JP3712106B2 - レーザダイオード用ステムの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザダイオード用ステムの製造方法に関し、より詳細には、金属ベース部材に良熱伝導性の素子マウント部材をろう付けするレーザダイオード用のステムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、レーザダイオード(以下LDという)用のステムは、リード封着孔にガラスを介してリードを気密に封着した金属ベース部材と、この金属ベース部材にろう付けにより電気的・機械的および熱的に接続された素子マウント部材とを有する。そして、前記素子マウント部材にLD素子をマウントし、このLD素子からリードにワイヤボンディングして、上から透光板またはレンズを具備する金属キャップを被せて金属ベース部材に抵抗溶接にて固着封止することにより、LDが製造される。
【0003】
したがって、LD用ステムには、次のような特性が要求される。
▲1▼金属ベース部材にリードのガラス封着ができること。
▲2▼金属ベース部材に金属キャップが抵抗溶接できること。
▲3▼素子マウント部材にマウントしたLD素子の熱放散性が良いこと。
【0004】
【先行技術】
以下、上記の諸要求特性を満たすためのLD用ステムについて、図面を参照して説明する。
図22は従来のLD用ステムIの斜視図、図23はその平面図、図24は図23のY−Y線に沿う断面図である。
図22ないし図24において、LD用ステムIは、鉄製の金属ベース部材81にリード封着孔82,82と位置決め用の切欠き部83a,83a,83bとを有し、前記リード封着孔82,82にガラス84,84を介してリード85,85が気密に封着されている。そして、前記金属ベース部材81の上面のほぼ中央部には、その一面86aが金属ベース部材81の中心軸にほぼ一致するように、銅製の素子マウント部材86が銀ろう等のろう材87により固着されて、電気的・機械的および熱的に結合されている。なお、前記「素子マウント部86の一面86aが金属ベース部材81の中心軸にほぼ一致する」との表現は、この素子マウント部材86の一面86aにLD素子(図示省略)をマウントした場合に、そのLD素子の発光面が金属ベース部材81の中心軸に一致するような位置を意味するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記LD用ステムIの製造方法は、図25に示すように、金属ベース部材81のリード封着孔82,82にガラス84,84を介してリード85,85を封着した後、金属ベース部材81の上面に板状のろう材片87aを供給し、その上に銅製の素子マウント部材86を載置して、全体を加熱してろう付けするか、図26に示すように前記同様のリード85,85を封着した金属ベース部材81の上面に銅製の素子マウント部材86を配置し、この素子マウント部材86の根元部分にろう材片87bを配置して全体を加熱してろう付けするものであるため、次のような問題点がある。
▲1▼金属ベース部材81にガラス84,84を介してリード85,85を封着後に、素子マウント部材86をろう付けするため、ろう付け治具が複雑になり、ろう付け治具による素子マウント部材の位置精度が出し難い。また、素子マウント部材86のろう付け後に素子マウント面86aの位置修正を実施しようとしても、リード85,85と素子マウント部材86との間隔が狭い(0.5mm)ので、製法上多くの困難と制約が伴う。
▲2▼金属ベース部材81の上面と素子マウント部材86の下面との間にろう材片87aを配置して加熱する方法にしろ、金属ベース部材81の上面に素子マウント部材86を載置し、この素子マウント部材86の根元部にろう材片87bを配置して加熱する方法にしろ、ろう付け部分に一々微小なろう材片87a,87bを1個ずつ供給するという煩雑な工程が必要で、工数増大により原価高になる。
▲3▼金属ベース部材81の上面と素子マウント部材86の下面との間にろう材片87aを配置して加熱する方法では、ろう材片87aの打ち抜き時の返り等のために素子マウント部材86が傾斜したり移動したりしやすく、寸法精度の高いLD用ステムIが製造できなかった。
▲4▼金属ベース部材81の上面に素子マウント部材86を載置し、この素子マウント部材86の根元部にろう材片87bを配置して加熱する方法では、金属ベース部材81と素子マウント部材86の下面との間にろう材87が行き渡らず、素子マウント部材86の固着強度が小さくなり、耐衝撃性,耐振動性、熱放散性が設計値よりも低くなることがあった。
【0006】
なお、金属ベース部材に貫通孔または凹部を形成するとともに、前記貫通孔または凹部に素子マウント部材を挿入して金錫共晶はんだ等の低融点はんだで固着するLD用ステムの製造方法も提案されている。(特開平6−302912号公報)
【0007】
このようなLD用ステムの製造方法によれば、金属ベース部材の凹部にろう材片を供給すればよいので、平坦状の金属ベース部材81の上面にろう材片を供給するよりも、ろう材片の供給位置が明確で供給作業が若干容易になるのみならず、ろう材片の不所望な移動も起こらないという利点がある。しかしながら、前記▲1▼の問題点は何ら解決されておらず、しかもろう付け部分に一々微小なろう材片を1個ずつ供給するという煩雑な工程そのものも依然として残っており、製造が面倒でステムの原価高騰の要因になるという問題点があった。
【0008】
そこで、本発明は、金属ベース部材に良熱伝導性の素子マウント部材をろう付けするLD用ステムの製造方法において、素子マウント部材における素子マウント面のプレス加工による位置修正が容易なLD用ステムの製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
本発明の請求項1記載の発明は、金属ベース部材のリード封着孔にガラスを介してリードを気密に封着するとともに、前記金属ベース部材に良熱伝導性の素子マウント部材をろう付けしてなるレーザダイオード用ステムの製造方法であって、前記素子マウント部材の全面にリードの封着温度よりも高い融点のろう材層を形成する工程と、前記金属ベース部材と前記素子マウント部材とを組立てる工程と、全体を加熱して前記ろう材層を溶融させることにより両者をろう付けする工程と、前記金属ベース部材のリード封着孔にガラスを介してリードを封着する工程とを有することを特徴とするレーザダイオード用ステムの製造方法である。このようなLD用ステムの製造方法によれば、金属ベース部材よりも形状の小さな素子マウント部材にろう材層を形成するので、ろう材層をめっき法等により効率よくしかも安価に形成することができる。特に、素子マウント部材の全面にろう材層をめっき形成することにより、バレルめっき法等で多量の素子マウント部材に一括してろう材層を形成できるので、ろう材層の形成原価を著しく低減できるのみならず、素子マウント部材の上下や表裏を区別しなくてもよいので、その後の組立て工数を低減することもできる。一方、金属ベース部材に未だリードが封着していない状態で金属ベース部材と素子マウント部材とのろう付けを実施することができるので、ろう付け治具の構造が簡素化でき、その寸法精度を高くできるので、素子マウント部材の位置精度も高くなり、ろう付け後の位置修正をなくすこともできる。また、素子マウント部材のろう付け後に修正を実施する場合でも、リードが未だ封着されていない状態で位置修正が実施できるので、位置修正作業が容易に行なえる。さらに、素子マウント部材に、めっき、箔、クラッド等でろう材層を形成することができるため、ろう付け部分に一々微小なろう材片を1個ずつ供給する煩雑な工程が不要になり、工数低減により原価低減ができるのみならず、ろう材片の過剰供給やろう材片の供給漏れ等も起こらないので、品質の安定したLD用ステムを効率よく製造できる。
【0011】
本発明の請求項2記載の発明は、前記金属ベース部材の上面に、前記素子マウント部材の底部の形状とほぼ一致する凹部を形成する工程と、前記素子マウント部材の全面にろう材層を形成する工程と、前記金属ベース部材の凹部に前記素子マウント部材の底部を挿入する工程と、全体を加熱して前記ろう材層を溶融させることにより素子マウント部材をろう付けする工程とを有することを特徴とする請求項1記載のレーザダイオード用ステムの製造方法である。このようなLD用ステムの製造方法によれば、金属ベース部材の凹部に素子マウント部材を挿入するので、素子マウント部材の位置決め精度が向上するのみならず、素子マウント部材の耐衝撃性、耐振動性、熱放散性等がさらに向上する。さらに、金属ベース部材の熱容量が増大するとともに、素子マウント部材の底面が金属ベース部材の底面に近づくため、熱放散性が向上する。
【0012】
本発明の請求項3記載の発明は、前記金属ベース部材の上面に、前記素子マウント部材の底部より小さい形状の凹部を形成するとともに前記素子マウント部材の底部に前記凹部に一致する凸部を形成する工程と、前記凹部に前記素子マウント部材の凸部を挿入する工程と、全体を加熱して前記ろう材層を溶融させて素子マウント部材をろう付けする工程とを有することを特徴とする請求項1記載のレーザダイオード用ステムの製造方法である。このようなLD用ステムの製造方法によれば、金属ベース部材の凹部に素子マウント部材の凸部を挿入するので、素子マウント部材の位置決め精度が向上するのみならず、素子マウント部材の耐衝撃性、耐振動性、熱放散性等が向上する。さらに、金属ベース部材の凹部に挿入された素子マウント部材の凸部の体積相当分だけ素子マウント部材の熱容量が増大して、熱放散性が向上する。
【0014】
本発明の請求項4記載の発明は、前記ろう材層が銀層であることを特徴とする請求項1乃至3に記載のレーザダイオード用ステムの製造方法である。このようにLD用ステムの製造方法によれば、銀層の融点がリードのガラス封着温度よりも高いので、リードのガラス封着時の加熱でろう材が溶融することがなく、素子マウント部材が移動することがない。
【0015】
本発明の請求項5記載の発明は、前記金属ベース部材と前記素子マウント部材とを組立てる工程で用いるろう付け治具と、前記金属ベース部材のリード封着孔にガラスを介してリードを封着する工程で用いる封着治具とが、同一構造であることを特徴とする請求項1記載のレーザダイオード用ステムの製造方法である。このような製造方法によれば、金属ベース部材と素子マウント部材とのろう付け時に用いるろう付け治具と、金属ベース部材のリード封着孔にガラスを介してリードを封着する際に用いる封着治具とを、同一構造とすることにより、治具の種類を1種類にでき、治具の制作費および管理費を低減できる。
【0016】
【発明を実施する態様】
以下、本発明の実施態様を図面を参照して説明する。
【製造実施態様1】
図1は本発明の第1実施態様のLD用ステムAの第1製造実施態様における工程ブロック図、図2ないし図12はその各工程における金属ベース部材や素子マウント部材等の断面図である。
また、図13は上記製造方法によって製造された第1実施態様のLD用ステムAの斜視図であり、図14は同ステムAの平面図である。なお、前記図2ないし図12は、前記図14のX−X線に沿う断面に対応するものである。
【0017】
図1および図2ないし図12において、まず、金属ベース部材の出発材料である所定厚さの鉄板材10を用意する(図1a,図2)。この鉄板材10を所定のプレス型で打ち抜いて、リード封着孔2,2を穿設する(図1b,図3)。次に、鉄板材10を所定のプレス型で打ち抜いて金属ベース部材1を形成するとともに、この金属ベース部材1の周面1aに楔状の位置決め用切欠き部3a,3aおよび矩形状の切欠き部3bを形成する(図1c,図4)。次に、この金属ベース部材1に厚さが3〜40μmの銅めっき層4を形成する。この銅めっき層4は、グラファイト製のろう付け治具を用いる素子マウント部材のろう付け時や、グラファイト製の封着治具を用いるリードのガラス封着時に、治具から遊離した炭素が金属ベース部材1の結晶粒界に浸入する,いわゆる浸炭作用によって、金属ベース部材1の性状が変動することを防止するためである。この銅めっき層4の厚さが3μmよりも薄いと浸炭作用を防止することが困難になるし、40μmよりも厚くしても浸炭防止作用の向上は図れない(図1d,図5)。
【0018】
一方、所定厚さtの銅板材20を用意する。この銅板材20の厚さtは、銅板材20のプレス作業を容易にするため、素子マウント部材7の最小の寸法t(図13参照)に選定している(図1e,図6)。次に、この銅板材20を所定のプレス型で打ち抜いて、素子マウント部材7を製作する(図1f,図7)。なお、図7では、LD用ステムAの構造に合わせて、素子マウント部材7を直立させて、かつ正面(素子マウント面7a側)から見た断面図を示している。この素子マウント部材7をバレルめっき装置等に多数個投入して、その全面にリードのガラス封着温度よりも高い融点を有するろう材層の一例として、厚さが0.3〜5.0μmの銀層8を形成する(図1g,図8)。
【0019】
次に、前記金属ベース部材1をグラファイト製の下部ろう付け治具100の所定位置に配置し、この金属ベース部材1の上に、前記全面に銀層8を形成した素子マウント部材7を載置して、上からグラファイト製の上部ろう付け治具110を被せて位置決めする(図1h,図9)。この後、全体を銀層8の溶融温度(960℃)以上の温度で加熱すると、銀層8が溶融してろう材9となり、金属ベース部材1の上面に素子マウント部材7がろう材9によりろう付けされる。このとき、上部ろう付け治具110は、リードを受け入れる凹部を有しない単純な構造であるため、高い寸法精度のものが容易に得られ、したがって、金属ベース部材1と素子マウント部材7とのろう付け構体に高い位置精度が得られる。そのため、素子マウント部材7の素子マウント面7aの位置修正加工は省略することができる(図1i,図10)。
【0020】
その後、もし必要ならば、素子マウント部材7の素子マウント面7aをプレス加工することにより位置修正を実施することができる。このとき、未だリードが封着されていない状態なので、位置修正作業は容易に実施できる。
【0021】
その後、金属ベース部材1および素子マウント部材7のろう付け構体をグラファイト製の下部封着治具200の所定位置に組み立て、リード封着孔2,2に円筒状のガラスタブレット5a,5aを挿入し、このガラスタブレット5a,5aにリード6,6を挿入して組立てた後、グラファイト製の上部封着治具210を被せて(図1j,図11)、全体を銀の融点(960℃)以下でかつガラスタブレット5a,5aの融点以上の温度,例えば850から900℃で加熱する。すると、ガラスタブレット5a,5aが溶融して、金属ベース部材1のリード封着孔2,2に、ガラス5,5を介してリード6,6が気密に封着されて、LD用ステムAが得られる(図1k,図12)。なお、前記ガラス5,5はソーダライムガラス,ソーダバリウムガラス,ホウケイ酸ガラス等よりなり、前記リード6,6はFe−Ni合金,Fe−Ni−Co合金等よりなる。
【0022】
前述のように、図13は上記本発明の第1製造実施態様によって製造した第1実施態様のLD用ステムAの斜視図を示し、図14は同ステムAの平面図であり、前記図12は図14の平面図におけるX−X線に沿う断面図を示すものである。
【0023】
【実施例】
次に、本発明の上記第1実施態様のLD用ステムAの実施例について説明する。
【0024】
上記のLD用ステムA100個について、素子マウント部材7の素子マウント面7aにLD素子(発熱量:300mW)をマウントし、LD素子の飽和温度を測定した結果、平均66.0℃であった。
【0025】
これに対して、比較例として、素子マウント部7の全面に銀層8を形成する代わりに、同一寸法の銅製の素子マウント部材を銀ろう片を用いてろう付けした他は上記と同様のLD用ステム100個についてLD素子をマウントし、LD素子の飽和温度を測定した結果、平均66.0℃であった。
【0026】
以上の結果から、本発明のLD用ステムAの製造方法によれば、従来の素子マウント部材を銀ろう片によりろう付けしたLD用ステムに比較して、熱放散性に何ら遜色がない。
【0027】
上記のLD用ステムAの製造方法によれば、次のような作用効果が得られる。
▲1▼素子マウント部材7のろう付け後、未だリードがガラス封着されていない状態で、素子マウント部材7の素子マウント面7aの位置修正ができるので、位置修正作業が容易に行なえる。
▲2▼金属ベース部材1と素子マウント部材7とのろう付け部分に微小なろう材片を1個ずつ供給しなくてもよいので、工数低減による原価低減ができるのみならず、ろう材片の過剰供給や供給漏れによるろう付け不良発生がなくなる。
▲3▼金属ベース部材1と素子マウント部材7とのろう付け部分に、確実にろう材が行き渡り、安定した品質のLD用ステムAが製造できる。
▲4▼多数の素子マウント部材7に一括して銀層8等のろう材層を形成できるので、ろう材層形成原価が安い。
▲5▼金属ベース部材1と素子マウント部材7との間にろう材片を配置して加熱溶融する製造方法に比較して、ろう材層の厚さが格段に小さいので、ろう材層の溶融時に素子マウント部材7の移動や傾斜が起こりにくく、また、ろう付け不十分等の不良の発生率が低減し、位置精度の高いLD用ステムが製造できる。
【0028】
【製造実施態様2】
上記第1製造実施態様は、素子マウント部材7の全面に銀層8をめっき形成する場合について説明したが、本発明は、ろう材層としてはめっきによる銀層8に限定されるものではなく、例えば銀箔や銀クラッド層を用いることもできる。また、リード6,6の封着温度で溶融しない条件を満たすならば、他のろう材を用いることもできる。
【0029】
【ステム実施態様2】
図15は、本発明の第2実施態様のLD用ステムBの平面図で、素子マウント部材の熱放散性を向上させるために、素子マウント部材の熱容量を大きくしたものである。すなわち、図12ないし図14に示す第1実施態様のLD用ステムAにおける素子マウント部材7は直方体状のものであったが、本実施態様2のLD用ステムBにおける素子マウント部材17は、略扇柱形状を有するものである。なお、それ以外の点は特に変わりがないので、符号および説明を省略する。
このようなLD用ステムBによれば、素子マウント部材17の熱容量が大きくなることによって、LD用ステムBの熱放散性が向上する。また、素子マウント部材17の円弧状の周面17bを利用して、金属キャップの位置決めをすることもできるという特長がある。
このようなLD用ステムBも、前記図1に示す第1製造実施態様と同様の製造方法により製造することができる。ただし、図1eおよび図6で示す銅板材20としては、素子マウント部材17の高さに相当する厚さのものを用意する必要がある。
【0030】
【ステム実施態様3】
図16は、本発明の第3実施態様のLD用ステムCの平面図で、素子マウント部材の熱放熱性をさらに向上させるために、素子マウント部材の熱容量をさらに大きくしたものである。すなわち、本実施態様3のLD用ステムCにおける素子マウント部材27は、略半円柱形状を有するものである。なお、それ以外の点は特に変わりがないので、符号および説明を省略する。
このようなLD用ステムCによれば、素子マウント部材27の熱容量がさらに大きくなることによって、LD用ステムCの熱放散性がさらに向上する。また、素子マウント部材27の円弧状の周面27bを利用して、金属キャップの位置決めをすることができる。
このようなLD用ステムCも、前記図1に示す第1製造実施態様と同様の製造方法により製造することができる。ただし、図1eおよび図6で示す銅板材20としては、素子マウント部材27の高さに相当する厚さのものを用意する必要がある。
【0031】
なお、本発明の上記第1ないし第3実施態様のステムは、特定の構造のLD用ステムA〜Cについて説明したが、本発明は上記実施態様に限定されるものではなく、本発明の精神を逸脱しない範囲で、各種の変形が可能であることはいうまでもない。
【0032】
【ステム実施態様4〜6】
例えば、上記第1ないし第3実施態様のLD用ステムA〜Cにおいては、金属ベース部材1,11,21の上面が、平坦状のものについて説明したが、LD素子の発光の有無またはその強度をモニタするモニタ用受光素子をマウントする構造のものにあっては、金属ベース部材における素子マウント部材のLD素子マウント面の下方に傾斜面部を形成してもよい。この傾斜面部は、図17に示す第4実施態様のLD用ステムDのように、傾斜面部40全体を金属ベース部材31の上面31aから突出するように形成してもよいし、、図18に示す第5実施態様のLD用ステムEのように、傾斜面部50全体が金属ベース部材41の上面41aから凹入するように形成してもよいし、さらには、図19に示す第6実施態様のLD用ステムFのように、傾斜面部60のほぼ半分が金属ベース部材51の上面51aから突出するとともに、ほぼ半分が金属ベース部材51の上面51aから凹入するように形成してもよい。
これらの傾斜面部40,50,60は、いずれも鉄板材10にプレス加工によりリード封着孔2,2を形成する工程(図1b,図3)で同時に形成できるので、工程数の増大はない。また、これら第4〜第6実施態様のLD用ステムD〜Fにおいても、本発明の製造実施態様と同様の製造方法で製造できる。
【0033】
【ステム実施態様7】
さらにまた、上記各実施態様では、金属ベース部材1,11,21,31,41,51の平坦状の上面に、素子マウント部材7,17,27,37,47,57の底部をろう付けする場合について説明したが、図20に示す第7実施態様のLD用ステムGように、金属ベース部材61の上面に、素子マウント部材67の底面と一致する形状の凹部61bを形成するとともに、この凹部61bに、全面にろう材層を形成した素子マウント部材67の底部を挿入してろう付けするものにも適用することができる。
このようなLD用ステムGによれば、図12〜図14に示す第1実施態様のLD用ステムAに比較して、金属ベース部材61と素子マウント部材67とのろう付け面積が増大することによってろう付け強度が増大し、素子マウント部材67の耐衝撃性,耐振動性が向上するのみならず、素子マウント部材67の体積が増大することによつてその熱容量が増大すること、および素子マウント部材67の底面が金属ベース部材61の底面に近付くことによって、熱放散性が向上するという特長がある。
【0034】
【ステム実施態様8】
また、図21に示す第8実施態様のLD用ステムHのように、金属ベース部材71に素子マウント部材77の底面よりも小さい凹部71bを形成するとともに、素子マウント部材77の底面に前記凹部71bと略同一寸法の凸部77bを形成し、かつ全面にろう材層を形成した素子マウント部材77の凸部77bを前記凹部71bに挿入してろう付けするものにも適用することができる。このようなLD用ステムHにおいても、前記第7実施態様のLD用ステムGとほぼ同様の特長が得られる。
【0035】
【ステム実施態様9】
また、上記第7ないし第8実施態様のLD用ステムG,Hでは、金属ベース部材61,71側に凹部61b,71bを形成して、この凹部61b,71bに、全面にろう材層を形成した素子マウント部材67の底部全体または底部に形成した凸部77bを挿入してろう付けする場合について説明したが、凹凸の関係は逆にしてもよい。
【0036】
【ステム実施態様10】
また、上記第1〜第8実施態様のLD用ステムA〜Hとして、金属ベース部材1〜71の形状が円形状のものについて説明したが、もし、必要ならば、矩形状その他任意の形状のものにも実施可能である。
【0037】
【ステム実施態様11】
さらに、第1実施態様のLD用ステムAにおける金属ベース部材1の上面に、金属キャップの位置決め用の突起ないし凹部を形成したものでもよい。
【0038】
なお、図9に示す金属ベース部材1と素子マウント部材7とのろう付け治具100,110と、図11に示すリード6,6の封着治具200,210とは、別々の構造のものについて説明したが、図11に示す封着治具200,210を、図9に示す金属ベース部材1と素子マウント部材7とのろう付け時に、ろう付け治具100,110の代わりに共用することもできる。
そのような場合、治具の種類が単一になり、治具の製作原価および管理費を節減できるという特長がある。
【0039】
【発明の効果】
本発明のLD用ステムの製造方法は、金属ベース部材のリード封着孔にガラスを介してリードを気密に封着するとともに、前記金属ベース部材に良熱伝導性の素子マウント部材をろう付けしてなるレーザダイオード用ステムの製造方法であって、前記金属ベース部材と素子マウント部材との少なくとも一方のろう付け面にリードの封着温度よりも高い融点のろう材層を形成する工程と、前記金属ベース部材と前記素子マウント部材とを組立てる工程と、全体を加熱して前記ろう材層を溶融させることにより両者をろう付けする工程と、前記金属ベース部材のリード封着孔にガラスを介してリードを封着する工程とを有することを特徴とするレーザダイオード用ステムの製造方法であるから、素子マウント部材の素子マウント面にプレス加工による位置修正作業を施す場合に、リードが存在しない状態で実施できるので、位置修正作業を容易に実施できる。また、金属ベース部材と素子マウント部材とのろう付け部分に一々微小なろう材片を1個ずつ供給する煩雑な工程が省け、工数低減ができるのみならず、ろう材片の過剰供給や供給漏れによるろう付け不良発生がなくなるし、ろう付け部分に必要な適量のろう材量が容易に確保されて、安定した品質のレーザ用ステムが製造できるという特有の作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施態様のレーザダイオード用ステムAの第1製造実施態様における工程ブロック図
【図2】 本発明の第1実施態様のレーザダイオード用ステムAの第1製造実施態様における金属ベース部材の出発材料である鉄板材の要部断面図
【図3】 本発明の第1実施態様のレーザダイオード用ステムAの第1製造実施態様におけるリード封着孔形成後の鉄板材の要部断面図
【図4】 本発明の第1実施態様のレーザダイオード用ステムAの第1製造実施態様における金属ベース部材の断面図
【図5】 本発明の第1実施態様のレーザダイオード用ステムAの第1製造実施態様における銅めっき層形成後の金属ベース部材の断面図
【図6】 本発明の第1実施態様のレーザダイオード用ステムAの第1製造実施態様における素子マウント部材の出発材料である銅板材の要部断面図
【図7】 本発明の第1実施態様のレーザダイオード用ステムAの第1製造実施態様における素子マウント部材の断面図
【図8】 本発明の第1実施態様のレーザダイオード用ステムAの第1製造実施態様における全面に銀層形成後の素子マウント部材の断面図
【図9】 本発明の第1実施態様のレーザダイオード用ステムAの第1製造実施態様における金属ベース部材と素子マウント部材とのろう付け前の組立て状態の断面図
【図10】 本発明の第1実施態様のレーザダイオード用ステムAの第1製造実施態様における金属ベース部材と素子マウント部材とのろう付け後の断面図
【図11】 本発明の第1実施態様のレーザダイオード用ステムAの第1製造実施態様における金属ベース部材および素子マウント部材のろう付け構体をガラスタブレットおよびリードとともに封着治具に組立てた状態の断面図
【図12】 本発明の第1実施態様のレーザダイオード用ステムAの断面図
【図13】 本発明の第1実施態様のレーザダイオード用ステムAの斜視図
【図14】 本発明の第1実施態様のレーザダイオード用ステムAの平面図
【図15】 本発明の第2実施態様のレーザダイオード用ステムBの平面図
【図16】 本発明の第3実施態様のレーザダイオード用ステムCの平面図
【図17】 本発明の第4実施態様のレーザダイオード用ステムDの断面図
【図18】 本発明の第5実施態様のレーザダイオード用ステムEの断面図
【図19】 本発明の第6実施態様のレーザダイオード用ステムFの断面図
【図20】 本発明の第7実施態様のレーザダイオード用ステムGの断面図
【図21】 本発明の第8実施態様のレーザダイオード用ステムHの断面図
【図22】 従来のレーザダイオード用ステムIの斜視図
【図23】 従来のレーザダイオード用ステムIの平面図
【図24】 従来のレーザダイオード用ステムIの断面図
【図25】 従来のレーザダイオード用ステムIの第1の製造方法について説明する断面図
【図26】 従来のレーザダイオード用ステムIの第2の製造方法について説明する断面図
【符号の説明】
A、B、C、D、E、F、G、H レーザダイオード用ステム
1、11、21、31、41、51、61、71 金属ベース部材
1a 金属ベース部材の周面
2 リード封着孔
3a、4a 位置決め用切欠き部
4 銅めっき層
5 ガラス
5a ガラスタブレット
6 リード
7、17、27、37、47、57、67、77 素子マウント部材
7a、17a、27a、37a、37a,47a,57a 素子マウント部材のLD素子マウント面
8 銀層(ろう材層)
9、39,49,59,69,79 ろう材
10 鉄板材
17b、27b 素子マウント部材の周面
20 銅板材
31a、41a,51a 金属ベース部材の上面
40、50,60 傾斜面部
61b,71b 凹部
77b 素子マウント部材の底面に形成された凸部
Claims (5)
- 金属ベース部材のリード封着孔にガラスを介してリードを気密に封着するとともに、前記金属ベース部材に良熱伝導性の素子マウント部材をろう付けしてなるレーザダイオード用ステムの製造方法であって、前記素子マウント部材の全面にリードの封着温度よりも高い融点のろう材層を形成する工程と、前記金属ベース部材と前記素子マウント部材とを組立てる工程と、全体を加熱して前記ろう材層を溶融させることにより両者をろう付けする工程と、前記金属ベース部材のリード封着孔にガラスを介してリードを封着する工程とを有することを特徴とするレーザダイオード用ステムの製造方法。
- 前記金属ベース部材の上面に、前記素子マウント部材の底部の形状とほぼ一致する凹部を形成する工程と、この凹部に前記素子マウント部材の底部を挿入する工程と、全体を加熱して前記ろう材層を溶融させることにより素子マウント部材をろう付けする工程とを有することを特徴とする請求項1記載のレーザダイオード用ステムの製造方法。
- 前記金属ベース部材の上面に、前記素子マウント部材の底部より小さい形状の凹部を形成するとともに前記素子マウント部材の底部に前記凹部に一致する凸部を形成する工程と、前記凹部に前記素子マウント部材の凸部を挿入する工程と、全体を加熱して前記ろう材層を溶融させて素子マウント部材をろう付けする工程とを有することを特徴とする請求項1記載のレーザダイオード用ステムの製造方法。
- 前記ろう材層が銀層であることを特徴とする請求項1乃至3に記載のレーザダイオード用ステムの製造方法。
- 前記金属ベース部材と前記素子マウント部材とを組立てる工程で用いるろう付け治具と、前記金属ベース部材のリード封着孔にガラスを介してリードを封着する工程で用いる封着治具とが、同一構造であることを特徴とする請求項1記載のレーザダイオード用ステムの製造方法。
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