JP3715550B2 - 現像装置およびこれを備えた画像形成装置 - Google Patents
現像装置およびこれを備えた画像形成装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は潜像担持体(像担持体)上に形成される静電潜像を現像剤などによって現像する現像装置、およびこれを備えた画像形成装置に関し、特に、進行波電界を用いて現像剤を搬送する機構(電界カーテン)を利用するものに係わる。
【0002】
また、上記の静電潜像は所定の電荷を付与して帯電させた像担持体上に光情報を書き込んだものだけでなく、イオンフロー方式のように誘電体上に直接静電荷潜像を形成するものや、トナージェット方式のように複数の開口部を有する電極に対し任意の電圧を印加することで空間に静電像を形成して現像剤を記録媒体に飛翔させて直接画像形成を行うものにも適用可能である。
【0003】
【従来の技術】
複写機、プリンタ、ファクシミリなどの電子写真プロセスを用いた画像形成装置に適用される現像装置としては、現在、像担持体に現像剤担持体を接触させずに現像を行う非接触方式の現像装置が注目されており、パウダークラウド法、ジャンピング法や電界カーテン(進行波電界)を利用した方法が提案されている。
【0004】
そして、電界カーテンを発生させる手段としては、例えば、特開平9−68864号公報に開示されるように、金属または樹脂で形成された支持基材と、この支持基材上に積層された絶縁層とを備え、この絶縁層内に電界カーテン作用を発生させる電極が3本を1組として、複数組が順次連続して埋設された構成となっており、各電極に対して多相電圧の印加により形成される進行波電界によって、現像剤を現像剤搬送部材の表面上で搬送するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、進行波電界を利用する現像装置においては、現像剤搬送部材に対しその表面への接触により現像剤を供給する供給部材が現像剤搬送部材の表面と対峙する対峙位置に設けられている。そして、現像剤搬送部材は、その裏面側において保持部材により保持され、この保持部材が現像装置の筐体に取り付けられている。
【0006】
その場合、現像装置の筐体自体が剛体であるため、この筐体に対し保持部材を介して取り付けられた現像剤搬送部材の表面も剛体的な振る舞いとなり、供給部材の表面に対し現像剤搬送部材の表面を良好な接触条件で接触させるには、精密な接触条件を設定する必要がある。
【0007】
しかしながら、供給部材の表面に対する現像剤搬送部材の表面の接触条件を良好に設定するのが非常に難しく、接触条件の設定に不具合、例えば、供給部材表面に対し現像剤搬送部材表面が強く接触する硬接触条件となるために互いの表面間で反発し合う反発力が作用するなどして互いの周方向での表面同士の接触状態に差が生じていると、現像剤搬送部材の表面に対し供給部材の表面からの現像剤が均一に供給されず、現像剤搬送部材の表面上での現像剤の搬送不均一が生じ、良好な現像を行うことができない。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、供給部材の表面に対する現像剤搬送部材の表面の接触条件を良好に設定して良好な現像を行い得る現像装置およびこれを備えた画像形成装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明では、静電潜像をその表面に担持している像担持体に対向する現像領域に配置し、基材中に所定間隔を存して複数配列された電極に対する多相電圧の印加により形成される進行波電界によって現像剤を搬送する現像剤搬送部材を備えた現像装置を前提とする。そして、上記現像剤搬送部材に対しその表面への接触により現像剤を供給する供給部材を現像剤搬送部材の表面と対峙する対峙位置に設け、上記現像剤搬送部材および供給部材の少なくとも一方に、現像剤搬送部材の表面と供給部材の表面とを互いに軟接触させる軟接触手段を設けている。
【0010】
この特定事項により、剛体となる筐体に対し保持部材を介して取り付けられた現像剤搬送部材の表面と、供給部材の表面との互いの接触が軟接触によって弾性的に行われることになる。このため、供給部材の表面と現像剤搬送部材の表面とは、互いの接触条件を精密に設定しなくとも、常に良好な接触条件で接触することになる。これによって、現像剤搬送部材の表面に対し供給部材の表面から現像剤が均一に供給され、現像剤搬送部材の表面上での現像剤の搬送不均一が解消され、良好な現像を行うことが可能となる。
【0011】
特に、軟接触手段の具体的な例を示すものとして、以下の構成が掲げられる。
【0012】
つまり、現像剤搬送部材をその裏面側において保持する保持部材に対し現像剤搬送部材を浮かせるように弾性変形させることによって、その表面を供給部材の表面に対し軟接触させるような軟接触手段を構成している。
【0013】
また、現像剤搬送部材をその裏面側において保持する保持部材に対し供給部材に対向する対向部分においてのみ現像剤搬送部材を弾性的に保持する弾性体を備え、この弾性体によって、現像剤搬送部材の表面を供給部材の表面に対し軟接触させるような軟接触手段を構成している。
【0014】
更に、供給部材の表面をその軸芯に対し弾性変形させるように構成し、これによって、供給部材の表面と現像剤搬送部材の表面とを互いに軟接触させるような軟接触手段を構成している。
【0015】
これらの特定事項により、現像剤搬送部材を弾性変形させて硬い保持部材から浮かせたり、供給部材との対峙位置においてのみ現像剤搬送部材を弾性体によって硬い保持部材に対し弾性保持したり、また、供給部材の表面をその軸芯に対し弾性変形させたりすることで、現像剤搬送部材の表面と供給部材の表面との互いの良好な接触状態を簡単に得ることが可能となる。
【0016】
しかも、現像剤搬送部材と保持部材との間に介設される弾性体によって軟接触手段を構成している場合には、現像剤搬送部材自身を浮かせるように弾性変形させる場合に危惧されるバランス調整の条件設定の制約、例えば電極パターンや、使用する材料、空隙の形態などの様々な条件設定の制約が全く不要となる。このため、設計自由度が増し、より良好な現像を行うことが可能となる。
【0017】
特に、軟接触手段を現像剤搬送部材および供給部材の双方に設けた場合の弾性率を特定するものとして、以下の構成が掲げられる。
【0018】
つまり、供給部材の表面をその軸芯方向に弾性変形させる弾性率を、現像剤搬送部材の表面を供給部材の表面に対し軟接触させる際の弾性率よりも大きく設定している。
【0019】
この特定事項により、現像剤搬送部材の表面の弾性率よりも供給部材の表面の弾性率の方が大きいので、供給部材の回転時の回転負荷変動が小さく抑えられ、現像剤を安定して供給することが可能となる。また、長時間放置後の供給部材表面の弾性変形が防止され、その後の供給部材の回転動作が円滑に行われることになる。
【0020】
しかも、現像剤搬送部材の表面の弾性率の方が小さいので、供給部材の表面と接触する現像剤搬送部材の表面が弾性変形し、供給部材の回転動作がスムーズに行え、現像剤の供給や両部材の接触状態がより安定して維持され、良好な現像剤の搬送を行うことが可能となる。
【0021】
更に、上述した現像装置を画像形成装置に備えている場合には、現像剤搬送部材の表面上での現像剤の搬送不均一を解消して良好な現像を行い得る画像形成装置を提供することが可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
<第1の実施の形態>
図1は本発明の第1の実施形態に係わる現像装置を備えた画像形成装置を示し、この画像形成装置Xの内部には、像担持体としての円筒状の感光体ドラム1が設けられている。この感光体ドラム1を中心として、その周囲に、帯電部材2、露光部材3、現像装置4、転写部材5、クリーニング部材6、および除電部材7が順に配置されている。また、感光体ドラム1と転写部材5との間には、用紙Pが搬送される用紙搬送路が設けられている。この用紙搬送路の搬送方向から見て感光体ドラム1の下流側には、上下一対の定着ローラ81,81を備えた定着装置8が配置されている。
【0024】
電子写真プロセスでは、感光体ドラム1に原稿像、あるいはホストコンピュータ(図示せず)からのデータに対応した静電潜像が形成され、その静電潜像が現像装置によって可視化され、用紙P上に転写されて画像形成が行われる。
【0025】
感光体ドラム1は、基材11上に光導電層12が形成されており、帯電部材2から上記各部材3〜7の配置順に従って回転可能となっている。まず、感光体ドラム1の表面(光導電層12)は、帯電部材2によって所定の電位となるまで帯電される。所定電位まで帯電された感光体ドラム1の表面は、感光体ドラム1の回転によって露光部材3の位置まで到達する。この露光部材3は書き込み手段であり、画像情報に基づいて、たとえばレーザーなどの光によって帯電している感光体ドラム1の表面上に画像を書き込む。これによって、感光体ドラム1上に静電潜像が形成される。静電潜像が形成された感光体ドラム1の表面は、この感光体ドラム1の回転によって現像装置4の位置まで到達する。
【0026】
現像装置4では、現像剤搬送部材としてのトナー搬送部材41上を搬送されるトナーT(現像剤)によって、感光体ドラム1の表面の静電潜像をトナー像として現像する。トナー像が担持された感光体ドラム1の表面は、この感光体ドラム1の回転によって転写部材5の位置まで到達する。
【0027】
転写部材5は、感光体ドラム1の表面上のトナー像を、用紙P上に転写する。感光体ドラム1から用紙P上に転写されたトナー像は、定着装置8によって用紙P上に定着される。
【0028】
トナー像が転写された後の感光体ドラム1の表面は、この感光体ドラム1の回転によってクリーニング部材6の位置まで到達する。クリーニング部材6は、感光体ドラム1の表面に残留しているトナーTや紙粉などを除去する。クリーニング部材6によってクリーニングされた感光体ドラム1の表面は、この感光体ドラム1の回転によって除電部材7の位置まで到達する。除電部材7は、感光体ドラム1の表面に残留している電位を除去する。上述した一連の動作によって一回の画像形成が終了する。
【0029】
上記感光体ドラム1としては、たとえば、アルミニウムなどの金属ドラムを基材11として、その外周面にアモルファスシリコン(a−Si)、セレン(Se)や有機光半導体(OPC)などの光導電層12が薄膜状に形成されてなる構成が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0030】
上記帯電部材2としては、たとえばタングステンワイヤなどの帯電線・金属製のシールド板、グリッド板などよりなるコロナ帯電器や帯電ローラ、帯電ブラシなどの構成が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0031】
上記露光部材3としては、たとえば半導体レーザや発光ダイオードなどが挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0032】
上記転写部材5としては、たとえば、コロナ転写器、転写ローラ、転写ブラシなどが挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0033】
上記クリーニング部材6としては、クリーニングブレードなどが挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0034】
上記除電部材7としては、除電ランプなどが挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0035】
本実施形態では、トナー搬送部材41と感光体ドラム1との間には一定の間隔が設けられ、感光体ドラム1の表面の静電潜像を非接触で現像する構成となっているが、本発明はこれに限定されるものではなく、トナー搬送部材と感光体ドラムの表面とを接触させて接触現像を行う構成であっても構わない。
【0036】
上記現像装置4は、図2に示すように、ケーシング40と、トナー搬送部材41と、ミキシングパドル42と備えている。ケーシング40はトナーTを内部に収容するものである。ミキシングパドル42は、ケーシング40内に収容されているトナーTを混合するためのものである。
【0037】
上記トナー搬送部材41は、感光体ドラム1の現像領域Aに対向して略平面を形成するようなベルト形状となっている。なお、本実施形態では、トナー搬送部材41としてベルト形状のものを示しているが、トナー搬送部材41の形状はこれに限定されるものではなく、例えば、半円弧状のものでも構わない。
【0038】
また、トナー搬送部材41は、現像装置4における上下方向に対して若干傾斜して、感光体ドラム1の表面における現像領域Aの接線に対して略平行となるように配置されている。また、ベルト形状のトナー搬送部材41が上記配置を保持できるように、トナーTを搬送する表面とは反対側の面に、トナー搬送部材41を保持する保持部材としての支持部材43が設けられている。この支持部材43は、剛体であるケーシング40(筐体)に対し取り付けられている。
【0039】
トナー搬送部材41の下方側端部には、このトナー搬送部材41の表面上を搬送されるトナーTを供給する供給部材44が設けられている。一方、トナー搬送部材の上方側端部には、このトナー搬送部材41の表面のトナーTを回収する回収部材45が設けられている。
【0040】
また、トナー搬送部材41には、多相交流電源47と現像バイアス電源48とが直列に接続されている。上記供給部材44および回収部材45は、いずれも円筒形状を呈し、ベルト形状のトナー搬送部材41の表面に対し回転可能に接触している。
【0041】
上記供給部材44は、ケーシング40内に収容されているトナーTをトナー搬送部材41の表面に対し接触により供給するものであり、トナー搬送部材41の表面と対峙する対峙位置に設けられている。この供給部材44の材質としては特に限定されるものではないが、たとえばシリコーン、ウレタン、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン−メチレン共重合体)などのソリッドゴム、発泡ゴムなどが挙げられる。また、カーボンブラックやイオン導電剤を添加することによって導電性を付与してもよい(電圧印加も可能)。上記供給部材44に印加する電圧値を適切な値に設定し、供給部材44にトナーTを帯電させる機能を付加するようにしても良い。あるいは、上記供給部材44の前段に、例えば薄板状のブレード(材料としては、上記供給部材44と同じものが使用可能)を設けトナーを帯電させるようにしても構わない。
【0042】
上記回収部材45は、感光体ドラム1上の静電潜像の現像に寄与しないトナーTを回収して現像装置4内に戻すためのものであり、その材質としては、特に限定されないが、たとえば上記供給部材44と同様のものを使用することができる。
【0043】
上記支持部材43は、ベルト形状のトナー搬送部材41を感光体ドラム1の現像領域Aに対向した状態を保持するためのもので、その構成は特に限定されるものではない。たとえば、ABS(Acrylonitrile−Butadiene−Styrene:アクリロニトリルブタジエンスチレン)樹脂などを挙げることができる。
【0044】
上記トナー搬送部材41は、電界カーテン作用によりトナーTを搬送するものであり、図3に示すように、絶縁層よりなる基材41a上に、電界カーテン作用を発生させる進行波発生電極41b,…が、4本を一組として複数組が順次連続して配設されている。このトナー搬送部材41の表面側は、体積抵抗率が1010Ω・cm以上の高抵抗体層よりなる表面保護層41cによって覆われている。そして、これらの電極41b,…にトナー搬送のための多相交流電源47から、多相の交流電圧が印加されることにより、トナー搬送部材41の表面においてそれと平行となる方向に電界カーテンが発生し、これによって現像領域Aまで電界カーテン作用によりトナーTを搬送するようになっている。この場合、各進行波発生電極41bは、幅40μm〜250μmの微小電極となっており、これが50dpi(dot per inch)〜300dpi、つまり約500μm〜85μmの電極間ピッチλ(μm)を保って互いに平行に配置されている。
【0045】
上記トナー搬送部材41の具体例を挙げると、たとえば、基材41a:ポリイミド(厚さ25μm)、進行波発生電極41b:銅(厚さ18μm)、表面保護層41c:ポリイミド(厚さ25μm)といった構成を挙げることができる。なお、本実施の形態では、4本の進行波発生電極41b,…を1組とし、これら各組の進行波発生電極41b,…に対して、たとえば図4に示すような電圧波形の4相の交番電圧を印加し、進行波発生電極41b,…上に進行波電界を形成しているが、特にこれに限定されるものではなく、3本の進行波発生電極を1組として3相の交番電圧を印加しても構わない。また、感光体ドラム1とトナー搬送部材41との間に現像電界が形成されるようにバイアス電圧(現像バイアス)が印加されていることが好ましい。
【0046】
上記電圧波形は、正弦波や台形波などでもよく、電圧値の範囲としては、進行波発生電極41b,41b間で絶縁破壊が発生しないように、例えば100V〜3kV程度が好ましく、周波数の範囲としては、100Hz〜5kHzが好ましく用いられる。ただし、これらの電圧値や周波数については、進行波発生電極素子の形状、トナーTの搬送速度、トナーTの使用材料などによって適正値を設定すればよく、特に限定されるものではない。
【0047】
そして、本発明の特徴部分として、図5に示すように、上記トナー搬送部材41には、その表面(表面保護層41c)と供給部材44の表面とを互いに軟接触させる軟接触手段49が設けられている。この軟接触手段49は、トナー搬送部材41をその裏面側(基材41a)において保持する支持部材43に対しトナー搬送部材41を浮かせるように弾性変形させることによって、その表面を供給部材44の表面に対し軟接触させるようにしている。この場合、供給部材44が対峙するトナー搬送部材41の対峙位置では、この対峙位置におけるトナー搬送部材41に張力が付与され、この張力でもってトナー搬送部材41自身が円弧状に弾性変形している。
【0048】
これにより、本実施形態では、剛体であるケーシング40に対し支持部材43を介して取り付けられたトナー搬送部材41の表面と、供給部材44の表面との互いの接触が軟接触によって弾性的に行われることになる。このため、供給部材44の表面とトナー搬送部材41の表面とは、互いの接触条件を精密に設定しなくとも、常に良好な接触条件で接触することになる。これによって、トナー搬送部材41の表面に対し供給部材44の表面からトナーTが均一に供給され、トナー搬送部材41の表面上でのトナーTの搬送不均一が解消され、良好な現像を行うことができる。
【0049】
しかも、軟接触手段49は、支持部材43に対しトナー搬送部材41を浮かせるように円弧状に弾性変形させることによって、その表面を供給部材44の表面に対し軟接触させているので、トナー搬送部材41の表面と供給部材44の表面との互いの良好な接触状態を簡単に得ることができる。
【0050】
更に、このような現像装置4を画像形成装置Xに備えることで、トナー搬送部材41の表面上でのトナーTの搬送不均一を解消して良好な現像を行い得る画像形成装置Xを提供することができる。
【0051】
なお、本実施形態では、トナー搬送部材41側を湾曲させる構造としたが、これに限定されるものではない。例えば、供給部材と対峙する支持部材側を凹ませることで、トナー搬送部材と支持部材との間に空隙を形成するようにしてもよい。この場合も、上述と同様の作用をもって良好な接触状態を形成することができる。
【0052】
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施形態を図6に基づいて説明する。
【0053】
この実施形態では、軟接触手段の構成を変更している。なお、軟接触手段を除くその他の構成は、上記第1の実施形態の場合と同じであり、同じ部分については同一の符号を付してその説明は省略する。
【0054】
すなわち、本実施形態では、図6に示すように、軟接触手段91は、トナー搬送部材41をその裏面側において保持する支持部材43に対し供給部材44との対峙位置においてのみトナー搬送部材41を弾性的に支持する弾性体91aを備えている。この弾性体91aはスポンジよりなり、これによって、トナー搬送部材41の表面を供給部材44の表面に対し軟接触させるようにしている。
【0055】
これにより、本実施形態では、トナー搬送部材41は、供給部材44との対峙位置においてのみ弾性体91aによって硬い支持部材43に対し弾性保持されることになり、トナー搬送部材41の表面と供給部材44の表面との互いの良好な接触状態を簡単に得ることができる。
【0056】
しかも、トナー搬送部材41と支持部材43との間に介設される弾性体91aによって軟接触手段91を構成していることで、トナー搬送部材自身を浮かせるように弾性変形させる場合に危惧されるバランス調整の条件設定の制約、例えば電極パターンや、使用する材料、空隙の形態などの様々な条件設定の制約が全く不要となる。このため、設計自由度が増し、より良好な現像を行うことができることになる。
【0057】
なお、本実施形態では、弾性体91aとしてスポンジを用いているが、これに限定されるものではない。例えば、ゴムや、中空構造(袋状)のフィルム物や、ブラシ状の繊維集合体を用いてもよい。さらには、これら弾性体は永久歪ができるだけ小さいものが、安定した接触状態を長期に渡って維持でき、より好適である。
【0058】
<第3の実施の形態>
次に、本発明の第3の実施形態を図7に基づいて説明する。
【0059】
この実施形態では、軟接触手段の構成を変更している。なお、軟接触手段を除くその他の構成は、上記第1の実施形態の場合と同じであり、同じ部分については同一の符号を付してその説明は省略する。
【0060】
すなわち、本実施形態では、図7に示すように、軟接触手段93は、供給部材94の表面をその軸芯gに対し弾性変形させるように構成している。具体的には、軟接触手段93は、供給部材94の軸芯gの周囲を層状に覆うスポンジよりなる弾性層94aと、その弾性層94aの外面を被覆するゴム製の被膜層94bとを備え、これらによって、供給部材94の表面とトナー搬送部材41の表面とを互いに軟接触させるようにしている。
【0061】
これにより、本実施形態では、供給部材94の表面がその軸芯gに対する弾性変形により弾性支持されることになり、トナー搬送部材41の表面と供給部材94の表面との互いの良好な接触状態を簡単に得ることができる。
【0062】
<その他の実施の形態>
なお、上記各実施形態では、トナー搬送部材41および供給部材94のいずれか一方にのみ軟接触手段49,91,93を設けたが、図8に示すように、トナー搬送部材41を張力の付与によって弾性変形させる軟接触手段49と供給部材94を弾性変形させる軟接触手段93とがそれぞれ設けられていたり、図9に示すように、トナー搬送部材41を弾性体91aによって弾性変形させる軟接触手段91と供給部材94を弾性変形させる軟接触手段93とがそれぞれ設けられていたりしてもよい。
【0063】
その場合、供給部材44の表面をその軸芯g方向に弾性変形させる弾性率を、トナー搬送部材41の表面を供給部材94の表面に対し軟接触させる際の弾性率よりも大きく設定されるようにすることで、トナー搬送部材41の表面の弾性率よりも供給部材94の表面の弾性率の方が大きくなって、供給部材94の回転時の回転負荷変動が小さく抑えられ、トナーを安定して供給することができる。また、長時間放置後の供給部材94表面の弾性変形が防止され、その後の供給部材94の回転動作を円滑に行うことができる。しかも、トナー搬送部材41の表面の弾性率の方が小さいことで、供給部材94の表面と接触するトナー搬送部材41の表面が弾性変形し、供給部材94の回転動作がスムーズに行え、トナーTの供給や両部材41,94の接触状態がより安定して維持され、良好なトナーTの搬送を行うことができることになる。
【0064】
また、本発明は、上記各実施形態で述べたように、所定の電荷を付与して帯電させた感光体ドラム上に光情報を書き込んだ静電潜像に限定されるものではなく、イオンフロー方式のように、誘電体上に直接静電荷潜像を形成するものや、トナージェット方式のように、複数の開口部を有する電極に対し任意の電圧を印加することで空間に静電像を形成して現像剤を記録媒体に飛翔させて直接画像形成を行うものにも適用可能である。
【0065】
【発明の効果】
以上のように、現像剤搬送部材および供給部材の少なくとも一方に軟接触手段を設けることで、現像剤搬送部材の表面と供給部材の表面との互いの接触を軟接触によって弾性的に行え、現像剤搬送部材の表面に対し供給部材の表面から現像剤を均一に供給して現像剤搬送部材の表面上での現像剤の搬送不均一を解消し、良好な現像を行うことができる。
【0066】
特に、現像剤搬送部材を弾性変形させて硬い保持部材から浮かせたり、供給部材との対峙位置においてのみ現像剤搬送部材を弾性体によって硬い保持部材に対し弾性保持したり、また、供給部材の表面をその軸芯に対し弾性変形させたりする軟接触手段を構成することで、現像剤搬送部材の表面と供給部材の表面との互いの良好な接触状態を簡単に得ることができる。しかも、現像剤搬送部材と保持部材との間に介設される弾性体によって軟接触手段を構成することで、現像剤搬送部材自身を弾性変形させる場合のバランス調整の条件設定の制約をなくして設計自由度を増大させ、より良好な現像を行うことができる。
【0067】
特に、供給部材表面の弾性率を現像剤搬送部材表面の弾性率よりも大きく設定することで、供給部材回転時の回転負荷変動を小さく抑えて、現像剤を安定して供給することができる。また、長時間放置後の供給部材表面の弾性変形を防止し、その後の供給部材の回転動作を円滑に行うことができる。しかも、供給部材の表面と接触する現像剤搬送部材の表面を弾性変形させ、供給部材の回転動作をスムーズに行えて、現像剤の供給や両部材の接触状態をより安定して維持し、良好な現像剤の搬送を行うことができる。
【0068】
更に、このような現像装置を画像形成装置に備えることで、現像剤搬送部材の表面上での現像剤の搬送不均一を解消して良好な現像を行い得る画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係わる現像装置が適用される電子写真方式を用いた画像形成装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】同現像装置の構成を示す模式図である。
【図3】同じくトナー搬送部材の構成を示す模式図である。
【図4】同トナー搬送部材に印加される電圧波形を示す波形図である。
【図5】同じく軟接触手段の構成を示す供給部材付近の拡大図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係わる現像装置に適用される軟接触手段の構成を示す供給部材付近の拡大図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係わる現像装置に適用される軟接触手段の構成を示す供給部材付近の拡大図である。
【図8】他の実施形態に係わる現像装置に適用される、トナー搬送部材を張力の付与によって弾性変形させる軟接触手段と供給部材を弾性変形させる軟接触手段との構成を示す供給部材付近の拡大図である。
【図9】その他の実施形態に係わる現像装置に適用される、トナー搬送部材を弾性体によって弾性変形させる軟接触手段と供給部材を弾性変形させる軟接触手段との構成を示す供給部材付近の拡大図である。
【符号の説明】
1 感光体ドラム(像担持体)
4 現像装置
41 トナー搬送部材(現像剤搬送部材)
41a 基材
41b 進行波発生電極(電極)
41c 表面保護層
43 支持部材(保持部材)
44 供給部材
49 軟接触手段
91 軟接触手段
91a 弾性体
93 軟接触手段
g 供給部材の軸芯
A 現像領域
T トナー(現像剤)
X 画像形成装置
Claims (5)
- 静電潜像をその表面に担持している像担持体に対向する現像領域に配置し、基材中に所定間隔を存して複数配列された電極に対する多相電圧の印加により形成される進行波電界によって現像剤を搬送する現像剤搬送部材を備えた現像装置において、
上記現像剤搬送部材に対しその表面への接触により現像剤を供給する供給部材が現像剤搬送部材の表面と対峙する対峙位置に設けられており、
上記現像剤搬送部材および供給部材の少なくとも一方には、現像剤搬送部材の表面と供給部材の表面とを互いに軟接触させる軟接触手段が設けられ、
この軟接触手段は、現像剤搬送部材をその裏面側において保持する保持部材に対し現像剤搬送部材を浮かせるように弾性変形させることによって、その表面を供給部材の表面に対し軟接触させていることを特徴とする現像装置。 - 静電潜像をその表面に担持している像担持体に対向する現像領域に配置し、基材中に所定間隔を存して複数配列された電極に対する多相電圧の印加により形成される進行波電界によって現像剤を搬送する現像剤搬送部材を備えた現像装置において、
上記現像剤搬送部材に対しその表面への接触により現像剤を供給する供給部材が現像剤搬送部材の表面と対峙する対峙位置に設けられており、
上記現像剤搬送部材および供給部材の少なくとも一方には、現像剤搬送部材の表面と供給部材の表面とを互いに軟接触させる軟接触手段が設けられ、
この軟接触手段は、現像剤搬送部材をその裏面側において保持する保持部材に対し供給部材との対峙位置においてのみ現像剤搬送部材を弾性的に保持する弾性体を備え、この弾性体によって、現像剤搬送部材の表面を供給部材の表面に対し軟接触させていることを特徴とする現像装置。 - 上記請求項1または請求項2に記載の現像装置において、
軟接触手段は、供給部材の表面をその軸芯に対し弾性変形させるように構成され、これによって、供給部材の表面と現像剤搬送部材の表面とを互いに軟接触させるようにするものであることを特徴とする現像装置。 - 上記請求項3に記載の現像装置において、
供給部材の表面をその軸芯方向に弾性変形させる弾性率は、現像剤搬送部材の表面を供給部材の表面に対し軟接触させる際の弾性率よりも大きく設定されていることを特徴とする現像装置。 - 上記請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の現像装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。
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