〜62を用いた場合、例えば、図7(a)のように信号レベルが変化する画像信号C1,C2がこの色分離フィルタ59,60に与えられると、画像信号C1,C2がそれぞれ、図7(b)のように、その信号レベルが補間されて出力される。よって、図7(a)のように、画素列において4列目と5列目の間の位置となる位置Aにおいてエッジが生じている場合、この位置Aの前後における画像信号C1,C2が、その前後に存在する画像信号C1,C2によって平均化されることで補間される
【0013】
又、このようにして色分離フィルタ59,60により補間されて出力される画像信C1,C2が減算回路64に与えられると、画像信号C2から画像信号C1が減算されることによって色分離信号Crが生成される。このとき、図7(c)のように、この色分離信号Crの信号レベルの理想値が常に0であるのに対し、実際は、図7(b)のように、位置Aのエッジ部分で0より大きくなり、いくらか成分を持つ。このことによって、エッジ部分に色偽が発生する。
【0014】
又、色分離フィルタ59〜62のタップ数を増やした場合、図7(a)のような画像信号C1,C2が入力されたとき、画像信号C1,C2がそれぞれ、図7(d)のように補間されて出力される。このとき、実際に出力される画像信号C1,C2についてもその前後の画像信号によって、レベル補正が行われる。よって、実際に出力される画像信号C1,C2についてもそのレベルが変化するため、色分離信号Crの信号レベルが、図7(d)のように、エッジ部分において、図7(b)と比較して、理想値に近づいた値となり、エッジ部分の色偽を抑制することができる。しかしながら、全体的に、理想値と異なった信号レベルとなるため、全体的に色偽が発生することとなる。
【0015】
このように水平方向の各画像信号を補間した場合、タップ数の少ない色分離フィルタを用いると、エッジ部分の色分離信号の信号レベルが理想値と大きく離れた信号となり、又、タップ数の多い色分離フィルタを求めると色分離信号の信号レベルが全体的に理想値と異なった値となり、それぞれ、色偽が発生する。
【0016】
又、垂直方向について考えると、CCDから直接与えられる画像信号とラインメモリ52から与えられる画像信号とが、加算回路53及び乗算回路54によって平均化されることで線形補間される。よって、減算回路64より色分離信号Crが出力されるとき、減算回路66より線形補間された色分離信号Cbが出力されることになる。今、図8(a)のように、2行目と3行目の間の位置Bにエッジが生じているものとすると、図8(a)のような信号レベルの1行目と3行目の色分離信号Crと2行目と4行目の色分離信号Cbが減算回路64より出力される。
【0017】
このとき、図8(b)のように、減算回路66から出力される2行目の色分離信号Crの信号レベルが1行目と3行目の色分離信号Crの信号レベルを線形補間した値に等しくなるとともに、又、減算回路66から出力される3行目の色分離信号Cbの信号レベルが2行目と4行目の色分離信号Cbの信号レベルを線形補間した値に等しくなる。今、位置Bにエッジが生じているので、色分離信号Cr,Cbの信号レベルの理想値は、図8(c)のようになる。よって、図8(b)、(c)を比較して明らかなように、2行目の色分離信号Crと3行目の色分離信号Cbがそれぞれ、理想値に比べて、その信号レベルが大きくなるか又は小さくなる。よって、このように線形補間が成されたとき、垂直方向においても色偽が発生する。
【0018】
このような問題を鑑みて、本発明は、各種の色フィルタに応じた画像信号を補間して得たとき、これらの画像信号を用いて色信号を生成した際、色偽の発生を抑制することのできる色分離回路及びそれを備えた色信号処理装置を提供することを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の色分離回路は、水平方向に異なる2種類の色フィルタが交互に設けられた画素を有する固体撮像装置より画像信号が入力されるとともに、該画像信号の色分離を行う色分離回路において、前記固体撮像装置より入力される画像信号の信号レベルの変化を検知して、前記固体撮像装置によって撮像された被写体の輪郭部分を検出する輪郭検出部と、2種類の前記色フィルタのうち一方の色フィルタが設けられた画素に水平方向において近接した複数の画素より出力される画像信号に基づいて、前記一方の色フィルタが設けられた画素より出力される画像信号を補正する第1少タップ色分離フィルタと、前記一方の色フィルタが設けられた画素の位置における他方の色フィルタによる画像信号を、前記一方の色フィルタが設けられた画素に水平方向において近接した複数の画素より出力される画像信号に基づいて補間することで生成する第2少タップ色分離フィルタと、そのタップ数が前記第1少タップ色分離フィルタより多く、2種類の前記色フィルタのうち一方の色フィルタが設けられた画素に水平方向において近接した複数の画素より出力される画像信号に基づいて、前記一方の色フィルタが設けられた画素より出力される画像信号を補正する第1多タップ色分離フィルタと、そのタップ数が前記第2少タップ色分離フィルタより多く、前記一方の色フィルタが設けられた画素の位置における他方の色フィルタによる画像信号を、前記一方の色フィルタが設けられた画素に水平方向において近接した複数の画素より出力される画像信号に基づいて補間することで生成する第2多タップ色分離フィルタと、前記輪郭検出部で検出された輪郭部分を表す画像信号を補正する際は第1及び第2多タップ色分離フィルタから出力される信号を選択して第1及び第2信号とするとともに、前記輪郭部分以外の部分を表す画像信号を補正する際は第1及び第2少タップ色分離フィルタを選択して第1及び第2信号とする選択部と、前記選択部より出力される第1及び第2信号を加算して輝度信号を出力する加算部と、前記選択部より出力される第1及び第2信号を減算して色分離信号を出力する減算部と、を有し、前記輪郭検出部と、前記第1及び第2少タップ色分離フィルタと、前記第1及び第2多タップ色分離フィルタと、前記選択部と、前記加算部と、前記減算部とで、水平方向の色偽を抑制する水平方向色偽抑制部が構成されることを特徴とする。
【0025】
このような色分離回路において、固体撮像装置より2種類の画像信号X,Yが水平方向に並んだ画素に応じて入力されるものとする。画像信号Xを出力する画素の色分離信号を生成するとき、第1少タップ色分離フィルタ及び第1多タップ色分離フィルタでは、この画像信号Xを含むその前後に入力される近接したそれぞれのタップ数に応じた複数の画像信号Xを用いて画像信号Xが補正される。又、このとき、第2少タップ色分離フィルタ及び第2多タップ色分離フィルタでは、この画像信号Xの前後に入力される近接したそれぞれのタップ数に応じた複数の画像信号Yを用いて画像信号Yが補間生成される。このようにして補正又は補間された画像信号X,Yが、加算部及び減算部によって、それぞれ、輝度信号X+Y及び色分離信号X−Yとされる。
【0026】
そして、エッジ部分における画像信号を多タップ色分離フィルタで補正又は補間を行うことによって、色分離信号X−Yの信号レベルを理想値に近づけることができる。又、エッジ部分以外の部分における画像信号を少タップ色分離フィルタで補正又は補間を行うことによって、色分離信号の信号レベルを理想値に近づけることができる。よって、色偽の発生を抑制することができる。
【0027】
このような色分離回路において、請求項2に記載するように、前記水平方向色偽抑制部を3つ設けるとともに、この3つの水平方向色偽抑制部をそれぞれ第1、第2及び第3水平方向色偽抑制部としたとき、該第1、第2及び第3水平方向色偽抑制部に、前記固体撮像装置において垂直方向に隣接した画素より出力される3つの画像信号がそれぞれ、入力され、前記第2水平方向色偽抑制部の前記減算部より出力される色分離信号を第1色分離信号として出力し、前記第1、第2及び第3水平方向色偽抑制部のそれぞれの前記加算部より輝度信号の信号レベルに基づいて、前記第1及び第3水平方向色偽抑制部の前記減算部より出力される色分離信号を補正することによって第2色分離信号として出力するようにしても構わない。
【0028】
このような色分離回路に画像信号を出力する固体撮像装置において、2種類の画像信号X,Yを水平方向に並んだ画素に応じて交互に出力する行と2種類の画像信号Z,Wを水平方向に並んだ画素に応じて交互に出力する行とが交互に配されているものとする。第1及び第3水平方向色偽抑制部に画像信号Z,Wが交互に入力されるとともに、第2水平方向色偽抑制部に画像信号X,Yが交互に入力されるとき、第1、第2及び第3水平方向色偽抑制部の減算部よりそれぞれ色分離信号Z−W,X−Y,Z−Wが出力され、色分離信号X−Yが第1色分離信号とされる。又、第1及び第3水平方向色偽抑制部から出力される色分離信号Z−Wと第1、第2及び第3水平方向色偽抑制部それぞれの減算部より出力される輝度信号Z+W,X+Y,Z+Yとの信号レベルに基づいて、第2色分離信号Z−Wが生成される。
【0029】
又、このような色分離回路において、請求項3に記載するように、前記第1及び第3水平方向色偽抑制部の前記減算部より出力される色分離信号を加算する加算回路と、前記第1、第2及び第3水平方向色偽抑制部の前記加算部より出力される前記輝度信号の信号レベルに基づいた値を、前記加算回路からの信号に乗算することによって前記第2色分離信号を生成する乗算回路と、を設けても良い。更に、請求項4に記載するように、前記第1、第2及び第3水平方向色偽抑制部の前記加算部より出力される前記輝度信号の信号レベルをそれぞれ、YLa、YLb、YLcとしたとき、前記前記乗算回路で乗算する値Kが、K=YLb/(YLa+YLc)としても構わない。
【0030】
請求項5に記載の色信号処理装置は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の色分離回路を有し、該色分離回路より出力される信号に基づいて色信号を生成することを特徴とする。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態の色信号処理装置の内部構成を示すブロック図である。図2は、図1の色信号処理装置に設けられた色分離回路の内部構成を示すブロック図である。
【0032】
<色信号処理装置の構成及び動作>
図1の色信号処理装置は、CCDから出力される画像信号を格納されるラインメモリ1と、ラインメモリ1から出力される画像信号が格納されるラインメモリ2と、CCD及びラインメモリ1,2から垂直方向に隣接した3つの画像信号が与えられる色分離回路3と、色分離回路3から出力される輝度信号YL及び色分離信号Cr,Cbより原色信号R,G,Bを生成するRGBマトリクス回路4と、RGBマトリクス回路4より出力される原色信号R,G,Bより色差信号R−Y,B−Yを生成する色差マトリクス回路5と、色差マトリクス回路5より出力される色差信号R−Y,B−Yより色信号を生成するカラーエンコーダ6とを有する。
【0033】
このような構成の色信号処理装置は、まず、CCDから画像信号が出力されると、この画像信号がラインメモリ1及び色分離回路3に入力される。そして、ラインメモリ1では、1行分の水平方向に隣接した画像信号が格納される。又、ラインメモリ1から出力される画像信号が、ラインメモリ2及び色分離回路3に入力され、ラインメモリ2においても、1行分の水平方向に隣接した画像信号が格納される。ラインメモリ2から出力される画像信号は、ラインメモリ1と同様、色分離回路3に入力される。このようにして、1行目の画像信号がラインメモリ2より、2行目の画像信号がラインメモリ1より、3行目の画像信号がCCDより入力されることで、垂直方向に隣接した3つの画像信号が色分離回路3に入力される。
【0034】
今、例えば、上述したように、CCDに設けられたカラーフィルタM,G,C,Yが、図3(a)のように配されるとともに、図3(b)のように、CCDから画像信号C1〜C4が出力されるものとする。このとき、色分離回路3では、CCD及びラインメモリ1,2より与えられる複数の画像信号に基づいて、各画像信号毎に、輝度信号YL及び色分離信号Cr,Cbを生成する。このように各画像信号毎に、輝度信号YL及び色分離信号Cr,Cbが生成されると、RGBマトリクス回路4において、この輝度信号YL及び色分離信号Cr,Cbに基づいて原色信号R,G,Bが生成される。
【0035】
そして、色差マトリクス回路5において、この原色信号R,G,Bに基づいて色差信号R−Y,B−Y(尚、R−Y=0.70R−0.59G−0.11B、B−Y=−0.30R−0.59G+0.89B)が生成され、この色差信号R−Y,B−Yがカラーエンコーダ11に与えられると、この色差信号が互いに90°位相差のある信号とされた後に混合することによって色信号が生成されて、出力される。このような色信号処理装置における色分離回路の構成及び動作について、以下に説明する。
【0036】
<色分離回路の構成>
図2のように、色分離回路4は、CCDより画像信号が入力されるエッジ検出フィルタ7a及び色分離フィルタ8a,9a,10a,11aと、ラインメモリ1より画像信号が入力されるエッジ検出フィルタ7b及び色分離フィルタ8b,9b,10b,11bと、ラインメモリ2より画像信号が入力されるエッジ検出フィルタ7c及び色分離フィルタ8c,9c,10c,11cとが設けられている。そして、色分離フィルタ8a,10a,8b,10b,8c,10cがタップ数の少ない少タップフィルタであるとともに、色分離フィルタ9a,11a,9b,11b,9c,11cがタップ数の多い多タップフィルタである。
【0037】
色分離回路4は、更に、色分離フィルタ8a,9aからの画像信号を選択するスイッチSW1a及び色分離フィルタ10a,11aからの画像信号を選択するスイッチSW2aを有する選択回路12aと、色分離フィルタ8b,9bからの画像信号を選択するスイッチSW1b及び色分離フィルタ10b,11bからの画像信号を選択するスイッチSW2bを有する選択回路12bと、色分離フィルタ8c,9cからの画像信号を選択するスイッチSW1c及び色分離フィルタ10c,11cからの画像信号を選択するスイッチSW2cを有する選択回路12cとが設けられ、少タップフィルタから得られる画像信号と多タップフィルタから得られる画像信号とが選択される。選択回路12a〜12cは、それぞれ、エッジ検出フィルタ7a〜7cより与えられる信号によって選択動作が制御される。
【0038】
そして、選択回路12aで選択された2つの画像信号が加算回路13aで加算されるとともに減算回路14aで減算され、選択回路12bで選択された2つの画像信号が加算回路13bで加算されるとともに減算回路14bで減算され、選択回路12cで選択された2つの画像信号が加算回路13cで加算されるとともに減算回路14cで減算される。そして、加算回路13a,13b,13cからの出力が垂直方向のローパスフィルタ(以下、「VLPF」とする)15及び比率演算回路16に与えられる。又、減算回路14a,14cからの出力が加算回路17で加算された後、乗算回路18で比率演算回路16で求められた比率が乗算される。そして、VLPF15より輝度信号YLが出力されるとともに、減算回路14b及び乗算回路18のいずれか一方より色分離信号Crが出力され、又、減算回路14b及び乗算回路18のいずれか一方より色分離信号Cbが出力される。
【0039】
このような構成の色分離回路の動作について、水平方向及び垂直方向それぞれにおいて発生する色偽を抑制するための動作に基づいて、以下に説明する。
【0040】
<水平方向の色偽抑制>
水平方向の色偽の抑制は、エッジ検出フィルタ7a〜7c、色分離フィルタ8a〜8c,9a〜9c,10a〜10c,11a〜11c及び選択回路12a〜12cで行われる。ここで、色分離フィルタ8a〜8cのフィルタ特性を(0,x1,0)とするとともに、色分離フィルタ10a〜10cのフィルタ特性を(x2,0,x3)とする。尚、x1〜x3は、x1=x2+x3の関係をみたす値である。又、色分離フィルタ9a〜9cのフィルタ特性を(0,y1,0,y2,0,y3,0)とするとともに、色分離フィルタ10a〜10cのフィルタ特性を(y4,0,y5,0,y6,0,y7)とする。尚、y1〜y7は、y1+y2+y3=y4+y5+y6+y7の関係を満たす値である。
【0041】
尚、エッジ検出フィルタ7a〜7c、色分離フィルタ8a〜8c,9a〜9c,10a〜10c,11a〜11c及び選択回路12a〜12cは、それぞれ、同一の動作を行うので、エッジ検出フィルタ7a、色分離フィルタ8a,9a,10a,11a及び選択回路12aの動作を代表して説明する。
【0042】
図7(a)と同様、4列目と5列目の間の位置Aにエッジの生じた図4(a)のような画像信号Cx,Cyが、CCDよりエッジフィルタ7a及び色分離フィルタ8a〜11aに与えられるものとする。尚、1列目から4列目までの画像信号Cx,Cyの信号レベルがともにcaであるとともに、5列目から8列目までの画像信号Cx,Cyの信号レベルがともにcbであるものとする。又、1列目以前の画像信号の信号レベルはca、8列目以降の画像信号の信号レベルはcbであるものとする。又、画像信号Cxが画像信号C1,C2,C3,C4であるとき、それぞれ、画像信号Cyが画像信号C2,C1,C4,C3となる。
【0043】
1.エッジ検出フィルタ
まず、エッジ検出フィルタ7aにおいて、交互に入力される画像信号Cx,Cyから位置Aのエッジ部分を検出して、選択回路12aに制御信号を与える。このとき、エッジ検出フィルタ7aのフィルタ特性を(−1,2−1)とすることによって、連続的に入力される画像信号のエッジ部分が抽出される。即ち、それぞれ信号レベルがc1,c2,c3となる3つの画像信号がエッジ検出フィルタ7aに入力されると、c1×(-1)+c2×2+c3×(-1)といった演算が行われる。よって、図4(a)のように信号レベルが変化する画像信号Cx,Cyが与えられたとき、エッジ検出フィルタ7aにおける演算結果が図4(b)のようになる。
【0044】
即ち、1〜3列目では、ca×(-1)+ca×2+ca×(-1)=0、4列目では、ca×(-1)+ca×2+cb×(-1)=ca−cb、5列目では、ca×(-1)+cb×2+cb×(-1)=cb−ca、6〜8列目では、cb×(-1)+cb×2+cb×(-1)=0となる。このように、位置Aのエッジ部分において、演算結果が0以外の値となる。このエッジ検出フィルタ7aにおける演算結果E1が-Th≦E1≦Thであるか否か判別される。そして、E1<-Th又はE1>Thのとき、エッジ部分が存在すると判断される。尚、図4の例の場合、ca−cb>Thとすると、4列目及び5列目においてエッジ部分が存在すると判断される。
【0045】
2.少タップの色分離フィルタ
色分離フィルタ8aに、それぞれ信号レベルがc1,c2,c3となる3つの画像信号が入力されると、c1×0+c2×x1+c3×0=c2×x1といった演算が行われる。又、色分離フィルタ10aに、色分離フィルタ8aと同様、信号レベルがc1,c2,c3となる3つの画像信号が入力されると、c1×x2+c2×0+c3×x3=c1×x2+c3×x3といった演算が行われる。よって、図4(a)のように信号レベルが変化する画像信号Cx,Cyが与えられたとき、色分離フィルタ8a,10aにおける演算結果が図4(c)のようになる。
【0046】
即ち、色分離フィルタ8aから、1〜4列目では、信号レベルca×x1の画像信号Cx,Cyが、5〜8列目では、信号レベルcb×x1の画像信号Cx,Cyが出力される。又、色分離フィルタ10aから、1〜3列目では、信号レベルがca×(x2+x3)=ca×x1の画像信号Cx,Cyが、4列目では、信号レベルがca×x2+cb×x3の画像信号Cxが、5列目では、信号レベルがca×x2+cb×x3の画像信号Cyが、6〜8列目では、信号レベルがcb×(x2+x3)=cb×x1の画像信号Cx,Cyが出力される。
【0047】
よって、選択回路12aに与えられる画像信号Cx,Cyの信号レベルが、図4(d)のようになる。即ち、1〜3列目では、画像信号Cx,Cyの信号レベルがともにca×x1であるとともに、6〜8列目では、画像信号Cx,Cyの信号レベルがともにcb×x1である。又、4列目では、画像信号Cxの信号レベルがca×x2+cb×x3となり、画像信号Cyの信号レベルがca×x1となる。又、5列目では、画像信号Cxの信号レベルがca×x1となり、画像信号Cyの信号レベルがca×x2+cb×x3となる。
【0048】
3.多タップの色分離フィルタ
色分離フィルタ9aに、それぞれ信号レベルがc1,c2,c3,c4,c5,c6,c7となる7つの画像信号が入力されると、c1×0+c2×y1+c3×0+c4×y2+c5×0+c6×y3+c7×0=c2×y1+c4×y2+c6×y3といった演算が行われる。又、色分離フィルタ11aに、色分離フィルタ9aと同様、信号レベルがc1,c2,c3,c4,c5,c6,c7となる7つの画像信号が入力されると、c1×y4+c2×0+c3×y5+c4×0+c5×y6+c6×0+c7×y7=c1×y4+c3×y5+c5×y6+c7×y7といった演算が行われる。よって、図4(a)のように信号レベルが変化する画像信号Cx,Cyが与えられたとき、色分離フィルタ9a,11aにおける演算結果が図4(e)のようになる。
【0049】
即ち、色分離フィルタ9aから、1、2列目では、信号レベルca×(y1+y2+y3)の画像信号Cx,Cyが、3、4列目では、信号レベルca×(y1+y2)+cb×y3の画像信号Cx,Cyが、5、6列目では、信号レベルca×y1+cb×(y2+y3)の画像信号Cx,Cyが、7、8列目では、信号レベルcb×(y1+y2+y3)の画像信号Cx,Cyが出力される。又、色分離フィルタ11aから、1列目では、信号レベルがca×(y4+y5+y6+y7)=ca×(y1+y2+y3)の画像信号Cyが、2、3列目では、信号レベルがca×(y4+y5+y6)+cb×y7の画像信号Cx,Cyが、4、5列目では、信号レベルがca×(y4+y5)+cb×(y6+y7)の画像信号Cx,Cyが、6、7列目では、信号レベルがca×y4+cb×(y5+y6+y7)の画像信号Cx,Cyが、8列目では、信号レベルがcb×(y4+y5+y6+y7)=cb×(y1+y2+y3)の画像信号Cxが出力される。
【0050】
よって、選択回路12aに与えられる画像信号Cx,Cyの信号レベルが、図4(f)のようになる。即ち、1列目では、画像信号Cx,Cyの信号レベルがともにca×(y1+y2+y3)であるとともに、8列目では、画像信号Cx,Cyの信号レベルがともにcb×(y1+y2+y3)である。又、2列目では、画像信号Cxの信号レベルがca×(y4+y5+y6)+cb×y7となり、画像信号Cyの信号レベルがca×(y1+y2+y3)となる。3列目では、画像信号Cxの信号レベルがca×(y1+y2)+cb×y3となり、画像信号Cyの信号レベルがca×(y4+y5+y6)+cb×y7となる。
【0051】
又、4列目では、画像信号Cxの信号レベルがca×(y4+y5)+cb×(y6+y7)となり、画像信号Cyの信号レベルがca×(y1+y2)+cb×y3となる。5列目では、画像信号Cxの信号レベルがca×y1+cb×(y2+y3)となり、画像信号Cyの信号レベルがca×(y4+y5)+cb×(y6+y7)となる。6列目では、画像信号Cxの信号レベルがca×y4+cb×(y5+y6+y7)となり、画像信号Cyの信号レベルがca×y1+cb×(y2+y3)となる。7列目では、画像信号Cxの信号レベルがcb×(y1+y2+y3)となり、画像信号Cyの信号レベルがとca×y4+cb×(y5+y6+y7)なる。
【0052】
4.選択回路
選択回路12aでは、エッジ検出フィルタ7aから与えられる制御信号によって、少タップの色分離フィルタ8a,10aからの出力と多タップの色分離フィルタ9a,11aの出力のいずれかが選択され、加算回路13a及び減算回路14aに出力される。このとき、選択回路12aは、エッジ部分において多タップの色分離フィルタ9a,11aが選択されるように、エッジ検出フィルタ7aからの制御信号によって制御される。即ち、エッジ検出フィルタ7aでの演算結果E1が-Th≦E1≦Thのとき、スイッチSW1a,SW2aの接点aが接続されて、少タップの色分離フィルタ8a,10aからの出力が選択され、又、エッジ検出フィルタ7aでの演算結果E1がE1≦-Th又はE1≧Thのとき、スイッチSW1a,SW2aの接点bが接続されて、多タップの色分離フィルタ9a,11aからの出力が選択される。
【0053】
よって、エッジ検出フィルタ7aにおいて、図4(b)のような演算結果が得られるとき、1〜3列目及び6〜8列目において、少タップの色分離フィルタ8a,10aから出力される図4(d)のような画像信号Cx,Cyが選択されるとともに、4、5列目において、多タップの色分離フィルタ9a,11aから出力される図4(f)のような画像信号Cx,Cyが選択される。
【0054】
よって、選択回路12aより、図4(g)のような画像信号Cx,Cyが加算回路13a及び減算回路14aに出力される。即ち、1〜3列目では、画像信号Cx,Cyの信号レベルがともにca×x1であるとともに、6〜8列目では、画像信号Cx,Cyの信号レベルがともにcb×x1である。又、4列目では、画像信号Cxの信号レベルがca×(y4+y5)+cb×(y6+y7)となり、画像信号Cyの信号レベルがca×(y1+y2)+cb×y3となる。5列目では、画像信号Cxの信号レベルがca×y1+cb×(y2+y3)となり、画像信号Cyの信号レベルがca×(y4+y5)+cb×(y6+y7)となる。
【0055】
このように選択回路12aより画像信号Cx,Cyが出力されると、画像信号Cxが画像信号C1,C2であるとき、加算回路13aよりC1+C2となる輝度信号YLaが、減算回路14aよりC2−C1となる色分離信号Craが出力される。又、画像信号Cxが画像信号C3,C4であるとき、加算回路13aよりC3+C4となる輝度信号YLaが、減算回路14aよりC4−C3となる色分離信号Cbaが出力される。
【0056】
よって、今、図4(g)のような画像信号Cx,Cyが選択回路12aより出力されたとき、減算回路14aから出力されるは、図4(h)のようになる。即ち、色分離信号Cra又は色分離信号Cbaの信号レベルが、1〜3列目及び6〜8列目では0となるとともに、4列目では|[ca×(y4+y5)+cb×(y6+y7)]−[ca×(y1+y2)+cb×y3]|、5列目では|(ca×y1+cb×(y2+y3))−[ca×(y4+y5)+cb×(y6+y7)]|となる。
【0057】
尚、エッジ検出フィルタ7b,7c、色分離フィルタ8b,8c,9b,9c,10b,10c,11b,11c及び選択回路12b,12cは、エッジ検出フィルタ7a、上述した色分離フィルタ8a,9a,10a,11a及び選択回路12aと同様の動作を行う。そして、選択回路12b,12cから画像信号C1,C2が出力されると、加算回路13b,13cよりC1+C2となる輝度信号YLb,YLcがそれぞれ出力されるとともに、減算回路14b,14cよりC2−C1となる色分離信号Crb,Crcがそれぞれ出力される。又、選択回路12b,12cから画像信号C3,C4で出力されると、加算回路13b,13cよりC3+C4となる輝度信号YLb,YLcが、減算回路14b,14cよりC4−C3となる色分離信号Cbb,Cbcが出力される。
【0058】
このように、エッジ部分では、理想値との差の小さい多タップの色分離フィルタの出力を、それ以外の部分では、理想値とほぼ同等の少タップの色分離フィルタを用いることによって、色分離信号Cr,Cbの信号レベルを理想値に近づけることができる。よって、水平方向の色偽を抑制することができる。尚、色分離フィルタのタップ数は、上述したように3タップ及び7タップと限定されるものではなく、多タップの色分離フィルタのタップ数が少タップの色分離フィルタのタップ数より多くなるものであればよい。
【0059】
<垂直方向の色偽抑制>
垂直方向の色偽の抑制は、VLPF15、比率演算回路16、加算回路17及び乗算回路18で行われる。上述したように加算回路13a,13b,13cより出力された輝度信号YLa,YLb,YLcは、VLPF15及び比率演算回路16に送出される。このとき、輝度信号YLaがC1+C2となる信号であるとき、輝度信号YLbがC3+C4となる信号であるとともに輝度信号YLcがC1+C2となる信号である。又、輝度信号YLaがC3+C4となる信号であるとき、輝度信号YLbがC1+C2となる信号であるとともに輝度信号YLcがC3+C4となる信号である。
【0060】
又、C1+C2となる輝度信号YLaが加算回路13aより出力されるとき、減算回路14a,14cより色分離信号Cra,Crcがそれぞれ出力されるとともに、減算回路14bより色分離信号Cbbが出力される。逆に、C3+C4となる輝度信号YLaが加算回路13aより出力されるとき、減算回路14a,14cより色分離信号Cba,Cbcがそれぞれ出力されるとともに、減算回路14bより色分離信号Crbが出力される。
【0061】
このとき、VLPF15では、輝度信号YLa,YLb,YLcより輝度信号YLを生成して出力する。この輝度信号YLは、YL=2×(1−α)YLb+α(YLa+YLc)(α:0<α<1)を行うことによって生成される。このようにして生成された輝度信号YLが、上述したようにRGBマトリクス回路4に与えられる。又、比率演算回路16では、輝度信号YLa,YLb,YLcより、乗算回路18に与えて加算回路17より出力される信号に乗算する比率βが生成される。輝度信号YLa,YLb,YLcの信号レベルをYla,YLb,YLcとしたとき、この比率βは、β=YLb/(YLa+YLc)を行うことによって生成される。
【0062】
又、以下に、輝度信号YLと同様、RGBマトリクス回路に出力される色分離信号Cr,Cbについて、図5を参照して説明する。今、図8(a)と同様、図5(a)のように、2行目と3行目の間の位置Bにエッジの生じているものとする。このとき、減算回路14a,14b,14cによって、1行目と3行目の画像信号より色分離信号Czが生成されるとともに、2行目と4行目の画像信号より色分離信号Cwが生成されるものとする。尚、色分離信号Czが色分離信号Crであるとき、色分離信号Cwが色分離信号Cbとなり、又、色分離信号Czが色分離信号Cbであるとき、色分離信号Cwが色分離信号Crとなる。
【0063】
図5(a)のようなエッジ部分を有する画像信号が色分離回路3に与えられると、図5(b)のように、1行目又は3行目の画像信号がラインメモリ1から入力されたときは減算回路14bより画像色分離信号Czが出力されるとともに、2行目又は4行目の画像信号がラインメモリ1から入力されたときは減算回路14bより画像色分離信号Cwが出力される。
【0064】
今、ラインメモリ1より図5(a)の1行目の画像信号が、ラインメモリ2より図5(a)の2行目の画像信号が、CCDより図5(a)の3行目の画像信号が、それぞれ色分離回路3に入力されたときの加算回路17及び乗算回路18の動作について説明する。このとき、減算回路14a,14cより色分離信号Czが出力されるとともに減算回路14bより色分離信号Cwが出力される。尚、減算回路14aより出力される色分離信号Czを色分離信号Czaとするとともに、減算回路14aより出力される色分離信号Czを色分離信号Czbとする。
【0065】
このとき、色分離信号Cza,Czbの信号レベルをCza,Czbとすると、加算回路17で、減算回路14a,14cより出力される色分離信号Cza,Czbが加算されてCza+Czbとなる信号が乗算回路18に与えられる。そして、加算回路13a,13b,13cよりVLPF15に入力される信号の信号レベルが、それぞれ、図5(b)のようにYa,Ya,Ybとなるとき、比率演算回路16より乗算回路17に、Ya/(Ya+Yb)となる比率βが与えられる。よって、図5(c)のように、乗算回路18より(Cza+Czb)×Ya/(Ya+Yb)となる色分離信号Czが出力される。
【0066】
又、同様に、ラインメモリ1より図5(a)の2行目の画像信号が、ラインメモリ2より図5(a)の3行目の画像信号が、CCDより図5(a)の4行目の画像信号が色分離回路3に入力されたときの加算回路17及び乗算回路18の動作について説明する。このとき、減算回路14a,14cより色分離信号Cwが出力されるとともに減算回路14bより色分離信号Czが出力される。尚、減算回路14aより出力される色分離信号Cwを色分離信号Cwaとするとともに、減算回路14aより出力される色分離信号Cwを色分離信号Cwbとする。
【0067】
このとき、色分離信号Cwa,Cwbの信号レベルをCwa,Cwbとすると、加算回路17で、減算回路14a,14cより出力される色分離信号Cwa,Cwbが加算されてCwa+Cwbとなる信号が乗算回路18に与えられる。そして、加算回路13a,13b,13cよりVLPF15に入力される信号の信号レベルが図5(b)のように、それぞれ、Ya,Yb,Ybとなるとき、比率演算回路16より乗算回路17に、Yb/(Ya+Yb)となる比率βが与えられる。よって、図5(c)のように、乗算回路18より(Cwa+Cwb)×Yb/(Ya+Yb)となる色分離信号Cwが出力される。
【0068】
又、VLPF15に入力される信号の信号レベルが、図5(a)の2行目以前の画像信号の場合はYa、3行目以降の画像信号の場合はYbであるとすると、1行目の色分離信号Cwが、加算回路17より出力された信号に乗算回路18で1/2となる比率βが乗算されることによって、図5(c)のように、その信号レベルが2行目の色分離信号Cwの信号レベルと等しくなる。又、同様に、4行目の色分離信号Czが、加算回路17より出力された信号に乗算回路18で1/2となる比率βが乗算されることによって、図5(c)のように、その信号レベルが2行目の色分離信号Czの信号レベルと等しくなる。
【0069】
よって、従来のように線形補間することによって、色分離信号Cr,Cbの信号レベルを演算した場合に比べて、色分離信号Cr,Cbの信号レベルをCCDに入射される光の輝度のレベルに近づけることができるので、従来のものよりも色偽を抑制することができる。
【0070】
また、従来から色偽の発生を抑圧するためにCCD前段に使用される光学ローパスフィルタ(LPF)を、より空間周波数特性が高い光学LPFに変更しても、従来と同程度の色偽の発生に抑えることが出来る。この場合、空間周波数特性の高い光学LPFを使用することで、より高い周波数成分を有する光学像がCCD上に結像されるため、映像の解像度を向上させることが可能になる。
【0071】
【発明の効果】
本発明によると、エッジ部分を検出し、エッジ部分の画像信号については、多タップ色分離フィルタを用いて処理を行うので、少タップ色分離フィルタに比べて、エッジ部分の画像信号の色偽を抑制することができるとともに、エッジ部分以外の画像信号については、少タップ色分離フィルタを用いて処理を行うので、多タップ色分離フィルタに比べて、エッジ部分以外の画像信号の色偽を抑制することができる。このように、その撮像する部分の入射光の輝度状態に応じて、画像信号を処理する色分離フィルタを切り換えるため、色偽を抑制して、色分離処理を行うに際して、より理想状態に近い補間処理を行うことができる。又、輝度信号の信号レベルの比率に応じて、色分離信号の補間処理を行うため、線形補間によって補間処理を行う場合に比べて、色分離信号がより理想状態に近づいて、色偽を抑制することができる。さらに、より高い空間周波数特性を有する光学LPFと併用することによって、従来カメラに比べ、色偽の増加は無く解像度を向上させる効果も有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の色信号処理装置の内部構成を示すブロック図。
【図2】 図1の色信号処理装置に設けられた色分離回路の内部構成を示すブロック図。
【図3】 CCDの各画素に配されたカラーフィルタとCCDから出力される画像信号の関係を示す図。
【図4】 図2の色分離回路によって処理される信号の様子を示す図。
【図5】 図2の色分離回路によって処理される信号の様子を示す図。
【図6】 従来の色信号処理装置の内部構成を示すブロック図。
【図7】 図6の色信号処理装置に設けられた色分離回路によって処理される信号の様子を示す図。
【図8】 図6の色信号処理装置に設けられた色分離回路によって処理される信号の様子を示す図。
【符号の説明】
1,2 ラインメモリ
3 色分離回路
4 RGBマトリクス回路
5 色差マトリクス回路
6 カラーエンコーダ
7a〜7c エッジ検出フィルタ
8a〜8c,9a〜9c 色分離フィルタ
10a〜10c,11a〜11c 色分離フィルタ
12a〜12c 選択回路
13a〜13c 加算回路
14a〜14c 減算回路
15 VLPF
16 比率演算回路
17 加算回路
18 乗算回路
Claims (5)
- 水平方向に異なる2種類の色フィルタが交互に設けられた画素を有する固体撮像装置より画像信号が入力されるとともに、該画像信号の色分離を行う色分離回路において、
前記固体撮像装置より入力される画像信号の信号レベルの変化を検知して、前記固体撮像装置によって撮像された被写体の輪郭部分を検出する輪郭検出部と、
2種類の前記色フィルタのうち一方の色フィルタが設けられた画素に水平方向において近接した複数の画素より出力される画像信号に基づいて、前記一方の色フィルタが設けられた画素より出力される画像信号を補正する第1少タップ色分離フィルタと、
前記一方の色フィルタが設けられた画素の位置における他方の色フィルタによる画像信号を、前記一方の色フィルタが設けられた画素に水平方向において近接した複数の画素より出力される画像信号に基づいて補間することで生成する第2少タップ色分離フィルタと、
そのタップ数が前記第1少タップ色分離フィルタより多く、2種類の前記色フィルタのうち一方の色フィルタが設けられた画素に水平方向において近接した複数の画素より出力される画像信号に基づいて、前記一方の色フィルタが設けられた画素より出力される画像信号を補正する第1多タップ色分離フィルタと、
そのタップ数が前記第2少タップ色分離フィルタより多く、前記一方の色フィルタが設けられた画素の位置における他方の色フィルタによる画像信号を、前記一方の色フィルタが設けられた画素に水平方向において近接した複数の画素より出力される画像信号に基づいて補間することで生成する第2多タップ色分離フィルタと、
前記輪郭検出部で検出された輪郭部分を表す画像信号を補正する際は第1及び第2多タップ色分離フィルタから出力される信号を選択して第1及び第2信号とするとともに、前記輪郭部分以外の部分を表す画像信号を補正する際は第1及び第2少タップ色分離フィルタを選択して第1及び第2信号とする選択部と、
前記選択部より出力される第1及び第2信号を加算して輝度信号を出力する加算部と、
前記選択部より出力される第1及び第2信号を減算して色分離信号を出力する減算部と、を有し、
前記輪郭検出部と、前記第1及び第2少タップ色分離フィルタと、前記第1及び第2多タップ色分離フィルタと、前記選択部と、前記加算部と、前記減算部とで、水平方向の色偽を抑制する水平方向色偽抑制部が構成されることを特徴とする色分離回路。 - 前記水平方向色偽抑制部が3つ設けられるとともに、この3つの水平方向色偽抑制部をそれぞれ第1、第2及び第3水平方向色偽抑制部としたとき、
該第1、第2及び第3水平方向色偽抑制部に、前記固体撮像装置において垂直方向に隣接した画素より出力される3つの画像信号がそれぞれ、入力され、
前記第2水平方向色偽抑制部の前記減算部より出力される色分離信号を第1色分離信号として出力し、
前記第1、第2及び第3水平方向色偽抑制部のそれぞれの前記加算部より輝度信号の信号レベルに基づいて、前記第1及び第3水平方向色偽抑制部の前記減算部より出力される色分離信号を補正することによって第2色分離信号として出力することを特徴とする請求項1に記載の色分離回路。 - 前記第1及び第3水平方向色偽抑制部の前記減算部より出力される色分離信号を加算する加算回路と、
前記第1、第2及び第3水平方向色偽抑制部の前記加算部より出力される前記輝度信号の信号レベルに基づいた値を、前記加算回路からの信号に乗算することによって前記第2色分離信号を生成する乗算回路と、
を有することを特徴とする請求項2に記載の色分離回路。 - 前記第1、第2及び第3水平方向色偽抑制部の前記加算部より出力される前記輝度信号の信号レベルをそれぞれ、YLa、YLb、YLcとしたとき、
前記前記乗算回路で乗算する値Kが、K=YLb/(YLa+YLc)であることを特徴とする請 求項3に記載の色分離回路。 - 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の色分離回路を有し、該色分離回路より出力される信号に基づいて、色信号を生成することを特徴とする色信号処理装置。
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