JP3716979B2 - 光ピックアップ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスクの記録面上に対物レンズで光を集光させて情報の記録,再生などを行う光ピックアップにかかり、特に、対物レンズをスキュー調整(傾き調整)可能な光ピックアップに関する。
【0002】
【従来の技術】
光ピックアップは、光ディスク再生装置および光ディスク記録再生装置など光ディスク装置に使用されるものであり、記録媒体である光ディスクの記録面上に光たとえばレーザー光を集光させて情報の記録,再生などを行うための装置である。
このように、光ピックアップは、光ディスクの記録面にレーザー光を照射する機能を有しているので、レーザー光に対する対物レンズの角度が適切に調整されていないと、光学的収差が生じて信号レベルの低下などの不都合を生じる。
そこで、光ピックアップを製造する際には、レーザー光に対する対物レンズの角度を高い精度で適正に調整するために、対物レンズが取付けられたアクチュエータを動かして対物レンズをスキュー調整する作業が行われる。
【0003】
図5は、スキュー調整が可能な従来の光ピックアップの正面図であり、図5(A),(B)は対物レンズをスキュー調整する際の動作を示している。
図5(A),(B)に示す光ピックアップ101では、光ピックアップ101の基台(シャーシ)にアクチュエータ保持部102が設けられ、このアクチュエータ保持部102によりアクチュエータ103が保持されている。
アクチュエータ103には、対物レンズ104が取付けられている。対物レンズ104の光軸Eとほぼ平行な方向をY方向とし、Y方向に直交して直交3方向をなす方向をX方向,Z方向とする。なお、「光軸」は、光学系の光源,レンズ,絞りなどの中心を連ねる直線のことである。
【0004】
アクチュエータ保持部102の一方面側B1には、レーザー光Lを放射するための光学系105が配置され、この光学系105は、光源106,光検出器107などを有している。
アクチュエータ103は、アクチュエータ保持部102の他方面側B2に配置され、光ディスクDに対向している。対物レンズ104は、光学系105から放射された光束(レーザー光Lの光束)を光ディスクDの記録面上に集光させる。
アクチュエータ103は、スキュー調整ねじ109などによりアクチュエータ保持部102に連結されている。スキュー調整ねじ109は、光軸Eに対してX方向とZ方向に、合計二本設けられている。
二本のスキュー調整ねじ109のねじ込み量を調整することにより、アクチュエータ103を矢印C3方向(対物レンズ104の光軸Eとほぼ平行なY方向:図では上下方向)に動かして、対物レンズ104をスキュー調整できるようになっている。スキュー調整ねじ109は、アクチュエータ保持部102の一方面側B1から他方面側B2方向に配置されて、アクチュエータベース110にねじ込まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
通常、対物レンズをスキュー調整する場合には、光ディスクを回転させるとともにレーザー光をこの光ディスクに照射しながら、アクチュエータをスキュー調整することになる。
この従来の光ピックアップ101の場合、アクチュエータ103を矢印C3方向に動かして対物レンズ104をスキュー調整するためには、アクチュエータ保持部102の一方面側B1から、ドライバ111などでスキュー調整ねじ109を回して、そのねじ込み量を調整する作業を行わなければならない。これは、スキュー調整の際には光ディスクDが回転しているので、アクチュエータ保持部102の他方面側B2から調整作業を行うことはできないからである。
したがって、アクチュエータ保持部102の一方面側B1に、スキュー調整作業のためのスペースSを確保しておく必要がある。
【0006】
ところが、アクチュエータ保持部102の一方面側B1には、光学系105を構成する各種光学部品が配置されてかなり密集した構成になっており、これに加えて、必要な光学系光路も確保しておく必要がある。
近年の技術革新により、光ディスクDに記録される情報量はますます増大しているので、光学系105の構成が複雑化するとともに、光学部品の数が増大しその全体のサイズも大きくなってきた。
このような状況のもとで、アクチュエータ103を動かして対物レンズ104をスキュー調整するためのスペースSを、光学系105の配置位置側に確保するのは困難になってきている。そして、スキュー調整用のスペースSを確保しようとすると、光学系105の設計の自由度に対して大きな制約となっていた。
しかも、スキュー調整ねじ109は通常は90度離れて二本設けられるので、スキュー調整のためのスペースSを、光学系105の配置位置側に二箇所確保する必要があり、光学系105の設計の自由度に対する制約が大きな課題になっていた。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、対物レンズが取付けられたアクチュエータを動かして対物レンズをスキュー調整するためのスペースを、光学系の配置位置側に確保しておく必要のない、光ピックアップを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、本発明にかかる光ピックアップは、テーパ部を有する移動部材が取付けられ且つ光ピックアップの基台に設けられたアクチュエータ保持部と、このアクチュエータ保持部の一方面側に配置された光学系と、この光学系から放射された光束を光ディスクの記録面上に集光させる対物レンズとこの対物レンズの傾きを制御するチルト機構とを有するとともに前記アクチュエータ保持部の他方面側に配置され、アクチュエータベースには前記移動部材の前記テーパ部に当接する当接部が形成されたアクチュエータとを具備し、前記移動部材を前記対物レンズの光軸に対してほぼ直交する方向から前進,後退の操作を行うことにより、前記アクチュエータを前記光軸と共に傾動させてスキュー調整する移動方向変更手段としている。
前記対物レンズをスキュー調整する前記移動方向変更手段は、前記光軸と直交する二方向のうちの少なくとも一方向に設けられている。
一つの好ましい具体的態様にかかる光ピックアップにおいて、前記移動部材はねじ部を有し、このねじ部を前記アクチュエータ保持部に回動自在に螺合させ、前記移動部材を前記対物レンズの前記光軸に対してほぼ直交する方向に移動可能に配置している。
前記当接部は、この当接部に前記テーパ部が面接触して滑らかに摺動するように、このテーパ部の傾斜角度に対応させてテーパ状または断面弧状に形成されているのが好ましい。
つの好ましい例として、前記テーパ部は前記アクチュエータの前記当接部を押圧する位置に配置され、前記移動部材を前記アクチュエータに対して前進,後退させたとき、前記アクチュエータは、前記当接部が前記テーパ部に押圧された状態で、このテーパ部の相対位置の変化に応じて前記アクチュエータ保持部に対して傾動し、スキュー調整するようにしている。
また、他の好ましい例として、前記テーパ部は前記アクチュエータと前記アクチュエータ保持部との間に配置され、前記移動部材を前記アクチュエータに対して前進,後退させたとき、前記アクチュエータは、前記当接部が前記テーパ部に支持された状態で、このテーパ部の相対位置の変化に応じて前記アクチュエータ保持部に対して傾動し、スキュー調整するようにしてもよい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる実施の形態の一例を、図1ないし図4を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる光ピックアップの正面図であり、図1(A),(B)は、対物レンズをスキュー調整(傾き調整)する際の動作を示している。
図1(A),(B)において、光ディスク装置(図示せず)に使用される光ピックアップ1は、移動機構(図示せず)により、記録媒体である光ディスクDの半径方向に制御されつつ移動可能になっている。
光ディスク装置において、光ディスクDが駆動モータにより回転駆動されている状態で、移動機構で所望の位置に光ピックアップ1を移動させる。そして、光ピックアップ1は、光(たとえば、レーザー光L)を対物レンズ5で光ディスクDの記録面上に集光させて、光ディスクDに対して情報の記録,再生などを行う。光ディスクDとしては、CD,CD−ROM,CD−R,CD−RW,MD,MO,DVD−ROM,DVD−RAM,DVD−R,DVD−RWなどがある。
【0010】
光ピックアップ1は、この光ピックアップ1の図示しない基台(シャーシ)に設けられたアクチュエータ保持部2と、アクチュエータ保持部2の一方面側B1に配置された光学系3と、アクチュエータ保持部2の他方面側B2に配置され、光ディスクDに対向するアクチュエータ4とを備えている。
アクチュエータ4は、光学系3から放射された光束(レーザー光Lの光束)を光ディスクDの記録面上に集光させる対物レンズ5と、対物レンズ5の傾きを制御するチルト機構25とを有している。アクチュエータ4は、光束に対する対物レンズ5の傾きを変更可能に、アクチュエータ保持部2に保持されている。
なお、対物レンズ5の光軸Eとほぼ平行な第1の方向(すなわち、光ディスクDにほぼ垂直な方向)をY方向とし、このY方向に直交して直交3方向をなす第2の方向,第3の方向をそれぞれX方向,Z方向とする。
【0011】
光ピックアップ1は、対物レンズ5をスキュー調整するために、アクチュエータ保持部2に設けられた移動方向変更手段6を備えている。
移動方向変更手段6は、光軸Eと直交する二方向(X方向,Z方向)のうちの少なくとも一方向に設けられている。図示する光ピックアップ1では、対物レンズ5のスキュー調整をより高精度にするために、移動方向変更手段6は、光軸Eと直交する二方向(X方向,Z方向)にそれぞれ設けられている。
移動方向変更手段6は、対物レンズ5の光軸Eに対してほぼ直交する方向から、テーパ部35を有する移動部材7を矢印C1方向(対物レンズ5の光軸Eに対してほぼ直交する方向、すなわち、X方向およびZ方向と水平な方向:図では横方向)に操作することにより、アクチュエータ4を矢印C2に示すように傾動させて対物レンズ5をスキュー調整できるようにしている。
【0012】
そのために、移動方向変更手段6は、移動部材7と、アクチュエータ4の対応位置に形成した当接部36とを有している。移動部材7は、テーパ部35と、ねじ部としてのおねじ部11とを有し、おねじ部11をアクチュエータ保持部2に回動自在に螺合させ、対物レンズ5の光軸Eに対してほぼ直交する方向(X方向およびZ方向)に移動可能に配置されている。そして、アクチュエータ4の当接部36に、移動部材7のテーパ部35が当接するようにしている。
光ピックアップ1の製造工程において、対物レンズ5をスキュー調整する作業は、移動部材7を操作することにより行われる。すなわち、移動部材7をX方向とZ方向に平行な面方向(矢印C1方向)に移動させると、アクチュエータ4は、当接部36に当接しているテーパ部35の相対位置の変化に応じて、移動部材7の移動方向とはほぼ直交する方向(矢印C2方向)に動する。
【0013】
アクチュエータ保持部2は、光ピックアップ1の基台に固定され、板材により一体的に折曲形成されている。アクチュエータ保持部2には、移動部材7を取付けるための立ち上がり部8が、底板部9からほぼ直角に立ち上がるように折曲形成されるとともに、X方向とZ方向に配置されている。
X方向の立ち上がり部8に形成されたねじ部としてのめねじ部10に、X方向の移動部材7のおねじ部11がねじ込まれている。同様に、Z方向の立ち上がり部8に形成されためねじ部10に、Z方向の移動部材7のおねじ部11がねじ込まれている。
アクチュエータ4は、対物レンズ5を保持しているレンズ保持部13と、レンズ保持部13を支持する支持ワイヤ14と、支持ワイヤ14を支持するワイヤ支持部材15と、ワイヤ支持部材15などが取付けられたアクチュエータベース16などとを有している。
アクチュエータベース16は、板状部材により一体的に形成されており、その上面には、ワイヤ支持部材15の他にヨーク19〜22なども固定されている。アクチュエータベース16の下部には、外周面が球面状に形成された球座部23が、一体的に突出形成されている。
アクチュエータ保持部2の底板部9には、穴の内周面を球面状に形成した球座受け部12が穿設されている。アクチュエータベース16の球座部23は、アクチュエータ保持部2の球座受け部12に摺接可能に係合している。
これにより、アクチュエータ4は、アクチュエータ保持部2にスキュー調整可能に保持されている。アクチュエータ4は、球座部23が球座受け部12に対して摺動することにより、アクチュエータ保持部2に対して角度を変えることができる。
【0014】
レンズ保持部13には、光ディスクDに対する対物レンズ5の位置や姿勢などの状態を微調整するための、フォーカスコイル17およびトラッキングコイル18が設けられている。このコイル17,18,ヨーク19〜22および永久磁石などにより、対物レンズ5の傾きを制御するためのチルト機構25が構成されている。
なお、本実施形態では、対物レンズ5がレンズ保持部13のほぼ中央部に配置された「レンズセンタータイプ」の場合を示しているが、対物レンズ5がレンズ保持部13の外側に配置された「レンズオフセットタイプ」の場合であってもよい。
また、レンズ保持部13の可動部の支持方式としては、「ワイヤサスペンション方式」の場合を図示しているが、フォーカス方向の移動はセンターシャフトに沿って上下に移動させ、トラッキング方向の移動はセンターシャフトのまわりに回転させる「軸摺動方式」の場合であってもよい。
【0015】
光学系3は、レーザー光Lを発生する半導体レーザーなど光源30と、光検出器31と、図示しない反射ミラー,レンズ,回折格子など各種光学部品とを有している。光検出器31は、光ディスクDで反射したレーザー光Lを受光し、フォーカスエラー信号,トラッキングエラー信号,再生信号などを検出する。
光学系3を構成するほとんどの光学部品と光学系光路は、アクチュエータ保持部2の一方面側B1に配置される。対物レンズ5も光学系3を構成しているが、対物レンズ5は、アクチュエータ保持部2の他方面側B2に配置されている。
【0016】
移動方向変更手段6は、テーパ部35を有する移動部材7と、移動部材7に当接する当接部36とを有している。移動部材7のおねじ部11は、アクチュエータ保持部2に形成されためねじ部10にねじ込まれており、テーパ部35は、移動部材7の先端部に円錐状に形成されている。なお、「テーパ部」は、傾斜面を有する部位のことである。
移動部材7は、対物レンズ5の光軸Eに対してほぼ直交する方向(たとえば、Y方向に直交して直交3方向をなすX方向およびZ方向)に移動可能に配置されている。
当接部36は、移動部材7のテーパ部35に当接するように、アクチュエータ4にX方向およびZ方向にそれぞれ設けられている。当接部36は、アクチュエータ4が取付けられたアクチュエータベース16の端部上面側に形成されている。
当接部36は、これにテーパ部35が面接触して滑らかに摺動するように、テーパ部35の傾斜角度に対応させてテーパ状(または、断面弧状)に形成されている。なお、当接部36に対してテーパ部35が相対的に容易に動くことができれば、当接部36はテーパ状に形成されていない場合でもよい。
【0017】
テーパ部35は、円錐状のテーパ面(傾斜面)を有して、アクチュエータ4のアクチュエータ保持部2とは反対側(すなわち、アクチュエータベース16の上面側)に配置されている。すなわち、テーパ部35は、アクチュエータ4の当接部36を押圧する位置に配置されている。
移動部材7のおねじ部11のねじ込み量を調整する操作を行なって、移動部材7をアクチュエータ4に対して矢印C1方向に前進,後退させたとき、アクチュエータ4は、その当接部36がテーパ部35に押圧された状態で、テーパ部35の相対位置の変化に応じてアクチュエータ保持部2に対して矢印C2方向に光軸Eと共に傾動し、スキュー調整するようになっている。
これにより、対物レンズ5が取付けられたアクチュエータ4を傾動させて、対物レンズ5をスキュー調整することができる。図1(A),(B)は、それぞれ当接部36がアクチュエータ保持部2の底板部9に対して傾動した場合を示している。
【0018】
アクチュエータベース16は、図示されていない別の機構により、矢印Gに示すように、常にアクチュエータ保持部2に押し付けられる構成になっている。なお、この構成は、図2ないし図5に示す光ピックアップでも同様である。
したがって、アクチュエータ4は、前記別の機構と移動部材7とにより、アクチュエータ保持部2の方向に押し付けられた状態で位置決め保持される。
光学系3から放射された光束が、対物レンズ5の光軸Eと一致するように(すなわち、光学系3から放射された光束の中心軸線に対して、対物レンズ5が直角に配置されるように)、移動部材7をX方向(および、Z方向)に位置調整することにより、対物レンズ5をスキュー調整することになる。
図1(A)に示す状態では前記光束と光軸Eが不一致であったのに対して、移動部材7のおねじ部11のねじ込み量を調整する操作を行なって、対物レンズ5をスキュー調整することにより、図1(B)に示すように、光束と光軸Eを精度良く一致させることができる。その結果、レーザー光Lが対物レンズ5を通るときに光学的収差が生じることがなく、信号レベルの低下を防止することができる。
【0019】
図2は、第1の実施形態の変形例にかかる光ピックアップ1aの正面図であり、図2(A),(B)は、対物レンズ5をスキュー調整する際の動作を示している。
なお、図2ないし図4に示す実施形態および変形例において、図1に示す実施形態と同一または相当部分には同一符号を付してその説明を省略し、異なる部分のみ説明する。
図2(A),(B)に示す光ピックアップ1aでは、アクチュエータ保持部2の底板部9に、移動部材7を矢印C1方向に移動可能に配置するための凹部40が形成されている。移動部材7の先端側に形成されたテーパ部35は、アクチュエータ4とアクチュエータ保持部2との間に配置されている。
【0020】
動方向変更手段6aは、アクチュエータ4とアクチュエータ保持部2の少なくとも一方に設けられている。
移動方向変更手段6aは、光軸Eと直交する二方向(X方向,Z方向)のうちの少なくとも一方向に設けられている。図示する光ピックアップ1aでは、対物レンズ5のスキュー調整をより高精度にするために、移動方向変更手段6aは、光軸Eと直交する二方向(X方向,Z方向)にそれぞれ設けられている。
移動方向変更手段6aは、対物レンズ5の光軸Eに対してほぼ直交する方向から移動部材7を矢印C1方向に操作することにより、アクチュエータ4を光軸Eと共に傾動させて(矢印C2方向)対物レンズ5をスキュー調整する機能を有している。
そのために、移動方向変更手段6aは、移動部材7と、アクチュエータ4の対応位置に形成した当接部36aとを有している。移動部材7は、テーパ部35とおねじ部11を有し、おねじ部11をアクチュエータ保持部2に回動自在に螺合させ、対物レンズ5の光軸Eに対してほぼ直交する方向(X方向およびZ方向)に移動可能に配置されている。そして、アクチュエータ4の当接部36aに、移動部材7のテーパ部35が当接するようにしている。
移動部材7は、アクチュエータ保持部2に形成されためねじ部10にねじ込まれている。当接部36aは、移動部材7のテーパ部35に当接するように、アクチュエータ4にX方向およびZ方向にそれぞれ設けられている。当接部36aは、アクチュエータ4が取付けられたアクチュエータベース16の端部下面側に形成されている。
当接部36aは、これにテーパ部35が面接触して滑らかに摺動するように、テーパ部35の傾斜角度に対応させてテーパ状(または、断面弧状)に形成されている。なお、当接部36aに対してテーパ部35が相対的に容易に動くことができれば、当接部36aはテーパ状に形成されていない場合でもよい。
【0021】
テーパ部35は、アクチュエータ4とアクチュエータ保持部2との間に配置されている。移動部材7のおねじ部11のねじ込み量を調整する操作を行なって、移動部材7をアクチュエータ4に対して矢印C1方向に前進,後退させたとき、アクチュエータ4は、当接部36aがテーパ部35に接触して支持された状態で、テーパ部35の相対位置の変化に応じてアクチュエータ保持部2に対して矢印C2方向に光軸Eと共に傾動し、スキュー調整することになる。
すなわち、図2(A)に示すように、テーパ部35がアクチュエータ4に対して後退していれば、アクチュエータ4の当接部36aはアクチュエータ保持部2に対して接近している。
また、図2(B)に示すように、移動部材7を操作して、テーパ部35がアクチュエータ4に対して前進すれば、アクチュエータ4の当接部36aは、テーパ部35に支持されてアクチュエータ保持部2に対して離隔することになる。
その結果、光学系3から放射された光束(レーザー光Lの光束)が、図2(A)に示すように対物レンズ5の光軸Eに対して不一致であった場合、図2(B)に示すように、移動部材7を矢印C1方向に操作することにより、光束と光軸Eとが高精度に一致するように、アクチュエータ4を矢印C2方向に傾動させて対物レンズ5をスキュー調整することができる。
【0022】
(第2の実施形態)
図3は、本発明の第2の実施形態にかかる光ピックアップ1bの正面図であり、図3(A),(B)は、対物レンズ5をスキュー調整する際の動作を示している。
図3(A),(B)に示す光ピックアップ1bには、対物レンズ5をスキュー調整するための移動方向変更手段6bが設けられている。
移動方向変更手段6bは、光軸Eと直交する二方向(X方向,Z方向)のうちの少なくとも一方向に設けられている。図示する光ピックアップ1bでは、対物レンズ5のスキュー調整をより高精度にするために、移動方向変更手段6bは、光軸Eと直交する二方向(X方向,Z方向)にそれぞれ設けられている。
移動方向変更手段6bは、対物レンズ5の光軸Eに対してほぼ直交する方向から移動部材7bを矢印C1方向に操作することにより、アクチュエータ4を光軸Eと共に傾動させて(矢印C2方向)対物レンズ5をスキュー調整できるようにしている。
そのために、移動方向変更手段6bは、移動部材7bと、アクチュエータ4の対応位置に形成した当接部36bとを有している。移動部材7bは、テーパ部35bを有し、アクチュエータ保持部2に係合して対物レンズ5の光軸Eに対してほぼ直交する方向(X方向およびZ方向)に移動可能に配置されている。そして、アクチュエータ4の当接部36bに、移動部材7bのテーパ部35bが当接するようにしている。
【0023】
移動部材7bは、光軸Eを中心として半径方向(矢印C1方向)のみに移動可能なように、アクチュエータ保持部2に係合している。当接部36bは、移動部材7bのテーパ部35bに当接するように、アクチュエータ4にX方向およびZ方向にそれぞれ設けられている。当接部36bは、アクチュエータ4が取付けられたアクチュエータベース16の端部上面側に形成されている。
当接部36bは、これにテーパ部35bが面接触して滑らかに摺動するように、テーパ部35bの傾斜角度に対応させてテーパ状(または、断面弧状)に形成されている。なお、当接部36bに対してテーパ部35bが相対的に容易に動くことができれば、当接部36bはテーパ状に形成されていない場合でもよい。
【0024】
テーパ部35bは、平面状のテーパ面(傾斜面)が形成されて、アクチュエータ4のアクチュエータ保持部2とは反対側(アクチュエータベース16の上面側)に配置されている。すなわち、テーパ部35bはアクチュエータ4の当接部36bを押圧する位置に配置されている。
移動部材7bを操作して、移動部材7bをアクチュエータ4に対して矢印C1方向に前進,後退させたとき、アクチュエータ4は、その当接部36bがテーパ部35bに押圧された状態で、テーパ部35bの相対位置の変化に応じてアクチュエータ保持部2に対して矢印C2方向に光軸Eと共に傾動し、スキュー調整するようになっている。
したがって、図3(A)に示すように移動部材7bが前進した状態では、対物レンズ5の光軸Eが光束に対して傾いている場合、図3(B)に示すように移動部材7bを操作して、テーパ部35bをアクチュエータ4に対して後退させれば、アクチュエータ4の当接部36bが、テーパ部35bに押された状態でアクチュエータ保持部2に対して離隔する。
このようにして、アクチュエータ4を動かして、対物レンズ5をスキュー調整することにより、光軸Eを光束に高精度に一致させることができる。
【0025】
図4は、第2の実施形態の変形例にかかる光ピックアップ1cの正面図であり、図4(A),(B)は、対物レンズ5をスキュー調整する際の動作を示している。
図4(A),(B)に示す光ピックアップ1cには、対物レンズ5をスキュー調整するための移動方向変更手段6cが設けられている。
移動方向変更手段6cは、光軸Eと直交する二方向(X方向,Z方向)のうちの少なくとも一方向に設けられている。図示する光ピックアップ1cでは、対物レンズ5のスキュー調整をより高精度にするために、移動方向変更手段6cは、光軸Eと直交する二方向(X方向,Z方向)にそれぞれ設けられている。
移動方向変更手段6cは、対物レンズ5の光軸Eに対してほぼ直交する方向から移動部材7cを操作することにより、アクチュエータ4を光軸Eと共に傾動させて(矢印C2方向)対物レンズ5をスキュー調整できるようにしている。
そのために、移動方向変更手段6cは、移動部材7cと、アクチュエータ4の対応位置に形成した当接部36cとを有している。移動部材7cは、テーパ部35cを有し、アクチュエータ保持部2に係合して対物レンズ5の光軸Eに対してほぼ直交する方向(X方向およびZ方向)に移動可能に配置されている。そして、アクチュエータ4の当接部36cに、移動部材7cのテーパ部35cが当接するようにしている。
【0026】
移動部材7cは、光軸Eを中心として半径方向(矢印C1方向)のみに移動可能なように、アクチュエータ保持部2に係合している。当接部36cは、移動部材7cのテーパ部35cに当接するように、アクチュエータ4にX方向およびZ方向にそれぞれ設けられている。当接部36cは、アクチュエータ4が取付けられたアクチュエータベース16の端部下面側に形成されている。
当接部36cは、これにテーパ部35cが面接触して滑らかに摺動するように、テーパ部35cの傾斜角度に対応させてテーパ状(または、断面弧状)に形成されている。なお、当接部36cに対してテーパ部35cが相対的に容易に動くことができれば、当接部36cはテーパ状に形成されていない場合でもよい。
【0027】
移動部材7cは、光軸Eを中心に半径方向(矢印C1方向)のみに移動可能なようにアクチュエータ保持部2に係合している。テーパ部35cは、平面状のテーパ面(傾斜面)が形成されて、アクチュエータ4とアクチュエータ保持部2との間に挟まれた状態で配置されている。
移動部材7cを操作して、この移動部材7cをアクチュエータ4に対して矢印C1方向に前進,後退させたとき、アクチュエータ4は、当接部36cがテーパ部35cに接触して支持された状態で、テーパ部35cの相対位置の変化に応じてアクチュエータ保持部2に対して矢印C2方向に光軸Eと共に傾動し、スキュー調整することになる。
【0028】
すなわち、図4(A)に示すようにテーパ部35cがアクチュエータ4に対して後退している状態のときに、対物レンズ5の光軸Eが光束に対して傾いている場合、図4(B)に示すように移動部材7cを操作して、テーパ部35cをアクチュエータ4に対して前進させることにより、アクチュエータ4の当接部36cが、テーパ部35cに支持された状態でアクチュエータ保持部2に対して離隔することになる。
このようにして、アクチュエータ4を傾動させて対物レンズ5をスキュー調整することにより、光軸Eを光束に精度よく一致させることができる。
【0029】
上述のように、本発明の光ピックアップ1,1a〜1cでは、移動部材7,7b,7cを、対物レンズ5の光軸Eに対してほぼ直交する方向(X方向,Z方向)から操作することにより、アクチュエータ4を矢印C2方向に傾動させて対物レンズ5をスキュー調整することができる。
このスキュー調整は、光ピックアップ1,1a〜1cの製造工程の最終調整の作業の一つとして行われる。光軸Eに対してほぼ直交する方向からスキュー調整作業ができるので、この作業のためのスペースを、光軸Eに対してほぼ直交する方向に容易に確保して、対物レンズ5を高精度にスキュー調整することができる。
対物レンズ5のスキュー調整作業は、アクチュエータ保持部2の底板部の上面側(すなわち、アクチュエータ4に対向する面側)で行うことができるので、アクチュエータ保持部2の一方面側B1に配置されている光学系3の光学部品および光学系光路と一切干渉することがない。すなわち、対物レンズ5をスキュー調整するためのスペースを、光学系3の配置位置側(すなわち、一方面側B1)に確保しておく必要がない。
その結果、アクチュエータ保持部2の一方面側B1のスペースを自在に使って、光学系3の光学部品や光学系光路を自在に配置することができ、設計の自由度が拡がる。
なお、対物レンズ5の上述のスキュー調整が完了すると、アクチュエータ4は、アクチュエータ保持部2に接着剤などで動かないように位置決め固定される。
【0030】
光ピックアップ1,1a〜1cでは、テーパ部を有する移動部材7,7b,7cをアクチュエータ保持部2に配置し、当接部36,36b,36cをアクチュエータ4のアクチュエータベース16に形成している。
したがって、テーパ部を形成するためにアクチュエータベース16を機械加工する必要がなく、アクチュエータベース16を板材で容易に且つ安価に一体的に形成することができる。
【0031】
一つのピックアップのX方向に設ける移動部材および当接部の組と、Z方向に設ける移動部材および当接部の組が同じ構成の場合を示したが、X方向の移動部材および当接部の組の構成と、Z方向の移動部材および当接部の組の構成とが異なるようにしてもよい。
なお、光ピックアップ1,1a〜1cの移動方向変更手段6,6a〜6cは、移動部材7,7b,7cの直線運動をアクチュエータ4の傾動運動に変更しているが、移動部材を回動可能にしてこの回転運動をアクチュエータ4の傾動運動に変更する移動方向変更手段であってもよい。
たとえば、対物レンズ5の光軸Eに対してほぼ直交する方向から移動部材を回転操作することにより、アクチュエータ4をY方向(矢印C2方向)に動かして対物レンズ5をスキュー調整するようにしてもよい。
なお、それほど高精度なスキュー調整が要求されない光ピックアップでは、対物レンズ5をスキュー調整する移動方向変更手段を、光軸Eと直交する一方向のみ(たとえば、X方向のみまたはZ方向のみ)に設けた場合であってもよい。
なお、各図中同一符号は同一または相当部分を示す。
【0032】
【発明の効果】
本発明は上述のように構成したので、対物レンズが取付けられたアクチュエータを動かして対物レンズをスキュー調整するためのスペースを、光学系の配置位置側に確保しておく必要がなく、また、テーパ部を有する移動部材をアクチュエータ保持部に配置し、当接部をアクチュエータのアクチュエータベースに形成したので、テーパ部を形成するためにアクチュエータベースを機械加工する必要がなく、アクチュエータベースを板材で容易に且つ安価に一体的に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態にかかる光ピックアップの正面図である。
【図2】 第1の実施形態の変形例にかかる光ピックアップの正面図である。
【図3】 本発明の第2の実施形態にかかる光ピックアップの正面図である。
【図4】 第2の実施形態の変形例にかかる光ピックアップの正面図である。
【図5】 従来の光ピックアップの正面図である。
【符号の説明】
1,1a〜1c 光ピックアップ
2 アクチュエータ保持部
3 光学系
4 アクチュエータ
5 対物レンズ
6,6a〜6c 移動方向変更手段
7,7b,7c 移動部材
11 おねじ部(ねじ部)
16 アクチュエータベース
25 チルト機構
35,35b,35c テーパ部
36,36a〜36c 当接部
B1 一方面側
B2 他方面側
D 光ディスク
E 光軸
L レーザー光(光)
X方向 第2の方向
Y方向 第1の方向
Z方向 第3の方向

Claims (6)

  1. テーパ部を有する移動部材が取付けられ且つ光ピックアップの基台に設けられたアクチュエータ保持部と、
    このアクチュエータ保持部の一方面側に配置された光学系と、
    この光学系から放射された光束を光ディスクの記録面上に集光させる対物レンズとこの対物レンズの傾きを制御するチルト機構とを有するとともに前記アクチュエータ保持部の他方面側に配置され、アクチュエータベースには前記移動部材の前記テーパ部に当接する当接部が形成されたアクチュエータとを具備し、
    前記移動部材を前記対物レンズの光軸に対してほぼ直交する方向から前進,後退の操作を行うことにより、前記アクチュエータを前記光軸と共に傾動させてスキュー調整する移動方向変更手段とすることを特徴とする光ピックアップ。
  2. 前記対物レンズをスキュー調整する前記移動方向変更手段は、前記光軸と直交する二方向のうちの少なくとも一方向に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ。
  3. 前記移動部材はねじ部を有し、このねじ部を前記アクチュエータ保持部に回動自在に螺合させ、前記移動部材を前記対物レンズの前記光軸に対してほぼ直交する方向に移動可能に配置したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光ピックアップ。
  4. 前記当接部は、この当接部に前記テーパ部が面接触して滑らかに摺動するように、このテーパ部の傾斜角度に対応させてテーパ状または断面弧状に形成されていることを特徴とする請求項1,請求項2または請求項3に記載の光ピックアップ。
  5. 前記テーパ部は前記アクチュエータの前記当接部を押圧する位置に配置され、
    前記移動部材を前記アクチュエータに対して前進,後退させたとき、前記アクチュエータは、前記当接部が前記テーパ部に押圧された状態で、このテーパ部の相対位置の変化に応じて前記アクチュエータ保持部に対して傾動し、スキュー調整することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかの項に記載の光ピックアップ。
  6. 前記テーパ部は前記アクチュエータと前記アクチュエータ保持部との間に配置され、
    前記移動部材を前記アクチュエータに対して前進,後退させたとき、前記アクチュエータは、前記当接部が前記テーパ部に支持された状態で、このテーパ部の相対位置の変化に応じて前記アクチュエータ保持部に対して傾動し、スキュー調整することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかの項に記載の光ピックアップ。
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