JP3716094B2 - トンネル掘削機 - Google Patents

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  • Excavating Of Shafts Or Tunnels (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、地下自動車道路や地下鉄道などに使用するトンネルを掘削形成するトンネル掘削機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的なシールド掘削機は、筒状の掘削機本体の前部にカッタヘッドが回転自在に装着されると共に、この掘削機本体の後部にシールドジャッキ及びセグメントエレクタが装着されて構成されている。従って、このカッタヘッドを駆動モータによって旋回させながら、シールドジャッキによって掘削機本体を前進させることで、前方の地盤を掘削してトンネルを掘削形成し、セグメントエレクタによってこの掘削形成されたトンネルの内壁面にセグメントを組付けてトンネルを構築することができる。
【0003】
ところで、掘削形成するトンネルとして、例えば、地下を通る自動車用高速道路に利用されるものがある。この自動車用高速道路は分岐路や出口のために途中で車線が増加したり、減少したりしている。そのため、このような自動車用高速道路に使用するトンネルを掘削する場合、トンネル掘削断面形状を掘削途中で幅方向に広くしたり、狭くしたりする必要がある。
【0004】
このようなトンネル掘削断面形状を掘削途中で幅方向に変更する、所謂、拡幅式のシールド掘削機としては、従来から例えば、特開平7−279579号公報に記載されたものがある。この公報に記載されたシールド掘削機は、シールド本体を固定部と一対の移動部によって構成すると共に、移動部を前胴部と後胴部によって構成し、固定部と前胴部及び後胴部との間に移動ジャッキを架設し、また、固定部の前端部に余掘り用カッタを有するカッタヘッドが駆動回転可能に装着されている。従って、固定部及び移動部の後胴部に装着されたシールドジャッキを伸縮することでシールド本体を前進し、このとき、駆動回転するカッタヘッドによって前方の地盤を掘削してトンネルを形成する。この場合、移動ジャッキの収縮状態では移動部が固定部側に位置しており、カッタヘッドによって通常断面のトンネルを掘削する一方、移動ジャッキの伸長状態では移動部が固定部から離間しており、カッタヘッドによって拡幅断面のトンネルを掘削することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように従来のシールド掘削機にあっては、シールド本体が固定部と移動部によって構成され、移動ジャッキを伸縮することで固定部に対して移動部が移動して拡幅可能となっている。そして、シールドジャッキを伸縮することでシールド本体を前進し、カッタヘッドによって前方の地盤を掘削してトンネルを形成することができる。
【0006】
ところで、このシールドジャッキはその伸長時に既設のセグメントSからの反力によってシールド本体を前進させることができる。この場合、シールドジャッキはシールド本体にその周方向の各位置で均等に反力を付与するために、シールド本体の後部に周方向均等間隔で複数並設されている。
【0007】
ところが、上述した従来のシールド掘削機では、移動ジャッキが収縮して固定部に対して移動部が接近した状態では、シールドジャッキがシールド本体の後部に周方向均等間隔で並設されているが、移動ジャッキが伸長して固定部に対して移動部が離間した拡幅状態では、移動部と共にこの移動部側に配設されたシールドジャッキが移動してしまうため、固定部と移動部との間にはシールドジャッキが存在しない領域が発生してしまう。すると、シールドジャッキの伸長時に既設のセグメントからの反力がシールド本体に偏って伝達される虞があり、シールド本体がうまく前進できずにシールド掘削機の掘削効率が低下してしまうという問題がある。
【0008】
本発明はこのような問題点を解決するものであって、掘削作業の効率化を図ったトンネル掘削機を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するための請求項1の発明のトンネル掘削機は、主掘削機本体と、該主掘削機本体の前端部に装着されて前方の地盤を掘削する主カッタ機構と、前記主掘削機本体の掘進方向側方に配設されて該主掘削機本体と共に筒形状をなす副掘削機本体と、該副掘削機本体の前端部に装着されて前記主カッタ機構と共に前方の地盤を掘削する副カッタ機構と、前記副掘削機本体を前記主掘削機本体に対して外方に移動自在に支持する副掘削機本体ガイド機構と、前記副掘削機本体を前記主掘削機本体に対して外方に移動させる副掘削機本体移動機構と、前記主掘削機本体及び前記副掘削機本体の後部にその周方向に並設された複数の推進ジャッキとを具えたトンネル掘削機において、前記複数の推進ジャッキのうち少なくとも前記主掘削機本体と前記副掘削機本体の中間部に位置する推進ジャッキは、前記主掘削機本体に対する前記副掘削機本体の外方への移動時に、位置調整機構によって該副掘削機本体の移動方向に追随移動して位置調整可能であることを特徴とするものである。
【0010】
また、請求項2の発明のトンネル掘削機において、前記複数の推進ジャッキは前記主掘削機本体及び前記副掘削機本体の長手方向に沿って装着されており、前記位置調整機構によって移動される前記推進ジャッキは、その装着方向を維持したままで水平移動することを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項3の発明のトンネル掘削機において、前記位置調整機構によって移動される前記推進ジャッキは、前記主掘削機本体あるいは前記副掘削機本体のいずれか一方の側端部に位置する推進ジャッキであることを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
図1に本発明の一実施形態に係るトンネル掘削機としてのシールド掘削機の一部切欠平面視、図2に本実施形態のシールド掘削機の正面視、図3に図1のIII−III断面、図4に図1のIV−IV断面、図5に図1のV−V断面、図6に図1のVI−VI断面、図7に図1のVII−VII断面、図8にシールド掘削機の位置調整機構の概略、図9に本実施形態のシールド掘削機の斜視、図10及び図11に本実施形態のシールド掘削機による拡幅トンネル掘削時の作用を表す概略、図12に本実施形態のシールド掘削機による縮幅トンネル掘削時の作用を表す概略、図13に通常トンネルの掘削断面、図14に拡幅トンネルの掘削断面を示す。
【0014】
本実施形態のシールド掘削機は、図9に示すように、前端部に前方の地盤を掘削する主カッタ機構11が装着された主掘削機本体12の掘進方向側方に、前端部に前方の地盤を掘削する副カッタ機構13が装着された左右一対の副掘削機本体14が、副掘削機本体支持機構としての支持部15及び拡幅ジャッキ16によってそれぞれ水平移動可能で、且つ、水平旋回可能に支持されて構成され、この主掘削機本体12及び各副掘削機本体14は推進ジャッキとしてのシールドジャッキ17,18によって前進できるようになっている。
【0015】
即ち、本実施形態のシールド掘削機において、図1乃至図6に示すように、主掘削機本体12は上下が弧状をなす矩形筒形状部12aの両側に上下一対の水平部12bが一体に形成されてなり、この主掘削機本体12の前部には掘削土砂や泥水等のずりの内部浸入を防止するバルクヘッド21が形成されている。この主掘削機本体12の前端部にはバルクヘッド21を貫通するように回転軸22が配設され、軸受23によって回転自在に支持されている。そして、この回転軸22の先端部に主カッタ機構11を構成する円盤状の主カッタヘッド24が固定されており、この主カッタヘッド24の前面には多数のカッタビット25が取付けられると共に、移動ジャッキ26によって伸縮可能なコピーカッタ27が装着されている。また、回転軸22の後端部にはリングギヤ28が固定されており、主掘削機本体12側に設けられた複数の駆動モータ(油圧モータまたは電気モータ)29の駆動ギヤ30がこのリングギヤ27に噛み合っている。従って、駆動モータ29を駆動すると、駆動ギヤ30の駆動力がリングギヤ28を介して回転軸22に伝達され、この回転軸22と一体の主カッタヘッド24を回転駆動することができる。
【0016】
一方、各副掘削機本体14は断面コ字形状をなすように開口した一側が主掘削機本体12の水平部12b部に嵌合することで、この主掘削機本体12と共に筒形状をなしており、この副掘削機本体14の前部には主掘削機本体12のバルクヘッド21に係合するバルクヘッド31が形成されている。この副掘削機本体14の前端部にはバルクヘッド31を貫通するように回転軸32が配設され、軸受33によって回転自在に支持されている。そして、この回転軸32の先端部に副カッタ機構13を構成する円盤状の副カッタヘッド34が固定されており、この副カッタヘッド34の前面には多数のカッタビット35が取付けられると共に、移動ジャッキ36によって伸縮可能なコピーカッタ37が装着されている。また、回転軸32の後端部にはリングギヤ38が固定されており、副掘削機本体14側に設けられた複数の駆動モータ39の駆動ギヤ40がこのリングギヤ37に噛み合っている。
【0017】
また、各副掘削機本体14の前端部外側に位置して上下一対の駆動モータ41がバルクヘッド31に取付けられており、この駆動モータ41の出力軸42の先端部には副カッタ機構13を構成する円盤状のコーナーカッタ43が固定されており、このコーナーカッタ43の前面には多数のカッタビット44が取付けられると共に、移動ジャッキ45によって伸縮可能な余掘カッタ機構としての余掘カッタ46が装着されている。なお、左右の副掘削機本体14におけるコーナーカッタ43の装着位置が相違するが、これは後述する枠状トンネルTa ,Tb の隅部を適正の掘削するためである。即ち、図3に示すように、一方(図3にて右側)の副掘削機本体14の側部にスペーサ14aを介してコーナーカッタ43の支持部分14bを形成しているが、左右同様の構成にしてもよい。
【0018】
従って、駆動モータ39を駆動すると、駆動ギヤ40の駆動力がリングギヤ38を介して回転軸32に伝達され、この回転軸32と一体の副カッタヘッド34を回転駆動することができる。また、各駆動モータ41を駆動すると、出力軸42と一体のコーナーカッタ43を回転駆動するすることができる。
【0019】
ところで、この主掘削機本体12と各副掘削機本体14の間には支持部15が介在し、主掘削機本体12に対して副掘削機本体14が接近離間するように水平移動自在で、且つ、垂直軸回りに水平旋回自在に支持されている。即ち、主掘削機本体12の左右の水平部12bには、前後方向中間位置に上下一対の軸受部51が固定され、各軸受部51に幅方向に沿って長孔52が形成されている。一方、副掘削機本体14の一側には、前後方向中間位置に上下一対の支持軸53が固定され、各支持軸53はこの各長孔52に移動自在に嵌合している。また、この長孔52と支持軸53とから構成される支持部15の前後に位置して各4本の拡幅ジャッキ16が、主掘削機本体12と各副掘削機本体14との間に架設されており、この主掘削機本体12及び各副掘削機本体14における拡幅ジャッキ16の各連結部55は水平回動自在となっている。
【0020】
従って、各拡幅ジャッキ16を伸縮することで、主掘削機本体12に対して両側の各副掘削機本体14を側方に移動させることができる。このとき、前後の拡幅ジャッキ16の伸縮量を同じにすると、支持軸53が長孔52内を移動し、副掘削機本体14は主掘削機本体12に対してその角度姿勢を維持したままで側方に平行移動することとなり、主掘削機本体12と2つの副掘削機本体14で構成する掘削機本体の幅を変更することができる。また、前後の拡幅ジャッキ16の伸縮量を変えると、支持軸53が長孔52内を移動しながら回動し、副掘削機本体14は主掘削機本体12に対してその角度姿勢を変化するように側方に移動することとなる。つまり、主掘削機本体12に対して両側の副掘削機本体14を水平旋回移動し、図8(a)に示すように、主掘削機本体12と2つの副掘削機本体14で構成する掘削機本体の前部のみを拡幅して副カッタ機構13を内方に向けたり、図8(b)に示すように、掘削機本体の前部を縮幅して副カッタ機構13を外方に向けたりすることができる。
【0021】
また、各カッタヘッド24,34とバルクヘッド21,31との間にはチャンバ55が形成されており、このチャンバ55には一端がシールド掘削機の外部に延設された図示しない送泥管及び排泥管の他端が開口しており、排泥管の開口部分の近傍には掘削土砂と泥水とを攪拌、混合する図示しないアジテータが設置されている。なお、拡幅ジャッキ16を伸縮して主掘削機本体12に対して両側の副掘削機本体14が水平旋回移動すると、バルクヘッド21と31の係合関係がずれるが、この場合、例えば、バルクヘッド31を弾性体としたり、両者の間に別のシール部材を設けることで、副掘削機本体14内への掘削土砂の浸入を防止できる。
【0022】
更に、主掘削機本体12及び各副掘削機本体14の後部には周方向に沿ってそれぞれ複数のシールドジャッキ17,18が並設されており、その後方に伸びる駆動ロッドの先端部にはそれぞれスプレッダ56,57が取付けられている。従って、このシールドジャッキ17,18を作動して掘進方向後方に駆動ロッドを伸長させると、掘削したトンネル内周面に構築された既設のセグメントSにスプレッダ56,57が押しつけられ、その反力により主掘削機本体12及び各副掘削機本体14を前進させることができる。
【0023】
本実施形態では、主掘削機本体12側に配設された複数のシールドジャッキ17のうち、主掘削機本体12の両端部、つまり、各副掘削機本体14側に位置するシールドジャッキ17a(本実施形態では4本)は、主掘削機本体12に対して副掘削機本体14が移動する時、位置調整機構によって副掘削機本体12の移動方向に移動して位置調整可能となっている。即ち、図8に詳細に示すように、シールドジャッキ17aにはガイド板71が一体に取付けられる一方、主掘削機本体12にはその幅方向に沿ってガイド溝72が形成されており、ガイド板71がガイド溝72に移動自在に嵌合している。そして、主掘削機本体12に固定された位置調整機構としての移動ジャッキ73の駆動ロッド74の先端部が連結部材75を介してガイド板71に連結されている。従って、移動ジャッキ73を伸縮することで、ガイド板71を介して主掘削機本体12に位置するシールドジャッキ17aを副掘削機本体14の拡幅方向に移動することができる。
【0024】
また、主掘削機本体12及び各副掘削機本体14の後部には既設トンネルの内壁面にセグメントSを組付けるエレクタ装置58,59が装着されている。この各エレクタ装置58,59はほぼ同様の構造となっているが、主掘削機本体12に装着されたエレクタ装置58は矩形断面トンネルの中央部の上下壁面にセグメントSを組付けるものであり、各副掘削機本体14に装着されたエレクタ装置59は矩形断面トンネルの両側部の上下壁面及び側壁面にセグメントSを組付けるものである。
【0025】
即ち、各エレクタ装置58,59において、各掘削機本体12,14には幅方向に沿って水平レール60が固定され、水平移動体61が移動自在となっており、この水平移動体61には垂直方向に沿って垂直レール62が固定され、垂直移動体63が移動自在となっている。そして、この垂直移動体63には旋回体64が旋回自在に支持されており、この旋回体64にセグメント把持部材65が装着されている。従って、既設トンネル内に搬入されたセグメントSをセグメント把持部材65が把持した状態で、水平移動、垂直移動、旋回することで、把持したセグメントSを所定のセグメント組付位置に移動することができる。
【0026】
なお、主掘削機本体12及び各副掘削機本体14の後部内周面には既設のセグメントSの外周面に密着して内部への掘削土砂等の浸入を防止するテールシール66,67が固着されている。
【0027】
ここで、上述した本実施形態のシールド掘削機による矩形断面トンネルの掘削作業について説明する。
【0028】
本実施形態では、上述したシールド掘削機を用いて、図13及び図14に示すように、正方形に近い枠状のトンネルTを掘削形成し、その後、内部の土砂を排出することで、この内部を自動車用高速道路のためのトンネルとして使用する。このトンネルTは所定距離をもった2つの立坑を連通するように掘削するものであり、ここでは、2種類のシールド掘削機を2つの立坑間で往復移動して枠状のトンネルTを掘削する。この場合、掘削当初は図13に示す正方形に近い枠状のトンネルTa を掘削するが、分岐路や出口路を同一工程にて掘削するために、掘削途中でシールド掘削機を拡幅し、図14に示すように、トンネル幅が拡大した矩形の枠状のトンネルTb を連続して掘削する。
【0029】
即ち、図1に示すように、掘削当初は図13に示す正方形に近い枠状のトンネルTa を掘削する必要があることから、前後の拡幅ジャッキ16を収縮して副掘削機本体14を主掘削機本体12側に移動して平行とし、主掘削機本体12と2つの副掘削機本体14で構成する掘削機本体の幅を狭くする。なお、図1乃至図4に示したシールド掘削機は、各拡幅ジャッキ16による副掘削機本体14の拡幅動作が明確となるように、掘進方向左側(図1にて下側)の副掘削機本体14を縮幅状態とし、掘進方向右側(図1にて上側)の副掘削機本体14を拡幅状態としている。
【0030】
このように両側の副掘削機本体14を主掘削機本体12側に移動した縮幅状態から、複数の駆動モータ29を駆動して主カッタヘッド24を回転駆動し、また、複数の駆動モータ39を駆動して各副カッタヘッド34を回転駆動すると共に、駆動モータ41を駆動してコーナーカッタ43を回転駆動する。そして、各カッタヘッド24,34及びコーナーカッタ43を回転しながら、複数のシールドジャッキ17,18を伸長させると、主掘削機本体12及び副掘削機本体14は既設のセグメントSからの反力により一体となって前進し、多数のカッタビット25,35,44が前方の地盤を掘削することでトンネルを掘削する。このとき、主カッタヘッド24と副カッタヘッド34とはその回転角度に応じて、移動ジャッキ26,36によってコピーカッタ27,37を伸縮することで、主カッタヘッド24と副カッタヘッド34との上下領域を掘削して矩形のトンネルとすることができる。
【0031】
そして、シールドジャッキ17,18が所定ストローク伸長して主掘削機本体12及び副掘削機本体14が所定距離掘進して矩形トンネルを掘削すると、シールドジャッキ17,18の何れか一つを縮み方向に作動し、スプレッダ56,57と既設のセグメントSとの間に空所を形成し、この空所にエレクタ装置58,59によって新しいセグメントSを装着する。この作動の繰り返しによって縮幅の矩形トンネルT1 を掘削形成する。
【0032】
このように縮幅の矩形トンネルT1 を所定距離掘削し、分岐路や出口路のためにトンネル幅を拡大した拡幅の矩形トンネルを掘削する位置までくると、図10示すように、前後の拡幅ジャッキ16を伸長することで、主掘削機本体12に対する副掘削機本体14の外方旋回を開始する。この場合、拡幅トンネルの掘削開始位置の手前から、コーナーカッタ43の回転角度に応じて移動ジャッキ45によって余掘カッタ46を伸縮し、各カッタヘッド24,34、コーナーカッタ43、コピーカッタ27,37による主掘削機本体12及び副掘削機本体14の前方地盤掘削と共に、余掘カッタ46によって副掘削機本体14の外側方の地盤の掘削を行う。そして、余掘カッタ46によって形成された余掘空間部を利用し、主掘削機本体12に対して副掘削機本体14を支点Pをほぼ中心として外方旋回させる。
【0033】
この副掘削機本体14の外方旋回は、当初、小さい旋回角度(図10に示すθS )で行い、前後の拡幅ジャッキ16を徐々に伸長することで副掘削機本体14の旋回角度を徐々に大きくしていく。そして、図11に示すように、副掘削機本体14が所定の旋回角度θM になると、この副掘削機本体14の旋回角度θM を維持したままで、前後の拡幅ジャッキ16を同ストローク伸長することで、副掘削機本体14を外方に移動し、一定角度で幅の拡大したトンネルを掘削する。この場合、トンネル幅が一定角度で拡大しているために壁面が平滑面となり、一種類のセグメントSだけで対応が可能となる。
【0034】
なお、拡幅トンネルの掘削時にもエレクタ装置58,59によってセグメントSを組み付けていくが、副掘削機本体14が外方旋回するとき、この副掘削機本体14の後部外端部が若干内方に移動し、既設セグメントSに副掘削機本体14のテールシール67が押し付けられてシール性が低下する虞がある。そのため、副掘削機本体14が外方旋回を開始する手前から、図5乃至図7、図10に示すように、厚さの薄いセグメントSS を使用し、内径は変えずに若干外径の小さくなってトンネル(既設セグメントSS )を形成し、副掘削機本体14のテールシール67と既設セグメントSS との適正なシール性を確保するようにしている。
【0035】
そして、旋回角度θM に維持された副掘削機本体14を外方に移動しながら前進することで、一定角度で幅の拡大したトンネルを掘削していき、この副掘削機本体14の全長が所定拡幅位置(所定拡幅トンネルの幅WL )を越える位置まで地盤を掘削すると、前後の拡幅ジャッキ16を収縮し、主掘削機本体12に対して副掘削機本体14を支点Pをほぼ中心として内方旋回させ、主掘削機本体12と副掘削機本体14とを平行な状態とする。この場合、副掘削機本体14の全長が拡幅トンネルの幅WL を完全に越えなくても、副掘削機本体14の内方旋回時の押圧力で地盤を破砕したり、側面のカッタなどに装備した掘削機構で地盤を掘削して旋回空間部を確保してもよい。そして、この状態で、移動ジャッキ45による余掘カッタ46の伸縮動作を停止し、各カッタヘッド24,34、コーナーカッタ43、コピーカッタ27,37により、主掘削機本体12及び副掘削機本体14の前方の地盤を掘削することで、幅WL に拡幅した矩形トンネルを連続して掘削することができる。
【0036】
また、この主掘削機本体12に対する副掘削機本体14の拡幅時に、図4に示すように、主掘削機本体12に対して副掘削機本体14が外側に移動するため、主掘削機本体12側のシールドジャッキ17aと副掘削機本体14側のシールドジャッキ18との間隔がL0 と長くなってしまい、このシールドジャッキ17,18による推進力が主掘削機本体12及び副掘削機本体14の各位置でばらつきができてしまう。そこで本実施形態では、主掘削機本体12に対して副掘削機本体14が外側に移動するとき、移動ジャッキ73(図8参照)を伸長駆動して主掘削機本体12側のシールドジャッキ17aを副掘削機本体14側へ移動し、シールドジャッキ17と17aと18との間隔をL1 とほぼ同じにしている。そのため、このシールドジャッキ17,17a,18による推進力はそれほどばらつきはなく主掘削機本体12及び副掘削機本体14に伝達され、主掘削機本体12及び副掘削機本体14は効率よく推進力が付与されて円滑に掘進できる。
【0037】
その後、拡幅の矩形トンネルを所定距離掘削すると、図12(a)に示すように、前後の拡幅ジャッキ16を収縮して副掘削機本体14を主掘削機本体12に対して内方に旋回させ、各カッタヘッド24,34、コーナーカッタ43、コピーカッタ27,37により、主掘削機本体12及び副掘削機本体14の前方の地盤を掘削していく。このとき、副掘削機本体14の旋回角度を維持したままで、前後の拡幅ジャッキ16を同ストローク収縮して副掘削機本体14を内方に移動しながら、両掘削機本体12,14を掘進することで、一定角度で幅の縮小したトンネルを掘削することができる。そして、主掘削機本体12及び副掘削機本体14が所定距離掘進すると、図12(b)に示すように、前後の拡幅ジャッキ16を伸縮して副掘削機本体14を主掘削機本体12と平行とし、再び、幅WS に縮幅した矩形トンネルを掘削する。
【0038】
この場合、前述の拡幅時とは逆に、主掘削機本体12に対して副掘削機本体14が縮幅するため、図4に示すように、主掘削機本体12に対して副掘削機本体14が内側に移動するとき、移動ジャッキ73(図8参照)を収縮駆動して主掘削機本体12側のシールドジャッキ17aを元の位置へ移動している。そのため、このシールドジャッキ17,17a,18によって主掘削機本体12及び副掘削機本体14を効率よく掘進することができる。
【0039】
このようにして本実施形態のシールド掘削機を立坑間で往復移動することで、図13に示すように、まず、矩形トンネルT1 を水平に隣接して3本形成し、続いて、同様にして図示しないシールド掘削機により、この隣接する矩形トンネルT1 の両側に矩形トンネルT2 を垂直に隣接してそれぞれ3本形成する。そして、再び、本実施形態のシールド掘削機により、左右の矩形トンネルT2 の上部に水平に隣接する矩形トンネルT1 を水平に隣接して3本形成する。この場合、前述したように、本実施形態のシールド掘削機によって掘削する矩形トンネルT1は、図14に示すように、途中で拡幅した矩形トンネルT3 となっている。そして、図13及び図14に示すように、多数の矩形トンネルT1 ,T2 ,T3 を枠状に掘削形成し、互いに隣接する各トンネルT1 ,T2 ,T3 同士をコンクリート等によって連結して枠状のトンネルTa ,Tb とを形成し、内部の土砂を排出することでここを自動車用高速道路のためのトンネルとして使用することができる。なお、各トンネルT1 ,T2 ,T3 の内部は電気ケーブルや通信ケーブルなどを配設する共同溝として使用したり、コンクリートを充填して強度部材として使用する。
【0040】
なお、上述の実施形態において、拡幅の矩形トンネルを掘削するときに、副掘削機本体14を主掘削機本体12に対して旋回して移動ジャッキ45によって余掘カッタ46を伸縮し、この余掘カッタ46により副掘削機本体14の外側方の地盤を掘削したが、副掘削機本体14が旋回して副カッタヘッド34及びコーナーカッタ43が外方を向いているため、余掘カッタ46を用いなくともトンネルを拡幅して掘削できる。
【0041】
図15に本発明の他の実施形態に係るトンネル掘削機としてのシールド掘削機の斜視を示す。なお、前述した実施形態で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0042】
本実施形態のシールド掘削機において、図15に示すように、主掘削機本体12は前端部に前方の地盤を掘削する主カッタ機構11が装着されており、この主掘削機本体12の掘進方向両側に左右一対の副掘削機本体14が配設されており、前端部に前方の地盤を掘削する副カッタ機構13がそれぞれ装着されている。この各副掘削機本体14は前胴部14aと後胴部14bとで構成され、それぞれ副掘削機本体支持機構として図示しないガイド部及び拡幅ジャッキ16によって独立して水平移動可能に支持されている。そして、この主掘削機本体12及び各副掘削機本体14は推進ジャッキとしてのシールドジャッキ17,18によって前進できるようになっている。
【0043】
従って、拡幅トンネルの掘削時には、主掘削機本体12に対して副掘削機本体14の前胴部14a及び後胴部14bを別々に水平移動させることで、余掘作業による空間部の距離を短距離で拡幅作業を行うことができ、作業性の向上が図れる。
【0044】
なお、上述の実施形態において、シールドジャッキ17aの位置調整機構として移動ジャッキ73を設けたが、これ以外にモータを用いたラックとピニオンをを利用してもよい。また、主掘削機本体12に装着されたシールドジャッキ17aを移動するようにしたが、副掘削機本体14における主掘削機本体12側端部のシールドジャッキ18を移動するようにしてもよい。更に、位置調整機構によって4つのシールドジャッキ17aを移動するようにしたが、全てのシールドジャッキ17,18を移動して等間隔に位置するようにしてもよい。
【0045】
また、上述の実施形態において、主カッタ機構11を円盤形状の主カッタヘッド24、副カッタ機構13を円盤形状の主カッタヘッド34とコーナーカッタ43としたが、この構造に限定されるものではなく、例えば、棒状の掘削刃を円盤を形成するように回転して構成してもよい。また、副掘削機本体ガイド機構としての支持部15を主掘削機本体12側の長孔52と副掘削機本体14側の支持軸52とで構成し、副掘削機本体移動機構を拡幅ジャッキ16としたが、この構造に限定されるものではない。例えば、主掘削機本体12側に支持軸52を設けて副掘削機本体14側に長孔52を設けて支持部15を構成してもよく、拡幅ジャッキ16を5本以上設けてたり、複数のパラレルリンク機構72を構成してもよく、あるいは、支持部をリンク機構としてもよく、副掘削機本体が主掘削機本体に対して側方に移動可能で且つ旋回可能であればよいものである。なお、拡幅ジャッキ16で副掘削機本体14を所定の旋回角度にて維持する場合、この拡幅ジャッキ16を所定の伸縮ストロークて機械的にロックするロック機構を設けるとよい。
【0046】
更に、枠状のトンネルTa ,Tb を2つのシールド掘削機によって掘削したが、これはトンネルT1 ,T3 の内部を共同溝として使用するために掘削断面の大きなシールド掘削機を使用したからであり、1つのシールド掘削機によって掘削することもできる。また、本実施形態では、セグメントSによって矩形トンネルT1 ,T2 ,T3 を形成したが、鉄鋼製の型枠を用いてこの型枠とトンネル内壁面との間にコンクリートを打設して矩形トンネルT1 ,T2 ,T3 を形成してもよい。そして、本発明のトンネル掘削機をシールド掘削機以外に、岩盤を掘削してトンネルを形成するトンネルボーリングマシンとして用いることもできる。
【0047】
また、本実施形態では、主掘削機本体12の左右両側に副掘削機本体14を配設して横方向に拡幅可能としたが、主掘削機本体12の上下両側に副掘削機本体14を配設して縦方向に拡幅可能としてもよく、この場合、主掘削機本体12に対して左側だけ、あるいは、上側だけに副掘削機本体14を配設して片方だけ拡幅可能としてもよい。
【0048】
そして、本実施形態のトンネル掘削方法では、当初、前後の拡幅ジャッキ16を徐々に伸長して主掘削機本体12に対する副掘削機本体14の旋回角度を徐々に大きくし、所定の旋回角度θM になると、この旋回角度θM を維持したままで、前後の拡幅ジャッキ16を同ストローク伸長して副掘削機本体14を外方に移動することで、一定角度で幅の拡大したトンネルを掘削するようにしたが、主掘削機本体12に対して副掘削機本体14の前端部を外方旋回移動させ、この副掘削機本体14が最大旋回角度になるまで前方及び側方の地盤を掘削して徐々に幅の拡大したトンネルを掘削形成するようにしてもよい。この場合、短い掘進距離で所定の拡幅量を確保できる。
【0049】
【発明の効果】
以上、実施形態において詳細に説明したように請求項1の発明のトンネル掘削機によれば、主掘削機本体の前端部に前方の地盤を掘削する主カッタ機構を装着し、この主掘削機本体の掘進方向側方に副掘削機本体を配設してその前端部に副カッタ機構を装着し、副掘削機本体を副掘削機本体ガイド機構によって主掘削機本体に対して外方に移動自在に支持し、副掘削機本体移動機構によって副掘削機本体を主掘削機本体に対して外方に移動可能とし、主掘削機本体及び副掘削機本体の後部にその周方向に沿って複数の推進ジャッキを並設し、この複数の推進ジャッキのうち少なくとも主掘削機本体と副掘削機本体の中間部に位置する推進ジャッキを、副掘削機本体の外方への移動時に位置調整機構によって副掘削機本体の移動方向に追随移動して位置調整可能としたので、主掘削機本体に対して副掘削機本体が外方に移動しても、このときに推進ジャッキを移動して位置調整することで、主掘削機本体及び副掘削機本体は推進ジャッキによって付与される推進力が周方向でほとんどばらつくことはなく、主掘削機本体及び副掘削機本体は効率よく推進力が付与されて円滑に掘進することとなり、掘削作業の効率化を図ることができる。
【0050】
また、請求項2の発明のトンネル掘削機によれば、複数の推進ジャッキは主掘削機本体及び副掘削機本体の長手方向に沿って装着されており、位置調整機構によって移動される推進ジャッキをその装着方向を維持したままで水平移動するようにしたので、推進ジャッキが傾くことなく、推進力を主掘削機本体及び副掘削機本体にばらつくことなく伝達することができ、主掘削機本体及び副掘削機本体14を効率よく円滑に掘進させることができる。
【0051】
また、請求項3の発明のトンネル掘削機によれば、位置調整機構によって移動される推進ジャッキを、主掘削機本体あるいは副掘削機本体のいずれか一方の側端部に位置する推進ジャッキとしたので、簡単な構成で主掘削機本体及び副掘削機本体14を効率よく円滑に掘進させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るトンネル掘削機としてのシールド掘削機の一部切欠平面図である。
【図2】本実施形態のシールド掘削機の正面図である。
【図3】図1のIII−III断面図である。
【図4】図1のIV−IV断面図である。
【図5】図1のV−V断面図である。
【図6】図1のVI−VI断面図である。
【図7】図1のVII−VII断面図である。
【図8】シールド掘削機の位置調整機構の概略図である。
【図9】本実施形態のシールド掘削機の斜視図である。
【図10】本実施形態のシールド掘削機による拡幅トンネル掘削時の作用を表す概略図である。
【図11】本実施形態のシールド掘削機による拡幅トンネル掘削時の作用を表す概略図である。
【図12】本実施形態のシールド掘削機による縮幅トンネル掘削時の作用を表す概略図である。
【図13】通常トンネルの掘削断面図である。
【図14】本発明の他の実施形態に係るトンネル掘削機としてのシールド掘削機の斜視図である。
【図15】拡幅トンネルの掘削断面図である。
【符号の説明】
11 主カッタ機構
12 主掘削機本体
13 副カッタ機構
14 副掘削機本体
15 支持部(副掘削機本体ガイド機構)
16 拡幅ジャッキ(副掘削機本体移動機構
17,18 シールドジャッキ(推進ジャッキ)
24 主カッタヘッド
27 コピーカッタ
29 駆動モータ
34 副カッタヘッド
37 コピーカッタ
39 駆動モータ
41 駆動モータ
43 コーナーカッタ
46 余掘カッタ
51,52 支持板
53,54 ガイド板
58,59 エレクタ装置
S セグメント
T,Ta ,Tb 枠状トンネル
T1 ,T2 ,T3 矩形トンネル

Claims (3)

  1. 主掘削機本体と、該主掘削機本体の前端部に装着されて前方の地盤を掘削する主カッタ機構と、前記主掘削機本体の掘進方向側方に配設されて該主掘削機本体と共に筒形状をなす副掘削機本体と、該副掘削機本体の前端部に装着されて前記主カッタ機構と共に前方の地盤を掘削する副カッタ機構と、前記副掘削機本体を前記主掘削機本体に対して外方に移動自在に支持する副掘削機本体ガイド機構と、前記副掘削機本体を前記主掘削機本体に対して外方に移動させる副掘削機本体移動機構と、前記主掘削機本体及び前記副掘削機本体の後部にその周方向に並設された複数の推進ジャッキとを具えたトンネル掘削機において、前記複数の推進ジャッキのうち少なくとも前記主掘削機本体と前記副掘削機本体の中間部に位置する推進ジャッキは、前記主掘削機本体に対する前記副掘削機本体の外方への移動時に、位置調整機構によって該副掘削機本体の移動方向に追随移動して位置調整可能であることを特徴とするトンネル掘削機。
  2. 請求項1記載のトンネル掘削機において、前記複数の推進ジャッキは前記主掘削機本体及び前記副掘削機本体の長手方向に沿って装着されており、前記位置調整機構によって移動される前記推進ジャッキは、その装着方向を維持したままで水平移動することを特徴とするトンネル掘削機。
  3. 請求項1記載のトンネル掘削機において、前記位置調整機構によって移動される前記推進ジャッキは、前記主掘削機本体あるいは前記副掘削機本体のいずれか一方の側端部に位置する推進ジャッキであることを特徴とするトンネル掘削機。
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