JP3716513B2 - インクジェット式記録ヘッドおよびインクジェットプリンタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクを噴射することにより記録媒体に対する記録を行うインクジェット式記録ヘッドと、その様なインクジェット式記録ヘッドを備えたインクジェットプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、インクジェットプリンタ等に搭載されるインクジェット式記録ヘッドとして、電圧印加に伴って変形する圧電素子により、ヘッド内に形成されたインク室の容積を変化させ、この容積変化に伴って加圧されるインク室内のインクを、ノズルから外部へと噴出する圧力制御形のものが知られている。
【0003】
また、このタイプのインクジェット式記録ヘッドとして、図4(a)に示す様なインクジェット式記録ヘッド80が提案されていた。このインクジェット式記録ヘッド80は、キャビティプレート82の上面側及び下面側に圧電素子84,86を固着すると共に、それらの一側面側にノズルプレート88を固着したもので、キャビティプレート82には、図4(b)に示す様に、上面側及び下面側に開口を有する複数のインク室90が並列に形成されると共に、インク室90にそれぞれ連通する複数のインク流路92が一側面側に形成され、圧電素子84,86に印加する電圧を変動させた際に、圧電素子84,86の変形に伴ってインク室90に充填されたインクが加圧され、インク室90にインク流路92を介して連通するノズル94から、記録媒体(図示略)に向かってインクが噴射される構造になっていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記インクジェット式記録ヘッド80によれば、以下に述べるような問題があった。
上記インクジェット式記録ヘッド80は、まず、キャビティプレート82の上面側及び下面側に圧電素子84,86を接着し、その後で、キャビティプレート82及び圧電素子84,86の端面82a,84a,86aにノズルプレート88を接着することによって組み立てられていた。そのため、端面82a,84a,86aが精度良く同一面内に揃えられていないと、ノズルプレート88が端面82a,84a,86aにうまく密着しないという問題があった。
【0005】
この様な問題に対し、従来は、ノズルプレート88を接着する前に、上記端面82a,84a,86aを研削することにより、これらを同一面内に揃えていた。
しかし、この様な研削加工は非常に面倒で、加工コストの増大を招き、インクジェットプリンタが高価となる要因となっていた。
【0006】
また、上記の様な研削加工を施すと、研削加工時に発生するゴミ等が、上記インク流路92の内部に入り込むという問題が生じ、これが原因で、適正にインクが噴射されなくなって、インクジェットプリンタの印字品質が低下するなどの問題を招く恐れがあった。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、研削加工等を施さなくても、容易にノズルプレートを精度良く固着することのできるインクジェット式記録ヘッドと、このインクジェット式記録ヘッドを備えた印字品質が高くて安価なインクジェットプリンタを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段、および発明の効果】
上述の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、
上面側及び/又は下面側に開口を有する複数のインク室が並列に形成されると共に、一側面側には前記インク室にそれぞれ連通する複数のインク流路が形成されたキャビティプレートと、該キャビティプレートに固着され、前記インク室の開口を閉塞すると共に、変形に伴って前記インク室の容積を変化させて当該インク室内のインクを加圧する圧電素子と、前記キャビティプレートの前記一側面側に固着され、前記各インク流路にそれぞれ連通する複数のノズルが形成されたノズルプレートとを備えたインクジェット式記録ヘッドにおいて、
前記キャビティプレートの前記圧電素子を固着する側の面内で前記一側面側の端部に、前記圧電素子側へ突出する突出部が設けられ、該突出部を前記圧電素子の端面と前記ノズルプレートとの間に介在させた状態で、前記キャビティプレートに前記ノズルプレートが固着されている
ことを特徴とする。
【0009】
このインクジェット式記録ヘッドにおいて、ノズルプレートは、従来と同様、キャビティプレートの一側面側に固着されるが、キャビティプレートの端部に突出部が設けられているため、この突出部が圧電素子の端面とノズルプレートとの間に介在する形となり、ノズルプレートはキャビティプレートに対してのみ固着されることになる。したがって、キャビティプレートを成形する際に、あらかじめノズルプレートが固着される面の平面度を高くしておけば、従来技術の如き研削加工を施さなくても、ノズルプレートを精度良く固着することができる。
【0010】
また、面倒な研削加工が不要となるので、加工コストを低減することができ、研削加工時に発生するゴミ等がインク流路に入り込むといった問題も解消される。
ところで、上記突出部は、圧電素子の端面とノズルプレートとの間に介在するスペーサとして満足に機能する範囲内であれば、突出方向の高さを任意に設定することができるが、あまり突出部が大きく突出していると、インクジェット式記録ヘッドの取付作業時等に、突出部を手に引っかけるといった問題が生じる可能性がある。
【0011】
この様な問題に対しては、請求項2記載の如く、
前記突出部の突出方向の高さが、前記圧電素子の厚さと略同一寸法にされていると、
圧電素子と突出部の頂面が、略同一面内に収まるので、突出部を設けてあるにもかかわらず、インクジェット式記録ヘッドを、最終的に従来と同様に引っかかりのない外形形状にすることができる。
【0012】
また、圧電素子は、インク室の開口を閉塞する形でキャビティプレートに固着されるが、インク室内のインクを加圧した際に、逆にインクから力を受けることになるため、キャビティプレートに対する接着強度が不足すると、キャビティプレートから剥がれるといった問題を招く可能性がある。
【0013】
この様な問題に対しては、請求項3記載の如く、
前記突出部の前記圧電素子の端面に対向する側の面に、前記圧電素子の端部が嵌合する嵌合溝が形成されていると、
圧電素子がインク室内のインクから力を受けても、圧電素子の端部が嵌合溝に嵌合した状態で保持されるので、単に接着剤等によって接着する場合よりも、接着強度をはるかに高くすることができる。また、圧電素子の端面のみが前記突出部に接する場合に比べ、圧電素子と突出部の接触面積が大きくなるので、このことも接着強度をより高めるのに寄与する。
【0014】
以上説明したことから明らかな様に、上記インクジェット式記録ヘッドによれば、ノズルプレートの取付精度が高く、インク流路に入り込むゴミ等も低減することができる。したがって、請求項4記載のインクジェットプリンタであれば、従来品よりも優れた印字品質を備えたインクジェットプリンタとなる。また、上記インクジェット式記録ヘッドは、研削加工が不要となる分だけ加工コストが低減されるので、請求項4記載のインクジェットプリンタであれば、従来品よりも安価に提供することができるようになる。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明するインクジェット式記録ヘッドは、本発明の実施形態の一例に過ぎず、本発明の構成手段は例示した具体的な装置等に限定されない。
【0016】
図1(a)に示すように、インクジェット式記録ヘッド1は、キャビティプレート12の上面側及び下面側に圧電素子14,16を固着し、更に、キャビティプレート12の一側面側にノズルプレート18を固着した構造とされている。
キャビティプレート12には、図1(b)に示す様に、上面側及び下面側に開口を有する複数のインク室20が並列に形成され、そのインク室20にそれぞれ連通する複数のインク流路22が一側面側に形成されている。また、キャビティプレート12の上面側及び下面側で、上記インク流路22が形成されている一側面側の端部には、それぞれ上方及び下方へ突出する突出部24,26が設けられている。
【0017】
これら突出部24,26は、図2に示す通り、その突出方向の高さh1,h2が、いずれも圧電素子14,16の厚さt1,t2に等しく、圧電素子14,16がキャビティプレート12に固着された状態において、圧電素子14,16の表面14aと突出部24,26の頂面24a,26aとが、それぞれ同一面内に揃えられている。
【0018】
また、キャビティプレート12の一側面12aは、突出部24から突出部26に至るまで同一面内に揃えられており、この一側面12aにノズルプレート18が固着され、突出部24,26は、それぞれ圧電素子14,16の端面とノズルプレート18との間に介在し、ノズルプレート18が圧電素子14,16に直接接触しない状態となっている。
【0019】
この様に構成されたインクジェット式記録ヘッド1は、例えばインクジェットプリンタに搭載され、インクカートリッジ(図示略)からインクの供給を受ける。インクカートリッジからは、インクがチューブ等(図示略)を介してインク供給口30へと導かれ、そのインクがインク室20内に充填される。
【0020】
圧電素子14,16には、各インク室20に対応させて電極(図示略)が形成されており、この電極を使って圧電素子14,16に印加する電圧を変動させると、圧電素子14,16の変形に伴ってインク室20に充填されたインクが加圧され、インク室20にインク流路22を介して連通するノズル32から、記録媒体(図示略)に向かってインクが噴射される。
【0021】
以上説明したインクジェット式記録ヘッド1によれば、キャビティプレート12の端部に突出部24,26が設けられているため、この突出部24,26が圧電素子14,16の端面とノズルプレート18との間に介在する形となり、ノズルプレート18はキャビティプレート12に対してのみ固着されることになる。したがって、キャビティプレート12を成形する際に、あらかじめノズルプレートが固着される一側面12aの平面度を高くしておけば、従来技術の如き研削加工を施さなくても、ノズルプレート18を精度良く固着することができる。
【0022】
また、面倒な研削加工が不要となるので、加工コストを低減することができ、研削加工時に発生するゴミ等がインク流路22に入り込むといった問題も解消される。
したがって、このインクジェット式記録ヘッド1を備えたインクジェットプリンタであれば、従来品よりも優れた印字品質を備えたものとなり、また、上記インクジェット式記録ヘッド1の加工コストが低減される分、従来品よりも安価に提供することができる。
【0023】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の構成手段については上記実施形態以外にも種々考えられる。以下、有用な変形例について説明する。
例えば、上記実施形態では、突出部24,26の高さを圧電素子14,16の厚さと同一寸法にしてあったが、図3に示す様に、突出部50,52の高さを圧電素子54,56の厚さよりも高くしても構わない。その場合、突出部50,52の側面50a,52aに形成された嵌合溝50b,52bに、圧電素子54,56の端部を嵌合させると、圧電素子54,56がインク室58内のインクから力を受けても、圧電素子54,56の端部が嵌合溝50b,52bに嵌合した状態で保持されるので、単に接着剤等によって接着する場合よりも、接着強度をはるかに高くすることができる。また、圧電素子54,56の端面のみが突出部50,52に接する場合に比べ、圧電素子54,56と突出部50,52の接触面積が大きくなるので、ここに接着剤を介在させればより接着強度が高くなる。
【0024】
また、上記実施形態では、キャビティプレート12に設けられたインク室20が、上面側及び下面側に開口を有する貫通穴になっていたが、いずれか一方を開口とし他方が閉塞されている様な有底穴であってもよい。その場合、開口とした側に圧電素子が固着されていれば、インク室内のインクを加圧することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態として例示したインクジェット式記録ヘッドの斜視図であり、(a)はその組立状態、(b)はその分解状態をそれぞれ示す。
【図2】 上記インクジェット式記録ヘッドの縦断面図である。
【図3】 変形例として例示したインクジェット式記録ヘッドの縦断面図である。
【図4】 従来のインクジェット式記録ヘッドの斜視図であり、(a)はその組立状態、(b)はその分解状態をそれぞれ示す。
【符号の説明】
1・・・インクジェット式記録ヘッド、12・・・キャビティプレート、14,16,54,56・・・圧電素子、18・・・ノズルプレート、20・・・インク室、22・・・インク流路、24,26,50,52・・・突出部、30・・・インク供給口、32・・・ノズル、50b,52b・・・嵌合溝。
Claims (4)
- 上面側及び/又は下面側に開口を有する複数のインク室が並列に形成されると共に、一側面側には前記インク室にそれぞれ連通する複数のインク流路が形成されたキャビティプレートと、該キャビティプレートに固着され、前記インク室の開口を閉塞すると共に、変形に伴って前記インク室の容積を変化させて当該インク室内のインクを加圧する圧電素子と、前記キャビティプレートの前記一側面側に固着され、前記各インク流路にそれぞれ連通する複数のノズルが形成されたノズルプレートとを備えたインクジェット式記録ヘッドにおいて、
前記キャビティプレートの前記圧電素子を固着する側の面内で前記一側面側の端部に、前記圧電素子側へ突出する突出部が設けられ、該突出部を前記圧電素子の端面と前記ノズルプレートとの間に介在させた状態で、前記キャビティプレートに前記ノズルプレートが固着されている
ことを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。 - 請求項1記載のインクジェット式記録ヘッドにおいて、
前記突出部の突出方向の高さが、前記圧電素子の厚さと略同一寸法にされている
ことを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。 - 請求項1記載のインクジェット式記録ヘッドにおいて、
前記突出部の前記圧電素子の端面に対向する側の面に、前記圧電素子の端部が嵌合する嵌合溝が形成されている
ことを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。 - 請求項1〜請求項3のいずれかに記載のインクジェット式記録ヘッド
を備えたことを特徴とするインクジェットプリンタ。
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JP27230596A JP3716513B2 (ja) | 1996-10-15 | 1996-10-15 | インクジェット式記録ヘッドおよびインクジェットプリンタ |
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JPH10114066A JPH10114066A (ja) | 1998-05-06 |
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