JP3717724B2 - タンクレス便器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リム通水路をもつ便器本体を備えたタンクレス便器に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的な水洗式便器では、水道管等の給水管から供給される水をロータンク等の便器洗浄タンクに一旦貯留し、その便器洗浄タンクに貯留した水により便器本体の洗浄を行う。しかし、かかる一般的な水洗式便器では、便器洗浄タンクの設置スペースが必要とされる。このため、近年、スペースの有効活用等の観点から、便器洗浄タンクを廃止し、給水管から供給される水をリム通水路等の流路に直に導いて便器本体の洗浄を行う便器洗浄装置を便器本体に一体に備えたタンクレス便器が開発されつつある(特開平3−90723号公報)。
【0003】
かかるタンクレス便器に採用されている便器洗浄装置は、トイレ室の壁等に設置された給水管に接続管を介して接続される入水ポートと、リム通水路に接続され、水をリム通水路に吐き出して便器本体の洗浄を行う出水ポートと、入水ポートと出水ポートとの連通を開閉可能な弁手段とを有している。
また、タンクレス便器では、その便器洗浄装置の他、人体の局部を洗浄可能な局部洗浄装置等の機器が搭載されることがある。この場合には、便器洗浄装置を介して便器本体のリム通水路に給水する必要がある他、局部洗浄装置等の機器にも給水する必要がある。そこで、給水管に取り付けられた止水栓のポートと便器洗浄装置の入水ポートとを第1の接続管を介して接続すると共に、その接続管の途中部位に分岐栓を取り付け、局部洗浄装置等の機器と分岐栓とを第2の接続管を介して接続することとなる。すなわち、給水管とタンクレス便器との間には複数本の接続管が配置されることとなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記タンクレス便器では、便器洗浄装置の他に局部洗浄装置等の機器を搭載する場合、給水管との間に複数本の接続管が配置されることとなるため、それら複数本の接続管がトイレ室内に露出し、設置スペースを要するばかりか、見栄えも低下する。
【0005】
本発明は、上記した実情に鑑みてなされたものであり、設置スペースの削減及び見栄えの確保に有利なタンクレス便器を提供することを解決すべき課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のタンクレス便器は、少なくともリム通水路を有する便器本体と、該便器本体の後部に保持された便器洗浄装置とを備え、該便器洗浄装置は、便器洗浄タンクを有さず、トイレ室の壁等に設置された給水管から供給される水を少なくとも該リム通水路に導いて該便器本体の洗浄を行うタンクレス便器において、
前記便器本体の後部には分岐給水装置が取り付けられており、該分岐給水装置は、前記給水管と1本の接続管を介して接続される単一の入水路と、該入水路と連通し、前記便器洗浄装置に接続される主出水路と、該入水路と連通し、開状態で人体の局部を水で洗浄可能な局部洗浄装置に接続可能なように開閉可能な副出水路とを有することを特徴とする。
【0007】
本発明のタンクレス便器は便器本体の後部に便器洗浄装置及び分岐給水装置を備えている。この分岐給水装置では、単一の入水路に1本の接続管を介して給水管が接続され、入水路に給水管から水が供給される。その入水路は主出水路及び副出水路と連通しており、主出水路は便器洗浄装置に接続され、副出水路は開閉可能である。このため、分岐給水装置に供給された水は、主出水路から便器洗浄装置を介して便器本体のリム通水路に供給される。また、副出水路は必要がなければ閉鎖状態としておき、必要があれば開放状態とし、リム通水路以外の経路に給水のために接続される。特に、分岐給水装置の副出水路は開状態で人体の局部を水で洗浄可能な局部洗浄装置等に接続可能である。なお、単位時間当たりに流れる水量は、主出水路が副出水路よりも大きくなるようにされ得る。
【0008】
こうして、このタンクレス便器では、便器洗浄装置の他に局部洗浄装置等の機器を搭載する場合でも、給水管との間には1本の接続管が配置されるだけであり、その1本の接続管がトイレ室内に露出し、設置スペースを要さず、見栄えも向上する。
したがって、本発明のタンクレス便器は、設置スペースの削減及び見栄えの確保に有利である。
【0010】
局部洗浄装置は、タンクレス便器のトイレ室への据え付けと共に取り付けられる備え付けのタイプと、タンクレス便器がトイレ室へ据え付けられた後にタンクレス便器に後付けされるタイプとがある。前者の場合には、局部洗浄装置は、タンクレス便器の販売時にタンクレス便器に一体に搭載されている。後者の場合には、タンクレス便器の販売時に局部洗浄装置はタンクレス便器に一体に搭載されておらず、タンクレス便器のトイレ室への据え付け後に便器本体に取り付けられる。
【0011】
本発明のタンクレス便器の好ましい形態によれば、分岐給水装置における副出水路は、第1副出水路と、この第1副出水路と連通される第2副出水路とを有し得る。そして、分岐給水装置における第1副出水路の出水ポートは、備え付けの局部洗浄装置と、後付けされる局部洗浄装置とで共通している構成を採用することができる。こうであれば、分岐給水装置における第1副出水路は、備え付けタイプの局部洗浄装置にも接続可能であり、後付けされるタイプの局部洗浄装置にも接続可能であり、汎用性を高め得る。
本発明のタンクレス便器の好ましい形態によれば、分岐給水装置の第2副出水路は、位置調整可能となるように、回転又は揺動可能である構成を採用することができる。こうであれば、第2副出水路を接続する機器の位置に応じて第2副出水路を回転又は揺動させ、第2副出水路を位置調整することができるため、第2副出水路と機器との接続が容易となる。第2副出水路は、水平方向に沿って回転又は揺動する形態でも良いし、便器本体の高さ方向に沿って、また斜め方向に沿って回転又は揺動する形態でも良い。このような第2副出水路は、主出水路に対して回転可能な又は揺動可能な管体で構成することもできる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面を参照しつつ説明する。
実施形態のタンクレス便器は便器洗浄タンクを有さない水洗式便器であり、図1及び図2に示すように、便器本体1と、便器本体1の後部に配置された便器洗浄装置4とを備えている。便器本体1は、排泄物を受けるボウル部10をもつ便鉢11、ボウル部10の上部周縁に巡らされたリム通水路12を有するリム13とを備えている。ボウル部10の底には排泄物を流すトラップ部の入口にジェットノズル15が取り付けられている。なお、便座及び便蓋の図示は省略されている。
【0013】
図1に示すように、便器洗浄装置4は、便器本体1の後端に固定されたベースプレート41に保持されており、ベースプレート41の他の片側に保持された弁手段5と、弁手段5を開閉させる駆動装置9と、図示しないコントローラとを備えている。便器洗浄装置4の主要部はカバー42により隠蔽されている。
図3に示すように、弁手段5は、ジェットノズル15への給水・給水停止を行うジェット用の第1開閉弁51と、リム通水路12への給水・給水停止を行うリム用の第2開閉弁52とを一体的に並設して組み付けて形成されている。
【0014】
ジェット用の第1開閉弁51は、ピストン室60をもつハウジング部61と、ハウジング部61内に水を取り込む第1入水ポート62と、水を吐き出す第1出水ポート63と、ピストン室60に摺動可能に保持されたピストン64とを有している。第1入水ポート62及び第1出水ポート63はピストン室60に連通している。ピストン64の外周部のリング溝にはOリング64aが保持されており、ピストン64の外周部とハウジング部61の内壁面との境界域をシールしている。また、ピストン室60内にはハウジング部61とピストン64の他端面とにより圧力相殺室65が形成されている。圧力相殺室65はピストン64に形成された複数本の連通孔66を介して第1出水ポート63側に連通している。圧力相殺室65には、付勢手段としての押圧コイルバネ67が同軸的に配置されている。押圧コイルバネ67はハウジング部61とピストン64の他端面との間に介装され、ピストン64を常時一方側、つまり矢印Y1方向に付勢し、第1入水ポート62と第1出水ポート63との連通を閉じる方向に付勢力を有している。
【0015】
ピストン64の一端面にはピストン64を軸方向で移動させ得るシャフト68が同軸的に固定され、ハウジング部61から一方向に向けてつまり矢印Y1方向に向けて突出されている。シャフト68とハウジング部61との境界域はOリング69によりシールされている。
リム用の第2開閉弁52は、ジェット用の第1開閉弁51と基本的に同様の構成である。すなわち、リム用の第2開閉弁52は、ピストン室60をもつハウジング部61と、ハウジング部61内に水を取り込む第2入水ポート72と、水を吐き出す第2出水ポート73と、ピストン室60に摺動可能に保持されたピストン64とを有している。第2入水ポート72及び第2出水ポート73はピストン室60に連通している。ピストン室60内には圧力相殺室65が形成されている。圧力相殺室65には、付勢手段としての押圧コイルバネ67が同軸的に配置されている。押圧コイルバネ67はハウジング部61とピストン64の他端面との間に介装され、ピストン64を常時一方側、つまり矢印Y1方向に付勢し、第2入水ポート72と第2出水ポート73との連通を閉じる方向に付勢力を有している。
【0016】
ジェット用の第1開閉弁51の第1入水ポート62と、リム用の第2開閉弁52の第2入水ポート72とは、ハウジング部61に形成されたピストン室60の周方向に沿ったリング状の中間連通路75、連通路76を介して互いに連通している。
図1に示すように、ジェット用の第1開閉弁51には連結部材80が接続され、連結部材80の上端には、バキュームブレーカ82が接続されている。他方、リム用の第2開閉弁52にも連結部材80が接続され、連結部材80の上端にはバキュームブレーカ82が接続されている。バキュームブレーカ82は大気に連通しており、第1、2開閉弁51、52の開閉に伴う負圧化を抑え、負圧化に起因する水の逆流を防止するためのものである。
【0017】
駆動装置9は第1、2開閉弁51、52を開閉させるものであり、第1、2開閉弁51、52の上方に配置されたカム装置90と、カム装置90を作動させるモータ装置95とで形成されている。
カム装置90は、第1、2開閉弁51、52に固定され、前方に向かって両端が突出しているブラケット91と、このブラケット91に便器本体1の幅方向に沿って水平状態で回転可能に保持された回転軸92と、回転軸92に固定された第1、2カム93、94とを備えている。
【0018】
モータ装置95は、モータとモータの回転速度を減速する変速ギアとを内蔵しており、コントローラの制御により回転軸92を回転駆動できるようになっている。
駆動装置9には手動操作用のハンドル96が取り付けられており、停電時等においてカム装置90の回転軸92を手動回転できるようになっている。
【0019】
そして、便器本体1の後部における便器洗浄装置4と反対側には分岐給水装置2が取り付けられている。分岐給水装置2は、便器洗浄装置4の弁手段5への給水通路と、弁手段5以外の他の給水通路とに分岐するためのものである。図4及び図5に示すように、分岐給水装置2は、一側面に取付フランジ部22をもつ主基部21と、主基部21の取付フランジ部22に当てがわれた状態で複数個の取付ねじ23により脱着可能に取り付けられる副基部24とを備えている。なお、副基部24と取付フランジ部22との境界にはシール部材22kが設けられている。
【0020】
主基部21は、便器本体1の外側に向けて指向する単一の入水路25を形成する横方向に沿った入水管26と、単一の入水路25と背向するように便器本体1の内側に向けて指向する主出水路27を形成する横方向に沿った主出水管28と、入水路25と主出水路27との間に設けられた縦水路29と、縦水路29の下流側に繋がる第1副出水路30とを有する。第1副出水路30は、入水路25と主出水路27とを繋ぐ方向に対して交差する方向に向けて形成されており、取付フランジ部22で開口する出水ポート30aを有している。入水路25、主出水路27、縦水路29及び第1副出水路30は互いに連通している。
【0021】
また、図8に示すように、縦水路29は入水路25及び主出水路27に連通しつつ縦方向に向けて形成されており、第1副出水路30は縦水路29に連通しつつ縦水路29の端から横方向に向けて形成されている。主基部21の下部21dには、入水路25と主出水路27との間に浄化室32が形成されており、浄化室32には水浄化用の網部材であるストレーナ33が保持されている。このため、入水路25から供給された水はストレーナ33で浄化され、浄化された水が主出水路27及び第1副出水路30に送られることとなる。
【0022】
図4に示すように、分岐給水装置2の副基部24は、主基部21の取付フランジ部22に脱着可能に取り付けられる箱部35と、箱部35の上部に水平方向に沿って回転可能つまり矢印S1、S2方向に回転可能に設けられ、回転に伴って位置調整可能なL字型をなす可動管体36とを有する。また、図9に示すように、可動管体36と箱部35との間にはリング形状のシール部材35wが介在されており、両者の間をシールしている。
【0023】
図4に示すように、箱部35は、主基部21の第1副出水路30の出水ポート30aに対面して連通する中間通路37を有する。可動管体36は、中間通路37を介して主基部21の第1副出水路30に連通する第2副出水路38を有する。
こうして、分岐給水装置2の副出水路は、主基部21に形成された第1副出水路30と、副基部24に形成された回転可能な第2副出水路38とで構成されている。
【0024】
また、図2に示すように、トイレ室の壁に設けられた給水管170には止水栓172が取り付けられている。給水管170は、この止水栓172及び接続管であるフレキシブルホース174を介し、分岐給水装置2の単一の入水路25に接続されている。そして、分岐給水装置2の主出水路27は主導管18を介して弁手段5のジェット用の第1開閉弁51の第1入水ポート62に接続されている。
【0025】
こうして、分岐給水装置2の主出水路27を経た水は主導管18及び弁手段5を介し、便器本体1のリム通水路12及びジェットノズル15に供給される。
さて、かかるタンクレス便器には、図10及び図11に示すように、人体の局部を洗浄する機能をもつ局部洗浄装置が便器本体1に設けられ得る。かかる局部洗浄装置は、一般的に、ヒータを備えた温水タンクと、温水タンク内の水を局部に噴出するノズル部とを有する。タンクレス便器の形態としては、このような局部洗浄装置が搭載されない形態と、図10に示すように、トイレ室に便器本体1が据え付けられた後に局部洗浄装置100が後付けされる形態と、図11に示すように、備え付け用の局部洗浄装置110が予め備え付けられている形態とがある。
【0026】
局部洗浄装置が便器本体1に搭載されない場合には、図6に示す閉鎖用の栓部材120を用いる。栓部材120は、外周部に形成されたリング状のシール溝をもつ栓部121と、栓部121の半径方向にリング状に延設された止めフランジ部122と、シール溝に保持されたリング状のシール部材123とを有する。そして、図5に示すように、主基部21に副基部24が取り付けられた状態の分岐給水装置2において、第2副出水路38の出水ポート38aに栓部材120を脱着可能に嵌めた状態とし、封止キャップ124を一体的に着脱可能に取り付ける。これにより、分岐給水装置2は、第2副出水路38が閉鎖されて封水される。この場合には、分岐給水装置2で分岐された水は、第1副出水路30を通過するものの、第2副出水路38が栓部材120で閉鎖されているため、それ以上は流れない。そのため、分岐給水装置2に供給された水は主出水路27のみに供給されることになる。
【0027】
そして、図10に示すように、後付け用の局部洗浄装置100が便器本体1に搭載される場合、図7に示すように、中間接続管130を用いる。中間接続管130は、連結管体131と、可撓性をもつ連結ホース132とを備えている。連結ホース132の一端側は連結管体131に繋がり、他端側は後付け用の局部洗浄装置100の温水タンクの給水部に繋がる。連結管体131は、軸長方向に貫通する通路133と、外周部に形成されたリング状のシール溝に保持されたシール部材134と、半径方向に延設された止めフランジ部135とを有する。
【0028】
後付け用の局部洗浄装置100が便器本体1に搭載される場合、図5に示す封止キャップ124及び栓部材120を第2副出水路38から外した後、図10に示すように、中間接続管130の連結管体131の先端部を分岐給水装置2の第2副出水路38の出水ポート38aに脱着可能に嵌め、この状態で封止キャップ125を一体的に脱着可能に取り付ける。これにより、分岐給水装置2の第2副出水路38を局部洗浄装置100の温水タンクの給水部に接続する。このとき、分岐給水装置2の第2副出水路38は水平方向に沿ってつまり矢印S1、S2方向に沿って回転可能であるため、第2副出水路38を適宜回転させることにより第2副出水路38の出水ポート38aを位置調整すれば、第2副出水路38と後付け用の局部洗浄装置100との接続作業が容易となる。この場合には、単一の入水路25に供給された水は、主出水路27及び主導管18を経て弁手段5に送られる。また、分岐給水装置2に供給された水は、第1副出水路30、第2副出水路38、中間接続管130及び連結ホース132を経て、局部洗浄装置100の温水タンクの給水部に供給される。なお、温水タンクが温水で満たされておれば、温水タンクへの給水は停止される。
【0029】
なお、清掃等のため、人体局部洗浄装置100を便器本体1から取り外す必要が生じた場合には、封止キャップ125及び中間接続管130の連結管体131を分岐給水装置2の第2副出水路38の出水ポート38aから外し、前述した栓部材120及び封止キャップ124を第2副出水路38の出水ポート38aに取り付け、第2副出水路38を閉鎖して封水すれば良い。
【0030】
また、備え付け用の局部洗浄装置110が便器本体1に予め備え付けられている場合には、図4及び図5に示す副基部24に代え、図11に示すように、第2副基部140が取付ねじ23により分岐給水装置2の主基部21の取付フランジ部22に脱着可能に取り付けられている。第2副基部140と取付フランジ部22との境界にはシール部材22kが設けられている。第2副基部140には電磁弁140mが搭載されている。
【0031】
第2副基部140は第3副出水路142を有する。第3副出水路142は、備え付け用の局部洗浄装置110の温水タンクの給水部に中間接続管130を介して繋がる。この場合には、単一の入水路25に供給された水は、主出水路27及び主導管18を経て弁手段5に送られる。また、第2副基部140の電磁弁140mが開弁すると、分岐給水装置2に供給された水は、第1副出水路30、第3副出水路142及び中間接続管130を介し、局部洗浄装置110の温水タンクの給水部に供給される。電磁弁140mが閉弁すると、第1副出水路30及び第3副出水路142を経ての温水タンクへの給水は停止される。
【0032】
本実施形態においては、分岐給水装置2における第1副出水路30の出水ポート30aは、図10に示すように、後付けされる局部洗浄装置100にも使用することができるとともに、図11に示すように、備え付けの局部洗浄装置110にも使用することができる。つまり、出水ポート30aは、備え付けの局部洗浄装置110及び後付けされる局部洗浄装置100の双方に共通している。
【0033】
上記のように構成された便器洗浄装置4では、ボウル部10の洗浄を行おうとする使用者のスイッチ操作がない限り、第1、2開閉弁51、52が閉弁している。このため、給水管170の水はリム通水路12及びジェットノズル15には供給されない。すなわち、図3によれば、第1、2開閉弁51、52のピストン64がハウジング部61の座面61cに着座しており、第1入水ポート62と第1出水ポート63との連通が遮断されていると共に、第2入水ポート72と第2出水ポート73との連通が遮断されている。
【0034】
ボウル部10の洗浄を行うときには、使用者のスイッチ操作に基づいて、コントローラの信号によりモータ装置95が駆動し、カム装置90の回転軸92が回転駆動される。これにより、第2カム94のカム面がリム用の第2開閉弁52のシャフト68を他方向つまり矢印Y2方向(図3参照)に押圧すると、押圧コイルバネ67が弾性収縮し、ピストン64は矢印Y2方向に移動する。これによりリム用の第2開閉弁52のピストン64はハウジング部61の座面61cから離座し、第2入水ポート72と第2出水ポート73との連通を開ける。これによりリム用の第2開閉弁52は水をリム用導管16を介してリム通水路12に給水し、ボウル部10の内壁面を洗浄する。
【0035】
第2カム94がリム用の第2開閉弁52のシャフト68を下方向に押圧しなくなり、上記リム用の第2開閉弁52が閉弁した後、第1カム93のカム面がジェット用の第1開閉弁51のシャフト68を他方向つまり矢印Y2方向に押圧し、ジェット用の第1開閉弁51を開弁させる。これにより、ジェット用の第1開閉弁51のピストン64がハウジング部61の座面61cから離座し、ジェット用の第1開閉弁51の第1入水ポート62が開口し、ジェットの第1開閉弁51の第1入水ポート62と第1出水ポート63とが連通する。これにより、ジェット用の第1開閉弁51は水をジェット用導管17を介してジェットノズル15に給水し、トラップ部14に強制的にサイホン作用を生じさせる。
【0036】
次いで、第1カム93のカム面がジェット用の第1開閉弁51のシャフト68を押圧しなくなり、ジェット用の第1開閉弁51が閉弁した後、第2カム94がリム用の第2開閉弁52のシャフト68を再度押圧し、リム用の第2開閉弁52を再度開弁させる。これにより、水をリム用導管16を介してリム通水路12に給水し、ボウル部10を封水する。こうしてボウル部10の洗浄が終了する。
【0037】
以上説明したように、このタンクレス便器は、給水管170と接続される単一の入水路25と、リム通水路12に接続される主出水路27と、開閉可能な副出水路30、38、142とを有する分岐給水装置2を備えている。このため、分岐給水装置2に供給された水は、主出水路27から便器洗浄装置4を介して便器本体1のリム通水路12に供給される。また、副出水路30、38、142は、必要がなければ閉鎖状態としておき、開放状態として人体の局部を水で洗浄可能な局部洗浄装置100、110に接続可能である。
【0038】
こうして、このタンクレス便器では、便器洗浄装置4の他に局部洗浄装置100、110を搭載する場合でも、給水管170との間には1本のフレキシブルホース174が配置されるだけであり、その1本のフレキシブルホース174がトイレ室内に露出し、設置スペースを要さず、見栄えも向上する。
したがって、このタンクレス便器は、設置スペースの削減及び見栄えの確保に有利である。
【0039】
また、このタンクレス便器では、分岐給水装置2の第2副出水路38が回転可能であるため、第2副出水路38を適宜回転させれば、第2副出水路38を後付けの機器である局部洗浄装置100等に容易に接続することができる。
さらに、このタンクレス便器では、分岐給水装置2における第1副出水路30の出水ポート30aが備え付けの局部洗浄装置110と後付けされる局部洗浄装置100とで共通しているため、汎用性が確保される。
【0040】
なお、局部洗浄装置100、110が搭載されている場合、一般的に、局部洗浄装置100、110における水消費が行われた後に、便器洗浄装置4における水消費が行われる。すなわち、局部洗浄装置100、110による水の消費と便器洗浄装置4による水の消費とは時間的にずれて行われる。このため、給水管170と分岐給水装置2とを繋ぐフレキシブルホース174は1本であっても、単位時間当たりの給水量を確保すべく、分岐給水装置2の入水路25の径や接続管であるフレキシブルホース174の流路径を過剰に大きくせずとも良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係り、タンクレス便器の要部の斜視図である。
【図2】実施形態に係り、タンクレス便器の要部の背面図である。
【図3】実施形態に係り、弁手段の断面図である。
【図4】実施形態に係り、分岐給水装置を構成する主基部から副基部を外した状態の要部の分解図である。
【図5】実施形態に係り、分岐給水装置を構成する主基部に副基部を取り付けた状態の要部の平面図である。
【図6】実施形態に係り、分岐給水装置の第2副出水路を閉鎖する栓部材の半分を断面にして示す側面図である。
【図7】実施形態に係り、分岐給水装置の第2副出水路に接続される中間接続管の半分を断面にして示す側面図である。
【図8】実施形態に係り、図5におけるIIX−IIX線に沿った断面図である。
【図9】実施形態に係り、図5におけるIX−IX線に沿った断面図である。
【図10】実施形態に係り、後付けの局部洗浄装置と分岐給水装置とを接続している形態の要部を一部断面にして示す平面図である。
【図11】実施形態に係り、備え付けの局部洗浄装置と分岐給水装置とを接続している形態の要部を一部断面にして示す平面図である。
【符号の説明】
1…便器本体
170…給水管
12…リム通水路
4…便器洗浄装置
25…入水路
27…主出水路
30…第1副出水路
38…第2副出水路
142…第3副出水路
2…分岐給水装置
100…後付けされる局部洗浄装置
110…備え付けの局部洗浄装置
Claims (5)
- 少なくともリム通水路を有する便器本体と、該便器本体の後部に保持された便器洗浄装置とを備え、該便器洗浄装置は、便器洗浄タンクを有さず、トイレ室の壁等に設置された給水管から供給される水を少なくとも該リム通水路に導いて該便器本体の洗浄を行うタンクレス便器において、
前記便器本体の後部には分岐給水装置が取り付けられており、該分岐給水装置は、前記給水管と1本の接続管を介して接続される単一の入水路と、該入水路と連通し、前記便器洗浄装置に接続される主出水路と、該入水路と連通し、開状態で人体の局部を水で洗浄可能な局部洗浄装置に接続可能なように開閉可能な副出水路とを有することを特徴とするタンクレス便器。 - 分岐給水装置における副出水路は、第1副出水路と、該第1副出水路と連通される第2副出水路とを有し、
該第1副出水路の出水ポートは、備え付けの局部洗浄装置と後付けされる局部洗浄装置とで共通していることを特徴とする請求項1記載のタンクレス便器。 - 分岐給水装置における第2副出水路の出水ポートには、局部洗浄装置が便器本体に搭載されない場合には、栓部材が脱着可能に嵌められることを特徴とする請求項2記載のタンクレス便器。
- 分岐給水装置における第2副出水路の出水ポートには、さらに封止キャップが一体的に着脱可能に取り付けられることを特徴とする請求項3記載のタンクレス便器。
- 分岐給水装置の第2副出水路は回転又は揺動可能であることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項記載のタンクレス便器。
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