JP3710862B2 - 弾性舗装構造および弾性舗装構造の施工方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、弾性舗装ブロックを敷設し、舗装することによって形成する弾性ブロック舗装路ないし弾性舗装構造およびその施工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
いわゆる弾性舗装ブロックからなる弾性舗装路は、歩道・遊歩道・体育施設・ジョギング路・ゴルフ場歩径路等に多く利用されている。弾性ブロック舗装路を施工する際には、通常は、路盤上にクッション砂を敷設し、クッション砂の上に多数の弾性舗装ブロックを敷き詰めて、舗装路を形成している。また、こうした路盤上にアスファルト又はコンクリートを打設し、アスファルトまたはコンクリートが硬化した後に、この硬化物の上に弾性舗装ブロックを敷き詰めて舗装路を形成している(いわゆる置き敷き工法)。また、多数の弾性舗装ブロックを粘着剤や接着剤で部分的又は全面的に接合し、舗装路とするものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような構造のブロック舗装路では、次の問題点があった。即ち、路盤上にクッション砂を敷設し、この上に弾性舗装ブロックを敷設した場合には、降雨時の流水により、クッション砂が流出し、不陸の原因となる。また、路盤上にアスファルトやコンクリートを打設し、これらを硬化させて下地層を形成した場合には、これらの硬化までに多大な日数がかかり、工期や費用がかかるという欠点がある。また、アスファルトを敷設するためには、専用の高価な機械を設置し、稼働させる必要があり、かつ人手がかかるという欠点がある。
【0004】
また、上述のいわゆる置き敷き工法の場合には、個々の弾性ブロックが取り外し可能なので、弾性舗装ブロックが盗難されたり、離脱したりすることがある。また、弾性舗装ブロックが熱によって伸び、となり合う弾性舗装ブロックの境界部分が隆起する現象が生ずる(いわゆる「つき上げ」)。このために、アスファルト又はコンクリート上に弾性舗装ブロックを敷設する工法が、前記の欠点にも係わらず、多用されており、部分的又は全面的に弾性ブロックをアスファルト又はコンクリートの下地層に対して接着していた。
【0005】
本発明の課題は、クッション砂の流出による舗装面の不陸を防止し、コンクリートやアスファルトの場合のような特殊技能や高価な機械や多大な人手の必要性を無くし、また個々の弾性舗装ブロックの盗難や、隣り合う弾性舗装ブロックの境界におけるつき上げを防止できるようにすることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、路盤と、この路盤上に敷設されたクッション砂層と、このクッション砂層上に敷設された弾性舗装ブロックとを備えている弾性舗装構造であって、クッション砂層が砂とセメントと水との混合物からなり、弾性舗装ブロックが、弾性チップと、この弾性チップを接着し、固結する有機バインダーとを含んでいる弾性舗装ブロック本体およびこの弾性舗装ブロック本体の下側面に一体化されている非加硫ゴムシートを備えている弾性舗装ブロックであり、非加硫ゴムシートが、ブチルゴムからなる主材とゴム配合物とからなり、クッション砂層と非加硫ゴムシートとがブチルゴムの活性基とセメント中の金属酸化物との化学的反応によって接合していることを特徴とする、弾性舗装構造に係るものである。
【0007】
また、本発明は、この弾性舗装構造を得るための施工方法に係るものであり、砂とセメントと水との混合物を路盤上に敷設してクッション層を形成し、このクッション層中のセメント水和反応が進行する前に、このクッション層の上に弾性舗装ブロックを敷設し、この際クッション砂層と非加硫ゴムシートとをブチルゴムの活性基とセメント中の金属酸化物との化学的反応によって接合させることを特徴とする、弾性舗装構造の施工方法に係るものである。
【0008】
弾性ブロック本体は、次のようにして製造できる。まず、ゴム系又はウレタンエラストマー系の弾性チップを用意する。弾性チップの粒径は、1mm以上、5mm以下とすることが好ましい。この弾性チップを構成するゴムとしては、加硫ゴムが好ましく、古タイヤから回収したゴムが特に好ましい。こうした加硫ゴムからなる弾性チップを得るためには、古タイヤ等利用済みの加硫ゴムを粉末状にした粉末や、新たなゴムに加硫剤、充填材・顔料等を添加し、混練し、加硫し、粉末化して弾性チップを使用できる。この中で特に好ましいものは、EPDM(エチレン−プロピレンゴム)である。
【0009】
弾性チップを適当なバインダーの中に固結する。このバインダーとしては、ウレタン系バインダーが特に好ましい。ウレタン系バインダーは、適当な多官能イソシアネートと多官能アルコールとを反応させることによって得ることができる。こうした多官能イソシアネートとしては、TDI(トルエンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート)、MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)を例示でき、多官能アルコールとしては、PPG(ポリプロピレングライコール)・PEG(ボリエチレングライコール)を例示できる。このバインダーに対して、前記の弾性チップと共に、適宜な顔料を加えて攪拌して混合物を得、この混合物を圧縮成型し、脱型すれば、弾性ブロック本体を得ることができる。
【0010】
非加硫ゴムシートは、ブチルゴムからなる主材とゴム配合物とからなっている。このブチルゴムとしては、通常の非加硫ブチルゴムや、再生ブチルゴムを使用できる。この際には、通常の製造プロセスに従って非加硫ブチルゴムを製造することができる。また、再生ブチルゴムを使用することも可能である。再生ブチルゴム粒子を得るためには、使用済みのトラック・バス等のブチルゴム製のタイヤチューブを用意し、グラインダーロール等の粉砕手段によって粉砕して加硫ブチルゴム粉末を得る。
【0011】
この加硫ブチルゴム粉末に対して芳香族系オイルを添加し、混合し、この混合物を攪拌し、加圧缶に入れ、8〜20kgf/cm2 の圧力で放置する。ここで再生ブチルゴムとは、加硫ブチルゴムを加熱および加圧処理することによって、平均分子量を小さくし、かつ加硫度を減少させたものを言い、「再生ゴム」(日本ゴム協会発行)に記載されている。この非加硫ゴムシートに対して添加できるゴム用薬剤としては、ゴム工業で通常使用できるものを使用でき、例えば、充填材、粘着剤、老化防止材等を使用できる。この非加硫ゴムシートを弾性ブロックの裏面に接着または粘着させる。
【0012】
図1は、本発明の弾性舗装構造を例示する断面図である。施工を行う際には、図示しない路床の上に路盤1を形成する。砂と、通常コンクリート業界で使用されるセメントと、水とを混合し、攪拌して、クッション砂を製造し、このクッション砂を、路盤1上に所定の厚さとなるように敷設し、クッション砂層2を形成する。この時、クッション砂層2がベトつかない程度の湿りぐあいにする為に、少量の水を加えておく。
【0013】
この砂の粒径は、1mm以上、5mm以下とすることが好ましく、3mm以下とすることが一層好ましい。この砂は、骨材としてよりもクッション材として使用するものである。また、砂とセメントと水との重量比率は、1:0.2〜0.5:0.01〜0.1とすることが好ましい。
【0014】
クッション砂層2の上に、弾性ブロック3を多数隙間無く敷設する。各弾性舗装ブロック3においては、弾性舗装ブロック本体4の裏面4b上に、それぞれ非加硫ゴムシート5が接合されている。本実施形態においては、各弾性舗装ブロックの裏面4bの各中央部分を非加硫ゴムシート5によって被覆し、各裏面4bの周縁部分では弾性舗装ブロック本体4を露出させている。となり合う弾性舗装ブロック本体4を互いに隙間無く敷設することによって、路面4aを構成する。
【0015】
本発明によれば、クッション砂層2中のセメント水和反応が進行する前に、クッション砂層2の上に弾性舗装ブロック3を敷設することによって、クッション砂層2と非加硫ゴムシート5とを、ブチルゴムの活性基とセメント中の金属酸化物との化学的反応によって接合させる。ブチルゴム中の活性基は、カルボキシル基や水素基などである。これらの官能基は、セメント中の金属酸化物とイオン反応を起こし、化学的結合する。更に、クッション砂層の表面に凹凸が不可避的に発生するが、この凹凸の中に非加硫ブチルゴムの成分が進入し、この凹凸の中で前記の化学的結合が生ずるために、一種の投錨効果(アンカー効果)によって非加硫ゴムシートが一層強固に接合される。
【0016】
従って、クッション砂層2中において、セメントの水和反応によって砂の動きが拘束されるので、降雨時の流水によって、クッション砂が流出することはなく、ブロックに不陸が生じることがない。したがって、斜面などにも安心して使用できる。また、クッション砂層2をいったん形成すれば、この上に弾性舗装ブロック3を直ちに施工できる。従って、アスファルトやコンクリートを打設し、これらを硬化させて下地層を形成した場合と比較して、コンクリートやアスファルトの場合のような、特殊技術を有する職人による佐官作業は不要であるし、コンクリートやアスファルトの硬化を待つ必要もなく、専用の高価な機械を設置し、稼働させる必要もない。このために、工期や費用を著しく削減できる。
【0017】
更に、前述の置き敷き工法の場合とは異なり、個々の弾性ブロックが取り外しできないので、盗難や隣り合う弾性舗装ブロックの境界におけるつき上げも発生しない。
【0018】
【実施例】
〔弾性舗装ブロックの製造〕
(製造例1)
古タイヤを粉末状にして加硫ブチルゴム粉末を製造し、この粉末を弾性チップとして使用した。TDI(トルエンシイソシアネート)とPPG(ポリプロピレングライコール)とを混合し、この中に弾性チップを混合し、顔料(ベンガラ)を加えて攪拌し、混合物を得、この混合物を圧縮成型し、脱型すすることによって、厚さ30mm、寸法200mm×250mmの弾性舗装ブロックを製造した。
【0019】
(製造例2)
製造例1に示すようにして弾性舗装ブロック本体4を製造した。一方、非加硫ブチルゴム100重量部に対して、充填剤、粘着剤を添加し、混練し、加圧成形し、脱型し、厚さ1.5mm、寸法180mm×230mmの非加硫ゴムシート5を製造した。非加硫ゴムシート5を弾性舗装ブロック本体4の裏面4bに対して粘着させた。
【0020】
〔各弾性舗装構造の作成〕
(比較例1)
路盤1を砕石によって形成し、路盤1の上にコンクリートを打設し、硬化させ、厚さ3mmの下地層を形成した。この下地層の上に、製造例1の弾性舗装ブロックを敷設した。
【0021】
(比較例2)
路盤1を砕石によって形成し、路盤1の上にコンクリートを打設し、硬化させ、厚さ3mmの下地層を形成した。この下地層の上に、製造例2の弾性舗装ブロック3を敷設した。
(比較例3)
路盤1を砕石によって形成し、路盤1の上に砂を厚さ3mmとなるように敷設した。このクッション層の上に、製造例1の弾性舗装ブロックを敷設した。
(比較例4)
路盤1を砕石によって形成し、路盤1の上に砂を厚さ3mmとなるように敷設した。このクッション層の上に、製造例2の弾性舗装ブロック3を敷設した。
【0022】
(比較例5)
路盤1を砕石によって形成した。砂3重量部に対してセメント1重量部と少量の水とを加えて路盤1の上にクッション砂層2を形成した。この上に、製造例1の弾性舗装ブロックを敷設した。
(実施例)
路盤1を砕石によって形成した。砂3重量部に対してセメント1重量部と少量の水とを加えて路盤1の上にクッション砂層2を形成した。この上に、製造例2の弾性舗装ブロック3を敷設した。
【0023】
これらの各例の弾性舗装構造について、下記の各実験を行った。
(砂の流出性の実験)
約1m×1mの木製の容器の中に路盤1を作り、前記の各弾性舗装構造を作成した。この後に、2週間、室内で養生を行った。この弾性舗装構造について、30℃の傾斜を設け、500ml/分の流量で弾性舗装ブロックの表面に水を流し、砂の流れを目視した。
【0024】
(施工性)
歩道を想定し、各弾性舗装構造の試験施工を行って施工し易さを確認した。
(耐久性)
夏場の気温下で、20×20mの面積について弾性舗装ブロックの試験施工を行い、舗装面の外周を鉄製のアングルで拘束し、つき上げを確認した。
【0025】
比較例1においては、砂の流出は生じなかった。しかし、施工に手間と時間と人手とがかかり、またつき上げが観察された。
比較例2においては、砂の流出は生じなかった。しかし、施工に手間と時間と人手とがかかり、またつき上げが観察された。
【0026】
比較例3、4においては、砂の流出が観察された。また、施工は容易であったが、つき上げが観察された。
比較例5においては、砂の流出は生じなかった。また、施工は容易であったが、つき上げが観察された。
【0027】
本発明の実施例においては、砂の流出は見られず、施工も極めて容易であり、しかも夏場の気温中で長期間放置しても、つき上げや不陸等の現象は生じなかった。
【0028】
【発明の効果】
以上述べてきたように、本発明の弾性舗装構造によれば、降雨時の流水によって、クッション砂が流出することはなく、ブロックに不陸が生じることがない。また、コンクリートやアスファルトの場合のような、特殊技術を有する職人による佐官作業は不要であるし、コンクリートやアスファルトの硬化を待つ必要もなく、専用の高価な機械を設置し、稼働させる必要もない。このために、工期や費用を著しく削減できる。更に、前述の置き敷き工法の場合とは異なり、個々の弾性ブロックが取り外しできないので、盗難や、隣り合う弾性舗装ブロックの境界におけるつき上げも発生しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る弾性舗装構造の一部を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 路盤
2 クッション砂層
3 弾性舗装ブロック
4 弾性舗装ブロック本体
4a 弾性舗装ブロック本体4の舗装面
4b 弾性舗装ブロック本体4の裏面
5 非加硫ゴムシート
【発明の属する技術分野】
この発明は、弾性舗装ブロックを敷設し、舗装することによって形成する弾性ブロック舗装路ないし弾性舗装構造およびその施工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
いわゆる弾性舗装ブロックからなる弾性舗装路は、歩道・遊歩道・体育施設・ジョギング路・ゴルフ場歩径路等に多く利用されている。弾性ブロック舗装路を施工する際には、通常は、路盤上にクッション砂を敷設し、クッション砂の上に多数の弾性舗装ブロックを敷き詰めて、舗装路を形成している。また、こうした路盤上にアスファルト又はコンクリートを打設し、アスファルトまたはコンクリートが硬化した後に、この硬化物の上に弾性舗装ブロックを敷き詰めて舗装路を形成している(いわゆる置き敷き工法)。また、多数の弾性舗装ブロックを粘着剤や接着剤で部分的又は全面的に接合し、舗装路とするものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような構造のブロック舗装路では、次の問題点があった。即ち、路盤上にクッション砂を敷設し、この上に弾性舗装ブロックを敷設した場合には、降雨時の流水により、クッション砂が流出し、不陸の原因となる。また、路盤上にアスファルトやコンクリートを打設し、これらを硬化させて下地層を形成した場合には、これらの硬化までに多大な日数がかかり、工期や費用がかかるという欠点がある。また、アスファルトを敷設するためには、専用の高価な機械を設置し、稼働させる必要があり、かつ人手がかかるという欠点がある。
【0004】
また、上述のいわゆる置き敷き工法の場合には、個々の弾性ブロックが取り外し可能なので、弾性舗装ブロックが盗難されたり、離脱したりすることがある。また、弾性舗装ブロックが熱によって伸び、となり合う弾性舗装ブロックの境界部分が隆起する現象が生ずる(いわゆる「つき上げ」)。このために、アスファルト又はコンクリート上に弾性舗装ブロックを敷設する工法が、前記の欠点にも係わらず、多用されており、部分的又は全面的に弾性ブロックをアスファルト又はコンクリートの下地層に対して接着していた。
【0005】
本発明の課題は、クッション砂の流出による舗装面の不陸を防止し、コンクリートやアスファルトの場合のような特殊技能や高価な機械や多大な人手の必要性を無くし、また個々の弾性舗装ブロックの盗難や、隣り合う弾性舗装ブロックの境界におけるつき上げを防止できるようにすることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、路盤と、この路盤上に敷設されたクッション砂層と、このクッション砂層上に敷設された弾性舗装ブロックとを備えている弾性舗装構造であって、クッション砂層が砂とセメントと水との混合物からなり、弾性舗装ブロックが、弾性チップと、この弾性チップを接着し、固結する有機バインダーとを含んでいる弾性舗装ブロック本体およびこの弾性舗装ブロック本体の下側面に一体化されている非加硫ゴムシートを備えている弾性舗装ブロックであり、非加硫ゴムシートが、ブチルゴムからなる主材とゴム配合物とからなり、クッション砂層と非加硫ゴムシートとがブチルゴムの活性基とセメント中の金属酸化物との化学的反応によって接合していることを特徴とする、弾性舗装構造に係るものである。
【0007】
また、本発明は、この弾性舗装構造を得るための施工方法に係るものであり、砂とセメントと水との混合物を路盤上に敷設してクッション層を形成し、このクッション層中のセメント水和反応が進行する前に、このクッション層の上に弾性舗装ブロックを敷設し、この際クッション砂層と非加硫ゴムシートとをブチルゴムの活性基とセメント中の金属酸化物との化学的反応によって接合させることを特徴とする、弾性舗装構造の施工方法に係るものである。
【0008】
弾性ブロック本体は、次のようにして製造できる。まず、ゴム系又はウレタンエラストマー系の弾性チップを用意する。弾性チップの粒径は、1mm以上、5mm以下とすることが好ましい。この弾性チップを構成するゴムとしては、加硫ゴムが好ましく、古タイヤから回収したゴムが特に好ましい。こうした加硫ゴムからなる弾性チップを得るためには、古タイヤ等利用済みの加硫ゴムを粉末状にした粉末や、新たなゴムに加硫剤、充填材・顔料等を添加し、混練し、加硫し、粉末化して弾性チップを使用できる。この中で特に好ましいものは、EPDM(エチレン−プロピレンゴム)である。
【0009】
弾性チップを適当なバインダーの中に固結する。このバインダーとしては、ウレタン系バインダーが特に好ましい。ウレタン系バインダーは、適当な多官能イソシアネートと多官能アルコールとを反応させることによって得ることができる。こうした多官能イソシアネートとしては、TDI(トルエンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート)、MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)を例示でき、多官能アルコールとしては、PPG(ポリプロピレングライコール)・PEG(ボリエチレングライコール)を例示できる。このバインダーに対して、前記の弾性チップと共に、適宜な顔料を加えて攪拌して混合物を得、この混合物を圧縮成型し、脱型すれば、弾性ブロック本体を得ることができる。
【0010】
非加硫ゴムシートは、ブチルゴムからなる主材とゴム配合物とからなっている。このブチルゴムとしては、通常の非加硫ブチルゴムや、再生ブチルゴムを使用できる。この際には、通常の製造プロセスに従って非加硫ブチルゴムを製造することができる。また、再生ブチルゴムを使用することも可能である。再生ブチルゴム粒子を得るためには、使用済みのトラック・バス等のブチルゴム製のタイヤチューブを用意し、グラインダーロール等の粉砕手段によって粉砕して加硫ブチルゴム粉末を得る。
【0011】
この加硫ブチルゴム粉末に対して芳香族系オイルを添加し、混合し、この混合物を攪拌し、加圧缶に入れ、8〜20kgf/cm2 の圧力で放置する。ここで再生ブチルゴムとは、加硫ブチルゴムを加熱および加圧処理することによって、平均分子量を小さくし、かつ加硫度を減少させたものを言い、「再生ゴム」(日本ゴム協会発行)に記載されている。この非加硫ゴムシートに対して添加できるゴム用薬剤としては、ゴム工業で通常使用できるものを使用でき、例えば、充填材、粘着剤、老化防止材等を使用できる。この非加硫ゴムシートを弾性ブロックの裏面に接着または粘着させる。
【0012】
図1は、本発明の弾性舗装構造を例示する断面図である。施工を行う際には、図示しない路床の上に路盤1を形成する。砂と、通常コンクリート業界で使用されるセメントと、水とを混合し、攪拌して、クッション砂を製造し、このクッション砂を、路盤1上に所定の厚さとなるように敷設し、クッション砂層2を形成する。この時、クッション砂層2がベトつかない程度の湿りぐあいにする為に、少量の水を加えておく。
【0013】
この砂の粒径は、1mm以上、5mm以下とすることが好ましく、3mm以下とすることが一層好ましい。この砂は、骨材としてよりもクッション材として使用するものである。また、砂とセメントと水との重量比率は、1:0.2〜0.5:0.01〜0.1とすることが好ましい。
【0014】
クッション砂層2の上に、弾性ブロック3を多数隙間無く敷設する。各弾性舗装ブロック3においては、弾性舗装ブロック本体4の裏面4b上に、それぞれ非加硫ゴムシート5が接合されている。本実施形態においては、各弾性舗装ブロックの裏面4bの各中央部分を非加硫ゴムシート5によって被覆し、各裏面4bの周縁部分では弾性舗装ブロック本体4を露出させている。となり合う弾性舗装ブロック本体4を互いに隙間無く敷設することによって、路面4aを構成する。
【0015】
本発明によれば、クッション砂層2中のセメント水和反応が進行する前に、クッション砂層2の上に弾性舗装ブロック3を敷設することによって、クッション砂層2と非加硫ゴムシート5とを、ブチルゴムの活性基とセメント中の金属酸化物との化学的反応によって接合させる。ブチルゴム中の活性基は、カルボキシル基や水素基などである。これらの官能基は、セメント中の金属酸化物とイオン反応を起こし、化学的結合する。更に、クッション砂層の表面に凹凸が不可避的に発生するが、この凹凸の中に非加硫ブチルゴムの成分が進入し、この凹凸の中で前記の化学的結合が生ずるために、一種の投錨効果(アンカー効果)によって非加硫ゴムシートが一層強固に接合される。
【0016】
従って、クッション砂層2中において、セメントの水和反応によって砂の動きが拘束されるので、降雨時の流水によって、クッション砂が流出することはなく、ブロックに不陸が生じることがない。したがって、斜面などにも安心して使用できる。また、クッション砂層2をいったん形成すれば、この上に弾性舗装ブロック3を直ちに施工できる。従って、アスファルトやコンクリートを打設し、これらを硬化させて下地層を形成した場合と比較して、コンクリートやアスファルトの場合のような、特殊技術を有する職人による佐官作業は不要であるし、コンクリートやアスファルトの硬化を待つ必要もなく、専用の高価な機械を設置し、稼働させる必要もない。このために、工期や費用を著しく削減できる。
【0017】
更に、前述の置き敷き工法の場合とは異なり、個々の弾性ブロックが取り外しできないので、盗難や隣り合う弾性舗装ブロックの境界におけるつき上げも発生しない。
【0018】
【実施例】
〔弾性舗装ブロックの製造〕
(製造例1)
古タイヤを粉末状にして加硫ブチルゴム粉末を製造し、この粉末を弾性チップとして使用した。TDI(トルエンシイソシアネート)とPPG(ポリプロピレングライコール)とを混合し、この中に弾性チップを混合し、顔料(ベンガラ)を加えて攪拌し、混合物を得、この混合物を圧縮成型し、脱型すすることによって、厚さ30mm、寸法200mm×250mmの弾性舗装ブロックを製造した。
【0019】
(製造例2)
製造例1に示すようにして弾性舗装ブロック本体4を製造した。一方、非加硫ブチルゴム100重量部に対して、充填剤、粘着剤を添加し、混練し、加圧成形し、脱型し、厚さ1.5mm、寸法180mm×230mmの非加硫ゴムシート5を製造した。非加硫ゴムシート5を弾性舗装ブロック本体4の裏面4bに対して粘着させた。
【0020】
〔各弾性舗装構造の作成〕
(比較例1)
路盤1を砕石によって形成し、路盤1の上にコンクリートを打設し、硬化させ、厚さ3mmの下地層を形成した。この下地層の上に、製造例1の弾性舗装ブロックを敷設した。
【0021】
(比較例2)
路盤1を砕石によって形成し、路盤1の上にコンクリートを打設し、硬化させ、厚さ3mmの下地層を形成した。この下地層の上に、製造例2の弾性舗装ブロック3を敷設した。
(比較例3)
路盤1を砕石によって形成し、路盤1の上に砂を厚さ3mmとなるように敷設した。このクッション層の上に、製造例1の弾性舗装ブロックを敷設した。
(比較例4)
路盤1を砕石によって形成し、路盤1の上に砂を厚さ3mmとなるように敷設した。このクッション層の上に、製造例2の弾性舗装ブロック3を敷設した。
【0022】
(比較例5)
路盤1を砕石によって形成した。砂3重量部に対してセメント1重量部と少量の水とを加えて路盤1の上にクッション砂層2を形成した。この上に、製造例1の弾性舗装ブロックを敷設した。
(実施例)
路盤1を砕石によって形成した。砂3重量部に対してセメント1重量部と少量の水とを加えて路盤1の上にクッション砂層2を形成した。この上に、製造例2の弾性舗装ブロック3を敷設した。
【0023】
これらの各例の弾性舗装構造について、下記の各実験を行った。
(砂の流出性の実験)
約1m×1mの木製の容器の中に路盤1を作り、前記の各弾性舗装構造を作成した。この後に、2週間、室内で養生を行った。この弾性舗装構造について、30℃の傾斜を設け、500ml/分の流量で弾性舗装ブロックの表面に水を流し、砂の流れを目視した。
【0024】
(施工性)
歩道を想定し、各弾性舗装構造の試験施工を行って施工し易さを確認した。
(耐久性)
夏場の気温下で、20×20mの面積について弾性舗装ブロックの試験施工を行い、舗装面の外周を鉄製のアングルで拘束し、つき上げを確認した。
【0025】
比較例1においては、砂の流出は生じなかった。しかし、施工に手間と時間と人手とがかかり、またつき上げが観察された。
比較例2においては、砂の流出は生じなかった。しかし、施工に手間と時間と人手とがかかり、またつき上げが観察された。
【0026】
比較例3、4においては、砂の流出が観察された。また、施工は容易であったが、つき上げが観察された。
比較例5においては、砂の流出は生じなかった。また、施工は容易であったが、つき上げが観察された。
【0027】
本発明の実施例においては、砂の流出は見られず、施工も極めて容易であり、しかも夏場の気温中で長期間放置しても、つき上げや不陸等の現象は生じなかった。
【0028】
【発明の効果】
以上述べてきたように、本発明の弾性舗装構造によれば、降雨時の流水によって、クッション砂が流出することはなく、ブロックに不陸が生じることがない。また、コンクリートやアスファルトの場合のような、特殊技術を有する職人による佐官作業は不要であるし、コンクリートやアスファルトの硬化を待つ必要もなく、専用の高価な機械を設置し、稼働させる必要もない。このために、工期や費用を著しく削減できる。更に、前述の置き敷き工法の場合とは異なり、個々の弾性ブロックが取り外しできないので、盗難や、隣り合う弾性舗装ブロックの境界におけるつき上げも発生しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る弾性舗装構造の一部を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 路盤
2 クッション砂層
3 弾性舗装ブロック
4 弾性舗装ブロック本体
4a 弾性舗装ブロック本体4の舗装面
4b 弾性舗装ブロック本体4の裏面
5 非加硫ゴムシート
Claims (2)
- 路盤と、この路盤上に敷設されたクッション砂層と、このクッション砂層上に敷設された弾性舗装ブロックとを備えている弾性舗装構造であって、前記クッション砂層が砂とセメントと水との混合物からなり、前記弾性舗装ブロックが、弾性チップと、この弾性チップを接着し、固結する有機バインダーとを含んでいる弾性舗装ブロック本体およびこの弾性舗装ブロック本体の下側面に一体化されている非加硫ゴムシートを備えている弾性舗装ブロックであり、前記非加硫ゴムシートが、ブチルゴムからなる主材とゴム配合物とからなり、前記クッション砂層と前記非加硫ゴムシートとが前記ブチルゴムの活性基と前記セメント中の金属酸化物との化学的反応によって接合していることを特徴とする、弾性舗装構造。
- 路盤と、この路盤上に敷設されたクッション砂層と、このクッション砂層上に敷設された弾性舗装ブロックとを備えている弾性舗装構造を施工する方法であって、前記弾性舗装ブロックが、弾性チップと、この弾性チップを接着し、固結する有機バインダーとを含んでいる弾性舗装ブロック本体およびこの弾性舗装ブロック本体の下側面に一体化されている非加硫ゴムシートを備えている弾性舗装ブロックであり、前記非加硫ゴムシートが、ブチルゴムからなる主材とゴム配合物とからなり、砂とセメントと水との混合物を前記路盤上に敷設して前記クッション砂層を形成し、このクッション砂層中のセメント水和反応が進行する前にこのクッション砂層の上に前記弾性舗装ブロックを敷設し、この際前記クッション砂層と前記非加硫ゴムシートとを前記ブチルゴムの活性基と前記セメント中の金属酸化物との化学的反応によって接合させることを特徴とする、弾性舗装構造の施工方法。
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JP31806495A JP3710862B2 (ja) | 1995-12-06 | 1995-12-06 | 弾性舗装構造および弾性舗装構造の施工方法 |
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-
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