JP3711755B2 - 画像読取装置および画像読取方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、デジタル複写機、ファクシミリ、スキャナなどの画像読取装置およびその画像読取方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
搬送装置によって搬送される原稿を所定の読み取り位置において読み取るデジタル複写機、ファクシミリ、スキャナなどの画像読取装置が各種提供されている。この種の画像読取装置において、読み取り部にゴミなどが付着する場合がある。かかる場合に画像の読み取りが行われると、読み取り部によってゴミが読み取られてしまうため、画像読取装置から得られる出力画像や送信画像(以下、単に出力画像という。)に、原稿画像にない副走査方向に延びたすじが発生してしまう。このようなゴミの付着によるノイズを読み取り画像から検出し、ノイズの影響を受けている画像データを固定のマスクデータ(例えば白色の画像データ)によって置き換える画像読取装置が例えば特開平9−139844号公報に開示されている。
【0003】
ここで、特開平9−139844号公報に開示された画像読取装置の概要について説明すると次の通りである。まず、この画像読取装置では、原稿の搬送方向に沿って僅かに隔たった2箇所の読み取り位置において、搬送中の原稿の読み取りを行う。なお、以下では便宜上、搬送中の原稿が最初に通過する読み取り位置を上流側読み取り位置、2番目に通過する読み取り位置を下流側読み取り位置と呼ぶ。
【0004】
このように上流側読み取り位置および下流側読み取り位置の2箇所において原稿から画像を読み取った場合、上流側読み取り位置では、例えば
Pk、Pk+1、Pk+2、Pk+3、〜
というように副走査方向に並んだ各主走査ラインに対応した画像データが順次得られる。
【0005】
これに対し、、下流側読み取り位置では、この画像データよりも位相が例えばdラインだけ遅れた画像データ、
Pk+d、Pk+d+1、Pk+d+2、Pk+d+3、〜
が得られる。なお、この例において画像データPkなどにおけるサフィックスは、主走査線の番号である。
【0006】
ここで、仮に常時は下流側読み取り位置において得られた画像データを出力画像として使用するものとする。そして、コンタクトガラスにおける下流側読み取り位置に対応した位置のみに例えば黒いゴミが付着したとする。この場合、上流側読み取り位置からは原稿画像に忠実な画像データが得られるのに対し、下流側読み取り位置からはゴミの影響を受けた画像データが得られることとなり、両画像データ間に差異が生じることとなる。
【0007】
そこで、この画像読取装置では、上流側読み取り位置における画像データに対し、上記位相遅れd相当の遅延を付与して下流側読み取り位置における画像データと同相の画像データを生成し、この画像データと下流側読み取り位置における画像データとを比較し、両者に一定限度を越える差があり、かつ、下流側読み取り位置における画像データの方が他方よりも大きい(すなわち、濃度が高い)場合に、下流側読み取り位置にゴミが付着している旨の判定を行う。
【0008】
また、この場合において、下流側読み取り位置における画像データのうち上流側読み取り位置における画像データと異なっている部分は、ゴミ付着による影響を受けている部分の画像データであるということができる。そこで、この画像読取装置では、このゴミの影響を受けている部分の画像データを上記マスクデータに置き換えることにより、出力画像に現れるすじの除去を行っている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来の画像読み取り装置は、黒い色のゴミが読み取り部に付着した場合にはこれによるノイズを読み取り画像から除去することができるが、白い色のゴミが付着した場合にはこれによるノイズを除去することができないという問題があった。なお、この問題を回避するために、上記の例において下流側読み取り位置における画像データの方が上流側読み取り位置における画像データよりも小さい場合(すなわち、濃度が低い)に下流側読み取り位置に白いゴミが付着している旨の判定をするように構成することも考えられる。しかし、このような構成を採った場合には読み取り部に黒いゴミが付着した場合にそれを検知することができなくなってしまう。
【0010】
この発明は以上説明した事情に鑑みてなされたものであり、黒色のゴミまたは白色のゴミのいずれが読み取り部に付着した場合においてもその検知を行うことができ、ゴミ付着によるノイズを出力画像から除去することができる画像読取装置および画像読取方法を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明は、原稿を搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送される原稿から主走査方向に並んだ複数の画素を読み取る第1および第2の読取手段と、前記第1の読取手段による読み取り値と前記第2の読取手段による読み取り値とが異なる画素を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された画素の周辺画素の読み取り値を認識する認識手段と、副走査方向に並んだ複数の画素について前記第1および第2の読取手段によって出力された各読み取り値が連続して異なることが前記検出手段によって検出された場合には、前記第1および第2の読取手段による各読み取り値のうち前記認識手段により認識された周辺画素の読み取り値と比較して差が大きい方の読み取り値をノイズとして判定する判定手段とを備えることを特徴とする画像読取装置を要旨とする。
また、この発明は、原稿を搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送される原稿から主走査方向に並んだ複数の画素を読み取る第1および第2の読取手段と、前記第1の読取手段による読み取り値と前記第2の読取手段による読み取り値とが異なる画素を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された画素の周辺画素の読み取り値を認識する認識手段と、前記周辺画素の読み取り値の大きな変化が副走査方向に発生した回数が閾値未満の場合には、前記第1および第2の読取手段による各読み取り値のうち前記認識手段により認識された周辺画素の読み取り値と比較して差が大きい方の読み取り値をノイズとして判定し、前記周辺画素の読み取り値の大きな変化が副走査方向に発生した回数が閾値以上の場合には、前記第1および第2の読取手段による各読み取り値のうち副走査方向の変化の回数の少ない方をノイズとして判定する判定手段とを備えることを特徴とする画像読取装置を要旨とする。
【0012】
かかる発明によれば、ある画素について第1または第2の読取手段によって出力された各読み取り値のいずれかにノイズが含まれている旨の判定がなされた場合に、各読み取り値のうち当該画素の周辺の領域の読み取り値から離れている方の読み取り値にノイズが含まれている旨の判定がなされる。従って、読み取り値に含まれるノイズが黒色であるか白色であるかに拘わらず、周辺の領域の色から掛け離れている読み取り値をノイズを含むものとして除去し、ノイズを含まない読み取り値を得ることができる。
【0013】
なお、周辺画素は、前記検出手段により検出された画素から主走査方向に隔たった位置の画素とすることが好ましい。このように構成することにより、ノイズの所在についての判断を行うための情報(周辺画素の読み取り値)を必要最小限とし、当該情報を記憶するためのメモリ容量を節約することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について説明する。
【0015】
A.第1の実施形態
図1はこの発明の第1の実施形態である画像読取装置の全体構成を示す図である。この図1において、1は原稿搬送装置を備えた原稿押さえ、1Aは下流側読み取り位置、1Bは上流側読み取り位置、2は原稿搬送装置によって搬送される原稿、3は原稿2に光を照射するランプ、4はランプ3の反対側から原稿2に光を照射するための反射板、5A〜5Cは原稿2からの反射光を所定の光路に沿って案内するミラー、6はミラー5A〜5Cを介して到来する光を集めるレンズ、7はレンズ6を通過した原稿2からの反射光が結像するCCDである。
【0016】
このCCD7のパッケージには、図2に示すように、7μm×7μmのフォトダイオードをn個並べたラインセンサが2列形成されている。これらの各ラインセンサには、図1における上流側および下流側の各読み取り位置における各原稿画像が各々結像する。
【0017】
下流側の読み取り位置1Aに対応したラインセンサでは、当該ラインセンサを構成するn個のフォトトランジスタに流れる電流が、1ライン周期(主走査周期)の間に順次検知され、1ライン分(n画素分)の各画素の濃度を表すアナログ画像信号が発生される。同様に、上流側の読み取り位置1Bに対応したラインセンサにおいても、1ライン周期の間に、n個のフォトトランジスタに流れる電流が順次検知され、1ライン分(n画素分)の各画素の濃度を表すアナログ画像信号が出力されるのである。
【0018】
ここで、上流側読み取り位置1Bおよび下流側読み取り位置1Aに対応した各ラインセンサは相互にSライン(S本の主走査線)に相当する間隔だけ離れている。従って、原稿の搬送速度に変動がなければ、下流側読み取り位置1Aにおいて得られるアナログ画像信号は、上流側読み取り位置1Bにおけるアナログ画像信号よりもSライン相当の位相遅れを持った画像信号となる。
【0019】
図3は本実施形態に係る画像読取装置の画像処理系の構成を示すブロック図である。図3において、CCD7は、上述したように原稿の搬送経路上の上流側読み取り位置1Bおよび下流側読み取り位置1Aの各々において原稿画像を読み取り、上流側読み取り位置1Bにおけるアナログ画像信号Bと下流側読み取り位置1Aにおけるアナログ画像信号Aとを出力する。
【0020】
このCCD7の後段には、アナログ画像信号AおよびBのサンプルホールド、ゲインコントロールおよびオフセットコントロールを行うアナログ処理回路22aおよび22bと、このアナログ処理回路22aおよび22bを経たアナロク画像信号AおよびBをデジタル画像データAおよびBに変換するA/D変換回路23aおよび23bが設けられている。そして、シェーディング補正回路24は、A/D変換回路23aおよび23bから得られるデジタル画像データAおよびBの各々のシェーディング補正を行う。また、データ遅延回路25は、シェーディング補正の施されたデジタル画像データBをSライン周期相当だけ遅延させ、デジタル画像データAと同相のデジタル画像データとして出力する手段である。
【0021】
本実施形態では、シェーディング補正を経たデジタル画像データAをメイン画像データとし、データ遅延回路25によって遅延されたデジタル画像データBをサブ画像データとして使用する。ここで、メイン画像データは、出力画像の形成に使用される画像データである。このメイン画像データを生成するために設けられた既述のセンサや各回路が特許請求の範囲にいう第1の読取手段に相当する。また、サブ画像データは、メイン画像データがゴミ付着などによるノイズを含んでいるか否かの判定を行う際に使用されるとともに、メイン画像データがそのようなノイズを含む旨の判定がなされた場合には当該メイン画像データに代わって出力画像の形成に使用される画像データである。このサブ画像データを生成するために設けられた既述のセンサや各回路が特許請求の範囲にいう第2の読取手段に相当する。
【0022】
図3において、差分器26、比較器27、演算器28、メモリ29a〜29c、第1判定部30、第2判定部31およびセレクタ32は、メイン画像データおよびサブ画像データの各々についてゴミ付着などによるノイズが含まれているか否かを判定するとともに、この判定結果に基づき、メイン画像データおよびサブ画像データのうちノイズを含まない画像データを選択する回路を構成している。
【0023】
まず、差分器26は、メイン画像データとサブ画像データとの差分を演算する回路である。次に比較器27は、この差分器26の出力データ、すなわち、|メイン画像データ−サブ画像データ|を所定のスレッショルドと比較し、前者が後者よりも大きい場合には“1”、そうでない場合には“0”を出力する。すなわち、これらの差分器26および比較器27は、同一画素に対応したメイン画像データおよびサブ画像データ間にスレッショルドを越えるだけの差があるか否かを判定する手段を構成している。
【0024】
次に、演算器28は、差分器26に現在与えられているメイン画像データに対応した画素の周辺画素のメイン画像データの平均値を演算する手段である。ここで、周辺画素とは、差分器26に現在与えられているメイン画像データが副走査方向においてj番目のライン上にある左端からk番目の画素に対応したものであるとした場合、この画素と同じj番目のライン上に属し、かつ、この画素からN画素だけ離れたM画素分の各画素、すなわち、左端からk−N−M−1番目〜k−N番目までのM個の画素をいう。演算器28は、ある画素のメイン画像データが供給される毎に、その画素に対応した周辺画素のメイン画像データの平均値を求め、これを参照画素平均値として出力するのである。
【0025】
メモリ29aはシェーディング補正回路24から出力されるメイン画像データを順次記憶し、メモリ29bはデータ遅延回路25から出力されるサブ画像データを順次記憶し、メモリ29cは演算器28から出力される参照画素平均値を順次記憶する。
【0026】
第1判定部30は、メモリ29a、29bおよび29cに記憶されたメイン画像データ、サブ画像データおよび参照画素平均値を参照することにより、以下の各データの副走査方向の変化を求める。
a.現在、j番目のラインの左からk番目の画素に対応したメイン画像データがシェーディング補正回路24から出力されているとした場合に、これまでにシェーディング補正回路24から出力された各ラインのk番目の各画素に対応した各メイン画像データの変化
b.現在、j番目のラインの左からk番目の画素に対応したサブ画像データがシェーディング補正回路24から出力されているとした場合に、これまでにシェーディング補正回路24から出力された各ラインのk番目の各画素に対応した各サブ画像データの変化
c.現在、j番目のラインの左からk番目の画素に対応したメイン画像データがシェーディング補正回路24から出力され、演算器28からこのk番目の画素の周辺画素に対応した参照画素平均値が出力されているとした場合に、これまでに演算器28から出力された各ラインのk番目の画素の周辺画素に対応した各参照画素平均値の変化
【0027】
第1判定部30は、この求めた各データの副走査方向の変化に基づき、ゴミ付着によるノイズの所在についての判断、すなわち、ノイズがメイン画像データまたはサブ画像データのいずれに含まれているかの判断を行う。
【0028】
第2判定部31は、比較器27の出力信号に基づきメイン画像データまたはサブ画像データのいずれかにゴミ付着によるノイズが含まれているか否かを判断する。そして、メイン画像データおよびサブ画像データのいずれにもゴミ付着によるノイズが含まれていないと認められる場合には、セレクタ32によりメイン画像データを選択して出力する。一方、メイン画像データまたはサブ画像データのいずれかにゴミ付着によるノイズが含まれていると認められる場合、第2判定部31は、そのノイズの所在についての判断を第1判定部30に指示する。そして、第2判定部31は、第1判定部30による判断結果に基づき、メイン画像データまたはサブ画像データのうちノイズが含まれていないと認められる方の画像データをセレクタ32によって選択して出力する。
【0029】
図4は本実施形態の動作を示すフローチャートである。以下、このフローチャトを参照し、本実施形態の動作を説明する。原稿画像の読み取りが開始されると、原稿の搬送が行われ、原稿の先端から順にCCD7による画像の読み取りが行われる。そして、各ライン周期(主走査周期)毎に、各々1ライン(n画素)分の上流側および下流側の各読み取り位置における画像がCCD7における2組のラインセンサ(図2参照)によって読み取られ、下流側読み取り位置に対応したメイン画像データおよび上流側読み取り位置に対応したサブ画像データがシェーディング補正回路24およびデータ遅延回路25から出力される。第1判定部30および第2判定部31は、これらのメイン画像データおよびサブ画像データを図4に示すフローに従って処理するのである。
【0030】
まず、第2判定部31は、比較器27の出力信号が“1”か否か、すなわち、現在出力されているメイン画像データとサブ画像データとの間にスレッショルドを越えるだけの差があるか否かを判断する(ステップS1)。この判断結果が「NO」である場合、第2判定部31は、セレクタ32によりメイン画像データを選択して出力する(ステップS2)。次いで原稿読み取り動作が終了したか否かを判断し(ステップS3)、この判断結果が「NO」の場合にはステップS1に戻り、次に画素に対応したメイン画像データおよびサブ画像データの処理を行う。このようにメイン画像データとサブ画像データとの間にスレッショルドを越えるだけの差がない場合にはメイン画像データが出力画像の形成に使用されることとなる。
【0031】
一方、ステップS1の判断結果が「YES」の場合、第2判定部31は、メイン画像データとサブ画像データとの間にスレッショルドを越えるだけの差があるという事態が副走査方向に連続5回生じているか否かを判断する(ステップS4)。すなわち、現在、j番目のラインの左からk個目の画素に対応したメイン画像データおよびサブ画像データが出力されているとした場合、j−4番目からj番目の各ラインにおける各々k番目の各画素について、比較器27から連続して信号“1”が出力されたか否かを判定するのである。この判定を行うために、第2判定部31は、比較器27の出力信号を過去5ライン分格納するバッファを有している。そして、このバッファを参照することにより、このステップS4の判断をするのである。
【0032】
このステップS4の判断結果が「NO」の場合は、上述したステップS2に進む。これに対し、ステップS4の判断結果が「YES」である場合には、ステップS5に進み、第2判定部31は、ゴミ付着などによるノイズがメイン画像データまたはサブ画像データのいずれかに含まれていると判断するのである。
【0033】
ここで、フロ−の説明を一旦中断し、本実施形態がゴミ付着などによるノイズの有無について以上のような判断手法を採る理由について説明する。
【0034】
まず、図3において、シェーディング補正部24およびデータ遅延回路25は、ライン周期(主走査周期)毎に、各々n画素分の画素の濃度を表すメイン画像データおよびサブ画像データを出力する。原稿の搬送速度の変動がないとした場合、これらのメイン画像データおよびサブ画像データは、各々原稿上の同一ラインに対応した読取画像を表しているものであり、両者は本来一致すべきものである。従って、同一画素についてメイン画像データとサブ画像データとの間に一定限度を越えた差があるのであれば、ゴミの付着などによるノイズがメイン画像データまたはサブ画像データに含まれていると考えることもできる。
【0035】
しかしながら、実際の原稿読み取りにおいては原稿の搬送速度に変動が生じ、この搬送速度の変動によっても以下説明するようにメイン画像データおよびサブ画像データ間に差異が生じるのである。
【0036】
まず、原稿の搬送速度が正規の搬送速度よりも大きくなると、原稿が上流側読み取り位置を通過してから下流側読み取り位置に到着するまでの遅延時間がデータ遅延回路25の遅延時間よりも短くなる。従って、メイン画像データの位相がサブ画像データの位相よりも進むこととなる。
【0037】
一方、原稿の搬送速度が正規の搬送速度よりも小さくなると、原稿が上流側読み取り位置を通過してから下流側読み取り位置に到着するまでの遅延時間がデータ遅延回路25の遅延時間よりも長くなる。従って、メイン画像データの位相がサブ画像データの位相よりも遅れることとなる。
【0038】
このようにメイン画像データおよびサブ画像データ自体がゴミの影響を受けておらず、各々の波形自体に乱れがない場合であっても、両者に位相差があれば、各時刻における両者の波形値の間に差が生じ得る。以上のように、原稿の搬送速度の変動によってメイン画像データとサブ画像データとの間に差が生じることがあるのであるから、メイン画像データとサブ画像データとの間にスレッショルドを越えるだけの差があるからと言って、直ちに両データのいずれかにゴミ付着などによるノイズが含まれている旨の判定を行うことはできないのである。
【0039】
ところで、原稿の搬送速度は、原稿がローラに当たるときやローラから離れるときに発生するものであるため、上記の搬送速度の変動に基づくメイン画像データおよびサブ画像データの位相ずれは、2〜3ライン周期程度しか持続しないと考えられる。これに対し、ゴミの付着によるノイズの発生は、短くても数10ライン周期以上は持続する。従って、特定の画素について5〜10ライン周期に亙って連続してメイン画像データとサブ画像データとが異なっている場合には、原稿の搬送速度の変動の影響ではなく、ゴミの付着などに起因してそのような事態が起こっていると考えてよい。
【0040】
そこで、本実施形態では、メイン画像データとサブ画像データとが副走査方向に沿って5ライン連続して一致していない場合に、ゴミ付着などによるノイズがメイン画像データまたはサブ画像データのいずれかに含まれていると判定することとしているのである。
【0041】
次に、再び図4のフローを参照し、本実施形態の動作を説明する。
第2判定部31は、ゴミ付着などによるノイズがメイン画像データまたはサブ画像データのいずれかに含まれていると判定した場合(ステップS4およびS5)、第1判定部30に対し、ノイズの所在についての判断の指示を送る。この指示を受けた第1判定部30は、まず、参照画素平均値の大きな変化が副走査方向において頻繁に起こっているか否かを判断する(ステップS6)。すなわち、現在、j番目のラインの左からk番目の画素に対応したメイン画像データがシェーディング補正回路24から出力され、演算器28からこのk番目の画素の周辺画素に対応した参照画素平均値が出力されているとした場合に、第1判定部30は、これまでに演算器28から出力された各ラインのk番目の画素の周辺画素に対応した各参照画素平均値をメモリ29cから読み出す。そして、これらの各参照画素平均値のライン間の差を所定のスレッショルドと比較し、スレッショルドを越える変化が副走査方向において頻繁(例えば2回以上)に起こっているか否かを判断するのである。
【0042】
ここで、図5〜図8を参照し、このステップS6の判断を行う理由について説明する。まず、全体的に白い原稿画像の読み取りが行われ、このとき例えば下流側読み取り位置に黒いゴミが付着していたとすると、このとき得られるメイン画像データは、図6にそのイメージを示すように、ゴミ付着箇所に対応した箇所に黒すじ状のノイズを含むものとなる。このメイン画像データにおける黒すじに対応した部分は、同じ部分に対応したサブ画像データよりも大きな値を有しており、両者の差はスレッショルドを越える(図5の左上の図を参照)。また、全体的に黒い原稿画像の読み取りが行われ、このとき例えば下流側読み取り位置に白いゴミが付着していたとすると、このとき得られるメイン画像データは、図7にそのイメージを示すように、ゴミ付着箇所に対応した箇所に白すじ状のノイズを含むものとなる。このメイン画像データにおける白すじに対応した部分は、同じ部分に対応したサブ画像データよりも小さな値を有しており、両者の差はスレッショルドを越える(図5の右側の図を参照)。
【0043】
これらの場合、黒すじ上または白すじ上の画素に対応したメイン画像データおよびサブ画像データがシェーデイング補正回路24およびデータ遅延回路25から出力されたときには、比較器27からは信号“1”が出力され、所定の条件(ステップS4)を満たす場合にはメイン画像データまたはサブ画像データにゴミ付着などによるノイズが含まれていると判断されることとなる(ステップS5)。
【0044】
しかし、メイン画像データおよびサブ画像データの比較のみでは、両者のいずれにノイズが含まれているかを知ることはできない。そこで、本実施形態では、メイン画像データまたはサブ画像データにゴミ付着などによるノイズが含まれていることが判明した場合には、メイン画像データに対応した画素の周辺画素から得られた参照画素平均値を参照し、メイン画像データまたはサブ画像データのうち参照画素平均値から離れている方にノイズが含まれていると判断するようにしている。なお、この処理については後述する。
【0045】
ところが、図8に示すように、原稿画像に細かな文字が多く含まれており、メイン画像データに対応した画素の周辺画素の領域にこれらの文字が存在する場合には、このメイン画像データに対応した参照画素平均値は当該周辺画素の領域の文字の背景濃度を正確に反映していない可能性が高い。従って、このような場合に参照画素平均値との比較によりノイズの所在を判定したとしても、それが正しい判定である保障はない。
【0046】
そこで、本実施形態では、原稿画像が図8に示すように細かな文字を多く含んでおり、参照画素平均値に基づくノイズの所在の判定が困難である場合に、別の方法によるノイズの所在の判定(後述)を行うべく、このステップS6の判断を行っているのである。
【0047】
そして、このステップS6における判断結果が「YES」である場合、すなわち、参照画素平均値の大きな変動が頻繁に起こっている場合には、第1判定部30は、読み取り画像に絵や細かい文字があると判断する(ステップS11)。次に第1判定部30は、メイン画像データの副走査方向の変化が多いか否かを判断する(ステップS12)。すなわち、現在のメイン画像データがj番目のラインの左からk番目の画素に対応したものであるとした場合、第1判定部30は、メモリ29aに記憶された各ラインのk番目の画素に対応した各メイン画像データを読み出し、所定のスレッショルドを越えるだけの変化が何回あったかを求め、その変化が多いか否かを判断するのである。なお、この変化の回数が多いか否かの判断は、求めた変化の回数を所定の基準回数と比較することにより行ってもよいし、サブ画像データについても同様な変化の回数を求め、この変化の回数と比較することにより行ってもよい。
【0048】
ここで、例えば読み取り画像に黒すじがあり、メイン画像データにこの黒すじに対応したノイズが含まれているものとする。この場合、各ラインにおけるk番目の各画素に対応した各メイン画像データはその殆どが黒色に対応したものとなるから、これらのデータの副走査方向の変化は非常に少ない。また、読み取り画像に白すじがあり、メイン画像データにこの白すじに対応したノイズが含まれている場合も同様である。従って、これらの場合にはステップS12における判断結果が「NO」となり、第1判定部30はメイン画像データにゴミ付着などによるノイズが含まれていると判断し、その旨を第2判定部31に通知する(ステップS13)。この通知を受けた第2判定部31は、サブ画像データをセレクタ32により選択して出力する(ステップS9)。
【0049】
これに対し、メイン画像データに黒すじや白すじに対応したノイズが含まれていない場合、各ラインにおけるk番目の各画素に対応した各メイン画像データの中には、絵や文字の部分に対応したものもあれば、背景(白地や黒地など)に対応したものもある。従って、これらの各メイン画像データの変化の回数は多くなる。従って、この場合のステップS12における判断結果は「NO」となり、第1判定部30はサブ画像データにゴミ付着などによるノイズが含まれていると判断し、その旨を第2判定部31に通知する(ステップS14)。この通知を受けた第2判定部31は、メイン画像データをセレクタ32により選択して出力する(ステップS2)。
【0050】
一方、ステップS6における判断結果が「NO」である場合、すなわち、参照画素平均値の大きな変動が頻繁に起こっていない場合、第1判定部30は、現在のメイン画像データ、サブ画像データおよび参照画素平均値をメモリ29a、29bおよび29cから読み出し、メイン画像データと参照画素平均値との差分の方がサブ画像データと参照画素平均値との差分よりも大きいか否かを判断する(ステップS7)。
【0051】
この判断結果が「YES」である場合、第1判定部30は、メイン画像データにゴミ付着などによるノイズが含まれていると判定し、この判定結果を第2判定部31に通知する(ステップS8)。この通知を受けた第2判定部30は、サブ画像データをセレクタ32により選択して出力する(ステップS9)。
【0052】
これに対し、ステップS7における判断結果が「NO」である場合、サブ画像データにゴミ付着などによるノイズが含まれていると判定し、この判定結果を第2判定部31に通知する(ステップS10)。この通知を受けた第2判定部31は、メイン画像データをセレクタ32により選択して出力する(ステップS2)。
【0053】
このようにメイン画像データおよびサブ画像データのうち参照画素平均値に近い方をゴミ付着などによるノイズを含んでいない画像データとみなし、セレクタ32により選択するのである。この方法によれば、例えば図6に示すように、白地の読み取り原稿に黒すじ状のノイズが含まれている場合、メイン画像データまたはサブ画像データのうちこのノイズ部分の周辺画素(すなわち、白地の部分)の参照画素平均値に近い方が選択されて出力される。また、例えば図7に示すように、黒地の読み取り原稿に白すじ状のノイズが含まれている場合、メイン画像データまたはサブ画像データのうちこのノイズ部分の周辺画素(すなわち、黒地の部分)の参照画素平均値に近い方が選択されて出力される。従って、本実施形態によれば、ノイズが黒すじ状であるか白すじ状であるかに拘わらず、ノイズを含まない方の画像データを選択して出力することができる。
【0054】
B.第2の実施形態
上記第1の実施形態では、メイン画像データに対応した画素に対して所定の位置関係にある画素を周辺画素とし、この周辺画素に対応したメイン画像データに基づいて参照画素平均値を算出した。しかし、この周辺画素に対応したメイン画像データがゴミ付着によるノイズを含むような場合も考えられる。このような場合、周辺画素に対応したメイン画像データから参照画素平均値を求めたとしても、原稿画像の背景濃度を反映した参照画素平均値は得られない。そこで、本実施形態では、ゴミ付着によるノイズの影響を受けていない領域から周辺画素を選択し、そのような周辺画素から参照画素平均値を求める。具体的には次の通りである。
【0055】
すなわち、図3に示す構成において、比較器27の出力信号を1ライン分蓄積するバッファを演算器28に追加する。演算器28は、ある画素に対応したメイン画像データの供給を受けた場合、このバッファ内の格納情報を参照することにより、当該画素の近傍のノイズの影響を受けていない所定個数の画素を周辺画素として選択する。そして、この選択した周辺画素に対応したメイン画像データの平均値を求め、参照画素平均値として出力する。
【0056】
本実施形態によれば、ノイズの影響を受けていない参照画素平均値が得られるので、メイン画像データまたはサブ画像データのいずれにノイズが含まれているかの判定を正確に行うことができる。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明に係る原稿読取装置によれば、原稿を搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送される原稿から主走査方向に並んだ複数の画素を読み取る第1および第2の読取手段と、前記第1の読取手段による読み取り値と前記第2の読取手段による読み取り値とが異なる画素を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された画素の周辺画素の読み取り値を認識する認識手段と、前記認識手段により認識された周辺画素の読み取り値と比較して差が大きい方の読み取り値をノイズとして判定する判定手段とを設けたので、黒色のゴミまたは白色のゴミのいずれが読み取り部に付着した場合においてもその検知を行うことができ、ゴミ付着によるノイズを出力画像から除去することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の第1の実施形態である画像読取装置の全体構成を示す図である。
【図2】 同実施形態におけるCCDの構成を示す図である。
【図3】 同実施形態における画像処理系の構成を示すブロック図である。
【図4】 同実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図5】 同実施形態におけるノイズの所在の判定方法を説明する図である。
【図6】 同実施形態における読み取り画像を例示する図である。
【図7】 同実施形態における読み取り画像を例示する図である。
【図8】 同実施形態における読み取り画像を例示する図である。
【符号の説明】
7……CCD、22aおよび22b……アナロク処理回路、
23aおよび23b……A/D変換器、24……シェーディング補正回路、
25……データ遅延回路、26……差分器、27……比較器、
28……演算器、29a〜29c……メモリ、
30……第1判定部、31……第2判定部、32……セレクタ。

Claims (4)

  1. 原稿を搬送する搬送手段と、
    前記搬送手段によって搬送される原稿から主走査方向に並んだ複数の画素を読み取る第1および第2の読取手段と、
    前記第1の読取手段による読み取り値と前記第2の読取手段による読み取り値とが異なる画素を検出する検出手段と、
    前記検出手段により検出された画素の周辺画素の読み取り値を認識する認識手段と、
    副走査方向に並んだ複数の画素について前記第1および第2の読取手段によって出力された各読み取り値が連続して異なることが前記検出手段によって検出された場合には、前記第1および第2の読取手段による各読み取り値のうち前記認識手段により認識された周辺画素の読み取り値と比較して差が大きい方の読み取り値をノイズとして判定する判定手段と
    を備えることを特徴とする画像読取装置。
  2. 原稿を搬送する搬送手段と、
    前記搬送手段によって搬送される原稿から主走査方向に並んだ複数の画素を読み取る第1および第2の読取手段と、
    前記第1の読取手段による読み取り値と前記第2の読取手段による読み取り値とが異なる画素を検出する検出手段と、
    前記検出手段により検出された画素の周辺画素の読み取り値を認識する認識手段と、
    前記周辺画素の読み取り値の大きな変化が副走査方向に発生した回数が閾値未満の場合には、前記第1および第2の読取手段による各読み取り値のうち前記認識手段により認識された周辺画素の読み取り値と比較して差が大きい方の読み取り値をノイズとして判定し、前記周辺画素の読み取り値の大きな変化が副走査方向に発生した回数が閾値以上の場合には、前記第1および第2の読取手段による各読み取り値のうち副走査方向の変化の回数の少ない方をノイズとして判定する判定手段
    を備えることを特徴とする画像読取装置。
  3. 搬送手段によって搬送される原稿から、第1および第2の読取手段により、主走査方向に並んだ複数の画素を読み取り、前記第1の読取手段による読み取り値と前記第2の読取手段による読み取り値とが異なる画素を検出した場合に、この検出した画素の周辺画素の読み取り値を認識し、副走査方向に並んだ複数の画素について前記第1および第2の読取手段によって出力された各読み取り値が連続して異なることが検出された場合には、前記第1および第2の読取手段による各読み取り値のうち認識された周辺画素の読み取り値と比較して差が大きい方の読み取り値をノイズとして判定することを特徴とする画像読取方法。
  4. 搬送手段によって搬送される原稿から、第1および第2の読取手段により、主走査方向に並んだ複数の画素を読み取り、前記第1の読取手段による読み取り値と前記第2の読取手段による読み取り値とが異なる画素を検出した場合に、この検出した画素の周辺画素の読み取り値を認識し、前記周辺画素の読み取り値の大きな変化が副走査方向に発生した回数が閾値未満の場合には、前記第1および第2の読取手段による各読み取り値のうち認識された周辺画素の読み取り値と比較して差が大きい方の読み取り値をノイズとして判定する一方、前記周辺画素の読み取り値の大きな変化が副走査方向に発生した回数が閾値以上の場合には、前記第1および第2の読取手段による各読み取り値のうち副走査方向の変化の回数の少ない方をノイズとして判定することを特徴とする画像読取方法。
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