JP3716074B2 - 揚艇装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、油圧式のウインチ装置により母船に対して小型艇を上げ下ろしする揚艇装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
ワイヤロープを繰り出す油圧式のウインチ装置により、ワイヤロープの先端に吊り下げ支持した小型艇を母船に対して小型艇を上げ下ろしする揚艇装置については、例えば実公昭60−17436号公報に提案がなされている。
【0003】
図3、図4には、この揚艇装置を示す。図示されるように、母船の船体1の舷側近傍の甲板3には、一対の柱状のダビットフレーム2の基端が固設される。これらのダビットフレーム2は船体1の内側上方に湾曲し、各ダビットフレーム2の先端側は、甲板3上に立設した壁面4に固設されている。
【0004】
また、各ダビットフレーム2上には、一対の柱状のクレードル5が配設される。これらのクレードル5は、それぞれダビットフレーム2に沿って案内され、ダビットフレーム2の基端側と先端側の間で往復移動自在となっている。
【0005】
これらのクレードル5は、略中央部から上端側が舷側方向に向かって湾曲するとともに、上端付近と中央付近にそれぞれ滑車7、8を備えている。これらの滑車7、8には、各ダビットフレーム2の裏面に設置されたウインチ装置10、11から伸び出したワイヤロープ12が、ダビットフレーム2の基端側に固定された滑車9に掛け回された後に、掛け回される。また、滑車7から伸び出したワイヤロープ12の先端には、フック装置13が設けられ、このフック装置13の吊り下げ用金具15を介して小型艇14が吊り下げられるようになっている。なお、この場合、滑車7、9の間の滑車8は、滑車7、9とは反対側からワイヤロープ12を押さえ込む形にしておく。
【0006】
また、ウインチ装置10、11は、ユニバーサル継ぎ手16、17および伝動軸18を介して連結され、ウインチ装置10、11のいずれか一方(例えばウインチ装置10)に設けられた減速機付き油圧モータ10Aによって同期的に駆動されるようになっている。
【0007】
図5には、この油圧モータ10Aが設けられた側のウインチ装置10の油圧回路図を示す。
【0008】
図示されるように、ウインチ装置10は油圧モータ10Aを備え、この油圧モータ10Aのモータ軸の回転により、ワイヤロープ12の巻き上げおよび巻き降ろしが行われるようになっている。
【0009】
また、この油圧モータ10Aを駆動する油圧ポンプユニット20は、ギヤボックス20A内に、電動モータ21により駆動される油圧ポンプ22を備え、この油圧ポンプ22から排出された作動油が、切換弁25を介して油圧モータ10Aに供給され、油圧モータ10Aを巻き上げ方向または巻き降ろし方向に回転させるようになっている。
【0010】
以上のような構成により、海上から小型艇14を引き上げるときには、ウインチ装置10、11の駆動によりワイヤロープ12が巻取られると、ワイヤロープ12の張力に等しい小型艇14に対する引き上げ力が、ワイヤロープ12の張力の滑車8地点での分力に等しいクレードル5に対する引き上げ力よりも小さいことから、まず、小型艇14が海上からクレードル5の上端側まで引き上げられる。このように、小型艇14がいっぱいに引き上げられた後、ダビットフレーム2の基端側(図4の二点鎖線の位置)にあったクレードル5が、ダビットフレーム2の先端側(図4の実線の位置)へと移動して、小型艇14が甲板3上に収容される。なお、ダビットフレーム2の基端側に引き上げられたクレードル5は、クレードルストッパ6によって位置を固定される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような揚艇装置により小型艇を引き上げる(ウインチ装置10、11を巻き上げる)ときには、小型艇14が海上から完全に離れない間は、荒天時などに波により海面が急激に下降すると、小型艇14にかかる浮力が急激に減少する。この場合、小型艇14の見かけ上の重量は、例えば3倍程度まで急激に増大するので、ウインチ装置10の油圧モータ10Aの高圧側の圧力P2はこれに対抗して急激に増大する。このため、ワイヤロープ12にかかる張力は急激に増大し、この衝撃によって小型艇14が大きく揺れてしまい、小型艇14の引き上げを安定的に行うことができなくなってしまう。これは、特に小型艇14に乗務員を乗せた状態で引き上げ作業を行うときに問題となる。
【0012】
本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、波により海面の高さが急変したときの小型艇の見かけ上の重量の急激な変化を吸収し、小型艇の引き上げ作業を安定的に行い得る揚艇装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、油圧モータの駆動によりワイヤロープを巻き込みまたは繰り出すウインチ装置を備え、このウインチ装置からのワイヤロープを一対の吊り柱から繰り出し、このワイヤロープの先端側に小型艇を吊り下げ支持して上げ下ろしする揚艇装置において、前記ウインチ装置によるワイヤロープの巻き上げ時における前記油圧モータの高圧側から分岐する油路に設けられた高圧アキュムレータと、前記ウインチ装置によるワイヤロープの巻き込み時における前記油圧モータの低圧側から分岐する油路に設けられた低圧アキュムレータと、前記高圧アキュムレータへの分岐回路および低圧アキュムレータへの分岐回路にそれぞれ介装されるパイロットチェック弁と、このパイロットチェック弁を制御するパイロット圧を開閉切換により選択的に供給する電磁弁とを備えた。
【0014】
第2の発明は、前記高圧アキュムレータの設定圧は、この高圧アキュムレータのフリーピストンが最も下降した位置では小型艇が引き上げられ始めたときの油圧モータに対する負荷圧よりもわずかに高く設定される一方、フリーピストンが最も上昇した位置では小型艇が完全に空中に吊されたときの油圧モータに対する負荷圧よりもわずかに低くなるように設定される。
【0015】
第3の発明は、前記低圧アキュムレータの設定圧は、この低圧アキュムレータのフリーピストンが最も下降した位置で、揚艇装置の油圧回路のドレーン側に付与されたブースト圧よりもわずかに高く設定される。
【0017】
【作用】
第1の発明では、揚艇装置で海上に浮かぶ小型艇を引き上げるために、油圧モータをウインチ装置の巻き上げ方向に駆動させると、これにしたがってワイヤロープが巻き上げられ、小型艇が引き上げられて行く。ところで、この引き上げ作業においては、海上の波などで海面が急降下し、小型艇の見かけ上の重量、すなわち油圧モータの負荷圧が急激に増加し、油圧モータの高圧側の圧力は負荷圧の急増に対応して急激に増加しようとする場合があるが、油圧モータの高圧側および低圧側はそれぞれ高圧アキュムレータおよび低圧アキュムレータに連通しているので、この油圧モータの高圧側の圧力は、高圧アキュムレータにより吸収され、油圧モータの高圧側の圧力は負荷圧より小さくなり、油圧モータはむしろ逆回転する。これにより、ウインチ装置からはワイヤロープが繰り出され、この繰り出しによって、ワイヤロープおよび小型艇にかかる衝撃が吸収される。また、この場合、油圧モータの低圧側には、低圧アキュムレータから、高圧側に逆流した分の作動油が直ちに供給される。さらに、高圧アキュムレータのフリーピストンが上限に達した後は、高圧アキュムレータ側に油圧モータの高圧側の油圧が逃げることはないので、再びウインチ装置による巻き上げ作業が開始される。このように本発明によれば、小型艇の海上からの引き上げ作業において、海面の高さの変化による小型艇の見かけ上の重量の急変があった場合でも、このときワイヤロープおよび小型艇に与えられるショックが有効に吸収されて緩和されるので、小型艇が大きく揺れてしまうようなことはなく、引き上げ作業は安定的に行うことができる。
また、高圧アキュムレータおよび低圧アキュムレータへの分岐回路にはそれぞれパイロットチェック弁が介装され、これらのパイロットチェック弁は電磁弁を介して開閉制御されるので、ウインチ装置の巻き上げ時には、パイロットチェック弁を開放して高圧アキュムレータおよび低圧アキュムレータを作動させる一方、それ以外の場合には、パイロットチェック弁を閉鎖して高圧アキュムレータおよび低圧アキュムレータを不作動とするなど、必要に応じて高圧アキュムレータおよび低圧アキュムレータを作動させ、また作動を解除することができる。
【0018】
第2の発明では、高圧アキュムレータの設定圧は、フリーピストンの最下降位置では、小型艇が引き上げられ始めたときの油圧モータに対する負荷圧よりもわずかに高く、また、フリーピストンの最上昇位置では、小型艇が完全に空中に吊されたときの油圧モータに対する負荷圧よりも低く設定されているので、高圧アキュムレータは、小型艇が引き上げられ始めてから完全に空中に吊り下げられるまでは、小型艇の見かけ上の重量が急増したときのショックを吸収するために、油圧モータの高圧側の圧の急増を吸収するように作用する一方、小型艇が完全に空中に吊された後は、フリーピストンが上限に達することで、もはや油圧モータの高圧側の油圧を吸収することはなく、高圧側から油圧が逃げて行くことはない油圧モータにより、ウインチ装置は通常の巻き上げ作動を行う。
【0019】
第3の発明では、小型艇の見かけ上の重量が急増を緩和するため油圧モータを逆回転させたときには、低圧アキュムレータから作動油が補充され、ドレーン側にブースト圧発生用にチェック弁を介装したとしても、油圧モータをスムーズに逆回転させることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。
【0022】
図1、図2には、本発明の揚艇装置の油圧回路を示す。なお、この油圧回路は図1、図2に分割して示してあり、これらの回路は点a〜eにおいて接続するものである。また、本発明の揚艇装置は船体1の右舷と左舷に1基づつ設けられるので、図1側には右舷側の揚艇装置のウインチ装置10を、図2側には左舷側の揚艇装置のウインチ装置10をそれぞれ示し、各揚艇装置において同一の部品は同一の記号で示してある。また、以下の説明は、右舷側および左舷側の揚艇装置のいずれにも共通するものである。
【0023】
また、本発明は、図1、図2に示した油圧回路に特徴を有し、他の基本的構成については、図3、図4に示した従来の揚艇装置と同様の構成のものであるので、以下、図1、図2に示した油圧回路を中心に構成の説明をする。
【0024】
図示されるように、ウインチ装置10は油圧モータ10Aを備え、この油圧モータ10Aのモータ軸の回転にしたがって、ワイヤロープ12の巻き上げおよび巻き下ろしが行われる。
【0025】
この油圧モータ10Aを駆動する油圧ポンプユニット20は、ギヤボックス20A内に、電動モータ21により駆動される2対の油圧ポンプ22(22A、22B)および23(23A、23B)を備えている。これらの油圧ポンプ22、23の各対は、ギヤ24を介して一体に回転するとともに、油圧ポンプ22、23から排出された作動油は、それぞれ右舷側と左舷側のの切換弁25を介して右舷側と左舷側のウインチ装置10に供給される。これにより、ウインチ装置10の油圧モータ10Aは、切換弁25の弁ポジションに応じて、巻き上げ方向または巻き降ろし方向に回転するようになっている。
【0026】
なお、この場合、各油圧ポンプ22(または23)からの作動油は、チェック弁26、27を通って切換弁25に導かれるが、このチェック弁26、27の前段には、それぞれ、電磁弁28、29により開閉駆動されるリリーフ弁30、31に分岐する回路が設けられ、電磁弁28または29をONすることにより、油圧ポンプ22Aまたは22B(23Aまたは23B)の一方からの作動油をリリーフ弁30または31側に逃がすことができるようになっている。これにより、油圧モータ10Aの駆動のために、油圧ポンプ22Aまたは22B(23Aまたは23B)の一方のみからの吐出油を供給することができ、これにより、油圧モータ10Aの回転速度を高速と低速に切換制御できるようになっている。
【0027】
このように油圧ポンプユニット20からの油圧が油圧モータ10Aに供給されるが、本発明の特徴となる構成として、ウインチ装置10の巻き上げ作動時における油圧モータ10Aの高圧側(供給側)回路32および低圧側(戻り側)回路33からは、それぞれ、オペレートチェック弁34および35を介して、高圧アキュムレータ36および低圧アキュムレータ37側に分岐する油路が設けられる。これらのオペレートチェック弁34、35は電磁弁38の開閉により供給されるパイロット圧に応じて制御されるが、この電磁弁38はウインチ装置の巻き上げ作動時にONになり、オペレートチェック弁34、35を開放するようになっている。
【0028】
この高圧アキュムレータ36の設定圧は、フリーピストン36Aの伸縮位置によって変わって来るが、フリーピストン36Aが最も下降した位置では、小型艇14が海上に浮かんだ状態から引き上げられ始めたとき(したがって、ワイヤロープ12にかかる小型艇14の見かけ上の重量が軽くなっているとき)の油圧モータ10Aに対する負荷圧よりもわずかに高くなるように設定されるとともに、フリーピストン36Aが最も上昇した位置では、小型艇14が完全に空中に吊されたとき(ワイヤロープ12に小型艇14の実際の重量がかかるとき)の油圧モータ10Aに対する負荷圧よりも低くなるように設定される。
【0029】
これにより、小型艇14を海上から引き上げるときには、小型艇14の見かけ上の重量が増大し、負荷圧が高まり、これにしたがってフリーピストン36Aは上昇して行く。このとき、この負荷圧の上昇が緩やかであるときには、高圧アキュムレータ36側にフリーピストン36Aの収縮分の多少の作動油が逃がされたとしても、ウインチ装置10の油圧モータ10Aは安定的に回転し、小型艇14は安定的に引き上げられる。
【0030】
これに対して、波の影響などで海面が急激に下降して、小型艇14の見かけ上の重量が急増したときには、油圧モータ10Aに対する負荷圧は急激に上昇する。この負荷圧の急増に対抗して、高圧側回路32の圧力P2は負荷圧と同圧まで上昇しようとする。ところが、この油圧の急増により、高圧アキュムレータ36のフリーピストン36は一気に上昇し、高圧側回路32の作動油を高圧アキュムレータ36側に逃がす。このため、高圧側回路32の圧力P2の圧力は、負荷圧よりも低くなり、油圧モータ10Aは逆回転してワイヤロープ12を繰り出すことになる。このようにして、小型艇14の見かけ上の重量が急増したときにワイヤロープ12および小型艇14にかかる衝撃が吸収されるようになっている。そして、フリーピストン36Aが上限まで上昇すると、高圧アキュムレータ36には、以後、油圧が逃げて行くことはないので、再びウインチ装置10による巻き上げ作業が開始される。
【0031】
なお、小型艇14が完全に空中に引き上げられたときには、フリーピストン36Aは完全に上限まで達して、高圧アキュムレータ36側に油圧が逃げることはないので、高圧アキュムレータ36はウインチ装置10の巻き上げ作業に影響を与えることはない。
【0032】
一方、低圧側回路33が連通するドレーン側の油路には、チェック弁39が設けられ(図2参照)、このドレーン側油路に所定のブースト圧を与えられるようになっている。低圧アキュムレータ37の設定圧は、フリーピストン37Aの最上昇位置で、このブースト圧よりもわずかに小さく設定される。
【0033】
これにより、上述のように小型艇14の見かけ上の重量が急増を緩和するため油圧モータ10Aを逆回転させたときに、低圧側回路33から逆流すべき作動油は、直ちに低圧アキュムレータ37のフリーピストン37Aが下降することにより補充される。すなわち、本油圧回路のドレーン側にはチェック弁39が設けられているので、戻り側である低圧側回路33から作動油が逆流したときに吸い込みが悪いが、この作動油を低圧アキュムレータ37から補充することにより、油圧モータ10Aをスムーズに逆回転させることができるようになっている。
【0034】
このように、本発明による小型艇14の見かけ上の重量の急変時のショックの吸収は、高圧アキュムレータ36と低圧アキュムレータ37への作動油の移動に相当する時間(容量)だけ実行される。
【0035】
なお、ウインチ装置10には、バネ式ブレーキ10Bが設けられる。このバネ式ブレーキ10Bは、通常はバネ力により油圧モータ10Aの回転をロックしているが、ウインチ装置10の駆動時には、切換弁40が切り換わることにより、油圧ポンプ22からバネ式ブレーキ10Bのバネ力に対抗する油圧が供給され、ブレーキが解除されるようになっている。
【0036】
さらに、このバネ式ブレーキ10Bは、手動レバー41の操作により切換弁42A、42B、42Cを切り換えれば、手動ポンプ43(図2参照)によってブレーキ解除ができ、小型艇14の自重による引き降ろし作業が行い得るようになっている。すなわち、切換弁42Cの切換により油圧モータ10Aおよびバネ式ブレーキ10Bは切換弁40側と遮断される(この場合、切換弁25も遮断となっている)とともに、切換弁42A、42Bを介して、油圧モータ10Aの低圧側回路33およびバネ式ブレーキ10Bに、手動ポンプ43からの作動油が供給され、さらに、切換弁42A、42Bを通って、油圧モータ10Aの高圧側回路32から低圧側回路33へと作動油がリターンするようになっている。これにより、油圧ポンプユニット20の故障時などにも、少なくとも小型艇14の自重による引き降ろし作業が行い得る。
【0037】
つぎに作用を説明する。
【0038】
揚艇装置により、海上に浮かぶ小型艇14を引き上げるときには、まず切換弁40の作動によりバネ式ブレーキ10Aを解除してから、油圧駆動回路20により油圧モータ10Aを回転駆動させる。これにより、油圧モータ10Aのモータ軸の回転にしたがってワイヤロープ12を巻き上げて、小型艇14が引き上げられて行く。なお、このウインチ装置10の巻き上げ作動時には、電磁弁38がONになり、油圧モータ10Aの高圧側回路32および低圧側回路33をそれぞれ高圧アキュムレータ36および低圧アキュムレータ37を連通させるパイロットチェック弁34、35が開放されている。
【0039】
さて、この引き上げ作業においては、荒天時など、海面が急降下し、小型艇14の見かけ上の重量、すなわち油圧モータ10Aへの負荷が急激に増加する場合がある。この場合には、高圧側回路32の圧力P2は負荷の急増に対応して急激に増加しようとするが、この油圧の急増は高圧アキュムレータ36のフリーピストン36Aの上昇により吸収される。
【0040】
これにより、高圧側回路32の油圧P2の上昇は抑えられ、高圧側回路32の油圧P2が負荷より小さくなった油圧モータ10Aはむしろ逆回転し、ウインチ装置10はワイヤロープ12を繰り出すことになる。このようにして、小型艇14の見かけ上の重量が急激に増加した場合に、ワイヤロープ12および小型艇14へかかる衝撃が緩和され、小型艇14が大きく揺れるようなことは回避される。なお、この油圧モータ10Aの逆回転により低圧側回路33から逆流する作動油は、低圧アキュムレータ37により直ちに補填されるようになっている。また、高圧アキュムレータ36のフリーピストン36Aが上限に達した後は、高圧アキュムレータ36側に高圧側回路32の油圧が逃げることはないので、再びウインチ装置10による巻き上げ作業が開始される。
【0041】
なお、高圧アキュムレータ36の設定圧は、小型艇14が海上にあって巻き上げ作業がなされるときの引き上げ力に対応しており、高圧アキュムレータ36のフリーピストン36Aは、小型艇14の巻き上げ初期に下限にあるとともに、小型艇14が海上から完全に吊り上げられたときに上限に達するようになっている。
【0042】
このように本発明によれば、小型艇14の海上からの引き上げ作業において、海面の高さの変化による小型艇14の見かけの重量の急変があった場合でも、このときワイヤロープ12および小型艇14に与えられるショックが有効に吸収されて緩和されるので、小型艇14が大きく揺れてしまうようなことはなく、引き上げ作業は安定的に行うことができる。
【0043】
【発明の効果】
第1の発明によれば、揚艇装置による小型艇の引き上げ作業において、海上の波などで海面が急降下し、小型艇の見かけ上の重量、すなわち油圧モータの負荷圧が急激に増加し、油圧モータの高圧側の圧力は負荷圧の急増に対応して急激に増加しようとしても、この油圧モータの高圧側の圧力は高圧アキュムレータにより吸収されるので、油圧モータの高圧側の圧力は負荷圧より小さくなり、油圧モータはむしろ逆回転するので、ウインチ装置からはワイヤロープが繰り出され、この繰り出しによってワイヤロープおよび小型艇にかかる衝撃が吸収される結果、ワイヤロープおよび小型艇に与えられるショックが有効に吸収され、小型艇が大きく揺れてしまうようなことはなく、引き上げ作業は安定的に行うことができる。
また、高圧アキュムレータおよび低圧アキュムレータへの分岐回路にはそれぞれパイロットチェック弁が介装され、これらのパイロットチェック弁は電磁弁を介して開閉制御されるので、ウインチ装置の巻き上げ時には、パイロットチェック弁を開放して高圧アキュムレータおよび低圧アキュムレータを作動させる一方、それ以外の場合には、パイロットチェック弁を閉鎖して高圧アキュムレータおよび低圧アキュムレータを不作動とするなど、必要に応じて高圧アキュムレータおよび低圧アキュムレータを作動させ、また作動を解除することができる。
【0044】
第2の発明によれば、高圧アキュムレータの設定圧は、フリーピストンの最下降位置では、小型艇が引き上げられ始めたときの油圧モータに対する負荷圧よりもわずかに高く、また、フリーピストンの最上昇位置では、小型艇が完全に空中に吊されたときの油圧モータに対する負荷圧よりも低く設定されているので、高圧アキュムレータは、小型艇が引き上げられ始めてから完全に空中に吊り下げられるまでは、小型艇の見かけ上の重量が急増したときのショックを吸収するために、油圧モータの高圧側の圧の急増を吸収するように作用する一方、小型艇が完全に空中に吊された後は、フリーピストンが上限に達することで、もはや油圧モータの高圧側の油圧を吸収することはなく、高圧側から油圧が逃げて行くことはない油圧モータにより、ウインチ装置は通常の巻き上げ作動を行う。
【0045】
第3の発明によれば、小型艇の見かけ上の重量が急増を緩和するため油圧モータを逆回転させたときには、低圧アキュムレータから作動油が補充され、ドレーン側にブースト圧発生用にチェック弁を介装したとしても、油圧モータをスムーズに逆回転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す油圧回路図である。
【図2】同じく油圧回路図である。
【図3】揚艇装置を示す正面図である。
【図4】同じく断面図である。
【図5】従来の揚艇装置の油圧回路を示す油圧回路図である。
【符号の説明】
1 船体
2 ダビットフレーム
5 クレードル
7 滑車
8 滑車
9 滑車
10 ウインチ装置
10A 油圧モータ
10B バネ式ブレーキ
11 ウインチ装置
12 ワイヤロープ
14 小型艇
16 ユニバーサル継ぎ手
17 ユニバーサル継ぎ手
18 連結軸
20 油圧駆動回路
21 電動モータ
22 油圧ポンプ
23 油圧ポンプ
24 ギヤ
25 切換弁
26 チェック弁
27 チェック弁
28 電磁弁
29 電磁弁
30 リリーフ弁
31 リリーフ弁
32 高圧側回路
33 低圧側回路
34 パイロットチェック弁
35 パイロットチェック弁
36 高圧アキュムレータ
37 低圧アキュムレータ
38 電磁弁
40 切換弁
41 手動レバー
42A 切換弁
42B 切換弁
42C 切換弁
43 手動ポンプ
Claims (3)
- 油圧モータの駆動によりワイヤロープを巻き込みまたは繰り出すウインチ装置を備え、このウインチ装置からのワイヤロープを一対の吊り柱から繰り出し、このワイヤロープの先端側に小型艇を吊り下げ支持して上げ下ろしする揚艇装置において、前記ウインチ装置によるワイヤロープの巻き上げ時における前記油圧モータの高圧側から分岐する油路に設けられた高圧アキュムレータと、前記ウインチ装置によるワイヤロープの巻き込み時における前記油圧モータの低圧側から分岐する油路に設けられた低圧アキュムレータと、前記高圧アキュムレータへの分岐回路および低圧アキュムレータへの分岐回路にそれぞれ介装されるパイロットチェック弁と、このパイロットチェック弁を制御するパイロット圧を開閉切換により選択的に供給する電磁弁とを備えたことを特徴とする揚艇装置。
- 前記高圧アキュムレータの設定圧は、この高圧アキュムレータのフリーピストンが最も下降した位置では小型艇が引き上げられ始めたときの油圧モータに対する負荷圧よりもわずかに高く設定される一方、フリーピストンが最も上昇した位置では小型艇が完全に空中に吊されたときの油圧モータに対する負荷圧よりもわずかに低くなるように設定されることを特徴とする請求項1に記載の揚艇装置。
- 前記低圧アキュムレータの設定圧は、この低圧アキュムレータのフリーピストンが最も下降した位置で、揚艇装置の油圧回路のドレーン側に付与されたブースト圧よりもわずかに高く設定されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の揚艇装置。
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