JP3716506B2 - 被覆シートの基材表面への貼着方法 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は被覆シートの基材表面への貼着方法に関し、特に、複数の色で彩色された被覆シートを基材表面に貼着する被覆シートの基材表面への貼着方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】
複数の色で彩色された被覆シートを基材の表面に貼着する被覆シートの貼着方法の一手法として、前記被覆シートの彩色境界部を治具を用いて前記基材の表面に形成した溝部に押込んで同基材の表面に前記被覆シートを重合し、同被覆シートを前記基材の表面に沿って貼着する被覆シートの基材表面への貼着方法がある。
【０００３】
当該貼着方法においては、被覆シートの彩色境界部を基材表面に設けた溝部に押込んで、被覆シートを基材表面に重合して貼着させるものであるから、基材表面を被覆している被覆シートにおいては、彩色境界部が凹部となって各色彩間を明確に区画した状態となり、基材表面には極めて見栄えの良い意匠面が形成される。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、かかる手法においては、被覆シートは柔軟性に富んでいるため、その彩色境界部を基材表面の溝部に押込む際に彩色境界部が治具の先端からずれて、彩色境界部の全てを溝部に確実に押込むことは難しく、彩色境界部が基材表面の溝部から局部的にはみ出して波形状を呈して見栄えを損なうことがある。
【０００５】
従って、本発明の目的は、当該貼着方法において、被覆シートの彩色境界部を基材表面に設けた溝部に確実に押込むことができる方法を提供して、彩色境界部が溝部からはみ出すことがないようにして、彩色境界部が局部的に溝部からはみ出すことによる見栄えの低下を防止することにある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明は、複数の色で彩色された被覆シートを基材の表面に貼着する被覆シートの基材表面への貼着方法に関するもので、本発明に係る貼着方法は、前記被覆シートの彩色境界部を治具を用いて前記基材の表面に形成した溝部に押込んで同基材の表面に前記被覆シートを重合し、同被覆シートを前記基材の表面に沿って貼着する被覆シートの基材表面への貼着方法である。
【０００７】
しかして、本発明に係る貼着方法においては、前記被覆シートの彩色境界部に前記治具が挿入可能な表面側へ開口する所定幅の溝部を形成し、同溝部に前記治具を挿入して前記被覆シートの彩色境界部を前記基材の溝部に押込んで同基材の表面に前記被覆シートを重合し、同被覆シートを前記基材の表面に貼着することを特徴とするものである。
【０００８】
【発明の作用・効果】
本発明に係る貼着方法を採用すれば、被覆シートの彩色境界部を基材表面の溝部に押込む際に、治具は彩色境界部に設けた溝部に掛止された状態にあるため、彩色境界部が治具の先端からずれることがなく、彩色境界部の全てを溝部に確実に押込むことができ、彩色境界部が基材表面の溝部から局部的にはみ出して見栄えを損なうようなことはない。
【００１０】
従って、本発明に係る貼着方法によれば、被覆シートの彩色境界部を基材表面に設けた溝部に確実に押込むことができ、基材表面に形成される意匠面の見栄えを一層向上させることができる。
【００１１】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に基づいて説明するに、図１および図２には、本発明の一例に係る貼着方法が示されている。当該貼着方法は、基材１１の表面に被覆シート１２を貼着するものである。使用される基材１１は、木質系の繊維にフェノール樹脂等の結着剤を添加して加熱成形し、または合成樹脂を射出形成して、所定の形状に成形された車両用ドアのドアトリムの基材であり、その表面には上方の部位に所定深さで所定幅の溝部１１ａが形成されている。
【００１２】
また、被覆シート１２はポリオレフィン系、ポリ塩化ビニール系のシートであって、その表面は色彩の異なる第１部位１２ａと第２部位１２ｂに区分けされていて、意匠面に形成されている。
【００１３】
被覆シート１２を基材１１の表面に貼着するに当たっては、先づ基材１１を真空成形型１３の型面上に載置するとともに、載置された基材１１の上方にて被覆シート１２をクランプ１４を介して張設し、加熱軟化する。
【００１４】
次いで、基材１１の表面にクロロプレン系またはウレタン系の接着剤を塗布し、被覆シート１２を張設した状態で下降して基材１１の表面に重合し、その後アシストプラグ１５を用いて、被覆シート１２の第１部位１２ａと第２部位１２ｂの境界部（彩色境界部）を基材１１の溝部１１ａに押込む。
【００１５】
最後に、被覆シート１２に成形型１３を通して負圧を付与して、被覆シート１２を基材１１の表面に確実に沿わせ、被覆シート１２を基材１１の表面に塗布してある接着剤を介して基材１１の表面に貼着する。
【００１６】
しかして、被覆シート１２には、表面の第１部位１２ａと第２部位１２ｂの彩色境界部に、図３に示すように、その表面側に開口する溝部１２ｃを形成しておくようにする。
【００１７】
被覆シート１２の彩色境界部に表面側へ開口する溝部１２ｃを形成するには、図３（ａ）に示すように、第１部位１２ａと第２部位１２ｂの境界部に高周波ウェルダー１６を押圧して当該部位を一定の深さまで溶融すれば、同図（ｂ）に示す状態に形成される。
【００１８】
図３は本発明に係る貼着方法を説明するもので、当該貼着方法においては、被覆シート１１の彩色境界部を基材１１の表面の溝部１１ａに押込む際に、アシストプラグ１５は同図（ｂ）に示すように彩色境界部に設けた溝部１２ｃに掛止された状態にあるため、彩色境界部がアシストプラグ１５の先端からずれることがなく、彩色境界部の全てを溝部１１ａに確実に押込むことができ、彩色境界部は同図（ｃ）に示すように、基材１１の表面の溝部１１ａからはみ出して見栄えを損なうようなことはない。
【００２０】
従って、本発明に係る貼着方法によれば、被覆シート１２の彩色境界部を基材１１の表面に設けた溝部１１ａに確実に押込むことができ、基材１１の表面に形成される意匠面の見栄えを一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係る貼着方法の一例を示す概略的な説明図である。
【図２】同貼着方法における基材、被覆シート、およびアシストブラグとの関係を示す斜視図である。
【図３】本発明に係る貼着方法を概略的に示す説明図である。
【符号の説明】
１１…基材、１１ａ…溝部、１２…被覆シート、１２ａ…第１部位、１２ｂ…第２部位、１２ｃ…溝部、１３…成形型、１４…クランプ、１５…アシストプラグ、１６…高周波ウェルダー。

Claims (1)

1. 複数の色で彩色された被覆シートを基材の表面に貼着する被覆シートの基材表面への貼着方法であって、前記被覆シートの彩色境界部を治具を用いて前記基材の表面に形成した溝部に押込んで同基材の表面に前記被覆シートを重合し、同被覆シートを前記基材の表面に沿って貼着する被覆シートの基材表面への貼着方法において、前記被覆シートの彩色境界部に前記治具が挿入可能な表面側へ開口する所定幅の溝部を形成し、同溝部に前記治具を挿入して前記被覆シートの彩色境界部を前記基材の溝部に押込んで同基材の表面に前記被覆シートを重合し、同被覆シートを前記基材の表面に貼着することを特徴とする被覆シートの基材表面への貼着方法。

Images