JP3713726B2 - 多層プリント配線板 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、いわゆるブラインドバイアホールを有する多層プリント配線板に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子技術における配線の高密度化に伴い、プリント配線板としては複数の配線層を積層させた多層構造の配線板が使用されるようになってきている。このような多層プリント配線板としては、外層と称されるプリント配線板間に内層と称されるプリント配線板を絶縁性の接着層を介して挟み込んだ構造が一般的である。
【0003】
そして、該多層プリント配線板においては、一般に、上下の外層の配線層間を接続するスルーホールが形成されており、また近年では配線密度を向上させるために、内層の配線層と外層の配線層とを接続する接続孔(以下、ブラインドバイアホールと称する。)が形成されるようになっており、その重要性が増している。
【0004】
上記ブラインドバイアホールを有する多層プリント配線板の製造方法の一例として、以下のような方法(いわゆる積層プレス法)が挙げられる。すなわち、先ず、積層板にブラインドバイアホールを形成するブラインド孔をドリルにより開け、これをメッキすることによりブラインドバイアホールを有する配線板を形成する。そして、このブラインドバイアホールを有する配線板に、やはりブラインドバイアホールを有する配線板を絶縁性の接着層(Bステージプリプレグ)を介して積層プレスする。次に、ドリルによりスルーホールを形成するスルーホール孔を開け、メッキすることによりスルーホールを形成して多層プリント配線板を製造する。
【0005】
その結果、内層が外層により挟み込まれ、内層の配線層と外層の配線層とを接続するブラインドバイアホールを有し、外層の配線層間を接続するスルーホールを有する多層プリント配線板が製造される。
【0006】
また、多層プリント配線板を製造する方法として、他には、以下に示すような方法(いわゆるビルドアップ法)が挙げられる。すなわち、内層の配線層(下層部導体回路)上にフォトソルダーレジストを塗布し、絶縁性の接着層(以下、絶縁層と称する。)を形成する。続いて、上記絶縁層に露光、現像処理をすることによりブラインド孔を設け、絶縁層の硬化(以下、ポストキュアと称する。)を行い、ドリルによりスルーホールを形成するスルーホール孔を形成する。そして、上記絶縁層上にメッキすることにより外層の配線層(上層部導体回路)を形成するとともに、外層の配線層(上層部導体回路)と内層の配線層(下層部導体回路)を電気的に接続するブラインドバイアホールを形成すると同時にスルーホールを形成する。
【0007】
その結果、内層が外層により挟み込まれ、内層の配線層と外層の配線層とを接続するブラインドバイアホールを有し、外層の配線層間を接続するスルーホールを有する多層プリント配線板が製造される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記積層プレス法においては、積層する個々の配線板に形成するブラインドバイアホールのメッキとスルーホールのメッキとを別個に行わなくてはならないのでメッキ工程が増え、製造コストが高くなるという問題点がある。
【0009】
また、上記のようにブラインドバイアホールとスルーホールのメッキを別個に行うと、外層の最外層の配線層はメッキ膜が2層重なったものとなる。従って、これをエッチングして回路を形成するにあたっては、合計メッキ膜厚が厚いため(通常80μm以上)、ファインパターンの回路形成が困難になるという問題もある。
【0010】
さらに、ブラインドバイアホールを形成した配線板の積層プレス時に、配線板相互の接着剤機能を担うBステージプリプレグが溶融してブラインドバイアホールから外層にまで染み出し、染み出した樹脂の除去作業が別途必要となるという問題もある。
【0011】
一方、上記ビルドアップ法においては、上述の積層プレス法のような不都合は解消されるものの、以下のような不都合が生じる。
【0012】
すなわち、上記ビルドアップ法においては、ブラインドバイアホールとなるべきブラインド孔が、通常、円形状に形成され、ブラインドバイアホールは、下層部導体回路側と上層部導体回路側においてほぼ同径である形状に形成される。この様な形状のブラインドバイアホールにおいては、ブラインド孔にメッキする際のメッキ液の浸入が悪く、メッキのつき回り性が悪い。従って、ブラインドバイアホールにおける下層部導体回路と上層部導体回路間の電気的な接続が良好に行われず、接続信頼性を損なうこともある。
【0013】
また、上記形状のブラインド孔においては、ブラインドバイアホールと上層部導体回路あるいは下層部導体回路との接続部のエッジ部に熱によるストレスが集中してかかりやすく、この部分で接続信頼性を損なうこともある。
【0014】
そこで本発明は、従来の実情に鑑みて提案されたものであり、ブラインドバイアホールのメッキのつき回り性が良好で、ブラインドバイアホールに熱によるストレスを受け難く、接続信頼性の高い多層プリント配線板およびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために本発明は、下層部導体回路上に少なくとも2層以上の積層構造とされ絶縁層を介して上層部導体回路が形成され、上記絶縁層の所定の位置に接続孔が形成され、上記接続孔内に施されたメッキにより上記上層部導体回路と上記下層部導体回路とが電気的に接続されてなり、上記絶縁層は、少なくとも上層部導体回路に接する層がそれ以外の層よりも絶縁層表面粗化処理剤に対して高い溶解性を有し、上記接続孔は、その孔径を上記下層部導体回路側の層から上記上層部導体回路側の層に行くに従って大径とされている。
【0024】
【作用】
本発明の多層プリント配線板において、絶縁層を少なくとも2層以上の積層構造とし、各層の所定の位置に接続孔を形成し、少なくとも上層部導体回路に接する層における孔径をそれ以外の層における孔径よりも大径とする、或いは各層における接続孔の孔径を下層部導体回路側の層から上層部導体回路側の層に行くに従って大径とし、接続孔の開口径が下層部導体回路側から上層部導体回路側に行くに従って段階的に広がるようにすれば、応力が分散され、熱によるストレスを接続孔に受け難くなる。
【0025】
【実施例】
まず、本発明の説明に先立って多層プリント配線板及びその製造方法の実施例について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
先ず、この種の多層プリント配線板の製造方法について説明する。なお、ここでは4層の配線層を有する多層プリント配線板を製造するものとする。
【0027】
この種の多層プリント配線板を製造するにあたっては、先ず、絶縁層の両面に金属箔、例えば銅箔が形成されている内層コア材を用意する。なお、この内層コア材の一方の銅箔が第1の配線層(下層部導体回路)となり、他方の銅箔が第2の配線層(下層部導体回路)となるように、両銅箔に対してパターン形成し、内層コア材の両面に内層配線(下層部導体回路)を形成する。
【0028】
このとき、上記内層コア材としては、一般には、絶縁層が厚さ50μm以上のエポキシ樹脂を含浸したガラス布からなり、第1の配線層および第2の配線層となる銅箔が厚さ35μm以下で形成されているものが好適である。
【0029】
上記絶縁層の厚さが50μm未満であると、第1の配線層と第2の配線層との間の絶縁信頼性が低下するので好ましくない。
【0030】
また、第1の配線層および第2の配線層となる銅箔の厚さが35μmよりも厚いと、後に形成する外層配線の平滑性を阻害し好ましくない。
【0031】
なお、第1の配線層および第2の配線層のパターン形成は、一般的な方法により行われる。例えば、銅箔にエッチングレジストとしてドライフィルムを貼り合わせ、所定の回路パターンを有するフォトツールを介して露光し、現像、エッチング、ドライフィルム剥離を順次行う写真法により、所定の回路パターンを有する第1の配線層および第2の配線層を形成することができる。上記エッチングレジストのパターン形成方法としては、スクリーン印刷法を使用することもできる。
【0032】
次に、内層コア材の所定の回路パターンを有する第1の配線層(下層部導体回路)形成面上に絶縁層を形成する。
【0033】
上記絶縁層の形成方法としては、例えば、液状フォトソルダーレジストをスクリーン印刷により塗布する方法、スプレーで吹き付ける方法等を使用することができる。
【0034】
次に、上記絶縁層に、第1の配線層(下層部導体回路)の接続部が臨み、ブラインドバイアホールを形成するブラインド孔を形成する。上記ブラインド孔を形成する方法としては、絶縁層がフォトソルダーレジストからなる場合には、上記フォトソルダーレジストに対してフォトツールを介して露光し、現像を行う写真法が挙げられる。なお、上記ブラインド孔はレーザー光で形成してもよく、サンドブラスト等により形成してもよい。
【0035】
続いて、内層コア材の反対側の面、第2の配線層(下層部導体回路)形成面上にも絶縁層を形成する。この絶縁層も上述のように、例えばフォトソルダーレジストをスクリーン印刷により塗布する方法、スプレーで吹き付ける方法等で形成できる。
【0036】
次いで、上記絶縁層に対しても、第2の配線層(下層部導体回路)の接続部が臨み、ブラインドバイアホールを形成するブラインド孔を形成する。
【0037】
そして、両面に絶縁層の形成された内層コア材の所定の位置に、スルーホールを形成するスルーホール孔を形成する。このスルーホール孔は、通常のドリル(例えばドリル径0.2〜0.4mm程度)で形成すればよいが、金型を用いてパンチで形成してもよく、またレーザー光等で形成してもよい。
【0038】
続いて、内層コア材上に形成された絶縁層を膨潤させる。この絶縁層の膨潤に用いる薬品としてはジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルオキシド(DMSO)、N−メチル2ピロリドン(NMP)、ピリジン等を用いることができる。
【0039】
次に、膨潤させた絶縁層表面に粗化処理を施し、後工程のメッキを容易にするためのメッキアンカーを形成する。この粗化処理には、過マンガン酸カリウム、二クロム酸カリウム、濃硫酸等、酸化力のある薬品を用いることができる。
【0040】
次いで、粗化処理を施した絶縁層上にメッキ層(例えば銅メッキ層)を形成する。このメッキ層の形成は、常法により、無電解メッキにより行うが、無電解メッキと電気メッキを併用して行い、絶縁層の表面およびブラインド孔、スルーホール孔の孔内の全面をメッキ層が覆うようにすることが好ましい。
【0041】
次に、上記メッキ層をパターニングして内層コア材の両面に形成される絶縁層上に所定の回路パターンを有する第3,4の配線層よりなる外層配線(上層部導体回路)を形成する。すなわち、内層配線(下層部導体回路)および外層配線(上層部導体回路)が絶縁層により絶縁され、かつ、メッキ層で導電性が付与されたブラインドバイアホールによって外層配線と内層配線間が電気的に接続され、さらに、メッキ層で導電性が付与されたスルーホールによって外層配線間が電気的に接続された4層の配線層を有する多層プリント配線板が製造されることとなる。
【0042】
次に、上述の製造方法を用いて実際に以下の条件の下に多層プリント配線板を製造した。
まず、製造した多層プリント配線板の構造について述べる。
【0043】
〔先行例〕
多層プリント配線板の構造
本発明の先行例としての多層プリント配線板は、図1に示すように、両面に第1の配線層2(下層部導体回路)及び第2の配線層3(下層部導体回路)が内層配線(下層部導体回路)として形成される内層コア材1の両面上に絶縁層4,5を介して第3の配線層6(上層部導体回路)及び第4の配線層7(上層部導体回路)が外層配線(上層部導体回路)としてそれぞれ形成されたものである。
【0044】
そして、内層配線と外層配線間、すなわち第1の配線層2,第3の配線層6間、第2の配線層3,第4の配線層7間を接続する接続孔であるブラインドバイアホール8,9がそれぞれ形成され、また外層配線間、すなわち第3の配線層6,第4の配線層7間を接続するスルーホール10が形成されたものである。
【0045】
このとき、本実施例の多層プリント配線板においては、特に、上記ブラインドバイアホール8,9の形状が、内層配線側(下層部導体回路側)から外層配線側(上層部導体回路側)へ行くに従って次第にその開口径が大きくなる、いわゆるすり鉢状とされている。
【0046】
従来の多層プリント配線板におけるブラインドバイアホールは、円形状であったので、これにメッキする際には垂直面に対してメッキ液を流し込むこととなり、メッキつき回り性が良好とは言えなかった。
【0047】
しかし、本実施例の多層プリント配線板においては、ブラインドバイアホールの形状がすり鉢状であることから、これをメッキする際にメッキ液は傾斜面に流れ込むこととなるため、メッキのつき回り性が良好となる。
【0048】
また、ブラインドバイアホール内のエッジ部が従来よりも緩い角度となることから、ブラインドバイアホールに熱によるストレスを受け難くなる。
【0049】
なお、上記ブラインドバイアホール8,9の下層部導体回路側における底面での孔径と上層部導体回路側における開口面での孔径の差は、50μm以上であることが好ましい。孔径の差が50μm未満であると、ブラインドバイアホールのメッキつき回り性を得ることができず、またブラインドバイアホールに対する熱によるストレスを受け難くすることが難しい。
【0050】
多層プリント配線板の製造方法
上述した構造を持つ多層プリント配線板を製造するには、先ず、内層コア材として厚さ0.2mm、銅箔厚さ18μmの両面基板である東芝ケミカル社製TLC−W−551(商品名)を用意した。
【0051】
そして、上記両面基板の銅箔に下層部導体回路を形成した。具体的には、両面銅箔表面をバフおよびスクラブにより整面し、両銅箔全面にそれぞれドライフィルム(旭化成工業社製、サンフォオートAQ5044(商品名))を貼り合わせた。次に、パターンフィルムを介して露光機(オーク社製、露光機HMW−551D(機種名))により露光し、3%苛性ソーダでドライフィルムを剥離して、図2に示すように、内層コア材1の両面に第1の配線層2(下層部導体回路)と第2の配線層3(下層部導体回路)を形成し、内層配線(下層部導体回路)を形成した。
【0052】
次に、第1,2の配線層2,3(下層部導体回路)の表面をバフおよびスクラブにより整面し、図3に示すように第1の配線層2形成面上に絶縁層4を形成した。すなわち、液状フォトソルダーレジスト(太陽インキ製造社製、BT−90(商品名))を第1の配線層2形成面上にスクリーン印刷により塗布し、ボックスオーブンで80℃、30分の加熱乾燥を行い、絶縁層4を形成した。なお、スクリーン印刷用の印刷装置としては、ニューロング工業社製のLS−50(機種名)を用い、スクリーン版をテトロンメッシュ100とし、乳剤厚みを20μmとした。
【0053】
続いて、図4に示すように、絶縁層4の所定の位置にブラインドバイアホールを形成し、第1の配線層2の接続部の一部を露呈させるようなブラインド孔11を形成した。すなわち、ブラインドバイアホール形成位置に直径0.1〜0.3mmのブラインド孔11を形成するものとし、絶縁層4にフォトマスクフィルムを密着させ、露光機(オーク社製、HMW−551D(機種名)、露光量1200mJ/cm2)により露光し、3%炭酸ソーダで30℃、180秒間の現像を行い、ブラインド孔11を形成した。
【0054】
このとき、上記フォトマスクフィルムのブラインド孔形成部分の形状は円形であり、本来円形状のブラインド孔が形成される。しかし、本実施例においては露光量を過剰としているため、絶縁層4の下層である第1の配線層2による反射が起こり、ハレーションが発生し、ブラインド孔11は第1の配線層2側(下層部導体回路側)から絶縁層4の表面4a側(上層導体回路側)へ行くに従ってその開口径が次第に大きくなる、いわゆるすり鉢状の孔部として形成される。
【0055】
続いて、図5に示すように、第2の配線層3形成面上にも絶縁層4と同様の手順で絶縁層5を形成し、且つ該絶縁層5の所定の位置にブラインドバイアホールを形成し、第2の配線層3の接続部の一部を露呈させるようなブラインド孔12を形成した。
【0056】
次に、絶縁層4,5を硬化させるべく、ボックスオーブンにて150℃、30分間のポストキュアを行った。
【0057】
次に、図6に示すように、絶縁層4,5及び内層コア材1を貫通し、スルーホールを形成するスルーホール孔13を所定の位置に形成した。このスルーホール孔13は、NCドリルマシーン(日立精工社製、H−MAPK90J(機種名))に、径0.25mmのドリルを装着して形成した。
【0058】
次に、上記絶縁層4,5をコンディショナー(荏原電産社製、エレクトロブライトDI−464(機種名))にて膨潤させ、過マンガン酸カリウムにより粗化処理を施すことにより、絶縁層4,5表面に後工程により形成されるメッキ層との密着性を向上するメッキアンカーを形成した。
【0059】
続いて、図7に示すように、絶縁層4,5上にパネルメッキ、すなわち無電解銅メッキの後、電気メッキを施し、メッキ層14を形成する。なお、このとき、ブラインド孔11,12内及びスルーホール孔13内にもメッキ層14が形成される。
【0060】
すなわち、本実施例においては、ブラインド孔11,12とスルーホール孔13が同時にメッキされることとなり、従来よりもメッキ工程を減らすことができ、生産性を向上させることが可能である。
【0061】
次に、上記メッキ層14を所定の回路パターンに加工し、図1に示すように第3の配線層6,第4の配線層7(上層部導体回路)よりなる外層配線(上層部導体回路)、及び内層配線と外層配線間、すなわち第1,2の配線層2,3(下層部導体回路)と第3,4の配線層6,7(上層部導体回路)を接続するブラインドバイアホール8,9、また外層配線間、すなわち第3,4の配線層6,7間を接続するスルーホール10を形成し、本実施例の多層プリント配線板を作製した。
【0062】
このとき、本実施例においては、外層配線が一層のメッキ層により形成されており、ファインパターンの回路形成にも十分対応可能である。
【0063】
実験例1
次に、上記製造方法のうち、ブラインド孔を露光により形成する工程における露光量と、ブラインドバイアホールの接続信頼性との関係について述べる。すなわち、ブラインド孔を形成する際の露光量を200〜1500(mJ/cm2 )で変化させて多層プリント配線板を製造し、製造した多層プリント配線板のブラインドバイアホールの接続信頼性との関係を調査した。
【0064】
上記接続信頼性の評価は、JIS C5012 9.3の熱衝撃試験方法に準じて行い、油への浸せきを260℃×10秒とし、溶媒の代わりに油を用い、該油への浸せきを25℃×30秒とした。
【0065】
そして、ブラインドバイアホールが7,000孔連続して形成されている基板10枚を、すなわち70,000孔のブライインドバイアホールを上記サイクルで温度の異なる油に浸せきさせ、300サイクル以上もったものを○、それ以外を×として評価した。
【0066】
また、接続信頼性の評価と同時に各露光量におけるステップタブレット(日立化成社製、PHOTEC(商品名)21段)の段数およびブラインド孔径の差δを測定した。上記ブラインド孔径の差とは、図8に示すように、例えばブラインド孔11において、図中Rで示す第1の配線層2(下層部導体回路)側の底面における孔径と図中R´で示す絶縁層4の表面4a側の開口面における孔径との差であり、δ=R´−Rで示される。他方のブラインド孔12においても同様である。なお、このときの絶縁層4,5の膜厚は、大凡40μmであった。これらの結果を表1に示す。
【0067】
【表1】
【0068】
表1の結果から、露光量を1000mJ/cm2以上、ステップタブレットを10段以上とした場合に、ブラインド孔径の差δが50μm以上となり、接続信頼性の評価結果が良好となることがわかった。
【0069】
〔実施例〕
次に、本発明に係る多層プリント配線板の構造について述べる。
【0070】
多層プリント配線板の構造
この多層プリント配線板は、図9に示すように、内層コア材21の両面に第1の配線層22及び第2の配線層23が内層配線(下層部導体回路)として形成され、内層配線上に絶縁層24,25を介して第3の配線層26及び第4の配線層27が外層配線(上層部導体回路)としてそれぞれ形成されている。
【0071】
そして、内層配線と外層配線間、すなわち第1の配線層22,第3の配線層26間、第2の配線層23,第4の配線層27間がブラインドバイアホール28,29によりそれぞれ接続され、また外層配線間、すなわち第3の配線層26,第4の配線層27間がスルーホール30により接続されたものである。
【0072】
このとき、本実施例の多層プリント配線板においては、特に、絶縁層24,25がそれぞれ下層24a,25aと上層24b,25bを積層した積層構造とされており、これら下層24a,25aと上層24b,25bにより、ブラインドバイアホール28,29が内層配線側(下層部導体回路側)から外層配線側(上層部導体回路側)へ行くに従って次第にその開口径が段階的に広がるような、いわゆる階段状とされている。
【0073】
従って、本実施例の多層プリント配線板においては、ブラインドバイアホールの形状が階段状であることから、これをメッキする際にメッキ液が前述の従来のものよりも流れ込み易く、メッキのつき回り性が良好となる。また、ブラインドバイアホール内において応力が分散されることから、ブラインドバイアホールに熱によるストレスを受け難くなる。
【0074】
なお、本実施例の多層プリント配線板においても、上記ブラインドバイアホール28,29の下層部導体回路側における底面での孔径と上層部導体回路側における開口面での孔径の差は、50μm以上であることが好ましい。孔径の差が50μm未満であると、ブラインドバイアホールのメッキつき回り性を得ることができず、またブラインドバイアホールに対する熱によるストレスを受け難くすることが難しい。
【0075】
上記本実施例の多層プリント配線板において、階段状のブラインドバイアホールを形成する方法としては、以下のような2つの方法が挙げられる。
【0076】
多層プリント配線板の製造方法
先ず、第1の方法として、絶縁層24,25の下層24a,25aと上層24b,25bの絶縁層表面粗化処理剤に対する溶解性に差異をもたせる方法が挙げられる。そして、溶解性に差異をもたせる方法としては、例えば以下に示すような方法が挙げられる。
【0077】
すなわち、先ず、絶縁層24,25の下層24a,25aを絶縁層表面粗化処理剤に対する溶解性が比較的低いもので形成し、上層24b,25bを絶縁層表面粗化処理剤に対する溶解性が比較的高いもので形成する方法が挙げられる。
【0078】
上記絶縁層表面粗化処理剤に対する溶解性が比較的高いものとしては、本発明者等が先に提案した特願平5−315585号明細書に記載されるようなアルカリ現像型レジストインクが挙げられ、溶解性が比較的低いものとしては、通常のフォトソルダーレジストが挙げられ、太陽インキ製造社製のPSR−4000H59K(商品名)等が例示される。
【0079】
また、絶縁層24,25の下層24a,25a、上層24b,25b共に前記アルカリ現像型レジストインクにより形成しても良い。この場合、上層24b,25bを形成するアルカリ現像型レジストインクの加熱硬化処理温度を、下層24a,24bを形成するアルカリ現像型レジストインクの加熱硬化処理温度よりも低くすることにより、硬化の度合いに差をもたせ、上層24b,25bの絶縁層表面粗化処理剤に対する溶解性を比較的高いものとすることができ、溶解性に差異をもたせることができる。
【0080】
さらに、絶縁層24,25の上層24b,25bを形成する絶縁層表面粗化処理剤に対する溶解性の比較的高い材料としては、次のような樹脂も挙げられる。
【0081】
すなわち、通常の液状フォトソルダーレジストに、粉末状のエポキシ化合物を混練したものが挙げられる。このような樹脂においては、粉末状のエポキシ化合物の熱硬化反応速度が通常の液状フォトソルダーレジストの熱硬化反応速度より遅いため、熱硬化後、樹脂中に未硬化のエポキシ化合物と硬化したエポキシ化合物とが混在することになるため、この未硬化エポキシ化合物によって、前記粗化処理剤に対する溶解性を高くすることができる。溶解性の高低は、このエポキシ化合物の添加量で調整することができる。
【0082】
なお、上記エポキシ化合物は、融点が65℃以上のものをフォトソルダーレジスト100重量部に対して5〜100重量部の範囲で添加することが望ましい。融点が65℃未満のエポキシ化合物では、熱硬化反応速度の差が不十分で、前記溶解性を高める効果を十分に得られず、好適でない。また、混練する粉末状のエポキシ化合物の量が100重量部を越えると、上層24b,25bの溶解性が過大となり、上層24b,25bの機械的強度不足、絶縁劣化等の観点から好ましくなく、また現像性の低下という観点からも好適でない。
【0083】
次に、上記のように絶縁層の上層と下層の絶縁層表面粗化処理剤に対する溶解性に差異をもたせる方法を適用した本実施例の多層プリント配線板の製造方法を2種類、以下に示す。
【0084】
多層プリント配線板の製造方法1−1
第1の製造方法においては、先ず、先行例と同様に、第1の配線層22及び第2の配線層23よりなる下層部導体回路を形成した。
【0085】
次に、上記下層部導体回路の表面をバフおよびスクラブにより整面した後、図10に示すように第1の配線層22形成面上に下層24a,上層24bを積層形成してなる絶縁層24を形成した。
【0086】
すなわち、通常の液状フォトソルダーレジスト(太陽インキ製造社製、BT−A1(商品名))をスクリーン印刷法により塗布し、ボックスオーブンで80℃、10分の加熱乾燥を行って、下層24aを形成し、続いて、絶縁層表面粗化処理剤に対する溶解性に優れた液状フォトソルダーレジスト(太陽インキ製造社製、BT−90(商品名))を下層24aの上に、スクリーン印刷により塗布し、ボックスオーブンで80℃、25分の加熱乾燥を行って上層24bを形成した。なお、スクリーン印刷用の印刷装置としては、ニューロング工業社製のLS−50(機種名)を用い、スクリーン版をテトロンメッシュ100とし、乳剤厚みを20μmとした。
【0087】
続いて、図11に示すように、絶縁層24の所定の位置にブラインドバイアホールを形成し、第1の配線層22の接続部の一部を露呈させるストレート穴であるブラインド孔31を形成した。すなわち、ブラインドバイアホール形成位置に直径0.1〜0.3mmのブラインド孔31を形成するものとし、フォトマスクフィルムを密着させ、露光機(オーク社製、HMW−551D(機種名)、露光量500mJ/cm2 )により露光し、3%炭酸ソーダで30℃、180秒間の現像を行い、ブラインド孔31を形成した。
【0088】
次に、図12に示すように、第2の配線層23形成面上にも、絶縁層24と同様にして下層25a,上層25bよりなる絶縁層25を形成し、ブラインド孔31と同様にしてブラインド孔32を形成した。
【0089】
続いて、絶縁層24,25のポストキュアーを先行例と同様に行った後、図5に示すように、絶縁層24,25及び内層コア材21を貫通し、スルーホールを形成するスルーホール孔33を所定の位置に先行例と同様にして形成した。
【0090】
次に、上記絶縁層24,25を実施例1と同様にして膨潤させた後、粗化処理を行った。その結果、図14に示すように、絶縁層24,25の上層24b,25bの絶縁層表面粗化処理剤に対する溶解性が下層24a,25aよりも高いことから、下層24a,25aにおけるブラインド孔の孔径よりも上層24a,25aにおける孔径が大きくなり、ブラインド孔31,32は第1,2の配線層22,23側(下層部導体回路側)から絶縁層表面24c,25c側(上層部導体回路側)へ行くに従って次第にその開口径が段階的に広がるような、いわゆる階段状となる。
【0091】
次に、先行例と同様に、メッキ層を形成し、これを所定の回路パターンに加工し、図9に示すように第3の配線層26,第4の配線層27よりなる外層配線(上層部導体回路)、及び内層配線と外層配線間、すなわち第1,2の配線層22,23(下層部導体回路)と第3,4の配線層26,27(上層部導体回路)を接続するブラインドバイアホール28,29、また外層配線間、すなわち第3,4の配線層26,27間を接続するスルーホール30を形成し、本実施例の多層プリント配線板を作製した。
【0092】
このとき、本実施例においては、ブラインド孔31,32とスルーホール孔33が同時にメッキされることとなり、従来よりもメッキ工程を減らすことができ、生産性を向上させることが可能である。また、外層配線が一層のメッキ層により形成されることとなるため、ファインパターンの回路形成にも十分対応可能である。
【0093】
多層プリント配線板の製造方法1−2
次に、第2の製造方法について述べる。上記第2の製造方法においては、先ず、先行例と同様に、第1の配線層22及び第2の配線層23よりなる下層部導体回路を形成した。
【0094】
次に、上記下層部導体回路の表面をバフおよびスクラブにより整面した後、図15に示すように第1の配線層22側に絶縁層24を構成する下層24aを前述の第1の製造方法と同様にして形成した。ただし、フォトソルダーレジストとして、太陽インキ製造社製のBT−90(商品名)を用いた。
【0095】
次に、図16に示すように、前述の第1の製造方法と同様にしてブラインド孔31を構成する第1の孔部31aを形成した。ただし、使用するマスクフィルム径は0.15mmとした。
【0096】
続いて、図17に示すように、第2の配線層23形成面上にも上記下層24aと同様に絶縁層25を構成する下層25aを形成し、該下層25aにも図18に示すようにブラインド孔32を形成する第1の孔部32aを第1の孔部31aと同様に形成した。ただし、使用するマスクフィルム径は0.15mmとした。
【0097】
次に、ボックスオーブンで170℃、30分間のポストキュアを行い、下層24a,25aを硬化させた。
【0098】
次に、図19に示すように、下層24a上に上層24bを第1の製造方法と同様にして形成して絶縁層24を形成し、図20に示すように上記上層24bにブラインド孔31を形成する第2の孔部31bを第1の孔部31aが形成された位置にこの第1の孔部31aと同形状の孔部として形成し、ブラインド孔31を形成した。ただし、使用するマスクフィルム径は0.15mmとした。
【0099】
次に、図21に示すように、下層25a形成面上にも上層25bを先の上層24bと同様にして形成して絶縁層25を形成し、図22中に示すように上層25bにも第2の孔部32bを先の第2の孔部31bと同様にして形成してブラインド孔32を形成した。
【0100】
次に、ボックスオーブンで140℃、30分間のポストキュアを行い、上層24b,25bを硬化させた。
【0101】
続いて、先に示した図13に示すように、絶縁層24,25及び内層コア材21を貫通し、スルーホールを形成するスルーホール孔33を所定の位置に実施例1と同様にして形成した。
【0102】
次に上記絶縁層24,25を実施例1と同様にして膨潤させた後、粗化処理を行った。その結果、絶縁層24,25の下層24a,25aと上層24b,25bで硬化の度合いが異なり、絶縁層24,25の上層24b,25bの絶縁層表面粗化処理剤に対する溶解性が下層24a,25aよりも高いことから、先に示した図14に示すように、下層24a,25aにおけるブラインド孔の孔径よりも上層24a,25aにおける孔径が大きくなり、ブラインド孔31,32は第1,2の配線層22,23側(下層部導体回路側)から絶縁層表面24c,25c側(上層部導体回路側)へ行くに従って次第にその開口径が段階的に広がるような、いわゆる階段状となる。
【0103】
次に、先行例と同様に、図23に示すようなメッキ層34を形成し、これを所定の回路パターンに加工し、図9に示すように第3の配線層26,第4の配線層27よりなる外層配線(上層部導体回路)、及び内層配線と外層配線間、すなわち第1,2の配線層22,23(下層部導体回路)と第3,4の配線層26,27(上層部導体回路)を接続するブラインドバイアホール28,29、また外層配線間、すなわち第3,4の配線層26,27間を接続するスルーホール30を形成し、本実施例の多層プリント配線板を作製した。
【0104】
このとき、本実施例においても、ブラインド孔31,32とスルーホール孔33が同時にメッキされることとなり、従来よりもメッキ工程を減らすことができ、生産性を向上させることが可能である。また、外層配線が一層のメッキ層により形成されることとなるため、ファインパターンの回路形成にも十分対応可能である。
【0105】
実験例2
次に、上記第1の製造方法の粗化処理工程の粗化処理時間とブラインドバイアホールの接続信頼性の関係について述べる。すなわち、第1の製造方法における過マンガン酸カリウムによる粗化処理時間を変化させて多層プリント配線板を製造し、製造した多層プリント配線板のブラインドバイアホールの接続信頼性との関係を実施例1で述べた方法で調査した。
【0106】
また、このときのブラインド孔径の差δも測定した。上記ブラインド孔径の差δは、先行例と同様であり、図24に示すように、例えばブラインド孔31において、図中Rで示す第1の配線層22(下層部導体回路)側の底面における孔径と図中R´で示す絶縁層24の表面24c側の開口面における孔径との差であり、δ=R´−Rで示される。他方のブラインド孔32においても同様である。なお、このときの絶縁層24,25の厚さは約70μmであった。これらの結果を表2に示す。
【0107】
【表2】
【0108】
表2の結果から、過マンガン酸カリウムによる粗化処理時間を5分以上とした場合に、ブラインド孔径の差δが50μm以上となり、接続信頼性の評価結果が良好となることがわかった。
【0109】
多層プリント配線板の製造方法2
次に、階段状のブラインドバイアホールを形成する第2の方法について述べる。すなわち、絶縁層24,25の下層24a,25aと上層24b,25bにそれぞれ異なった孔径の孔部を形成し、上層24b,25bにおける孔径を下層24a,24bにおける孔径よりも大きくなるようにする。
【0110】
異なった孔径の孔部を形成するには、上層24b,25bに孔部を形成する際のフォトツールの孔部形成部分のマスクの径を下層24a,25aに孔部を形成する際のフォトツールの孔部形成部分のマスクの径よりも大径とすれば良く、フォトツールのマスク径の差を50μm以上とすることが好ましい。
【0111】
次に、上記のようにフォトツールのマスクの径に差をもたせる方法を適用した本実施例の多層プリント配線板の製造方法を以下に示す。
【0112】
先ず、先行例と同様にして、第1の配線層22及び第2の配線層23よりなる下層部導体回路を形成した。
【0113】
次に、上記下層部導体回路の表面をバフおよびスクラブにより整面した後、先に示した図15に示すように第1の配線層22側に絶縁層24を構成する下層24aを形成した。すなわち、液状フォトソルダーレジスト(太陽インキ製造社製、BT−90(商品名))をスクリーン印刷法により塗布し、ボックスオーブンで80℃、30分の加熱乾燥を行って下層24aを形成した。なお、スクリーン印刷用の印刷装置としては、ニューロング工業社製のLS−50(機種名)を用い、スクリーン版をテトロンメッシュ100とし、乳剤厚みを20μmとした。
【0114】
次に、図16に示すように、ブラインド孔31を形成する第1の孔部31aを形成した。すなわち、ブラインドバイアホール形成位置にフォトツールとして直径0.15mmのマスクフィルムを密着させ、露光機(オーク社製露光機、HMW−551D(商品名)、露光量500mJ/cm2)により露光し、3%炭酸ソーダで30℃、90秒間の現像を行い、第1の孔部31aを形成した。
【0115】
続いて、図25に示すように、下層24a上に上層24bを形成し、絶縁層24を形成した。すなわち、液状フォトソルダーレジスト(太陽インキ製造社製、BT−90(商品名))をスクリーン印刷法により塗布し、ボックスオーブンで80℃、30分の加熱乾燥を行った。なお、スクリーン印刷用の印刷装置としては、ニューロング工業社製のLS−50(機種名)を用い、スクリーン版をテトロンメッシュ100とし、乳剤厚みを20μmとした。
【0116】
次に、図26に示すように、上層24bにブラインド孔31を形成する第2の孔部31bを形成し、ブラインド孔31を形成した。すなわち、ブラインドバイアホール形成位置にフォトツールとして先の第1の孔部31bを形成するのに用いたマスクよりも大きい直径0.25mmのマスクフィルムを密着させて露光機(オーク社製露光機、HMW−551D(商品名)、露光量500mJ/cm2)により露光し、3%炭酸ソーダで30℃、180秒間の現像を行った。
【0117】
次に、図27に示すように、第2の配線層23形成面上にも上記下層24aと同様に絶縁層25を構成する下層25aを形成し、該下層25aにもブラインド孔32を形成する第1の孔部32aを先の第1の孔部31aと同様に形成した。
【0118】
続いて、図28に示すように、上記下層25a上に上層25bを先の上層24bと同様に形成し、絶縁層25を形成した。そして、上記上層25bにブラインド孔32を形成する第2の孔部32bを先の第2の孔部31bと同様に形成し、ブラインド孔32を形成した。
【0119】
すなわち、上記ブラインド孔31,32においては、下層24a,25aの孔径よりも上層24b,25bの孔径が大きくなり、ブラインド孔31,32は第1,2の配線層22,23側(下層部導体回路側)から絶縁層表面24c,25c側(上層部導体回路側)へ行くに従って次第にその開口径が段階的に広がるような、いわゆる階段状となる。
【0120】
次に、先に示した図13に示すように、絶縁層24,25及び内層コア材21を貫通し、スルーホールを形成するスルーホール孔33を所定の位置に先行例と同様にして形成した。
【0121】
次に、先行例と同様にして図23に示すようなメッキ層34を形成し、これを所定の回路パターンに加工し、図9に示すように第3の配線層26,第4の配線層27よりなる外層配線(上層部導体回路)、及び内層配線と外層配線間、すなわち第1,2の配線層22,23(下層部導体回路)と第3,4の配線層26,27(上層部導体回路)を接続するブラインドバイアホール28,29、また外層配線間、すなわち第3,4の配線層26,27間を接続するスルーホール30を形成し、本実施例の多層プリント配線板を作製した。
【0122】
このとき、本実施例においても、ブラインド孔31,32とスルーホール孔33が同時にメッキされることとなり、従来よりもメッキ工程を減らすことができ、生産性を向上させることが可能である。また、外層配線が一層のメッキ層により形成されることとなるため、ファインパターンの回路形成にも十分対応可能である。
【0123】
実験例3
次に、上記製造方法における下層に第1の孔部を形成する際のフォトツールのマスクの径と上層に第2の孔部を形成する際のフォトツールのマスクの径の差とブラインドバイアホールの接続信頼性の関係について述べる。すなわち、上述の製造方法において下層に第1の孔部を形成する際のフォトツールのマスクの径を一定としておいて上層に第2の孔部を形成する際のフォトツールのマスクの径を変化させて多層プリント配線板を製造し、製造した多層プリント配線板のブラインドバイアホールの接続信頼性との関係を先行例で述べた方法で調査した。なお、このときの絶縁層24,25の厚さは約70μmであった。これらの結果を表3に示す。
【0124】
【表3】
【0125】
表3の結果から、上層に第2の孔部を形成する際のフォトツールのマスクの径が0.20mm以上、すなわち下層に第1の孔部を形成する際のマスクの径と上層に第2の孔部を形成する際のマスクの径の差が50μm以上である場合に、接続信頼性の評価結果が良好であることがわかった。
【0126】
以上のように、上述した先行例及び本発明の実施例の多層プリント配線板においては、下層部導体回路と上層部導体回路を電気的に接続するブラインドバイアホールを、下層部導体回路側から上層部導体回路側へ行くに従って開口径が大径とされる形状とし、ブラインドバイアホールをすり鉢状若しくは階段状構造としているため、優れたメッキつき回り性が得られると共に、熱衝撃等による応力を緩和することができ、熱によるストレスを受け難くすることができる。従って、ブラインドバイアホール断線を無くし、接続信頼性の高い多層プリント配線板が得られる。
【0127】
また、上記実施例で述べた多層プリント配線板の製造方法は、ビルドアップ法を適用したものであるので、積層プレス工程を必要とせず、容易に多層プリント配線板を製造でき、また生産設備も縮小できる。さらに、ドリルを用いることなく、ブラインド孔を形成することができるため、大幅な生産性の向上、コスト低減を図ることができる。また、メッキ工程が1回で済むことから、コスト低減が図れ、しかも最外層のメッキ層を1層と薄くできるため、ファインパターンの回路形成に十分対応することができる。
【0128】
さらに、上記多層プリント配線板の製造方法においては、その設備は既存のプリント配線板製造設備で足り、特殊な設備は不要である。また、特殊な材料も不要である。すなわち、従来より使用され、信頼性の確立した設備と材料を使用して多層プリント配線板を製造できるので、得られる多層プリント配線板の信頼性も高い。
【0129】
なお、上述の実施例においては、本発明の多層プリント配線板およびその製造方法を4層の配線層を有する多層プリント配線板に適用した例について述べたが、本発明が2層あるいは6層、8層、それ以上の配線層を有するような、より多層のプリント配線板にも適用できることは言うまでもない。
【0130】
さらに、本発明においては、絶縁層を2層の積層構造とした例について述べたが、本発明が絶縁層を3層以上のより多層構造とした場合にも適用可能であることは言うまでもない。
【0133】
【発明の効果】
上述したように、本発明に係る多層プリント配線板において、絶縁層を少なくとも2層以上の積層構造とし、各層の所定の位置に接続孔を形成し、少なくとも上層部導体回路に接する層における孔径をそれ以外の層における孔径よりも大径とする、或いは各層における接続孔の孔径を下層部導体回路側の層から上層部導体回路側の層に行くに従って大径とし、接続孔の開口径が下層部導体回路側から上層部導体回路側に行くに従って段階的に広がるようにすれば、応力が分散され、熱によるストレスを接続孔に受け難くなる。
【0134】
従って、本発明の多層プリント配線板においては、ブラインドバイアホール断線をなくし、接続信頼性を高めることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した多層プリント配線板の一実施例を示す断面図である。
【図2】本発明を適用した多層プリント配線板の製造方法の一例を工程順に示すものであり、内層コア材の両面に第1,2の配線層を形成する工程を示す断面図である。
【図3】本発明を適用した多層プリント配線板の製造方法の一例を工程順に示すものであり、第1の配線層形成面上に絶縁層を形成する工程を示す断面図である。
【図4】本発明を適用した多層プリント配線板の製造方法の一例を工程順に示すものであり、第1の配線層側の絶縁層にブラインド孔を形成する工程を示す断面図である。
【図5】本発明を適用した多層プリント配線板の製造方法の一例を工程順に示すものであり、第2の配線層側に絶縁層及びブラインド孔を形成する工程を示す断面図である。
【図6】本発明を適用した多層プリント配線板の製造方法の一例を工程順に示すものであり、スルーホール孔を形成する工程を示す断面図である。
【図7】本発明を適用した多層プリント配線板の製造方法の一例を工程順に示すものであり、メッキ層を形成する工程を示す断面図である。
【図8】すり鉢状のブラインド孔におけるブラインド孔径の差を示す要部拡大断面図である。
【図9】本発明を適用した多層プリント配線板の他の実施例を示す断面図である。
【図10】本発明を適用した多層プリント配線板の製造方法の他の例を工程順に示すものであり、第1の配線層形成面上に絶縁層を形成する工程を示す断面図である。
【図11】本発明を適用した多層プリント配線板の製造方法の他の例を工程順に示すものであり、第1の配線層側の絶縁層にブラインド孔を形成する工程を示す断面図である。
【図12】本発明を適用した多層プリント配線板の製造方法の他の例を工程順に示すものであり、第2の配線層側に絶縁層及びブラインド孔を形成する工程を示す断面図である。
【図13】本発明を適用した多層プリント配線板の製造方法の他の例を工程順に示すものであり、スルーホール孔を形成する工程を示す断面図である。
【図14】本発明を適用した多層プリント配線板の製造方法の他の例を工程順に示すものであり、絶縁層に粗化処理を行った後の状態を示す断面図である。
【図15】本発明を適用した多層プリント配線板の製造方法のさらに他の例を工程順に示すものであり、第1の配線層形成面上に絶縁層の下層を形成する工程を示す断面図である。
【図16】本発明を適用した多層プリント配線板の製造方法のさらに他の例を工程順に示すものであり、第1の配線層側の絶縁層の下層に第1の孔部を形成する工程を示す断面図である。
【図17】本発明を適用した多層プリント配線板の製造方法のさらに他の例を工程順に示すものであり、第2の配線層形成面上に絶縁層の下層を形成する工程を示す断面図である。
【図18】本発明を適用した多層プリント配線板の製造方法のさらに他の例を工程順に示すものであり、第2の配線層側の絶縁層の下層に第1の孔部を形成する工程を示す断面図である。
【図19】本発明を適用した多層プリント配線板の製造方法のさらに他の例を工程順に示すものであり、第1の配線層側の絶縁層の下層上に上層を形成し、絶縁層を形成する工程を示す断面図である。
【図20】本発明を適用した多層プリント配線板の製造方法のさらに他の例を工程順に示すものであり、第1の配線層側の絶縁層の上層に第2の孔部を形成する工程を示す断面図である。
【図21】本発明を適用した多層プリント配線板の製造方法のさらに他の例を工程順に示すものであり、第2の配線層側の絶縁層の下層上に上層を形成し、絶縁層を形成する工程を示す断面図である。
【図22】本発明を適用した多層プリント配線板の製造方法のさらに他の例を工程順に示すものであり、第2の配線層側の絶縁層の上層に第2の孔部を形成する工程を示す断面図である。
【図23】本発明を適用した多層プリント配線板の製造方法のさらに他の例を工程順に示すものであり、メッキ層を形成する工程を示す断面図である。
【図24】階段状のブラインド孔におけるブラインド孔径の差を示す要部拡大断面図である。
【図25】本発明を適用した多層プリント配線板の製造方法のさらに他の例を工程順に示すものであり、第1の配線層側の第1の孔部の形成された下層上に上層を形成し、絶縁層を形成する工程を示す断面図である。
【図26】本発明を適用した多層プリント配線板の製造方法のさらに他の例を工程順に示すものであり、第1の配線層側の上層に第2の孔部を形成し、ブラインド孔を形成する工程を示す断面図である。
【図27】本発明を適用した多層プリント配線板の製造方法のさらに他の例を工程順に示すものであり、第2の配線層側の第1の孔部の形成された下層上に上層を形成し、絶縁層を形成する工程を示す断面図である。
【図28】本発明を適用した多層プリント配線板の製造方法のさらに他の例を工程順に示すものであり、第2の配線層側の上層に第2の孔部を形成し、ブラインド孔を形成する工程を示す断面図である。
【符号の説明】
2,22 第1の配線層
3,23 第2の配線層
4,5,24,25 絶縁層
6,26 第3の配線層
7,27 第4の配線層
8,9,28,29 ブラインドバイアホール
11,12,31,32 ブラインド孔
14,34 メッキ層
24a,25a 下層
24b,25b 上層
31a,32a 第1の孔部
31b,32b 第2の孔部
Claims (3)
- 下層部導体回路上に少なくとも2層以上の積層構造とされ絶縁層を介して上層部導体回路が形成され、
上記絶縁層の所定の位置に接続孔が形成され、上記接続孔内に施されたメッキにより上記上層部導体回路と上記下層部導体回路とが電気的に接続されてなり、
上記絶縁層は、少なくとも上層部導体回路に接する層がそれ以外の層よりも絶縁層表面粗化処理剤に対して高い溶解性を有し、
上記接続孔は、その孔径を上記下層部導体回路側の層から上記上層部導体回路側の層に行くに従って大径とされていることを特徴とする多層プリント配線板。 - 上記絶縁層の各層における接続孔の孔径は、上記下層部導体回路側の層から上記上層部導体回路側の層に行くに従って大径とされ、上記接続孔の開口径が上記下層部導体回路側から上記上層部導体回路側に行くに従って段階的に広がっていることを特徴とする請求項1記載の多層プリント配線板。
- 上記絶縁層を形成する層の絶縁層表面粗化処理剤に対する溶解性が上記下層導体部回路側の層から上記上層部導体回路側の層に行くに従って大きくなっていることを特徴とする請求項1記載の多層プリント配線板。
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1994
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