JP3710842B2 - 成長促進剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、成長促進剤に関し、さらに詳しくはアシルオクタペプチド系化合物を有効成分とする動物用成長促進剤に関する。
【0002】
【従来技術と発明が解決しようとする課題】
鶏、豚、牛等の家畜の飼料にストレプトマイシンを添加することにより、これら家畜の成長を促進し得ることが指摘された[ムーアら(Moore P.R.et al.), J.Biol.Chem. 16: 437 (1946)]。それ以後、このような目的に使用可能な様々な抗生物質が明らかにされている。これらの抗生物質は、動物が摂取した飼料の動物による利用率を高め、その結果、成長促進効果を奏するものと考えられている。
即ち、動物が経口的に摂取した飼料は、動物の消化管内に存在する各種の酵素や微生物の働きにより、蛋白質はアミノ酸に、炭水化物はグルコースや揮発性低級脂肪酸(以下、VFAと称する)に、また脂肪はグリセリンや脂肪酸に分解され、これら分解産物の内、グルコース、アミノ酸及びグリセリン等の大部分は小腸で、VFAは大腸で、それぞれ吸収される。しかしながら、動物が摂取した栄養分のすべてが生体内に吸収される訳ではなく、消化管内に存在する夥しい数の腸内細菌により栄養分の一部が奪われ、動物による飼料利用率は低くなっている。腸内細菌による栄養分の消費に加えて、これら細菌が産生する乳酸は、大腸の蠕動運動を刺激し、そのために吸収時間を減少させることが知られており、それによっても、飼料利用率が低下する。さらに、動物が細菌性疾病に感染すれば、当然、飼料利用率の低下は促進されることになる。
【0003】
このように動物の腸内有害細菌は飼料利用率に様々な悪影響を与えるが、そのような細菌として、例えば、クロストリジウム属(Clostridium)、バクテロイデス属(Bacteroides)、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)等のグラム陽性菌が知られている。その内、クロストリジウム・ペルフリンジェンス(perfringens)は特に大きい影響を及ぼすことから、該菌株に対する抗菌活性は、成長促進作用を有する抗生物質のインビトロスクリーニングの指標の1つとされている[Ann. N.Y. Sci. 78: 321-327、1959; Poultry Science 62: 1633〜1638(1983):Poultry Science 63: 2036〜2042(1984)]。
【0004】
ところで、摂取した栄養素の内、炭水化物の一部は大腸、特に近位結腸で微生物によって分解され、多量のVFAや乳酸等の有機酸に代謝されるが、それら代謝産物の内、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、イソ吉草酸、吉草酸、イソカプロン酸、カプロン酸等のVFAが豚や反芻類(ウシなど)等の家畜の重要なエネルギー源であることが指摘されている[Kass, M. L. (1980), Utilization of dietary fiber from alfalfa by growing swine, II. Volatile fatty acid concentrations in and disappearance from the gastrointestinal tract., J. Animal Sci. 50: 192-197;及び坂田隆(1994) 腸内細菌からのメッセージ 「化学と生物」32: 23-31]。これらVFAの内、酢酸、プロピオン酸、酪酸は生体内で利用価値が高いことが分かっている。即ち、生成されたVFAの95%以上は拡散により大腸上皮表面から吸収され、例えば、中豚(体重約48Kg)では、維持エネルギー量の6.9〜12%にも達すると報告されている(Kass,坂田、前掲)。これらVFAの相対的な利用効率について、例えば、豚では酢酸及び酪酸も利用されるがプロピオン酸がより効率よく利用されこと、さらにプロピオン酸の利用が少なすぎる場合には、ケト−シス[大量のケトン体(アセト酢酸、β−ヒドロキシ酪酸、アセトン)が体内に蓄積されて起こる疾病]を誘発することが報告されている[Church et al.,(1971), Digestive Physiology and Nutrition of Ruminants. vol. 2: 622-625]。
【0005】
上記から、動物の飼料利用率を高め、成長を促進し得る抗生物質は、少なくとも、以下の作用の全部又は一部を示す必要があると考えられる。
(1)飼料効率低下の原因菌である上記の腸内有害細菌、例えば、クロストリジウム属(Clostridium)やバクテロイド属(Bacteroides)等のグラム陽性菌に対する抗菌作用;
(2)腸内細菌によるグルコース及び蛋白質の消費の抑制又は節約作用;
(3)腸内細菌による乳酸産生の抑制作用;及び/又は
(4)動物のエネルギー源であるVFAの産生の増大作用、特に、プロピオン酸の産生比の増大作用。
これらの作用に加えて、成長促進剤として日常的に投与される抗生物質は、生態系にとって安全である必要がある。
上記の各作用は相互に関連しており、このような作用を示す抗生物質は、腸内の有害菌に対して抗菌作用を示し、乳酸の産生を抑制すると同時に、炭水化物からVFAを効率良く産生し、特により高い割合でプロピオン酸を産生し、それによって炭水化物の利用率を増加させるとともにケト−シスの発生率を減少させ、全体として飼料効率を向上し、動物の成長を促進し得ると期待される。
【0006】
従来、含ラクトンペプチド系抗生物質には、家禽類や豚等の家畜類を含む様々な動物の腸内有害細菌、例えばクロストリジウム(Clostridium)属の菌株に対する抗菌活性を有する抗生物質が含まれていることが知られており、それらは、中性あるいは塩基性のエンラマイシンやノシヘプタイド等の化合物と、酸性のリポペプチド構造をもつダプトマイシン(特開昭55−92353)等の化合物に大別されている。この種の抗生物質の内、既に動物の成長促進剤として市販されているものにはチオペプチン(藤沢薬品工業(株))があるが、このチオペプチンより優れた成長促進効果を有する物質として、グリコペプチド系抗生物質PA−42867−Aが開示されている(特開平1−190633)。
一方、既に市販されているアビラマイシン(イーライ・リリー)やタイロシン(塩野義製薬)等の抗生物質には、消化管内でのVFAの増加、乳酸産生の減少、グルコースの節約作用が認められており、これらの作用は、特に豚、羊、馬、牛等の家畜の飼料利用率の改善と密接な関係があると考えられている。
このように、様々な抗生物質が開発されているが、上記の作用を有し、目的とする家畜の成長促進剤として有効かつ安全なより多くの抗生物質が必要とされている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、新規な成長促進剤、特に、動物用の成長促進剤を開発するために、鋭意、研究を重ねた結果、ある種のアシル系抗生物質が上記の各作用を有し、飼料利用率の改善に有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、式I:
【化2】
Figure 0003710842
[式中、XはL−HyPro又はL−Pro、Rは−CH3又は−CH(CH3)2、nは9〜12の整数を表す]
で示される化合物及びその塩からなる群から選択される1種以上の化合物を有効成分とする成長促進剤を提供するものである。
【0008】
本発明の成長促進剤の有効成分である化合物Iは新規な構造を有するアシルオクタペプチドとして、その塩と共に、特開平3−188098号公報に開示されている。本明細書中、式Iで示される化合物を、該公報の記載に従い、プラスバシン(Plusbacin)と呼称する。代表的なプラスバシン類化合物として、下記の8種類が知られている。
式Iにおいて、XがL−HyPro、nが10、Rが−CH3である化合物(プラスバシンA1);XがL−HyPro、nが9、Rが−CH(CH3)2である化合物(プラスバシンA2);XがL−HyPro、nが10、Rが−CH(CH3)2である化合物(プラスバシンA3);XがL−HyPro、nが12、Rが−CH3である化合物(プラスバシンA4);XがL−Pro、nが10、Rが−CH3である化合物(プラスバシンB1);XがL−Pro、nが9、Rが−CH(CH3)2である化合物(プラスバシンB2);XがL−Pro、nが10、Rが−CH(CH3)2である化合物(プラスバシンB3);及びXがL−Pro、nが12、Rが−CH3である化合物(プラスバシンB4)。
【0009】
本明細書中、「L−HyPro」はL−トランス−3−ヒドロキシプロリンを、「D−HyAsp」はD−トレオ−β−ヒドロキシアスパラギン酸を、「L−HyAsp」はL−トレオ−β−ヒドロキシアスパラギン酸を、「aThr」はアロ−トレオニンを意味する。
「飼料利用率」とは、飼料の吸収利用の程度を指し、飼料利用率の改善とは、少ない飼料で大きい体重増加が得られることを意味し、具体的には、動物のエネルギー源であるVFAの産生、特にプロピオン酸の産生比の増大、乳酸の産生の減少、グルコースや蛋白質の消費節約により達成される。
【0010】
本発明の目的にとっては、上記の8種類のプラスバシン及びその塩のみならず、式Iで示され、動物成長促進活性を有する他のプラスバシン類の化合物及びその塩も有用である。本発明に有用なプラスバシンの塩には、リチウム、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属、又は塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、臭化水素酸等の無機酸、及び酢酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸、リンゴ酸、アジピン酸、コハク酸等の有機酸との塩が含まれる。
なお、本明細書中、単にプラスバシンというときは、プラスバシンA1〜A4及びB1〜B4をはじめとする式Iの化合物及びその塩の各々、又はそれらの任意の組み合わせからなる混合物、あるいは式Iで示される化合物すべてを指すものとする。
【0011】
本発明のプラスバシンは、後述するインビトロ及びインビボの試験例の結果から明らかなように、動物の成長促進作用を有する安全で有効な抗生物質である。
即ち、.ペルフリンジェンス等の数種のグラム陽性菌に対してインビトロで高い抗菌活性を示し、更に、牛、豚、羊及び鶏等に由来する合計16種の. ペルフリンジェンスの菌株に対して活性であった。
また、豚の大腸(近位結腸)から採取した腸内容物を用いたインビトロ試験で、腸内細菌によるグルコース及び蛋白質の消費の節約、乳酸産生の抑制、及び揮発性脂肪酸(VFA)の産生の増大、とりわけプロピオン酸の産生比を増大することが示された。
一方、ブロイラー雛に投与した場合、既知の抗生物質PA−42867−A投与群よりも高い体重増加効果が認められ、しかも腸内菌叢には余り影響しないことが分かった。
更に、急性毒性試験の結果から、安全性の高い抗生物質であることが確認された。
これらの試験結果は、プラスバシン類が、家畜及び家禽類等の動物の飼料利用率改善作用を有する安全な抗生物質であり、動物の成長を促進する目的で日常的に動物に投与し得ることを示すものである。
【0012】
本発明のプラスバシン類は、プラスバシン産生能を有する菌を培地に培養し、培養物から常法通り分離、精製することにより得られる。そのような菌として、特開平3−188098に記載のシュードモナス属の菌(例えば seudomonas sp. PB−6250(FERM BP−2938))を挙げることができる。培養物からのプラスバシンの精製は、それが菌体内に蓄積されるか、あるいは培地に分泌されるかにより異なるが、いずれも溶媒抽出、晶析、カラムクロマトグラフィー等の当業者既知の方法を用いて行うことができる。下記の製造例では、シュードモナス属の菌を培地に培養し生産されたプラスバシンを菌体内から、又は菌体外から精製する方法を示している。
しかしながら、本発明の目的は、動物成長促進作用を有する限り、任意の起源から任意の製造方法で得られたプラスバシンを用いて達成することができる。従って、本明細書に記載の方法以外の方法で得られるプラスバシン類を用いた成長促進剤も本発明の範囲に包含されるものである。
【0013】
本発明の成長促進剤を動物に投与する場合には、プラスバシンをそのまま、あるいは適当な剤形に製剤化して経口投与してもよいが、一般的には、通常使用される担体(例えば、脱脂米糠、脱脂大豆粉、ふすま、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、乳糖、水等)と混合したものを投与するか、あるいはこのように混合したもの、もしくはプラスバシン単独を動物飼料もしくは水と混合して投与する方法が好ましい。
ここで使用するプラスバシンは、必ずしも精製品である必要はなく、菌の培養物、粗製物(例えばプラスバシン生産菌を培地に培養して得られた培養物の部分的な精製物)、さらにはプラスバシンを含有する菌体そのものであってもよい。また、プラスバシンは上記の製薬上許容される塩の形で用いることもできる。
成長促進を目的としてプラスバシンを投与する場合、動物によって異なるが、1日当たりの投与量は、体重kgあたり、通常、0.1〜5mg、好ましくは0.2〜4mg、より好ましくは0.5〜2.5mgである。
【0014】
本発明のプラスバシンを飼料に混合して用いる場合、飼料は動物の飼料として一般に使用されるものであればいずれでもよい。そのような飼料は、通常、とうもろこし、ふすま、米、麦、綿実粕、マイロ、大豆粕、魚粉、脱脂米糠、油脂、アルファルファ、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、塩化ナトリウム、塩化コリン、各種ビタミン剤(ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンB1 、ビタミンB2 、ビタミンB6 、ビタミンB12、パントテン酸カルシウム、ニコチン酸アミド、葉酸)、無機塩(硫酸マグネシウム、硫酸鉄、硫酸銅、硫酸亜鉛、ヨウ化カリウム、硫酸コバルト)等の一部又は全部を混合して調製される。飼料には、畜産分野で許容されている他の添加物、例えば、他の抗生物質や殺菌剤、抗コクシジウム剤、駆虫剤等を添加してもよい。
【0015】
本発明に係るプラスバシン含有飼料中のプラスバシン含有量は、それらを単独で使用する場合、それらの任意の混合物を使用する場合、それらを含有する菌体、それらを含む抽出粗製物を使用する場合のいずれであっても、使用するプラスバシンの濃度は0.5〜100ppm、好ましくは1.0〜50ppm、より好ましくは5〜20ppmの範囲が適当であるが、必要な量のプラスバシンが飼料中に含有されるよう計算して、個々の動物の飼料に配合することが好ましい。
あるいは、本発明の成長促進剤は、獣医学の分野で用いられる通常の経口投与に適した剤形、例えば、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、ペレット等の固形剤;水剤;油性懸濁剤;又はシロップ剤もしくはエリキシル剤等の液剤のいずれかの剤形に製剤化することもできる。これらの製剤は、そのまま、あるいは飼料に混合して与えることができる。その調製に際しては、慣用の賦形剤、結合剤、滑沢剤、水性溶剤、油性溶剤、乳化剤、懸濁化剤等のいずれも用いることができ、また他の添加剤、例えば保存剤、安定剤、ビタミン剤、他の抗生物質、殺菌剤等を含むものであってもよい。
本発明の成長促進剤は動物一般に投与でき、その例として、鶏、七面鳥、あひる、うずら等の家禽類、牛、馬、豚、羊、山羊、ミンク、兎等の反すう又は単胃性の家畜が挙げられる。また、動物の飼育法は、一般に行われている方法をそのまま用いればよい。
【0016】
【実施例】
以下に実施例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明する。
製造例1 プラスバシンの製造
本製造例の方法は、実質上、特開平3−188098に記載の方法と同様である。
(a)発酵生産工程:
グルコース10g、酵母エキス5g、水道水1000ml(pH無調製)よりなる培地1Lを含む2L容エルレンマイヤーフラスコにシュードモナス種(Pseudomonas sp. )PB−6250(FERM BP−2938)の培養スラントの菌体を無菌的に懸濁させる。これを毎分250回転で、28℃、18時間振盪培養を行う。この培養物7Lを、コーンスターチ10g、ポテトスターチ10g、CA−1(動物飼料)20g、水道水1000ml(pH無調製)からなる培地200Lを含む500Lタンクに接種し、通気量200L/分で、毎分250回転、28℃、72時間培養する。
【0017】
(b)抽出、精製工程:
(1) 上記の培養液約200Lに食塩25kgを加え、希塩酸でpH3.0に調製し、シャープレス遠心機で遠心分離する。菌体部分を70%アセトン54Lで2回抽出し、抽出液を減圧下で濃縮し、大部分のアセトンを留去する。残った水性溶液(15L)に水10Lを加え、希水酸化ナトリウムでpH8.0に調製し、ダイヤイオンHP−20(三菱化成社製)のカラム(10L)に通過せしめ、プラスバシンを吸着させる。カラムを水洗後、30%アセトンから100%アセトンまでの濃度勾配溶出法により溶出する。活性のある溶出分画を集め(10L)、減圧下、大部分のアセトンを留去した後、pH2.5(希塩酸により調製)でブタノール5Lで抽出する。ブタノール抽出液を減圧下で濃縮し、アセトンを加えることによりプラスバシンを含む粗粉末(以下、プラスバシン群と記す)23.9gを得た。
【0018】
(2) クロロホルム−エタノール−10%酢酸(4:7:2)溶媒で充填したシリカゲルカラム(メルク社製、70−230メッシュ、1000g)に、上記の粗粉末(23g)を上記溶媒で溶解した溶液を載せ、同溶媒で展開溶出する。活性のある溶出分画を集め、減圧下、水及びブタノールを加えながら濃縮する。濃縮液より抗生物質をpH2.0でブタノールで抽出し、アセトンを加えることにより、プラスバシンの粗粉末6.34g得た。
【0019】
(3) 上記粗粉末を、下記の条件による高速液体クロマトグラフィーに付し、精製分画を得た。
カラム:YMC AP−324 S15/30 300Å ODS(山村化学社製)
移動層:アセトニトリル−50mM硫酸ナトリウムを含む50mMリン酸緩衝液、pH7.5(36:64)
流速:100ml/分
紫外線吸収検出機により220nmで検出。試料はpH8.0の水に溶解し、1回につき500mgを注入した。
【0020】
上記のクロマトグラフィーにより、最初にプラスバシンA1 及びB1を含む分画が、次に、プラスバシンA2 及びB2 を含む分画が、最後にプラスバシンA3 、A4 、B3及びB4を含む分画が溶出される。各々の分画を分取して集め、減圧下で濃縮後、pH2.5でブタノールで抽出する。この抽出液を0.1N塩酸、次いで水で洗浄する。更に、減圧下濃縮し、アセトンを加えることにより、プラスバシンA1 及びB1塩酸塩混合物150mg、A2 及びB2 塩酸塩混合物2.14g及びA3 、A4 、B3 及びB4塩酸塩混合物1.0gが得られた。
【0021】
(4) プラスバシンA1 〜A4 及びプラスバシンB1 〜B4 各成分は、上記の各々の混合物から、下記の条件による高速液体クロマトグラフィーを再び行って分離した。
カラム:ウルトロン7CN 20×250mm(信和化工社製)
移動層:アセトニトリル−50mM硫酸ナトリウムを含む50mMリン酸緩衝液、pH2.2(A1及びB1の分離の場合、26:74、A2 及びB2 、A3 、B3 、A4 及びB4 の場合、28:72)
流速:11.25ml/分
紫外線吸収検出機により220nmで検出。試料は50%メタノールに溶解し、1回につき5mgを注入した。各成分の分画を分取し、減圧下、濃縮し、pH2.5でブタノールで抽出し、その抽出液を0.1N塩酸、次いで、水で洗浄後、更に減圧下濃縮し、アセトンを加えることにより、各成分の塩酸塩を得た。
1 及びB1 の混合物77mgからA1 塩酸塩23mg及びB1 塩酸塩6mgが得られた。
2 及びB2 の混合物100mgからA2 塩酸塩68mg及びB2 塩酸塩4mgが得られた。
3 、A4 、B3 及びB4 の混合物150mgからA3 塩酸塩52mg、A4 塩酸塩10mg、B3 塩酸塩5mg及びB4 塩酸塩2mgが得られた。
このようにして得られたプラスバシン各成分と、(1)で得たプラスバシン群の抗菌活性を日本化学療法学会標準法の最小発育阻止濃度(MIC)測定法に従って、寒天平板希釈法により測定した。その結果、プラスバシンA3の抗菌活性が最も高く、(1)で得たプラスバシン群はその77%であった。
【0022】
製造例2 プラスバシンの製造
(a)発酵生産工程:
菌体外に生産物を分泌するシュードモナス属の菌株を選択し、製造例1と同様にして培養する。
(b)抽出、精製工程:
上記の発酵液約265 L(含有量347g)にクロロホルム2.7Lを添加して3時間撹拌殺菌を行う。次いで、6N塩酸にて発酵液をpH2に調節した後、n−ブタノール/メタノール(1:1)288Lを加え、1時間撹拌抽出した。シャープレス遠心分離機(関西遠心分離機株式会社製)にて菌体を分離することによって清澄な抽出液を得た。抽出液は減圧濃縮し、アセトンを留去した後、濃縮液に塩化ナトリウム20kgを加えて塩折し、n−ブタノール抽出液142Lを得た。ブタノール抽出液は水を加えながら減圧濃縮、留去後アセトン18Lを加えることにより、粗プラスバシン917g(含有量226g)が黄褐色粉末として得られた。
粗プラスバシン粉末369gを水30Lに懸濁した。撹拌しながら2N水酸化ナトリウムを添加してプラスバシンを溶解し、最終pHを8.2とした後、Dowex 1x2 (酢酸タイプ)18x40 cmカラムに通過させた。カラムを水洗、0.5M酢酸アンモニウム溶液で洗浄後、50%メタノール/0.5M酢酸アンモニウム溶液からプラスバシンを溶出させた。溶出液を4℃で1晩冷却して折出した結晶性のプラスバシンをろ別後、アセトンで洗浄した。真空乾燥して精製プラスバシン36g(TLC 1スポット)が黄色粉末として得られた。プラスバシンとしてはA1、B1、A2、B2、A3、A4(B3)等、6〜7成分以上が含まれている。
【0023】
(c)プラスバシンA3の分離精製
上記(b)で得た混合物からインビトロの抗菌活性が高いプラスバシンA3を分離精製した。
(1) プラスバシンの粗分画
上記の精製プラスバシン(TLC 1スポット)黄色粉末16gを脱イオン水150mlに溶解させる。予め29%アセトニトリル/50mMリン酸塩バッファー(pH7.5)溶液で平衡化したBakerbond Wp C4 (平均粒径40ミクロン)ガラスカラム80 mm x 400 mm(カラム容積:約2L)に載せ、同バッファーを用い、流速85ml/ml(カラム内圧:2.5−3.6kg/cm2)で溶出(12L)を行い、プラスバシンA1、B1成分を分画した。
次いで、アセトニトリル濃度を30%に上昇させて溶出(約9L)し、プラスバシンA2、B2成分を分画した。最後にアセトニトリル濃度を30%に上昇させて溶出(約6L)し、プラスバシンA3、A4成分を分画した。各分画物はアセトニトリルを留去した後、塩酸酸性(pH2)としてn−ブタノール抽出、濃縮液にアセトンを加えて無色粉末とした。かくしてプラスバシンA3、A4混合物4.5gが得られた。
【0024】
(2)プラスバシンA3の単離
逆相CN HPLCによるプラスバシンA3成分とA4成分の分離
プラスバシンA3、A4混合物0.5gを50%メタノール水6mlに溶解した後、HPLC分取を行った。HPLC分取条件は下記のとおりである。
カラム:R-555-15,S-15,120A,CN 50φx500mm (YMC)
移動層:28%アセトニトリル/50mMリン酸(pH2.2)
流量:100ml/分(内圧 17−24kg/cm2G)
検出:220nm
分析用HPLCで単一ピークを示すプラスバシンA3画分を集めて減圧濃縮して溶媒を留去し、産生水溶液からn−ブタノール抽出を行った。n−ブタノール抽出物は十分水洗した後、減圧濃縮し、アセトンを加えて無色粉末とした。精製プラスバシンA3(カルボン酸)195mgが得られた。
(3)プラスバシンA3ナトリウム塩の製造
精製プラスバシンA3(カルボン酸)を精製水に溶解し、撹拌しながら1N水酸化ナトリウムをゆっくりと加えてpHを7.0に調節後、溶液を凍結乾燥すると無色粉末としてプラスバシンA3ナトリウム塩197mgが得られた。
【0025】
プラスバシンの動物成長促進剤としての有用性を、以下の方法で試験した。
試験例1 急性毒性
プラスバシンは、特開平3−188098に記載のごとく、抗菌活性を有し,細菌性疾患等にも有効である。製造例で得たプラスバシンの急性毒性を、飼料添加物の評価基準及びその試験方法(日本科学飼料協会、1992)に従い、ラット及びマウスでの経口あるいは腹腔内投与で試験した。その結果、試験をおこなった最大投与量(経口投与:300mg/kg,腹腔内投与:100mg/kg)において両動物の雌雄共死亡例が出現しなかった。以下に、ラット及びマウスにおけるプラスバシンA3の経口あるいは腹腔内投与での無毒性量を示す。
【表1】
Figure 0003710842
本発明に係る化合物の魚毒性を農林省農政局通達(40農政B第2735号)のヒメダカの急性毒性試験『96時間無交換止水法』に準じて 10ppm投与したが,試験期間中ヒメダカに異常は認められず、動物に対して低毒性物質としての特徴を有していることが分かった。
【0026】
試験例2 畜産分野における主要細菌性疾病起因菌に対する抗菌活性
プラスバシンA3の畜産分野における主要細菌性疾病起因菌に対する抗菌活性をインビトロで試験した。即ち、表2に示す14菌種14菌株に対する抗菌活性を、日本化学療法学会標準法に準じて寒天平板希釈法あるいは液体希釈法で最小発育阻止濃度(MIC)を求めた。試験成績を表2に示す。
【0027】
【表2】
Figure 0003710842
表2から明らかに、プラスバシンA3はスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、ストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)、.ペルフリンジェンス 、ストレプトコッカス(Streptococcus sp.)等のグラム陽性菌に対して抗菌活性を有する。
【0028】
試験例3 .ペルフリンジェンスに対する抗菌活性
成長促進を目的とした抗生物質のインビトロスクリーニングにおける指標である.ペルフリンジェンスに対する活性を、牛、豚、羊及び鶏由来等の合計16の.ペルフリンジェンス種の菌株を用いて試験した。試験成績を表3に示す。
【0029】
【表3】
Figure 0003710842
【0030】
試験例4 プラスバシンA 3 の家禽類に対する成長促進効果
製造例で得たプラスバシンの家禽類に対する効果をブロイラー雛に対する成長促進効果と腸内細菌叢の変動によって調べた。
1)プラスバシンA3のブロイラー雛(8日齢、チャンキー種)に対する成長促進効果を、既知の抗生物質PA−42867−Aを対照薬剤として用いて検討した。
添加濃度は、抗菌剤無添加飼料マッシュ[粗蛋白(CP)濃度:23%]に10ppmの添加濃度で10日間与え、バタリー飼育方式で検討した。
実験方法は、初生雛を8日齢時までCP濃度23%の飼料で飼育した後、1群23〜25羽ずつ各群の体重が均一になるように合計3群の実験群に区分けした。各実験群は、プラスバシンA3 10ppm×10日間、PA−42867−A 10ppm×10日間、無添加対照群10日間である。これら各実験群は環境温度26± 2℃の条件下で飼育した。有効性を試験期間中(10日間)の増体量から評価した。試験成績は表4に示す通りである。
【0031】
【表4】
Figure 0003710842
表から明らかに、プラスバシンA3添加群は無添加対照群に比べ、有意(P<0.05)に増体重が大きく、対照薬のPA−42867−A投与群のそれよりも大きいことが分かる。
【0032】
2)次いで、プラスバシンA3添加飼料給餌による腸内菌叢の変動を成長促進効果試験の終了時(10日目)の雛の小腸(メッケル憩室から下部5cm間)内容物を用いて、クロストリジウム類(Clostridia)とエンテロコッカス類(Enterococci)の2菌種について調べた。採取した内容物を9倍量のBHI(Brain heart infusion: Difco製)培地に浮遊し、適時、段階希釈した後、クロストリジウム類分離のためにCW(Clostridia Welchili)寒天培地に、エンテロコッカス類分離のためにEF(Enterococci faecalis:日水製薬製)寒天培地それぞれに希釈後の0.1mlを接種した。CW寒天培地は嫌気、EF寒天培地は好気条件でいずれも37℃、48時間培養した。試験成績は表5に示す通りである。
【0033】
【表5】
Figure 0003710842
小腸内のクロストリジウム類の数はプラスバシンA3、PA−42867−Aの給餌により有意(P<0.01)に減少したが、プラスバシンA3によるエンテロコッカス類の数の減少は認められず、プラスバシンA3は腸内細菌叢に及ぼす影響が少ない化合物であることが分かった。
【0034】
試験例5 プラスバシン群の家禽類に対する成長促進効果
抗菌活性がプラスバシンA3の77%である製造例1(1)で得たプラスバシン群を用いて、試験例4と同様にしてブロイラー雛に対する成長促進効果と腸内菌叢への影響を調べた。結果をそれぞれ、表6及び7に示す。
【表6】
Figure 0003710842
プラスバシン群添加群は無添加対照群に比べ、2.2%増体重が重いことが分かる。
【表7】
Figure 0003710842
小腸内のクロストリジウム数はプラスバシン群の給餌により有意(P<0.01)に減少したが、プラスバシン群によるエンテロコッカス数の減少は認められず、プラスバシン群の腸内細菌叢に及ぼす影響は少ないことが明らかである。
【0035】
試験例6 飼料利用率に関する各種指標へのプラスバシンの影響
プラスバシン及び既存の抗生物質の、飼料利用率に関する各種指標(腸内のVFA及び乳酸の産生、並びに蛋白質及びグルコースの消費)への影響をインビトロで試験した。即ち、豚の近位結腸由来の腸内細菌を含む消化管内容物を液体培地で嫌気培養することにより、培地中の指標となる栄養分の節約作用あるいはエネルギー源の産生等に及ぼす各検体の影響を検討した
1)検体:
プラスバシンA3ナトリウム塩(1000μg力価/mg)、アビラマイシン(イーライ・リリー:1206 units/mg)、コリスチン[(株)科薬:16900 units/mg]及びエリスロマイシン(塩野義:940μg力価/mg)。これらの薬剤は、指定された溶解方法に従って薬剤原液(5mg/ml)を作製し、実験目的に応じて希釈して用いた。
2)腸内容物の採取:
平岡養豚より購入したコンベンショナル豚(1.5ケ月齢,体重15kg)を麻酔剤を用いて安楽死させ、大腸(近位結腸)を摘出した。腸管は、結紮糸を用いて10〜15cm程度に結紮した。その後、ハサミで切り離し −80℃に保存した。
【0036】
3)培地と培養方法
腸内容物の培養にはPYG液体培地を用いた。厳密な嫌気培養条件を保つため、市販のCO2ガスは還元装置(平沢製作所)に通し、不純ガス(酸素)を除去した後、用いた。
CO2ガスを十分に吹き込んだPYG液体培地(5.4ml)に腸内容物(大腸)を0.6g加え、さらに検体を含む薬剤液を60μl(最終濃度で10ppm)添加した。その後、CO2ガスを数分間吹き込み、嫌気条件下で、40℃、8時間培養した。培養開始前、及び培養終了後に、指標としてのグルコース、蛋白質、乳酸、及びVFAの培地中の量を以下の方法で測定し、グルコース及び蛋白質の消費節約作用、乳酸の産生抑制作用及びVFAの産生増大作用に関して、各検体を評価した。
【0037】
4)各指標の評価
(1)グルコース及び蛋白質消費の節約作用
上記の3)で得た培養終了後の培養液は遠心分離(10.000 rpm,10分)し、上清に含まれるグルコース量を和光純薬のグルコース測定キット(o−トルイジン・ホウ酸法)にて、また蛋白量はバイオラッド(Bio Rad)社製のプロテインアッセイキット(protein assay kit)を用い、使用説明書に従って測定した。グルコース(単位:mg/dl)及び蛋白質(単位:μg/ml)の消費節約作用は、下記に記載した計算式を用いて測定した。
[(A−B)/A]×100=節約率(%)
A:対照(0時間)グルコース量1)−対照(8時間)グルコース量2)
B:対照(0時間)グルコース量3)−薬剤添加(8時間)グルコース量4)
1)2)3)4):又は蛋白量
結果を下記の表8に示す。
【0038】
(2)乳酸の産生抑制作用及び揮発性脂肪酸(VFA)の産生増大作用
上記の3)で得た培養液(0時間および8時間)1mlに対し、除蛋白の目的で25%メタリン酸0.1mlと50%硫酸25μlを加え、室温で一夜静置した。次いで、10,000rpmで10分間遠心分離を行い、上清を乳酸とVFAの測定に供した。
乳酸の測定は、三フッ化ホウ素メタノール法で行った。即ち、遠心上清1mlに対し、内部標準物質(1%マロン酸)を25μl添加し、さらに、メチル化を行うため、上清と同量(1ml)の三フッ化ホウ素メタノールを加え、室温で一夜静置した。1mlのクロロホルムを添加して乳酸を抽出し、下記の条件下でのガスクロマトグラフィーを用いて乳酸を測定した。乳酸産生の抑制率は、次の計算式に従って測定した。
[(A−B)/A]×100=抑制率(%)
A:対照(8時間)乳酸量−対照(0時間)乳酸量
B:薬剤添加(8時間)乳酸量−対照(0時間)乳酸量
【0039】
VFAの測定は、除蛋白処理後の遠心上清の一部を用い、エーテル抽出法で行った。具体的には、遠心上清1mlに対し、内部標準物質(1%クロトン酸)を25μl添加し、混和した後、エチルエーテルを1ml加えてVFAを抽出した。1.000rpmで3分間遠心分離し、エーテル層に含まれるVFA量(μM/ml)を下記の条件下でのガスクロマトグラフィーを用いて測定した。結果を表8に示す。
【0040】
【表8】
Figure 0003710842
ガスクロマトグラフィーの条件:
ガスクロマトグラフィーおよびカラムは、島津社製のGC−14B,ワイドボアキャピラリ−カラム(BP20-W12-100)をそれぞれ用いた。サンプルの注入はオートインジェクターを用い、注入量は1μlとした。ガスクロの分析条件は以下の通りである。
Figure 0003710842
表8から本発明のプラスバシンは、腸内のVFA、乳酸、蛋白質及びグルコースの4つの指標のいずれに関しても優れた値を示し、大腸における、腸内細菌によるグルコース及び蛋白質消費の節約作用、VFA産生量の増加作用、及び乳酸産生の抑制作用を有することが明かである。
【0041】
試験例7 プラスバシンのVFA産生量への影響
プラスバシン及び既存の抗生物質の腸内でのVFA産生に及ぼす影響を、豚の近位結腸由来の腸内細菌を含む消化管内容物を液体培地で嫌気培養し、産生されたVFAを分析することにより、インビトロで検討した
検体、腸内容物の採取、培養条件及びVFAの測定方法は試験例6と同様である。結果を表9に示す。
【表9】
Figure 0003710842
表9は、プラスバシンの存在下でのプロピオン酸の産生量は、試験した他の抗生物質の存在下よりも有意に高く、また、酢酸の産生量も高いことを示している。この結果から、プラスバシンが、腸内細菌に働きかけ、炭水化物からより高い割合でプロピオン酸を生産させる作用を有し、飼料利用率を改善することが明らかである。
以下に、本発明のプラスバシンの飼料への添加例を示す。なお、成分の配合比は、重量%で表されている。
【0042】
実施例1
とうもろこし 46.45 %
マイロ 15.00 %
大豆粕 5.00 %
魚紛 3.00 %
脱脂米ぬか 25.00 %
アルファルファ 3.00 %
炭酸カルシウム 1.00 %
リン酸カルシウム 0.70 %
塩化ナトリウム 0.40 %
ビタミンA,D,E混合物 0.05 %
無機塩混合物* 0.1 %
ビタミンB群混合物** 0.1 %
プラスバシンA3 10 ppm
*無機塩混合物 :硫酸マンガン、硫酸亜鉛、硫酸銅、硫酸コバルト及びヨウ化カリウムからなる混合物。
**ビタミンB群混合物:ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビオチン、葉酸及びパントテン酸カルシウムからなる混合物。
上記の割合で各成分を配合し、よく混合する。
【0043】
実施例2
とうもろこし 41.00 %
マイロ 25.00 %
大豆粕 19.10 %
魚紛 8.00 %
油脂 4.00 %
炭酸カルシウム 1.40 %
リン酸カルシウム 0.85 %
ビタミン無機塩混合物* 0.26 %
メチオニン 0.10 %
塩化ナトリウム 0.29 %
プラスバシンA3 10 ppm
*ビタミン無機塩混合物:ビタミンA、ビタミンD3、ビタミンE、ビタミンB1、ビタミンB6、ビタミンB12、パントテン酸カルシウム、ニコチン酸アミド、ビタミンK、塩化コリン、硫酸マグネシウム、硫酸銅、硫酸鉄、硫酸亜鉛、硫酸コバルト及びヨウ化カリウムからなる混合物。
上記の割合で各成分を配合し、よく混合する。
【0044】
実施例3
とうもろこし 78.00 %
大豆油粕 9.00 %
魚紛 10.00 %
脂肪 3.90 %
粗繊維 2.40 %
粗灰分 5.10 %
カルシウム 1.07 %
リン酸 0.73 %
アルファルファミールと
炭酸カルシウムの混合物 3.00 %
プラスバシンA3 10 ppm
上記の割合で各成分を配合し、よく混合する。
【0045】
【発明の効果】
本発明の成長促進剤の有効成分であるプラスバシンは、動物の腸内有害細菌に対する抗菌作用を有し、腸内でのグルコース及び蛋白質の消費を節約し、乳酸産生を抑制すると共に、有効なエネルギー源であるVFAの産生、特にプロピオン酸の産生比を増大する一方で、動物の腸内菌叢には殆ど影響せず安全性が高い化合物である。従って、本発明の成長促進剤は、家禽や家畜等の動物の飼料利用率を改善し、成長を促進する目的で、これら動物に日常的に与えることができ、効率的な飼育に貢献し得る。

Claims (7)

  1. 式I:
    Figure 0003710842
    [式中、XはL−HyPro又はL−Pro、Rは−CH3又は−CH(CH3)2、nは9〜12の整数を表す]
    で示される化合物又はその塩を有効成分として含有する成長促進剤。
  2. 動物の成長を促進するために用いられる請求項1に記載の成長促進剤。
  3. 動物が家禽又は家畜である請求項2に記載の成長促進剤。
  4. 動物が豚である請求項3記載の成長促進剤。
  5. 式Iの化合物及びその塩からなる群から選択される1種以上の化合物を0.5−100ppmの濃度で含有する、請求項1又は2に記載の成長促進剤。
  6. nが9、10又は12である請求項1又は2に記載の成長促進剤。
  7. XがL−HyPro、nが10、そしてRが−CH(CH3)2である請求項1又は2に記載の成長促進剤。
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