JP3712275B2 - 特殊効果装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、動画像信号に特殊効果処理を施す特殊効果装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
画像データは、一般に大量であり、これをそのまま伝送すると帯域を広くとり、記録すると大きな容量が必要になる。特に、動画像は、静止画像に比べ、データ量が膨大に多いので伝送、記録の際には深刻な問題となる。
【0003】
例えば、CD−ROMのようなディジタル記憶媒体にカラー動画像のデータを記憶させようとすると、時間にして数10秒程度分のデータしか記憶させることができない。また、上記ディジタル記憶媒体では、読み出し速度が遅いため、リアルタイムでの動画像の再生が不可能であった。
【0004】
このため、動画像圧縮技術が考えられてきた。動画像圧縮技術を用いれば、CD−ROMに1時間以上の動画像を蓄積でき、リアルタイムに再生することもできる。実際に、圧縮動画像データを再生するためには、動画像を伸長する処理が必要になる。この動画像伸長処理では、圧縮された動画像情報をいかに元の、すなわち圧縮される前の動画像に近付くように伸長し、きれいな動画像を出力させるかということが重要となる。
【0005】
動画像圧縮技術としては、MPEG(Moving Picture Expert Group:蓄積メディア動画像符号化の国際標準化会議の通称)圧縮技術がある。このMPEG圧縮技術は、前後の画面や、隣同士の画像の相関情報を利用して動画像を圧縮する技術である。このMPEG圧縮技術では、動き補償(Motion Compensation:以下、MCという。)と離散コサイン変換(Discrete Cosine Transform:以下、DCTという。)を基本要素としている。
【0006】
このMPEG圧縮技術による圧縮動画像データを復号(伸長)するには、逆量子化処理と逆DCTが行われる。この内、逆量子化は設定可能な量子化マトリックスを用いて行われる。この量子化マトリックスの重み係数は、ブロック歪や量子化ノイズが人間の目に感知できないように適切な値に設定されている。これは、人間の目が斜め方向の感度が鈍い等、方向に無関係に均一でなく、方向性を持つ等人間の視覚特性に基づいて設定されている。
【0007】
ここで、従来、人間の視覚特性や聴覚特性を利用して、該人間の感性を快く酔わせるような映像、音声がビデオテープや、ビデオディスクのようなソフトウェアで供給されていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来、人間の感性を快く酔わせるような映像、音声をリアルタイムで作り出すようなハードウェア、例えば特殊効果装置はなかった。
【0009】
また、上述したMPEGのような動画像圧縮技術を人間の感性を快く酔わせる映像、音声の作成に用いることが考えられなかった。
【0010】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、入力された映像、音声を人間の感性を快く酔わせるような映像、音声にリアルタイムに変換することのできる特殊効果装置の提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る特殊効果装置は、入力されるシステムビットストリーム内の動画像ビットストリームを伸長すると共に特殊効果を付与する動画像復号手段と、上記システムビットストリーム内のオーディオビットストリームを伸長しオーディオ信号を出力するオーディオ復号手段と、上記オーディオ復号手段から出力される上記オーディオ信号の振幅を検知する振幅検知手段と、上記動画像ビットストリーム中のシーケンスヘッダが検知され、かつ特殊効果が選択されたときに、特殊効果用の量子化マトリクスを上記動画像復号手段に供給して上記動画像復号手段により上記動画像ビットストリームの伸長処理をする際に特殊効果を付与させ、さらに、上記オーディオ信号の振幅に基づいて上記特殊効果の付与された画像の拡大/縮小をリアルタイム制御する制御手段とを備える。
【0012】
この特殊効果装置にあって、上記制御手段は、上記振幅検知手段から供給される上記オーディオ信号の振幅に基づいて、上記動画像復号手段により伸長された動画像信号を拡大又は縮小処理する。
【0013】
また、上記特殊効果装置にあって、上記動画像ビットストリームは第1の量子化マトリクスにより量子化されており、上記制御手段は、上記動画像復号手段に上記第1の量子化マトリクスとは異なる第2の量子化マトリクスを供給し、上記動画像復号手段は、上記第2の量子化マトリクスに基づいて上記動画像ビットストリームを逆量子化することにより、上記動画像ビットストリームを伸長すると共に特殊効果を付与する。
【0016】
【作用】
振幅検知手段はオーディオ復号手段から出力されるオーディオ信号の振幅を検知する。制御手段は動画像ビットストリーム中のシーケンスヘッダが検知された場合、振幅検知手段から供給される、シーケンスヘッダを含むシステムビットストリーム内の上記オーディオ信号の振幅に基づいて動画像復号手段により付与される上記特殊効果をリアルタイム制御する。
【0017】
【実施例】
以下、本発明に係る特殊効果装置の実施例を図面を参照しながら説明する。
本実施例は、動画像圧縮技術であるMPEG(Moving Picture Expert Group:蓄積メディア動画像符号化の国際標準化会議の通称)圧縮技術、例えばMPEG1規格により圧縮された動画像信号及びオーディオ信号を伸長する際に、人間の視覚特性や聴覚特性を利用して、該人間の感性を快く酔わせるような映像、音声を提供する特殊効果装置である。
【0018】
この特殊効果装置は、図1に示すように、コンパクトディスク−ロム(以下、CD−ROMという。)、ハードディスクドライブ(以下、HDDという。)及びMOディスク等のディジタル蓄積媒体、ディジタル衛星放送及びケーブルテレビジョン(以下、CATVという。)等のディジタル通信媒体であるディジタル媒体部1から供給されるMPEG圧縮データであるシステム符号列(以下、システムビットストリームという。)を伸長処理すると共に、該伸長処理動作に変更を加え特殊効果処理を行わせる復号化部2と、この復号化部2の特殊効果処理を制御する制御部3と、復号化部2の復号化出力に出力変換処理を施す出力変換部4とを有してなり、テレビジョンモニタやステレオ等の出力装置5に特殊効果処理の施された動画像とオーディオを出力させる。
【0019】
復号化部2は、上記システムビットストリームを伸長処理する際に、該伸長処理動作に変更を加え、人間の感性を快く酔わせるような特殊効果処理を施す。この特殊効果処理は、人間の視覚特性や聴覚特性を利用したものである。
【0020】
復号化部2、制御部3及び出力変換部4の詳細な構成を図2に示す。
図2において、入力端子6を介して上記図1のディジタル媒体部1から供給されるシステムビットストリームは、ビットストリーム分割器7により動画像ビットストリームとオーディオビットストリームに分割される。動画像ビットストリームは、動画像復号器8に供給される。また、オーディオビットストリームは、オーディオ復号器13に供給される。ここで、ビットストリーム分割器7、動画像復号器8及びオーディオ復号器13は、図1に示した復号化部2を構成している。
【0021】
動画像復号器8は動画像ビットストリームを伸長処理するが、その際、量子化マトリックス供給部11により伸長処理に変更を加えられる。また、動画像復号器8は拡大縮小制御部12により特殊効果処理が施された動画像の拡大、縮小が制御される。この拡大縮小制御部12は、オーディオ復号器13で復号されたオーディオ信号の振幅を検知する振幅検知器14の検知する振幅出力に応じて、拡大、縮小をリアルタイムに制御している。この拡大縮小制御部12の制御は、振幅検知器14で検知されたオーディオ信号の振幅が、例えば大きいときに画像を拡大し、検知されたオーディオ信号の振幅が、例えば小さいときに画像を縮小する。なお、この動画像復号器8での伸長処理に変更を加える量子化マトリックス供給部11と、拡大縮小制御部12の詳細な動作については後述する。
【0022】
そして、動画像復号器8の出力は、画像出力変換器9及び出力端子10を介して出力装置5に供給される。この場合、オーディオ信号が例えばポップスやロックなどリズムの軽快な音楽であると、振幅の変化がリズムの変化にほぼ合うので、オーディオと映像の一体感が出て、聞いている人に快い感じを一層与えることができる。
【0023】
また、振幅検知器14を介したオーディオ復号器13からのオーディオ信号は、音声フィルタ15により、例えば、倍音成分が足されたり、音が歪ませられたり、音程が変化されたり、残響効果が付加されたりし、音声出力変換器16及び出力端子17を介して出力装置5に供給される。
【0024】
ここで、量子化マトリックス供給部11、拡大縮小制御部12、振幅検知器14及び音声フィルタ15は、図1に示した制御部3を構成している。また、画像出力変換器9及び音声出力変換器16は、図1に示した出力変換部4を構成している。
【0025】
次に、量子化マトリックス供給部11と拡大縮小制御部12の詳細な動作について説明する。この量子化マトリックス供給部11と拡大縮小制御部12は、動画像復号器8の伸長処理動作を変更させる特殊効果処理を直接的に制御する特殊効果処理制御部18であるということができる。以下、この特殊効果処理制御部18について図3を参照しながら説明する。
【0026】
この図3は、図2に示したビットストリーム分割部7と量子化マトリックス供給部11と拡大縮小制御部12とをマイクロコンピュータ(以下、マイコンという。)14としてまとめた構成を示すと共に、図2に示した動画像復号器8とオーディオ復号器13との詳細な構成を示した図である。
【0027】
この図3において、入力端子6を介したシステムビットストリームは、ビットストリーム分割器7に供給され、動画像ビットストリームとオーディオビットストリームに分割される。
【0028】
動画像ビットストリームは、動画像復号器8の受信バッファ21、可変調復号化回路22、逆量子化回路23及び逆DCT回路24にて所定の処理を施される内に伸長される。このとき、逆量子化回路23には、図4のフローチャートに示すような手順でマイコン20の量子化マトリックス供給部11から所定の量子化マトリックスが供給される。
【0029】
すなわち、動画像ビットストリーム中のシーケンスヘッダがサブルーチン中のステップS1に示すように検知されると、量子化マトリックス供給部11は、所定の量子化マトリックスを逆量子化回路23に供給しなければならない。所定の量子化マトリックスとは、2つの量子化マトリックスを示すものであり、特殊効果用の量子化マトリックスと、通常用の量子化マトリックスである。これらの2つの量子化マトリックスは、特殊効果処理をさせるか否かというステップS2での判定に応じて選択される。
【0030】
すなわち、使用者により特殊効果が選択されず、通常の再生が選択されたときには、ステップS3に進み、切換スイッチ19の選択端子aは、被選択端子bに接続され、通常処理用の量子化マトリックスが逆量子化回路23に供給される。一方、使用者により特殊効果が選択されたときには、ステップS4に進み、切換スイッチ19の選択端子aは、被選択端子cに接続され、特殊効果処理用の量子化マトリックスが逆量子化回路23に供給される。
【0031】
ここで、特殊効果処理用の量子化マトリクスは、例えばブロック状の歪を積極的に利用するものであれば、直流成分付近(低周波成分)のマトリックス上の重み係数を小さくすればよい。すると、後述するフレームメモリ26には、例えばモザイク状の画像が格納される。
【0032】
逆DCT回路24の出力は、加算器25に供給される。この加算器25には、フレームメモリ26に格納された画像データを基に動き補償を行う動き補償回路27の出力データも供給されている。したがって、逆DCT回路24の出力には、動き補償が施される。ここで、フレームメモリ26には、拡大縮小制御部12からの制御信号が供給されている。
【0033】
拡大縮小制御部12は、振幅検知器14で検知されたオーディオ信号の振幅値のレベルに応じて、フレームメモリ26に一時的に格納された画像データの拡大又は縮小を制御する。
【0034】
以下に、オーディオ信号の振幅レベルに応じて動画像を拡大したり縮小したりする拡大縮小制御部12の動作を説明する。
【0035】
先ず、オーディオビットストリームは、オーディオ復号器13の受信バッファ31、ビットストリーム展開部32、逆量子化回路33及びサブバンド合成フィルタ34にて所定の処理を施される内に伸長される。伸長されたオーディオ信号は、振幅検知器14に取り込まれ、振幅の大きさ(振幅レベル)が検知される。
【0036】
振幅検知器14の検知出力である振幅レベルは、拡大縮小制御部12に供給される。この拡大縮小制御部12は、例えば図5のフローチャートに示すような手順でフレームメモリ26に一時的に格納される画像データをオーディオ信号の振幅レベルに応じて拡大したり縮小したりする。
【0037】
すなわち、振幅検知器14にてサブルーチン中のステップS11に示すように、オーディオ信号の振幅レベルが検知されると、拡大縮小制御部12は、その振幅レベル値を予め決められた標準的な振幅レベル値とステップS12で示すように比較する。この比較にて、振幅検知器14の振幅レベルが標準的な振幅レベル値より大きいと判定すると、ステップS13に示すように拡大縮小制御部12は、フレームメモリ26に一時的に格納された画像データを拡大する。一方、ステップS12での比較にて、振幅検知器14の振幅レベルが標準的な振幅レベル値より大きくないと判定すると、ステップS14に示すように拡大縮小制御部12は、フレームメモリ26に一時的に格納された画像データを縮小する。
【0038】
このようにして、動画像復号器8は、量子化マトリックス供給部11及び拡大縮小制御部12からなる特殊効果処理制御部18により特殊効果処理が制御される。そして、フレームメモリ26から出力された、例えば特殊効果処理の施された動画像データは、表示バッファ28、画像出力変換器である画像D/A9及び出力端子10を介して図1の出力装置5に供給される。また、オーディオデータは、音声フィルタ15、音声出力変換器である音声D/A16及び出力端子17を介して図1の出力装置5に供給される。
【0039】
したがって、この実施例の特殊効果装置は、動画像復号器8が動画像ビットストリームを伸長処理する際に、量子化マトリックス供給部11と拡大縮小制御部12が特殊効果処理を制御するので、入力された映像、音声を人間の感性を快く酔わせるような映像、音声にリアルタイムに変換できる。すなわち、従来には、ソフトとしてしか存在しなかった人間の感性を快く酔わせるような特殊効果処理の施された映像及びオーディオをハードウェアを用いてリアルタイムに作り出すことができるようになった。
【0040】
なお、本発明に係る特殊効果装置は、上記実施例にのみ限定されるものではなく、例えば、量子化マトリックスにある決まった重み係数を割り当てたり、オーディオの場合でも、伸長段階において、逆量子化やサブバンド合成フィルタで本来と異なるデータで伸長させたりすることなどが考えられる。また、オーディオは通常音声、動画像は特殊画像にしたり、その逆を行ってもよい。また、拡大縮小制御を用いて動画像をスペアナ的に利用するというような種々の変形も考えられる。さらに、量子化マトリックス供給部から何も出さないようにしてもよい。
【0041】
【発明の効果】
本発明に係る特殊効果装置は、動画像ビットストリーム中のシーケンスヘッダが検知された場合、振幅検知手段から供給される、シーケンスヘッダを含むシステムビットストリーム内のオーディオ信号の振幅に基づいて動画像復号手段により付与される特殊効果をリアルタイム制御するので、入力された映像、音声をもとに人間の感性を快く酔わせるような映像をリアルタイムに作り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の特殊効果装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した特殊効果装置の復号化部、制御部及び出力変換部の詳細な構成を示すブロック図である。
【図3】 図2に示したビットストリーム分割部と量子化マトリックス供給部と拡大縮小制御部とをマイクロコンピュータとしてまとめた構成を示すと共に、動画像復号器とオーディオ復号器との詳細な構成を示したブロック図である。
【図4】図3に示した量子化マトリックス供給部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】図3に示した拡大縮小制御部の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
1 ディジタル媒体部
2 復号化部
3 制御部
4 出力変換部
5 出力装置
7 ビットストリーム分割器
8 動画像復号器
9 画像出力変換器
11 量子化マトリックス供給部
12 拡大縮小制御部
13 オーディオ復号器
14 振幅検知器
15 音声フィルタ

Claims (2)

  1. 入力されるシステムビットストリーム内の動画像ビットストリームを伸長すると共に特殊効果を付与する動画像復号手段と、
    上記システムビットストリーム内のオーディオビットストリームを伸長しオーディオ信号を出力するオーディオ復号手段と、
    上記オーディオ復号手段から出力される上記オーディオ信号の振幅を検知する振幅検知手段と、
    上記動画像ビットストリーム中のシーケンスヘッダが検知され、かつ特殊効果が選択されたときに、特殊効果用の量子化マトリクスを上記動画像復号手段に供給して上記動画像復号手段により上記動画像ビットストリームの伸長処理をする際に特殊効果を付与させ、さらに、上記オーディオ信号の振幅に基づいて上記特殊効果の付与された画像の拡大/縮小をリアルタイム制御する制御手段と
    を備える特殊効果装置。
  2. 上記動画像ビットストリームは第1の量子化マトリクスにより量子化されており、
    上記制御手段は、上記動画像復号手段に上記第1の量子化マトリクスとは異なる第2の量子化マトリクスを供給し、
    上記動画像復号手段は、上記第2の量子化マトリクスに基づいて上記動画像ビットストリームを逆量子化することにより、上記動画像ビットストリームを伸長すると共に特殊効果を付与することを特徴とする請求項1記載の特殊効果装置。
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