JP3712519B2 - ディスク型無軸受回転機械 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディスク型無軸受回転機械に係り、特に円筒状の固定子に回転駆動用と制御用の電磁コイルを備え、その固定子の磁極面に対向して配置したディスク型の回転子を、固定子の磁極面に対して非接触で浮上支持すると共に回転駆動する無軸受回転機械に関する。
【0002】
【従来の技術】
円筒型固定子内にディスク型回転子を組み込み、固定子に極数の異なる回転駆動用と制御用の電磁コイルを備え、ここで回転子に回転力を与えると同時に所定位置に浮上保持する位置制御力を作用させる無軸受回転機械が知られている。
これは、固定子に備えた回転駆動用の電磁コイルと浮上姿勢制御用の電磁コイルにより、それぞれに三相又は二相の交流電流を流すことにより、例えば4極と2極等の極数の異なる回転磁界を形成し、ディスク型回転子の回転軸垂直断面に磁気的作用を及ぼすものである。これにより、回転子に磁束を偏配させて、その浮上位置と姿勢を制御して、固定子に対して非接触支持が可能な浮上位置決めの機能を有すると共に、回転子にモータとしての回転駆動力を付与することができる。
【0003】
ディスク型の回転子を非接触で浮上支持するとともに、回転子を回転駆動する作用を合わせ持つ以下のような無軸受回転機械が既に提案されている。これは、上面に4極の永久磁石を貼り付け、下面に4極の突極を設けたディスク型回転子と、その回転子上側の固定子には4極の電動機巻線を施し、永久磁石同期機としてトルクを発生するとともに回転子へ上向きの磁気吸引力を発生する。その回転子下側の固定子には4極の電動機巻線に加えて2極の傾き制御巻線を施し、これらの巻線電流によってリラクタンスモータとしてトルクを発生すると同時に円周方向に調整可能な下向きの磁気吸引力を発生し、傾きの制御力を発生することができる。この形式の無軸受回転機械では、非接触で回転駆動すると共に、回転軸方向の浮上位置制御と回転子の傾き制御が可能であることが既に実証されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この形式の無軸受回転機械では、軸方向の浮上位置制御と回転子の傾き制御は可能であるが、半径方向の位置制御は行なえないので、同方向の支持機構はバネ系と同じであり、減衰作用が無いために回転子に振動が発生すると、その振動が収束しにくい。従って、浮上回転中に半径方向の外乱が作用すると、振動が収まらなくなるといった問題がある。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みて為されたもので、ディスク型の回転子を無軸受で回転駆動すると共に浮上位置制御して、且つ回転子の半径方向の振動に対して減衰力を付与することができる、ディスク型無軸受回転機械を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の態様のディスク型無軸受回転機械は、固定子磁極面に対向してディスク型回転子を配置し、前記固定子に設けた電磁コイルに与える電流を制御することにより、前記回転子を非接触で磁気浮上支持すると共に回転駆動を行うディスク型無軸受回転機械において、前記回転子の半径方向変位を入力とした制御器出力を軸方向位置制御器への目標位置信号として入力し、前記回転子を軸方向に変位させることにより、前記回転子に半径方向の減衰力を作用させることを特徴とする。
【0007】
これにより、回転子が半径方向に振動したような場合に、その回転子の半径方向変位と速度に対してこれを減衰させるような半径方向力を作用させることで、この振動に対して減衰力を付与することができる。従って、ディスク型の無軸受回転機械において、浮上回転中に半径方向の外乱が生じても、これに減衰力を作用させることで、その半径方向の振動を収束させることができる。
【0008】
前記回転子の半径方向変位を入力とした制御器出力を軸方向位置制御器への目標位置信号として入力し、前記回転子を軸方向に変位させることにより、回転子に半径方向の減衰力を作用させる。これにより、回転子の半径方向変位に対して、まず電磁コイルに与える電流を制御することで、回転子を軸方向に変位させる。軸方向の変位により回転子に作用する半径方向力が異なることから、回転子の半径方向変位と速度に応じて、その速度が減少するように軸方向に変位させることで、回転子に半径方向の減衰力を作用させることができる。
【0009】
又、前記軸方向位置制御器への目標位置信号に応じて、前記固定子の電磁コイルに供給するトルク分電流を調整することが好ましい。上述の無軸受回転機械では、回転子の軸方向の変位に対応して作用する磁気力が異なるので、トルク分電流を固定していたのでは、回転子を軸方向に変位させることにより回転子に作用するトルクが変動する。従って、回転子の軸方向変位に対応してトルク分電流を調整することにより、回転子に作用する回転トルクを一定としたまま、半径方向力のみを制御することが可能となる。
【0010】
本発明の第2の態様のディスク型無軸受回転機械は、ディスク型回転子の軸方向の両側に、相対面するように固定子磁極面を配置し、前記固定子に設けた電磁コイルに与える電流を制御することにより、前記回転子を非接触で磁気浮上支持すると共に回転駆動を行うディスク型無軸受回転機械において、前記回転子の半径方向変位を入力とした制御器出力を軸方向位置制御器への目標位置信号として入力し、前記回転子を軸方向に変位させることにより、前記回転子に半径方向の減衰力を作用させることを特徴とする。
【0011】
これにより、ディスク型回転子を両側の固定子で挟持するように保持して、回転子の軸方向位置を保持したまま、回転子の半径方向変位と速度に応じて、その速度を減速させるようにすることができる。即ち、半径方向変位と速度に対応して電磁コイルの電流を調節することで、軸方向の磁束を調節し、回転子の半径方向速度を減速するように軸方向の磁束を調節することで、回転子に対して半径方向の減衰力を付与することができる。
【0012】
すなわち、前記回転子は、前記回転子の半径方向変位を入力とした制御器出力を前記両側の固定子の軸方向位置制御器の出力に加算し、前記回転子に作用する軸方向磁束を前記回転子の両側から等しく変化させることにより、前記回転子の軸方向位置を保持したまま、前記回転子に半径方向の減衰力を作用させる。これにより、両側の固定子が、ディスク型回転子に及ぼす軸方向磁気吸引力が等しくなり、従って両側の固定子が、ディスク型回転子の半径方向変位に対応した制御器出力により軸方向磁束を等しく変化させることで、ディスク型回転子の軸方向位置を変化させることなく、半径方向変位に対して減衰力を付与することができる。
【0013】
総じて本発明によれば、ディスク型無軸受回転機械での半径方向の支持機構がバネ系と同じであり、減衰作用がないために回転子の振動が収束しにくいという従来技術の問題点を改善でき、従って浮上回転中に半径方向の外乱が作用しても、その振動を安定に収束させることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施の対象となるディスク型無軸受回転機械の一例を示す。このディスク型無軸受回転機械は、上部が無制御の永久磁石型同期機11であり、下部は傾き制御が可能なリラクタンス型の同期機12である。
【0016】
回転子16の固定子15の磁極面に対向する上面には、4極を形成するように永久磁石16aが貼付されている。円筒形の固定子15の下端面が磁極面となっており、固定子15の内部にはその磁極面に例えば4極の回転駆動磁界を形成するように電磁コイルが配置されている。従って、固定子の電磁コイルに励磁電流を供給することで、その磁極面に回転駆動磁界を形成することにより、永久磁石が貼付された回転子16が回転駆動される。このように、上側の永久磁石同期機11では、永久磁石によって回転子に上向きの吸引力FPMが発生する。z軸方向には回転子の重力Mgが働くが、希土類磁石などの残留磁束の大きな永久磁石を用いれば大きな吸引力が得られ、負荷機械と一体化した回転子の自重を支えることができる。
【0017】
下部のリラクタンス型の同期機12は、4極の回転駆動磁界を形成する電磁コイルと、2極の傾き制御磁界を形成する電磁コイルとを備えている。回転子16の下面には磁性材の突極16bが形成されており、これにより回転子を回転駆動すると共に、回転子16の軸方向浮上位置及び浮上姿勢の制御を行う。ここで上側固定子15が回転子16を引き上げる力FPMに対して、下側固定子17が回転子16を下側に吸引する力FRが作用する。この磁気吸引力FRは、固定子17内の電磁コイルの電動機励磁電流によって調節可能であり、回転子16が上下に一定の間隔を保ったまま、浮上するように制御することができる。
【0018】
即ち、この実施形態においては、回転子に作用する磁気吸引力FPM,FRと、回転子に作用する重力Mgとの総和が等しい状態、即ち回転子16は定常時には上側及び下側の固定子15,17が及ぼす磁気力がバランスする位置に配置されている。ここで符号ZDは、上側固定子15の下側磁極面と回転子16の上側磁極面との間隔であり、符号ZRは、回転子16の下側磁極面と下側固定子17の上側磁極面との間隔である。
【0019】
回転子16が固定子17に対して平行であれば、電動機電流による磁束は均一であるため回転子を傾かせる傾きトルクは発生しない。しかし回転子が傾くと、ギャップが不均一になり、ギャップが狭くなって磁束密度が大きくなった部分の吸引力が大きくなり、傾きを増加させる方向に不平衡傾きトルクが働く。
そこで、リラクタンスモータの4極の回転駆動磁束に2極の傾き制御磁束を重ね合わせることで、回転子が傾いてギャップが狭くなった部分の磁束密度を減少させ、反対側の磁束密度を増加させることができる。即ち、不平衡傾きトルクに対抗して回転子を固定子に対して水平に戻すための傾き制御トルクを発生させることができる。尚、一般にはリラクタンスモータの回転駆動巻線n極に対して、傾き制御巻線がn±2極であれば傾き制御トルクを発生できる。
【0020】
次に、半径方向力の生成機構について説明する。
図2は、回転子16に作用する磁束の分布を示す。上側固定子15の磁極面と回転子16の間、及び下側固定子17の磁極面と回転子16の間には、電磁コイルの電流により図示するように軸方向磁束Φ0が形成される。しかしながら、回転子16の磁極の端部においては、エッジ効果とでもいうべき半径方向成分を有する磁束Φaが発生する。そして、回転子16が回転軸方向位置は変わらず、中心軸cから半径方向に変位すると、回転子磁極端部の磁束Φaの分布が変形し、これにより復原剛性(復原力)Fが発生する。
【0021】
この復原力Fは、半径方向変位に対して軸中心cに向かう半径方向力であり、半径方向変位(r)が大きい程大きくなる。また、間隔ZD,ZRの大きさに反比例して軸方向の磁気吸引力が変化することから、半径方向の復原力Fもその大きさがこれに対応して変化する。この力は回転子の半径方向変位が小さい範囲では変位に比例して増加する力であり、バネと同様に減衰の要素は持っていない。しかし、回転子の半径方向の変位に応じて回転子の回転軸方向の磁束を変化させ、ギャップ中の磁束の大きさを能動的に変化させることにより減衰要素を持たせることができる。
【0022】
図3は、回転子の半径方向変位に対応して、半径方向に発生する力Fの関係を示す。この図は横軸に半径方向変位rを取り、縦軸に半径方向力Fを取り、軸方向の回転子と固定子間の間隔ZRをパラメータとしている。即ち、回転子がその軸中心cから半径方向に変位すると、その変位rに対応した軸中心に戻す半径方向力Fが回転子に作用する。この半径方向力Fは、半径方向変位が大きければ大きいほど大きくなり、また、軸方向の変位ZRが大きくなると、上側固定子との間隔ZDが小さくなるため、半径方向位置rが同じであるならば、半径方向力Fが大きくなるという傾向がある。
【0023】
次に、図4を参照して本発明の第1の実施の形態の制御装置の構成について説明する。
この実施の形態の無軸受回転機械においては、回転軸中心からの回転子の半径方向変位に応じて、固定子の電磁コイルに与える電流を比例微分(PD)制御器39により調節することにより、その半径方向変位及び速度に応じた半径方向力を作用させる。これは、回転子の半径方向変位を入力とした比例微分(PD)制御器39出力を、軸方向位置制御器29への目標位置信号として入力し、回転子を軸方向に変位させることにより、回転子に半径方向の減衰力を能動的に作用させる。
【0024】
この制御装置においては、インバータ兼姿勢検出器32で、回転子16の軸方向位置Z及び回転子の姿勢信号α,βが出力される。そして回転子の軸方向位置Zは、目標値Z*と比較器47で比較され、この差分信号がアキシャル位置制御器29に入力され、比例積分(PI)制御等により、制御信号FZ *が形成される。一方で、回転子の回転速度がセンサ26で検出され、目標回転速度ω*と比較器47ωで比較される。そしてその差分が速度制御器29ωに入力され、比例積分(PI)制御等により、制御信号T*が形成される。アキシャル位置制御器29と速度制御器29ωの出力信号は、それぞれ目標値と実際値との差分をゼロとするような制御力指令信号を発生する。これらの制御信号はアキシャル力・トルク非干渉化補償器30に入力され、d軸電流成分Id *及びq軸電流成分Iq *を生成する。更に回転座標変換器、2相3相変換器31により信号変換され、インバータ装置32から励磁電流として固定子17の電磁コイルに入力される。
【0025】
一方で姿勢検出器32で検出された姿勢信号α,βは、それぞれ比較器47α,47βで目標姿勢信号α*,β*と比較され、その差分信号が傾き制御器28α,28βに入力され、その差分がゼロとなるように比例積分(PI)制御により制御信号Fα*,Fβ*が形成される。この制御信号は電動機傾き制御・非干渉化補償器33に入力され、制御信号Fα*',Fβ*'が形成される。更に回転座標変換、及び2相3相変換が変換器34で施されインバータ35を介して下側固定子17の2極巻線の電磁コイルに供給される。
【0026】
この制御装置においては、回転子の半径方向の振動を検出して、これに減衰力を付与するため、半径方向変位センサ40、及び絶対値の演算器41、比例微分制御器42,43、比較器46等からなるPD制御器39を備える。そして、振動を減衰させるためのPD制御器39(比較器46)の出力信号線は、軸方向位置制御器であるアキシャル位置制御器29の前段の比較器47に目標位置信号として入力される。
【0027】
このPD制御器39の動作は、次の通りである。
半径方向変位センサ40の出力は、演算器41により変位信号rの絶対値が取られる。次に、微分器42で微分処理がなされ、半径方向の速度信号が取り出される。そして変位信号rと速度信号dr/dtの信号は、それぞれ係数KP,Kdが乗算器43により乗算され、加算器44で加算される。そしてリミッタ45で上下限の処理がなされ、比較器46で変位信号r及び速度信号dr/dtに対応した制御信号が基準位置信号ZROと比較され、軸方向位置信号ZR *が出力される。
【0028】
軸方向に変換された回転子の半径方向変位に対する減衰力を与える制御信号ZR *は、回転子の軸方向位置を制御する制御装置の比較器47に入力される。即ち、比較器47で軸方向目標位置Z*と加算され、更に軸方向の実際位置Zと比較される。そしてこの差分信号がアキシャル位置制御器29に入力され、PID制御等の制御器29の信号により、固定子17の電磁コイルに軸方向磁束を発生する励磁電流が供給されることは上述したとおりである。
【0029】
即ち、回転子の半径方向変位rを比例微分(PD)制御器42,43を通して、半径方向の変位と速度成分を演算し、これを軸方向の変位に変えて半径方向速度が減少するように半径方向力を変えるものである。尚、演算器40で半径方向変位の絶対値を取るのは、半径方向については、変位0の点を中心にして対称であるからである。
【0030】
尚、上述した実施の形態においては、上側の固定子15の電磁コイルには、4極の回転駆動巻線のみを備え、回転駆動電流のみが供給され、2極の制御巻線は備えていない。従って、回転子16は主として上側の固定子15の励磁電流による磁束で回転駆動され、又、回転子上面に貼設された永久磁石の磁気吸引力により浮上支持される。そして、下側の固定子17の励磁電流による磁束で軸方向の浮上位置制御と、α,β方向の傾き姿勢の制御が行われる。
【0031】
回転子16が軸方向に変位すると、これにより固定子との間隔ZD,ZRが変化し、電磁コイルへの供給電流が変わらなければ、軸方向位置が変化した分だけトルクが増減する。この問題を防止するために、アキシャル力・トルク非干渉化補償器30において、軸方向の変位によるトルクの変化分を補償するように電磁コイルに供給する電流を制御する。これにより、軸方向位置制御器への目標位置信号に応じて、固定子の電磁コイルに供給するトルク分電流Iq *を調整することで、軸方向の変位があっても、トルクを一定に保つことができる。
【0032】
図5及び図6は、回転子の半径方向位置と軸方向位置の振動の実験結果を示す。即ち、半径方向変位rは、回転子を中心軸から1.5mm離れた位置から、自由振動させたものである。図5は、上述した半径方向の振動の減衰用の制御装置を使用しない場合であり、図6は上述した半径方向の振動の減衰用の制御装置を使用した場合である。図示するように図5においては、半径方向の振動が生じると、これがなかなか減衰せず、収束するのに時間を要する。しかしながら、軸方向の変位は軸方向位置を一定に保つ制御系により制御されているため、一定位置に保たれている。
【0033】
これに対して、図4に示した半径方向の振動を減衰させる制御装置を使用した場合には、半径方向の振動は速やかに減衰する。又、この減衰のために回転子の軸方向位置Zが半径方向振動の周期に対応して変化していることがわかる。このように、上述した制御装置を用いることで、今まで不可能であったディスク型無軸受回転機械における半径方向の振動に対して減衰を与えることが可能であることが実証された。
【0034】
図7は、本発明の第2の実施の形態の制御装置の構成を示す。この実施の形態においては、ディスク型回転子の軸方向の両側にそれぞれ対面するように固定子の磁極面を配置して、回転子は両側の固定子が及ぼす磁気力の影響が等しくなる位置に配置する。そして回転子の半径方向変位を入力とした制御器出力を、両側の固定子の軸方向位置制御器の制御器出力に加算し、回転子に作用する軸方向磁束を変化させる。
【0035】
これにより、ディスク型回転子を挟持した両側の固定子の電磁コイルに与える電流を調節することにより、回転子の軸方向位置を保持したまま、軸方向の磁束を変化させることができる。従って、回転子にその半径方向変位及び速度に応じた半径方向力を作用させることで、回転子の半径方向の振動に対して、これに減衰力を付与することができる。
【0036】
この実施の形態においては、回転子の半径方向変位を検出する変位センサ51と、この変位センサ出力信号を入力として振動に減衰を付与する制御信号ΔFを形成するPD制御器53と、この絶対値を取り軸方向位置制御器56の出力に加算する加算器55とを備える。又、上側固定子61と下側固定子63の両方にそれぞれアキシャル力・トルク非干渉化補償器57、回転座標変換器・2相3相変換器58、電力増幅器59を備え、半径方向変位センサ51で検出された回転子の半径方向変位の制御信号に対して、上側と下側の固定子間で等しく磁束を増減できるようになっている。
【0037】
即ち、半径方向変位センサ51で回転子の半径方向変位rを検出し、これを比較器52で半径方向目標位置r*と比較する。そしてこれをPD制御器53に入力し、比例微分(PD)制御器により半径方向変位と速度に応じて、これを減少させる制御信号ΔFを生成する。そしてこれを演算器54で絶対値を取る処理を行い、軸方向磁束に相当する制御信号ΔFZを得る。そしてこの信号を上側の固定子15の軸方向位置制御装置及び下側の固定子17の軸方向位置制御装置に比較器55を介してそれぞれ入力する。
【0038】
この制御信号は軸方向位置制御器56の出力信号FZU *とFZL *に加算器55でそれぞれ加算されて、アキシャル力・トルク非干渉化補償器57に入力される。また、回転速度制御器58から出力されるトルク制御信号T*も同様に入力され、アキシャル力・トルク非干渉化補償器57でそれぞれd軸電流IdU *とIdL *及びq軸電流IqU *とIqL *とに分離され、座標変換及び2相3相変換を行い、電力増幅器(インバータ)59を介して上側固定子61及び下側固定子63の電磁コイルにそれぞれ供給される。
【0039】
係る構成の制御装置によれば、PD制御器53の出力信号が、演算器54を介して、等しく上側及び下側固定子の軸方向位置制御器56の出力信号に加えられるので、回転子の軸方向位置を変化させることなく、回転子の半径方向の振動に対して減衰力を与えることができる。
【0040】
尚、この図では傾き制御系を図示してないが、図4に示す第1の実施の形態の制御装置と同様に設ける。又、上述した実施の形態の電動機の形式は、永久磁石型同期機とリアクタンス型同期機とを組み合わせたもの或いはリアクタンス型同期機同士の組み合わせとしてもよい。又、第1の実施の形態においては、固定子は回転子を両側から挟みこまないで、片側のみで支持するようにしてもよい。
【0041】
又、上記の実施の形態においては上側及び下側の回転子の双方に電動機として機能するようにトルク電流を供給するようにしているが、片方又は両方ともにトルク電流を供給しないようにしてもよい。このように本発明の趣旨を逸脱することなく、種々の変形実施例が可能である。
【0042】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明によれば、ディスク型の回転子を浮上位置を制御すると共に回転駆動しつつ、且つ半径方向に生じる振動を減衰させることができる。これにより、ディスク型無軸受回転機械での半径方向の支持機構がバネ系と同じであり、減衰作用がないために回転子の振動が収束しにくいという従来技術の問題点を改善でき、浮上回転中に半径方向の外乱が作用しても、その振動を安定に収束させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の対象となるディスク型無軸受回転機械の構成例を示す説明図。
【図2】ディスク型回転子における半径方向力が由来する磁束分布の説明図。
【図3】ディスク型回転子の半径方向位置と半径方向力の大きさの関係を示す説明図。
【図4】本発明の第1の実施の形態の制御装置の説明図。
【図5】図4に示す制御装置を用いない場合の半径方向の振動の状態を示すグラフ。
【図6】図4に示す制御装置を用いた場合の半径方向の振動の減衰を示すグラフ。
【図7】本発明の第2の実施の形態の制御装置の説明図。
【符号の説明】
15,17,61,63 固定子
16 回転子
26 回転角速度検出器
29 アキシャル位置制御器
29ω 速度制御器
30,57 アキシャル力・トルク非干渉化補償器
31,58 回転座標/2相3相変換器
32 インバータ/アキシャル位置・姿勢検出器
39 比例微分(PD)制御器
40,51 半径方向変位センサ
41,54 演算器
42 微分器
43 係数乗算器
44,55 加算器
45 リミッタ
46,47,52 比較器
51z 軸方向位置検出器
53 半径方向制御器(PD制御器)
58 電力増幅器(インバータ)
Claims (4)
- 固定子磁極面に対向してディスク型回転子を配置し、前記固定子に設けた電磁コイルに与える電流を制御することにより、前記回転子を非接触で磁気浮上支持すると共に回転駆動を行うディスク型無軸受回転機械において、
前記回転子の半径方向変位を入力とした制御器出力を軸方向位置制御器への目標位置信号として入力し、前記回転子を軸方向に変位させることにより、前記回転子に半径方向の減衰力を作用させることを特徴とするディスク型無軸受回転機械。 - 前記軸方向位置制御器への目標位置信号に応じて、前記固定子の電磁コイルに供給するトルク分電流を調整することを特徴とする請求項1に記載のディスク型無軸受回転機械。
- ディスク型回転子の軸方向の両側に、相対面するように固定子磁極面を配置し、前記固定子に設けた電磁コイルに与える電流を制御することにより、前記回転子を非接触で磁気浮上支持すると共に回転駆動を行うディスク型無軸受回転機械において、
前記回転子の半径方向変位を入力とした制御器出力を軸方向位置制御器への目標位置信号として入力し、前記回転子を軸方向に変位させることにより、前記回転子に半径方向の減衰力を作用させることを特徴とするディスク型無軸受回転機械。 - 前記回転子の半径方向変位を入力とした制御器出力を前記両側の固定子の軸方向位置制御器の制御器出力に加算し、前記回転子に作用する軸方向磁束を前記回転子の両側から等しく変化させることにより、前記回転子の軸方向位置を保持したまま、前記回転子に半径方向の減衰力を作用させることを特徴とする請求項3に記載のディスク型無軸受回転機械。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP03205598A JP3712519B2 (ja) | 1998-01-29 | 1998-01-29 | ディスク型無軸受回転機械 |
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JP03205598A JP3712519B2 (ja) | 1998-01-29 | 1998-01-29 | ディスク型無軸受回転機械 |
Publications (2)
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---|---|
JPH11218130A JPH11218130A (ja) | 1999-08-10 |
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