JP3711170B2 - 重量鉄骨造に用いる外壁パネル - Google Patents

重量鉄骨造に用いる外壁パネル Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、断熱性、加工性及び品質安定性に優れた重量鉄骨造に用いる外壁パネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、住宅等を建てる工法としては、木造、鉄筋コンクリート造あるいは鉄骨造があり、特に鉄骨造、とりわけ軽量鉄骨造よりも重量鉄骨造の方が、きわめて強靭な鋼材を素材として骨組みを組み立てる構造であるため、強靭で経済的な住宅を建てることができるという利点があり、近年では最も注目されている。
【0003】
ところで、住宅等の外壁パネルは、断熱、遮音、防露等の諸性能を確保する必要がある。このため、図4に示す従来の外壁パネル1は、所定の外形状の耐水性下地合板2に、同じ外形状の木枠3を重ね合わせてほぼ全面接着すると共に、この木枠3の外框3aの内部で中桟3bと横桟3cとで区切られた各空間4,…,4に、遮音材を兼ねる断熱材5,…,5をそれぞれ嵌め込み、上記下地合板2に重ね合わせてほぼ全面接着している。また、上記木枠3に、石膏ボード6を重ね合わせて釘等で固定し、この木枠3の外框3aの内部で、石膏ボード6と上記各断熱材5との間に空気(断熱)層7を形成している。
【0004】
上記外壁パネル1は、図5(A)に示すように、2階の床パネル8の端部に、2階用の外壁パネル1(A)の下框3dの段部と1階用の外壁パネル1(B)の上框3eの段部とをそれぞれ嵌め合わせるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記各断熱材5は、木枠3の中桟3bと横桟3cとで区切られた各空間4に1個づつ嵌め込むようになっているから、各断熱材5がグラスウールのようなものであれば、嵌め込んだときには各桟3b,3cとの間に隙間が無くでも、長年の間にグラスウールが自重で下方に片寄って、図5(B)に示すような隙間t1が発生するようになる。この隙間t1は、外壁パネル1の各空間4の全部で発生するおそれが充分にある。
【0006】
そうすると、各空間t1では、下地合板2を境にして内気と外気との間に断熱材5が介在しなくなるから、内外気の温度差により、下地合板2の裏面(グラスウール側)に結露aが生じて、下地合板2を腐らせたり、下地合板2にかびが発生する原因となる。また、グラスウールは保水性があることから、長期にわたって多量の結露aを保水してしまうと、隙間t1の部分の下地合板2のみならず、下地合板2全体を腐らせたり、下地合板2全体にかびが発生すると共に、石膏ボード6側にも浸透して、石膏ボード6にもしみが付いたり、かびが発生する原因となる。
【0007】
一方、上記各断熱材5がパネル状の発泡スチロールのようなものであれば、多数個(本例では6個)の各断熱材5を、木枠3の中桟3bと横桟3cとで区切られた各空間4にそれぞれ隙間t1が発生しないように、1個づつ切断加工し、さらに嵌め込み作業をするのは非常に困難であって、切断誤差や嵌め込み誤差等により、図5(B)に示したような隙間t1が発生するのを避けることができない。また、各断熱材5が反り返ることにより、各断熱材5と下地合板2の接着面にも隙間t2が発生するおそれがある。
【0008】
上述したように、各断熱材5の各隙間t1,t2により、断熱性とともに防露性が低下するのみならず、遮音性も低下することになるまた、各断熱材5を各空間4にそれぞれ隙間t1が発生しないように切断加工する作業及び嵌め込む作業が非常に煩わしくて時間がかかるので、外壁パネルの加工性が悪いと共に、各隙間t1,t2が不用意に発生するおそれが多いので、品質安定性も悪いという問題があった。
【0009】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、断熱性、加工性及び品質安定性に優れた重量鉄骨造に用いる外壁パネルを提供することを課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、所定の外形状の下地合板に、同じ外形状のハードなパネル状に成形した断熱パネルを重ね合わせてほぼ全面接着し、この断熱パネルに、同じ外形状の木枠の外面側を重ね合わせてほぼ全面接着してなることを特徴とする重量鉄骨造に用いる外壁パネルを提供するものである。
【0011】
また、上記木枠の内面側に、上記木枠の外框と同じ外形状の石膏ボードを重ね合わせて固定し、この木枠の内部で、石膏ボードと上記断熱パネルとの間に空気層を形成することもできる(請求項2)。
【0012】
【発明の効果】
本発明の重量鉄骨造に用いる外壁パネルは、同じ外形状の下地合板とハードなパネル状に成形した断熱パネルと木枠とを3層に重ね合わせて、それぞれをほぼ全面接着するから、木枠の各空間で断熱パネルに従来のような隙間(t1)が発生するおそれは全く無くなると共に、下地合板と木枠とでサンドイッチ状態の断熱パネルに従来のような隙間(t2)が発生するおそれも全く無くなる。したがって、下地合板の全面に断熱パネルが隙間無く密着することになるから、従来では考えられなかった100%の断熱性能及び遮音性能が得られるようになると共に、結露が生じるおそれも無くなって、結露に起因する腐食やかびの発生も全く無くなる。
【0013】
また、断熱パネルは、従来のように各空間に嵌め込むために細かく切断加工する必要は無く、1個づつ嵌め込む作業も不要であるから、外壁パネルの加工性が格段に向上すると共に、隙間(t1,t2)が不用意に発生するおそれも全く無いから、品質安定性も格段に向上するようになる。
【0014】
さらに、重量鉄骨造は、軽量鉄骨造等とは異なり、外壁パネル自体で鉄骨等を補強する必要がないから、下地合板と断熱パネルと木枠とは接着による固定のみで充分であるが、外装パネルを下地合板に重ね合わせて釘で固定するとき、この釘を、下地合板と断熱パネルを貫通させて木枠に打ち込むので、結果的に、下地合板と断熱パネルと木枠とが釘で固定されることになり、長年の間に接着性能が低下したとしても問題がない。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。図1及び図2に示すように、外壁パネル11は、所定の外形状(例えば、幅W:910mm、高さT:2780mm)の耐水性下地合板12に、同じ外形状の断熱パネル15を重ね合わせてほぼ全面接着し、この断熱パネル15に、同じ外形状の木枠13を重ね合わせほぼ全面接着している。なお、木枠13において、13aは外框、13bは中桟、13cは横桟、13dは下框、13eは上框であり、14は空間である。
【0016】
また、木枠13の外框13aに、内部配線等が終了した後に、外框13aと同じ外形状の石膏ボード16を重ね合わせて釘等で固定し、この木枠13の外框13aの内部で、石膏ボード16と上記断熱パネル15との間に空気(断熱)層17を形成している。
【0017】
例えば、下地合板12の厚さt3は9(5〜12)mm、断熱パネル15の厚さt4は25mm、木枠13(空気層17)の厚さt5は56mmであって、厚さt3,t4,t5の合計の厚さt6が規格値として90mmとなるように設定する。同様に、例えば、石膏ボード16の厚さt7は12(9〜15)mm、外装パネル19の厚さt8は18mmである。上記断熱パネル15は、例えば発泡スチロール、発泡ポリスチレン、発泡ウレタン等をハードなパネル状に成形したものが好ましい。
【0018】
上記した重量鉄骨造は、軽量鉄骨造等とは異なり、外壁パネル11自体で鉄骨等を補強する必要がないから、下地合板12と断熱パネル15と木枠13とは接着による固定のみで充分であるが、外装パネル19を下地合板12に重ね合わせて釘で固定するとき、この釘を、下地合板12と断熱パネル15を貫通させて木枠13に打ち込むので、結果的に、下地合板12と断熱パネル15と木枠13とが釘で固定されることになり、長年の間に接着性能が低下したとしても問題がない。
【0019】
上記外壁パネル11は、図2に示したように、2階の床パネル18の端部に、2階用の外壁パネル11(A)の下框13dの段部と1階用の外壁パネル11(B)の上框13eの段部とをそれぞれ嵌め合わせるようになっている。
【0020】
上記外壁パネル11であれば、同じ外形状の下地合板12と断熱パネル15と木枠13とを3層に重ね合わせて、それぞれをほぼ全面接着して構成しているから、図3(A)に示すように、本発明の2枚の外壁パネル11,11を横に並べたときの断熱パネル15,15と、図3(B)に示すように、従来の2枚に外壁パネル1,1を横に並べたときの断熱材5,…,5とを比較すれば明らかなように、本発明の断熱パネル15は、1枚の下地合板12及び木枠13に対して1枚であって、従来の断熱材5のように、各空間4ごとに細かく分割されていないから、断熱パネル15に従来のような隙間t1が発生するおそれは無いと共に、下地合板12と木枠13で断熱パネル15をサンドイッチするから、断熱パネル15に従来のような隙間t2が発生するおそれも無い。
【0021】
よって、下地合板12の全面に断熱パネル15が隙間無く密着することから、100%の断熱性能及び遮音性能が得られることになる。また、上記隙間t1,t2に起因して結露が生じるおそれも無く、腐食やかびの発生も無くなる。
【0022】
一方、断熱パネル15は、従来のように細かく分割して切断加工する必要が無く、1個づつ空間14に嵌め込む作業も不要であって、下地合板12の外形状に一致させる加工だけでよいから、外壁パネル11の加工性が格段に向上する。また、上記各隙間t1,t2が発生するおそれが無いことから、断熱、遮音、防露等の品質安定性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の重量鉄骨造に用いる外壁パネルの分解斜視図である。
【図2】 本発明の重量鉄骨造に用いる外壁パネルの断面図である。
【図3】 (A)は本発明の重量鉄骨造に用いる断熱パネルの正面図、(B)は従来の断熱材の正面図である。
【図4】 従来の外壁パネルの分解斜視図である。
【図5】 (A)は従来の外壁パネルの断面図、(B)は断熱材の隙間を示す断面図である。
【符号の説明】
11 重量鉄骨造に用いる外壁パネル
12 下地合板
13 木枠
14 空間
15 断熱パネル
16 石膏ボード
17 空気層

Claims (2)

  1. 所定の外形状の下地合板に、同じ外形状のハードなパネル状に成形した断熱パネルを重ね合わせてほぼ全面接着し、この断熱パネルに、同じ外形状の木枠の外面側を重ね合わせてほぼ全面接着してなることを特徴とする重量鉄骨造に用いる外壁パネル。
  2. 上記木枠の内面側に、上記木枠の外框と同じ外形状の石膏ボードを重ね合わせて固定し、この木枠の内部で、石膏ボードと上記断熱パネルとの間に空気層を形成している請求項1に記載の重量鉄骨造に用いる外壁パネル。
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